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読書感想INDEX

ローレンス・ブロック Lawrence Block 既読書籍

034 すべては死にゆく(MS16) 033 泥棒はクロゼットのなか
032 盲目の予言者 031 夜明けの光の中に ローレンス・ブロック傑作集3
030 バランスが肝心 ローレンス・ブロック傑作集2 029 過去からの弔鐘(MS01)
028 慈悲深い死(MS07) 027 殺し屋ケラーの帰郷(Ke05)
026 暗闇にひと突き(MS04) 025 殺し屋 最後の仕事(Ke04)
024 死への祈り(MS15) 023 泥棒は詩を口ずさむ
022 償いの報酬(MS17) 021 やさしい小さな手
020 エドガー賞全集 019 マンハッタン物語
018 怪盗タナーは眠らない 017 殺しのパレード(Ke03)
016 皆殺し(MS14) 015 泥棒は野球カードを集める
014 墓場への切符(MS08) 013 処刑宣告(MS13)
012 獣たちの墓(MS10) 011 一ドル銀貨の遺言(MS03)
010 砕かれた街 上・下 009 死者との誓い(MS11)
008 冬を怖れた女(MS02) 007 聖なる酒場の挽歌(MS06)
006 八百万の死にざま(MS05) 005 死者の長い列(MS12)
004 殺しのリスト(Ke02) 003 倒錯の舞踏(MS09)
002 殺し屋(Ke01) 001 おかしなことを聞くね ローレンス・ブロック傑作集1
 MS:マット・スカダーシリーズ  Ke:殺し屋ケラーシリーズ

読書感想は2010年頃以降に書くようになりました。それ以前に読んだ本の感想はありません。


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1938年アメリカ合衆国、ニューヨーク州バッファロー出身。1960年よりペーパーバック・ライターとして娯楽小説にて作家デビュー。『八百万の死にざま』と『死者との誓い』でシェイマス賞最優秀長篇賞。『倒錯の舞踏』でエドガー賞 長編賞を受賞。「マット・スカダー・シリーズ」「泥棒バーニイ・シリーズ」「殺し屋ケラー・シリーズ」などベストセラー多数。(Wikipediaより引用 2022年)

034 すべては死にゆく All the Flowers Are Dying

しばらくこのマット・スカダーシリーズを読んでいなかったなと思って調べてみると、2017年にようやく見つけて読んだシリーズ第1作目の「過去からの弔鐘」(日本語版1987年)以来でした。

この「すべては死にゆく」は2005年に発刊(日本語版は2006年刊)で、もう10数年前に単行本が発刊された作品で、そのうち文庫化されるだろうと思ってずっと待っていましたが、全然その様子はなく、シリーズでその後の「償いの報酬」が文庫で出てきて結局あきらめて単行本を買いました。

シリーズは主人公の年齢も年齢ですから「償いの報酬」で終わりかなと思っていましたが、その次の「石を放つとき」(2020年)がすでに単行本で出ています。またこれも文庫化はされないのかな。

本編では主人公のスカダーが68歳になっていて、そろそろ探偵業から引退しようかという頃で、もちろんアルコールとも縁が切れていますが、禁酒を目的とするアルコホーリクス・アノニマス(Alcoholics Anonymous)の集会には律儀に参加しています。

マットスカダーシリーズはこの主人公が警察官時代に犯人逮捕の際、自分が撃った銃弾が跳弾して少女を殺してしまったトラウマから酒浸りとなり、警察を退職した後も、酒での失敗を繰り返す日々を送ります。

そしてあるとき恋人やAA集会で知り合ったよき助言者を得て、アルコール依存症から何度も何度も失敗しながら、ようやく抜け出すことに成功した姿を理解していなければ主人公を本当に理解できません。

このシリーズの主人公を「アル中探偵」という表現をされますがそれは第7作の「慈悲深い死」あたりまでで、それ以降は、なんとかアルコールを遠ざけて、ニューヨークの酒場でもコーヒーを飲んでいます。

さて、ストーリーですが、主人公のマットと、殺人が趣味の犯人の視点の二つが中心で、その二つがジリジリと交差するところまで迫っていきます。

その殺人鬼の犯行の様子、ペドフィリアや死体損壊などいくつも書かれていて、読んでいてもあまり気持ちのよいものではありません。

犯人を究極のワルとしたいのはわかりますが、そこまで都合良く完全犯罪の殺人を繰り返すことが易々とできる一種の天才&運が強い男にしなくても良いのにと思ってしまいます。

時代背景はすでに携帯電話は当たり前になっていますが、NYの街中では防犯カメラの設置が進んでいないようで、犯人がどこに現れたかはわかっても、犯人の姿がなかなか捕らえられず、ちょっとイライラしてしまいました。

結局は勧善懲悪ですが、それにしてもマット・スカダーシリーズが久しぶりで期待が大きかったためかイマイチで、後味は決して良くないものでした。

★☆☆

10月前半の読書と感想、書評 2021/10/16(土)

033 泥棒はクロゼットのなか (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 146-5))
The Burglar in the Closet

原題は「The Burglar in the Closet」で、1978年に発表された作品です(翻訳版文庫は1993年発刊)。「泥棒バーニイ・シリーズ」の第2作目となります。

過去にはシリーズ3作目の「泥棒は詩を口ずさむ」と、6作目の「泥棒は野球カードを集める」を読んでいます。

2013年2月の後半の読書(泥棒は詩を口ずさむ)

ブロックと言えばハードボイルド探偵小説「マット・スカダー・シリーズ」が特に有名ですが、スカダーの長編が17作品に対し、このバーニイの長編は11作品と、それに次いで多いシリーズ作品となっています。

私のマット・スカダー好きは下記に書いてます。

元アル中探偵マット・スカダーに惚れる 2017/5/20(土)

馴染みの歯科医に離婚した妻の住まいに侵入して結婚中に買ってやった宝石類を盗んで欲しいと頼まれた主人公は、軽い仕事と思って請け負います。

セキュリティの厳しいアパートに侵入し、宝石を物色していたところ、思わぬ速さで住人が帰って来てクローゼットの中に閉じ込められることになります。

シャワーにでも入ればその間に抜け出せると思っていたら、案の定というか、その女性は一緒にいた男性に刺されて殺されてしまいます。しかも、集めた宝石を入れたバッグも持ち去られてしまいます。

このままだと、離婚した旦那に調べが入り、アパートに侵入することを知っている自分が最大の容疑者となるのも時間の問題?ということで、警察から逃げながら犯人捜しを始めます。

なかなか手の込んだ複雑な人間模様で登場人物も多く疲れますが、決してスーパーマンではなく、人間味あふれる泥棒が主人公で気楽に楽しめます。

★★☆

5月前半の読書と感想、書評 2021/5/15(土)

032 盲目の予言者(二見書房)
Random Walk

1988年刊で原題は「Random Walk」(直訳すると「不規則な歩行」)の小説で、著者の有名なシリーズ「マット・スカダー・シリーズ」「泥棒バーニイ・シリーズ」「殺し屋ケラー・シリーズ」「快盗タナー・シリーズ」のどれにも属さない単独の長編です。

この小説は文庫化がされてなく、単行本でもすでに絶版となっていて、ブックオフあたりにもまず出てこないので、今回はAmazonのマーケットプレイスで入手しました。

高倉健主演の映画「あなたへ」(2012年)のように、主人公がひたすら旅をするロードムービーと言われる映画がありますが、こちらはそういう言葉があるのかどうか知りませんがロード小説と言えます。

バーテンダーの主人公は、ある時、意識の中で「歩け」という天の言葉を聞き、それに従うべく、仕事を辞めて、マイカーも売り、銀行からお金を下ろし、アメリカ西海岸からひたすら陸地を目的もなく東に向かって歩き続けます。

いくつもの州を超えて歩くうちに、ひとり、またひとりと同行する人が増えていきますが、その中に、目が見えなくなったシングルマザーで精神カウンセラーがまだ幼い息子と一緒に加わります。タイトルにある「盲目の予言者」とはこの人のことを指しています。

一緒に単に歩くようになると、不思議な現象が次々と起きていきます。例えば高齢で歩くことができなかった老婆が杖もなしで歩けるようになったり、癌に罹って余命わずかだった女性が劇的に回復したり、大人で抜けた歯が新たに生えてきたり。

ま、そのあたりはなにかファンタジー小説か、宗教教本のようですが、なにか閉塞感に追いやられて苦しんでいるアメリカ都会人にとってはそうした神秘的な癒やしに憧れている気もわかります。

特に最後までこれと言った転結があるわけではありませんが、同時進行で100人もの女性を殺めた凶悪な殺人者がその行進に加わったことで、自らの犯罪を告白し自戒していくなど、できすぎというかやりすぎって感じもします。

★★☆

3月前半の読書と感想、書評 2018/3/14(水)

031 夜明けの光の中に ローレンス・ブロック傑作集3 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Some Days You Get the Bear

1993年に発刊された3作目となる短編小説集で、著者が創り出したキャラクターの探偵マット・スカダーや泥棒バーニイ、殺し屋ケラーなど20編が収録されています。

前の短編集2作品も同様ですが、出来の良い作品とそうでない作品の差が大きくて、ワクワクする短編もあれば、あくびが止まらない駄作も混じり、無理して20作も入れなくてもよかったのでは?と思ってしまいます。

しかし私はその良作のひとつ、1993年に読んだ「おかしなことを聞くね ローレンス・ブロック傑作集1 ローレンス・ブロック傑作選 (ハヤカワ・ミステリ文庫)」(1983年)を読んで、マット・スカダーのファンとなりました。

元アル中探偵マット・スカダーに惚れる 2017/5/20(土)

短編それぞれのタイトルを書いておくと、

(1)夜明けの光の中に(2)夢のクリーヴランド(3)男がなさねばならぬこと(4)名前はソルジャー(5)魂の治療法(6)エイレングラフの選択(7)胡桃の木(8)泥棒はプレスリーを訪問する(9)交歓の報酬(10)死にたがった男(11)慈悲深い死の天使(12)タルサ体験(13)いつかテディ・ベアを(14)思い出のかけら(15)ヒリアードの儀式(16)エイレングラフの秘薬(17)フロント・ガラスの虫のように(18)自由への一撃(19)どんな気分?(20)バットマンを救え

(1)と(11)と(20)がスカダー、(8)がバーニー、(4)がケリーの短編作品です。

また、前の短編集(傑作集)でお馴染みとなった、手段を選ばず必ず無罪を勝ち取る弁護士エイレングラフはこの短編集でも(6)と(16)に登場します。(6)では、女中が見ている前で、資産持ちの夫を自分の拳銃で撃ち殺した妻を無罪にしてしまう敏腕ぶりには大笑いできます。

(11)の「慈悲深い死の天使」(The Merciful Angel of Death)は、著者の長編作品の中に「慈悲深い死」(Out on the Cutting Edge 1989年)というのがあって、それとの関連を想像していましたが、原題を見れば明らかで、まったく関係のない作品です。なぜ長編の「Out on the Cutting Edge」が「慈悲深い死」という超訳タイトルになったのかは不明です。

それぞれの短編小説を読んで思わずニタリとできるのは、やはりスカダーにしろ、バーニーにしろ、ケラーにしろ、エイレングラフにしろ、主人公の特徴をある程度知っておく必要があるでしょう。

お手軽な短編から入って、気に入った主人公の長編を買って読むというのもアリですが、マット・スカダーシリーズは、主人公にそれなりの歴史があるので、やはり初期の作品「八百万の死にざま」(1982年)あたりを先にたしなんでおいてから読むとグッと楽しさが増します。

★★☆

2月前半の読書と感想、書評 2018/2/14(水)

030 バランスが肝心 ローレンス・ブロック傑作集2(早川書房)
Like a Lamb to Slaughter

1993年(翻訳版は1994年)の短編集で、18編の小ネタが載っています。その中のひとつ「バッグ・レディの死」という短編が著者の大ヒットシリーズ「マット・スカダー」が登場する作品となっています。

「バッグ・レディ」とは、大きなバッグに財産すべてを入れて持ち歩いている、いわゆるホームレス女性のことです。

ホームレスですがそれなりの財産は持っている女性で、その女性が何者かに殺されて亡くなったあと、遺書から自分が死んだとき、マットやその他何人かの知り合いに遺産を分けて支払うという文書が見つかり、弁護士がやってきて小切手で受け取ることになります。

そしてそのお金は「自分の死について調べて欲しい」というメッセージだろうと解釈し、殺害されるに至った経緯や犯人を突き止めていくというストーリーです。

短編ですので、テンポが速く、登場人物も限られていますが、通り魔の犯行なのか、それともなにか怨恨があったのか、警察もホームレスの死ということで本気で捜査はおこなわれておらず、なかなか真相に迫れず、終盤になってから急転直下真相にたどり着くというかなり忙しい感じです。

著者は上記のように「マット・スカダーシリーズ」や「泥棒バーニイ・シリーズ」などの長編作品が多く、この短編集は副題に「ローレンス・ブロック傑作集2」とあるように、「おかしなことを聞くね ローレンス・ブロック傑作集1 ローレンス・ブロック傑作選」に続く2番目の短篇集とのことです。

著者の短編はこれら以外にも、「殺し屋屋ケラー・シリーズ」の中でも連作短編という形で存在しています。

この短編集に収録されている作品は、「雲を消した少年」「狂気の行方」「危険な稼業」「処女とコニャック」「経験」「週末の客」「それもまた立派な強請」「人生の折り返し点」「マロリイ・クイーンの死」「今日はそんな日」「安らかに眠れ、レオ・ヤングダール」「バランスが肝心」「ホット・アイズ、コールド・アイズ」「最期に笑みを」「風変わりな人質」「エイレングラフの取り決め」「カシャッ!」「逃げるが勝ち?」「バッグ・レディの死」の18編です。

正直に言うと、面白いものもあれば、さっぱりなものもあり、玉石混淆って感じです。「殺し屋屋ケラー・シリーズ」の連作短編はそれなりに楽しめましたが、こうした1話完結の短編集については、やや出来不出来の幅が大きいという印象です。

実はこのローレンス・ブロックの作品を最初に読んだのが1993年に読んだ短編集「おかしなことを聞くね」で、それ以来著者のファンになり、上記の「マット・スカダーシリーズ」や「殺し屋屋ケラー・シリーズ」のほぼすべてを読むことになります。本来は短編の名手とも言われているので、面白くないという感覚は、読み手側の責任もあるかもですね。

今回の短編は短編集第1作目の「おかしなことを聞くね」の出来がとても良く、もっと大きな期待をしていただけに、ちょっと残念な感じでした。

★☆☆

5月後半の読書と感想、書評 2017/5/31(水)

029 過去からの弔鐘 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
Sins of the Fathers

1976年に書かれた「マット・スカダー・シリーズ」の記念すべき第1作目となる探偵小説で、翻訳版が日本で発売されたのが1987年と11年経ったあとでした。このシリーズは2015年現在で17作品あります。

主人公は元警察官で、犯人に向けて発砲した際、流れ弾が近くにいた少女に当たってしまい死亡させてしまいました。

そのことはやむを得ない不幸な事故として処理されましたが、自分の気持ちに整理がつかず、アルコール中毒になってしまい、離婚し、警官も退職、その後はフリーで探偵登録をしないまま探偵の仕事を警察の元同僚などから回してもらって生活の糧にしています。

ストーリーは、そうしたマットの元に、刑事から紹介されたと言って、娘をニューヨークで殺された父親が訪ねて来ます。

犯人はすでに逮捕されていますが、なぜ娘は殺されなければならなかったのか?娘はどういう生活を送っていたのか?などを調べて欲しいと頼まれます。

知りたいことがわかるとは限らない、知らなかった方がよいこともあることを警告した上で、それでもいいと了解をとった上で捜査に入ります。というのもその娘は年齢に似合わず、高級アパートで、いい暮らしをしていて、それは売春をしていたからではないかとマスコミは報じていたことを知っていたからです。

仕事を受けたマットは、娘を殺した犯人として逮捕されていた娘とルームシェアで同居していたゲイの男性の周辺や、娘と仲良かった学生時代の友人などから話しを聞いて回ります。

やがて、娘の複雑な人間関係や、殺したとされる男の当日の不可解な行動などが明らかになっていきます。著者はまだ若い38歳の時の作品(現在は78歳)で、元気はつらつとした中にも奥の深い考えさせるとてもよい作品に仕上がっています。

このシリーズ全17作の中で読んでいないのはあと1作「すべては死にゆく」を残すのみとなりました(たぶん)。でもなぜかこの作品だけは2005年の作品ですが文庫化がされていないんですよね。

★★★

3月後半の読書と感想、書評 2017/3/29(水)

028 慈悲深い死 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
Out on the Cutting Edge

ニューヨークが舞台のアル中探偵マット・スカダーシリーズ7作目の作品で1990年に翻訳版が出た作品です。2012年に同シリーズ17作目「償いの報酬」が出た後はもう次はないかなと思っていますが、過去にさかのぼってまだ読んでいなかった本をぼちぼちと探しているところです。

この作品では自身のアルコール中毒から苦心して抜け出すためにもがき苦しむ様子が描かれ、新しい恋人ができたり、さらにこのシリーズの後半で欠かせなくなる、友人でありよき理解者のミック・バルーとこの作品の中で知り合うことになります。パーカーのスペンサーシリーズで言えばホークのような存在です。

あらすじは、女優を目指しニューヨークで一人で住んでいた娘が3ヶ月前に行方不明となり、その父親がインディアナ州から出てきて娘を捜して欲しいとスカダーに頼みます。そして着手金千ドルをもらい捜査を始めますが、まったく手がかりがつかめないでいます。

一方断酒を継続するためのAA集会(アルコール中毒者の会合)でいかにもケチな犯罪者風の青年と知り合うこととなり、来週にも自分の告白を聞いて欲しいと頼まれますが、翌週になっても男は現れず、嫌な予感がしてアパートを訪ねるとそこでその青年の死体を発見します。

このまったく関係がない二つの事件を追いかけ、ふとしたことがきっかけで、それまで行き詰まっていた二つの事件の捜査が一気に進展していきます。

シリーズの他の作品を読んでいなくとも、これ単独でも十分におもしろく読めそうですが、やはり過去から引きずっているアルコール依存になった原因などは知っていた上で読むほうがよりいっそう楽しめるでしょう。

5月後半の読書と感想、書評 2015/6/3(水)

027 殺し屋ケラーの帰郷 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)
Hit Me

殺し屋 Hit Man」(1998)、「殺しのリスト Hit List」(2000)、「殺しのパレード Hit Parade」(2006)、「殺し屋 最後の仕事 Hit and Run」(2008)に次ぐシリーズ5作目の短編で、2014年11月に出版(翻訳版)されました。

同シリーズは2作目と4作目が長編ですが、その4作目「殺し屋 最後の仕事」では、大統領候補殺害の容疑をかけられ、全米に指名手配されるという罠にはめられたものの、その窮地をしのぎ、手をさしのべてくれた女性と結婚し、子供ができて、家のリフォーム会社を立ち上げ、ハッピーエンドでこのシリーズも終わったかのように見えましたが、この続編が出ていました。

この作品は1作目、3作目と同様の連作短編で、「ケラー・イン・ダラス」、「ケラーの帰郷」、「海辺のケラー」、「ケラーの副業」、「ケラーの義務」からなっています。

ハリケーンカトリーナによる住宅被害拡大で順調にいっていたリフォーム会社は、全米を揺るがしたサブプライムローン問題によって住宅バブルがはじけてしまい、ケリーは一気に失業状態になります。

と、そこへ殺人の委託を受ける昔の仲間ドットから電話がかかってきます。「また始めようと思うのだけど、あなたに知らせないわけにはいかないでしょ?」と。

ま、流れは以前と変わりありませんが、今までのようになにも悩みなくクールだった殺し屋も、今は妻と子を抱え、本業の共同経営者との関係もあり、その葛藤が加わります。

また仕事が暇になったらなったで、切手収集の趣味もさらに高じ、そのオークションの模様なども本作品では詳細に取り上げられたりと、マンネリ化を防ぐためか?なかなか努力の痕跡が見られます。

しかし切手の趣味は奥が深すぎて、興味がない素人読者には理解しがたく、なんだか著者の思い入れだけが空回りしているかなって感じられます。

1月後半の読書と感想、書評 2015/2/4(水)

026 暗闇にひと突き (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
A Stab in the Dark

マット・スカダーシリーズ4作目の作品で、1981年刊(翻訳文庫版は1990年刊です。原題は「A STAB IN THE DARK」。直訳すれば「当てずっぽう」ということになります。

このシリーズはほぼ著者と主人公の年齢というか時間の経過がほぼ一致していて、第1作目では39歳だった主人公は44歳になっています。

この頃はまだ酒を飲み、時にはアルコール漬けになるときもある時代で、別れた妻との会話や、同じアルコール中毒の女性との出会いなど、私生活面での話しもところどころで見られます。

その後のアルコールとの闘いを先に読んでいるだけに、この頃のアルコール摂取量は半端なく、そりゃ中毒にもなるでしょうという状態です。無職でありながら、朝から晩までずっとアルコールを飲んで、それでよくお金が続きますねっていうのが本音なところ。

ストーリーは、9年前に娘を殺された男からの依頼で、当初は無差別な連続殺人のひとつに思われていたところ、そうではないということがわかり、その真相を暴いて欲しいというもの。

犯人に偶然突き当たるまでの思考が、単に元警官の勘と臭覚というのではちょっと無理があり、ご都合主義的に作られているなとは思いますが、犯人を追い詰めるだけではなく、それに至る様々な主人公の生活スタイルや、過去から引きずっている苦悩などを知る回と思えば悪くはありません。

このシリーズの長編は2014年までに17作品が翻訳され出ていますが、あと3作品がまだ未読です。できれば最初から順序通りに読んでいきたかったのですが、1990年代初頭は、書店の棚に置いてあるものを買うしか方法がなかったので、仕方ありません。

多少一部にあやふやなところがありますが、マット・スカダーシリーズのタイトル、発表年、主人公(著者とほぼ同じ)の年齢です。
1 過去からの弔鐘 Sins of the Fathers 1976年 39歳
2 冬を怖れた女 Inthe Midstof Death 1976年 39歳
3 1ドル銀貨の遺言 Time to Murderand Create 1977年 40歳
4 暗闇にひと突き A Stabin the Dark 1981年 44歳
5 八百万の死にざま Eight Million Ways to Die 1982年 45歳
6 聖なる酒場の挽歌 When the Sacred Ginmill Closes 1986年 49歳
7 慈悲深い死 Out on the Cutting Edge 1989年 52歳
8 墓場への切符 A Ticket to the Boneyard 1990年 53歳
9 倒錯の舞踏 A Dance at the Slaughterhouse 1991年 54歳
10 獣たちの墓 A Walk Among the Tombstones 1992年 55歳
11 死者との誓い The Devil Knows You're Dead 1993年 56歳
12 死者の長い列 A Long Line of Dead Men 1994年 57歳
13 処刑宣告 Even the Wicked 1996年 59歳
14 皆殺し Everybody Dies 1998年 61歳
15 死への祈り Hope to Die 2001年 64歳
16 すべては死にゆく All the Flowers Are Dying 2005年 68歳
17 償いの報酬 A Drop of the Hard Stuff 2011年 74歳

10月前半の読書と感想、書評 2014/10/15(水)

025 殺し屋 最後の仕事 (二見文庫)
Hit and Run

2008年にアメリカで発行、翻訳された文庫は2011年に出版されています。タイトルにあるようにシリーズ化されてきた殺し屋ケリーの最終版となりますが、その後アメリカではKindleの電子書籍だけで続編が出ているそうです。そしてこのシリーズは連作短編のものが多いのですが、この作品は長編小説となっています。

◆殺し屋ケリーシリーズ(Wikipediaより)
 『殺し屋』 Hit Man(1998)- 連作短編集
 『殺しのリスト』 Hit List(2000)
 『殺しのパレード』 Hit Parade(2006)
 『殺し屋 最後の仕事』 Hit and Run(2008)
 『Keller in Dallas』(2009) Kindleのみ

さて、このケラーシリーズ最終作?は、巻末の解説でも書かれていましたが、できれば過去の作品を1冊以上読んでからのほうがいいでしょう。それは主人公ケラーとその周辺の人達との関係、殺しの手法、、趣味の切手コレクションのこだわり方などある程度の予備知識があるほうが面白く読めるからです。

そしてこの長編に関しては、シリーズの従来スタイルではなく、著者ローレンス・ブロックの代表作、マット・スカダーシリーズと同様なハードボイルドタッチで描かれていることも、この作品の前に前作を読んでおくひとつの大きな理由です。

それは過去の作品のようにコミカルで軽快なところはほとんどなく、今までは準備万端で難なく仕事をこなしてきたクールな殺し屋ケラーが、大きな罠にはめられてしまい、追い詰められていくというシリアスなドラマとなっているからでもあります。

しかし捨てる神あれば拾う神ありで、しかも今までの流れからすると考えられない結末へと向かっていきます。考えられないというのは、「まさかあのクールな殺し屋ケラーが、安い週給で大工の見習い仕事を始め、まともな××をして○○までできちゃうなんて!」ということです。

もちろん先に書いたように電子版の続編が出ていると言うことは、少なくともここで主人公が死んで終わってしまうということではないのはわかってしまうのですが。

個人的には、こうしたシリアスな展開は「マット・スカダーシリーズ」やマイクル・コナリー著の「ハリー・ボッシュシリーズ」に任せておいて、ケラーはケラーのお気楽で計算し尽くされた殺し屋というイメージを最後まで貫いて欲しかったなというのが本音のところです。

ところで、本当の最終版、Kindle版の「ダラスのケラー」?は、日本語版では電子版だけでなく文庫版も出してくれないものかと書籍は絶対アナログ派だけに、ひたすらそう願うばかりです。

1月後半の読書と感想、書評 2014/2/5(水)

024 死への祈り (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
Hope to Die

マット・スカダー・シリーズ15作目のこの「死への祈り」はアメリカで2001年に発刊され、日本語に翻訳されたこの文庫版が出たのは2006年になります。

このニューヨークの刑事(のちに退職して探偵)を主人公としたマット・スカダー・シリーズが始まったのは「過去からの弔鐘」の1976年ですから、この15作目の「死への祈り」の2001年までには25年の月日が経っています。

私がこの著者の作品を最初に読んだのは1993年に短編集の「おかしなこと聞くね」でしたが、今回のマット・スカダー・シリーズに初めて触れたのは1999年になってからで割と遅めからでした。

同じく探偵が主人公のハードボイルド小説、ロバート・B・パーカーのスペンサーシリーズは1973年から亡くなる2010年まで書かれてきましたが、その間37年、主人公のスペンサーはほとんど年をとらない、いわゆる国民的漫画サザエさんと同じく、どれから読んでも主人公達の若々しい肉体とスーパーマン的活躍が期待できました。

しかしこのマット・スカダー・シリーズは、書かれた時期に合わせてそれなりに年を取っていき、その点主人公とともに自身も年を重ねていき、本当に現代を生きている主人公のようなリアル感があっていいものです。

今度スペンサーとマットと、もう1人マイクル・コナリーのハリー・ボッシュの年表でも作ってみると面白いかな。著者のローレンス・ブロックもマット・スカダーの第1作を書いたときには意気盛んな38才でしたが、現在(2013年)はもう75才です。

さて本編のストーリーは、探偵の免許を取り上げられ、妻のエレインと悠々自適の生活をおくっていたある日、自宅の近くで弁護士夫婦が惨殺され、その後犯人と思われる二人が自殺死体となって発見される事件が起きます。

警察もマスコミも犯人が死んだことで一件落着としましたが、殺害された弁護士の妻の姪が、この殺人事件にはなにかスッキリしない疑問があることを主人公に相談したことから、暇にあかせて独自に捜査を開始します。

そうした中で、主人公の元妻の病死が伝えられ、現在の妻エレインに多少気兼ねしつつ葬儀に参列したり、ほとんど交流のなかった元妻との子供達の微妙な関係なども話の中に入ってきて、マットも年老いてきたなぁと感じさせられます。

やがてマットの執念が実ることになりますが、そこはミステリー小説ですから読んだ人だけのお楽しみです。しかしこんなにツキのある犯人って他には見たことがないです。

12月前半の読書と感想、書評 2013/12/18(水)

023 泥棒は詩を口ずさむ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
The Burglar Who Liked to Quote Kipling

初出は1979年というからかなり前に書かれた作品(文庫は1994年刊ですが現在は廃刊?)です。著者ローレンス・ブロックはチャンドラー、パーカー亡き後、私が認める数少ない読ませるハードボイルダーですが、この作品は欠かさず読むアル中探偵「マット・スカダー・シリーズ」や切手収集が趣味の殺し屋「ケラーシリーズ」ではなく、コメディタッチで軽めの「泥棒バーニイ・シリーズ」の3番目の作品です。

古書店「バーネガット書店」を営む天才的泥棒のバーニーは、来店客から稀覯本を高価で手に入れたいが、それがいまどこにあるかということを聞かされます。つまり彼が泥棒だということを知っていて、高額を支払うから盗んできてほしいと頼まれるわけです。

高性能なセキュリティをかいくぐり、無事大富豪の家に忍び込み、他の宝石や現金には一切手をつけず、その稀覯本を手に入れますが、その後、いざ引き渡しをするところで見事に騙され、稀覯本は奪われてしまいます。

おまけに薬で眠らされている間に拳銃を握らされ、銃殺された死体と一緒に置き去りにされているところに警察官が押しかけてくるという絶体絶命のピンチに陥ります。

ま、ちょっと設定には無理がありすぎるのと、コメディと絡めながら妙に推理小説っぽく書かれているのがちょっとどうかと思いますが、元々推理小説家というジャンルではないので仕方がないかなと。

なぜ「マット・スカダーシリーズ」が大ヒットして、こちらのシリーズがイマイチなのかがわかる作品でもあります。このシリーズを読むのはこれで2冊目ですが、もういいかな。

ちなみにマット・スカダーシリーズでは「八百万の死にざま (ハヤカワ・ミステリ文庫)」「死者との誓い (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)」、殺し屋ケラーシリーズでは短編連作の「殺し屋 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)」と長編「殺しのリスト (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)」がお勧めです。

2月の後半の読書 2013/3/6(水)

022 償いの報酬 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
A Drop of the Hard Stuff

アル中の無資格私立探偵「マット・スカダー・シリーズ」の長編は、この作品で17編に達しています。

アル中と書きましたが、警官だった頃に抵抗する犯人に向けて拳銃を撃った際、外れた弾が跳ねて近くにいた少女にあたり亡くなってしまい、それ以来の酒浸りが原因です。

そして警察を辞め、私立探偵の資格を持たずに人から頼まれると受けるという都合のよい探偵業を始めてから、あることがきっかけで禁酒を誓い、AA(アルコール依存症の共同体)集会に毎日出掛けるようになったという変わり種ハードボイルド小説です。

ロバート・B・パーカーがボストンを中心に描いてきたように、古きニューヨークをこよなく愛し、NYが舞台の小説が多いローレンス・ブロックとの出会いは結構古く1993年に「おかしなことを聞くね ローレンス・ブロック傑作集1」を最初に読んでから、平均して年に一冊程度を買い、現在では20数冊が本箱に収まっています。

著者の作品は上記の「マット・スカダー・シリーズ」以外に「殺し屋ケラー・シリーズ」「泥棒バーニイ・シリーズ」等がありますが、「殺し屋ケラー」は必ず読み、「泥棒バーニイ」は過去に1冊しか読んでいないと好みが分かれてしまってます。

特に理由はないのですが、殺し屋ケリーはユーモアのセンスがあり、また話しのテンポがよくってとても気に入っています。

もしまだブロック作品を読んだことがなければ、まず短編集の「おかしなこと聞くね」か、連作短編集「殺し屋」を読むことをお勧めします。この作者の作品ならもっとジックリと読んでみたいなと思うこと必至です。

さて今回の作品は、年老いたマシュー(マットの愛称)と、友人でNYの酒場のオーナーミック・バルーと深夜にコーヒーを飲みながら、ずっと昔にマシューが出会った事件について話をするところからスタートです。

パーカーの「スペンサーシリーズ」はシリーズが書かれてきた約40年という長い期間は、小説の中ではせいぜい10年ぐらいしか経っていないようないつまでも若々しい設定でしたが、こちらはシリーズ1作目から35年が経ち、主人公もそれなりに歳をとったという設定のようです。

マシューが子供の頃、近所に住んでいて知り合いだった男が、刑事だった頃に強盗の容疑者として再会します。そして酒浸りになり警察を辞めてからまもなく、通っていた禁酒の会(AA集会)でバッタリとその男と出会うことになりますが、まもなくその男は何者かに殺されてしまいます。

ちょっとこのAA(Alcoholics Anonymous)集会に関する話し(どこの集会所へ行ったとか、どんな話を聞いたか、誰と話しをしたとか)が、長くしつこくて途中読み飛ばしたくなりますが、結論から言ってしまうとそれらはサクッと読み飛ばしても大丈夫です(笑)。そしてこうした過去に事件を回想して語るのは「聖なる酒場の挽歌」でもありましたね。

11月前半の読書 2012/11/17(土)

021 やさしい小さな手(ハヤカワ・ミステリ文庫)
Sweet Little Hands

「やさしい小さな手」というひとつの短編小説の題名からとったタイトルの短編集です。そのタイトルから「ほんわかと暖かな家族のドラマ」を連想してから読み始めると、まったくひどい目に遭うでしょう。

満員電車の中では周囲の目が気になり、読むのも躊躇われるほどの卑猥な言葉、下ネタ、用語が次々と出てきますし、「やさしい小さな手」もちょっと普通では考えられないことのために使われるものです。

私の場合は、題名ではなく作者ローレンス・ブロックで躊躇わずに購入したので、短編集だということ以外、内容はまったく関知していないまま読み進めました。

前半に出てくるいくつかの短編は、ちょっとどうかなと思える、あまり面白くないストーリーと、よくわからない結末で、これは翻訳者の力量のせいかなぁという感想です。

しかし後半に続く短編はさすが!というストーリーが展開され、ローレンス・ブロックの代表作でもある「マット・スカダー」シリーズの主人公が登場してくる頃には、あと本の残りページが少なく「あれま残念」と思うに至っていました。

この本の評価がもし分かれるとしたら、我慢して前半部分を読めるかどうかにかかっているでしょう。またマット・スカダーの本をいくつか読んでいないと、最後のほうで登場するエレーンやミッキーなどシリーズには欠かせない役者達のことがわからないと思います。

そのマット・スカダーシリーズですが、2001年に発行された「死への祈り」が2006年に文庫版となりましたが、2005年に単行本で出た「すべては死にゆく 」の文庫版はまだ出てこないので、ここのところしばらくご無沙汰をしています。単行本で出てから文庫になるまで5年というのはちょっと長過ぎって気もしますが、これも出版社側の戦略なのでしょう。

そういえばジャンルは違いますが、高村薫著の「レディ・ジョーカー」も1997年単行本が出てからずっと文庫版を期待していましたが、2004年には映画化もされていながら、2010年2月現在まだ文庫本にはなっていません。文庫じゃないと満員電車の中では読めないんですけどねぇ、、、

2月前半の読書とDVD 2010/2/15(火)

020 エドガー賞全集 1990~2007 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
2008/9/25

「BOOK」データベースより
ミステリ作家であれば誰もが受賞を切望する、それが世界最高権威のミステリ賞、アメリカ探偵作家クラブ賞(通称エドガー賞)である。本書はその中でも毎年最も優れた短篇に対して贈られる最優秀短篇賞の、1990年から2007年までの受賞作を年代順に収録した日本オリジナルのアンソロジー。ローレンス・ブロック、ドナルド・E・ウェストレイク、ピーター・ロビンスン、S・J・ローザンら、世界基準の短篇をご体感あれ。

019 マンハッタン物語 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)
2008/08/04読了

「BOOK」データベースより
この巨大な都市には無数の人々が住んでいる。未来を夢見る少年。オルガン弾き。銀行強盗。引退寸前のボクサー。過去を抱えた美女…。日常からわずかにはみ出した奇妙な人間模様が絡みあう街―マンハッタン悪徳刑事がたどる運命の末路をツイストのきいた文体が綴る『見物するにはいいところ』、息子が殺人鬼だと気づいてしまった母親のある決断を描く『ランドリールーム』など、ジェフリー・ディーヴァーら当代一流の作家たちがそれぞれのスタイルでこの街に巣食う闇を描き出した、傑作短篇集。

018 快盗タナーは眠らない (創元推理文庫)
2008/01/10読了

「BOOK」データベースより
脳に銃弾を受けて眠りを失ってしまったが、その代わりに語学力と万巻の書からの知識を得たエヴァン・タナー。ギリシア‐トルコ戦争時のアルメニア金貨が今もまだトルコ領内に埋もれているとの情報を得た彼は、金貨を手中にすべく旅立つが、スパイ容疑で逮捕された!決死の脱出から始まるヨーロッパ大活劇。異能のヒーローが活躍する、ブロック初期の痛快シリーズ、ここに開幕。

017 殺しのパレード (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)
2007/12/16読了

「BOOK」データベースより
ケラーが今回依頼されたターゲットは、メジャーリーグの野球選手。球場へ足を運んだケラーは、その選手が通算四百本塁打、三千安打の大記録を目前にしていることを知る。仕事を逡巡するケラーがとった行動とは?上記の『ケラーの指名打者』をはじめ、ゴルフ場が隣接する高級住宅地に住む富豪、ケラーと共通の趣味をもつ切手蒐集家、集団訴訟に巻き込まれる金融会社役員など、仕事の手筈が狂いながらも、それぞれの「殺し」に向かい合うケラーの心の揺れを描いた連作短篇集。

016 皆殺し (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
2006/06/17読了

「BOOK」データベースより
友人ミックの手下が、郊外の倉庫で何者かに惨殺された。ミックの依頼をうけて、スカダーは犯人探しを請け負うことになる。だが調査を進めるうちに、スカダーは敵の襲撃にあい、抗争に巻きこまれた周囲の人間までもが、次々に殺されていく…。追いつめられてゆくミックとスカダー。はたしてふたりはこの戦いから生還することができるのか。そして姿なき暗殺者の意外な正体とは―。マンハッタンを舞台に繰り広げられる壮絶なハードボイルド。ついに待望の文庫化。

015 泥棒は野球カードを集める―泥棒バーニイ・シリーズ (ハヤカワ・ポケット ミステリ)
2005/09/13読了

「BOOK」データベースより
泥棒稼業の隠れ蓑のつもので始めた古本屋がすっかり軌道に乗り、今では本屋の主人としてまっとうな暮らしを送っているバーニイ。気づいてみればもうかれこれ一年近くも夜のお勤めとはご無沙汰だ。ところが、店の新しい大家が法外な家賃をふっかけてきたものだから、バーニイは家賃の値上げ分を捻出するためにやむにやまれず泥棒稼業に逆戻りすることになった。首尾よくウェスト・サイドのとある高級アパートメントに忍び込んだまではよかったが、浴室で素っ裸の男の死体を発見。そのうえ、まったく身に覚えのない高価な野球カード・コレクションを盗んだ疑いまでかけられてしまったのだからたまらない。かくなるうえは野球カードを取り戻して身の潔白を証明するしかない!ある時は鮮やかな手並みの泥棒紳士。またある時は華麗な推理の名探偵―マンハッタンの小粋な快盗バーニイ・ローデンバーが十年ぶりに帰ってきた、最高の話題作。

014 墓場への切符―マット・スカダー・シリーズ (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
2005/07/06読了

「BOOK」データベースより
無免許の私立探偵スカダーは、旧知の高級娼婦エレインから突然連絡を受けた。かつて彼女の協力を得て刑務所に送りこんだ狂気の犯罪者モットリーが、とうとう出所したという。復讐に燃える彼の目的は、スカダーのみならずスカダーに関わった女たちを全員葬り去ることだった…。ニューヨークに展開される現代ハードボイルドの最高傑作。

013 処刑宣告 (二見文庫―ザ・ミステリコレクション)
2005/03/25読了

「BOOK」データベースより
新聞の有名コラムニストに届けられた匿名の投書。それは、法では裁けぬ“悪人”たちを“ウィル=人々の意志”の名のもとに処刑する、という殺人予告状だった。はたしてロビイストやマフィアの首領が次々と殺害されてゆく。スカダーは、次のターゲットとしてウィルの処刑宣告を受けた弁護士から身辺警護を依頼された。だが対策を練ったにもかかわらず殺人は実行されてしまう…。ニューヨークを震撼させる連続予告殺人の謎にスカダーが挑む。CWAダイアモンド・ダガー賞受賞。

012 獣たちの墓 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)
2004/11/09読了

「BOOK」データベースより
麻薬ディーラーとして成功した、キーナンの魅力的な若妻フランシーンが、ブルックリンの街角で白昼堂々と何者かに誘拐された。間もなく脅迫電話をかけてきた姿なき誘拐犯。その要求に応じ、キーナンは巨額の身代金を支払う。しかし犯人が指定した車のトランクのなかにあったのは、変わり果てた妻の無惨な死体だった―。犯人への復讐を誓うキーナンは、事件の手がかりを探るため元刑事のスカダーに調査を依頼するが…現代最高峰の私立探偵シリーズ代表作。

011 1ドル銀貨の遺言 (二見文庫―ザ・ミステリコレクション)
2004/11/03読了

「BOOK」データベースより
たれ込み屋のスピナーが殺された。その二ヵ月ほど前、彼はスカダーに一通の封書を託していた―自分が死んだら開封してほしいと言って。そこに記されていたのは彼が三人の人間をゆすっていたこと、そしてその中の誰かに命を狙われていたことだった。ニューヨークを舞台に感傷的な筆で描く人気ハードボイルド。アル中探偵マット・スカダー・シリーズ。

010 砕かれた街〈上〉〈下〉 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
2004/08/12読了

「BOOK」データベースより
世界貿易センターへのテロから一年。いまだ事件は市民ひとりひとりに暗い影を投げかけていた。いつものように掃除人が契約先のアパートメントを訪ねたところ、寝室で女性が絞殺されているのを発見する。すぐにひとりの作家が逮捕された。女とともにバーを出るのを目撃されていたのだ。事件はあっけなく解決するかに思えたが、ふたたび掃除人は仕事先で三人の女性の惨殺死体に遭遇する。作家は犯人でないのか。

保釈された作家を待ち受けていたのは、事件を題材にした小説の執筆依頼だった。原稿は大手出版社に高額で落札される。一夜にして有名となった作家をめぐり、セックス依存症の画廊の美人オーナー、やり手の法廷弁護人、前市警本部長、そして家族すべてをテロによって亡くした男など、いままでまったく接点のなかったニューヨーカーたちが微妙に交錯しあっていく…。ミステリ界の名匠による異色サスペンス。

009 死者との誓い (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
2004/07/23読了

「BOOK」データベースより
弁護士のグレン・ホルツマンがマンハッタンの路上で殺害された。その直後にホームレスの男が逮捕され、事件は公式には解決する。だが、容疑者の弟がスカダーのもとを訪れ、ほんとうに兄が殺人を犯したのか捜査を依頼してきた。ホルツマン殺害の真相を追うスカダーのまえに、被害者の意外な素顔が浮かびあがってくる…。シリーズ中、最高峰と評されるPWA(アメリカ私立探偵作家クラブ)最優秀長編賞受賞作。

008 冬を怖れた女 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
2004/07/12読了

「BOOK」データベースより
ニューヨーク市警の刑事ブロードフィールドは警察内部の腐敗を暴露し、同僚たちの憎悪の的となった。折りしも、ひとりの娼婦が彼を恐喝罪で告訴。身の潔白を主張する彼はスカダーに調査を依頼した。だが、問題の娼婦が殺害され、容疑はブロードフィールドに!彼の苦境に警官たちが溜飲を下げる中、スカダーは単身、真相の究明に乗りだした…。鬼才の筆が冴える第1級のハードボイルド!

007 聖なる酒場の挽歌 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
2004/07/11読了

「BOOK」データベースより
裏帳簿を盗まれた酒場の店主と、女房殺害の嫌疑をかけられたセールスマン。彼らを窮境から救うべくスカダーは調査にのりだした。が、事件は予想外に奥が深かった!異彩を放つアル中探偵の回想を通して、大都会ニューヨークの孤独と感傷を鮮烈に描き出す現代ハードボイルド・ミステリの最高峰!

006 八百万の死にざま (ハヤカワ・ミステリ文庫)
2004/06/18読了

「BOOK」データベースより
アームストロングの店に彼女が入ってきた。キムというコールガールで、足を洗いたいので、代わりにヒモと話をつけてくれないかというのだった。わたしが会ってみると、その男は意外にも優雅な物腰の教養もある黒人で、あっさりとキムの願いを受け入れてくれた。だが、その直後、キムがめった切りにされて殺されているのが見つかった。容疑のかかるヒモの男から、わたしは真犯人探しを依頼されるが…。マンハッタンのアル中探偵マット・スカダー登場。大都会の感傷と虚無を鮮やかな筆致で浮かび上がらせ、私立探偵小説大賞を受賞した話題の大作。

005 死者の長い列 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
2004/05/28読了

「BOOK」データベースより
年に一度、秘密の会を催す男たちの集まり「三十一人の会」。はるか昔より会員の代替わりをくり返しながら、現在の顔ぶれになったのは1961年。が、それから32年後、メンバーの半数が相次いでこの世を去っていた。あまりに死亡率が高いことに不審を抱いた会員の依頼を受け、スカダーは調査を始めるが…。ニューヨークに暮らす都市生活者の孤独を描きながら、本格推理の要素を盛り込んだ傑作長篇ミステリ。
「マット・スカダー」シリーズの12作目。150年もの長きにわたり、会員の世代交代を繰り返しながら、年に1度の秘密の会合を続ける男たちの集団「三十一人の会」。現在のメンバーになってから32年後、会員の半数近くが相次いでこの世を去っていることが判明。偶然とは思えない死亡率の高さに不審を抱いた会員の依頼を受け、私立探偵スカダーは調査を開始する。

004 殺しのリスト (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
2002/06/19読了

「BOOK」データベースより
殺しの依頼を受けたケラーは空港に降り立った。迎えの男が用意していたのは車とピストル、そして標的の家族写真だった。いつものように街のモーテルに部屋をとり相手の動向を探る。しかし、なにか気に入らない。いやな予感をおぼえながらも“仕事”を終えた翌朝、ケラーは奇妙な殺人事件に遭遇する…。巨匠ブロックの自由闊達な筆がますます冴えわたる傑作長篇ミステリ。

003 倒錯の舞踏 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
1999/08/26読了

「BOOK」データベースより
スカダーの知人がレンタルしたビデオには、意外にも現実の猟奇殺人の一部始終が収録されていた!だが、その残虐な映像からは、犯人の正体はもとより、被害者の身元も判明しなかった。それからしばらくしてスカダーは、偶然その犯人らしき男を目撃するが…。現代のニューヨークを鮮烈に描くハードボイルド大作。MWA最優秀長篇賞受賞作。

002 殺し屋 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
1998/10/21読了

「BOOK」データベースより
ケラーの今回の標的はテキサスの大富豪だった。ケラーは下見のため、当の富豪が主催するガーデン・パーティにもぐりこむ。だが、富豪の孫がプールで溺れかけているのを目撃し、やむにやまれず助けたことから、事態は思わぬ方向へ…。MWA賞受賞作の上記「ケラーの責任」をはじめ、同じくMWA賞に輝く「ケラーの治療法」など、孤独な殺し屋ケラーの冒険の数々を絶妙の筆致で描く連作短編集。

001 おかしなことを聞くね ローレンス・ブロック傑作集1 ローレンス・ブロック傑作選
1993/1/26読了

「BOOK」データベースより
あんたもおかしなことを聞く人だね。はき馴れたジーンズをわざわざ古着屋に売るのは、いったいどんなやつかだって?考えてみりゃ確かに妙だよな―。ささいな好奇心が思わぬ災難を招く表題作をはじめ、狙った魚は決して逃さない釣り師、依頼人を無罪にするためなら手段を選ばぬ辣腕弁護士、自分を殺した犯人を見つけるまであの世に行けない男の話など、当代随一のストーリーテラーの手になる、とびきり面白い初の短篇集。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。


元アル中探偵マット・スカダーに惚れる 2017/5/20(土)


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