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日本の農業はどこへ向かうか マイカーで東京から京都まで旅行する場合 ゴルフをプレイしている人の年代層割合に驚いた 世界と日本の宗教別信者数 2021年版出版社不況 客員教授と非常勤講師ってなんだ? ロバート・B・パーカー「スペンサーシリーズ」全巻まとめ 窓ガラスの熱割れで火災保険は使えるか? 天然素材でも綿はよく燃えるらしいことがわかった やっとのことでJ:COMを退会した 貯まった1円玉はどうする? 自動車整備士に未来はあるか? 液晶テレビが壊れた件 リタイア後の心配事 運転免許証取得者は意外にも増えている 著者別読書感想INDEX −−−−−−−− プライバシーポリシー及び利用規約 −−−−−−−− |
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リストラ日記アーカイブ 2023年9月 読みやすいようにアーカイブは昇順(上から古いもの順)に並べ替えました。上から下へお読みください。 日記INDEXページ(タイトルと書き出し部の一覧)はこちらです |
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---------------------------------------------------------- 8月後半の読書と感想、書評 2023/9/2(土) 1739 妊娠カレンダー(文春文庫) 小川洋子 1991年に出版された芥川賞を受賞した作品「妊娠カレンダー」を含み、「ドミトリイ」「夕暮れの給食室と雨のプール」の2編も合わせて収録された短中編の作品集です。 著者の作品は、「博士の愛した数式」(2003年)など3作品を過去に読んでいますが、外れがない作家と言えるでしょう。今回の作品も過去同様に面白く読めました。 女性作家が書く「妊娠カレンダー」ならば、読むまではきっと自分の体験談を小説にしたんだろうなぁと思って、文庫の裏表紙に書かれているあらすじも読まずにとりかかったところ、そうではなくて同居する実姉が妊娠したことで変わっていく感情と生活が刻々と書かれています。 結婚した姉夫婦と同居している妹というのも珍しいパターンですが、妊娠した姉はますますわがままになっていき、妹は相手にすることなく淡々と自分の生活をしていきます。この辺りの感覚が男にはなかなかわからないところで、そういうものなの?と興味が湧きました。 著者の作品に出てくる男性は、おしなべて頼りなかった病気だったりして目立った活躍はしません。今回出てくる姉の夫も小心者で、妻の妊娠でオロオロするばかりで、この気持ちはなんとなく男性でもわかったりします。 他の二編の小編も女性が主人公で、昭和時代のボロい学生寮や小学校の給食室など、懐かしい記憶が呼び起こされるような物語でした。 ★★☆ ◇著者別読書感想(小川洋子) 告白(中公文庫) 町田康 2005年に単行本、2008年に文庫化された長編時代小説で、谷崎潤一郎賞を受賞しています。河内の怠け者の博徒の一代記ですが、これが小説になるのはわかりますが、文学賞を受賞するような内容か?というとちょっと疑問かも知れません。 関西出身の私ですが、この小説のモチーフとなった河内音頭のスタンダードにもなった実際に起きた事件「河内十人斬り」についてはまったく知りませんでしたので、今回読書をしながら事実関係を並行して調べながら読みました。 その「河内十人斬り」という1893年(明治26年)に実際に起きた殺人事件については、Wikipediaに詳しいのでそちらを読んでください。 主人公は事件の主犯で、大阪府南河内地域にあった水分村で百姓の子と生まれながら、根っからの怠け者で若い頃から博打や酒、女に溺れていた男で、その主犯の男の子ども時代から青年期を経て事件を起こした36歳までの人生とやり場のない自己嫌悪で自滅していくという流れです。 とにかく大作で文庫本で842ページあり、通常の文庫の3作品分ぐらいあります。そして関西生まれの私はまだ慣れていますが、下記のようにベタベタな河内弁ばかりで、関西以外の出身者には果たしてどこまで意味が通じるのかな?って思います。 「さよさよ。わたいもですわ。ほんにてーんとつけへん。出てはとられる茗荷の子っちゅうやってすわ」 「あ。ほんまや。ま、それやったらよけでんが。んえどないしなはる。きなはるか」 「なんじゃ、この餓っ鬼ゃあ、ちゅうたがな。ほしたらこの餓鬼なんちゅいよったと思う?」「なんちゅいよってん」 「おどりゃなめたらあかんど」「へげたれがっ」 「この餓鬼、短刀のんでけつかった」 「いやちゃいまんがな兄ちゃん」「なにがちゃうねん」 「どんなんやね。しゃあけどほんま大丈夫かいな。あないえらそうに言うて。どつきまわされよんど」 「しゃあけど、なんでわいやね。他のもんかてかまへんやんけ」・・・ 河内弁は一般的に言う関西弁からさらに崩れた感じの言葉ですから、馴染みのない方が読むのはおそらく苦労するのを覚悟してください。 昔の関西ローカルのテレビで見た上方漫才では、こうした河内弁丸出しのしゃべくり漫才をよく見ていたので、私はそれで違和感を感じないのでしょう。 著者の出身地は大阪府の堺市なので、河内弁の地域ではないものの、河内地域とも地理的には近い上に私と同様テレビなどで馴染みがあって、違和感なくこの小説でも使えたのでしょう。関東人にはとてもこの小説は書けません。 ★★☆ ◇著者別読書感想(町田康) 朝日新聞の黙示録 歴史的大赤字の内幕(宝島社新書) 宝島特別取材班編 先月には東芝の落日を書いたノンフィクション「東芝の悲劇」を読みましたが、今回は朝日新聞社の黙示録です。 ◇2023年7月前半の読書と感想、書評(東芝の悲劇 大鹿靖明著) 「黙示録」とは「破滅的な状況や世界の終末などを示したもののこと」と解釈されていますが、朝日新聞社はまだそこまではひどくないと思ってます。2009年に発刊された「2011年 新聞・テレビ消滅」と同様、危機をあおって注目を集める狙いでしょう。 部数が激減しているのは、朝日新聞だけが減っているのではなく、新聞というアナログメディア自体が全体的に減っているので、本著で指摘されている数々のスキャンダルで減らしているわけでもなさそうです。 それでも、右傾化が進んできたこの20年ぐらいは朝日新聞にとっては厳しい環境だったことは間違いなく、内紛や記事の取り消しなど、メディアとしての存在意義を問われることもありました。 しかし現在70後半の団塊世代が新聞を取り続けているあいだはまだ安泰で、彼らが新聞を必要としなくなる10年後から20年後はいよいよ新聞という紙メディアが残るかどうかは不明です。 本著では、主に元朝日新聞社の記者だった複数の著者が慰安婦記事、原発事故後の吉田調書、池田コラム問題などの紙面上のスキャンダルの対応のまずさと、朝日新聞社の収益構造や、社主制度の廃止、東大卒エリートの減少など事業体としての変遷などを通してこのままでは瓦解するという警告です。 個人的には子供の頃からずっと朝日新聞を読んできていて、馴染みがあるというか相棒のような存在ですので、なくなるとそれも困りますが、多かれ少なかれ、企業の栄枯盛衰はつきものですから、20年後に読めなくなってもそれは仕方がありません。新聞に代わるメディアには事欠きませんからね。 ★★☆ 光と影(文春文庫) 渡辺淳一 1970年(昭和45年)、著者が37歳の時に直木賞を受賞した短篇集作品で、これ以降、本業の医者から作家活動へと重心が移っていくことになる記念碑的作品です。 解説にも書かれていましたが、医者でありながら小説を書いている作家さんは国内はもとより世界中に多いですが、その中でも整形外科医と作家の二足のわらじをはいている方はほとんどいません。 なぜ整形外科医と作家活動が両立しにくいのか?については本当のことはわかりませんが、派手な出血を日常的に見たり、緊急外科手術の必要性から、精神的になかなか落ち着いた作家活動がしにくいのかな?と思ったりしますが、真実は不明です。 本著には「光と影」「宣告」「猿の抵抗」「薔薇連想」の4篇が収録されていますが、いずれも医療に関係する医者でしか書けないと思われる秀逸の作品集です。 その中でも直木賞を受賞した「光と影」は、明治初期、西南戦争で右腕に同じような銃創を受けた同期の二人の将校の運命が手術の先か後かで大きく変わってしまうという物語です。 主人公は将校のひとりで先に手術をおこない、その時代では普通だった腕の切断手術がおこなわれ、続いて二人目の手術の時には軍医の気まぐれで「実験で腕を残す」手術がおこなわれます。 結果的には、腕を切った将校は廃兵となり陸軍を辞め市井で働きますが、自分よりもすべての点で劣っていたもうひとりが腕が残されたおかげで陸軍に留まることができ、その後順調に出世していくのを見るという悲哀を味合うことになります。 人の運命が、カルテの上か下の差で決まってしまうという「光と影」にせつなくて儚い話しです。 他の作品も視点や時代はそれぞれ違いますが、著名な絵画家に最後の作品を描けるように余命を告げるべきか悩む医者、学生向けの症例としてまるで実験動物の猿のように扱われる患者、男に知った上で梅毒を感染させられた俳優の卵が考える復讐と悪意など、それぞれ印象深い作品でした。 ★★★ ◇著者別読書感想(渡辺淳一) 【関連リンク】 8月前半の読書 彼岸先生、劣化するオッサン社会の処方箋、老いた男、暗闇・キッス・それだけで 7月後半の読書 汚名(上)(下)、望み、ノヴァーリスの引用、遍路みち 7月前半の読書 マルタの鷹、オライオン飛行、東芝の悲劇、流転の魔女 ---------------------------------------------------------- 2023年7〜8月にみた映画 2023/9/6(水) 1740 君たちはどう生きるか 2023年 スタジオジブリ 監督 宮ア駿 声の出演者 山時聡真、菅田将暉、柴咲コウ 前作で最後の作品と言われていた「風立ちぬ」は零戦の設計主任堀越二郎をモデルとした宮崎アニメにしては珍しくファンタジーではなくリアリティのあるストーリーでしたが、今回はまた戻ってファンタジー映画です。 具体的な内容は書かないのがお約束ですから、単に還暦過ぎたオヤジの感想だけを書くと、やはり「オヤジにはファンタジーは似合わない」と言ったところでしょう。 タイトルからすれば、もう少し若者向けに人生の成功者である監督からのメッセージや教訓などが盛り込まれているのではと想像していましたが、そういうのはほとんどなしで、ひたすらファンタジーでした。 でもそうした宮崎アニメの本質に子供の頃から馴染んでいる多くのファンの人達にとっては、「これこそがジブリ作品」ということなのでしょう。 ただ過去の宮崎アニメはほとんど見てこなかった偏屈オヤジにとっては内容が理解不能だったということです。 ★☆☆ 隣のヒットマン(原題:The Whole Nine Yards) 2000年 米(日本公開2001年) 監督 ジョナサン・リン 出演者 ブルース・ウィリス、マシュー・ペリー 妻と仲が悪くなっている歯科医が主人公ですが、もうひとりの主人公で一家の隣に出所したばかりの有名な殺し屋が引っ越してくることから起きるドタバタコメディです。 コメディと言ってもナンセンスなものではなく、それなりに筋は通した設定で、マフィアに追われて密かに引っ越してきた殺し屋ですが、その男をマフィアに売ることで家庭の大きな借金を返そうと主人公の悪妻が企みます。 しかし歯医者と殺し屋はご近所さんと言うことでなんとなく親しくなり、妻と殺し屋の間に挟まってオロオロするばかりというのが笑えます。 そのブルース・ウィリスも2022年に失語症など病気のため俳優を引退しましたが、調べると出演した映画は127本あり、出世作の1988年の「ダイ・ハード」はその後シリーズ化され6作が作られています。 独特の明るいキャラクターと困ったときの表情など多くの人を楽しませてくれました。本作でもタフで面白くカッコよい殺し屋を演じています。 ★★☆ オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主(原題 Odd Thomas) 2013年 米 監督 スティーヴン・ソマーズ 出演者 アントン・イェルチン、アディソン・ティムリン 原作はホラーやスリラー、ファンタジー小説の大家、ディーン・クーンツの「オッド・トーマスの霊感」です。一時期、1990年代にこの著者の小説に凝っていたことがあり、過去に22作品読んでいて、この作品も2009年に既読でした。 監督は「ヴァン・ヘルシング」「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」で監督を務めた方でやはりアドベンチャーやファンタジーが得意な監督です。 主人公は、霊になって浮遊している死人が見える若いコックで、占いで一生共にすると言われた恋人がいます。 しかし住む街に主人公しか見えない死人が増えそうな時に集まってくる怪物が集まり始めていることに気がついて、何者かが大量殺人を画策していることを突き止めていきます。 スリラーというよりはファンタジーで、血だらけの死人が街を徘徊する主人公しか見えない場面とかも出てきますが、怖さはなく「ゴーストバスターズ」のノリみたいな感じです。 ラストはこうした作品ではまぁるく収まってハッピーエンドというのが多いですが、ちょっと衝撃的なアンハッピーエンドが待ち受けています。 小説ではオッド・トーマスシリーズは4作ありますが、映像化はこの作品だけです。おそらくイマイチ評判が良くなかったのでしょう。 ★☆☆ 起終点駅 ターミナル 2015年 「起終点駅 ターミナル」製作委員会 監督 篠原哲雄 出演者 佐藤浩市、本田翼、尾野真千子 桜木紫乃著の2012年の短篇小説「起終点駅(ターミナル)」を原作にして製作されたシリアスな映画で、当初タイトルを見たときに「また、鉄ちゃん向け映画?」と勝手に想像していましたが、全然違ってました。 駅や鉄道が出てくるのは最後の場面ぐらいで、ほとんどは過去と現在を行き来する人間ドラマです。 既婚で息子が一人いる主人公の弁護士は、過去に不倫相手が目の前で飛び込み自殺をして失うというトラウマがあり、離婚し、養育費を送りながら、北海道の僻地で国選専門の弁護士をしながら質素に暮らしています。 違法薬物使用で逮捕された女性の弁護をした関係から、その女性が自宅へやってきて、まだ逃げている恋人を探して欲しいと頼まれます。 国選弁護しかおこなわないという理由で断りますが、やり直すため実家へ帰るので送って欲しいと頼まれ、クルマで送っていくことになり、そこに逃亡中の女性の彼氏が隠れ住んでいることがわかります。 その恋人と別れる決心をして、力強く生きていく女性の旅立ちに立ち会い、自分も生きる気力が湧いてくることになります。 また4歳の時に別れてその後一度も会っていない息子から、結婚式の招待状が届き、出席するかどうか悩みますが、息子の心のこもった手紙を読み出席する意志を固めます。 泣き所はないですが、地元のヤクザで主人公の弁護士を仲間に引き込もうとご執心な中村獅童の演技がなかなか堂に入っていて良かったです。 ★★☆ ブラッド・ファーザー(原題:Blood Father) 2016年 仏 監督 ジャン=フランソワ・リシェ 出演者 メル・ギブソン、エリン・モリアーティ 「マッド・マックス」や「リーサル・ウェポン」で男臭いハードアクションで一時代を築いたメル・ギブソンが当時60歳の老体に鞭打ち、自分の命をなげうって犯罪組織から娘を守るというハードボイルドなフランス映画です。 刑務所を出所後、犯罪から足を洗い、昔の悪い仲間からも距離を置いて静かに暮らしていた主人公に、家出をして長く音信不通だった娘から突然電話がかかってきます。 娘は犯罪組織にいる恋人と組織の金を持ち逃げしたと思われる夫婦を襲撃するとき一緒に加わりますが、あまりのひどさゆえ、恋人を誤射してその場から逃げ出します。 その結果、犯罪組織と警察の両方から追われることになり、父親の主人公に逃亡資金の無心のため電話をかけてきたという流れです。 過去に様々な犯罪や逃亡を経験してきた主人公が、娘を逃がすために一緒に行動を共にして危機を回避していきます。 しかし逃亡犯として警察からも指名手配され、昔の犯罪仲間からも裏切られ、追いつめられていくことに、、、 と、まぁありがちなストーリーで、最後はハッピーエンドとはいきませんが、メルの魅力を伝えたかっただけの派手な撃ち合いのあるドタバタ劇でした。 ★☆☆ 【関連リンク】 2023年5〜6月 スペース カウボーイ(2000年)、幸せへのまわり道(2019年)、最後の忠臣蔵(2010年)、キネマの神様(2021年)、小説家を見つけたら(2000年) 2023年3〜4月 ドライビング Miss デイジー(1989年)、カリートの道(1993年)、あかね空(2007年)、ジェシー・ジェームズの暗殺(2007年)、漁港の肉子ちゃん(2021年) 2023年1〜2月 ガントレット(1977年)、折れた矢(1950年)、メンフィス・ベル(1990年)、どら平太(2000年)、ブロークンシティ(2013年) ---------------------------------------------------------- 医者と作家の二刀流一覧 2023/9/9(土) 1741 先日、渡辺淳一著の直木賞受賞作品「光と影」を読みましたが、掲題の小説の他にもいくつか短編小説が収録されていて、どれもが医者としての見識や経験がないと書けないディテールに感心しました。 医者と創作活動を兼業している二足のわらじの作家さんは多いですが、その中では帚木蓬生氏や海堂尊氏、夏川草介氏などの作品が好きでよく読みます。 そこで調べられる範囲で、作家と医者の兼業として著名な人のリストを作ってみました。一応基準は、資格を持っているだけでなく、医療従事者として勤務経験があり、専門書以外の著作物がある方々です。
先の渡辺淳一氏の専門医療は整形外科で、これは現役、過去問わず非常に珍しいケースだということが上記の小説の解説に書かれていました。 確かに、過去に読んでいる北杜夫氏や帚木蓬生氏、加賀乙彦氏、北山修氏は精神科医で、夏川草介氏や知念実希人氏は内科、久坂部羊氏も在宅医療医でジャンルとしてはおそらく内科、森鴎外氏は軍医と言うことで専門は衛生学、海堂尊氏が唯一外科医という専門分野で、意外に外科や整形外科の作家さんは少ないです。 整形外科(1)や腫瘍外科を含む外科(2)とともに少ないのは、歯科(0)や耳鼻科(1)、皮膚科(1)、眼科(1)、小児科(1)の専門の医者と作家という組み合わせです。 逆に上記のリストから兼業作家さんの医療専門分野で一番多いのは、大枠での内科医(消化器内科、神経内科含む)で11人、次が精神科医で8人、産婦人科が3人となっています。 開業医や勤務医、軍医、地域医療医となっているのは詳細不明で、一部には総合医療的なこともあるでしょう。それに1800年代にはまだ専門医療分野が今と違ってハッキリと分かれていないこともあり専門分野の区分けが難しいです。 外科や整形外科と作家の兼業が、精神科や内科と比べると少ないのは、様々な理由が考えられますが、派手な血を見る手術や解剖などで、体力や神経がすり減って創作活動どころではないということがあるかも知れません。素人考えですが。 私は両足の股関節が人工股関節ですが、その置換術の動画を見ると、整形外科手術というのはまるで大工さんのように、のこぎりやドリル、ハンマーなどを駆使していることに驚きます。音を聞いていてもまるで木工所の中にいるようでトンカントンカン、ガリガリガリとやっているのに驚きです。 いずれにしても医者を目指す人はそれなりに頭が良く、二足のわらじどころか、時間さえあれば三足、四足も可能でしょうし、医療以外の分野においても一流になれる方が多そうです。 ◇著者別読書感想(帚木蓬生) ◇著者別読書感想(渡辺淳一) ◇著者別読書感想(夏川草介) ◇著者別読書感想(海堂尊) ◇著者別読書感想(久坂部羊) 【関連リンク】 1565 芥川賞受賞作はどれだけ読んだか 1561 直木賞受賞作をどのぐらい読んだか 746 直木賞作家の前職は? 509 本屋大賞ノミネート作品について ---------------------------------------------------------- 9月前半の読書と感想、書評 2023/9/16(土) 1742 オロチの郷、奥出雲 古事記異聞(講談社文庫) 高田崇史 以前から行きたいと思っていた出雲について調べようと思い、今回の作品のシリーズ1作目の出雲が舞台の小説「鬼棲む国、出雲 古事記異聞」を読んで一気にファンになりました。 ◇2022年12月後半の読書と感想、書評(鬼棲む国、出雲 古事記異聞) おかげさまで、出雲4大神はじめ、多くの寺社、博物館など密度濃くまわることができました。あらためて御礼を。 さて、その前作に続き、主人公の大学院生の女性が、出雲を回った後、まだ解けない謎と見落としがあると思ってもう1泊増やして奥出雲へ行くことになります。 私も奥出雲へはこの小説を読む前に行ってきましたが、主人公が宿泊する亀嵩や、「奥出雲たたらと刀剣館」でたたら製鉄の地下施設「実物大断面模型」を見てきました。 小説では、「主人公が行く先に殺人事件あり」で、今回は遺体の発見者ではないものの、宿泊した民宿の主人が発見者で、その関係もあって前作で捜査に協力した島根県警の刑事とも再会します。 今回は奥出雲で残る八岐大蛇(やまたのおろち)伝説について、その謎解きと奥出雲のたたら製鉄との関係を結びつけていきます。 そして前作から引っ張ってきた「櫛(くし)」の謎について、今回の作品で主人公なりの解釈を披露します。 小説のストーリーとしてはやや心許ない感じですが、出雲や奥出雲の歴史や神話の世界の現代での解釈や推理などは、ふむふむと面白いものです。 ★★☆ 素晴らしき世界(上)(下)(講談社文庫) マイクル・コナリー ハリー・ボッシュシリーズの21作目で、原題は「Dark Sacred Night」で、2018年にアメリカで出版され、日本語翻訳版は2020年に出版されています。 原題を直訳すると同じハリー・ボッシュシリーズの9作目のタイトルにつけられた「暗く聖なる夜」になるとのでそれは使えず、この原題タイトルはルイ・アームストロングの「What a A Wonderful World」の歌詞の中からとられていることから、曲のタイトルの直訳を日本語翻訳版のタイトルに使ったと訳者あとがきにありました。 また本文中でも、捨てられた殺人事件の遺体捜索のために、汚臭おびただしいゴミの集積場で数日前のゴミを調べていた捜査員が皮肉を込めて「なんて素敵な世界だ」と会話しています。 今回の特徴は、以前読んだ同じ著者の作品「レイトショー」で主人公だったハワイ生まれの女性刑事とボッシュの二人が勤務先の違いを超えてペアとなり古い未解決事件を解決していくという流れになっています。 ◇2020年5月前半の読書と感想、書評(レイトショー) 前作「汚名」でボッシュが麻薬組織に潜入捜査をした時に助けられた薬物中毒の女性から、その娘の未解決殺害事件について聞かされ、その女性を救うとともに、娘の未解決事件について調べると約束をしていました。 その事件はロサンゼルスで起こり、ボッシュはロス市警に寄ったときに部外者であるに関わらず無断でキャビネットの中の古い資料を探しているときに、もう一人の主人公である女性刑事に見つかってしまい、女性刑事から理由を求められ、それに興味を持ち協力することを伝えられます。 それぞれに事件を抱える忙しい身でありながらも、9年前の未解決事件を探っていくという気の遠くなる調査です。 今回は、ボッシュ自身が勤務する地元の犯罪組織に拉致され閉じ込められるという危機一髪のシーンなどもあり、ヒヤヒヤし、また高齢から来る膝の痛みに耐え、針治療を受けるなど年齢を感じさせるものがありました。 著者と主人公がほぼ同年齢で進んできた本シリーズですから、そうした身体の衰えなどは自身が経験してきたことかも知れません。そうなんです、心身とも健康な若い人には、高齢になってやって来る様々な身体の衰えは実感がないからわからないし書けないものです。私自身、著者とほぼ同年齢なのでよくわかります。 ★★★ ◇著者別読書感想(マイクル・コナリー) ◇ハリー・ボッシュシリーズはまだ未完 浦島太郎の真相 恐ろしい八つの昔話(光文社文庫) 鯨統一郎 2007年に単行本、2010年に文庫化された、著者が得意とする昔話をテーマにした謎解きの短篇作品集で、9年前に読んだ桜川東子シリーズ「九つの殺人メルヘン」の続編です。 ◇2012年2月前半の読書(九つの殺人メルヘン) 著者の小説としては2021年に「邪馬台国殺人紀行 歴女学者探偵の事件簿」を読んで以来なので2年ぶりです。 今回の昔話は誰もがよく知っている日本の童話を元にして、探偵に依頼された事件の謎を解決していくというワンパターンの短篇集となっています。 バーに集まる還暦オヤジ3人衆が、昭和時代の話しをした流れで、不思議な事件について話しをすると、その謎解きをひとりで日本酒を飲んでいる美人大学院生の桜川東子が推理していきます。 その童話とは「浦島太郎の真相」「桃太郎の真相」「カチカチ山の真相」「さるかに合戦の真相」「一寸法師の真相」「舌切り雀の真相」「こぶとり爺さんの真相」「花咲爺の真相」の8篇です。 童話はいずれも子供の頃に絵本で読んだり、読み聞かせしてもらったりした懐かしい記憶が思い浮び、まだ純真な心だった時代に戻って気分がとても良くなってきます。それだけでもこの小説を読む意味があります。 ★★☆ ◇著者別読書感想(鯨統一郎) 飛族(文春文庫) 村田喜代子 2019年に単行本、2022年に文庫化された小説で、時代を代表とする作品に贈られる谷崎潤一郎賞を受賞しています。 著者の作品を読むのは今回が初めてですが、1987年に芥川賞を受賞した「鍋の中」は、黒澤明監督の映画「八月の狂詩曲」(1991年)の原作になった小説で、著者は作品がお気に召さなかったようですが、その原作も読んでみたくなりました。 タイトルしか見ずに買いましたが、「なにかファンタジーもの?」ぐらいに思っていましたが、全然違って日本の西の果て、国境に近い離島に住む老婆が二人と、高齢の親が心配になって里帰りしてきた娘、と言っても60歳を過ぎている女性の3人が繰り広げる過疎化が進むリアリティのある物語です。 島で生まれ、高校に通うため本土(九州)に出てから、滅多に島には帰らなくなった娘が、90歳を超えてなおひとりで暮らしている離島に帰ってきて、親を引き取ろうと説得しますが、頑として受け入れてくれません。 島では3人の老婆が残っていましたが、そのうちのひとりが亡くなり、92歳と88歳の二人だけになり、それでもほぼ自給自足の生活を淡々と過ごしています。島の住人は、男は漁師、女は海女というのが普通で、残った二人の老婆も元海女でした。 そういう離島の話しは都会で生活しているとまったく見聞きすることはありませんが、昔は唐に渡るために遣唐使の船が最後の補給に寄ったとか、最近は中国の不法漁船や、アジアの難民船などがやってきたりする話しや、キリシタンが隠れ住んでいた五島列島に近い離島と思えるので、昔から伝わる歌の中には「ゼウス(神)」や「サルース(救済)」があったりして知的好奇心が満たされます。 またタイトルにもなっていますが、島に寄る海鳥たちも、カツオドリ、ハチクマ、シギ、ミサゴ、アジサシなど様々な種類があって、山育ちのあと都会暮らしのため海鳥というとウミネコかカモメぐらいしか知らない身にとって勉強になります。 ★★☆ 【関連リンク】 8月後半の読書 妊娠カレンダー、告白、朝日新聞の黙示録、光と影 8月前半の読書 彼岸先生、劣化するオッサン社会の処方箋、老いた男、暗闇・キッス・それだけで 7月後半の読書 汚名(上)(下)、望み、ノヴァーリスの引用、遍路みち ---------------------------------------------------------- 信じる?信じない?大手マスコミ報道 2023/9/20(水) 1743 ジャニーズの性加害問題にしても、ビッグモーターの数々の不正に関しても、その噂は何年も前からありました。 ジャニーズの問題は今から24年前の1999年に週刊文春が大きく報じていましたし、ビッグモーターの異常な社内慣行を9年前の2016年に産経新聞が報じ、また取引先の損保会社も少なくとも昨年2022年には問題を把握していた様子がうかがえます。 しかし、大手のマスメディアは、人気タレントを番組に出演させたいし、巨額の広告マネーも失いたくはありません。また大手損保会社も多くの保険加入者を紹介してくれる大口の得意先を失いたくはありません。 しかしジャニーズ問題は英国のBBCが大きく報じたことで、日本のメディアも報じなければならない事態となり、最初は恐る恐る「BBCがこう言ってます」と報道し、各社が一斉に報じ始めると、今度は堰を切ったかのように、今頃になって「溺れる犬を棒で叩く」状態となっています。 恐らく、この問題はテレビ番組制作や興業関連業界関係者では知らぬ人はいなかったと思われますが、タブー化していたことは容易に想像できます。そうした知っていても触れられない業界タブーはまだまだいっぱいありそうです。 こうした「自由にものが言えない大手メディアがいかに信用できないか」は、戦前の大手マスコミ(新聞社とラジオ局)からなにも変わっていないと感じます。 「大本営発表」と言えば、今では「これから嘘を言います」と同じ意味とされていますが、戦前、戦中にはこれ以外国民が情報を得る手段がなかったわけで、国は新聞社や放送局を締め付け、例え新聞記者やNHKの特派員達が戦争の事実を知っていても、それを自由に書いたり放送したりできませんでした。 そして国家や大手マスコミは嘘はつかないと思い込んでいる国民が多いのもまた事実で、どれだけ過去に痛い目に遭っても、信じよう、信じたいという真面目で人を疑うことがない保守的で朴訥な人が多いのです。 ロシアとウクライナの戦争においても、それぞれの国の政府の影響力が強い報道機関が発表する内容は、相当に偏向があり、自国を正当化します。なので本来はロシア側のマスコミ報道はもとより、日本が支援しているウクライナ側の報道も話半分かそれ以下で理解する必要があります。 昔と違い、これだけ様々な手段で情報が飛び交う中でも、やはり自国にとって耳に心地よい情報だけ信じ、逆の情報はフェイクだと一蹴してしまうのが人間の性(さが)というものです。 また中国においても、日本の原発核燃料冷却水の海洋放出に関して、国家レベルで非難し、党に近いマスコミを動員して国民を「日本けしからん」とあおっています。 こうした中国や韓国が繰り返す対日カントリーリスクは、今に始まったわけではなく過去から学んでいなければなりません。それなのに、中国の水産物輸入がストップしたから税金を使って補償金や賠償金を支払うという安易な考え方はそろそろやめてもらいたいものです。 今回は不動産バブルの崩壊など経済の沈滞ムードで国民の不満が中国の政権の党本部へ向かうことを避けるために政治的に利用していると思わざるを得ません。過去に中国や韓国では何度もこうした国民の不満のガス抜き策として日本を利用してきた歴史があります。 なので、ただ「日本政府批判をする中国人はけしからん!」「中国に報復措置を!」というのではなく、「中国政府に踊らされている中国国民が気の毒だ」という寛大で冷静な大人のスタンスで語らないとダメかも知れません。 日本においても同様のことは国や政府を心から信じ込んでいる人にはわからないように、様々な方便が使われています。 それにもっとも近いのが戦前から続いている記者クラブという国が認めた忠犬報道機関にだけ美味しいネタを流す仕組みです。言いなりで記事を書いたり放送しなければ、次から美味しいネタを回してくれなくなるので、報道の中身が偏向していようとお構いなしです。 例えば1959年から始まった北朝鮮への帰国事業では、多くの在日朝鮮人とその日本人家族が「地上の楽園」というフレーズで国や国から指示されたマスコミの宣伝に踊らされて海を渡りました。 また戦後の同時期に国は人口が過剰と判断し、南米など海外移民を推し進め、その結果、多くの人が悲惨なことになったのは承知の事実です。これらは後になって国の「棄民政策」と言われていますが、マスコミも同罪です。 現在は、もう大手マスコミの時代ではなく、SNSや個人のネットニュースだろう?と思われがちですが、日本の5800万世帯で3100部、53%の世帯でまだ新聞が購読されているのです。 テレビのニュースも1回当たりの放送で10%を超える視聴率がありますから、国民の多くは確実に大手マスコミからの情報を一番目にしていています。中国や他国も似たようなものです。 現在はそれに加えて発信者の思惑通りに加工したフェイクの動画や写真が普通に流通するだけに始末に負えません。いったい何を信用していいのかわからないという「情報混迷の時代」です。 【関連リンク】 1161 偏向報道って何だ? 425 棄民政策は日本の伝統か 411 業界では常識でもマスメディアでは一切報道されないこと ---------------------------------------------------------- 大学進学コストと給与の長期推移 2023/9/23(土) 1744 定期的に大学進学費用について書いていますが、ここしばらくなかったので調べました。 大学の授業料や入学金は上がることはあっても下がることはなく、この40年間を見ても上がり続けてきました。 物価や給与は上がったり下がったりしますから、大学の学費もそれらに合わせて上下すればいいのですが、なぜかそうはなりません。 特に目立って上がったのは、私立大学ではバブル絶頂の1990年前後、その後は少し落ち着きましたが2017年頃からまた値上がり傾向にあります。 国立大学は1980年代から1990年半ばまでに大きく上昇し、2000年代に入ってからまた上がりましたがその後は落ち着いています。 1980年当時の国立大学の授業料は年間180,000、入学金は80,000円ですので、4年間にかかる費用は80万円です。私立大学(平均)だと、授業料が355,156円、入学金が190,113なので、4年間161万円です。 それが、2021年には国立大学で4年間にかかる費用が242万円、私立大学は397万円となり、1980年比で、国立+162万円(約3倍)、私立+235(約2.5倍)となっています。 しかし給与はと言うと失われた30年と言われているように、判明している1989年の452万円から2021年の443万円と下落しています。 平均給与は2014年を底にして、2020年はコロナの影響があったのか前年比が下回っていますが、ここ数年はわずかながら上昇傾向です。 そして原油高を引き金にした世界的なインフレ傾向で、ようやく日本でも給与の上昇が本格的になってきたので、現在の2023年にはようやくバブルの真っ只中の1989年の平均給与を超えそうです。 1980年から2021年までの大学(国立・公立・私立)授業料4年分と入学金の合計と、1989年から2018年までの平均給与の長期推移をわかりやすいようにひとつのグラフにしました。 (出典1)国公私立大学の授業料等の推移(文部科学省) (出典2)平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)(厚生労働省) 以前から、教育費の高騰が叫ばれていて、夫婦が子どもを作らない、作ってもひとりだけという少子化が進むひとつの要因となっています。 子どもが3人いる経験から言えば、なんとか二人まではなんとか、私立高校+私立大学(文系)まではなんとかできたものの貯金は使い果たし、3人目は私立高校さえ厳しい状況でした。 現在の少子化が進む理由はひとつではなくいくつかあるでしょうけど、「経済的な理由」は大きな割合を占めそうです。 私立高校までは親が負担しても、大学までは無理という家庭が多いので、大学へいくなら奨学金という名の学生ローンを自ら借りて、卒業後に自分で返済していくということになります。 日本学生支援機構「令和2年度 学生生活調査」によると、2020年時点で、学生ローンや奨学金を利用している学生は約50%、つまり半数の学生は借金して大学へ行っています(一部に返還不要の奨学金もあり)。 大学を卒業してすぐに高額な給与がもらえる一部の恵まれた人を除き、ほとんどの人は卒業から15〜20年間、ひたすらローンの返済をしなくてはなりません。 借金を抱えた状態では結婚や、まして子作りに踏み切ることも躊躇われますので、少子化に歯止めをかけるためには教育費は北欧の福祉先進国並に教育費の無償化や、親の所得税の大幅な減免など極端なことでもしなければならないでしょう。 財源は?ってことになりますが、少子化対策で、児童手当などという名目で、親の飲酒やパチンコ代をばらまくのではなく、国全体の教育レベルを上げるために意味のある支援で使ってもらいたいものです。 【関連リンク】 1083 大卒初任給の推移 977 奨学金という名の学生ローン 727 大学生の就職率推移と卒業後の進路 ---------------------------------------------------------- 厳しさ増す個人ラーメン店 2023/9/30(土) 1745 総務省統計局「産業(細分類)別民営事業所数及び従業者数(2016年調査)」によると、全国のラーメン店は18,135店で、その従業員は124,979人となっていますが、それラーメン専門店以外の中華料理店を含むと全国には52,672店、従業員が375,791人と一気に多くなります。 最近でこそ、ラーメン専門店も増えていますが、ラーメンを含む中華料理全般を提供している店が多いということです。 私は社会人になってからですが、ラーメンが好きで、少なくとも週に2〜3回は食べてきました。独身時代の新宿勤務の時には、朝ラーメンという時も多く、朝食に、カレーとラーメンとハンバーガーを日替わりで食べていました。 ラーメンが好きな県民性がわかるのは、人口と店舗数の関係ですが、2021年のデータではちょっと意外な感じがしますが山形県が首位に立っています。 ラーメン店が多い都道府県ランキング!ラーメン王国「山形県」「新潟県」に続く都道府県わかる?(ねとらぼ)
南関東に住む私も二度ほどトップの山形県のお隣にあるランキング7位の福島県喜多方へラーメンを食べに行ったことがありますが、混雑しないようにと二度とも平日の午前中で割と早い時間帯に行ったに関わらず、朝から地元の人でいっぱいでした。 ラーメンの魅力はそれぞれの土地や環境に根ざした庶民食として広く根ざしています。 休日などは観光客で混むでしょうから、地元の人はあまり行かないのかも知れません。 そのラーメン屋さんですが、自宅の周辺の店を見ていても大資本のチェーン店以外は開店・閉店をよく目にします。 閉店したラーメン店、4割がオープンから1年以内に営業終了(飲食店ドットコム)
1年以内に4割、3年で7割が閉店とはちょっと意外な感じがしますが、ラーメン専門店は比較的初期投資が少なくて済むので、小資本の個人営業店が多く、口コミなどで評判になれば良いですが、そうでなければ赤字が続き撤退する店が多いのでしょう。競争が激しく厳しい世界です。 さらに、2020年から約2年間はコロナ禍で開店休業状態の店や、規制や休業要請で長く閉店していたために、外食全般ですが規制がなくなったあとも客離れが進んでしまったこともあるでしょう。 そして最新の情報では、ラーメン店の倒産が前年比で3.5倍に増加しているとのことです。 「ラーメン屋さん」の倒産が前年同期比3.5倍に急増(東京商工リサーチ 2023年9月12日)
苦境に立った理由としては、原材料費や人件費の高騰など様々な理由がありますが、そのひとつにはコロナ禍の時にあった助成金がなくなり、緊急融資を受けた事業資金の返済期限が迫ってきたというようなこともあるのでしょう。 元ネタは上記の東京商工リサーチのものですが、それに取材などをしてラーメン店の危機を伝えています。 ラーメン店の倒産相次ぐ 常連客は「超大ショック」…過去最多の可能性も “日本人の国民食”に何が(FNNプライムオンライン 2023年9月14日)
ラーメン店が閉店した場合、次も別のラーメン店が居抜きで新規開店するというパターンが多くあり、特定の店にこだわりがなければユーザーとしてはさほど困りませんが、老舗店がご主人の病気や高齢化で閉店というパターンは残念に思います。 それに代わって勢いを増しているのが、チェーン店のラーメン店です。 餃子の王将や日高屋、リンガーハットなどラーメン以外の中華料理メインの店を除き、ラーメンがメインのチェーン店トップ20を抜粋しました。元データは、日本ソフト販売株式会社「ラーメンチェーンの店舗数ランキング」です。
上位の3つ、幸楽苑(385)、来来亭(249)、天下一品(220))はコロナ禍の影響もあってか前年から店舗数を減らしています。4位の丸源ラーメン(196)、6位の山岡家(174)、7位の田所商店(162)は店舗を増やしています。そうしたことからみると全国で200店舗が飽和点で店舗展開の限界ラインなのかも知れません。 このトップ20の中には近くに店がなく、まだ訪問したことがない店がありますが、およそ7割方の店には行ったことがあります。 チェーン店のラーメンを馬鹿にする人もいますが、チェーン展開ができるほど多くの人に好かれ評価されているということは食としては優秀だということです。コスパが悪かったり美味しくなければいくら多くの店を出しても閑古鳥が鳴いてすぐにつぶれてしまいます。 またラーメンはその地域によってスープや麺に特徴があり、好みも分かれますので、同じ味で提供できる牛丼やカレーライスと違い全国展開というのは結構難易度が高そうです。 個人的には、舌が馴染んでいる関西の味が関東でも味わえるので、関西系のラーメンチェーン店にはよく行きます。 いずれはラーメン店も独創的でユニークなところを除き、大手チェーン店の独壇場になってしまうのでしょうか。 それも少し寂しい気もしますが、街の個人営業の喫茶店や食堂が廃れ、大手チェーンのファミリーレストランやファストフード店ばかりになってしまったことからラーメン店もやがてはそうなっていくのでしょう。 【関連リンク】 1607 代表的なB級ファストフードの価格推移 1544 コロナ禍で零細企業は生き残れるか 1165 ラーメンと私 |
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