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日明恩 TACHIMORI MEGUMI 既読書籍

007 やがて、警官は微睡る
006 埋み火 005 ギフト
004 ロード&ゴー 003 それでも、警官は微笑う 
002 そして、警官は奔る  001 鎮火報


1967年神奈川県生まれ。日本女子大学卒業。都筑道夫の小説講座に通い小説を書き始める。大学病院で外科教授の秘書を勤める傍ら2002年『それでも、警官は微笑う』で第25回メフィスト賞を受賞し、小説家デビュー。2003年、消防士を主人公にした『鎮火報 Fire's Out』で第25回吉川英治文学新人賞候補。(Wikipediaより引用 2022年)


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007 やがて、警官は微睡る(双葉文庫)

やがて警官は微睡る一般的に「武本&潮崎シリーズ」と言われる警察官が主人公の小説の第3作目で、2013年に単行本、2016年に文庫が出版されています。このシリーズはすでに2018年に第4作「ゆえに、警官は見護る」が単行本(文庫は2022年刊)で出版されています。

昭和時代の香りが漂う無口で強面の刑事と、名家のお坊ちゃまで、一度警察官を辞めi種キャリア採用で復帰してきた軽いノリで多弁な刑事のコンビで活躍するシリーズですが、この3作目は過去のものとは少し違っています。

横浜みなとみらい地区に新規オープンした外資系ホテルで人質を取ったテロが発生し、そのホテルで見合いのためにいた主人公刑事が、若いフロントマンと一緒に武装したテロリスト達と戦うという内容です。

しかし以前のような反社会組織や密輸業者など裏社会との戦いとは違い、多国籍のサイコキラーやあちこちに爆弾を仕掛け、情け容赦なく銃器を打ちまくるというまったくリアリティのない内容にはがっかりしました。

これは「ダイハード」のような、映画やテレビドラマを念頭に派手なエンタメ効果を狙ったものなのか、あまりにも過去の作風と違っていて、シリーズ第1作「それでも、警官は微笑う」(2002年)や、消防署員が主役の別シリーズ第1作で「鎮火報 Fire’s Out」(2003年)以来の著者のファンでしたがもう続編はいいかなという感じです。

★☆☆

2月前半の読書と感想、書評 2024/2/17(土)

006 埋み火 (双葉文庫)

著者日明恩(たちもり めぐみ)氏のFire's Outシリーズの第2作目で、「鎮火報」(2003年)に次ぐ2005年発刊の小説です。タイトルの「埋み火(うずみび)」とは、「炉や火鉢などの灰に埋めた炭火」のことを言います。

主人公は赤羽台消防出張所の消防士大山雄大。元々は安定志向で「楽して一生安泰」の公務員として受けた消防士で、早く昇進して事務方へ回り、9時5時で安全な仕事に回りたいと願っています。

しかしそこは、殉職した消防士だった父親から血筋をひいていて、救え出せなかった被害者や、火事の不自然な原因などに勘がよく働きます。

連続して老人が住む一軒家が漏電などの事故で火事に見舞われ、住人が亡くなっています。しかし不思議に近所への延焼や隣の住人が海外旅行中とか、被害は限定的に収まっています。

警察とは違い、事件性があっても消防士がそれを調査することはありませんが、ある少年と老人との接触を目撃するところから、恐ろしい計画が実行されていることに気がつきます。

ちょっとミステリー的な面もありますが、それよりもコミカルな展開も多く、また雑学としての火災事故や消防署の仕事についても語られていて、気楽に読める作品としては上出来です。

さらには父と子、母と子、親と子など複雑な人間関係も無理矢理描こうと努力されていますが、そちらはちょっと詰め過ぎ感があり、いまいちピンときません。

昨年2015年にはシリーズ3作目「啓火心 Fire's Out」も出ています。それが文庫化されるのを楽しみに待っています。

★★☆

2月後半の読書と感想、書評 2016/3/2(水)

005 ギフト (双葉文庫)
鎮火報 Fire's Out」や「それでも、警官は微笑う」がたいへん面白かった著者の2008年(文庫は2011年刊)作品です。

主人公はある事件がきっかけとなり警察官の職を辞した須賀原という独身の男性で、退官後は世間から隠れるようにひっそりと生きています。その主人公が勤めるレンタルDVDショップで、たびたびホラー映画の前で涙を流す少年を見つけます。

そしてある日交差点で突然道路へ飛び出しそうになった少年をとっさの判断で助け、事情を聞くとなんと映画の「シックス・センス」に出てくる少年と同様、死者が見えるってことがわかり、、、

そういえばアメリカのサスペンスホラー映画で「ギフト」っていうのもありましたね。特殊な予知能力のことを神から与えられた「ギフト」と呼んでいたような。そこからこのタイトルもきているのでしょうか。

小説は連作形式の短編となっていて、交差点で交通事故に遭って死亡した老女、人間に虐待されて死んでしまった犬、自宅の庭の池で溺死した幼い少女、恥をかかされて自殺した虚言癖のある中年女性など、それぞれ理由があって地上に彷徨っている幽霊たち?の願いを、死者が見える少年とともにかなえていきます。

ま、今までの公務員が活躍する現実的な?お仕事本とはうってかわり、あまりにもリアリティのない内容で、世の果てまで見てきたような中高年男が読むには少し戸惑いがありますが、こうしたティーンエージャー向きのほんわかするような小説もあっていいのだろうと自分を納得させました。

この小説も「シックス・センス」や「ギフト」同様、大人から子供まで楽しめる映像化に向いた作品かも知れません。悩める主人公で元警察官の須賀原役には妻夫木聡あたりが向いているのでしょうか。

7月前半の読書と感想、書評 2015/7/15(水)

004 ロード&ゴー (双葉文庫)
2009年に単行本、2012年に文庫化された小説です。Fire's Outシリーズの「鎮火報 Fire's Out」や、武本・潮崎シリーズの「それでも、警官は微笑う」など著者の作品はすべて気に入っていています。

お仕事内容がよく反映されている小説と言うことで、林業従事者を描いた「神去なあなあ日常 」や、出版社の辞書編集室で働く人を主人公にした「舟を編む 」などの三浦しをん氏とも作風が少し似通っているかなと思いますが、著者の場合は、もっぱら警察官や消防士といった公務員系が多いのが特徴です。

また同じ公務員を主人公にすることが多い真保裕一氏は、ミステリーやハードバイオレンス、国際陰謀などへと展開していくのに対し、著者の作品は、あくまでファミリードラマ的でコミカルです。

この作品は東京消防庁で働く消防隊員を描いた「鎮火報」と同様、消防署勤務の救急隊員を主人公にした作品で、その「鎮火報」で活躍した主人公大山雄大とも知り合いで、10代の頃は暴走族をやっていた元不良という設定です。

タイトルの「ロード&ゴー(Load and Go)」とは、正式な救急概念で、「頭頚部〜体幹の生命に危険のある損傷など、重症外傷現場においては生命に関わる損傷の観察・処置のみを行い、他の観察・処置はすべて省略し、できるだけ速やかに(5分以内)現場を出発すること」こととされています。この小説では渋谷の路上に吐血して倒れている患者を帰署途中の救急車が発見し、無線で「ロード&ゴー」をセンターに伝えます。

救急車や救急隊のことは消防車や警察のパトロールカーほど一般的には知られていませんが、この小説ではその活動内容が詳細に描かれています。本文の中にも書かれていましたが、同じ消防署にありながら、過去の経緯から「消防署」とは言っても「救急署」とは言わない、消防署の中ではどちらかと言えば日陰者に近いのが救急隊員です。

その救急隊の日常勤務や、よくトラブルになる不合理なことを言うモンスター患者や、付添人との関係、搬送先病院が見つからずに、重篤な事態を引き起こしてしまう社会問題などを、あり得なさそうな派手な事件を使ってドラマに仕立てています。

そのうち、鎮火報とセットで、テレビドラマか映画化でもされそうな気がします。もちろん東京消防庁の全面協力という図式になるのでしょうが、それをきっかけに、救急車をタクシー代わりに使ったり、自分で行けるに関わらず、病院で何時間も待たされるのを避けるため救急車を呼んだり、1人住まいの家でドアに鍵をかけたまま救急車を呼び、部屋に入るため鍵を壊すとあとで抗議されたりとか、理不尽なことが減るといいのですけどね。

9月前半の読書と感想、書評 2014/9/17(水)

003 それでも、警官は微笑う (講談社文庫)
昨年読んだ武本・潮崎シリーズの「そして、警官は奔る」の前作になります。つまり2作目を読んで面白かったので1作目も読もうと買ってきました。著者のその他の作品では「鎮火報 Fire's Out」を読みましたが、こちらは消防士が主役の小説で、こちらもとても面白かったです。

著者の名前は日明恩と書いて「たちもりめぐみ」と読みます。普通の人は読めませんよね。ということは、書店によって著者順に並べてあったとしても「タ」のところにちゃんと置いてあるかどうか怪しかったりします(多くの書店員さんは賢いから大丈夫かも知れませんが)。

そしてこの著者は警官や消防士という、男臭くて汗臭い男を主人公とした小説を書きますがなんと女性です。

主人公の武本は高卒で警視庁に入り、硬派で真面目一方のたたき上げの刑事。コンビを組まされている後輩の潮崎は、大卒で国家試験を通り警視庁に入庁してきたキャリアではないもののエリートで、しかも実家が茶道の名門家元とかで、警視総監クラスの上流社会にコネをもち、警察組織の中でどう扱っていいか困って、本人希望で現場の所轄に配属された刑事。年は若く経験も少ないものの、役職は武本よりも上というありがちな設定です。

そしてこの二人は経歴と同様に、性格も対照的で、無口で人嫌いな主人公と、とにかくよく喋り、誰とでもすぐに仲良くなれる潮崎は、お互いに自分にない、いいところを認め合っています。

前述の通り、このシリーズの2作目は昨年春に読んでいますが、その時謎だった二人の関係や主人公の武本、潮崎二人の素性がこれを読んでようやくわかりました。やっぱりシリーズものは最初から読まなきゃダメですね。

第2作目を読んだときの感想文では「堂場瞬一氏の作品と共通する匂いがある」ような事を書きましたが、この1作目を読むと暴力的指向性が楡周平氏の作品のイメージに似たところがあるなぁって感想。いずれにしても刑事や知能犯を派手目に描くと味付けは似てきてしまうのは仕方がないところで、最近ちょっとそういう作品が多すぎるかなぁという気がします。

5月後半の読書と感想、書評 2014/6/4(水)

002 そして、警官は奔る (双葉文庫)
昨年読んだ「鎮火報」が、たいへん面白かった日明恩(たちもりめぐみ)氏の作品で、2004年(文庫は2008年)発刊されています。あとで知りましたが、この作品はシリーズ化されていてこの本が第2作目です。シリーズ1作目は「それでも、警官は微笑う」が2002年に発刊されています。

しまったなと思うのは、登場人物などその1作目からの流れに関係すると思われることが結構でてきますので、この2作目から読むとなにのことを言っているのか意味不明の箇所がいくつかあります。シリーズものの場合、どれから読んでも影響がない作品もありますが、そういうところを気をつけて読まなければいけませんね。

寡黙な警視庁蒲田署の刑事武本と、武本を慕う元部下で現在は退官している潮崎の二人を主人公としたこの作品は、外国人の不法滞在とその子供達がテーマとなっています。

おそらくシリーズ1作目でなにかが起きて警視庁を退官してしまったらしい潮崎が、この作品では国家I種試験に合格し、いわゆるキャリアとして警察庁入庁をほぼ決めてから先輩武本の前に現れます。ところがこのコンビがどうして生まれてどういう関係なのかは2作目から読むとわかりません。つまり1作目から読み直せということなのかしら。

多くの警察物小説にも共通しますが、警察内部のことが詳しく書かれていて、よく調べたなと感心します。特に女性作家でこのような男の刑事を主役とする小説を書いている人は少ないでしょう。

ちなみに国家I種試験でキャリアの道を歩むのと、通常、高卒・大卒で巡査から入るのとでどれだけの差があるかというと、I種合格者が入庁し7年経つと自動的に階級で言うと上から5番目の警視になります。

大学卒業と同時に22歳で入庁すれば29歳で一般的に各地の警察署長に多い警視の階級になれるわけです。

一方でもっとも下の9番目の階級で巡査から入れば警視まで上がるのは難しく(キャリアも含め警察官全体のわずか2.5%)、しかも順調に昇任したとしても45歳以上となります。実務能力があろうとなかろうと関係なく、入るときに大きな格差があるわけです。

読み進めていると、堂場瞬一氏の警察小説「刑事・鳴沢了シリーズ」と雰囲気が共通するところがあります。

同シリーズは全部を読みましたが、いま思うと昇進や権力には興味がなく、勧善懲悪、クールだが心の中は温かいと理想に近い刑事で、ちょっと現実的にはあり得ねぇと思ったり。

正直に言うと「鎮火報」の主人公のような軽いノリの軽快なストーリーを期待していたのですが全然違っていて、どちらが本当の日明恩氏の作風なのかよくわからなくなりました。まぁ両方っていう答えなのでしょうけれど。

しかしこの手の刑事を主人公とした小説は数多くあり、デビュー作からのシリーズとは言え、厳しく言えばこの作者のものでなければならない特徴も理由も特に見つけられません。それゆえにこの作者には刑事以外を主人公とした作品を強く望みたいところです。

3月前半の読書 2013/3/17(日)

001 鎮火報 (双葉文庫)
日明恩(たちもり めぐみ)氏は1967年生まれで、2002年に「それでも、警官は微笑う」でデビューしたミステリー作家さんで、この鎮火報は、第二作目であり、その後シリーズ化される「Fire's Outシリーズ」の第一作目となります。

主人公は今どきの若者で、手っ取り早く楽して終身雇用の公務員になれると消防士になった大山雄大20歳です。読み始めてしばらくすると、先般読んだ「あぽやん」の主人公となんとなく今どきの真面目なんだかよくわからない働く若者という点だけは似ているかなぁって。

ところで「鎮火報(ちんかほう)」ってなによ?と最初は知りませんでした。火事現場へ向かう際にはサイレンと激しく連打する鐘を鳴らして走りますが、消火作業が終わり(鎮火)、署に戻るときに鳴らすゆったりとした鐘の合図とのことだそうです。そういえばサイレンは鳴らさず、鐘だけをゆっくりと鳴らして走っている消防車を何度か見掛けたことがありますが、あれがそうだったのですね。

警察ものの小説は星の数ほどありますが、消防ものは意外と少なく、あってもハイパーレスキュー(消防救助機動部隊)のようなスーパーヒーローものが多く、下町にある普通の消防署とそこの最下層の署員を描いたものは滅多に見かけません。

ストーリーは、不法滞在外国人が住むアパートに入国管理局と警察の手入れが入るとそのあとになぜかその住まいが放火されることが連続し、そのことに主人公やその仲間が気づきます。そして誰がどうやってという謎を解き明かしていきます。主人公含め登場人物がなかなか魅力的で、それがシリーズ化されるポイントでしょう。

シリーズ第2弾は2年後の2005年に「埋み火」(文庫は2010年)が出ていますが、その後は続いていないようです。もう少しシリーズ化してネタを増やし、その後東京消防庁の協力を得て実写ドラマ化をすれば結構面白そうに思えるのですが、どうなんでしょうかね。ただ今は不況で署員採用の競争率は高く、あらためて活動のPRをする必要もないので、難しいのかもしれません。

7月前半の読書 2012/7/18(水)


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