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おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)


リストラ日記アーカイブ 2015年7月

読みやすいようにアーカイブは昇順(上から古いもの順)に並べ替えました。上から下へお読みください。

日記INDEXページ(タイトルと書き出し部の一覧)はこちらです

935 6月後半の読書と感想、書評 2015/7/1(水)
936 休日はごろ寝がいい 2015/7/4(土)
937 浅見光彦シリーズドラマにはまる 2015/7/8(水)
938 成功者の美徳 2015/7/11(土)
939 7月前半の読書と感想、書評 2015/7/15(水)
940 節電が定着してきた 2015/7/18(土)
941 それでも宝くじに夢を見る 2015/7/22(水)
942 世知辛い世の中 2015/7/25(土)
943 7月後半の読書と感想、書評 2015/7/29(水)





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6月後半の読書と感想、書評 2015/7/1(水)

935
精霊の守り人 (新潮文庫) 上橋菜穂子

1996年に発表されたファンタジー小説で、その後「闇の守り人」「夢の守り人」など「守り人シリーズ」として拡がっていく元になる小説です。また今年2015年の本屋大賞に輝いた「鹿の王<鹿の王> (角川書店単行本)」の著者でもあります。

考えてみると直木賞や芥川賞というのは年2回選考会があり、しかも複数名の同時受賞もあります(受賞者なしもある)ので、平均すれば年に2〜3名ずつが受賞していることになりますが、本屋大賞は原則年に1名だけなので、こちらのほうが受賞するのが難しい賞となっています。それだけに価値も高いかな。でもそのうち本屋大賞も、より商業的になってくれば、年2回の開催とになったりするのかも。

さて本題に戻ると、この作品を原作として過去にはラジオドラマやアニメとして放送がされましたが、来年2016年から3年に渡って『放送90年 大河ファンタジー 「精霊の守り人」』として実写ドラマが放送される予定です。主演となる女用心棒バルサ役は綾瀬はるかです。どうしてもあの鉄砲を構える勇ましい八重の姿がダブってしまいそうです。

ストーリーについてはネタバレするとアレなので、こうした小説の場合あまり触れない方がいいのでしょうけど、大ざっぱに書くと、架空の国の物語で、精霊の卵が身体に宿ったのため、国王から抹殺されそうになった第二王子を守るために、女用心棒の主人公が王妃に雇われて、卵を食べる魔物や王子を取り戻そうとする追っ手と戦って100年に一度現れるという精霊の卵の真実を明らかにしていくというもの。

ま、話の展開的には児童小説とも言えるけれど、主人公が30歳になる成熟した女性ということで、大人が読むことを想定して書かれているというのがわかります。児童文学なら主人公は子供だったり子供の面倒を見る先生だったりしますので。

いずれにしても、本を読むことで「ファンタジーに思いを寄せたい」、直接的に言えば「現実から逃避をしたい」って思う人には、ル=グウィン著「ゲド戦記」、J.R.R.トールキン著「指輪物語」、C.S.ルイス著「ナルニア国物語」などの超大作にはちょっと尻込みする人でも、この1冊なら十分に楽しむことができるでしょう。

 

国家の闇 日本人と犯罪<蠢動する巨悪> (角川oneテーマ21) 一橋 文哉

闇に消えた怪人―グリコ・森永事件の真相」や「宮崎勤事件―塗り潰されたシナリオ」など社会を騒がせた重大事件などを深掘りしていったジャーナリストが書いた作品で、2012年に発刊されています。

この本ではオウム真理教事件、収賄汚職、大疑獄事件、ロッキード事件、グリコ・森永事件、赤報隊事件などの犯罪を通して見えてくる犯罪者の心理、犯罪者や悪徳政治家の行動、それに対する警察や検察、骨抜きにされてきたマスコミ、そして洗脳される人達など過去の犯罪と謎の総まとめといったところでしょうか。

また、新書らしく、著者の単行本や文庫のPRがあちこちに登場し、それらの紹介とPRのために書かれたって感じもします。「この事件については詳しくは拙書○○に」っていう、ちょっと嫌らしい感じですが最近の新書ではそれが当たり前なのかも。

ザッと目次を書いておくと、
 序章 巨悪は永遠に眠らない(金丸事件など政治家と金の問題)
 第1章 カルトに群がる亡者たち(国際武器商人とオーム真理教)
 第2章 国際謀略組織の犯罪(金大中事件、下山事件、三鷹事件など)
 第3章 ジジババ喰いのマニュアル(豊田商事事件〜ライブドア事件〜振り込め詐欺)
 第4章 劇場型企業テロの源流―グリコと赤報隊・悪の連鎖(闇社会のヒットマン)
 ※( )内は主な概要

古い話が多いものの、また内容がどこまで信用できるかはさておき、かなり深い闇の話しがこれでもかって書かれていて、著者の身を案じます。

例えば、自殺とされた下山事件は決して自殺ではないとか、ライブドア事件で取締役だった野口英昭が沖縄のカプセルホテルで不審死を遂げ、すぐに自殺とされた件も口封じだったとか、警察庁長官狙撃事件やオーム真理教の村井秀夫幹部が刺し殺された事件、また赤報隊事件など未解決事件には闇のヒットマンの存在など。

だからということではないのでしょうけど、一応著者名は本名ではなくペンネームですが、最近では特に本名を隠しているわけではなさそうですね。

 

ミッキーマウスの憂鬱 (新潮文庫) 松岡圭祐

「千里眼シリーズ」などで有名になった作家さんで、「催眠―Hypnosis」や「千里眼」「万能鑑定士Qの事件簿」などは、テレビドラマや映画にもなっています。

この小説はそうしたサイコティックや心理学テーマを扱ったものではなく、東京ディズニーランド(TDL)で働く派遣バイトを主人公とする青春ドラマって言うか、ディズニーの舞台裏と雑学を楽しめる小説です。

TDLはキャラクター管理や名称使用にやたらと決まりが厳しくてうるさいところなのですが、こうしたキャラクターの名称をタイトルにした小説が出るとはちょっと驚きでした。

また話しの中身も、架空の運営会社ということになっているにしろ、TDLの仕事の裏側や、権力を持って威張り散らす制服組の正社員と、バイトや準社員という非正規社員との関係や心の葛藤などを描いているのも、よくクレームつけられなかったな?って思います。

当然、小説ですから、架空の話しとして読まなくてはいけませんが、しかしところどころに事実も含まれていそうで、ディープでない普通のディズニーファンからすれば、楽しいTDLの裏側ではこんなに厳しい管理やゲストのためにキャストが努力をしてくれているのだってことがわかり、キャストやキャラクターを見る目がもっと優しくなりそうです。

私はと言えば、TDLが開設されたのが1983年、すでに社会人になってからで、特にデートとかで利用したことはなく、結婚して子供ができてから、数回連れて行ったぐらいで、さして興味も関心もありません。

とは言え、行くとそれなりに現実から離れられて、夢があって、気持ちが高ぶるのはやはりそうしたキャストの面々が来場者を楽しませるために努力奮闘しているのだなぁって思わずにはいられません。

 

きみはポラリス (新潮文庫) 三浦しをん

2007年に単行本、2011年に文庫化された短編小説集です。まったく事前の情報なく読みましたが、どうも片想い、純愛、裏切り、禁断の愛、同性愛、偏愛など様々な愛の形を短編にまとめたものでした。

著者の作品では「まほろ駅前多田便利軒」「神去なあなあ日常」「風が強く吹いている」「舟を編む」などいくつか読んでいて、あまり外れのない、面白い作品が多いので、特に考えず手に取りました。

あとタイトルの「ポラリス」っていう響きがなんとなく好きで、意味はこぐま座にあるいわゆる北極星ということですが、不動の愛とその周辺を回る様々な人間模様ということを表しているのかなとちょっと感じた次第。

その短編作品は「永遠に完成しない二通の手紙」「裏切らないこと」「私たちがしたこと」「夜にあふれるもの」「骨片」「ペーパークラフト」「森を歩く」「優雅な生活」「春太の毎日」「冬の一等星」「永遠につづく手紙の最後の一文」の11編からなっています。

ま、個人的な感想で言えば、この作家さんは短編よりも前述の中・長編小説のほうがいい感じです。雑誌などの依頼でこうした一話完結スタイルの短編を求められることが多いのでしょうけど、長編がうまい人の作品は、やはり長編をちゃんと選んで読むべきだったかも。

 

イニシエーション・ラブ (文春文庫) 乾くるみ

著者は1998年にデビューし、比較的軽く若い人に人気の恋愛やミステリーをテーマとした繊細な小説を多く書いている作家さんで、ペンネームからすると女性だとばかり思っていたら、なんと!ひげ面の堂々とした体格の男性なんですね。

この小説は「塔の断章」に続く「タロット・シリーズ」として、2004年に刊行され、この作品を原作として、今年2015年には堤幸彦監督、松田翔太、前田敦子らが出演する映画にもなっています。

内容は昭和のバブル景気の中、静岡に住む理系の大学生の主人公をキーとして、合コンで知り合った女性との恋愛小説として進んでいきます。

大学生が合コンで知り合った女性との恋愛がテーマの小説と言えば、少し前に読んだ吉田修一著「横道世之介 (文春文庫)」を思い出しましたが、双方ともにハッピーエンドではないという共通項があるものの、その本質は大いに違っています。

この小説、しっかりと読んでいると、最後の一言で、「え?」って、再び前に戻って再読せずにはいられないという仕掛けがありますので、ストーリーは書きませんが、この不思議な仕掛け?を映画ではどのように表現したのかちょっと興味があるところです。

こうした普通の小説の中に、ミステリー的というか、仕掛けをするっていうのが、流行なのかそうかわかりませんが、真梨幸子著の「殺人鬼フジコの衝動」でもそうでしたが、深い洞察力と想像力を働かせないとちゃんと著者の思惑を理解できない作品は、読む側としてもしっかりと読んでいないと気がつかないこともありそうです。

小説を読むって言うのは言わば頭をリラックスさせたい時なので、個人的にはこのような凝ったややこしい小説はあまり好きではありません。


【関連リンク】
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 4月前半の読書 運命の人(1)(2)(3)(4) 山崎豊子、ゲーテ格言集 ゲーテ
 3月後半の読書 彼女がその名を知らない鳥たち、「人間嫌い」のルール、インターセックス、民宿雪国
 3月前半の読書 夏の庭、マリアビートル、さらば雑司ヶ谷、ドミノ
 2月後半の読書 和菓子のアン、リフレはヤバい、屍者の帝国、三匹のオッサン
 2月前半の読書 赤猫異聞、殺人鬼フジコの衝動、モップガール、 「意識高い系」という病
 1月後半の読書 殺し屋ケラーの帰郷、模倣犯(1)〜(5)
 1月前半の読書 羊の目、シティ・オブ・ボーンズ、日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率、ボトルネック、銀の匙
 リス天管理人が選ぶ2014年に読んだベスト書籍



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休日はごろ寝がいい 2015/7/4(土)

936
休日はなにをしていますか?って聞かれると、独身だと「彼女(彼氏)とデート」だったり、「友達とテニスやゴルフ」など、既婚者だったら「買い物」とか「家族サービスで公園や遊園地」「家庭菜園で汗を流して」っていう回答が返ってくるのが一般的かなと思います。

DODAの調査では、1位買い物、2位が家族・子供と過ごす、3位は家でのんびりするがベスト3になっています。


また厚労省の平成26年の「健康意識に関する調査」では、「休みが取れたらどのように過ごしたいか」という希望を聞いた質問では「ドライブや小旅行に出かける」45.1%が最も多く、次いで「運動・スポーツ・散歩などをする」33.7%、「何もせずにゴロ寝で過ごす」24.7%、「インターネットをして過ごす」24.6%などとなっています。やはり希望はアクティブ系が8割近くを占めています。

しかし実際の休暇・休日の過ごし方としては「インターネットをして過ごす」の41.5%が最も多く、次いで「テレビを見たり、ラジオを聴いたりして過ごす」31.4%、「何もせずにゴロ寝で過ごす」25.0%、「ショッピング」19.7%、「スポーツ」19.1%などとなっていますから、実態としては自宅でゴロゴロして過ごしている人が多いようです。

しかし「インターネットをして過ごす」の41.5%ってなにか不思議な感じです。休日にネットでそんなにすることあるんだ?って気がするのはやはりアナログ世代のゆえでしょうか。ま、ブログを書いたりしている自分が言うのもまた変ですけど。

「1日中家の中でゴロゴロして過ごす」(25%)というのは最近でこそ認知されつつありますが、世の中的には決して誉めてはくれない休日の過ごし方とされてきました。

まじめで律儀な人ほど、休日には買い物に出掛けたり、スポーツをしたり、旅行へ行ったり、家族を喜ばせるため公園や遊園地へお出掛けして遊んだり、なにかアクティブに行動しなければと強迫観念に迫られ、張り切ってしまうことがあります。

特に同居人がいると、家族からも「いつまでもゴロゴロしてないで、早く起きて!」と言われたり、寝ていると子供に「遊びに行こう!」と邪魔されたりして、いつまでもごろ寝していると罪悪感する覚えるようになってしまいます。

体力が有り余っているときは、気分転換のため、激しいスポーツなどして発散するのもいいのですが、てきめんに体力が落ちてくる30代後半以降は、仕事で疲れた身体と心を休めるには、一番気が休まる場所でごろ寝をしているのが一番いいということです。

これはある研修会で登壇した心療内科のカウンセラーの話しですが、土・日曜日の休みの日に「なにかをしないといけない」「どこかへ行かなければ」「1日中家でゴロゴロしていたら健康に悪い」と考えて、気持ちが焦るのが一番心の健康によくないらしく、それならいっそなにもしないで、1日ボーとして、ごろ寝しているのが一番健康にいいですとのこと。私じゃなくカウンセラーがそう言ったのですからね。

「休むという字は木の傍に人がいる」っていうセキスイハウスのテレビCMじゃないですが、上記のカウンセラー曰く「「休日」って、心身を休めることが目的の日で、なにかをするための日ではない」って言葉には頷けます。

多くのビジネス書を出している山崎武也氏の「本物の生き方―人間の価値を決める「心がけ」」には、「休日の過ごし方としては、格好が悪いという人もいるが、いわゆるゴロ寝が最も適しているかもしれない。時代のはやりの遊びに惑わされたりしないで自己のペースを守るべきである。十分なとまではいかなくても、できるだけの睡眠をとる重要性を忘れてはいけない。」と書かれています。

精神医学的には「休日を家でゴロゴロしていると頭がリラックスできず、疲労がたまって逆効果」みたいなことを言われます。なので休日には外へ出掛けて気分転換を図り、運動をしたり変化をつけるように言われます。

確かに適度な運動をすることで、身体を鍛え、体調を整えたり、家族との絆が深まって精神的に充実したり、様々な効用はありますが、休日に「〜しなければ」という強迫観念は捨ててもいいように思います。同居する家族がそれを理解してくれるかどうかは微妙ですけど。

私の場合、40代後半以降、足というか股関節を痛めたため、外出する機会が大きく減りました。子供ともっと遊んでやりたい、遠出してあちこち連れ出したいという気持ちもありましたが、なかなか思うようにできません。

現在では子供も大きくなり、親と一緒に行動するのは好まなくなってきたので、一緒に出掛けることは少なくなりました。そうしたら困ったことに元気が余っているはずの子供達まで出不精になってしまって、休日は家族全員が家の中でゴロゴロしているっていう変な家族になっています。アルバイトもせず、学校が休みの日にはまったく外に出ない時も多く、私の若い頃には考えられないようなことです。

それもちょっと困ったものです。

若いあいだはは、アルバイトをして社会勉強をしたり、旅行へ出掛けて見聞を広めたり、スポーツをしてアウトドアの健康的な生活を送ってもらいたいものですが、親があまりそういう習慣づけをしてこなかったせいでしょうか、困ったことに出無精になってしまっています。

引きこもりにさえならなければいいと思っていますが、ヤレヤレです。積極的に面倒なことはしたがらないという流行にのっかている感じで、若者の草食系というのもそういうところから出ているのでしょうか。

そこでせめての罪滅ぼし?と思って、毎週土曜日の夕方に、子供を連れ出してキャッチボールをしています。最初は子供は嫌々だったのが、やってみると意外と楽しいらしく、これがうまくはまって、今ではもう1年以上この習慣を継続しています。

ただ都会においてはキャッチボールができる場所が極めて限られていて、普通の公園では小さな子供がいるのでまずダメ、学校のグランドも一般には解放してくれないのでダメ、もちろん広いからと言っても駐車場とかはダメです。遠投もしたいので少なくても30〜40mぐらいの距離が取れる場所で、暴投しても人や器物に影響がない場所となると限られます。

そこで少し遠いけど、少年野球や少年サッカー、平日の午前中にはゲートボールなどで使っている無料の市営多目的広場があり、そこで日が沈む少し前の、野球やサッカーの試合や練習がおこなわれていない時間帯を見計らって使っています。

そして、最近はそのキャッチボールに加え、子供ももうすぐ社会人になるので、そのたしなみとして、ゴルフ練習場にも連れ出しました。

私は股関節の故障もあり、もう10年以上クラブを握っていませんが、まだ使えそうなフルセット一式(20年ぐらい前に購入した旧式)があり、そこそこの経験もあるので、ずぶの素人に教えてやるぐらいのことはできます。

ただ親と一緒ならば仕方がないので行くけど、1人で進んで練習場に通うまでは好きになれないようで、キャッチボールを含め、いつまで私が一緒について行ってやれるかってところが悩みの種です。


【関連リンク】
820 高齢者ビジネス(第2部 趣味編)
812 今こそワークシェアリングを根付かせるチャンス(かも)
737 日本人が罹りやすい病気
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544 新ぶらさがり族


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浅見光彦シリーズドラマにはまる 2015/7/8(水)

937
今更なのですが、最近、内田康夫氏原作の「浅見光彦シリーズ」のテレビドラマにはまっていて、BSで再放送されるたびに録画をして楽しんでいます。

このシリーズは、現代版水戸黄門っていう趣きで、国内の名所各所で不可解な殺人事件が起き、たまたま居合わせたり、知人が関わっていたりする旅行雑誌のルポライターの主人公が事件を調べ、最後には見事解決をするっていうたわいもないものです。

たわいもないって言うと原作者に失礼ですが、流れ的には見事なワンパターンで、当初は事件に首を突っ込んでくる胡散臭いルポライターという感じで登場し、殺人事件を捜査する横柄な刑事に邪険に扱われますが、その主人公が警察庁刑事局長の弟というのが判明するやいなや刑事の態度が急変するワンパターンが秀逸です。

警察庁刑事局長と言えば、警視総監に次ぐ警察官僚2番目の超エリートで、国会答弁などにも時々出てきたりする役人です。

「浅見?ふん、ルポライターなんてどこの馬の骨だか、叩けばほこりが出るんじゃねぇか?」と言っていたのが、身元が判明したとたん手のひらを返して、「いや〜浅見刑事局長の弟君でいらっしゃるとは、浅見先生もお人が悪い〜」となるわけです。

事件はさすがミステリー界の巨人内田康夫氏の原作だけに、日本各地の観光名所を押さえつつ、また各地域の歴史や文化を絡めた動機や殺人法で物語が展開されますが、必ず1話の事件に絡む1人の若き美しいヒロインも登場し、彩りを添えてくれるのも楽しいところです。

ドラマ制作は日本テレビ版、TBS版、フジテレビ版と複数の局にまたがり、各局で同じタイトルの作品が作られていて、当然ながら主人公や周囲を固める脇役陣はそれぞれに違っています。それらを見比べるのもなかなか面白いのです。

もっとも古くに制作していた日本テレビ版は、1987年から1990年に放送され、放送順に「平家伝説殺人事件」、「天城峠殺人事件」、「佐渡伝説殺人事件」、「美濃路殺人事件」、「越後路殺人事件(原作は「漂泊の楽人」)」、「唐津佐用姫伝説殺人事件(原作は「佐用姫伝説殺人事件」)」、備後路殺人事件(原作は「後鳥羽伝説殺人事件」)」、「琵琶湖周航殺人歌」の8作品で、主人公の浅見光彦は水谷豊が演じています。

但し、あまり小説の浅見光彦のイメージと水谷豊が合わなかったため、著者の希望もあってか8作品で打ち切られたということです(wikipedia)。

       

TBS版は1994年から2014年にかけて制作放送され、「高千穂伝説殺人事件」、「天城峠殺人事件」、「隅田川殺人事件」、「佐渡伝説殺人事件」、「城崎殺人事件」、「小樽殺人事件」、「風葬の城」、「鳥取雛送り殺人事件」、「天河伝説殺人事件」、「隠岐伝説殺人事件」、「蜃気楼」、「札幌殺人事件」、「「須磨明石」殺人事件」、「後鳥羽伝説殺人事件」、「志摩半島殺人事件」、「坊っちゃん殺人事件」、「鬼首殺人事件」、「華の下にて」、「長崎殺人事件」、「崇徳伝説殺人事件」、「平家伝説殺人事件」、「佐用姫伝説殺人事件」、「藍色回廊殺人事件」、「漂泊の楽人」、「姫島殺人事件」、「津和野殺人事件」、「斎王の葬列」、「高千穂伝説殺人事件−歌わない笛−」、「菊池伝説殺人事件」、「化生の海」、「箸墓幻想」、「天河伝説殺人事件」、「蜃気楼」、「壺霊」の34作品があります。「天河伝説殺人事件」など同じタイトルのものがダブってありますが、監督や主人公役を変えてリメイクされたものです。

このTBS版の主人公浅見光彦役は第1作目から13作目までが辰巳琢郎、14作目から31作目までが沢村一樹、32作目以降は速水もこみちとなっています。

さらにTBS版には「浅見光彦〜最終章〜」として2009年10月〜12月に連続ドラマとして放映され、「恐山・十和田湖・弘前編(恐山殺人事件)」、「伊豆天城・松島編(天城峠殺人事件)」、「岩手遠野編(鄙の記憶)」、「金沢編(伊香保殺人事件)」、「京都・近江編(須磨明石殺人事件)」、」、「浅見家の悲劇(前編・後編)木曽編(後鳥羽伝説殺人事件)、「エキゾチック横浜編(横浜殺人事件)」、「草津・軽井沢編」(首の女(ひと)殺人事件)」の9作品があり、こちらの主人公は沢村一樹です。

       

フジテレビ版は上記のTBS版と時期がかぶりますが、1995年以降に制作・放送されています。

フジテレビ版はシリーズの中ではもっとも作品数が多くて「伊香保殺人事件」、「横浜殺人事件」、「唐津佐用姫伝説殺人事件」、「津和野殺人事件」、「別府・姫島殺人事件」、「漂泊の楽人 越後・沼津殺人事件」、「恐山殺人事件」、「平家伝説殺人事件」、「斎王の葬列」、「イーハトーブの幽霊」、「皇女の霊柩」、「三州吉良殺人事件」、「津軽殺人事件」、「黄金の石橋」、「金沢殺人事件」、「日蓮伝説殺人事件」、「秋田殺人事件」、「しまなみ幻想 −愛媛・今治殺人事件−」、「ユタが愛した探偵」、「化生の海 −北前船殺人事件−」、「熊本・菊池伝説殺人事件」、「「首の女」殺人事件」、「日光殺人事件」、「鯨の哭く海」、「箸墓幻想」、「「紅藍の女」殺人事件」、「竹人形殺人事件」、「耳なし芳一からの手紙」、「熊野古道殺人事件」、「天河伝説殺人事件」、「喪われた道」、「箱庭」、「後鳥羽伝説殺人事件」、「美濃路殺人事件」、「歌枕殺人事件」、「鐘」、「長崎殺人事件」、「十三の冥府」、「遺骨」、「棄霊島」、「佐渡伝説殺人事件」、「悪魔の種子」、「還らざる道」、「砂冥宮」、「志摩半島殺人事件」、「はちまん」、「平城山を越えた女」、「幻香」、「不等辺三角形」、「貴賓室の怪人」、「中央構造帯」の51作品が2014年までに制作されています。

フジテレビ版の浅見光彦役は第1作から14作までが榎木孝明、第15作目以降は中村俊介となっています。途中で主役の座を降りた榎木孝明は17作目からは主人公の兄の刑事局長役で復活して出演しています。

その他にもこのシリーズは単発でドラマが作られていて、そこでは国広富之、篠田三郎、高嶋政伸などが浅見光彦役を演じています。唯一映画になった作品は「天河伝説殺人事件」(1991年)で、監督はあの市川崑、主役は榎木孝明です。

今までに見た中では卑弥呼と邪馬台国論争に焦点をあてた奈良県桜井市が舞台の「箸墓幻想」(TBS版)、天海=明智光秀説を絡めた「日光殺人事件」(フジテレビ版)、死を覚悟して出帆する補陀落渡海を知らしめた「熊野古道殺人事件」(フジテレビ版)、10年前に事故で亡くなった妹の死の真相に迫る「後鳥羽伝説殺人事件」(フジテレビ版)などがよかったかな。

浅見光彦を演じる役者としては、著者は榎木孝明を一押しだったようですが、私は沢村一樹がお気に入りです。フリーのルポライターという社会の荒波にもまれる厳しい職業の役柄からすると、辰巳琢郎や中村俊介はお上品過ぎでひ弱そうに思えます。

映画やドラマを見るときに、先に原作本を読んでから見る場合と、あとで読む場合がありますが、このシリーズに関しては、観光名所のロケが行われていますので、読む前に先に見ておいて、そのイメージを知っておくのが楽しめそうです。

ちなみにこの浅見光彦シリーズは小説では120作品もありますので、今後も機会があれば新しく作られるかも知れません。主役にはできれば若手のホープを使い、俳優の登竜門になるといいですね。




【関連リンク】
910 テレビ番組はタイムシフト視聴が当たり前
900 テレビ・ラジオの長寿番組について
843 8月前半の読書(秋田殺人事件)
701 3月後半の読書(十三の冥府)
684 1月後半の読書(鄙の記憶)
536 9月前半の読書(はちまん)


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成功者の美徳 2015/7/11(土)

938
実感としても勤労者の中に占める高齢者の割合が高まっていると感じますが、コンビニ、スーパー、居酒屋、レストラン、ファストフード店、ホームセンター、パチンコ店、宅配便の運転手、コールセンターなど、従来なら主婦のパートや学生アルバイト、若いフリーターが圧倒的多数を占めていた職場への60歳以上と思われる中・高齢者の進出が目立っています。

感覚だけでなく、実数としても急増していることが数値で出ています。

働く年金世代が急増、60代後半の5人に2人、流通・介護…、人手不足補う(日本経済新聞)
年金をもらいながら働く人が増えている。60代後半のうち、働く人の割合を示す就業率は2014年度に40・7%と前年度を1・8ポイント上回った。5人に2人が働いている計算で39年ぶりの高さとなる。かつては働く高齢者といえば自営業主が大半だったが、今は流通・介護・製造など人手不足の業界で雇われる人が多い。働き手が増えれば、消費の押し上げや年金制度の安定にもつながりそうだ。
(中略)
働く60代後半は男女合わせて374万人と前年度より10%増えており、10年間で5割伸びた計算だ。


60代後半と言えばまさに団塊世代ど真ん中で、とにかく人数が多いため、単純に同世代で割合が増えたってことにはなりませんが、元気な団塊世代は高齢者になっても現役を引退しないで世の中をリードしているって感じです。

どういう職種で特に顕著化と言えば、

65歳以上で働く人を産業別にみると、前年度に比べて最も大きく伸びたのは流通業で、8万人増えた。そのほかに伸びているのも医療・介護(7万人増)、製造業(6万人増)、宿泊・飲食(5万人増)、建設業(4万人増)と人手が足りない業種に集中している。

ということです。

昔の言葉で言うと3K職種ってことになるのでしょうか。本当は若い元気な人が欲しいけど、若い人の数が減り、仕事のイメージがよくなくて若い人が採用できず、また給料も高くなく、仕方なしに高齢者へ枠を拡げてみたところ、案外みんなまじめによく働いてくれて、いいじゃん!ってところでしょうか。もちろん高齢者ゆえの問題も種々あるでしょうけど、それを差し引いても効果ありというところです。

そしてこうした年金がもらえる世代が働くことで、年金の支給額を減らすことができ(あるいは遅らせることができ)、さらに70歳までは働いて所得があれば逆に税金や厚生年金も収めてもらえるので、国としても一石二鳥です。

こうした流れと風潮を国策としてうまく作って、骨抜きで言いなりのマスコミに強く発信してもらうことが厚労省としてはいま最大のミッションなのだと思われます。

ただね、私が思うのは、高齢者がいつまでも頑張って現役で働き続けるのは、不足する働き手の確保や年金破綻を少し先延ばしするといったメリットもあるけれど、デメリットも間違いなくあるってことです。

そのひとつには、もう十分に資産を作り、働かなくても優雅な生活がおくれそうな高齢者ほど、今もまだ、割のいい仕事にしがみついているってこと。

つまり官僚であれば、官僚のトップである事務次官まで上り詰めた人は、定年後の天下り先でも高給で優遇されます。民間でも役員になり、年収何千万円をもらっていた人が役員定年で退任したあと、さらにいい条件で会社の顧問になったり、関連会社に横滑りで再就職をしたりして高給を蝕んでいるっていうのが実態としてあります。

それは本来老後の備えが十分でない人達に割のいい仕事が与えられず、シルバー人材センターで時間給数百円の仕事しかなく、そして本来一番苦労してよく働いている若い人の分け前の上っぱねをしているってことなのです。

国と関係の深い社団法人や財団法人の理事長や理事などって、未だにそうした天下り官僚の巣窟で、補助金という名の税金を食い物にしていますし、企業においても名誉会長やら特別顧問など名誉職で無駄に禄を食んでいる優雅な高齢者の多いこと。

これが高齢者間、または、若い人と高齢者間の収入(資産)格差につながっています。

だから、私が言いたいのは単純明快で、もう十分に稼いだ人は、早々に仕事から引退し、あとは消費するだけの人生か、せいぜい無給でボランティアや社会貢献、慈善事業でもしてくれたらいいのにって思うのです。

例えば50代で資産が3億円以上、60代で1億円以上ある人は、自動的に仕事からリタイアしてもらうって構図です。資産ですから自宅や投資用マンションなども含めての額です。たぶん50代で30人に一人ぐらい、60代で10人に一人ぐらいは出てきそうです。

そうすれば、資産家に死に金としてため込まれ、やがては親の資産に頼り切ってろくに働きもしなくなる子供や孫に引き継がれたり、オレオレ詐欺や霊感商法、水商売の人にだまし取られたりするお金が、早めのリタイアで投資やレジャー、高級品やサービスの購入に回り、お金が循環し、景気も多少はよくなります。なんと言ってもやる気のある若い人や、本当に日々の生活費を稼がないとならない人達の邪魔をしなくて済みます。

ところが現実は欲の皮が突っ張った人ほど、何歳になっても他人を差し置いて、仕事や権力にしがみつき、際限なくお金をため込むことをやめないですね。

桁違いの大金持ちではありますが、ビル・ゲイツのように50代はじめにスパッと事業からは引退し、慈善事業や発展途上国での教育や医療活動に手を貸すというような、「早期引退をして慈善活動に携わることが成功者の美徳」とされるアメリカの慣習は、残念ながら日本ではどうも受け入れられないようです。


【関連リンク】
889 公的な高齢者移住計画は成功するか?
824 高齢者向けビジネス(第3部 仕事編)
687 旺盛な高齢者の労働意欲は善か悪か
574 仕事を引退する時、貯蓄はいくら必要か
325 元気な高齢者はいつまでも働くべきなのか


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7月前半の読書と感想、書評 2015/7/15(水)

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神様が降りてくる 白川道

今年4月に69歳で亡くなった著者の最後の作品(2015年3月刊)です。他にも書きかけ、または未発表の作品があるのかも知れませんが、筆が遅かったことで有名な作家さんでしたから、たぶんこれより後に完成した作品はないのでは。

著者の作品は少々荒削りで、やたらと細かなところにこだわり、詳しくいちいち説明を書くようなところがあるものの、どこか惹かれるものがあり、デビュー作「流星たちの宴」からほとんどの作品(文庫のみ)を読んできました。この遺作だけは単行本で購入しました。

特に私小説風の「病葉流れて」に始まるシリーズは、昭和の高度成長期からバブル期へと向かう日本中が狂ってしまったような経済状況が描かれていて、私もその時代の隅っこのほうにわずかながら存在していたという実感と懐かしさを感じながら面白く読みました。そのシリーズ含め、まだ文庫になっていない作品もいくつかありますので、今後はそれらを待ちたいと思います。

「病葉流れてシリーズ」に関しては「最後の無頼派作家白川道氏逝く」に書いてます。

本書では経済犯で刑務所に収監されていた小説家が主人公ですが、自身が経済犯で2年半服役した経験から、主人公をイメージしてふくらませていった内容となっています。

この小説では戦後の沖縄の歴史とも深く関わっていて、ちょうどいま普天間基地の辺野古移転で揺れる沖縄の現状と少しかぶるところもあり、タイムリーな内容となっています。

あらすじは、主人公で現在は作家の男の元に、収監中の刑務所で一緒だったアメリカ軍人の娘だという女性が現れます。

主人公は出所する直前にそのアメリカ人から沖縄に住んでいる恋人への伝言を頼まれたものの、刑務所時代のことは早く忘れたくてずっと無視を決めていました。しかしその女性に恋心を持ってしまい、女性とともに沖縄へと渡り、その伝言に秘められた謎について調べ始めることになります。

次々と登場してくる人物の会話から、その想像や思い込み、伝言、噂が頻繁に出てきて、読んでる側も話しがとっ散らかって混乱してきますが、沖縄が持ち合わせる過去の負の遺産はじめ裏側の部分、闇の世界に近づいていきます。

やがては主人公達の身に危険が迫るというハードボイルドらしい緊迫した空気も感じられ、映像化をしても面白そうな出来となっています。

最後のクライマックスでは、もう少しひねりや衝撃の展開があるのかとワクワクしていましたが、結果としてそうしたものは特になく、普通に終わってしまったのは最後の作品としてちょっと残念です。

         

ギフト (双葉文庫) 日明 恩

鎮火報 Fire's Out」や「それでも、警官は微笑う」がたいへん面白かった著者の2008年(文庫は2011年刊)作品です。

主人公はある事件がきっかけとなり警察官の職を辞した須賀原という独身の男性で、退官後は世間から隠れるようにひっそりと生きています。その主人公が勤めるレンタルDVDショップで、たびたびホラー映画の前で涙を流す少年を見つけます。

そしてある日交差点で突然道路へ飛び出しそうになった少年をとっさの判断で助け、事情を聞くとなんと映画の「シックス・センス」に出てくる少年と同様、死者が見えるってことがわかり、、、

そういえばアメリカのサスペンスホラー映画で「ギフト」っていうのもありましたね。特殊な予知能力のことを神から与えられた「ギフト」と呼んでいたような。そこからこのタイトルもきているのでしょうか。

小説は連作形式の短編となっていて、交差点で交通事故に遭って死亡した老女、人間に虐待されて死んでしまった犬、自宅の庭の池で溺死した幼い少女、恥をかかされて自殺した虚言癖のある中年女性など、それぞれ理由があって地上に彷徨っている幽霊たち?の願いを、死者が見える少年とともにかなえていきます。

ま、今までの公務員が活躍する現実的な?お仕事本とはうってかわり、あまりにもリアリティのない内容で、世の果てまで見てきたような中高年男が読むには少し戸惑いがありますが、こうしたティーンエージャー向きのほんわかするような小説もあっていいのだろうと自分を納得させました。

この小説も「シックス・センス」や「ギフト」同様、大人から子供まで楽しめる映像化に向いた作品かも知れません。悩める主人公で元警察官の須賀原役には妻夫木聡あたりが向いているのでしょうか。

         

巡礼 (新潮文庫) 橋本治

著者は昭和23年生まれの67歳、いわゆる団塊世代に属する作家さんで、1977年にデビュー作とも言える「桃尻娘」など、それぞれの時代を反映したユニークな作品を多数書かれています。また評論やエッセイなどでも有名な方です。この巡礼は2009年に発刊され、2012年に文庫化されています。

テーマはいま大きな社会問題となっている「ゴミ屋敷」とそこの住人で、住人の親や家族はもとより、迷惑がる周囲の住人達やゴミ屋敷がある新興住宅街が出来上がってきた歴史などもおりまぜた壮大なスケール?の小説となっています。

ちょっと話しはずれますが、ゴミ屋敷の問題は、そこの住人の健康問題、つまりゴミをゴミと認識できず、ただ集めて捨てられず、臭いや不衛生にも無頓着になってくるという住人の精神的疾患が絡んできますので、行政側もマスコミ側もうかつに手を出せないタブーな領域となっています。

それに個人の土地内であれば、持ち主の了解なしでは不衛生や臭いがするという理由だけで勝手に掃除したり処分をすることはできません。そこの住人にとってはゴミも自分の資産だと言い張るので、行政も簡単には動けないわけです。

どうしてそうした精神構造に陥ってしまったのか、周囲の住人達はどう考え行動するのか、などあくまでフィクションですが、深層心理にまで踏み込んだ、追い詰められていく人物描写がうまく描かれています。

ただ視点というか語る主役が様々な登場人物に置き換わり、途中になかだるみを感じます。ゴミ屋敷の住人と弟だけにに限定した視点だともっとわかりやすくなったかなと。

結構暗くて気の重い話しですが、小説の最後の2行「修次は、暗い闇の中にいた自分の兄が、金色の仏と夜の中で出会ったのだと思った。そのように思いたかった・・・」で少し救われた気持ちになります。

         

働かないオジサンの給料はなぜ高いのか: 人事評価の真実 (新潮新書) 楠木新

サラリーマンは、二度会社を辞める。」「会社が嫌いになったら読む本」など会社と仕事に関する独特の感性と考え方をもつ著者は、私と年齢が近いですが、社会人のスタートは私のように3流大学から3流零細企業へ入ったのではなく、京大から生命保険会社へというエリートでした。

そして働き盛りの40代にうつ病に罹ってしまい休職することになり、その後はご自身の経験などを生かして「こころの定年」評論家として活躍されています。

本書は新書ですから毎度のことで、ほとんどの場合著者には責任がないのですが、タイトルに下世話で刺激的な言葉を使って、「売れればなんでもOK!」と中身以上の興味を引くようになっていて、ネットのニュースと同じ臭気が漂います。出版社などメディアにいる人独特の感性でしょう。

さて、本題は著者が30年近く経験してきた雇用問題や企業の採用慣習などをまとめたものですが、いかんせん、著者自身がエリートで、新卒時は悠々と大企業への入社組だけに、おそらく多くの人には無縁の世界の話しかも知れません。

例として出てくる企業も、銀行や証券会社、総合商社、大手製造業、大手流通業、市役所、中央官庁など数千名〜数万名規模の会社や組織が中心で、そうした大企業や大手官公庁で働く人の割合は勤労者全体の約20%(大企業数の割合は全体の0.3%)ぐらいですから、他の80%の人には縁遠い世界のことです。

私も若い頃に高杉良や城山三郎のビジネス小説をよく読みましたが、「どうも自分の働いている会社の環境と話しが違い過ぎてるな、小説だから盛っているのか?」という違和感が常にありましたが、それは小説に出てくる大企業内部と、自分が勤める零細企業との差だということが、あとになってからわかりました(鈍すぎます)。

もちろん新卒の学生が能力やスキルを評価してもらえると勘違いをして必死にそれを人事部へ訴えかける無駄を説くあたりは納得いく箇所ではありますが、それも大企業と中小零細とでは大きな差があり、特に零細ベンチャー企業なんかでは今や「一緒に働きたい仲間募集」などしち面倒なことはせずに、「能力スキル重視」で採用していることは当然知ってのことだろうと思います。

結局「働かないオジサン」ができるわけは、新卒一括採用と終身雇用という日本独自の雇用慣習が純然とあるからという結論ですが、今でもそれが残っているのは、官公庁や大企業だけで、もう余裕などない中小企業や零細企業にはそんなのはほとんどないのですけどね。

私が経験した数社の中小企業では、新卒も数名は採用してましたが、それ以上に中途キャリア採用が多いし、定年まで勤め上げるような人はいない(辞めていくか辞めさされる)、そういうのとまったく無縁のところばかりでした。

しかし働かないオジサンがクビになる前にやっておくべき事など、身に覚えがある人は読んでおいたほうが気休めになるかも知れません。


【関連リンク】
 6月後半の読書 精霊の守り人、国家の闇、ミッキーマウスの憂鬱、きみはポラリス
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節電が定着してきた 2015/7/18(土)

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夏真っ盛りとなり、また電力不足が心配される時期となってきましたが、さすがに原発が停まった直後の2011年や2012年の夏ほどには「省エネ」を言わなくなりました。

それは火力発電をメインとする他の発電をフル稼働することで、この需要のピークが乗り切れるということなのでしょうが、同時に福島原発事故を経験し、産業界も一般家庭も夏の省エネが恒例化しつつあり、2011以前のように闇雲に電力需要が伸びていくということがなくなったためでもあります。

例えば夏季のピーク時の電力需要が震災前の2010年には176GWだったものが、2011年には155GW、2012年には154GW、2013年158GWと、震災前の2010年と比べて87〜89%に減少しています。(出典:独立行政法人科学技術振興機構)

東日本大震災後における消費電力の変化(PDF)

国内の年間電力需要の推移を見ても明らかに2011年以降は減少傾向にあります。もっとも夏場の電力需要は、景気以外にその夏の気温によっても大きく変動するので、猛暑がやってくると一気に需要が増すってことはあり得ます。



思い起こせば、2011年の震災直後は計画停電というとんでもない事態にまで追い込まれ、実際に多くの企業や家庭に影響を及ぼしました。

幸い、私の勤務してた地域や住居のある地域では結局停電は起こりませんでしたが、当初停電が予定されていたというだけで、その地域のスーパーはその時間帯は臨時閉店、電車も止まるかもって言われていました。

社会インフラをはじめとして、企業、店舗でコンピュータを導入していないところはなく、電気が止まると混乱必至となります。

計画段階で、官庁が集まる東京の千代田区や大企業が集まる中央区や港区など都会の中心部は計画停電から除外され、その他の地域も複数回計画停電された地域もあれば、同じ首都圏内(東京電力管内)でも一度も停電にならなかった地域もあります。その差はいったなんなの?って疑問に感じました。

その時に都市伝説的に言われていたのが、

 (1)官庁や大企業がある地域は停電しない→影響が大きいから?
 (2)公立の大病院がある地域は停電しない→直接命に関わるから?
 (3)浄水場のある地域は停電しない→ライフラインの水道が止まってしまうから?
 (4)電車沿線で変電所のある地域は停電しない→電車が止まるから?
 (5)東電の重役が住んでいる地域は停電しない→???

実際どうだったかは定かではありませんが、なんとなく、どれもありそうでしょ?

それはさておき、その電力需要が逼迫した時に国を挙げて「節電」に取り組みました。

その結果、身近なところでは、冷房・暖房設定温度の調整、派手なネオンサインの削減・停止、電球や蛍光灯からLEDへの交換、照明の減灯・消灯などがおこなわれました。

我が家でも部屋の照明を順次LEDタイプに交換したり、20年前の古いエアコンから新しい省エネタイプへの交換など、まるでなにかに追い立てられるかのように(流行に乗せられ)省エネに協力してきました。

国もスーパークールビズなんて名前をつけて、半裸になってもいいから冷房が効かない部屋や工場で労働者諸君は我慢して働いてくれと。

足が悪いのに、地下鉄の駅の上りエスカレーターが停止してつらかったことを思い出します。電鉄会社は「身体の不自由な方用にエレベータは動かしてます」とか言うけど、目的地と反対側に1基しかないエレベーターに乗ると、遠回りでずいぶん余計に歩かなければならず、役立たずでした。

実はこの節電って営利企業にとってはものすごくメリットがあるんですね。オフィスでも工場でも商店でも駅でも、大量の照明や空調などを使わない場所ってありませんから。

「国がそう言っているんだから」という理由で堂々と照明を落とし、空調を減らし、エスカレーターを停めることで、今までかかっていたコストが意外に大きく削減できることがわかり、それまで固定費として当たり前に支払っていた数百万円から大企業に至っては数千万円の電気代が意図しないまま節約することができました。

一度味をしめるともう後戻りはできず、節電の必要がなくなってからも、客や労働者のクレームなどどこ吹く風、堂々と「当社は節電に努め、環境に配慮しています」などと開き直ったかのようにのたまって、利益を上げることに邁進しているってわけです。

私の場合、通勤電車の中で読む文庫本がずっと楽しみでしたが、あの震災以来、照明を落とされ、場所によってはたいへん暗い電車の中で、小さな文字を読むのがきつくなってしまい、その楽しみが奪われつつあります。明るい場所に移ればいいじゃない?って言われても、朝夕の満員電車の中では、身体を押し込むのがやっとで、自由に明るい場所を選ぶなんてことはできません。

同様に企業(店舗や団体等含む)が、「環境のために」とか「エコロジー」とか急に声高に言い出すのは、決して地球環境のことを思ってのことではなく、「自分たちの利益のため」であるということです。

「環境に優しいクルマ」って言うけど、それは「まだ乗れるクルマをゴミにして廃棄させ、膨大なエネルギーを使って作られた新しい高いクルマに買い換えさせる」ことであり、「当館は全館禁煙です」は「灰皿を撤去したおかげで掃除をする人件費代を浮かせる」ことであり、「節電に努めております」は「利益を出すため経費削減に努めている」と読み替えることができるのです。

節電が定着したことで、一見してはいいことのようですが、それによって迷惑を被っている人もいるってことに気がついてもらいたいものです。


【関連リンク】
904 金持ち道楽な燃料電池車への補助金は税金から
803 リサイクル料金は時代の徒花か
660 地熱発電大国への第一歩を踏み出したか?
512 真夏の節電で儲かるビジネスはなにか
438 生物多様性と絶滅危惧種について
252 エコとか環境保護という胡散臭さその1


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それでも宝くじに夢を見る 2015/7/22(水)

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現在恒例のサマージャンボ宝くじが7月末まで販売されています。このジャンボ宝くじというのは、電車の中吊り広告や、テレビコマーシャルが多く露出度が高いためか、なにか年中通して売られているように錯覚します。



いわゆるジャンボ宝くじと言われる全国共通の大型の宝くじは、「グリーンジャンボ宝くじ」、「ドリームジャンボ宝くじ」、「サマージャンボ宝くじ」、「オータムジャンボ宝くじ」、「年末ジャンボ宝くじ」の年5回実施され、それぞれ約1ヶ月間ほど販売されますので、1年間のうち約半分近くはなにかのジャンボ宝くじが売られているってことになります。

今年の5月から6月にかけて販売されていたドリームジャンボは1等賞金が5億円、前後賞各1億円を合わせると7億円という庶民にはまったく縁がなさそうな賞金でしたが、このサマージャンボも同様の賞金となっています。

昔の宝くじ(全国)というのは、1等賞金は庶民の夢であった土地付きの一戸建て住宅が買えるぐらいというのが常道で、私が小学生だった頃(60年代)は1等賞金は1千万円だったと思います。その後1979年に1等賞金が2千万円のジャンボ宝くじが登場します。

80年代から90年代にかけて、バブル経済で土地の値段が急上昇し、それに応ずるかのようにジャンボの1等+前後賞の賞金も、1億〜3億と急上昇していきます。

その後、土地神話が崩壊して住宅価格が下がる一方、宝くじの1等賞金も下げて当選者を増やせばいいのにそうはならず、一か八かの射幸心を高めるためか、宝くじの賞金だけは増加していき、一般庶民に7億円が当たったとして、いったい何に使えばいいの?っていう意味不明の領域にまで達しています。

1等当せん金の推移
 1979年 2千万円
 1980年 3千万円 前後賞含み5千万円
 1985年 5千万円 前後賞含み7千万円
 1989年 6千万円 前後賞含み1億円
 1999年 2億円 前後賞含み3億円
 2012年 4億円 前後賞含み6億円
 2013年 5億円 前後賞含み7億円

この1等前後賞賞金額推移と、大卒の初任給推移とを重ね合わせて見ましょう。



見事なまでに1等前後賞7億円は、世間の空気が読めていない急増ぶりですね。

最近は「住むところは自由に変えられる借家がいい」と持ち家を良しとしない人も増えてきていますので、7億円の賞金の使い道として一番考えられるのは、「働かずに一生遊んで暮らす」っていうことぐらいで、その場合、年間1千万円ずつ(月間83万円、1日2万7千円)を使っても、利子は考えず70年間使えます。宝くじを買う人の多くは10代ってことはないでしょうから、ホントにそんなに高額の当せん金が必要か?って思ってしまいます。

その昔、所ジョージが宝くじのテレビCMで「3億円、これだけあれば人生、たいていの問題は片が付く」って言っていた気がしますが、これはすごく的確なコピーだと感心しました。庶民なら今でも変わらず3億円あればたいていの問題は解決しそうで、それに4億円を上乗せしたからと言って、販売実績が大きく変わるようにも思えませんが、着々と1等賞金だけは上がっていくのが不思議です。

1等賞金を高額にすれば、原資と還元率が変わらなければ、当然その分当選者数(本数)は減ることになりますが、特にクレームはついていないようです。嫌なら買わなくていい!っていう競争がない殿様商売だからでしょう。

あとそれと、せっかく高額当選しても、1年間で当せん金の支払いが時効になる前に当選者が現れないというのも不思議なものです。

昨年から時効前の1億円以上の未受領当選本数は、ドリームジャンボ4本、サマージャンボ6本、オータムジャンボ1本、年末ジャンボ17本、グリーンジャンボ18本の計46本になります。どこの誰かは知らないけれど、もったいないですね。

時効になった当せん金は、表向きは寄付などに回ることになっていますが、毎回一定数あるということは当然収益計画(つまり分け前)に組み込まれているように思われます。

もう有名になりましたが、宝くじの運営母体は総務省など官僚や役人の天下りが占めていて、楽々と宝くじの売り上げから巨額の給料や、寄付や助成金として大金を扱う怪しげな権限が与えられ、巨額の資金を集めるだけに政治家までが群がり、これ以上安定した官製営利事業はないでしょう。

宝くじは総務省の管轄で、他にも公営ギャンブルの競馬は農水省、競輪は経産省、競艇とオートレースは国交省、サッカーくじのtotoは文科省、パチンコは警察というように、役人同士でうまい汁をわけ合う構造となっていて、その天下り先の確保と、自由に巨額の資金が自分たちのために使えるようになっているわけです。

ま、それはともかく、日本の宝くじの元祖富籤(とみくじ)は、今から950年ほど前の鎌倉時代にはあったという歴史のある仕組みで、人の絶えることのない欲望につけ込んだ絶対に損をしない金儲けの方法が、いつの間にか「夢を売る」って言い方にすり替えられましたが、元々は掛け値なく博打の一種であり、他の公営ギャンブルと変わりないものです。

宝くじで一番腹が立つのは、テレビ広告の多さです。本来なら配当の当せん金に使うべきものを、次から次へと有名人を利用して、つまり芸能界や大手広告代理店にお金をばらまき、射幸心を煽り続けてきました。

収益金の一部を社会の福祉に活用するという立派な大義名分など忘れて、派手な広告やネオンサインで呼び込む郊外や駅前のパチンコ屋となにも変わらなくなってきました。当然ながら巨額の広告費の一部は、、、(以下自粛)。

数学者の多くは、宝くじの当選確率(配当率)の低さ故、買わない人が多いと言いますが、私の場合は、子供の頃にいつも母親から「買ってきて」と宝くじを楽しみにしていたことをいつも思い出し、まるで義務であるかのように毎回買い続けています。アタりゃしないんですけどねぇ、、、


【関連リンク】
804 高齢就業者と非正規雇用
699 大学へ奨学金で行くということ
669 ネット人口の正しい統計
385 とさかにくる宝くじ収益金の話し
218 年末ジャンボが街にやってくる


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世知辛い世の中 2015/7/25(土)

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世の中が世知辛くなってきたという話しはよく聞きますが、確かになんでもかんでも自分の気に入らないことや、どうでもいいことにまでクレームをつけるという傾向が増えてきているようです。

日本人は我慢強いとか忍耐力があると言われた時代もありましたが、これも国際化のひとつなのでしょうか、個人主義が進み、自分さえよければという自己中心的な考え方や、他の解決方法は考えず、すぐに他人へクレームをつけたり攻撃をするスタイルへと変貌しているような気がします。

また良いイメージが壊れて消費者を敵に回すと業績に影響する企業や、事なかれ第一主義の官公庁は、なにかクレームがあると神経質過ぎるぐらいに敏感に反応し、過剰とも言える対応を自らとったり、またとらざるを得ない状況に追い込まれます。

アメリカの出来事で、雨で濡れたペットの猫を乾かそうと電子レンジに入れて殺してしまった人が、電子レンジの説明書に猫を乾かすのはダメと書いていなかったとメーカーを訴えたり、歩道を歩いていた時に、歩道に自然にできた小さなくぼみで転けてしまい足を骨折した人が道路管理者の自治体を訴えるのが日常茶飯事であるのと同様、日本でもちょっとしたたわいもないことにいちゃもんをつけるようになってきているのでしょう。

たわいもないかどうかは別として、最近このようなことが起きています。もちろん賛否両論あることは承知しています。

ひとつめは、

JRの運転士が「水を飲んだら報告」だった理由

6月7日、JR東海が今月から「乗務中の水分補給について報告を不要にした」との報道がなされた。ネットでは「運転士は自由に水も飲めないのか」という同情の声。また、報告事項については、これまで乗客からの苦情の有無も必要とされていた。これも「乗客の方がクレーマーだ。そんな声を真に受けたJR東海もひどい」という論調も見られた。


つまり「乗務員が水分補給をしていると乗客からクレームがつくから、飲むときは苦情有無と合わせて報告するように」と今まで決まっていたようです。

確かに運転中に操作機器から手を離して飲んでいたり、携帯電話を操作していたりすれば、今や即刻ツイッターなどで拡散され、乗務員の糾弾がおこなわれます。その延長線上として、駅で停車中に熱中症予防のため水分補給をしていても、口うるさい乗客からさぼっていると決めつけられるのを恐れたのでしょう。笑止千万です。


2つめは少し古い話ですが最近また復活しているようなので、

3000人の署名より1人の苦情

ほんま山梨の行政のお役人の方々、どうか大自然が広がる山梨で、芝生だけしかない公園をどんどん制作するなら、パブリックパーク作ってください。ローカルが3000人以上の署名を集めました。報道もされました。でも実行しませんでした。
1人の苦情には迅速に行動。多数決じゃないんは分かります。


この2013年のブログを読むと、河川敷の空き地を利用したスケートボードができるコンクリート敷きの公園(広場?)があったが、夜勤で昼間に寝るため静かにして欲しいとひとりの住民が苦情を言ったことで、それまで使えていた公園が使えなくなるって読めますが、他の報道も読むともう少し問題は複雑です。

行政が禁止したのは公園内に勝手にスケートボード用の大きな構造物を作ったことで、通常のスケートボードを楽しむ公園としては禁止していないようです。


荒川に無許可設置、騒音の苦情相次ぐ 市、スケボー台撤去へ(山梨日日新聞)

10年ほど前に市が管理するローラースケート場に利用者が無許可で設置。利用が増えるにつれ、ボードの音などで住民からの苦情が相次ぎ、市側が今月、利用者代表に口頭で撤去を指示した。


つまり違法な簡単に撤去できないような大きなジャンプ台とかが次々とできたことで、多くのボーダー達の人気を集め、ジャンプして着地するときの音も大きくなり、派手なパフォーマンスを見に観客も増え、その結果、違法駐車する人も増えて近隣住人から苦情が出て、その違法なジャンプ台など設置物を撤去しなさいってことのよう。公園自体は存続してます。

なかなか思い切って練習する場所がないボーダーの人達のことを考えると、大目に見てあげてよ〜って気持ちもわかりますが、近くに住宅があればやはり限度というものがあるでしょう。なんと言っても空き家率全国No.1の山梨ですから、人が住んでいない地域もいっぱいあるでしょうから、公園をそちらへ移転するってのも考えてもらいたいですね。

なので、こちらは「たわいもないクレーム」ではないような気がします。


3つめは、

園児の声に苦情 幼稚園が1千万円かけ3mの防音壁

今、幼稚園に周辺住民からクレームが寄せられている。「子どもの声がうるさい」というもので、その対応に1千万円をかけるケースもあるという。


保育園は「迷惑施設」か 近隣トラブルの裏に世代の差

待機児童問題の解決のため保育所の整備が急がれるなか、その建設をめぐって近隣トラブルは増えている。ここ数年でも、品川区やさいたま市、福岡市で保育所の開園が中止になった。練馬区では認可保育所をめぐって2012年夏、「平穏に生活する権利を侵害された」として住民が事業者を提訴したケースもあった。


火葬場の建設やゴミ焼却施設と同様、幼稚園や保育園の新たな設置や移動も近隣住民から同意が得られずに難航しているそうです。

確かにリタイア後は毎日家にいるので、静かな環境でゆっくり過ごしたいという高齢者の住民感情も理解ができます。そして若い人には気にならない子供の高いキーキー声も高齢者にとっては黒板とチョークがたてるキーキー音同様許し難い騒音に感じてしまうことも理解しています。

住民側からすれば、あとからやってきたそうした迷惑?施設のために引っ越す費用もないし、元々そこに住んでいる自分達が出て行くのは理不尽だっていうのもあります。

賃貸の人なら環境が悪くなれば簡単に別の場所へ引っ越せばいいのですが、持ち家率が全体で6割近く、高齢者世帯に至っては持ち家率が8割を超えているだけにそれも難しそうです。

でもねぇ、、、人が暮らしていくのだから、お互いに気をつけないといけないことはあるでしょうけど、感情的にならず、もっとなんとかならなかったのかなぁって思います。

子供の騒ぎ声は飛行機や新幹線など乗り物の中、音楽演奏会など公共の場所でもよく問題になりますが、子供の責任というよりは親や預かる管理者側、そしてそれを我慢する周囲の理解、双方に相手を思いやるだけの気遣いと、こころの余裕が失われてしまったように感じます。

なので、どっちが悪いとか、我慢すべきって白黒つけるものではなく、双方に譲り合ったり、多少は我慢することも必要でしょう。

残念ながら、これら様々なクレーム問題は、今後ますますエスカレートしていく気がします。

理由は、
1)自宅にいることが多い高齢者があと数十年増え続けること
2)反対運動などができる暇を持て余したリタイアした高齢者が増えること
3)自己主張が強い団塊世代高齢者が仕事を引退して家にいること

つまりこれらの仕事を引退し、暇を持てあまし、多くの時間自宅にいる人が今後は日本の社会を動かしていくことになり、様々な気に入らないことに対して積極的にクレームをつけていくことが予想されます。

これはテレビを見ていてもよくわかりますが、しばしば生中継の場合、途中で訂正を入れるシーンが数多く見られます。テレビ局側のミスも増えてきているのかも知れませんが、ちょっとしたどうでもいいようなことですぐにテレビ局へクレームを言う人が増えているのだろうと思われます。

生命に関わりがあるような間違いでなければ、間違いや誤りにもっと大らかな気持ちで、見過ごしてあげる気持ちでいればいいのに、もう完全にクレームを言うことが趣味になっている世界ですね。これも世知辛い世の中になってきている証拠でしょうか。


【関連リンク】
910 テレビ番組はタイムシフト視聴が当たり前?
838 夢の隠遁生活
829 「最後の昭和企業戦士」五十代の悲劇
737 日本人が罹りやすい病気
356 世論調査もネット時代(2つのネット調査付き)


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7月後半の読書と感想、書評 2015/7/29(水)

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星を継ぐもの (創元SF文庫) ジェイムズ・P・ホーガン

著者のジェイムズ・P・ホーガンは1941年に英国生まれのSF作家で、この作品「星を継ぐもの(原題:Inherit the Stars)」は、仕事の傍らで書き上げ、1977年に発表(日本語翻訳版は1980年)されたデビュー作です。残念ながら数多くの作品を残し2010年に69歳で亡くなっています。

この作品が発表された1977年というと、アポロ11号が月面に着陸したのが1969年で、それから8年後という、まだ人類が月に対して期待とあこがれを持っている時期とも重なるのでしょう。

小説ではその月の凍った地中から宇宙服を着た人間のミイラ(チャーリー)が発見され、時代測定をすると、なんと5万年前に亡くなったものとわかります。

地球の5万年前というと化石で見つかっているのはホモサピエンスの起源ともされるクロマニョン人が現れた時代で、もちろん高度な文明や、月へ渡るだけの技術を持っていたわけではありません。

また5万年前にそれまで隆盛を極めていたネアンデルタール人が滅びて、現代人と同じホモサピエンスだけがなぜ生き延びてきたのかなど興味深いテーマと絡んできます。

さらに混乱を極めるのは、木星の周囲を回る惑星のうちガニメデの地下から、2500万年前の宇宙船と異星人が発掘されます。その宇宙船には人間とはまったく別の進化を遂げてきた高等生物である異星人のミイラと、倉庫には檻に入れられた地球から採取したと思われる生物や植物のサンプルが大量に積み込まれています。

専門用語?が飛び交い、ついて行くのにやっとですが、なぜ、今の地球人と5万年前に発達した文明に生きていたチャーリーとがまったく同じ進化を遂げていたのか?、2500万年前に地球上の生物が異星人によって地球外へ運ばれ進化した可能性は?当時の太陽系の惑星はいまちは違ってどう変化したのか?などSF小説ならではの大胆な仮説で面白く読ませてくれます。

しかし小説が書かれた当時は、アポロ計画の後、続いて火星や木星など次々と人類は宇宙への探求をするものと思われていた時期だったでしょうが、その後は考えられていたほどには進まず、火星はもとより、1972年以降は月面にすら新たに人類を送り込むことさえおこなわれていません。現代の科学ならば、技術的にはそう難しいことではないのでしょうけど、経済的なメリットが少なく、その割にリスクが高いということなのでしょう。

先日アメリカの探査衛星が9年の歳月をかけてたどり着いた冥王星の話しも出てきます。その星だけが他の太陽系惑星と違ってもの凄く小さい謎など、なるほどと思わせる推理でうならせてくれます。

なにか久しぶりに夢のあるワクワクするSF小説に出会えたって気がします。

★★★

         

青が散る (文春文庫)(上)(下) 宮本輝

 
1960年代後半、著者の大学時代を描いた長編の青春小説で、1982年に発表されました。その後何度か改訂され、長く読み続けられている作品です。石原慎太郎の「太陽の季節」が東の青春を代表する作品ならば、こちらは西の青春を代表する作品です。

物語は、主人公が希望する大学には受からず、仕方なく滑り止めで受けて合格していた大阪の新設されたばかりの私立大学(追手門大学)へ入学金を納めにいくところから始まります。

高校時代に少しテニスをやっていた縁で、新しくテニス部を作ろうという同級生と一緒になって土方仕事をしてテニスコートを作り、一応形としてはテニス部らしい体裁を整えていきます。

そのテニス部に入ってくる同級生との友情や恋愛、テニス部の後輩とのプライドをかけた戦い、偶然に知り合った他校の大学生やその当時流行はじめていたシンガーソングライターの卵、そして友人の死など、自分の体験を元として、小説になるよう大幅にアレンジを加えつつ、書かれたものと思いますが、それにしてもまだ高度成長を遂げてはいない貧しい日本のなかで、登場人物達は当時としてはえらく優雅な大学生活を送っているなという感想です。

今では文壇の重鎮でもある著者の、原点とも言える青春時代をなぞった、学生生活の模様が淡々と描かれていて、こうしたお坊ちゃま的な作風が、その後もこの著者の様々な小説に反映されていくのだということがよくわかる作品でした。

★★☆

         

月の上の観覧車 (新潮文庫) 荻原浩

2011年に単行本、2014年に文庫化された短編小説を集めた作品です。収録されている作品は「トンネル鏡」「金魚」上海租界の魔術師」「レシピ」「胡瓜の馬」「チョコチップミントをダブルで」「ゴミ屋敷モノクローム」「月の上の観覧車」の8編です。

著者とは年齢が1歳違いと近く、今までに時代と共に見聞きして体験してきた経験則も似ているということもあり、作品は概ね好きで、文庫になった作品の多くは読んできました。

特に早くから若年性アルツハイマー病についての作品「明日の記憶」(2005年)や、直木賞候補にもなった「あの日にドライブ」、タイムスリップもの「僕たちの戦争」、短編の「千年樹」などそれぞれに味があり、また感性が合っていいものでした。

この短編集では仕事、日常の生活、家族の死、淡い初恋など身近なテーマで淡々と語られていき、主人公の年齢も立場もそれぞれですが、なにか重い過去を背負ってきたり、感受性が豊かな普通の市井の人達って感じがして、それゆえに感情移入がしやすく、面白い作品に仕上がっています。

ただそれだけに感動とか、どんでん返しとかに期待はしちゃいけません。

次はビジネス的に求められるこのような短編小説ではなく、じっくりといい長編を書いて、今度こそ誰もが直木賞を推薦する作品に仕上げてもらいたいものです。

★★☆

         

ジェントルマン (講談社文庫) 山田詠美

1985年に「ベッドタイムアイズ」でデビューし、その2年後の1987年には「ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー」で直木賞を受賞したねっとりした大人の性愛、倒錯系?小説が多い流行作家です。そのような先入観というか書評などを以前読み、今まではあえて読むのを避けてきました(1冊だけは読んでいますが)。

1959年生まれの著者は、私とも年齢が近く、そろそろ週刊誌的な男女のドロドロした関係からも距離を置く頃かなと、ちょっと読んでみる気になりました。

この作品は2011年単行本刊、2014年文庫化された小説で、主人公は高校の同級生の男性に惚れてしまった同性愛者の男性です。

その主人公が惚れ込んでしまう男性ですが、高校時代から外面がよく文武両道で誰からも好かれていましたが、実は裏ではとんでもなくエゴイストで残酷な犯罪も平気でおこなっていることを知っています。

そうした倒錯した世界がこれでもか!ってぐらい出てきますので、私のように免疫がないと、読んでいると途中で吐き気を催しそうになってきます。あー気持ち悪い。

それでも男が男を愛する世界に興味があるって人は読めばいいのではないでしょうか。正常な人は、そういう世界のことは無駄なだけで知識として知っておく必要もないと思われます。

結局、期待したようには作風は変わってなく、こうした一部のマニアックな人には好評?だろう倒錯小説は、私のような凡人には無理だったようです。いずれにしても好みが別れるところです。

★☆☆

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