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読書感想INDEX

宮本輝 MIYAMOTO TERU 既読書籍

028 野の春 流転の海 第9部 027 長流の畔 流転の海 第8部
026 草花たちの静かな誓い 025 田園発 港行き自転車(上)(下)
024 星宿海への道 023 満月の道: 流転の海 第7部
022 人間の幸福 021 三十光年の星たち(上)(下)
020 青が散る(上)(下) 019 慈雨の音: 流転の海 第6部
018 三千枚の金貨 (上)(下) 017 睡蓮の長いまどろみ
016 花の回廊―流転の海 第5部 015 にぎやかな天地 上・下
014 約束の冬 上・下 013 流転の海 第4部 天の夜曲
012 森の中の海 上・下 011 草原の椅子 上・下
010 月光の東 009 流転の海 第3部 血脈の火
008 私たちが好きだったこと 007 流転の海 第2部 地の星
006 春の夢 005 避暑地の猫
004 流転の海 003 ドナウの旅人 上・下
002 海辺の扉 上・下 001 海岸列車 上・下
読書感想は2010年頃以降に書くようになりました。それ以前に読んだ本の感想はありません。

1947年兵庫県生まれ。追手門学院大学文学部卒業。1977年(昭和52年)に自身の幼少期をモチーフにした『泥の河』で、第13回太宰治賞を受賞してデビュー。翌1978年(昭和53年)には『螢川』で第78回芥川賞を受賞し、作家としての地位を確立する。代表作に「川三部作」と呼ばれる『泥の河』『螢川』『道頓堀川』や、書簡体文学の『錦繍』、出身校の追手門学院大学を舞台に大学生の青春を描きドラマ化もされた『青が散る』、自伝的大河作品の連作などで映画化やラジオドラマ化などもされている『流転の海』、『ドナウの旅人』、『彗星物語』など。(Wikipediaより引用 2022年)

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028
027
野の春 流転の海 第九部(新潮文庫)
長流の畔 流転の海 第八部(新潮文庫)

最初にこの自伝的小説シリーズを買って読んだのは、「流転の海(シリーズ第1巻)」の文庫が発刊された直後の1994年7月でした。その時にはこれほどの長編になるとは知りませんでした。

それ以降、4〜5年間隔(後半は2〜3年間隔)で、続編が登場してきましたが、さすがに4年ほど経つと前のストーリーや登場人物を忘れてしまっていることが多く、何度かさらっとおさらいをしながら読み続けてきました。

著者の父親と母親を主人公とした一代記で、終戦直後に大阪にやってきた愛媛出身の男が、まだ焼け跡と闇市が広がる中で大望をいだき、商売を一から始めます。そしてその男が50歳になったときに子供が生まれ、それが著者の分身としてその後ずっと登場します。

自伝的な小説は、長いものも短いものも様々ありますが、ほとんどが1冊で終わるものが多いようです。

長編の大河ドラマ的な小説では、五木寛之著の「青春の門」(1970年〜)や、伊集院静著「海峡」(1991年〜)、白川道著「病葉流れて」(1998年〜)「新・病葉流れて」、花村萬月著「百万遍」(2003年〜)の各シリーズも面白く読みました。

そうした自伝小説の場合は、たいていは自分が語り手や主人公となりますが、この「流転の海」では上記に書いたように、両親が主役で、著者自身は脇役に甘んじています。

自分が主人公でないだけに、より客観的に両親の人生を描くことができ、深みを感じます。

さて、この八部と九部では、主人公(両親)の晩年が描かれていて、特に最終巻の残りページが少なくなっていくにつれ、想像はつきますが、最後はどういう結末になるのだろうか、無事では終わらないだろうな、、、と、涙腺が緩んできます。

著者もこの長編小説で、最後まで書けるのか?という葛藤があったそうですが、この小説の主人公(著者の父親がモデル)の最期と同じ年齢の70歳を過ぎても意気軒昂で、さらに凄みを増した筆力で、一読者としては感動の内にこの30年近くかかった小説を懐かしく振り返りつつ無事読み終えることができました。

★★★

流転の海シリーズ一覧 ( )は単行本発刊年
1「流転の海」(1984年)
2「地の星 (流転の海 第二部)」(1992年)
3「血脈の火(流転の海 第三部)」(1996年)
4「天の夜曲(流転の海 第四部)」(2002年)
5「花の回廊(流転の海 第五部)」(2007年)
6「慈雨の音(流転の海 第六部)」(2011年)
7「満月の道(流転の海 第七部)」(2014年)
8「長流の畔(流転の海 第八部)」(2016年)
9「野の春(流転の海 第九部)」(2018年)

3月後半の読書と感想、書評 2023/4/1(土)

026 草花たちの静かな誓い (集英社文庫)
著者がお得意とする人生を前向きに切り開いていく主人公を描いた、各種のうんちくが満載の長編小説で、地方新聞の連載小説として掲載され、その後2016年に単行本、2020年に文庫化されました。

主人公が仲良くしてきた父親の妹の叔母は、両親の反対をおして職場で知り合ったアメリカ人と結婚していましたが、大きな財産を残したまま、日本への旅行中に突然他界します。

先に亡くなっていたアメリカ人の夫の墓に納骨するためにロスへ渡りますが、そこの法律事務所で聞かされたのは、巨額な債券や高級邸宅など総額40億円以上の財産を、他に身寄りがないので甥の主人公に譲るというということ。

但し、20年前に行方不明になったひとり娘がもし生きて見つかれば、その財産の7割を娘に譲って欲しいという口頭での付け足しがあります。

20年間、金に糸目を付けず両親が必死に探して見つからなかった娘を、引き続き探して欲しいということなのか?というやっかいな遺言を受け取り悩みます。

海外に住む親戚が亡くなって巨額の遺産が転がり込むという夢物語は、誰もが一度は夢想しそうですが、現実的にそれが実現することは100%ないことは誰も知っています。

もしそうなったとき、また年間何万人もの子供が行方不明になるアメリカで、20年以上前の事件を掘り返すという難題と向き合い、主人公は自分の新しい人生をどう作っていくのか?という「もし」がいっぱいのストーリーです。

自分ならどうするだろ?とか考えながら、主人公になった気分で読めてアッという間にクライマックスへ向かいました。その後の主人公の姿を描く続編をお願いしたい気分でいっぱいです。

★★☆

2月後半の読書と感想、書評 2021/2/27(土)

025 田園発 港行き自転車 (集英社文庫)(上)(下)
2015年に単行本、2018年に文庫化された長編小説です。元々は富山市に本社を置く北日本新聞に2012年から約3年間にわたり連載されていた小説です。

そうしたこともあり、富山県各地の自然の美しさ、様々な交通機関、美味しい料理などがふんだんに取り上げられていて、私が名付けた「うんちく小説」という著者の作品群にバッチリ当てはまっています。

私は若い頃に、富山には行ったことがありますが、その時は、黒部ダムを見に行くのが主目的で、その他はほとんど素通りでしたので、あらためてこの小説を読むと、富山の海岸沿いへ行きたくなりました。

登場人物の相関関係はややこしく、これは著者自身の自伝的小説「流転の海」ほどではないにしろ、ややこしい限りです。

主人公は、宮崎へ出張と言いながら、なぜか富山で急死した自転車会社社長の娘、そして京都の花街の中で親の代から茶屋を営む女将さん、さらに、東京の企業に勤める中年男性、その3人の視点で物語は進んでいきます。

それらに加え、富山で美容院を営む亡くなった社長の愛人とその息子、昔は祇園で浮名を流していたが事業に失敗し、その後富山で警備会社を経営する男性、祇園の芸者置屋の女将、自転車会社社長と仲が良かった若くして亡くなった伝説の芸子、京都の出版社勤務の編集者、亡くなった自転車会社の社長の右腕だった老齢男性などなどが絡んできます。

舞台が、京都の祇園や地方都市の富山でしかも滑川という場所だけに、小説自体もなにか時がゆっくりと流れている昭和の香りがします。

タイトルだけ見たときには著者の初期の作品「青が散る」のような青春小説かな?と思いましたが、全然違って、複雑な人間模様と、時代に翻弄されたそれぞれの人生を描いたなかなか奥の深い小説でした。

★★★

9月前半の読書と感想、書評 2019/9/14(土)

024 星宿海への道 (幻冬舎文庫)
2003年に単行本、2005年に文庫化された長編小説です。

自分自身の生い立ちや経験をモチーフにしたデビュー作「泥の河」や、父親をモデルにした長編小説「流転の海」シリーズなどとも共通した家族構成や周囲の人達、そして昭和30年代の大阪下町の風景があちこちに出てきます。

文庫解説に「著者の小説は叙情的」ということが書かれていましたが、まさにその通り、同世代を生きてきた人達にとっては、切なさを超えた深い感動を与えるものが少なくありません。

この小説では、新疆ウイグル自治区にある広大な砂漠で自ら失踪し、行方不明となった兄にいったい何が起きたのかを調べようとする弟と、その行方不明になった男性の子供を身ごもっている未婚女性の二人が主人公です。

タイトルの星宿海とは中国の黄河を遡った源流地域にある無数の湖が太陽を反射し、無数の星が輝いているかのように見えることからついた名称で、それに夢中となっていた兄とその関係について、クライマックスで明らかとなっていきます。

時代が兄弟がまだ幼かった昭和30年代頃の話しと、50歳を迎えた現代の話しとが交互に現れ、また人物も昔と現在が入り交じってちょっと混乱をきたしそうですが、著者独特のちょっとしたうんちくを方々に散りばめながら、テンポ良く最後のクライマックスへと向かっていきます。

★★☆

1月前半の読書と感想、書評 2018/1/17(水)

023 満月の道: 流転の海 第7部 (新潮文庫)
著者の自伝的小説、「流転の海」の第7部で、2014年に単行本、2016年に文庫版が発刊されました。前の第6部「慈雨の音」(文庫)を2014年に読んでから2年が経っていますので、ストーリーや登場人物など、物語の状況を思い出すのに少し時間がかかりました。

このシリーズは下記のようなタイトルと発刊年となっています。

1「流転の海」(1984年)
2「地の星 (流転の海 第二部)」(1992年)
3「血脈の火(流転の海 第三部)」(1996年)
4「天の夜曲(流転の海 第四部)」(2002年)
5「花の回廊(流転の海 第五部)」(2007年)
6「慈雨の音(流転の海 第六部)」(2011年)
7「満月の道(流転の海 第七部)」(2014年)
8「長流の畔(流転の海 第八部)」(2016年)・・未読
9「田舎の春(流転の海 第九部)」・・2017年2月現在未刊、シリーズ完結予定

この作品は前作に続き戦後の高度成長期がいままさに始まろうとしている大阪が舞台で、主人公の松坂熊吾のひとり息子(著者自身がモデル)が中学を卒業して高校生になる頃の話しです。

この大河小説には多くの登場人物が出てきますが、数回前(と言うと5〜10年前)にちょっとだけ登場してきた人が、久々に登場してきたりして、はて、この人はどういう人でどういう関係だっけ?と混乱をします。

五木寛之氏の「青春の門」もそうですが、長期にわたって連載されるシリーズものを読むには、抜群の記憶力が必要だと思います。あるいはシリーズがすべて出揃った後に、まとめて読むのがいいかも知れません。

そういう人が多いせいか、この文庫の解説には過去の経緯が巻ごとに簡単にまとめられ、登場人物の説明も加えられていますので、これはたいへんありがたいことです。その解説を書いた堀井憲一郎さんに感謝です。

この第7巻で名前が出てくる人物や飼い犬の名前が全部で70近くあります。それらをすべて記憶していくのは並みの人ではちょっと厳しいでしょう。

主人公も60代となり、細々と始めた駐車場の管理と中古車販売事業が軌道に乗りはじめ、仕事も生活も安定している時代の話しで、昔の馴染みの女性がヤクザと縁を切るためお金をだしてやったり信頼して任せていた男に会社の金を盗まれるというのはあるものの、過去の波瀾万丈の激しい浮き沈みは少なく、一カ所に落ち着いていて安心して読めるのでホッとします。

そしてこの7部のあと、すでに単行本は刊行されている第8部、そしていよいよ完結編となる第9部へとクライマックスが近づきつつあり、その嵐の前の静けさを予感させるものがあります。

★★☆

2月前半の読書と感想、書評 2017/2/15(水)

022 人間の幸福 (幻冬舎文庫)
1995年に単行本、1998年に文庫版が発刊された長編ミステリー小説です。著者の作品の中では、こうした殺人事件にまつわるミステリーというジャンルは珍しいかも知れません。

主人公は平凡な中年サラリーマンですが、妻に内緒で関係を持ったクラブホステスに毎月5万円を援助しています。その愛人がなんと主人公が住む同じ賃貸マンションへ引っ越してきます。

まず平凡なサラリーマンなのに愛人へ月5万円出費しているのがずっとバレずにいるというのはまず不可能ですね。さすがにまずいと思って何度も別れようと考えますが、死んでやると脅されたりして、なかなかそのきっかけがつかめません。

そうこうしていると、マンションの前で隣の一軒家に住む口うるさい主婦が何者かに撲殺されたのが発見され、日頃からその主婦と口喧嘩が絶えなかったマンションの住民に疑いの目が向けられます。

さて主婦を殺した犯人は誰で、原因は何か?というのがその後だんだんと明らかになっていくわけですが、殺された主婦に反感を持っている人の数が多く、しかも主人公を含めアリバイがない人も多くいます。

主人公を中心として人間関係にも凝っていて、次々と出てくる出てくる人物の誰もが怪しく感じられるのは著者の筆力のなせる技で、どんでん返しのような大技こそないけれど、読み応えは十分な面白い作品でした。

それにしてはタイトルがあまりに平凡すぎって気もします。

あと、この本は1998年に文庫版が発刊されてすぐに購入し一度読んでいました。19年前のことですからタイトルをすっかり忘れていても仕方ないと思いますが、通常なら読み始めてすぐにこれは・・・って気がつくのですが、最後までまったく気がつきませんでした。

それにしても小説を最後まで読んでも再読に気がつかなかったことは、ちょっと老化というか健忘症が始まっているのか?と不安になっています。あーやだやだ。

★★☆

1月後半の読書 2017/2/1(水)

021 三十光年の星たち(上)(下) (新潮文庫)
多くの作品を残す著者の2011年に単行本発刊、2013年に文庫化された長編小説です。1年に数冊は著者の作品を手に取りますが、まだまだ数多くの作品が未読なので、それらは老後の楽しみにしています。

この長編小説は、2010年に毎日新聞に連載されていた小説で、無難な仕上がりという感じです。著者はこうした新聞連載が割とお好きなようで、「ドナウの旅人」(1985年)、「花の降る午後」(1988年)、「朝の歓び」(1994年)、「草原の椅子」(1999年)、「約束の冬」(2003年)、「にぎやかな天地」(2005年)、「田園発 港行き自転車」(2015年)、「草花たちの静かな誓い」(現在連載中)など、多くの新聞連載小説があります。

今まで読んだ著者の21作品の中では、自伝的なライフワーク作品「流転の海」シリーズは別格として、初期の「道頓堀川」「青が散る 」、中期の「ドナウの旅人」「月光の東」「睡蓮の長いまどろみ」、割と最近の「にぎやかな天地」などがお勧めです。

さて、こちらの小説の主人公は親からは勘当され、一緒に商売をしていた恋人には逃げられ、商売の借金だけが残り、半ば自暴自棄に陥っている30歳の男性です。主人公が住んでいるのは京都の中心街にほど近い長屋になっている古いアパートです。

商売でお金を借りていた同じ長屋に住む老人に、借金が予定通りに返せなくなったことを正直に伝えにいきますが、借金を棒引きする代わりに運転手役を頼まれ、一緒に借金の取り立てに行くことになります。

その後は急展開して、老人の過去を知り、自分の今までの生き方、考え方が誤りだったことを教えられ、その老人がやってきたこと、これからやろうとしていることを手伝い、そして跡を継ぐ決意をします。

30歳まで散々な人生をおくってきた主人公が、貧困の中からの一発逆転人生というのはまずありませんが、そこは創造と楽観な小説の世界。主人公は資産家の老人に気に入られ成長していきます。

ちょっと話しが巧くいきすぎるかなとも思いますが、人生なんてそんなものかも知れません。チャンスをうまくつかめるか、見逃さないかという、分水嶺に立つことはよくあることです。

この著者の小説の中には、本題とはあまり関係のない、様々な雑学的な珍しい雑学的な話しが盛り込まれています。

この作品でも、料理の話し、陶芸や染色の話し、人工林の話しなど、別にすぐに役立つわけではないけれど、知っているとそれだけで人生にちょっとだけ深みが増すような知識が得られます。そうしたことも宮本文学を読む楽しみのひとつでしょう。

★★☆

4月前半の読書と感想、書評 2016/4/13(水)

020 青が散る (文春文庫) (上)(下)
1960年代後半、著者の大学時代を描いた長編の青春小説で、1982年に発表されました。その後何度か改訂され、長く読み続けられている作品です。石原慎太郎の「太陽の季節」が東の青春を代表する作品ならば、こちらは西の青春を代表する作品です。

物語は、主人公が希望する大学には受からず、仕方なく滑り止めで受けて合格していた大阪の新設されたばかりの私立大学(追手門大学)へ入学金を納めにいくところから始まります。

高校時代に少しテニスをやっていた縁で、新しくテニス部を作ろうという同級生と一緒になって土方仕事をしてテニスコートを作り、一応形としてはテニス部らしい体裁を整えていきます。

そのテニス部に入ってくる同級生との友情や恋愛、テニス部の後輩とのプライドをかけた戦い、偶然に知り合った他校の大学生やその当時流行はじめていたシンガーソングライターの卵、そして友人の死など、自分の体験を元として、小説になるよう大幅にアレンジを加えつつ、書かれたものと思いますが、それにしてもまだ高度成長を遂げてはいない貧しい日本のなかで、登場人物達は当時としてはえらく優雅な大学生活を送っているなという感想です。

今では文壇の重鎮でもある著者の、原点とも言える青春時代をなぞった、学生生活の模様が淡々と描かれていて、こうしたお坊ちゃま的な作風が、その後もこの著者の様々な小説に反映されていくのだということがよくわかる作品でした。

★★☆

7月後半の読書と感想、書評 2015/7/29(水)

019 慈雨の音: 流転の海 第6部 (新潮文庫)
宮本輝氏の自伝的なライフワーク作品として続いている「流転の海」の第6作目の作品です。

シリーズの過去の作品は、

1「流転の海」(1984年)
2「地の星 (流転の海 第二部)」(1992年)
3「血脈の火(流転の海 第三部)」(1996年)
4「天の夜曲(流転の海 第四部)」(2002年)
5「花の回廊(流転の海 第五部)」(2007年)
6「慈雨の音(流転の海 第六部)」(2011年)

小説の主人公はいずれも著者の父親をイメージした松坂熊吾という人物で、大阪で様々なビジネスを起こし、そして事業の失敗や、仲間からこっぴどい裏切りに遭ったりする、憎めないが魅力のある剛胆な大阪商人とその家族を中心に描かれています。

第1部は敗戦の2年後、事業の再起をかけて闇商売に奔走しているところから始まり、そして主人公が50歳にして初めての息子が授かります。この息子が著者自身です。

愛読者が困る点は、前作から次の作品が発刊されるまでに8年、4年、6年、5年、4年といずれもかなり間隔が開きますので、読み始めてもなかなか前作までの流れが思い出せずに苦心します。五木寛之氏のやはり自伝的小説「青春の門」シリーズも似たようなところがありますが、こちらは比較的登場する人物が少なく助かっています。

このシリーズでは複雑な人間関係が絡み合っていて、前作や前々作に登場していた人物が、主人公や家族とどういう関係だったか、誰が誰の産みの親で、誰が育ての親で、など、あらためて説明がないので、記憶力のいい人以外は混乱必至です。外国小説のように主な登場人物の説明がせめてカバーにでも書いてあると助かるのですが、新潮さんなんとかなりませんかね?

ちょっと数えてみたら、第1部から第6部までに主な登場人物はざっと50名にのぼります。それ以外にもちょい役で登場する人や、話しの中に出てくる人(何々ちゃんのお母さんとか)も含めると軽く100名以上にのぼるでしょう。自分のためにも人物相関図を作ってみようかと思いましたが、かなり時間と労力がかかりそうなので断念しました。

この第6部は昭和34年の皇太子ご成婚や東京オリンピックの準備で日本が高度成長時代へまっしぐらの頃で、第1部では50歳だった主人公はこの6巻で60過ぎになっています。

昔の商売仲間から大阪駅近くの学校跡地の有効利用を任され、そこに住み込みながら巨大なモータープール(駐車場)の経営を成功させ、また事務所を構えず身ひとつでおこなう中古車売買(エアブローカー)の仕事も順調にいき、貧しさや病気、差別、裏切りなどで重苦しかったこのシリーズの中では割と安定した生活をおくっています。

私が小学生に上がる前のまだ幼児だった頃(1960年代初め)の大阪をふと思い出しましたが、中心部以外では焼け跡に建てられたようなバラック小屋がまだ多くあり、駅には戦争で手足をなくした人が空き缶を前に置いて物乞いしている姿も多く見た記憶が残っています。

この小説ではまだ一部に焼け野原が残る1950年代の大阪で、たくましい商人達が懸命に生きる姿と徐々に復興し、近代化されていく大阪の街の姿がなんとなく懐かしい思いです。

4月前半の読書と感想、書評 2014/4/16(水)

018 三千枚の金貨(光文社文庫)(上)(下)
2010年に単行本が発刊、2013年に文庫化された長編小説です。著者の作品はライトで、また国内外問わず様々なところを旅する紀行もの的な要素が含まれる小説も多く、旅をした気分になれるので割と気に入っていてよく読みます。

数えてみると全部で30冊あり、上・下巻を合わせて1編、その他ダブって買ったものを除外すると23冊(編)を読んだことになります。もちろん実際にはその何倍かの小説が出ていますので、熱烈なファンからするとその程度でファンと言うのはおこがましいと非難されそうで名乗っていません。

この小説ではいきなりなんの脈絡もなく主人公がシルクロードの砂漠の旅から返ってきたその足で、馴染みのバーへ寄ったところから始まります。その旅の情景は後々詳しく語られています。おそらく創造だけで書けそうもない細かなデテールを含んでいますので、実際に取材旅行へ行って著者自身が体験されたことも含んでいるのでしょう。

個人旅行では見たり聞いたりしたことを身近な人に喋ることはあっても、なかなか人に読ませる文章にはしないものですが、作家さんが行く旅は取材旅行であるなしに関わらず、その時の情景や感動をうまく文章に表現しなければならず、そうしたものも一種の慣れか特技をお持ちなのでしょう。

ストーリーはその旅をした砂漠の旅の話し・・・ではなく、主人公が5年前に病気で入院したときに、同じく入院中で余命少ない謎の初老男性から聞かされた「和歌山にある見事な桜の木の下に1億円相当のメイプルリーフ金貨3000枚を埋めた」という話しを思い出し、半ば冗談で仕事仲間に話したところ、探し出そうということになります。

と、同時に「亡くなる前にその男性と主人公が長く話し込んでいた」という情報を得て、目つきの鋭いお供を連れた男が面会にやって来ます。つまり信じてはいなかった埋められた金貨を他にも探しているグループがあるとわかります。

こうした宝探し物語というのは一種男のロマンで、昔から宝を積んだ沈没船や徳川埋蔵金、山下財宝など、海外にもエジプトの古代埋蔵金やキリストの遺骸や聖杯など数限りなく噂や偽の古文書などが存在しています。インディジョーンズの各シリーズや人気アニメONE PEACE、人気映画パイレーツオフカリビアンなどの海賊も財宝探しが主たる目的の話しです。

そして知人から手に入れた謎の男について書かれた探偵会社の調査報告書を元に、金貨が埋められた場所を探すことになります。その調査報告書はとても探偵が書いたとは思えない内容で、例えば「釣り忍」の詳細などうんちくが語られていたりしてご愛敬ですが、その男の正体と壮絶な過去が徐々に顕わになってくるところが最大の山場になります。

3月前半の読書と感想、書評 2014/3/19(水)

017 睡蓮の長いまどろみ(上)(下) (文春文庫)
長い小説ですが、ヨーロッパの田舎町と日本が登場し、何十年と長く会っていなかった親子が再会し、それまでの紆余曲折の人生を語るといういかにも宮本輝流の小説です。

宮本輝氏ぐらいの大物作家になると、小説を書くために取材旅行をと言えば、海外渡航費などを出版社が喜んで負担してくれるので、こういう日本人が滅多に行かないような海外の地が出てくる小説が多いのではないかと勝手に想像しています。

失礼ながら西村賢太氏にこのようなイタリアの聞いたこともないような片田舎の街を舞台にしてストーリーを描けといってもそりゃ無理ですものね。

で、そのイタリアの風景がこの小説にどうしても必要かと言えばそれはまったくないわけで、主人公を生んですぐに消息を絶った母親と何十年ぶりかで再会する場所は、別に軽井沢でも沖縄でも熱海でもよかったわけです。

タイトルになっている睡蓮と蓮の違いを含め、うんちくについては雑学として勉強になりますが、発酵食品を取り上げた「にぎやかな天地」ほどは役には立ちそうもありません。こういううんちく雑学を語らせると天下一品です。

そして特に驚きとか感動とかはなく、主人公とその母親の生い立ちについてまるで蓮の花がひとつふたつとはがれ落ちていくようにして深い事情がわかっていくという暗示をタイトルに込めているのかもしれません。

5月前半の読書 2012/5/19(土)

016 花の回廊―流転の海〈第5部〉
宮本輝氏の自伝的長編小説「流転の海」の第5部です。時代はまだ戦後まもない昭和20年代の大阪が舞台です。

同氏には「泥の河」「道頓堀川」など幼少期を送った大阪の下町を描いた原点とも言える著作があり、その薫りがします。

シリーズになっていますので、「流転の海(第1部)」、「地の星 (流転の海 第2部)」、「血脈の火(流転の海 第3部)」、「天の夜曲(流転の海 第4部)」と読み進めていかなければ、よくわからないところが出てきますが、第1部が出たのが今から25年も前(文庫で読んだのはたぶん20年ぐらい前)です。そのためすっかり忘却の彼方という状態です。

いい小説なので、ゆっくりと最初からもう一度読んでみたいと思っています。なので、まだ読んでいない人は第1部〜第5部まで一気に読めますので、羨ましいです。

1月後半の読書 2010/2/2(火)

015 にぎやかな天地(上)(下) (講談社文庫)
2008/06/05読了

「BOOK」データベースより
熟鮓、醤油、鰹節といった日本の伝統的な発酵食品を後世に残す豪華限定本を作ってほしい―。謎の老人松葉伊志郎から依頼を受けた船木聖司は、早速祖母の死とともに消えていた糠床を蘇らせる。その後、料理研究家の丸山澄男の協力で日本各地の職人を訪ねるうちに、微生物の精妙な営みに心惹かれていく。

聖司が生まれる前に父親が亡くなり、仕事を再開した母親に代わって彼を育てた祖母が生前遺した「ヒコイチ」という言葉がきっかけで大前美佐緒という女性を知り、聖司は道ならぬ恋心を抱く。一方、父親の死にも思わぬ真相が…。発酵という営みに人の生死や結びつきを重ね合わせ、「命」の根源に迫る長編小説。

014 約束の冬(上)(下) (文春文庫)
2006/06/01読了

「BOOK」データベースより
「十年後、僕は結婚を申し込みます」。見知らぬ少年の手紙にはそうあった。出会いと別れ、運命の転変、人が生きる拠り所とは何か?生きる勇気を与えてくれる傑作長篇小説。

壊されたパテックの懐中時計の持ち主を探す桂二郎の前に、妖艶な中国女性が現われる。そしてもう一人、桂二郎を訪ねてきた若い女性は、昔別れた恋人の娘だった。一方、留美子は謎の手紙の主について、次第に手がかりを得ていく──。人は何を拠り所にして生きていくのかを問う、宮本文学の新しい傑作。

013 流転の海 第4部 天の夜曲 (新潮文庫)
2005/04/24読了

「BOOK」データベースより
昭和31年、熊吾は大阪の中華料理店を食中毒事件の濡れ衣で畳むことになり、事業の再起を期して妻房江、息子伸仁を引き連れ富山へ移り住む。が、煮え切らない共同経営者の態度に、妻子を残して再び大阪へ戻った。踊り子西条あけみと再会した夜、彼に生気が蘇る。そして新しい仕事も順調にみえたが…。苦闘する一家のドラマを高度経済成長期に入った日本を背景に描く、ライフワーク第四部。

012 森のなかの海(上)(下) (光文社文庫)
2004/10/10読了

「BOOK」データベースより
阪神淡路(はんしんあわじ)地区を大地震が襲った日、36歳の仙田希美子(せんだきみこ)の平穏な人生も崩壊を始めた。夫は地震の直後に愛人のもとへ行き、姑(しゅうとめ)もその存在を認めていたのだった。離婚を決意した希美子は、両親や妹たちに支えられ再出発をはかる。やがて、学生時代に知り合った老婦人、毛利カナ江から奥飛騨の広大な森と山荘を相続し、息子二人と移り住むことに。現代に希望の光を与える大作。

奥飛騨の山荘へ、震災で家族を失った、かつての隣人の三姉妹を引き取った希美子。さらに姉妹を頼って来た七人の少女も受け入れることに。ある日、カナ江にまつわる衝撃的な噂を聞いた希美子は、山荘の森にある巨木〈大海〉の根元から不思議な水差しを見つけた。なかには、一通の封書と、小さな骨が……。希美子はカナ江の謎に満ちた生涯を追う。  喪失した魂の復活をうたう大作。

011 草原の椅子(上) (下)(幻冬舎文庫)
2001/06/11読了

「BOOK」データベースより
遠間憲太郎は長年連れ添った妻とも離婚し、五十歳になりさらに満たされぬ人生への思いを募らせていた。富樫重蔵は大不況に悪戦苦闘する経営者だが、愛人に灯油を浴びせられるという事件を発端に、それを助けた憲太郎と親友の契りを結ぶ。真摯に生きてきたつもりのふたりだが…。人間の使命とは?答えを求めるふたりが始めた鮮やかな大冒険。

憲太郎と重蔵はともに自らの人生に穴のような欠落を感じていた。二人は自らの人生を問い直し、これからの生き方を模索すべく、「生きて帰らざる海」を意味するタクラマカン砂漠と「世界最後の桃源郷」といわれるフンザへの旅を企図した。そこに、貴志子と圭輔も加わり、四人の大いなる再生の旅が始まった―。大自然を背景に、魂の歓びに満ちた生を描く、希望と再生の大作完結編。

010 月光の東 (新潮文庫)
2000/07/06読了

「BOOK」データベースより
「月光の東まで追いかけて」という謎の言葉を残して消えた女を探し、男は少年時代を過ごした故郷の町から、北海道、京都へと足を伸ばした。波乱に満ちたひとりの女の半生をたどることによって、人間の強さと哀愁を描いた長編小説だ。『幻の光』や『錦繍』などの著作を持つ宮本輝が、壮麗な風景描写と共に、登場人物の心の揺れを端正につづっていく。いくつもの謎が仕掛けられた物語展開で、読む者を飽きさせない作品である。
旧友、加古慎二郎が異国で自殺したのをきっかけに、主人公の杉井は、忘れたはずだったある少女を思い出す。中学のときの初恋の相手、塔屋米花である。数十年消息不明であった彼女が、加古の死に関わっていたのは何故なのか。杉井は、米花の行方を突き止めたいという気持ちに突き動かされ、彼女の過去を探りはじめる。塔屋一家を知る町の人々や、元同級生、そして米花を愛した男たちの証言を得て、やがて彼女の空白の時間が明らかになっていく。

009 流転の海 第3部 血脈の火 (新潮文庫)
1999/11/27読了

「BOOK」データベースより
昭和27年、大阪へ戻った松坂熊吾一家は、雀荘や中華料理店を始めとして、次々と事業を興していく。しかし義母の失踪に妻房江の心労はつのり、洞爺丸台風の一撃で大損害を被った熊吾も糖尿病の宣告を受ける。そしてたくましく育つ無邪気な小学生伸仁にも、時代の荒波は襲いかかるのだった…。復興期の世情に翻弄される人々の涙と歓びがほとばしる、壮大な人間ドラマ第三部。

008 私たちが好きだったこと(新潮文庫)
1999/01/06読了

「BOOK」データベースより
工業デザイナーを目ざす私、昆虫に魅入られた写真家のロバ、不安神経症を乗り越え、医者を志す愛子、美容師として活躍する曜子。偶然一つのマンションで暮らすことになった四人は、共に夢を語り、励ましあい、二組の愛が生まれる。しかし、互いの幸せを願う優しい心根が苦しさの種をまき、エゴを捨てて得た究極の愛が貌を変えていく…。無償の青春を描く長編小説。

007 流転の海 第2部 地の星 (新潮文庫)
1996/07/11読了

「BOOK」データベースより
五十歳で初めて子を授かった松坂熊吾は、病弱な妻子の健康を思って、事業の志半ばで郷里に引きこもった。再度の大阪での旗揚げを期しつつも、愛媛県南宇和の伸びやかな自然の恵みのなかで、わが子の生長を見まもる。だが、一人の男の出現が、熊吾一家の静かな暮らしを脅かす…。熊吾と男との因縁の対決を軸に、父祖の地のもたらす血の騒ぎ、人間の縁の不思議を悠揚たる筆致で綴る。

006 春の夢 (文春文庫)
1995/05/19読了

「BOOK」データベースより
亡き父の借財を抱えた大学生、井領哲之は大阪にあるホテルでのアルバイトに勤しむ彼の部屋には、釘で柱に打ちつけられても生きている蜥蜴の「キン」がいる――。恋人・陽子との出会いであったり、陽子が別の男性と付き合って苦悩をしたり、アルバイト先でチップを弾んでもらって喜んだり、取立て屋に見つかって大怪我を負ったり・・・。様々な出来事のなかで、哲之の心は釘で打ち付けられた蜥蜴を意識していく。人生を真摯に生きようとする哲之の憂鬱や苦悩、そして情熱を一年の移ろいのなかにえがく、青春文学の輝かしい収穫。「俺はなんで人間に生まれたんやろ」。ひたむきに生きる大学生の、憂鬱と情熱、そして恋。

005 避暑地の猫 (講談社文庫)
1994/07/26読了

「BOOK」データベースより
清澄な軽井沢の一隅に、背徳の地下室はあった。そこでは全ての聖なる秩序は爛れ去り、人間の魂の奥底に潜む、不気味な美しさを湛えた悪魔が、甘い囁きを交わすのだ。尊敬する父も、美しい母も、愛する姉も、そして主人公の少年も、そこでは妖しい光を放つ猫となる。だが、この作品で猫とは何か―?

004 流転の海―第一部―(新潮文庫)
1994/07/21読了

「BOOK」データベースより
大阪の焼跡闇市から実業家としての再起をはかる松坂熊吾。豪胆にして理不尽、強さと弱さを併せもつ明治生まれの男が、50歳で初めて子を授かった。事業の再建に奮闘する一方、わが子が成人するまでは死なぬと心に決め、人生における使命とまで自覚する…。混沌の時代を裸一貫で生きる個性豊かな男たちと、寄り添う女たちの、人生の有為転変を雄勁な筆で描く。

003 ドナウの旅人(上)(下) (新潮文庫)
1993/11/11読了

「BOOK」データベースより
夫を捨てて、突如出奔した母・絹子。「ドナウ河に沿って旅をしたい」という母からの手紙を受け取った麻沙子は、かつて五年の歳月を過ごした西ドイツへと飛ぶ。その思い出の地で、彼女は母が若い男と一緒であることを知った。再会したドイツの青年・シギィと共に、麻沙子は二人を追うのだが…。東西ヨーロッパを横切るドナウの流れに沿って、母と娘それぞれの愛と再生の旅が始まる。

絹子は娘・麻沙子の説得にも応じず、ドナウの終点、黒海まで行くと言い張る。絹子の若い愛人・長瀬の旅の目的に不安を感じた麻沙子とシギィは、二人に同行することにした。東西3000キロ、七ヶ国にまたがるドナウの流れに沿って二組の旅は続く。様々な人たちとの出逢い、そして別れ―。母と娘それぞれの、年齢を超えた愛と、国籍を超えた愛を、繊細な筆致で描き上げた人生のロマン。

002 海辺の扉(上)(下) (文春文庫)
1993/02/02読了

「BOOK」データベースより
紺碧のアテネの空の下、聰明なギリシャ人女性と、過去に深い痛手を負った男が紡ぐ愛―。仕組まれた艱難が彼らを襲った時、壮大な生命の物語は始まった。

東京を経て、ふたたびギリシャ、アテネ―。夕日輝くエーゲ海に、愛しい人を死なせた満典の祈りは続く。果たして〈再会〉はあるのか?精神の気高き闘いの末に、心の闇にひろがる光の彩りを描く宮本輝文学の最高峰。

001 海岸列車(上)(下) (文春文庫)
1992/12/19読了

「BOOK」データベースより
“鎧”という無人駅は自分たちを捨てた母がいる場所―父の死後、夏彦とかおりの兄妹は伯父の元に引き取られ成長する。二人は伯父が経営する“モス・クラブ”という会社で働き始める。兄は、ぽっかり空いた心の隙間を埋めるように寂しさを紛らわしながら暮らし、妹は心にある秘密を隠して急逝した伯父の後を継ぐために奔走する。そんな時目の前に現れたのが、国際弁護士・戸倉陸離だった。

青春との訣別の時。2人は自らの生の証しを求め、母の面影へと通じる「海岸列車」に乗る―生きることの意味を静かに問いかける最新長編。



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