031 | 潔白の法則 リンカーン弁護士(上)(下) | ||
030 | 素晴らしき世界(上)(下) | 029 | 汚名(上)(下) |
028 | 訣別(上)(下) | 027 | 贖罪の街(上)(下) |
026 | 燃える部屋(上)(下) | 025 | 証言拒否 リンカーン弁護士(上)(下) |
024 | スケアクロウ(上)(下) | 023 | 真鍮の評決 リンカーン弁護士(上)(下) |
022 | レイトショー(上)(下) | 021 | ブラックボックス(上)(下) |
020 | 転落の街(上)(下) | 019 | 判決破棄 リンカーン弁護士(上)(下) |
018 | ナイン・ドラゴンズ(上)(下) | 017 | シティ・オブ・ボーンズ |
016 | 暗く聖なる夜(上)(下) | 015 | 死角 オーバールック |
014 | エコー・パーク (上)(下) | 013 | リンカーン弁護士 上・下 |
012 | 終結者たち 上・下 | 011 | チェイシングリリー |
010 | 天使と罪の街 上・下 | 009 | エンジェルズ・フライト 上・下 |
008 | 夜より暗き闇 上・下 | 007 | わが心臓の痛み 上・下 |
006 | バッドラック・ムーン 上・下 | 005 | ブラック・ハート 上・下 |
004 | ブラック・アイス | 003 | トランクミュージック 上・下 |
002 | ラスト・コヨーテ 上・下 | 001 | ナイトホークス 上・下 |
マイクル・コナリー(Michael Connelly、1956年7月21日-)は、フィラデルフィア出身のアメリカの探偵・犯罪小説家・テレビ脚本家である。日本ではハードボイルド派小説家に分類されることが多い。クリントン元米大統領などの支持もあり、米国以外の国でも人気を得ているが、人気によって版権料も高くなり、日本では彼の作品の翻訳権を巡っていくつかの出版社からの発刊にまたがる結果となっている。(Wikipediaより引用 2022年2月) |
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031 | 潔白の法則 リンカーン弁護士(上)(下)(講談社文庫) The Law Of Innocence(2020年) |
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裁判の弁護が成功し、そのお祝いのパーティをおこなったあと、事務所兼移動用として使っている愛車のリンカーンに乗って帰宅していた時、パトカーに停められトランクを開けると中から射殺された死体が見つかり逮捕されるところから始まります。 殺されたのは過去に弁護を担当したことがある詐欺師の男で、主人公ハラーの自宅駐車場で犯行がおこなわれたものとわかります。そしてその殺された男から弁護士費用が支払われず、強い督促をしていたことも犯行の動機だとみなされます。 そして刑務所に収監されますが、裁判では自分の弁護をするために、様々な対策を練ることになります。 面白いのは、単に無罪判決を受けても、それが有罪の疑いが残るような判決ではその後の仕事が成り立たなくなります。 そこで、誰が自分を陥れようとしているのか?実際に殺人の実行犯や指示したのは誰か?など事件の背景を調べ、さらに機密であるはずの弁護方針が漏洩するのはなぜか?など、数々の障害を乗り越えていくことになります。 レギュラー陣の調査員シスコとともに、すでに警察を引退した腹違いの兄弟ハリー・ボッシュも脇役ですが登場し、お得意の推理と行動力で無罪の証明を手助けしていきます。 そして物語の時代設定が、執筆された時と同じ2019年から2020年頃とされ、当時まだ対策がよくわからない新型コロナが徐々に拡がっていく背景が描かれていて、それも敵の正体がわからない不気味さを増大させています。 こうしたリーガル・サスペンスは、日本の司法制度とも違っていて複雑で退屈になりがちですが、展開が早く、細かなところはうまく端折ってテンポ良く読めるのが著者の優れたところです。とても面白く読めました。 ★★★ 5月前半の読書と感想、書評 2025/5/17(土) |
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030 | 素晴らしき世界(上)(下)(講談社文庫) Dark Sacred Night(2018年) |
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ハリー・ボッシュシリーズの21作目で、原題は「Dark Sacred Night」で、2018年にアメリカで出版され、日本語翻訳版は2020年に出版されています。 原題を直訳すると同じハリー・ボッシュシリーズの9作目のタイトルにつけられた「暗く聖なる夜」になるとのでそれは使えず、この原題タイトルはルイ・アームストロングの「What a A Wonderful World」の歌詞の中からとられていることから、曲のタイトルの直訳を日本語翻訳版のタイトルに使ったと訳者あとがきにありました。 また本文中でも、捨てられた殺人事件の遺体捜索のために、汚臭おびただしいゴミの集積場で数日前のゴミを調べていた捜査員が皮肉を込めて「なんて素敵な世界だ」と会話しています。 今回の特徴は、以前読んだ同じ著者の作品「レイトショー」で主人公だったハワイ生まれの女性刑事とボッシュの二人が勤務先の違いを超えてペアとなり古い未解決事件を解決していくという流れになっています。 前作「汚名」でボッシュが麻薬組織に潜入捜査をした時に助けられた薬物中毒の女性から、その娘の未解決殺害事件について聞かされ、その女性を救うとともに、娘の未解決事件について調べると約束をしていました。 その事件はロサンゼルスで起こり、ボッシュはロス市警に寄ったときに部外者であるに関わらず無断でキャビネットの中の古い資料を探しているときに、もう一人の主人公である女性刑事に見つかってしまい、女性刑事から理由を求められ、それに興味を持ち協力することを伝えられます。 それぞれに事件を抱える忙しい身でありながらも、9年前の未解決事件を探っていくという気の遠くなる調査です。 今回は、ボッシュ自身が勤務する地元の犯罪組織に拉致され閉じ込められるという危機一髪のシーンなどもあり、ヒヤヒヤし、また高齢から来る膝の痛みに耐え、針治療を受けるなど年齢を感じさせるものがありました。 著者と主人公がほぼ同年齢で進んできた本シリーズですから、そうした身体の衰えなどは自身が経験してきたことかも知れません。そうなんです、心身とも健康な若い人には、高齢になってやって来る様々な身体の衰えは実感がないからわからないし書けないものです。私自身、著者とほぼ同年齢なのでよくわかります。 ★★★ 9月前半の読書と感想、書評 2023/9/16(土) |
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029 | 汚名(上)(下)(講談社文庫) Two Kinds of Truth(2017年) |
ハリー・ボッシュシリーズの20作目で、2017年に英語版、2020年には日本語版が発刊されました。原題は「Two Kinds of Truth」で、直訳すれば「二通りの真実」ということになります。 前作「訣別」では、パートタイムのボランティアで所属していたサンフェルナンド市警で未解決事件の捜査をおこなっていましたが、その時の活躍で、今回からはフルタイムの勤務をすることになっています。 最近はほとんどそうですが、事件はひとつだけでなく、並行して二つ以上の事件やトラブルを抱えての活躍となります。 ロス市警刑事だった30年前にボッシュ刑事が強姦殺人で逮捕し、死刑囚として収監されている男と弁護士から、その事件は無実だという新たな証拠が出され、さらに当時のボッシュ刑事が証拠品を不正に扱ったため有罪となったと告発がなされます。 同時に、本業のサンフェルナンド市警では、ドラックストアで、経営者親子が何者かに銃殺されるという事件が起き、その事件に関わっていると思われる犯罪組織にボッシュが高齢の薬中毒者として潜入捜査をすることになります。はたまた忙しいことです。 そして最後は例によって異母兄弟のリンカーン弁護士ミッキー・ハラーが、法廷で悪徳弁護士とボッシュを良く思っていない検察官相手に大立ち回りして、めでたしめでたしという感じ。ちょっと最近マンネリ気味かも。 最近は、ボッシュを悩ます悪役も小粒になってしまい、安心して読めるメリットはあるものの、ハードボイルドや、ミステリー、サスペンスの要素もなく、ストーリーにもやや無理が生じてきている感じです。 ★★☆ 7月後半の読書と感想、書評 2023/8/2(水) |
028 | 訣別(上)(下)(講談社文庫) The Wrong Side of Goodbye(2016年) |
ハリー・ボッシュシリーズ第19作品目で、2016年にアメリカで刊行、2019年に日本語翻訳版が出ています。原題は「The Wrong Side of Goodbye」で、その意味は訳者も「ひどい別れ」「悪い別れ」など、あとがきに書かれていますがやや迷っている感じを受けました。チャンドラーの「The Long Goodbye」をもじっているという案に賛成です。 前作「贖罪の街」では、ロス市警の定年雇用延長が不祥事で終了してしまい、フリーの立場で腹違いの弟のリンカーン弁護士ミッキー・ハラーに雇われ調査官として事件に関わっていきましたが、今回は、第10作の「天使と罪の街」以来の私立探偵免許を再取得し、さらにカリフォルニア州にある小都市サンフェルナンド市の無給の補助刑事として2足のわらじを履いてそれぞれで活躍します。 今回ボッシュが取り組むのは、ひとつは私立探偵として高齢で余命幾ばくもない大富豪に頼まれた直系の遺産相続人捜しと、もうひとつがサンフェルナンド市で連続して起きていたサイコパスな婦女暴行事件の捜査です。 大富豪の遺産相続問題に関しては、ミッキー・ハラーと協力して難題を解決していき、もうひとつの連続暴行魔については、長年の刑事としての勘を働かせ、追いつめていきます。 今回はボッシュ本人や無防備な娘のマディに直接危険は及びませんでしたが、ボッシュとともに事件を追っていた女性刑事が行方不明となり命の危険が迫ります。 せっかく取得した私立探偵の免許ですが、サンフェルナンド市警でフルタイム勤務を求められ、次回作ではまた本職の刑事として活躍しそうです。 ★★☆ 6月後半の読書と感想、書評 2023/7/1(土) |
027 | 贖罪の街(上)(下)(講談社文庫) The Crossing(2015年) |
前作「燃える部屋(The Burning Room)と同じ2018年に日本語版が出版されたハリーボッシュシリーズの第18作目となります。 前作では定年後の延長契約で未解決事件の捜査をする刑事でしたが、その時に起こした上司の個室へ無断で忍び込み捜査資料を閲覧するという暴走をしたためにロス市警を任期途中で退職することになり、異母兄弟の刑事弁護士ミッッキー・ハラーに代理人として異議申し立てをしています。 そんななか、ミッキーの専属調査員が交通事故に遭い、代わりに殺人事件の容疑者の無実を証明する調査をして欲しいと頼まれ、それが今まで仲間だった刑事達を裏切る行為になることで悩みますが、結果的に本当の犯人を捜すことは今までやってきた正義でもあるので事件に関わっていくというストーリーです。 原題は「The Crossing」で、作者の意味としては、主人公ハリー・ボッシュが今まで原告側の立場だったのが、今回は弁護側の立場に立つということでそれを横断という表現にしているそうです(訳者あとがきより)。 ただそれではわかりにくいと言うことと、ボッシュ自身が警察に対する裏切り行為とも言える警察が挙げた容疑者の弁護側調査員になることで、「贖罪」というタイトルに変えたと言うことです。 主人公のボッシュが刑事ではないのは、過去にもあり、それは9作目「暗く聖なる夜」と10作目「天使と罪の街」で、私立探偵の許可をとっての事件捜査でした。その後11作目の「終決者たち」でロス市警に復職しています。 刑事だったら軽々と調べられたり、協力を得られるところ、単に弁護士の調査員という立場なので殺人事件の調査は困難を極めます。 そして従来にはほとんどなかったスマホを駆使してウーバーでクルマを呼んだり、スマホで録音した事件の真相を話す関係者の音声をすぐに弁護士宛にメールに添付して送ったり、なかなか定年後のオヤジにしてはやってくれます。 おぞましい殺人事件調査だけではなく、前回ぐらいから続いていた恋人とは別れ、その代わりに新たな恋人(候補)ができそうだったりと、エンタメを意識した人間臭さもちゃんと入っています。 ★★☆ 5月後半の読書と感想、書評 2023/6/3(土) |
026 | 燃える部屋(上)(下)(講談社文庫) The Burning Room(2014年) |
「刑事 "ハリー・ボッシュ" シリーズ」の17作目となる作品で、前回に続き、定年延長で未解決事件を再調査する部門で刑事を続けています。 このハリー・ボッシュを主人公とするシリーズは、今から30年前の1992年のデビュー作「ナイトホークス」から2017年の「汚名」まで20作品が出版(翻訳)されています。 ベトナム帰りで若々しかった主人公ハリー・ボッシュも老練の域に達していて、相棒には刑事になって間もない女性新人刑事がつけられます。 日本でも20年前に起きて迷宮入りしていた殺人事件を、別の犯罪でDNA検査をした結果、その殺人事件の加害者だと判明して逮捕したということが昨年ありました。 20年前はまだ科学捜査が十分できなかったことでも、最新の技術で犯人を割り出すことが可能になってきました。 今回は10年前に銃撃され命は助かったものの体内に銃弾が残ったままで取り出せず、その銃弾がどの銃から発射されたものか調べられなかったのが、被害者が死亡したことで、その銃弾を初めて分析にかけることができ、未解決事件担当へ回ってきます。 また新たに相棒となった女性新人刑事が、子供の頃に預けられていた未認可保育所での放火事故で、多くの仲間を亡くしています。その女性が刑事になったのも、その事件を密かに調べて犯人を突き止めたいと思っていることが判明します。 やっかいな過去の事件を二つを抱えて、ボッシュ刑事は定年前とは思えない活発な行動力で、活躍するという出来過ぎストーリーです。 読む方も、二つの事件(実は3つの事件)の関係者が次々と出てきますので、なにがなにやら、誰が誰だか、複雑な関係で混乱してきますが、巻頭の登場人物一覧を首っ引きでなんとか理解ができました。 日本の小説では、こうした登場人物一覧がないのが多いので苦労するときもありますが、外国人の名前は日本人にはとっつきにくいのと、同一人物でも本名とニックネーム、呼称(少佐とか)が混り、よりわかりにくいから一覧が必要なのでしょう。 ★★☆ 9月後半の読書と感想、書評 2022/10/1(土) |
025 | 証言拒否 リンカーン弁護士(上)(下)(講談社文庫) The Fifth Witness (2011) |
刑事弁護士 "ミッキー・ハラー" シリーズ」の第四作目です。コナリーと言えば「ハリー・ボッシュシリーズ」ですが、精力的な作家さんで、このハラーシリーズの他、新聞記者ジャック・マカヴォイや、刑事レネイ・バラードなどを主役とした作品もあり、多岐にわたっています。 またそれぞれのシリーズの中に、別のシリーズの主役や脇役までがチラッと登場したりしますので、なかなか油断できません。 このミッキー・ハラーシリーズにもハリー・ボッシュが出てきますが、実は二人は異母兄弟だったというのが途中の作品で明らかになります。 それはともかく、このシリーズも4作目となり、当然ながら裁判シーンが多く、ちょっと飽きてきたかなと思います。 刑事だと、犯罪者との派手な対決シーンなど要素がいくらでも作れますが、その点、弁護士や検事が主役となると場外乱闘は添え物で、メインディッシュは法廷と言うことになってしまいます。 今回は、住宅ローン返済が滞り、自宅を差し押さえされそうになった女性が銀行相手に抗議活動を展開しますが、その銀行の融資担当者が何者かに殺されてしまい、その女性が容疑者として逮捕され、その女性の弁護士としてハラーが活躍奮闘するというもの。 何度も危機に陥りますが、最後は予定調和で裁判に勝利しますが、それだけでは終わらず、、、ミステリー要素が含まれているので、明かすわけには行きません。 ボッシュシリーズは、続く限り読みたいと思いますが、こちらのシリーズはもういいかなと思った第4作目でした。 ★★☆ 3月後半の読書と感想、書評 2021/3/31(水) |
024 | スケアクロウ(上)(下) (講談社文庫) Scarecrow (2009) |
この著者の作品では刑事 「ハリー・ボッシュシリーズ」や、刑事弁護士「ミッキー・ハラーシリーズ」が有名ですが、この作品の主人公は過去に「ザ・ポエット」(1996年)で主人公だった新聞記者ジャック・マカヴォイが主人公の犯罪ミステリー小説です。 また他のシリーズでも時々登場するFBI捜査官レイチェル・ウォリングが準主役として登場します。 原題は「The Scarecrow」で、初出は2009年、翻訳版文庫は2013年に発刊されています。 ストーリーは、ひとことで言うと最新のデータセンターを運営する会社の管理者と、殺人事件でえん罪事件を調べる新聞記者の対決という構図です。 コナリーの犯罪小説は、悪役がいつも徹底していて、頭が良く、過去の犯罪歴はなく、しかし極めて凶悪という印象です。 この小説でも、MIT出身の天才的な頭脳を持ち、伸び盛りの企業で役員を務めながら、子供の頃のトラウマを抑えきれずに、完全犯罪に近い凶悪犯罪を繰り返すというパターンです。 上記のハリー・ボッシュ自身も子供の頃のトラウマをずっと抱えてきましたし、アメリカの闇というか、そういうパターンが多くちょっとワンパターン化しているかなという印象です。 タイトルは、企業の重要データを保管するデータセンターを農場と例え、果実=データを荒らしにやってくる害鳥≒ハッカーから守るスケアクロウ(かかし)が、データセンターの最高技術責任者の役目という意味です。 実はそのスケアクロウ、もうひとつの意味が隠されているのですけど、それは読んでからのお楽しみということで。 ★★☆ 8月後半の読書と感想、書評 2020/9/2(水) |
023 | 真鍮の評決 リンカーン弁護士(上)(下) (講談社文庫) The Brass Verdict (2008) |
原題は「The Brass Verdict」で2008年発刊され、日本では翻訳版が2012年に刊行されています。サブタイトルにあるとおり、「リンカーン弁護士」シリーズの第二作目で、著者が28年前から書いてきた「ハリーボッシュ」シリーズの主人公、ボッシュ刑事がこの作品に登場してきます。 お約束通りの法廷ドラマですが、第1作目の事件で主人公の弁護士は拳銃で撃たれ、その治療のために投与された薬物で中毒になり、この作品でようやく復帰を果たす設定となっています。 弁護士が主人公というと、対する検事が悪役と相場が決まっていますが、昔の裁判で相対した検事が、今は同じ弁護士仲間としてやっていたところ、その弁護士が銃撃を受けて亡くなり、その仕事を引き継ぐことになります。 その亡くなった弁護士の捜査をしているのが著者のライフワークとなっているボッシュ刑事で、主人公の弁護士とは仕事柄、水と油の関係ながら、なにかお互いに引きつけるところがあります。そのなぜかは、最後に判明することになり、事件の解決とは直接関係はないもののここでは秘密です。 私がボッシュ刑事と出会ったのは、今から28年前の1992年のことで、書店でフラッと買った「ナイトホークス」からです。 その時は、ベトナム戦争で方々に掘られた地下道の穴に潜り込んでベトコンゲリラを抹殺する仕事をやっていて、帰国後に警察官になってもそのトラウマが抜けず、また生きるために風俗で働いていた母親が何者かに殺されるという過去を持った影のある刑事でした。 それが、今や、定年後も引き続きロス市警に残って殺人課の刑事を務めている老練の静かな刑事です。 ということで、コナリーファンにとっては、著者が創りだした二人の登場人物の魅力をたっぷり味わえる一粒で二度美味しい小説です。 ★★★ 6月前半の読書と感想、書評 2020/6/17(水) |
022 | レイトショー(上)(下) (講談社文庫) The Late Show (2017) |
原題は「The Late Show」のこの作品は、アメリカで2017年に刊行され、翻訳版は今年2020年に文庫として発刊されました。 その「The Late Show」」は通常テレビの深夜番組を指すことが多いのですが、ここでは、夜の11時から勤務が始まる深夜専門の刑事のことを指しています。 コナリーの作品は1992年の「ナイトホークス」から始まる有名な「ハリー・ボッシュシリーズ」や、「リンカーン弁護士」の「ミッキー・ハラーシリーズ」など複数の主人公がいますが、今回の「レイトショー」では新たにレネイ・バラードという女性刑事が主人公となっています。 著者は、私と1歳違いの64歳になってからも、新たなシリーズをスタートさせるというモチベーションの高さで尊敬します。私なんか、別に財産はないけれど、もう完全リタイアを画策しているというのに、、、 さて、ストーリーは、元のセクハラ上司とぶつかったことで、誰もがやりたがらない深夜番専門の勤務へ飛ばされて、クレジットカード詐欺やら、暴行事件など細々した仕事を淡々とこなしています。 偶然、暴行被害者の聴取で病院を訪れていたとき、ナイトクラブで発砲事件が起きて、その被害者のひとりがその病院へ運ばれてきたことから、その事件に関わっていくことになります。 というのは、通常深夜勤務の刑事は、夜に起きた重大事件でも、刑事として立ち会いますが、そこで調べたことは、朝になれば通常の昼間勤務の刑事にすべて渡し、それ以降は関わらないのが普通となっています。 それゆえに、自分が最初に関わった事件がその後どうなったかもわからず、ひとつの事件を解決していくという仕事の醍醐味がありません。 そうした慣習をうまくくぐり抜け、夜の勤務をしながらも昼間の間に寝ないでナイトクラブで起きた事件について調べて行き、真相に近づいていくことに。 ま、著者が同じというバイアスがかかっていることもあり、ボッシュ刑事の女性版という感じです。ボッシュと同様に若い頃に両親についてのトラウマなどを抱えていることも似ています。 舞台がロサンジェルスということもあり、今回の主人公は白人ではなくハワイ出身で、ダイバシティに配慮しているのか、マイノリティを主人公に持ってきています。 また独身ということで、保護観察官、海のライフガードと浮名を流し、最後の方では助けてもらった刑事弁護士に迫られたりと、あまり著者が得意ではないお色気?なシーンもあったりします。 まだ翻訳版は未刊ですが、ボッシュとこのバラードが絡む「Dark Sacred Night」(2018年)がアメリカでは発刊されているので、今後が楽しみです。 ★★★ 5月前半の読書と感想、書評 2020/5/16(土) |
021 | ブラックボックス(上)(下) (講談社文庫) The Black Box (2012) |
2012年に米国で発刊され、翻訳版文庫は2017年に出た、翻訳版としてはハリー・ボッシュシリーズの第16作目の邦訳最新刊です。ちなみに米国では現在シリーズ20作目までが刊行済みです。 タイトルのブラックボックスとは、航空機に搭載されていて事故が起きた場合にその原因となる情報が詰まっているブラックボックに例え、事件の捜査で不明なことが一気に解明できるブラックボックスのような存在がどこかにあるということを示唆しています。 すでに定年延長契約期間に入っているハリー・ボッシュは未解決事件捜査担当のままで、今回は1992年に起きたロサンゼルス暴動の際、デンマークから取材に来ていた女性記者がLA管内で何者かに射殺されていた事件についてスポットをあてます。 1992年は「ナイトホークス」で、ハリー・ボッシュシリーズが始まった年でもあり、当時ボッシュはLA警察の殺人課刑事で、まだ暴動が冷めない中、治安維持のため派遣されていた州兵に守られて、女性記者が殺害された現場へ行き、最初に現場検証をおこなっていましたが、その後の捜査は別の刑事に移っていました。 1992年のロサンゼルス暴動は、黒人のロドニー・キングがスピード違反で捕まった際、白人警官に度を超す暴行がなされ、その行為がビデオに撮られ、何度も繰り返して放映されました。ところが法廷では暴行を加えた警官が無罪となり、黒人達が怒りの声を上げ、やがて焼き討ちや強盗、殺人などへと発展していきます。 数少ない20年前の事件の証拠や関係者をたどり、何十年かぶりに表に現れた拳銃から、やがては1990年の湾岸戦争にまでたどり着きます。そして殺されたデンマークの女性記者もその湾岸戦争を取材しています。 しかし警察署の中では、白人女性の未解決事件だけが重点的に捜査されているという噂が出ては困ると配慮があり、それを捜査するボッシュに圧力がかかります。 その他、多感な年頃の娘や、恋人と強姦罪で刑務所にいるその恋人の息子など、プライベートな諸々も絡み合いながら、60過ぎのボッシュが精力的に動き回り、最後には死の一歩手前まで追い詰められていきます。 それだけにわかりやすい勧善懲悪ドラマですが、アメリカの暗部をこれでもかと引きずり出すスタイルはアメリカ人にとってはあまり心地よいものではないだろうなと心配してしまいます。 ★★☆ 11月前半の読書と感想、書評 2017/11/15(水) |
020 | 転落の街(上)(下)(講談社文庫) The Drop (2011) |
2011年発刊で、翻訳版は2016年刊のハリーボッシュシリーズの第15作品目で最新作です。日本で最新作と言っても、すでにアメリカでは、まだ翻訳版が出ていないシリーズの5作品が出ていますので、この順次出てくると思われますので楽しみです。 未解決凶悪事件の担当をしているハードボイルドなハリー・ボッシュ刑事もそろそろ定年を迎える時期が近づいてきていて、ロス市警本部で定年延長の話しが持ち上がってきています。何十年といつまでも壮年だったパーカーのスペンサーシリーズとはその点は違いますね。 内容は、未解決凶悪事件と、同時に有力な市会議員に指名された事件の捜査を、中国系の若いパートナー刑事と並行して進めることになります。 元ロス市警副本部長で若きボッシュとは深い因縁のある間柄だった有力市会議員の息子が、ホテルから転落して死亡します。 それは果たして自殺なのか事故なのか、それとも殺人なのかということでボッシュと相棒は捜査を進めていくわけですが、その間にも最近の科学捜査であらたに判明してきた未解決事件にも首を突っ込んでいきます。 このボッシュシリーズではよくありますが、全く関係がない二つの事件を同時に進めていくことで、読者を飽きさせず、また一粒で二度美味しいじゃないですが、その二つの事件が時をほぼ同じくして解決していくというちょっとご都合主義的なところがあります。 今回も、タイトルにもあるとおりホテルからの転落死の謎と、それとまったく関係がない未解決事件の不可解なDNA検査結果を周囲の人を巻き込みながら並行して捜査を進め、同時に解決していきます。 大衆エンタメに走り過ぎたきらいのある前作「ナイン・ドラゴンズ」はいまいち評判が悪そうですが、今回はそうしたベテランの域に達した老練で冷静なボッシュ刑事の活躍が見られます。 ★★☆ 8月前半の読書と感想、書評 2017/8/16(水) |
019 | 判決破棄 リンカーン弁護士(上)(下) (講談社文庫) The Reversal (2010) |
刑事弁護士「ミッキー・ハラーシリーズ」の3作目で、ミッキー・ハラーが登場した最初の作品「リンカーン弁護士」(2005年刊、2009年翻訳版刊)を読んだのが2009年ですから、それ以来の「ミッキー・ハラーシリーズ」です。 その2009年に最初に「リンカーン弁護士」を読んだときの自分の感想を見てみると、「複雑な人間関係とテンポのよいストーリー展開、陰のある主役、都合のいい仲間達(今度は別れた二人の妻)はいつものパターンですが、リラックスして読めるエンタテナー小説としては上出来です。男性版ハーレクイーン小説みたいな感じかな。」と書いています。ほめているのか皮肉を言っているのか微妙です。 そして著者の作品ではお馴染みの異母兄弟でロス警察のハリー・ボッシュも準主役として登場しています。発刊順に読んでいないのと、読む間隔が空きすぎて、過去の登場人物の関係図がもうなにがなんだかよくわからなくなってきています。 思えばハリー・ボッシュが「ナイトホークス」で最初に登場したのが1992年ですから、それから24年が経っているのですね。一度どこかで整理しなければと思ってます。 この作品は2010年刊で、日本語翻訳版の文庫は2014年に発刊されています。前に著者の作品を読んだのが昨年2015年の4月で、2009年刊、翻訳版が2014年刊の「ナイン・ドラゴンズ」という、今年最下位に沈み惨めな思いをしている中日ドラゴンズナインとはなにも関係がないハリー・ボッシュ主体の作品でした。 2015年4月後半の読書と感想、書評「ナインドラゴンズ」 その二人の主役が手を組み、法廷で悪と戦うというストーリーですが、あらかじめ勝つとわかっていながら読むのは最近つまらなくなってきていて、多少のどんでん返しがあるぐらいでは、上下巻合わせて1,792円を出すのは困難に思えています。 ★☆☆ 10月後半の読書の感想、書評 2016/11/2(水) |
018 | ナイン・ドラゴンズ (講談社文庫) Nine Dragons (2009) |
ハリーボッシュシリーズの14作目(ちょい役登場含めると18作目)で米国では2009年、国内(文庫)は昨年2014年に発刊されています。 ロス市警本部殺人事件特捜班に勤務している主人公ボッシュが今回はLAで起きた中国人店主殺害事件に絡み、チャイナマフィアと対決することとなり、LAから香港へと珍しく海外へ飛び立ちます。タイトルを見れば中国(あるいは香港)ってすぐに気がつきますね。 それもそのはずで、元FBIで別れた前の奥さんエレイナが娘と一緒に、プロのギャンブラーとしてマカオへ出稼ぎに行っていて、そのマカオからすぐ近くの香港に住んでいます。LAでチャイナマフィアと関わり始めたとたん、香港で暮らす娘が何者かに誘拐され、「捜査から手を引け」と圧力を受けます。 香港の描写はアメリカ人向けの観光ガイドっぽくはありますが、それはおそらく事前に取材旅行を楽しんだであろう著者の、限られた香港観光情報を散りばめたからでしょう。 もっとも香港の裏社会はそんなミーハーな観光客がいっぱい出入りするような場所で大切な人質を監禁したり、連れ回ったりはしないでしょうし、80年前ならいざ知らず、もはや開発しつくされてすっかり近代化されたワンチャイが銃器を手に入れる犯罪者の巣窟みたいに書かれてもって思わなくもないです。 ま、しかし臓器移植や性奴隷のための人身売買が、アジアでは日常的におこなわれているかのような描き方には、同じアジア人としてはちょっと引いてしまいそうですが、現実的にはそれが欧米人の標準的な理解なのでしょう。 4月後半の読書と感想、書評 2015/5/2(土) |
017 | シティ・オブ・ボーンズ (ハヤカワ・ミステリ文庫) City of Bones (2002) |
ボッシュシリーズの8作目で2002年の作品で日本語版は2005年に発刊されています。530ページを超える長編で、起承転結が丁寧に書き込まれていて、私にとってはこれぐらいがちょうどいい長さです。 ストーリーはロス郊外の住宅地の森の中から、近くの住人の犬が人間の骨を加えて戻ってきたことから20年前に起きた殺人事件が明らかになってきます。 20年前の骨の特定について、その行方不明者が簡単に判明するところは都合良く端折りすぎって気もしますが、その発見された骨によって、近隣に住む前科がある住人が自殺に追い込まれ、また別で捜査に当たっていた警察官が犠牲となります。 概ねこのシリーズはそうですが、主人公(ボッシュ刑事)の過去のいきさつを知らなくても、単独でも十分に読み応えがあり、楽しめます。それで面白いと思えば、過去にさかのぼってみるもよし、さかのぼらずに新しい巻を読むもよしです。 この8作目ではボッシュは離婚後の1人住まいで、事件現場で知り合った、既婚の新人女性パトロール警官に一目惚れをしてしまいます。そして会ってすぐに自宅へ連れ込み、やがては警察署中に知れ渡るという軽率で妙な行動を起こします。 強いヒーローを描くのに疲れたのか、ちょっと色気を出したかったのか、不明ですが、その女性警察官が変な死に方をすることで、事件はボッシュの活躍で無事に解決しても精神的に重い荷物を背負うことになり、最後はロス市警を自主的に退職することになります。 1月前半の読書と感想、書評 2015/1/14(水) |
016 | 暗く聖なる夜(上)(下)(講談社文庫) Lost Light (2003) |
著者の代表作「ハリー・ボッシュシリーズ」の9作目(友情出演?しているテリー・マッケイレブが主役の「わが心臓の痛み」を含めれば10作目)の2003年(日本翻訳版は2005年)の作品です。 ハリーの正式名はヒエロムニス・ボッシュで、ロス市警の同僚などちゃんと発音できないことから、通称ハリーですべて通しています。もちろん「ヒエロムニス・ボッシュ」は15世紀ルネサンス期の画家と同姓同名で、母親が名付けた命名の由来も過去の小説の中に書かれています。 このボッシュシリーズは、1992年に読んだシリーズ最初の作品「ナイトホークス」を筆頭に、ほとんど読んでいますが、この「暗く聖なる夜」と「シティ・オブ・ボーンズ」(2002年)だけがなぜか漏れていて、今回見つけたので買ってきました。 この作品では、50歳を過ぎた主人公ボッシュが、刑事としての適正と限界を感じ、ロス市警を辞職し、私立探偵の免許を取得しています。 マイクル・コナリーもローレンス・ブロックが描くマット・スカダー同様、著者と主人公の年齢をほぼシンクロさせ、どんどん年を取っていくスタイルです。それだけに主人公の考え方や行動が、それなりの年齢に応じ、また相応しくなっていて好感が持てます。 主人公がずっと年を取らないロバート・B・パーカーの「スペンサーシリーズ」はそれはそれでもいいのですが、実は読む側も年を取っているので、読んでいると段々きつくなってきます。 読者自身、カツオと同年代だと思っていたら、いつの間にか波平さんと同年代になっていたことに気がついてショックを受けるって感じでしょうか。もちろんカツオ君はいつまでも若いままです。 今回のストーリーは、探偵の仕事ではなく、刑事時代に未解決だった謎が多い殺人事件について、中途半端なまま取り上げられてしまった経緯があり、自分に納得させるつもりで、その事件解決に再び取り組み始めます。 別れた妻(元FBIで、現在はカジノでプロのギャンブラー)との関係、過去の事件にまつわる対テロ組織、警官として動けないジレンマ、元同僚たちとの関係など、様々な阻害要因をふりきって、事件の核心をあぶり出し、迷宮入りしたと思われた二つの大きな事件の真相に迫っていきます。 結果は思わぬ方向へと進み、読んでいて意外性があり面白かったのですが、FBI捜査官に恨みを買って当然ケアしなければならない予防措置をろくに取らず、その結果自宅で急襲されたりと、やり手の主人公にしてはアマチュア的でちょっとちぐはぐな感じも受けます。 9月前半の読書と感想、書評 2014/9/17(水) |
015 | 死角 オーバールック (講談社文庫) The Overlook (2007) |
現代的なハードボイルド主人公ハリー・ボッシュシリーズ13作目で2007年発表の作品です。1990年代半ばに出たシリーズ第1作「ナイトホークス」で虜となり、それ依頼ずっと文庫が出ると買って読んでいます。今回の作品は今までと比較すると短めです。 ストーリーは、ロス市警殺人課の刑事ボッシュが偶然担当することになった事件に、FBIが関与してきて、元恋人だったFBI捜査員と前作に続き解決に当たるというものです。二重三重に仕掛けられた謎や、毎度お馴染みのFBIとロス市警の対立関係などが盛り込まれています。 前作長編「エコー・パーク」で気合いが入りまくりだったのに対して、この作品はイマイチ乗り切れていないような感じを受け、私の中では凡作の部類に入るかも知れません。 当初から偶然が重なるご都合主義的な、例えば知的で計画的な犯人がたいへん重要な犯罪の証拠品を、犯行現場近くの街のゴミ箱に廃棄するなんてことがあるはずもなく、そういった無理な設定に飽きてきたのかもしれません。 すでにアメリカでは出版されているらしい次回作に期待しますが、もしそこで、期待が外れてしまうようならば、今後私の愛読書から外さざるを得ません。 現在売れっ子だからといって安心していては、次々と出てくる若くて野心のある作家に一夜にしてコケにされますよ。と言ってもそういう声が届くわけもなし。 1月後半の読書 2011/2/5(土) |
014 | エコー・パーク(上)(下) (講談社文庫) Echo Park (2006) |
長らく待っていました、ロス市警に復帰したハリーボッシュシリーズの最新刊(文庫)です。1992年に「ナイトホークス」で登場して以来、シリーズの11作目となります。 個人的にはロバートBパーカーが亡くなり、スペンサーシリーズが遺作(未読)を残して終了してしまったので、今後はコナリーのこのハリー・ボッシュシリーズに期待したいところです。 主人公のボッシュ刑事は一度ロス市警を退職したあと、再び刑事になったという変わった経歴を持ちますが、この作品では前に刑事だった時に担当し、未解決に終わってしまった女性の行方不明事件が、13年後に新たな展開で動き出すと言うところから始まります。 タイトルに使われ、小説の舞台となるエコーパーク(Ecoh park)はロサンジェルスのダウンタウンにあるドジャースタジアム近くに実在している大きな公園です。 ちょうど東京ドームそばにある小石川後楽園と言ったところでしょうか。ロスに詳しい方なら割と知っているのではないでしょうか。 7月前半の読書 2010/7/16(金) |
013 | リンカーン弁護士(上)(下) (講談社文庫) The Lincoln Lawyer (2005) |
2009/08/18読了 「BOOK」データベースより 高級車の後部座席を事務所代わりにロサンジェルスを駆け巡り、細かく報酬を稼ぐ刑事弁護士ミッキー・ハラー。収入は苦しく誇れる地位もない。そんな彼に暴行容疑で逮捕された資産家の息子から弁護依頼が舞い込んだ。久々の儲け話に意気込むハラーだが…警察小説の名手が挑む迫真のリーガル・サスペンス。 多額の報酬が約束された事件を調べるハラーは、かつて弁護を手がけたある裁伴へと辿りつく。もしかしたら自分は無実の人間を重罰に追いやってしまったのではないか。思い悩む彼の周囲に、さらに恐るべき魔手が迫る。絶体絶命の状況下で法廷に挑む彼に勝算はあるか?コナリーワールドの新境地を拓く意欲作。 |
012 | 終決者たち(上)(下) (講談社文庫) The Closers (2005) |
2007/10/08読了 「BOOK」データベースより 3年間の私立探偵稼業を経てロス市警へ復職したボッシュ。エリート部署である未解決事件班に配属された彼は、17年前に起きた少女殺人事件の再捜査にあたる。調べを進めるうち、当時の市警上層部からの圧力で迷宮入りとなっていた事実が判明。意外な背後関係を見せる難事件にボッシュはどう立ち向かうのか。 ボッシュと相棒のライダー刑事は、少女殺人事件に関与していると思しき人物を突きとめる。マスコミに捜査状況を流すことで、ふたりは容疑者の動きを探る作戦に出るが…。難航する捜査、さらに警察内部から高まる批判。ボッシュに逆転の一手はあるか。現代ミステリー界の旗手が描く、警察小説の到達点。 |
011 | チェイシング・リリー (ハヤカワ・ミステリ文庫) Chasing The Dime (2002) |
2007/02/08読了 「BOOK」データベースより 「リリーはいるか?」引っ越してきたばかりのピアスのもとに、間違い電話が次々にかかってきた。ナノテク学者でベンチャー企業の代表も務めるピアスが興味を覚えて調べてみると、リリーはネット上に広告を出している評判のエスコート嬢だった。その彼女が失踪していることを知ったピアスは、行方を捜し始める。だが直後、彼を物騒な男たちの手荒な警告が襲った―ハードボイルドの旗手が放つクールでホットなサスペンス。 |
010 | 天使と罪の街(上)(下) (講談社文庫) The Narrows (2004) |
2006/09/01読了 「BOOK」データベースより 悪魔からの挑戦状。探偵ボッシュと猟奇殺人犯の息詰まる頭脳戦。ロス市警刑事の私立探偵ボッシュは、仕事仲間だった友の不審死の真相究明のため調査を開始する。ネヴァダ州の砂漠では多数の埋められた他殺体が見つかり、左遷中のFBI捜査官レイチェルが現地に召致された。これは連続猟奇殺人犯、“詩人(ポエット)”の仕業なのか?そしてボッシュが行き着いた先には… 殺人鬼が牙を剥く巧妙かつ緻密に張り巡らせた恐るべき悪の罠ボッシュとFBI捜査官が殺人犯と対峙する私立探偵ボッシュとFBI捜査官レイチェルは“詩人(ポエット)”こと連続殺人犯の跡を追う。ラスヴェガス、ネヴァダ州の売春街、そしてロサンジェルス。追っ手をあざ笑うかのように捜査を撹乱する犯人。用意周到に計画された、その恐るべき企みとは? 現代ハードボイルドの第一人者コナリーが描く壮大なサスペンス。 |
009 | エンジェルズ・フライト〈上〉〈下〉 (扶桑社ミステリー) Angels Flight (1999) |
2006/04/23読了 「BOOK」データベースより LAのダウンタウンにあるケーブルカー、“エンジェルズ・フライト”の頂上駅で惨殺死体が発見された。被害者の一人は、辣腕で知られる黒人の人権派弁護士ハワード・エライアス。市警察の長年の宿敵ともいえる弁護士の死に、マスコミは警官の犯行を疑う。殺人課のボッシュは、部下を率いて事件の捜査にあたるが…。緻密なプロットと圧倒的な筆力で現代アメリカの闇を描き出す、警察小説の最高峰“ハリー・ボッシュ”シリーズ第六弾、ついに待望の文庫化。 ハワード・エライアス殺害犯を追うボッシュは、事件の背後に過去の少女誘拐殺人が深く関わっていることを知る。自動車販売王サム・キンケイドの継娘を死に至らしめたのはいったい誰なのか。事件を再捜査するなかで浮かび上がる、悪夢のような真相。警察上層部との衝突、迫り来る暴動の不穏な気配…ボッシュは、錯綜する事件を果たして解決に導くことができるか。90年代に生みだされた警察小説の頂点に君臨するコナリーの真骨頂がここに!単行本『堕天使は地獄へ飛ぶ』改題。 |
008 | 夜より暗き闇 (上)(下) (講談社文庫) A Darkness More Than Night (2001) |
2003/08/24読了 「BOOK」データベースより 心臓病で引退した元FBI心理分析官テリー・マッケイレブは、旧知の女性刑事から捜査協力の依頼を受ける。殺人の現場に残された言葉から、犯行は連続すると悟ったテリーは、被害者と因縁のあったハリー・ボッシュ刑事を訪ねる。だが、ボッシュは別の殺しの証人として全米が注視する裁判の渦中にあった―。 殺人現場に置かれていたフクロウ像の意味は何か?捜査を進めるうち、テリーはすべての手掛かりがボッシュを犯人と名指ししていることに気付く。一方、裁判で苦戦中に殺人容疑をかけられ、窮地に陥ったボッシュは思いがけない行動にでる。現代ミステリーの雄コナリーが、人の心の奥深くに巣くう闇を抉る。 |
007 | わが心臓の痛み〈上〉〈下〉 (扶桑社ミステリー) Blood Work (1998) |
2003/01/15読了 「BOOK」データベースより 連続殺人犯を追い、数々の難事件を解決してきたFBI捜査官テリー・マッケイレブ。長年にわたる激務とストレスがもとで、心筋症の悪化に倒れた彼は、早期引退を余儀なくされた。その後、心臓移植の手術を受けて退院した彼のもとに、美しき女性グラシエラが現われる。彼女は、マッケイレブの胸にある心臓がコンビニ強盗に遭って絶命した妹のものだと語った。悪に対する怒りに駆り立てられたマッケイレブは再び捜査に乗り出す。因縁の糸に繰られ、事件はやがてほつれ目を見せはじめるが…。 術後わずか60日あまりでコンビニ強盗殺人犯を追いはじめたマッケイレブ。病をおしてまで事件の解決へと駆り立てるのは、悪を許さない強い憤りだった。彼はすべての事件を時系列順に当たるなどの地道な努力を重ね、執念の捜査を続けた―やがて明らかになる真相が自らを追い詰める結果を招くとは知らずに。『ナイトホークス』でのデビュー以来、ミステリーの最前線を疾走してきたコナリーが、現代ハードボイルドのさらなる可能性を拓いた意欲作。 |
006 | バッドラック・ムーン〈上〉〈下〉 (講談社文庫) Void Moon (2000) |
2001/08/25読了 「BOOK」データベースより キャシーは仮釈放中の元窃盗犯。現在は優秀な自動車販売員として働いているが、ある目的のために昔の仲間レオからの仕事を受ける。カモはプロのギャンブラー。計画は順調に進むかのように見えたが、ある出来事から歯車が狂い始めた。そのとき空には「不吉な月」が…。美しくもタフなニュー・ヒロイン登場。 命がけで盗んだ大金は、マフィアがらみのヤバい代物だった。事件の始末を依頼されたのは、裏の顔を持つ私立探偵カーチ。関係者4人が惨殺され、ついに魔手はキャシーの最愛の人物にまで及ぶ。ラス・ヴェガスの美しい夜景を舞台に、息詰まる死闘が始まった!コナリーが新境地に挑んだ本格サスペンス決定版。 |
005 | ブラック・ハート〈上〉〈下〉 (扶桑社ミステリー) The Concrete Blonde (1994) |
1998/10/08読了 「BOOK」データベースより 11人もの女性をレイプして殺した挙げ句、死に顔に化粧を施すことから“ドールメイカー(人形造り師)”事件と呼ばれた殺人事件から4年―。犯人逮捕の際、ボッシュは容疑者を発砲、殺害したが、彼の妻が夫は無実だったとボッシュを告訴した。ところが裁判開始のその日の朝、警察に真犯人を名乗る男のメモが投入される。そして新たにコンクリート詰めにされたブロンド美女の死体が発見された。その手口はドールメイカー事件と全く同じもの。やはり真犯人は別にいたのか。人気の本格ハードボイルドシリーズ第3弾。 コンクリート・ブロンド事件は、公式には未発表のドールメイカー事件の手口に似ているため、捜査班は警察内部に近い人間による模倣犯罪であると睨む。まず捜査線上に上ったのが風紀取締課のモーラ刑事。違法ポルノヴィデオ摘発などに携わるうちに自らその世界にのめり込んでいるらしい、と噂の男だ。留守をねらい単身、彼の家に侵入するボッシュ。おびただしい数のヴィデオテープの中にモーラ自身が出演しているものを見つけた彼は真犯人を突き止めたと確信したのだが…。LAが舞台のシリーズ最新作。 |
004 | ブラック・アイス ハリー・ボッシュ・シリーズ(2) (扶桑社BOOKSミステリー) The Black Ice (1993) |
1998/09/13読了 「BOOK」データベースより モーテルで発見された麻薬課刑事ムーアの死体。殺人課のボッシュはなぜか捜査から外され、内務監査課が出動した。状況は汚職警官の自殺。しかし検屍の結果、自殺は偽装であることが判明。興味を持ったボッシュは密かに事件の裏を探る。新しい麻薬ブラック・アイスをめぐる麻薬組織の対立の構図を知ったボッシュは、鍵を握る麻薬王ソリージョと対決すべくメキシコへ…ハリウッド署のはぐれ刑事ボッシュの執念の捜査があばく事件の意外な真相。『ナイトホークス』に続く傑作ハードボイルド第2弾。 |
003 | トランク・ミュージック〈上〉〈下〉 (扶桑社ミステリー) Trunk Music (1997) |
1998/08/06読了 「BOOK」データベースより ハリー・ボッシュが帰ってきた!ハリウッド・ボウルを真下に望む崖下の空き地に停められたロールスロイスのトランクに、男の射殺死体があった。「トランク・ミュージック」と呼ばれる、マフィアの手口だ。男の名はアントニー・N・アリーソ、映画のプロデューサーだ。どうやら、彼は犯罪組織の金を「洗濯する」仕事に関わっていたらしい。ボッシュは被害者が生前最後に訪れたラスヴェガスに飛ぶ。そこで彼が出会ったのは、あの『ナイトホークス』で別れた運命の女性、エレノア・ウィッシュだった。 映画プロデューサー殺しは税務当局の調査を恐れた犯罪組織の仕業なのか?ラスヴェガスとロサンジェルスを往復して、精力的に捜査を進めるボッシュの前に、市警の組織犯罪捜査課や内務監査課が障害として立ちふさがる。有力な容疑者にたどりついたボッシュにむかって、FBIの捜査官たちは驚くべき事実を明かしたのだ。状況は二転三転するが、エレノアがふと口にした言葉から、ボッシュは事件解明の手がかりを得る…。現代ハードボイルドの到達点を示すコナリーの「ボッシュ」シリーズ最新作。 |
002 | ラスト・コヨーテ〈上〉〈下〉 (扶桑社ミステリー) The Last Coyote (1995) |
1996/08/02読了 「BOOK」データベースより ロサンジェルスを襲った大地震は、ボッシュの生活にも多大な影響を与えた。住んでいた家は半壊し、恋人のシルヴィア・ムーアとも自然に別れてしまう。そんななか、ある事件の重要参考人の扱いをめぐるトラブルから、上司のパウンズ警部補につかみかかってしまったボッシュは強制休職処分を受ける。復職の条件である精神分析医とのカウンセリングを続ける彼は、ずっと心の片隅に残っていた自分の母親マージョリー・ロウ殺害事件の謎に取り組むことに。 30年以上前に起きた母親マージョリー・ロウ殺害の謎を追いかけるボッシュ。単独捜査の過程で彼は一人の女性と出会う。彼女の名はジャスミン。毎日絵を描いて過ごしているというのだが、ボッシュは彼女の自画像の奥に色濃く残る暗闇の影に、自分と同質のものを感じ取り、二人は愛し合う。やがて、事件の黒幕に潜むのは元地区検事局長で今は引退の身であるアーノウ・コンクリンであると確信したボッシュは、直接彼と対峙することに。 |
001 | ナイトホークス(上)(下) ハリー・ボッシュ・シリーズ(1) (扶桑社BOOKSミステリー) The Black Echo (1992) |
1992/11/24読了 「BOOK」データベースより ブラック・エコー。地下に張り巡るトンネルの暗闇の中、湿った空虚さの中にこだまする自分の息を兵士たちはこう呼んだ…。パイプの中で死体で発見された、かつての戦友メドーズ。未だヴェトナム戦争の悪夢に悩まされ、眠れぬ夜を過ごす刑事ボッシュにとっては、20年前の悪夢が蘇る。事故死の処理に割り切れなさを感じ捜査を強行したボッシュ。だが、意外にもFBIが介入。メドーズは、未解決の銀行強盗事件の有力容疑者だった。孤独でタフな刑事の孤立無援の捜査と、哀しく意外な真相をクールに描く長編ハードボイルド。 ボッシュは身内であるロス市警の監視に邪摩されながらもFBIの女捜査官エレノアとの捜査を継続。なんとかメドーズの仲間らしき人物を特定するが、片や事件の目撃者の少年は何者かに殺されてしまう。同時に銀行強盗事件の洗い直しで不審なヴェトナム人を発見、男に会いに行こうとした矢先、ボッシュらは謎の車に殺されかける。やはり内通者が…。ボッシュの疑念が増す中、事件は新たな局面へ。ヴェトナムを生き抜いた一匹狼の刑事が迷い込む、迷路のようなLAの悪夢を描き切る、期待の新鋭の力作。 |
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