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小川洋子 OGAWA YOKO 既読書籍

004 妊娠カレンダー  003 ブラフマンの埋葬
002 ミーナの行進 001 博士の愛した数式 


岡山県岡山市中区森下町出。1980年4月、早稲田大学第一文学部文芸専修に入学。1984年3月、早稲田大学を卒業。倉敷市の川崎医科大学中央教員秘書室に就職。1986年9月21日結婚を機に退職し、小説の執筆に取り組む。1988年、再度、海燕新人文学賞に応募する。大学の卒業論文として提出した「情けない週末」を書き直して『揚羽蝶が壊れる時』というタイトルで投稿。同年9月8日、海燕新人文学賞を受賞。1991年1月16日、妊娠した姉に対する妹の静かな悪意を描いた『妊娠カレンダー』が第104回(1990年下半期)芥川賞を受賞する。(Wikipediaより引用 2022年)


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004 妊娠カレンダー(文春文庫)

1991年に出版された芥川賞を受賞した作品「妊娠カレンダー」を含み、「ドミトリイ」「夕暮れの給食室と雨のプール」の2編も合わせて収録された短中編の作品集です。

著者の作品は、「博士の愛した数式」(2003年)など3作品を過去に読んでいますが、外れがない作家と言えるでしょう。今回の作品も過去同様に面白く読めました。

女性作家が書く「妊娠カレンダー」ならば、読むまではきっと自分の体験談を小説にしたんだろうなぁと思って、文庫の裏表紙に書かれているあらすじも読まずにとりかかったところ、そうではなくて同居する実姉が妊娠したことで変わっていく感情と生活が刻々と書かれています。

結婚した姉夫婦と同居している妹というのも珍しいパターンですが、妊娠した姉はますますわがままになっていき、妹は相手にすることなく淡々と自分の生活をしていきます。この辺りの感覚が男にはなかなかわからないところで、そういうものなの?と興味が湧きました。

著者の作品に出てくる男性は、おしなべて頼りなかった病気だったりして目立った活躍はしません。今回出てくる姉の夫も小心者で、妻の妊娠でオロオロするばかりで、この気持ちはなんとなく男性でもわかったりします。

他の二編の小編も女性が主人公で、昭和時代のボロい学生寮や小学校の給食室など、懐かしい記憶が呼び起こされるような物語でした。

★★☆

8月後半の読書と感想、書評 2023/9/2(土)

003 ブラフマンの埋葬(講談社文庫)
少し前に読んだ「ミーナの行進」(2006年)の2年前に発刊された作品で2004年に単行本、2007年に文庫化されています。

「ミーナの行進」が自分の子供時代を彷彿させるというかヒントにしたような内容だったのに対し、この著作は見事なまでの想像だけで創作したような作品感があります。

しかも女性作家の小説に多い(というかほとんどがそう)自分を投影した女性を主人公にするのではなく、若い男性が主人公の話で、男性独特の感情の機微がうまく表現されています。

国内の辺鄙な場所にある資産家の大きな別荘を改築して、芸術家達が自由に使える「芸術家の家」の管理人の青年と、あるとき青年の元に怪我をして助けを求めてきた子犬のような謎の生物「ブラフマン」との出会いと別れまでの短い物語です。

その生き物は全身毛に覆われていて肉球もあり子犬のようですが、手足の爪のあいだに水かきがあり、池に連れて行くと喜々として飛び込んで泳ぐという、河童の子供か?と思ってしまいました。河童は全身が毛に覆われているとは思えませんが、私は見たことがないので。

青年のひとり語りで、町にある雑貨屋の娘への淡い想いや、古くから芸術家の家を作業場としている墓碑銘を専門的に彫る石工師との友情、生きた動物の毛アレルギーの手編み作家の高齢女性との諍いなどとともに、その町ができた経緯などがうまく物語に散りばめられてとても面白かったです。

この著作を入れてまだ3作目ですので、これからもっと読んでみたいと思ってます。

★★★

11月後半の読書と感想、書評 2022/12/3(土)

002 ミーナの行進(中公文庫)
2006年に単行本、2009年に文庫化された長編小説で、2006年に谷崎潤一郎賞を受賞しています。

著者の作品では「博士の愛した数式」だけを読んでいます。その小説を読んだ後、寺尾聰や深津絵里らの出演する同名の映画も見ましたが、とても良い心が穏やかな気分になる作品でした。

この作品は最初は母子家庭の主人公の女子中学生が、母親の仕事の関係で、2年間芦屋住まいでお金持ちの叔母夫婦の元に預けられるという設定で、なにか陰湿なイジメにでも遭うような話しなのかな?と身構えましたが、まったく見当外れで、心が洗われるような話しで良かったです。

その主人公が居候させてもらう芦屋の豪邸には、叔母夫婦と、その娘、叔父の母親でドイツ人の老婆の4人の他、住み込み家政婦で実質的に家事全般を仕切っている老婆、通いの庭師でもあり飼育しているコビトカバの世話係の男性が主要な登場人物です。

時代は、著者の年齢にほぼ合わせている感じで、1972年〜1973年頃に中学生時代を送っているその時代の頃の話です。

タイトルのミーナとは、主人公の叔母夫婦の娘で小学生の美奈子のことで、喘息もちで身体が弱く、学校以外は滅多に外出しない少女。

そして通学など外出するときには、クルマの排気ガスが苦手なので、コビトカバの背中に乗って移動することが多いという変わった子供です。

どちらかと言えば貧しい家庭の子だった主人公が、いきなり上流社会、しかも家族に外国人がいる家庭で暮らす毎日は刺激的で、しかもその家族の中で大事にされ育てられます。

淡い恋や、ミュンヘンオリンピック(1972年9月)での男子バレーボール日本代表チームの活躍など、様々な出来事が散りばめられていて、退屈しない面白い作品でした。

★★☆

4月後半の読書と感想、書評 2022/4/30(土)

001 博士の愛した数式 (新潮文庫)
この小説は2003年に発刊され、翌2004年には本屋大賞を受賞するなどして一躍有名になりました。そして2006年には寺尾聰主演で映画化され、私もこの映画をテレビで見て、原作を読みたくなって買ってきました。

小説の主人公というか語り手は、事故で記憶喪失になった初老の男性の世話をするため家政婦紹介所から派遣されてきた女性ですが、映画では十数年後に教師になった家政婦の息子が昔のことを思い出して生徒達に語るという設定に変わっていました。

その記憶喪失の初老男性は、記憶喪失といっても、交通事故に遭った20年ぐらい前までの記憶はちゃんと残っているものの、それ以降の記憶はきっかり80分間しか持たないという特殊な記憶喪失です。つまり1時間前の記憶はあるけれど、2時間前の記憶はまったくありません。

事故に遭うまでは大学で数理、数式、数論を教えていたいわゆる数字オタクで、数字や数列の記憶力は天才的で、あらゆる数字に意味を持たせてしまう特殊な才能を持っています。

映画「レインマン」(1988年)に出てきた自閉症でダメ人間とされていたダスティン・ホフマンが、数字だけは抜群の記憶力を持っていて、その記憶力を使って弟役のトム・クルーズがカジノで大儲けするシーンなどをふと思い出しました。

また若年性アルツハイマー病患者を描いた萩原浩著「明日の記憶」(映画は渡辺謙主演で2006年公開)と同様、患者と介護する人との感動話しということが共通していて、なかなかいいものでした。

7月後半の読書と感想、書評 2014/7/30(水)



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