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読みやすいようにアーカイブは昇順(上から古いもの順)に並べ替えました。上から下へお読みください。

日記INDEXページ(タイトルと書き出し部の一覧)はこちらです
927 5月後半の読書と感想、書評 2015/6/3(水)
928 学校の教職員を減らす動き 2015/6/6(土)
929 人だけが長生きをしたがる 2015/6/10(水)
930 加齢性難聴とは 2015/6/13(土)
931 6月前半の読書と感想、書評 2015/6/17(水)
932 お薦めの面白い小説(翻訳本) 2015/6/20(土)
933 飛び込み営業について 2015/6/24(水)
934 子供の教育費にいくらかけますか? 2015/6/27(土) 

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5月後半の読書と感想、書評 2015/6/3(水)

927
慈悲深い死 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) ローレンス・ブロック

ニューヨークが舞台のアル中探偵マット・スカダーシリーズ7作目の作品で1990年に翻訳版が出た作品です。2012年に同シリーズ17作目「償いの報酬」が出た後はもう次はないかなと思っていますが、過去にさかのぼってまだ読んでいなかった本をぼちぼちと探しているところです。

この作品では自身のアルコール中毒から苦心して抜け出すためにもがき苦しむ様子が描かれ、新しい恋人ができたり、さらにこのシリーズの後半で欠かせなくなる、友人でありよき理解者のミック・バルーとこの作品の中で知り合うことになります。パーカーのスペンサーシリーズで言えばホークのような存在です。

あらすじは、女優を目指しニューヨークで一人で住んでいた娘が3ヶ月前に行方不明となり、その父親がインディアナ州から出てきて娘を捜して欲しいとスカダーに頼みます。そして着手金千ドルをもらい捜査を始めますが、まったく手がかりがつかめないでいます。

一方断酒を継続するためのAA集会(アルコール中毒者の会合)でいかにもケチな犯罪者風の青年と知り合うこととなり、来週にも自分の告白を聞いて欲しいと頼まれますが、翌週になっても男は現れず、嫌な予感がしてアパートを訪ねるとそこでその青年の死体を発見します。

このまったく関係がない二つの事件を追いかけ、ふとしたことがきっかけで、それまで行き詰まっていた二つの事件の捜査が一気に進展していきます。

シリーズの他の作品を読んでいなくとも、これ単独でも十分におもしろく読めそうですが、やはり過去から引きずっているアルコール依存になった原因などは知っていた上で読むほうがよりいっそう楽しめるでしょう。

著者別読書感想(ローレンス・ブロック)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

港町食堂 (新潮文庫) 奥田英朗

この著者の作品は過去文庫化されている小説はだいたい読んでいますが、これは珍しい?っていうか、たぶん初めての紀行エッセイ集で2005年刊(文庫は2008年刊)です。

旅先は、すべて新潮社がセッティングし、同行の編集者やカメラマンがお世話してくれるあご・足・枕つきの優雅な旅で、訪れる場所、そして港町独特のおいしい魚料理を食べる店まで出版社におまかせというご大尽ぶりで、なんのご褒美?っていうぐらいのうらやましさ満載の紀行集です。

人気が出てきてそのうちに大きな賞をとりそうな(このエッセイ連載中に直木賞受賞)作家先生に、講談社(デビュー作他多数)や文藝春秋(直木賞受賞作品他多数)に大きく差をつけられ、遅ればせながらも新潮社で書いてもらおうための接待攻勢か?って思わなくもありません。それにしては船の中では同行者と相部屋の二等部屋だったりして不満?タラタラのところもあったりしますが。

行き先は高知土佐清水、長崎五島列島、宮城牡鹿半島、韓国釜山、新潟佐渡、礼文島となっています。テーマが港町ですので、船に乗ってその目的地へ入ることにこだわっています。

そういえばNHKの番組「ブラタモリ」で、長崎を訪れたタモリが「長崎のような港町は、船が着く場所が表玄関で、こうした港町へは船で来るのが正統な訪れ方」って言ってましたっけね。よくわかっていらっしゃる。

その中でも宮城県牡鹿半島編では、震災前の石巻、金華山、女川の美しい風景の描写が出てきて当時を偲ばせます。また女川港へ向かう船からは、巨大な女川原発が見え、その原発設置の恩恵として女川に建てられていた豪華な近代的な公共ビル群を淡々と「女川住人の選択」と書いてあるのが、それから6年後に町の8割の建物が津波でなくなってしまうことをなにか暗示していたかのようです。

著者別読書感想(奥田英朗)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

グランド・フィナーレ (講談社文庫) 阿部和重

2005年の芥川賞を受賞した「グランド・フィナーレ」をはじめ、「馬小屋の乙女」「新宿ヨドバシカメラ」「20世紀」の計4編を収めた短編集です。

芥川賞受賞ということから新人作家か?と思ってしまいますが、あにはからんや受賞したときはすでにデビュー後10年以上が経っていました。デビュー作品は1994年発刊「アメリカの夜」で、その作品含め何度か芥川賞候補になっていました。

この著者の作品を読むのはこれが最初ですが、評判になっている「ピストルズ」(2010年)を探していて見つからなかったので、この作品を先に買ってきて読みました。

芥川賞の候補は純文学作品ということですが、最近の同賞の小説はどうも若者の感性と流行を追いすぎているものが多くて、どうもいけません。中高年者にとってはということですが。

というか、ストーリーは単純明快なものが一応ちゃんとあるのですが、それで結局何が言いたかったの?書きたかったの?主題や意図は何?なにかを暗示している?ってところが私にはよくわかりません。モブ・ノリオの「介護入門」もそんな感じで、芥川賞ってそんなのばっかり。

ストーリーは映画制作会社に勤め、妻と子がいる主人公の男性が、自分の中のロリコン性癖に目覚め、仕事で知り合った小学生の少女と付き合い、アルバイト感覚の少女をロリコン誌へ紹介して小金を稼いだりしています。

しかし自分でも少女や自分の娘の裸の写真を撮ってためていたことが妻に知られることになり、離婚裁判で接近禁止命令がでて、結果仕事も辞めざるを得なくなり、地方にある実家でブラブラしています。

そうした中で、旧友に頼まれたボランティアの仕事が、少女が演じる舞台の演技指導。だからなんだっていうのよ?ロリコンには避けようとしても避けられない宿命があるとでも言いたいのだろうか?他の3作品も似たり寄ったりで、結論というかよくわからないぞー。あ〜気持ち悪い。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

リア家の人々 (新潮文庫) 橋本治

シェークスピアの有名な悲劇「リア王」をモチーフにしたもので、昭和の時代の一家の日常を描くという手法をとった小説です。

私は「リア王」を読んだことがありませが、ざっくり要約すれば「長女と次女に国を譲ったのち2人に事実上追い出されたリア王が、末娘の力を借りて2人と戦うも敗れてしまう。」(wikipedia)っていう17世紀初頭に書かれた小説です。

こうした古典には必ず善悪がハッキリと区別されていて、通常は善良な人が悪役に責め続けられて涙を誘うような仕様となっています。そして最後には立場が逆転して善良な人が勝利を収め、勧善懲悪で終わるってのが通例ですが、上記の要約のとおり、このリア王は敗北しハッピーエンドではありません。だから悲劇と言われているわけですね。

この小説では特に善悪があるわけではなく、また父親が娘に追い出されてしまうわけではありません。

旧文部省勤めから関連団体へ天下りしている父親と3人の娘、それに東京の学校へ進みたいという親戚の甥を預かっている家族です。妻は早くに亡くし、娘達が順番に嫁いでいき、やがてはひとりぼっちになっていくだろう年老いた男の姿を、懐かしの昭和史を散りばめながら描かれています。

戦前文部省に勤めていたことから、終戦後に公職追放されて生活が苦境に陥ったものの、それ以外は順風満帆な上流エリート家庭というのは、出てくる人みんなが傲慢で、ふてぶてしく、身勝手でどうにも好きになれず、従って感情移入もまったくできません。

また後半は当時の政治状況や学園紛争の話しが続き、小説の本質とはまったく関係のないところで話しが長々と展開していくのも無駄のような気がします。

同様にリア王をモチーフとした作品として、黒澤明監督の「」(1985年)があります。こちらは3人姉妹から3人の兄弟へと変更されていて戦国時代に合わせて悲劇をうまく表しています。

上映されたのは今から30年も前で、当時映画館へ見に行った記憶がありますが、家族の愛憎ということしか、いまいちその内容がよくつかめていませんでした。こちらは今度もう一度機会があればゆっくりとみてみたいものです。

著者別読書感想(橋本治)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

知の逆転 (NHK出版新書 395) ジェームズ・ワトソン他

2012年に発刊された知の巨人達へのインタビューがまとめられた本です。インタビュアーは元NHKディレクターでサイエンスライターの吉成真由美氏です。

第1章から第6章まで各章ごとに著名な6人に対し、アメリカ大好きサイコー!ってな感じのよく事前に勉強したインタビュアーが素人にもわかりやすい質問をしてくれます。

「日本のグローバル化」や「太平洋戦争」、「福島原発事故」など、日本に関係ある話題も随所に散りばめていますので、読んでいても難しくて遙か遠い話しばかりではないので救われます。でもしっかりと読み進めていくにはそれなりに頭は使います。

頭を使うのはたいへん結構なことなのではありますが、私の場合、寝る前の1時間ぐらいを読書時間に充てているわけで、そうするとこの新書を読み始めると、速攻で睡魔に襲われてしまい、一向に先へ進まないと言う日々が何日も続きました。

ホテルに置いてある聖書のように、なにか眠気を誘う効果が秘められている気がします。いや読むとタメになりそうないいことがいっぱい書いてはあることは間違いないのですけどね。

第1章「文明の崩壊」は世界の文明発達に差ができた理由に迫った『文庫 銃・病原菌・鉄』の著者で進化生物学者ジャレド・ダイアモンド。

第2章「帝国主義の終わり」は50年以上マサチューセッツ工科大学に在籍し「現代言語学の父」と称されるノーム・チョムスキー。

第3章「柔らかな脳」のオリバー・サックスは映画になった『レナードの朝』の原作者であり神経学者。

第4章「なぜ福島にロボットを送れなかったか」は「AI人工知能の父」と呼ばれているマービン・ミンスキー。

第5章「サイバー戦線異状あり」のトム・レイトンは元MIT の応用数学教授でアカマイ・テクノロジーズの創業者。

第6章「人間はロジックより感情に支配される」は分子物理学者で、DNAの二重らせん構造を明らかにしたノーベル賞受賞者のジェームズ・ワトソン

それぞれにタメになる話しが盛りだくさんで、それらをあげていてはきりがないので省略しますが、これを読んだからビジネスや人生に役立つとかってものではありません。

頭のいい人がどういう思考性向を持っているのか、どういう人生を歩んできたのか、ブレークスルーはなんだったのかなど、これから生きていく上で、なにかひとつやふたつヒントになりそうなことがあるかも?って、あまり期待はせずに軽い気持ちで読むのがいいでしょう。


【関連リンク】
 5月前半の読書 大人の流儀、その時は彼によろし、長生きすりゃいいってもんじゃない、カラフル
 4月後半の読書 介護入門、ナイン・ドラゴンズ、エネルギー論争の盲点―天然ガスと分散化が日本を救う、横道世之介
 4月前半の読書 運命の人(1)(2)(3)(4) 山崎豊子、ゲーテ格言集 ゲーテ


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学校の教職員を減らす動き 2015/6/6(土)

928
少子化のため生徒数が減ってきているので、学校の教職員を6%ほど減らし、厳しい財政を助けてくれと財務省がその試算を公表しました。

小中の教職員、4万人減で780億円削減 財務省試算
財務省は11日、公立の小中学校の教職員数を2024年度までに全体の6%にあたる4万2千人ほど減らせば、人件費の国負担を780億円削れるとの試算をまとめ、この日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)に示した。

働きが悪い公務員を大幅に削るのは歓迎すべきことで、もっと大胆なカットでもいいぐらいに思っていますが、それで将来性のある子供達の基礎教育や情操教育がおろそかになってしまっては元も子もありません。

逆にひとりで何人分の働きをする優秀な教職員にはもっと報いてあげたいと思いますが、社会で少年少女が大きな問題を起こすたびに登場してくる校長や都道府県の教育委員会の呆けた顔の人達をみていると「とてもこいつらにまともな人の査定なんかできっこない」と思えてしまいます。なんしろ「知らない」「わからない」「聞いてない」のないないづくしで、生徒と先生のことよりも、自分の保身にしか興味がなさそうです。

さて、教職員の数は足りているのか?って問題ですが、数あわせの前に以前から「公務員は長期で休んでもクビにならないので長期病気休職者がいっぱいいる」と評判になっています。

平成23年度(2011年度)の人事院のデータでは、公務員のうち教育職員の総在職者数は921,032名で、そのうち病気休職処分者は8,544名で、率にすると0.93%になります。47都道府県で割れば1都道府県平均で182名というわけです。

また教職員の病気休職処分者8,544名のうち、鬱など精神疾患によるものが5,274名(総在職者の0.57%、病気休職者の62%)ということになっています。

これは多いのか?って思いますが、あにはからんや、国家公務員の非現業部門の長期休職者は全体の約2%だそうです。って言うと、教職員の病気休職者は公務員の中では少なく、率にして約半分程度ということになります。やっぱり楽なのか?

この病気休職者数約1%、精神疾患0.6%というのは、他の職業と比較して決して多いものではなく、モンスターペアレンツや情緒不安定な子供達などを相手にして「教職員は激務で大変だ」というマスコミが流す風潮とはちょっと合わない気もします。

民間企業のデータが見つけられないのですが、で、その中に占める精神疾患はやはり6割程度、民間企業もそれに似たものと思われます。つまり一般的な公務員の長期休職者の割合と、その中で精神疾患に罹る割合は、教職員と比べると2倍近いということです。

さらに民間企業の場合、長期休職ともなれば、公務員よりも退職を勧められるというか、半ば強制的に退職させられることが多く、長期休職者数は数字に表れるよりも実態はもっと高いと思われます。

教職員は他の職業と比べ、精神疾患などで長期休職してしまうほどには激務とは言えないというのはわかりましたが、教職員の高齢化の問題があります。

教職員の平均年齢の高齢化は65歳までの雇用延長による再任が増えてきたことによるところもありますが、小学校、中学校、高校の教職員の平均年齢は20年前と比べると約5歳以上も上昇しています。

年齢別教員数グラフ

働く人が高齢化すれば当然健康に不安があったり、病気をする機会も増えますし、親や兄弟の介護などの問題も増えてきて、今まで若い教職員が体力や情熱にまかせ、残業や休日出勤で対処してきたことができなくなってきます。

それでも国は教職員を減らせと。

そう、プロフェッショナルな教職員は人口減少社会、少子化ゆえ減らしていかざるを得ないでしょう。

でも、ここで古い観念や常識に縛られて硬直した学校教育に新しい活路が見いだせるわけです。

例えば、プロの教職員は半分に減らして、その代わりに非常勤の講師や事務員をサポートとして雇えばいいのです。私立の学校ではずっと前から当然やっていることで、それで問題が起きると言うのは思考停止状態です。

教育と効率化は相反することで向かないという意見を耳にしますが、そんなのはやり方次第で、効率を上げた分、今までよりももっといい教育ができるて考えるべきでしょう。

外注するにはお金がかかる?

65歳を過ぎて年金もらいながら暇を持て余している世代がごまんといるではありませんか。

彼らは社会の役に立てて時間を有効に使えるなら、お金などさほど問題にしません。退職金で潤い、年金もすでにもらっています。もちろん責任を持って仕事をしてもらうために、マクドナルドのアルバイト料ぐらいの賃金をお支払いしても公務員一人にかかる経費で様々なスキルを持った非常勤の人を10人は雇えそうです。

例えば、引退した団塊世代を中心に、国語なら総務部や庶務で活躍してきたベテランのサラリーマン、古文には歴史好きな高齢者に事欠きません。算数なら経理マンや銀行や証券会社でトレーダーや出納を担当していた人達、社会はテーマに応じて世界を旅した商社マンや市役所や区役所、福祉事務所の勤務だった公務員、元消防士や元警察官なんかもいいです。

体育も各種のスポーツを現役でやっている元気な高齢者はごまんといます。一般の教師が苦手とするパソコンの授業だってIT企業出身の元エンジニアもいるでしょう。

図工ならやっぱり元大工さんや左官屋の親方の出番、家庭科には専業主婦、道徳の時間にはお寺を息子に譲って引退したお坊さんや地元教会の司祭などなど。頼めば喜んで引き受けてくれそうですし、そういう制度を作ったうえで、民間の会社に登録制の「教育サポート人材バンク」を委託し、人材派遣のように必要に応じて適任者に来てもらえばいいのです。

担任制もプロ教師1名に非常勤の講師が2名つき、放課後の補助授業、家庭訪問や保護者会、通学路の見回りなど。テストや宿題の採点やデータ入力作業なども非常勤の事務員にまとめてやってもらいます。

そうすればプロの教師はクラス全体の把握と自分の専門の教科のブラッシュアップ、授業についていけない生徒や家庭に問題がありそうな生徒のフォローに注力できるというものです。

国や自治体も、そうした高齢者が元気で働いてくれることで、高齢者の健康増進と所得税の納付、地域の安全と活性化などいいことずくめではないでしょうか。

でもねぇ、、、頭が固くて、「できない理由」を必死になって考える教育委員会や職員組合などが、子供達のことではなく、自分たちの聖域が侵されかねないと言って邪魔をするのが必然で、進まないんですよねぇ、、、


【関連リンク】
834 高齢者向けビジネス(第4部 ボランティア編)
699 大学へ奨学金で行くということ
666 子供の教育費の負担を覚悟しているか


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人だけが長生きをしたがる 2015/6/10(水)

929
ヒトが長生きを求めるようになったのはいつからなのかわかりませんが、時の権力者にとっては相当昔からその欲求があったことは確かでしょう。世界各地で長寿の薬やら永遠の命を授ける魔法とかの話しは数多く存在しています。

人類の文明の発祥地として有名なメソポタミアで紀元前2000年の頃を伝承として伝える「ギルガメシュ叙事詩」にも不老不死がうたわれています。中国では、紀元前3世紀頃の始皇帝がやはりこの不老不死の薬を求めたと「史記」に書かれています。

日本でも古い作者不詳の「竹取物語」で不老不死の話しが登場したり、日本の国の象徴ともなっている富士山の「富士」とは「不死」からきているとも言われていたりと、不死についてはおそらく文明というものが発生した時点で時の権力者に考えられ求められてきたのでしょう。

もちろん現代においてもそうした(一部の)人類の夢は医療や宗教、小説や映画などの世界においては人気のアイテムとなっています。

映画では「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」(1989年)、「永遠に美しく・・・」(1992年)、「ハリー・ポッターと賢者の石」(2001年)、「ロード・オブ・ザ・リング」(2001年)」、「メダリオン」(2004年)、「バットマン ビギンズ」(2005年)、「TIME/タイム」(2011年)、「トランセンデンス」(2014年)、「アデライン、100年目の恋」(2015年)など不老不死が描かれる冒険ファンタジーやSF映画には事欠きません。

世界でも有数の長寿国となった日本はそういう点では恵まれた国とも言えますが、高度な医療に支えられて単に生きているというだけの高齢者も多く、できるならばいつまでもピンピン元気でいて、死ぬときは苦しまずにぽっくりと逝く「ピンピンコロリ」がもてはやされています。

人間というのは不思議な生き物で、元気な間は「延命治療などしなくていい」と言いつつも、いざ寝たきり状態で、気弱になってくると「延命治療でもなんでもして少しでも長く生きたい」と願うのが一般的です。人間の弱さでしょうか。

ドラマなどに出てくるような、最初から最後まできっぱりと延命治療を本人の意志で断って、悠然と死に向かうというのは、並大抵の人にはできそうもないというのが実感です。

さて、現在Amazonに「長生き」をタイトルにした本はどのぐらいあるでしょう?

高齢化社会を反映してか、当然半端なく数多く出版されています。

それもそのはずで、今から45年ほど前の高度成長期だった1970年代は年間で亡くなる人は70万人程度だったのが、昨年2014年は127万人と倍近くまで膨れあがってきています。そして1年間に亡くなる人の91%が60歳以上(2011年統計)の高齢者です。

つまり長生きしたい欲求が強い高齢者が多くなり、したがって「長生き」本がよく売れる下地ができているというわけです。

そして今後数十年間は年間死亡者数はさらに増え続け、140万人を超えていくと言われています。

そうした多くの高齢者向けに書かれたと思われる「長生き」本ですが、古いものも含めると、タイトルまたはサブタイトルに「長生き」と入っているものだけでも400冊近くあります(一部に単行本と文庫というようなダブりあり)。よく書いたものですね。

ちょっと一例を挙げておきましょう。

【長生き+食事】
長生きしたけりゃ肉は食べるな  若杉友子
肉を食べる人は長生きする 健康寿命を伸ばす本当の生活習慣  柴田博
粗食は大敵―長生きする人ほど、肉も魚もよく食べる  鈴木 敦士、 田島 真
中高年こそ肉を摂れ!!―健康で長生きする秘訣  柴田 博
健康に長生きしたけりゃゼラチンを食べなさい  渡辺雄二
長生きしたければ朝食は抜きなさい  東 茂由, 甲田光雄
長生きしたけりゃ、今すぐ朝のパンをやめなさい 病気にならない"朝和食"のすすめ 永山久夫
「長生き」したければ、食べてはいけない!?  船瀬俊介
100歳まで長生きできるコレステロール革命 大櫛陽一
食事を正しくすれば、老化は防げる (100歳まで長生きレシピ) ノーマン・ウォーカー、 船瀬俊介
飲み水にこだわれば、健康に生きられる (100歳まで長生きレシピ) ノーマン・ウォーカー、 船瀬俊介
“ボケない、病気しない、長生きする "Dr.白澤卓二が認定する「健康」朝ごはん  白澤卓二、 伊藤美樹
長寿の里「高山村」長生きレシピ  白澤 卓二、 ダニエラ・シガ
脂中毒―長生きしたければ、正しい肉を食べなさい―  白澤卓二
長生きの秘密はインスリンをあげない朝食にあった 白澤卓二
長生きする食 早死にする食 高田明和
コレステロールは高いほうが長生きする 浜崎 智仁
日本人はコレステロールで長生きする 生活習慣病の危うい常識 田中裕幸
長生きしたければファイトケミカルを摂りなさい―健康維持に欠かせない、本当にクスリになる食べ物がある! 山崎正利
遺伝子が喜ぶ長生きごはん タウリンとマグネシウムの健康パワー 家森幸男、 サトウサンペイ
薬のいらない体は、酵素がつくる!: 医者にかかる前に「食習慣」を変えなさい 鶴見隆史


【長生き+運動】
長生きしたければ、運動はやめなさい!  佐藤青児
長生きしたければただ歩けばいいってものではない  渡會公治
健康で長生きしたけりゃ、膝は伸ばさず歩きなさい。  木寺英史
歩く人。 長生きするには理由がある  土井龍雄、 佐藤真治
長生きしたければ毎日歩きなさい  植田雅俊
長生きは足腰が9割: ~今日から始める1日ひとつの足腰習慣~  福田知佐子


【長生き+薬、長生き+医者】
薬が病気をつくる ~薬に頼らずに健康で長生きする方法  宇多川久美子
長生きするのに薬はいらない  宇多川久美子
人間は、治るようにできている (長生きしたければ、薬を飲むな)  福田 稔
長生きしたければ医者にかかるな! ほとんどの病気は自分で治せる  富家 孝
長生きしたけりゃ、医者の言いなりになるな  高田明和


【長生き+健康法】
長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい  槙孝子, 鬼木豊
長生きはふくらはぎで決まる!―より効果的にもみほぐす!  原田秀康
元気で長生きしたけりゃ頭をもみなさい  松永みち子
長生きは「唾液」で決まる! 「口」ストレッチで全身が健康になる  植田耕一郎
長生きしたけりゃ「肺活」しなさい  奥仲哲弥
長生きしたければひじ下ひざ下を押しなさい  島田淑子、 島田 力
「足もみ」で心も体も超健康になる!×超健康に長生きできる「足もみ」力 田辺智美
55歳からはお尻を鍛えれば長生きできる  武内正典
長生きしたけりゃ声を出せ -母音発声で身体も心も元気になる!-  大場 いたる、 さとう久美
長生きするならシャカ呼吸―いつでも、どこでも、脳の内側から内臓までたちまち元気に! 斎藤洋一
呼吸を変えれば元気で長生き 打越 暁
長生きしたければ朝3時に起きなさい―50歳からの病気にならない7つの習慣  帯津良一
長生きしたけりゃ、腸は冷やすな―老い、がん予防に効く! 温める腸健康法  松生恒夫
長生きしたければ腸をストレスから守りなさい  岡田研吉
笑って長生き―笑いと長寿の健康科学  昇 幹夫


【長生き+知識】
長生きしたければ知っておきたい 健康常識○と×  池谷敏郎
長生きの健康常識はウソばかり―最高のアンチエイジング入門  根来秀行
長生きしたいなら、足の爪は切らずに削りなさい  中村光夫、 佐藤優希
長生きしたい人は「鏡」を見なさい  南雲吉則
血圧を測るだけ!! で長生きする38の理由 見る間に下がる魔法の習慣  渡辺尚彦
長生きしたければ高血圧のウソに気づきなさい  大櫛陽一
早死にする仕事、長生きする仕事 働き方を変えれば、寿命は10年延びる!  古井祐司
長生きの決め手は「酵素」にあった  鶴見隆史
長生きしたければミトコンドリアの声を聞け―少子高齢時代を生き抜く真のサクセスフル・エイジングとは何か  大谷肇
長生きのスイッチはオンに変えなさい 藤田紘一郎
長生きのスイッチを教えます 了徳寺健二、了徳寺大学医学教育センター
カラダにいいことをやめてみる 本当に長生きするためのカラダの声の聞き方  桜井竜生
免疫療法に近づくな――長生きするなら「免疫力」より「抵抗力」  近藤誠
免疫力をグングンあげる「不良長寿生活」 なまけものこそ長生きできる  奥村 康
長生きしたければ“ちょい不健康”で生きなさい―ヘタな健康知識があなたを病気にする  高田明和
長生きしたけりゃデブがいい 世界的研究が証明する医学の真実  新見正則
長生きするなら小太りなさい ムック
見た目が若いと長生きする カラダ管理の新常識! 15のルール 川田浩志
クールな男は長生きできない―こわい!オトコの「隠れ冷え」 川嶋 朗
100歳までは現役で―結晶性機能から読み解く長生きの秘密 中島博文
血液をきれいにすれば健康で長生きできる  西原克成
さらさら血液が長生きの秘訣―東洋医学が教える“万病を断つ”健康法  岡田研吉、 三浦於菟


【長生き+哲学?】
「長生き」が地球を滅ぼす 現代人の時間とエネルギー  本川達雄
食卓で黙り込む夫婦は長生きできない: 男と女、すれ違う心をつなぐ処方箋  姫野友美
ごきげんな人は10年長生きできる ポジティブ心理学入門 坪田一男
120歳までも幸せに生きる家―夫婦が仲良く長生きできる家の秘訣!  山根一純
健康で長生きできる風水方位学 高嶋泉妙


タイトルだけをみていると、「肉を食っていいのか悪いのか?」とか「医者の言うこと聞いちゃダメと医者が言っているが?」「薬剤師に薬に頼るなと言われても」など矛盾しそうなものもありそうですが、概ね食と医療(薬)と健康法、そしてよくわからない「風水方位学」や「長生きできる家」まで登場する長生き哲学とも言える思考法や普段からの行い実践みたいな本が多いようです。

こうした本はタイトルが刺激的でなければ売れないので、やたらと「!」マークとか「常識の非常識」みたいなタイトルがつき、副題がやたらと長ったらしいケースが多く、まじめな読者を混乱させます。この「長生き」というテーマと同様な本には「癌」や「腰痛」など高齢者特有の病気に関する本にも共通しています。

まぁ、私の場合は今のところこのようなハウツー本は読む気はないのですが、これほど多く出ていると言うことはそれなりに需要があるってことなのでしょうねぇ。

いっそ、「長生きしたいなら肉とゼラチンを食べ、酵素、タウリン、マグネシウム、ファクトケミカルを摂って、ふくらはぎとひじと頭を押し、運動はせず歩いて呼吸法に気をつけて声を出し、医者の言うことではなくミトコンドリアの声を聞いて、コレステロールを高めて、小太りになり、鏡を見て、風水に気をつけ、冷え性を予防、長生きスイッチを押せ!」とか出せば爆発的大ヒット間違いなしか。そんなにあれこれ言われてもねぇ。


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加齢性難聴とは 2015/6/13(土)

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耳にはずっと異常がないと思っていましたが、ここのところ、特に高音域が聞き取りにくくなってきたなぁと実感しています。これは老化が原因の「加齢性難聴」または「老人性難聴」というものなのかと思い始めているところです。

前に書いた「耳鳴りは治るのか?」とも関係がありそうです。

「加齢性難聴」「老人性難聴」は文字通りに解釈すると「老人=60代以降」の病気かと思いがちですが、早ければ30代、40代からでも症状が出るそうで、平均的には50代から現れ、60代では約4割、70代になると6割ぐらいの人が罹ると言われています。

そう歳を取ると老眼になったりするのと同様、耳が遠くなるのは自然なことなんですね。

高齢者の多くは耳が遠く、何度も繰り返し聞き返されることが多くなるので、それがだんだんと面倒くさくなり、やがては会話をしなくなたりすることが多いです。ご近所に住む60代後半のリタイヤしたご主人もまさにそれで、時候の挨拶をした時でも「え、なに?」って何度も聞き返されますので、ちょっとうんざりしてます。でもうんざりしちゃダメですね。

加齢による難聴の多くは「感音性難聴」ともいい、音が聞こえても言葉が聞き取りづらいというのが特徴だそうです。まるで聞こえないというのではなく「音は聞こえるけれど何を言っているのかわからない」というヒアリング能力の低下みたいなものです。

音域は特に高周波数域の7500ヘルツ以上、つまり高い音域の音を聞きとるのが難しくなるようです。これに多く該当するのが女性の高い声(音)なのです。

もう亡くなった私の父も、昔NHKのニュースを見ていて「この人ワーワー言っているだけでなにを言っているのかさっぱりわからない」と言って怒っていました。一緒に聞いていると、その時の私には普通に聞こえているのにです。

声を商売にしているNHKのアナウンサーでも、高めの声の人がいますが、この場合、老人性難聴の人には「なにかワーワー言っているだけで、さっぱりわからない」というクレームにつながります。高齢化社会においては、男性女性にかかわらず、アナウンサーには低音でゆっくりしゃべる技能が求められます。高齢化社会で、しかもテレビを見るのは若い人より高齢者の割合がずっと高いのだから、これからは局も気をつけた配置をしなければいけませんね。

私自身が「加齢性難聴」の気配を感じたのは、そうしたテレビの女性アナウンサーの声が全般的に聞き取りにくくなってきたこと、電車の騒音の中での放送が以前よりも聞き取りにくくなってきたと感じること、そして先日ある洋菓子店で買い物をした時、陳列ケースを挟んですぐ目の前の女性店員さんが小声でぼそぼそとなにかをしゃべっていたのがまったく聞き取れず、「これはなにか変だぞ」って衝撃を受けたからです。

結局は店員さんには3回同じことを繰り返して言ってもらって、ようやく「ギフト用の箱もありますがどうしますか?」って聞かれたことがわかりました。近所の耳が悪いご老人のことを言えませんね。

週末で賑わっている広いデパートの中で、周囲が騒がしかったことと、その女性の声が高かったことで、最初の2回はなにかを言っている声は聞こえるものの、何を言ったかはまったくわかりませんでした。

老人性難聴が進むと、特にカ行、サ行、ハ行が聞き取りにくいそうで、上記で言えば「ギフト用の箱」の「ギフ」と「ハコ」がちゃんと聞こえないとなにを言っているのか想像すらできません。

「カクテルパーティー効果」というのは、難聴とはちょっと違いますが、自分が聞きたい声や音だけ選択的聴取できる能力のことで、健康な人には自然に備わっています。そういう周囲が騒がしい場所においても耳が健康であればたぶん聞こえるはずなのに、聴力器官の老化で劣化してきているようです。

こうした「大勢のなかでの会話が聞き取れない」というのも、老人性難聴の特徴と言われていますので、まさにその傾向が強まってきたのだろうと思います。

この難聴は男女別では男性の方が圧倒的に数が多いそうで、理由としては日常様々な騒音に接することが男性の方が多いせいと言われています。

昔は男性は外で働き、女性は家でという風習がありましたが、いまはそうした区分もほとんどなくなっていますので、今後は男女とも老人性難聴に罹る割合は近づいてくるのではないでしょうか。

一時期若年性難聴の原因とも言われたウォークマンなど携帯プレーヤーが登場したのは1979年で、私が大学4年生の頃です。幸か不幸か当時おしゃれなシティーボーイではなかったので、それらに興味はなく、聴覚に悪そうな習慣はつきませんでした。

私よりも多少後の世代(現在40歳〜50歳ぐらい?)が、価格もこなれてきてウォークマンやその後のiPodなどともっとも相性がよく、したがって若いうちから加齢性難聴に罹りやすい世代となるのではないでしょうか。

私がウォークマンではないけれど似たようなヘッドフォン式カセットテープ再生機を買ったのは、社会人になり、海外勤務をする前に、英語を勉強しようかと買った1983年頃だったと記憶しています。でも実際はヘッドホンがどうも耳に合わず、ほとんど使うことはありませんでした。

あと、耳鳴りや難聴に関して、私は若い頃から慢性鼻炎を煩っていて、耳とつながっている鼻の悪い影響も多少なり関係しているのかも知れません。鼻炎や蓄膿など鼻に病気のある人は、特に加齢性難聴に注意が必要でしょう。

補聴器一時的な難聴とは違い、老人性難聴に一度罹ってしまうと投薬や手術等で回復させる方法はないそうです。なので罹ってしまったらあとは進行を遅らせるしか対策はありません。そして進行すれば補聴器に頼ることになります。

補聴器をすればいいのに、耳が悪いことをいつまでも認めようとせず、何度も「えっ?えっ?」と聞き返してばかりいる高齢者がいますが、話し相手にしてみたら何度も繰り返してしゃべるのはひどく疲れます。そのあたり本人の自覚と周囲への配慮というものが必要ではないでしょうか。

ただし補聴器は医療機器とされていますが、難聴レベルでは原則医療保険の対象にもなりません。ネット通販では安いものは数千円からありますが、実用的で高性能なものは本体が何十万円と高価なものが主流です。高価な医療機器でも年末調整で所得税が戻ってくる医療費控除の対象にはなりません。そこのところがちょっとハードルは高そうです。目の悪い人の眼鏡と同じ理屈ですね。

高齢社会の中で、ますます需要が高まってくる補聴器ですが、眼鏡についてはJINSなどが、それまで閉鎖的で高価格を維持してきた業界常識を覆してきたように、補聴器も、もっとカジュアルでお洒落、しかも高性能っていう製品が格安で充実してくることを願っています。今主流にある本格的な補聴器ははどう考えても高過ぎです。

耳鳴りと難聴にはまったく困ったものです。今のところ健康診断でおこなうレベルの音は問題なく聞き取れますが、こうした器官は進行期にはいると一気に進みそうで、先が思いやられます。

Amazon補聴器


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6月前半の読書と感想、書評 2015/6/17(水)

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とせい (中公文庫) 今野敏

著者は大学在学中の1978年に作家デビュー、その後はサラリーマン生活を送るもすぐに辞めて作家と、大学時代から始めた空手に専念というちょっと変わった経歴の持ち主です。著書の多くは警察事件ものですが、サイキックやSF的な小説もあります。

著者の作品で私が過去に読んだ4冊「隠蔽捜査」「朱夏―警視庁強行犯係・樋口顕」「ビート―警視庁強行犯係・樋口顕」「リオ―警視庁強行犯係・樋口顕」はいずれも警察小説です。

今回のこの小説は警察モノではなく、タイトルからもわかるようにヤクザ稼業を描いたもので、ストーリーはひょんなことからつぶれかかっている総合出版社の経営をすることになった弱小ヤクザ組織が、獅子奮迅の働きで出版社を蘇らせていくという、ま、ありきたりと言えばそのような内容です。

ヤクザが介護ヘルパーとして老人ホームで働いたり、ヤクザのイメージアップのために広告代理店が関わったりするコメディタッチのこの手の小説がすでにあり、こうした内容はもはや珍しくもありませんが、確かに出版社とヤクザ稼業とは案外相性がよいのかも知れません。

つまり週刊誌グラビアに使う元有名アイドルの「脱がせ屋」、関西のヤクザ同士の抗争裏話、ブラックな芸能プロ所属のタレントへのインタビューなど、出版社が望むものをヤクザがコネと脅しを使って紹介することで、うまく手に入れられそうです。素人っぽいちょっと安易な考えではありますが。

小説では、他に出版社の再生と並行して、本来のヤクザ稼業である技術力はあるけど需要が減少して運転資金を闇金から借りていた倒産間際の町工場の高利貸しトラブル解決や、同業者がフロント企業を通じて合法的なしのぎ稼業の販売ノルマに汲々している姿など、コミカルに書かれています。

なお、この「とせい」の続編?と言える「阿岐本組任侠シリーズ」として「任侠学園」(2007年)、「任侠病院」(2011年)がすでに発刊されています。タイトルを見ればすぐにピンときますが、この作品と同様、ヤクザが学校や病院の経営を立て直すっていう感じなのだろうと思います。

著者別読書感想(今野敏)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア) パウロ・コエーリョ

著者はブラジルの作家で、この本は1988年に発表され、世界中に拡がった有名な小説です。原題はポルトガル語で「O Alquimista」。アルケミストとは直訳すれば錬金術師という意味です。

特になにも事前情報なしにしばらく読むと、主人公は少年で、これは「星の王子さま」のような児童文学書なのかな?と思いましたが、どうもそうではなさそうです。

ストーリーは、牧師になるため神学校に通っていたスペインはアンダルシア地方の少年が、「旅をしてもっといろんなところをみてみたい」と親の反対を押し切り、あちこちを旅する羊飼いになります。

そしてある廃れた教会で野宿していると、二日続けて同じ夢を見ます。その夢のことをジプシーの老女に夢診断してもらうと、ピラミッドの近くで宝物を発見すると予言され、飼っていた羊を売って渡航費を作り、単身海を渡りアフリカへ向かいます。

しかしピラミッドのある街へ行くにはサハラ砂漠を横断して行かねばならず(上陸したのは西海岸モロッコ付近?)、その旅のガイド役を探していたところ、地元の少年に有り金全部を奪われてしまうことに。

お金をなくしたために、商売で身を立て、その他いろいろなことがありつつ、お金を作り、当初の予定通りにピラミッドへ向かう途中の砂漠のオアシスで、タイトルにもある錬金術師と出会い、そこでまた様々な試練を乗り越えピラミッドへたどり着くという物語。

「大切なのはお金ではない」とか「希望を持ち努力することは成功につながる」や、「前兆を知りそれをを逃すな」など教訓めいた話しが盛りだくさんあって、道理で世界中でベストセラーになった訳です。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

銀二貫 (幻冬舎時代小説文庫)  高田 郁

私とは年齢で2歳違いの著者が時代小説家としてデビューしたのは2008年の短編集「出世花」で、まもなく50歳になろうかという時ですから20代でデビューする作家も多い昨今では結構遅咲きだった方です。

この小説は2009年に単行本、2010年に文庫化された小説で、江戸時代に大坂にあった寒天問屋の商人の話しです。知りませんでしたが、昨年2014年にはNHK総合テレビの木曜時代劇枠でドラマが放送されたそうです。

脱藩して流浪中の侍の父とその子(主人公)が大坂の街を歩いていたとき、子供の目の前で父親が敵討ちに遭って斬られてしまい、そこを通りがかった寒天問屋の主に銀二貫で救われます。

父親は亡くなり、他に身寄りがなかったため、救った大坂商人の主が面倒を見ることとなり、商人(あきんど)魂を叩き込まれ、様々な辛苦を乗り越えて成長していく姿を描いています。

タイトルの銀二貫とは、父親が斬られた際に、寒天問屋の主人が焼けた天満宮へ寄進するために持っていたお金で、機転を利かせてそれを父親を斬った侍に渡すことで、子供を救うために使いました。

その父親を斬った侍に渡った銀二貫が終盤でなにに使われることになったのか判明することになりますが、それはこの本を読んだ人だけのお楽しみと言うことで。

なにか、2002年の直木賞に輝いた山本一力著「あかね空」をちょっと思い出しました。「あかね空」は江戸に出てきた京都の豆腐職人とその息子達の話しですが、どちらも関西の職人と、商売が前面に出ていて、苦労はいとわず、他人には優しく、絶望状態の中からでも、信念を曲げずに努力していくと報われるという、文科省が喜びそうな健康的サクセスストーリーです。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

ふがいない僕は空を見た (新潮文庫) 窪美澄

本作品は2010年に発刊され、第24回山本周五郎賞を受賞し、2011年の第8回本屋大賞では第2位に輝いた作品です。また2012年にはタナダユキ監督、永山絢斗、田畑智子らの主演で映画化もされています、見てませんが。

内容はそれぞれに主人公が変わる連作短編集となっていて、「ミクマリ」、「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」、「2035年のオーガズム」、「セイタカアワダチソウの空」、「花粉・受粉」の5編からなっています。

テーマは恋愛と不倫というか、ちょっとややこしい関係になっていて、短編だから読み進めると徐々にそれがほぐれていくって感じ。

ま、コスプレにはまる主婦とか、ネットで噂が広まるとかの現代的なテーマと、主人公の母親が昔ながらの自宅で助産師の仕事をしているという設定など、話し的には登場人物が面白く割り振られているなぁって感じ。

でもなにか淡々としすぎていて、ちょっと物足りないと感じてしまうのは、他の多くの小説の余計なまでに強い刺激に慣れてしまったからかも。

著者別読書感想(窪美澄)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

ゲイルズバーグの春を愛す (ハヤカワ文庫 FT 26) ジャック・フィニイ

この小説は短編として発表されたものを集め、1960年に発刊された作品で、収録作品は「ゲイルズバーグの春を愛す」(I Love Galesburg in the Spring-Time)、「悪の魔力」(Love, Your Magic Spell is Everwhere)、「クルーエット夫妻の家」(Where the Cluetts Are)、「おい、こっちをむけ!」(Hey, Look At Me!)、「もう一人の大統領候補」(A Possible Candidate for the Presidency)、「独房ファンタジア」(Prison Legend)、「時に境界なし」(Time Has No Boundaries)、「大胆不敵な気球乗り」(The Intrepid Aeronaut)、「コイン・コレクション」(The Coin Collector)、「愛の手紙」(The Love Letter)の10編です。

選んでそうなっているわけではなく、短編を読むと、なぜかその後も続いてしまいます。短編はあまり好きではないのですけどね。好きではない理由は、雑誌や週刊誌の誌面の都合上、決められた文字数で短編の1話完結型にしたいがためってケースが多く、それだと似たようなストーリー展開になり、週刊誌のコラムと変わらないじゃん、って思うようなものが多いから。

こちらの古い作品は特にそういう週刊誌の連載という事情があってのことではなさそうで、ボリュームもそれぞれに違っていますが、でもやっぱり著者が昔住んでいた場所が舞台となっていて、コラムにしても良さそうな雰囲気は漂っています。

タイトルにもなっている最初の作品の「ゲイルズバーグ」はアメリカ合衆国の中西部に位置するイリノイ州の北西部ノックス郡に実在する人口3万人ほどの街で起きた出来事の物語です。

最初は南北戦争の激戦地で、リンカーンがおこなった演説でも有名な「ゲティスバーグ」と勘違いしてました。そうしたタイトル名だったので、最初は南北戦争にまつわるような話かなぁって思っていましたが、全然違いました。この街は、著者が昔住んだことがある街のようです。

O・ヘンリ」や「サキ」など、こうした短編集で、発刊後何十年も読み継がれていく小説というのは、他にはない特別なものがあって、大きな外れはないですね。

著者別読書感想(ジャック・フィニイ)

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お薦めの面白い小説(翻訳本) 2015/6/20(土)

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少し前に「お薦めの面白い小説(国内本) 」を書きましたが、その続きで今回は翻訳小説をあげておきます。

細かくカウントしたわけではありませんが、蔵書3000冊の内、およそ8割が小説で、その小説の中の1/4ぐらいが翻訳小説です。つまりその数600冊の中から選んだ48冊(作品)です。順番は著者名の50音順です。

国内の小説の時にも書きましたが、決して他の評判が高いとかで選んだのではなく、自分が読んでみた中で、面白かった、感動した、長く記憶に残ったというのが選択理由で、個人的な感覚ですので異論・反論は受け付けておりません。

ロシア皇帝の密約 ジェフリー・アーチャー
チェルシー・テラスへの道 ジェフリー・アーチャー
警察署長 スチュアート・ウッズ
ブラック・ダリア ジェイムズ・エルロイ
変身 カフカ
冷血 トルーマン・カポーティ
異邦人 カミュ
ナイロビの蜂 ジョン・ル・カレ
アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス
デカローグ クシシュトフ・キェシロフスキ/クシシュトフ・ピェシェヴィチ
アトランティスのこころ スティーヴン・キング
スタンド・バイ・ミー スティーヴン・キング
夏草の記憶 トマス・H・クック
緋色の記憶 トマス・H・クック
過ぎ去りし日々の光 アーサー・C・クラーク
グランド・バンクスの幻影 アーサー・C・クラーク
ライトニング ディーン・R・クーンツ
ウォッチャーズ ディーン・R・クーンツ
パイレーツ マイクル・クライトン
愛国者のゲーム トム・クランシー
フランチェスコの暗号 イアン・コールドウェル/ダスティン・トマスン
蒼穹のかなたへ ロバート・ゴダード
ナイトホークス マイクル・コナリー
ある微笑 サガン
シンプル・プラン スコット・スミス
チャイルド44 トム・ロブ・スミス
大いなる眠り レイモンド・チャンドラー
カンタベリー物語 チョーサー
罪と罰 ドストエフスキー
復活 トルストイ
夏への扉 ロバート・A・ハインライン
マルタの鷹 ダシール・ハメット
狩りのとき スティーヴン・ハンター
初秋 ロバート・B・パーカー
雨の朝パリに死す F・スコット・フィッツジェラルド
THE DECEIVER1騙し屋 フレディック・フォーサイス
アフガンの男 フレディック・フォーサイス
鷲の翼に乗って ケン・フォレット
007/カジノ・ロワイヤル イアン・フレミング
八百万の死にざま ローレンス・ブロック
車輪の下 ヘルマン・ヘッセ
O・ヘンリ短編集 O・ヘンリ
卵をめぐる祖父の戦争 デイヴィッド・ベニオフ
海流の中の島々 ヘミングウェイ
さむけ ロス・マクドナルド
失楽園 ミルトン
メービウスの環 ロバート・ラドラム
ミスティック・リバー デニス・レヘイン

和書と同様、古いものが多く、すでに絶版本もあるかも知れませんが、逆に最新版ではないだけに、うまくすればブックオフなどで100円で購入することもできますので、お手軽でしょう。

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話は変わりますが、このまま蔵書を保管しておくか、あるいはどこかへ売っぱらうか、それとも寄付するかボチボチと考えています。

子供達が独立してくれて部屋が空くか、それとも今よりもっと広い部屋に住めると、そのまま置いておけるのですが、いずれもすぐにかないそうにないので、本がそろそろ生活の場にまであふれ出して邪魔になってきました。

なんでも多くの公立図書館では古書の寄付が多く集まりすぎて、闇雲に寄付されるのは嬉しくないようなことをニュースでやっていたので、ここは面倒がない古書屋さんに来てもらって一気に引き取ってもらうのがいいのかも知れません。

色が変色してしまって値段が付かないような古い本も多いのですが、それはそれで無料で引き取ってもらえるならヨシとせねばなりません。

ミカン箱ぐらいの段ボール箱1箱に詰めると文庫本で100冊ぐらい、単行本だと40冊ぐらい入りますので、平均して70冊詰められると仮定すると、3000冊(約1.2トン)全部を段ボール箱に詰めると43箱(1箱28kg)となります。一度に売っぱらうのが半分だとしても、買取業者さんはトラックで来ないと一度では運べなさそうですね。

23年前に今の家に引っ越ししてきた時、やはり本だけで段ボール箱20箱ぐらいあり、引っ越し業者のアルバイトのお兄さんが「いったいどれだけあるの、このクソ重たい箱」とうんざりしながら愚痴ってました。そうなんですよねぇ、まったく迷惑な重さと量です。


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飛び込み営業について 2015/6/24(水)

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さすがに今の時代、新規開拓営業で飛び込み営業を恒常的におこなっている会社は少ないと思いますが、私が20代の頃(今から30年前)はまだ普通にやっていました。

走る営業マン今でも4月になるとピカピカの新入社員達が、研修を兼ねて飛び込み営業をして回るという会社はあるようです。

飛び込みをすれば確かに知らない人とでも平気で話しをする度胸はつきますし、そうした極限状態(オーバーですが)に追い込まれることで、必死に頭を使い、遊び半分の学生時代と違って厳しい社会人になったという実感を得るには手っ取り早い方法なのかも知れません。

な〜んてことを言うと、旧世代の悪弊にコチコチに固まった老害の風習と決めつけられそうですが、若い人でもそうした飛び込み営業で一定の成果を収め、訓練と割り切ってまじめに取り組み乗り切った人にとっては、「あれはいい経験になった」と振り返って言う人も多いのではないでしょうか。

文句しか出てこない人は頭も身体も使わず、さぼってロクな成績もあげられなかった人でしょう(偏見含む)。

私自身、飛び込み営業は、最初のうちはすごく抵抗があって、なかなかその一歩が踏み出せませんでした。

受付があって受付嬢が座っているような大きな会社の場合は、受付で90%以上はサラリと面会を断られてしまいますので、逆に気楽ですが、入り口ドアを開くとそこが事務所兼受付(総務)のような会社の場合、周囲に座っている人が全員耳をそばだてて聞いているように思える中、自己紹介をして取り次ぎを依頼する恥ずかしさったらありません。それも少しやっていると慣れちゃいましたけど。

取り次ぎを依頼と言っても飛び込みですから、誰に会いたいのかってことを対応に出てきた人に対し簡単明瞭に話しをしなければなりません。

ここでモタモタしていると、怪しがられてほぼ100%の確率で追い返されます。モタモタせずにスムーズに話せたとしても、目的とする相手に取り次いでもらえる確率がわずかに上昇するぐらいです。

つまり飛び込み営業の場合、どこへ行っても約9割以上は目的とする相手には会えないってことです(商品やサービスなどにもよると思いますが)。

会えないばかりか、アポなしで訪問するわけですから相手にも迷惑をかけていることになり、怒られることさえよくあります。

もちろん時には調子がよくて、3割ぐらいの確率で相手に会える(話せる)こともありますが、そうしたラッキーがずっと続くことはありません。

以前、自衛隊の幹部候補生が民間企業研修にやってきたので、一緒に飛び込み営業をしてもらったことがあります。

普段はキリリと制服を着て、イザとなれば戦場や被災地、どんなところへでも重装備を背負って駆けつけるタフな連中でも、1日目の飛び込みでは足が震え、声が震え、緊張の極みだったことを覚えています。あとで聞いたら「初めてパラシュート降下した時より緊張した」と言ってました。

誰だって飛び込み営業って緊張もするし、断られるのがほぼ確実で、相手にも迷惑をかけることがあり、人間のプライドもメチャメチャにされそうで嫌うのはわかっています。

でもね、別に飛び込み営業自体は違法ではなく、命に危険があるわけではなく、ごくまれだけどニーズに合えば客に喜ばれることもあり、知らない人と知り合いになれるチャンスだと、自分に前向きになるよう言い聞かせれば、意外と気持ちはスッと楽になっていくものです。

断られることに悩んだり、断られたらどうしようとか、後ろ向きになったら、そこで先へ進めなくなります。

最近はテレアポと言って、先に電話でアポイントを取り付け、効率よく営業担当者が訪問する新規開拓が主ですが、それでも非効率な飛び込み営業が決してなくならないのは、先の度胸試しだけではなく、他にもやはりなにかメリットがあるのでしょう。

ひとつには、ただ数多く飛び込み営業をするというのではなく、アポイントで訪問した企業の周辺企業に「ついでに挨拶」って感じで新規開拓営業をすることがあります。これが当たり前にできるかできないかで、その人の成績が将来にわたって大きく違っていくでしょう。

飛び込み営業を経験していると、自ずと様々な会社の仕組みがわかってきて、「この業界の会社にはこういう言い方をすればかなりの高確率で会える」とか「この規模の会社だと、こういうことに興味を持っているハズ」とか。

つまり会社名を見ただけで、その会社の業種が思い浮かび、受付の突破法から、担当者の興味を引く話しまで一気にイメージがふくらむのです。それってやはり飛び込み営業で数多くの失敗と試行錯誤を繰り返すことで、自信につながっていくということです。

二つめには、社会の仕組みやつながりについて知識が深くなります。三菱や三井と言った有名どころならば社名で関係性がわかりますが、そうした社名ではわからなくても、受付においてあるカタログや商品サンプル、または受付の人と雑談して聞き、会社の系列や取引先、主要商品などがわかるようになり、それを起点にして、相手の興味を引きながら話しを拡げていくことができます。

そうした訓練は、すでにアポがあって事前にWebサイトで相手がどういう会社かを調べてから訪問するのと違い、とっさの判断力で相手の興味や需要をうまく引き出し、興味のありそうな話しにうまく巻き込んでいくスキルが鍛えられます。

三つ目は、どこの誰ともわからない不機嫌そうな自分よりずっと年配の相手とでも、うまく話しを合わせて、最終的にはお互いに少しだけ分かり合えて気持ちよく帰って行くという、社会な中でうまく生きていくためには必須でしかも上級の訓練になります。今で言う「コミケ能力」の研鑽です。

もっと言えば、「難攻不落の会社」を「高嶺の花の彼女」と置き換えてもそのテクニックは通用します。

つまり飛び込み営業で鍛えられた前向きで積極的な社交性が、人に合わせるために話題が豊富になり、例えばパーティーなどで一人ポツンとしている人を見つけたら、たとえまったく知らない自分よりずっと年配の人とでも気軽に話しかけ、やがては一緒になって盛り上がることが普通にできるようになるのです。同世代同士ならともかく、これって若い人には結構なハードルが高いでしょ。

「老人キラー」って遺産を狙っている女性だけではなく、もちろん男性にもいます。特にベンチャー企業などを立ち上げて成功している人の多くは、老人キラーだったりします。

男性の「老人キラー」は、遺産目当てではなく、老人というか年配の人を味方につけ資金を集めるだけでなく、その人脈やノウハウなどアドバイスも得られ、事業の成功に直結します。

成功しているベンチャー経営者の多くは、創業まもないまだ力も金も知恵もない時に、たいへん世話になった年配の人が必ずいます。

ま、いずれにしても、「もう飛び込み営業なんか非効率すぎて過去の遺物」って時代ですので今更でしょうが、人間関係に自殺を考えるほど悩んだり、アスペルガー症候群やコミュニケーション障害に陥る人が増えているって話しを聞いたり、若いうちに起業しようとする人の割合が他国と比べるとずっと少ないって聞くと、若いうちに飛び込み営業でもやって、少々無理してでもそうした能力、スキルを磨いておけば、そういうことにはならなかったんじゃないかなって、ちょっと飛躍しすぎているかも知れませんが思ったので。


【関連リンク】
773 消滅する仕事、残る仕事
768 無口な人はコミュニケーション能力が低い?
633 セールスの極意なんてものはないが、、、


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子供の教育費にいくらかけますか? 2015/6/27(土)

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若い知人と話しをしていたら、「子供を小学校から私立に入れようと思っている」という話しになりました。なんでも知人(男性)は当初は小学校も中学校も公立でいいかなと思っていたらしいのですが、奥さんが教育熱心で、絶対小学校から私立と決めていたそうです。

こうした子供の教育については、子供と接する割合が多い母親の意向が強くなるのが多いようで、父親はその教育費をなんとか工面することと、お受験の際、立派なお父さんの振りをして面接に行くだけです。

高学歴の女性が増えてきたことで、そうした子供や父親に有無を言わせず、最良と思われる教育をつぎ込みたいと願う傾向が強くなってきたなと感じます。特に小学生未満の子供に公立がいいか私立がいいかの判断はできないので、結局は両親や祖父母が決めることになります。

少子化で母親が産む平均的な子供の数(合計特殊出生率)は2013年で1.43で、2005年の1.26と比べると多少は上昇傾向にありますが、それでも先進国で比べるとドイツやイタリアと並んでもっとも低いレベルにあります。

合計特殊出生率

つまり夫婦が働いて稼いだ中から、子供の教育費として使えるお金は、以前ならば、夫がひとりで働いて得たお金を二人以上の子供に分散して使っていたものが、最近では夫婦二人が働いて得たお金を1人の子供に集中して使うことができます。それが子供の低年齢から積極的に私立学校へ通わせることができるようになってきた最大の要因でしょう。

これは子供にとっては、親が稼いでいるお金と元々持っている資産(祖父母からの遺産など)とともに、兄弟がいるかいないかの違いで、その子供が受けられる教育の質や量が違ってくるということを表しています。

もちろん本当に優秀な子供であれば、親の資金力や兄弟姉妹の数に関係なく、親に負担をかけないで自分で奨学金を獲得していい学校へ進むことだってあり得ないことではありませんが、そうしたケースは極めて珍しいことでしょう。

そこで親は、子供のことならできるだけなんとかしてやりたいと、子供の親同士で競うように小学校から名門私立を目指すって人が増えてきているわけですが、案外、子供の教育費にいくらかかるかってことを知らない親が多いとも感じます。

もし小学校から大学(文系)まで全部を私立に行かせると1人いくらの学習費(入学金、授業料、塾等)がかかるでしょう?

大学も自宅から通学するとして、小学校6年、中学・高校各3年、大学4年の合計16年で2206万円という試算です。郊外マンションならば買える値段ですね。
内訳は小学校836万円/6年、中学校371万円/3年、高校294万円/3年、大学705万円/4年です。
※出典:文部科学省「子供の学習費」調査

エレベーター式の私立学校へ行けば、厳しい受験戦争はありませんし、子供も余裕ある学校生活をおくれるかも知れませんが、親は大変です。部活をすれば部費はもちろん遠征費用等が必要で、修学旅行も私立高校の場合は海外へ行くので積立金もかなりの高額になります。

もし子供が二人いて、二人とも同じく小学校から私立へ進学をしたとすれば×2で4412万円です。もうこうなると親からの支援がなければ、普通のサラリーマンの収入だけでは無理っぽいでしょうね。兄と弟、姉と妹などで行く学校に差をつけるというのも難しく、やはり一人っ子故のコースといえそうです。

もし中学校までは公立の学校で、高校と大学のみ私立(文系)という場合だと、小学校〜大学までの16年間で1397万円がかかります。もし子供が二人いて、二人ともこのパターンで進学すると×2で2794万円が必要と言うことです。これでも普通のサラリーマン家庭では厳しいものがありそうです。

これ以外にも、子供にかかる費用として、幼稚園または保育園の費用(公立69万円/2年、私立162万円/2年)、そのほかに、ピアノや水泳など趣味の習い事などがあれば別途かかります。

親の家に家賃なしで同居をしていればまだいいですが、通常はこれとは別に賃貸マンション費用か住宅ローンを毎月10数万円支払うことを考えると、子供のためとは言え、二人以上の子供を私立学校に通わせるのは、かなりリスキーな人生を送ることになります。この教育費の高さも少子化の原因のひとつではないかと思っています。

子供の教育費は住宅ローンほどではありませんが、10数年という長期にわたってかかってくることも注意が必要です。

つまり、「10年後には今よりもっと年収も増えていて・・・」などと考えて予定を組んでいると、まったく収入は増えず、逆に税金や生活費が上がって可処分所得は減っていくということが珍しいことではないからです。

特に30歳過ぎてからの子供の場合、子供が成人する20歳の時には親は50歳を超えています。勤務先で役員にでもならない限りは、一般的にもっとも働き盛りで年収が高いのは40代後半と言われていますので、もっともお金がかかる大学生の頃に、所得が減じていることも想定しておかなければなりません。ソニーやシャープじゃないですが、40代以上になると勤務先の業績によっては大量の早期退職という名のリストラが行われないとも限りません。

住宅ローン破産じゃないですが、思ったよりも所得が伸びなかったり、勤務先をリストラされたり、自分や家族の病気や事故で働けなくなったりという様々な事態を考えておく必要がありそうで、住宅ローンと同様、教育費に関しても一種の博打みたいな綱渡りになることだけは避けたいものです。


【関連リンク】
834 高齢者向けビジネス(第4部 ボランティア編)
699 大学へ奨学金で行くということ
666 子供の教育費の負担を覚悟しているか
563 国立大学、私立大学の国庫負担比較

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