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読みやすいようにアーカイブは昇順(上から古いもの順)に並べ替えました。上から下へお読みください。

日記INDEXページ(タイトルと書き出し部の一覧)はこちらです
1104 2月後半の読書と感想、書評 2017/3/1(水)
1105 遠くて遠い国ブラジル 2017/3/4(土)
1106 最近見た映画(2017年2〜3月) 2017/3/8(水)
1107 意外と楽しめる歩数計 2017/3/11(土)
1108 3月前半の読書と感想、書評 2017/3/16(木)
1109 人工股関節全置換手術その後 2017/3/19(日)
1110 宅配業者は本当に困っているのか? 2017/3/22(水)
1111 ギャンブル依存対策もいいけど、引きこもり中年問題もね 2017/3/25(土)
1112 3月後半の読書と感想、書評 2017/3/29(水)

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2月後半の読書と感想、書評 2017/3/1(水)

1104
天使の囀り (角川ホラー文庫) 貴志祐介

1998年単行本、2000年に文庫化された長編ホラーミステリー小説です。長編としては「十三番目の人格(ペルソナ)―ISOLA」、「黒い家」に続く3作品目ということになります。ちなみに「天使の囀り(さえずり)」と読みます。「囀り」って、書けと言われても書けそうもない難しい漢字です。

文庫の解説は「パラサイト・イヴ」で一躍有名になった瀬名秀明氏が書いているのでなんとなく内容が想像できますが、期待に添って人体に影響を及ぼす謎の物質がテーマとなっています。

ストーリーは、小説家としてデビューを果たした作家がその後スランプに陥り悶々とする中で、新聞社の依頼で動物研究者やカメラマン達に同行し、南米のアマゾン流域へ冒険譚を書く旅に出ます。

その作家の恋人は日本に住む精神科医で、その恋人に日記のようなメールを現地から送ってきます。やがて原住民から「呪われた谷」と呼ばれている地域に日本人達が入ったことで怒りを買い、追われるように現地から撤退します。そして無事に帰国をしますが、その作家の人格がすっかりと変わってしまったことに愕然とします。

同様な現象はアマゾンの同行メンバーにも現れ、作家を始めとして次々に考えられない異常な方法で自殺していくことで、恋人だった精神科医がその原因を探し求めていくというストーリーです。

解説を書いた瀬名秀明氏や「リング」などの鈴木光司氏の小説ともホラー的な要素で共通点があります。

20年近く前のちょっと古い小説ですが、今読んでも古さは感じられず(ネット接続するためいちいちダイヤルアップするシーンは仕方ないですが)、これは映画化しても十分にエンタメ性があって面白そうに思えます。期待したいところです。

★★☆

著者別読書感想(貴志祐介)

         

日本人の死に時―そんなに長生きしたいですか (幻冬舎新書) 久坂部羊

現役の医師で私と同年代の作家さんで、昨年長編医療ミステリー小説の「無痛」(2006年初出)を読みました。

6月後半の読書と感想、書評2016/6/29(水)「無痛」

同じ医師でありながら作家として二足のわらじをはく恵まれた才能を持つ人は多いのですが、その医師の中でも大病院や大学病院の中で働く医師とは違い、在宅医療の医師であることが特徴的です。

在宅医療の本質は、終末医療に大きく関わっています。またグループホームや軽費老人ホームなど、医師が常駐しないホームへ訪問医師として関わることも多く、患者はおしなべて高齢者で、様々な健康問題を抱え、特に認知症患者と関わるケースも多そうです。

著者はそうした終末医療の現場を目の当たりにして、医療の力で寿命を延ばす今のやり方に反対しています。つまり健康寿命を過ぎてから亡くなるまでの期間が長くなってくるにしたがって介護や医療費の負担、それになにより本人の意志とは違うところで延命処置がなされていくいまの医療制度や社会体制に異を唱えています。

実際に延命処置を施すかどうかは、難しい問題で、この本でも「若くて先が長い人への延命処置は問題ない」と断っていますが、高齢者でもまだこの先数十年生きられる人かどうかは医療に素人の家族にはわからないもので、医者にどうしたいか?と聞かれたら、死の責任を回避するために、できるだけ延命させる方針でいきたいと答えるしかないでしょう。

心身共に弱った高齢者や認知症の高齢者に毅然とした判断を求めるのは無理な話で、元気な家族や周囲の人達は悪意なく「まだまだ死なせないで」という要求を医師に突きつけ、不自然な濃厚医療がおこなわれ、無理矢理寿命が数年、数ヶ月延ばされていきます。

今はまだ健康な人が多い団塊世代がやがては後期高齢者に入り、まさに終末医療が重要になっていく時代になっていきます。できれば介護が必要になる前に、この本を家族とともに読んで、自分の終末医療について自分の意志を家族など周囲に伝えておくのがよいのではないかと思った良書です。

★★★

著者別読書感想(久坂部羊)

         

楽園 (上)(下)(文春文庫) 宮部みゆき

2007年単行本、2010年に文庫版が刊行された長編小説で、産経新聞に2005年から2006年にかけて連載されていました。

以前読んだ「模倣犯」の続編とも言うべき内容で、「模倣犯」で主役だった連続殺人鬼と対決する女性フリーライターが今回は主役として登場します。

1月後半の読書と感想、書評 2015/2/4(水)「模倣犯」

他人の頭の中にあるイメージを知ることができる少年が登場(登場したときにはすでに事故で亡くなっています)するなど、ちょっと設定には飛躍と無理があるものの、何でもアリのミステリー小説としてはよくできたストーリーとなっています。

内容は交通事故で亡くなった息子の不思議な力を知って欲しいと、その母親がフリーライターの元を訪ねてきます。

その少年が書いた絵を見せてもらうと、最近発覚したばかりの16年前に起きた殺人事件を表した絵があり、さらにはこのフリーライターが関わった9年前の事件(模倣犯事件)で関係者以外知り得ない情景が描かれた絵も見つかります。

いずれも少年が生きている間に隠されていた事件の真相を誰かに教えられたか、なにかで知って描いたとしか考えられず、その少年と16年前に起きた殺人事件(16年前から最近までは家出失踪事件と認識されていた)の関係者との結びつきを調べていきます。

模倣犯でもそうでしたが、人をうまく操ることに長けた悪人が出てきますが、世の中の殺人を犯すような粗暴犯の犯罪はそうした冷静な知能犯は滅多にみることはなく(迷宮入りになっているだけかも?)、そのあたりも少々無理があるなぁって思うところです。

あと、この亡くなった人の頭の中を読める少年が描いた「模倣犯」で事件の現場となった山荘と周囲の庭に埋められた13人の人のイメージが、いったい誰から得たものかは最後になっても明かされることがありませんでした。これは大きな謎ですね。今後新たな続編が出るのかしら。

★★☆

著者別読書感想(宮部みゆき)

         

サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件 山口義正

東日本大震災の衝撃がまだ覚めやらぬ2011年7月にオリンパスの粉飾決算事件(wikipedia)をスクープとして雑誌に記事を執筆したフリージャーナリストが、そのまとめとして書いた本です。

この事件について深くは書きませんが、名門とまで言われていたオリンパスの名が大きく傷つき、上場廃止、下手をすると切り売りされて廃業にまで追い込まれるかという大きなスキャンダルでした。

よく言われるのがライブドアのホリエモンは1年間で50億円の粉飾をしたために会社は上場廃止、社長は懲役2年半の実刑判決となりましたが、このオリンパスは10年以上にわたって数千億円の粉飾決算をしてきたのに、事件の首謀者でもあり発覚時の会長は執行猶予付きの判決で、上場も維持され、そのあまりにも不公平さがよく揶揄されていました。

このオリンパス事件ではもう一つユニークな点があり、それは不正が発覚した時に社長だったのがイギリス人(マイケル・ウッドフォード)で、その点はグローバリズムを先取した新しい企業という感じを受けていましたが、そのイギリス人社長がこの事件を独自に調査し、旧経営者陣の責任を問うた瞬間、取締役会でクビになってしまうという、いかにも昭和時代の展開と日本企業らしい感覚で苦笑するしかありませんでした。

タイトルはそのイギリス人社長が著者に対して言った言葉で「日本人は個人的には立派なサムライもいるけど集団になるとどうして愚か者になるのか?」という意味の言葉を投げかけられたことによります。

この中でサムライとはオリンパスの中から、会社をよくしたい、今のままではダメだと必死に訴えかけてきた一部の社員達のことを指すようです。

★★☆


【関連リンク】
 2月後半の読書 私にふさわしいホテル、ボッコちゃん、満月の道 流転の海第七部、死ねばいいのに
 1月後半の読書 ガダラの豚(1)(2)(3)、人間の幸福、塩分が日本人を滅ぼす、メランコリー・ベイビー
 リス天管理人が選ぶ2016年に読んだベスト書籍


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遠くて遠い国ブラジル 2017/3/4(土)

1105
先進国と言われてきたG7の国、アメリカ、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、日本に追いつけ追い越せとばかり、2000年以降、経済的な発展が著しい国としてBRICs、つまりブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国が注目されてきました(BRICSとして南アフリカを加える場合もあり)。

日本ではお隣の中国やロシア、同じアジアのインドの経済発展や経済協力関係については、日本企業の進出や人的な交流もあり、比較的よく情報として入ってきますが、このBRICsの中ではブラジルは遙か遠い彼の国という事情もあり、経済関連の話しはほとんど聞くことはありません。

日本人が知るブラジルと言えば、明治時代の1908年から日本人移民を受け入れ、戦後も1970年代まで続いたことで、多くの日本人やその家族が住む国で、最近ではその移民3世や4世が逆に日本に出稼ぎにやってくるということぐらいでしょうか。

最近でこそオリンピックが開催されたことにより、多少は知られてきましたが、日本とは地球のちょうど反対側という遠隔地で、一般的にはあまり馴染みがないというのが実感です。

そのブラジルの経済が最近どうもおかしいという話しです。

別にブラジルがどうなろうと、地球の反対側の日本経済にとっては直接の影響は少ないですが、個人的にはちょっと気になっています。

昨年2016年には南米初のオリンピックがブラジルのリオで開催され、いろいろと心配されてきましたが、大きなトラブルや事故はなく、見事にやってのけました。

ラテン民族的な、何とかなるさ〜ということで、会場の建設などが遅れに遅れ、また直前には貧しい市民達や警察官がデモをするなど、オリンピック開催を良しとしない人達も目立ち、心配性な人達は肝を冷やしました。

そのオリンピックを開催した後は、それまでの内需拡大、積極的なインフラ公共投資から一転し、緊縮財政へと移り国内経済が冷え込むことが過去のケースでは見られます。

1988年にソウルオリンピックを開催した韓国は1990年代に財政破綻から通貨危機に陥り、1992年にバルセロナオリンピックを開催したスペインは2000年に入ってから経済危機となりました。

また2004年にアテネオリンピックを開催したギリシャも記憶に新しいですが2010年には経済危機に陥るなど、「宴のあと」ではないですが、オリンピック開催後の10年間は財政的にかなり厳しい状況が続くようです。

ブラジルもこれから10年間が正念場で、今までのように鉄鉱石や農作物の輸出だけでなく、工業製品の輸出を増やし、1人当たりの国民生産を上げていかなければ、通貨危機、経済危機を迎える可能性があります。

しかもブラジルにとって不幸なのは、輸出先で2番目に大きなアメリカ(1番は中国)で、保護主義の権化でもあるトランプ政権ができたことで、ブラジルで生産された製品のアメリカへの輸出が今後厳しくなることも予想されます。

ブラジルでの自動車生産台数は世界第9位で、フランスや英国よりも上位です。製造しているメーカーは、フィアットクライスラー、GM、VWが生産台数トップ3で、メキシコと同様、アメリカへの輸出が厳しくなれば、ブラジルの工場をアメリカに移す動きも出てくるかもしれません。

1990年以降、ブラジルの実質GDPの推移(実質GDPは、当年の物価変動の影響を除いたもの)はオリンピック開催の直前2014年までは順調に伸びてきましたが、2015年、2016年と一転下げています。この頃から怪しくなってきています。先が思いやられそうです。

ブラジルのGDP推移グラフ
単位: 10億ブラジル・レアル
数値はIMFによる2016年10月時点の推計、SNA(国民経済計算マニュアル)に基づいたデータ


BRICsの4カ国で比較するために、通貨を合わせた、名目GDP(USドル)の推移(当年の為替レートにより、USドルに換算)は下のグラフのようになります。

BRICsのGDP推移
単位: 10億USドル
数値はIMFによる2016年10月時点の推計、SNA(国民経済計算マニュアル)に基づいたデータ

1990年代はどこも似たようなGDPでしたが、2000年以降、中国のGDPは大きく伸び続け、昨年はアメリカに次ぐ世界第2位となり、このグラフからはみ出て高いところにいってしまっています。

またインドは成長は緩やかではあるけれど、着実に右肩上がりに伸ばしているのと、ロシアはウクライナ問題で各国から経済制裁を受け、GDPの伸びが凸凹していますが、経済制裁が解けるとまた大きく伸びると思われます。

この4カ国の中で問題はやはりブラジルで、2000年代に起きた隣国のアルゼンチンの通貨危機、財政破綻のような事態に陥らないとは限りません。

ブラジルはアルゼンチンとは違い、国土が広く資源も豊富で、人口も5倍と多く、経済規模も比較になりません。それだけにブラジル経済が世界に与える影響は計り知れなく大きくなる可能性があります。

先月ですが、下記のような事件も起きています。

警察がスト、100人超死亡か=取り締まり緩み治安悪化−ブラジル(時事通信社)
【サンパウロ時事】ブラジル南東部のエスピリトサント州で、州軍警察が賃上げや待遇改善を求めてストライキを続けている。取り締まりが緩んだ州都ビトリア周辺の治安は急激に悪化。地元メディアは9日、略奪や強盗、殺人が相次ぐ中、ストが始まって以降の6日間で「犠牲者は100人を超えた」と報じた。(2017/02/10-08:45)

公務員のストは恒例になりつつある事とはいえ、死者が100人を超えるとか、なにかきな臭い感じがしてきます。

2015年のブラジル開発商工省のデータでは、ブラジルの主要貿易相手国は、輸出が、中国(18.6%)、米国(12.6%)、アルゼンチン(6.7%)、オランダ(5.3%)、ドイツ(2.7%)、日本(2.5%)、チリ(2.1%)、インド(1.9%)で、輸入は、中国(17.9%)、米国(15.4%)、ドイツ(6.1%)、アルゼンチン(6.0%)、韓国(3.2%)、日本(2.8%)、イタリア(2.7%)、ナイジェリア(2.7%)となっています。

輸出入とも最大の相手国ははるか遠くの中国で、その中国に経済の生殺与奪を握られてしまっているところも大きな不安要素です。

もし日本がブラジルに経済協力をしようとしても、貿易の最大相手国の中国に事前にお伺いを立てないと、なにもできないということを示しています。

例えばブラジルの経済活性化につながるよう日本の円借款で日本の新幹線や地下鉄を建設しようとしても、中国が黙ってそれを見過ごすことはないでしょう。ダムや原発、大規模工場などの建設や進出もブラジルにとって最大の(貿易の)友好国である中国が有利な点は変わらないでしょう。

世界の紛争の火種や経済危機は、中東、アフリカなどに向きがちですが、案外この南米の大国から火が点く事になるかも知れません。しばらくは注視していきたいものです。


【関連リンク】
914 殺人事件の国際比較
911 visa(査証)なしで何カ国へ渡れるのか
777 成人の力 国際比較


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最近見た映画(2017年2〜3月) 2017/3/8(水)

1106
録画したテレビ映画を見た記録です。先に書いておくと、今回はあまり良い作品には巡り会えませんでした。

映画の録画は内容には関係なく、気が向けば適当に電子番組表(EPG)で予約し、外付けのHDDに撮り貯めしておき、気が向いたら一気にみるようにしています。

なので、気分次第で1年以上前に録画した映画を見ることもあれば、先週録画したばかりの映画を見ることもあります。そうやって貯めておいた映画が常時20本ぐらいあるので、最近はレンタルDVDを借りたり、ネットで映画配信をみたりすることは滅多にありません。

でも映画を見るというのは、この慌ただしい現代社会において優雅で贅沢なことだと思います。標準的な上映時間2時間というのは、仕事でも遊びでもかなりのことができる時間です。会議なら2本、ゴルフならハーフは回れそうです。

しかしその贅沢な2時間を使って見た映画が面白くなかったときの、後に残る後悔と疲労感もまた残念なことです。同じ問題をグルグルまわって一向に結論が出ない会議だったり、ボールを4個も5個もロストしてしまったゴルフのような感じでしょうか。

さて今回見た映画の紹介です。
★3つ:お勧め ★2:まずまず ★1:ちょっと ☆3:見ない方が (個人的な感想です)

  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

エクスペンダブルズ3 ワールドミッション(原題:The Expendables 3) 2014年米
監督:パトリック・ヒューズ 出演:シルヴェスター・スタローン他

エクスペンダブルズ」、「エクスペンダブルズ2」に続く3作目です。

主役級ばかりを集めた豪華キャストと派手派手な戦闘シーンがウリの映画で、いかにもアメリカ〜ンな脳天気アクション巨編で、タイトルの意味は消耗品、つまり使い捨ての傭兵たちのことを表しています。

出演しているスターを書いておくと、シルヴェスター・スタローン、アーノルド・シュワルツェネッガー、メル・ギブソン、ハリソン・フォード、アントニオ・バンデラス、ジェット・リー、ジェイソン・ステイサム、ウェズリー・スナイプス、ドルフ・ラングレン、ケルシー・グラマー、ランディ・クートゥア、テリー・クルーズなどなど。

スタローン70歳、シュワルツェネッガー69歳、メル・ギブソン61歳、ハリソン・フォード74歳と、もう派手なアクションにはどうかなと思うお爺さんが多いのですけどね、、、

あとビッグネームでいうと、ミッキー・ローク(64歳)は第1作目のみ、ブルース・ウイルス(61歳)とジャン=クロード・ヴァンダム(56歳)は2作目までは出ていましたが、この3作目から脱落(辞退?)した模様です。

まだ出ていないベテラン大物俳優では、ニコラス・ケイジ、クリント・イーストウッド、ジャッキー・チェンなども出演者候補には入っていたようです。

まったくドタバタでストーリーなんかあまり関係はないのですが、若手の精鋭傭兵チームが出てくるものの、簡単にやられてしまい、ちょっと無理ありそうなロートルチーム見参!って感じです。

これをみたベビーブーマー世代、日本でいえば団塊世代以上の老人達が「やっぱり我々の年代がサイコー!」っていい気分になって意気揚々、肩で風切り、胸を張って、悩み多い静かな住処へと戻っていくのでしょう。老兵は死なずです。

★☆☆

         

ニューヨーク 冬物語(原題:Winter's Tale) 2014年米
監督:アキヴァ・ゴールズマン 出演者:コリン・ファレル、ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ

これも内容はまったく知らないまま見ましたが、空飛ぶ白馬にまたがった王子様が出てくるファンタジーロマンス映画とは思いもしませんでした。

1895年って言うから120年以上前にアメリカへ移民として上陸したものの、両親は結核で強制送還され、そのときは赤ちゃんだった主人公だけがアメリカに置いていかれます。

その赤ちゃんはニューヨークで孤児として育ち、犯罪組織に入り、泥棒を生業としますが、あるとき盗みに入った大金持ちの家で結核で余命幾ばくもない女性と出会ってしまい、恋に陥るというあり得なそうな展開。

自分の使命はその愛する女性の命を救うことかと思っていたら、あっさりと恋人は亡くなってしまい、その後記憶をなくしたまま年も取らずに100年という時が過ぎ、再び同じような余命幾ばくもない赤毛の少女と出会って、実はその少女を救うために生かされていたのだと気づくという話し。

「馬が喋る、そんな馬鹿な〜♪」は「ミスターエド」ですが、この映画では都合よく白馬が空を飛びまくりです。いや便利ですね〜。

オータム・イン・ニューヨーク」のような上質な大人の恋愛映画を期待していたのですが、ちょっと勝手に思い描いていたのとは違いました。

★☆☆

         

ふしぎな岬の物語 2014年東映
監督:成島出 原作:森沢明夫 出演:吉永小百合、阿部寛、竹内結子、笑福亭鶴瓶

森沢明夫著の小説「虹の岬の喫茶店」を原作とする映画で、千葉県鋸南町の明鐘岬に実在する喫茶店「岬」をモチーフに執筆された作品で映画ロケも同地でおこなわれました。

岬の崖の上にある古い喫茶店を経営している女性が主人公で、絵描きの夫を亡くしています。いろいろな客がやってきますが、その中に喫茶店の中に飾ってある海にかかる虹の絵を見に不思議な子供連れの親子がやってきます。

おとうと」など以前の映画なら笑福亭鶴瓶がハチャメチャな役目を引き受けますが、この映画では阿部寛が元漁師でやんちゃな主人公の甥役として暴れます。

なぜか最近の吉永小百合の映画には必ずと言っていいほど出てくる鶴瓶は、女主人に憧れているけどなにも言い出せない大人しい会社員で、終盤には転勤となってこの地から去っていく控えめな役です。

厚かましくどこでもズカズカと入り込んでいくNHKの「鶴瓶の家族に乾杯」のイメージが先行しているだけにミスキャストも甚だしい感じです。

その他、末期の癌が見つかる常連客の笹野高史や、出戻りのその娘役で、阿部寛と恋仲になってしまう竹内結子など脇役がなかなかいい味を出しています。

でもやっぱり質素で控えめな役にかかわらず、大きすぎる女優のひとり舞台という感じはゆがめず、周囲もひとりの大女優を引き立てるために演技をし、監督もそれを十分心得ているって感じがします。

本来ならば流れ着いてきた波乱の人生を送ってきた常連客や、亡くなった画家の夫、その死後の夫と会話をして、絵を返してほしいと頼まれた謎の親子の話しにもう少しスポットをあてた幻想的なストーリーであれば、よかったのになぁってちょっと残念。

映画だけでは、主人公と亡くなった絵描きだった旦那さんとの関係や、その深い愛情がほとんど伝わってきません。

★★☆

         

謎解きはディナーのあとで 2013年映画「謎解きはディナーのあとで」製作委員会
監督:土方政人 原作:東川篤哉 出演:櫻井翔、北川景子、椎名桔平、中村雅俊、宮沢りえ

東川篤哉著の推理ミステリー「謎解きはディナーのあとでシリーズ」はテレビドラマ化されていますが、さらに映画オリジナル作品として制作されたものです。

漫画こち亀の秋本・カトリーヌ・麗子さんみたいに大金持ちの令嬢(こちらも麗子)が警視庁国立署刑事として働いていて、その令嬢に付き添う執事のコンビが主人公のドタバタコメディタッチの推理ドラマです。

コメディタッチの推理ドラマと言えば、もう終わってしまいましたが仲間由紀恵、阿部寛主演の「トリック」シリーズと、全体的な感じが似ているかも知れません。

日本からシンガポールへ向けて航海中のパナマ船籍の豪華客船スーパースター・ヴァーゴ(映画では別名プリンセス・レイコ号)を舞台として連続殺人事件が起きます。

その殺人事件を起こしたのは誰で、その目的は?と言ったことが執事の推理により謎解きがされていきます。単純と言えば単純ですが、それだけでは終わらずに、殺人事件と並行して謎の宝石強盗が絡み、、、という凝った設定になっています。

ま、一定の「謎解きはディナーのあとで」ファン、あるいは櫻井翔や北川景子のアイドルファンはそれなりに満足するのでしょうけど、そのどちらでもない単なる映画の1ファンからすると、お金はたっぷりかけているようだけど、さしてストーリーや映像に厚みも深みもなく面白くはないかも。

★☆☆


【関連リンク】
1090 ゼロ・グラビティ、真田幸村の謀略、イエスマン “YES”は人生のパスワード、スティーブ・ジョブズ
1051 麗しのサブリナ、白熱、第七の封印、最前線物語、シン・ゴジラ
1042 男と女の不都合な真実、スリーデイズ、ダークナイト ライジング、鍵、北の零年、海街diary


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意外と楽しめる歩数計 2017/3/11(土)

1107
生まれてからこの方、歩数計というツールは使ったことがなかったのですが、人工股関節を入れた脚のリハビリと、運動不足を解消してダイエットするために、会社に出社しない日はできるだけ外に出て歩こうと始めた散歩の記録用として使うことにしました。

と言っても、あらためて歩数計を購入したのではなく、スマホに歩数計の無料アプリを入れて、それを使っているだけです。

歩数計アプリ

歩数計を入れてから知ったのですが、会社へ行く日は、通勤と基本デスクワークとはいえ動くことも多いので、自然と5千歩程度は歩いています。しかし厚労省推奨「健康日本21プロジェクト」の理想的な歩数は、1日1万歩ということですので、それには遠く及びません。

もっとも、私の場合はスマホを持ち歩いているのは、外へ出るときだけで、自宅内や庭仕事程度の場合はデスクの充電器にセットされたままなので、実際の1日の歩数にはスマホの歩数に1000歩ぐらいはプラスしてもいいかなと思っていますw

変形性股関節症に罹る前までは、元々歩くのが好きで、当初は外勤の仕事ということもあり、毎日朝から夜まで大きなカバンを持って仕事で平気で歩いていました。電車も1〜2駅ぐらいなら、乗車するよりも速歩で歩いていました。計っていませんが、おそらく毎日2万〜3万歩(14〜20km)は軽く歩いていたかなと思います。

40を過ぎてから変形性股関節症の症状が出て、だんだんと長距離を歩くのがつらくなってきたり、長時間の立ち仕事をしたあとは、しばらく動けなくなりました。その頃から外勤の仕事からも離れ、1日の歩数は急速に減ってきたと思われます。

平成27年国民健康・栄養調査結果の概要」では、成人の1日あたりの平均歩数は男性で7194歩、女性で6227歩とのことです。男性のほうが900歩ほど多いのは外へ出て働く人の割合が多いということなのでしょうか。それとも女性の寿命が男性より長いため、一般的に歩数が減る高齢者の割合に女性が多いせいで減るのかもしれません。

1日の平均歩数を男女別・年齢層別で見ると下記のようになります。データ出典は、「平成26年国民健康・栄養調査結果の概要」です。

1日の平均歩数グラフ

男性でもっとも歩いている年代は30代、女性は20代で、60代になると20代の頃から男女ともに11〜12%平均歩数が下がります。60代で仕事をリタイヤする人が増えるともっと歩数が減るのかと思っていましたが、案外減りません。雇用延長と健康ブームのおかげでしょうか。

さすがに70代以上になると、20代と比べ、男性で34%減少、女性で40%の減少となります。特に女性のほうが寿命が長く、高齢者が多いので平均歩数も下がる傾向にあるようです。

会社に出社しないときは用事がない限りスマホを持っての外出はしないので、歩数はゼロです。それも寂しいので、できるだけスマホをポケットに入れて、1時間ぐらい近所を歩くようにしたわけです。

健康的な散歩のスピードは100歩/1分とのことですので、1時間歩けば6000歩になります。今はだいたい1時間で5000歩〜5500歩ぐらいなので、まだ少し理想のスピードより遅いようです。もっとも遅いのは歩くだけでなく途中で立ち止まり、景色を眺めていたり写真を撮ったりしているせいでもあります。

距離で見ると、1歩が70センチとすると、6000歩だと約4.2km歩いたことになります。皇居一周が約5kmですから、それには少し及びません。大阪城公園外周コースがちょうど4.2km、京都御所1周は約4kmということです。

ちなみに東海道53次(東京日本橋〜京都三条大橋)は495.5kmなので、1日6000歩の4.2kmだけなら、118日かかります。

鉄道やクルマのない江戸時代の人はこの東海道53次を13〜14日で歩いていたといいますから、1日平均35〜36km、1歩70cmとすると約5万歩を歩いていたということになります。もっとも旅の途中には、川渡りや険しい峠道などもあり、一定の速度、距離ではないのでしょうけどやはりたいへんな旅行だったのですね。

この東海道53次の仮想コースがスマホのアプリの歩数計に入っていて、カウントした歩数の累計から、東海道53次を歩いていたとしたら、今どの辺りを歩いているかという機能がついていて楽しめます。のろまなのでなかなか先へ進みません。

散歩を始めて気がついたのですが、日々脚に筋力がついてきています。筋力が付くと、なにかを落としたときにしゃがんで拾い、そしてすぐに立ち上がったりするのが楽になります。階段を上がるのもスイスイと登れるようになってきました。長いのぼりの坂道は、、、まだつらいですね。

今までは変形性股関節症や人工股関節を理由にしてそうした行動をできるだけ避けたり、時間をかけてゆっくりしていたのですが、筋力が付くと健常者と変わらない素早い行動が可能となってきたことは嬉しいことです。


【関連リンク】
1049 変形性股関節症の人工股関節置換手術まとめ
1028 グルコサミンとコンドロイチンを飲み続けた結果
1019 老人ホームについて調べてみた(1)


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3月前半の読書と感想、書評 2017/3/16(木)

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夜の国のクーパー (創元推理文庫) 伊坂 幸太郎

2012年に書き下ろしで単行本、2015年に文庫化された長編ファンタジー小説です。あまりファンタジー的小説には興味がないので積極的には読まないのですが、昨年には宮部みゆき著「英雄の書」や貴志祐介著の「新世界より」など、内容は知らずに買って、そこそこ面白く読みました。

主人公は人間語をしゃべる猫のトム君ですからファンタジー小説と言ってもいいでしょう。

なかなかあらすじは書きにくいのですが、城郭に囲まれた村の中で村民達は平和に暮らしていたところ、隣国の鉄の国と戦争になり、味方が負けたため、城の門を開いて鉄の国の進駐軍を入れることになります。

この村からは数年前までクーパーという杉の木の怪物と闘い鎮めるため、毎年成人した男から勇者を募ってきましたが、一度出掛けた勇者は重傷を負い戻ってきたひとりの例外を除き、誰も戻ってきません。

その鉄の国との関係と、クーパーとの闘いという伝説の二つのテーマがあり、さらにこの世界に迷い込んだ仙台に住む銀行員で、妻に浮気された男がしゃべる猫に頼まれて村にやってくるという感じ。

例えば戦争で負けた国が占領されるということ、それまで尊敬されてきたリーダーが実は裏で敵方とつながる卑怯な男だったということ、自分や多くの仲間を助けるためには、一部の犠牲者を提供することを躊躇わないこと、などなど教訓じみた話しも出てきます。

そうしたおどろおどろしい中に、主人公たる猫や、その猫と対立するネズミなどファンタジーな要素を盛り込んで気楽に読める内容となっています。

★★☆

著者別読書感想(伊坂幸太郎)

         

ホクサイの世界―小松左京ショートショート全集〈1〉 (ハルキ文庫) 小松左京

昭和の時代のSF小説と言えば星新一、筒井康隆とこの著者と言われる2003年に刊行されたショートショート全集です。

2月に読んだ星新一著「ボッコちゃん」と読み比べってわけでもないのですが、当然それと比較してしまいます。

2月前半の読書と感想、書評 2017/2/15(水)

結果的には「ボッコちゃん」には及ばないものの、それなりに楽しめました。

そう言えばつい先日、近所にあるそこそこ大きな書店で文庫本のコーナーで新刊をみていたら、3人の女子高生がキャッキャッと文庫コーナーにやってきて、次々と文庫を手にとって見ているので、珍しいなぁって思っていたら、そのうち「このボッコちゃん・・・(最後のほうが聞き取れなかった)」「知ってる〜星なんとかいう人のでしょ?」「短いよね〜」っていう会話が飛び込んできて驚きました。

何と言っても1971年に発刊された文庫ですから、今の女子高生が知っているとは、、、まぁそれぐらい面白いってことなのでしょう。私も先月の読書感想では星3つ!をつけていました。

脱線しましたが、著者の本ではSF長編の「復活の日」(1964年)、「日本沈没」(1973年)、「さよならジュピター」(1982年)、「首都消失」(1985年)などを過去に読んでいます。いずれの作品も大作映画になっていて、そちらで知っているファンも多いでしょう。

昔、大阪で仕事をしていたとき、用事があって中之島にある住友商事本社に伺ったことがありました。そこで会った担当者が「あそこを歩いているのが小松左京さんのお兄さん。よく似ているでしょ〜。弟さんの小説の話しでよく盛り上がります。」とか言っていたのを思い出しました。どうでもいいことですが。

この本はショートショートなので、ひとつひとつ内容やオチを書くわけにもいかず、なんだか関係のない話しばかりになってしまいました。

タイトルの「ホクサイの世界」も短編で、富士山大爆発で左右対称の美しい富士山がすでになくなっている未来人が、北斎に描かれた当時の富士山を見たいと未熟で怪しい操縦ながらタイムマシンでやってきます。

そして付いた時代では、北斎の絵の通りの綺麗な富士山が見えて、裸の男達が近くの海(相模湾?駿河湾?)で原始的な漁をしています。北斎が富士山を描いた江戸時代にちゃんと着いたと思っていたら実は、、、っていうホラーなネタです。

★★☆

著者別読書感想(小松左京)

         

一路 (中公文庫)(上)(下) 浅田次郎

2013年に単行本、2015年に文庫化された浅田次郎ワールドをたっぷりと楽しむことができる、長編時代劇小説です。2015年にはNHK BS時代劇でドラマ化され、2016年にNHK総合でも放送されています。

時は文久2年(1862年)というから徳川家康が江戸に幕府を開いてから260年が経とうとし、やがて数年の内には明治へと変わる幕末が近い頃の話しです。

美濃は今の岐阜周辺を納めていた、大名より格下ではあるけれど、関ヶ原の戦いで家康に味方して一躍名を上げた旗本でしたが、脈々と子孫にと続いてきた今の殿様は、周囲からうつけと言われています。

その殿様が隔年に一度の参勤交代のため、中山道を江戸に向かう参勤道中の旅の始終が小説では書かれています。

参勤行列を今まで仕切っていた供頭役が、殿様を追いやって家督を乗っ取ろうと画策している後見役の将監の企みで謀殺されてしまい、代わってその供頭役を任されたのが、過去に一度も参勤交代を経験をしたことがない、ずっと江戸住まいだった息子という非常事態。この息子が主人公の小野寺一路です。

なにもわからない小野寺一路は、関ヶ原の戦い直後にご先祖様が書いたとされる参勤交代の書を見つけ、それに書いてある通りに参勤道中を実行しますが、それは平和な二百数十年間のあいだに省略されたものが多く、すでに時代と合わなくなっています。

そのようなにわか知識でつつがなく殿様を江戸城に送り届けられるか、それとも不満分子によって参勤交代が妨害されるか、捨てる神あれば拾う神ありという流れで、供頭の小野寺一路の活躍はいかにぃ〜って感じで、コミカル、かつ人情味あふれるドラマが待ち受けています。

★★★

著者別読書感想(浅田次郎)

         

会社という病 (講談社+α新書) 江上剛

巨大都市銀行に26年間、その後は後に破綻する日本振興銀行の役員に名を連ねたビジネスマン作家さんです。最近はテレビ番組のコメンテーターとしても時々拝見します。

そうした著者の経験から、作品は金融系のビジネス小説が多く、過去には「非情銀行」と「」を読んでいます。

非情銀行 9月前半の読書 2012/9/22(土)

絆 6月前半の読書と感想、書評 2014/6/18(水)

この新書は2015年刊の本ですので、最近起きた(発覚した)東芝、フォルクスワーゲン、旭化成建材などの不祥事の話しも繰り返し出てきます。

ま、目から鱗となるような話しは出てきませんが、会社という組織の本質を知り、自分の中で整理するにはいい本だと思います。できればビジネスに深く関わる前の、10代後半とか20代のうちに読みたかったものです。

先般ノンフィクションでオリンパス事件の本を読みましたが、こうした企業不祥事に関わっていく人達というのは、その時には人を騙したり、法を犯す事への罪悪感はまったくないのだろうなという気がします。会社のためという自己弁護や、自己保身のためやむを得ずにやっているのだからと、自分を納得させているのだろうと思います。

数年後に不正が発覚し、事実や推定を突きつけられたときにも「悪いことをした」という認識があるのかどうか微妙です。

それだけに「企業の存続や、権力を維持するためならば、法を逸脱することはやむを得ない」という、世の中の非常識が、経営者にとっては常識となるところが怖いところです。

バブルの頃は日本の物作りは世界一と持て囃されていましたが、ここ数年の間に、その物作りで輝いていた日本のメーカーの偽装や隠蔽、不祥事、それに経営不振が数多く見られます。

例えば東洋ゴム工業、三菱自動車工業、スズキ、シャープ、東芝、タカタ、オリンパス、カネボウ化粧品、ルネサスエレクトロニクスなどなど。

東芝のように大きな不祥事でも起きないと、なかなか表面には出てこず、現在進行形で密かに悪化した業績を隠し続けたり、責任や損害を子会社に付け替えたりと、自転車操業でしのいでいるメーカーも少なくなさそうです。

日本の製造業が再び輝きを取り戻し、世界をリードする時代がまたやってくるのでしょうか。

★★☆

著者別読書感想(江上剛)


【関連リンク】
 2月後半の読書 天使の囀り、日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか、楽園、サムライと愚か者 暗躍オリンパス事件
 2月後半の読書 私にふさわしいホテル、ボッコちゃん、満月の道 流転の海第七部、死ねばいいのに
 1月後半の読書 ガダラの豚、人間の幸福、塩分が日本人を滅ぼす、メランコリー・ベイビー


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人工股関節全置換手術その後 2017/3/19(日)

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久しく人工股関節置換手術のその後について書いていなかったので、その後の検査やリハビリ状態など含めて書いておきます。

2016年7月に右側変形性股関節症による臼蓋形成不全のため、人工股関節全置換手術を受けました。

1033 変形性股関節症の人工股関節全置換手術(1)
1037 変形性股関節症の人工股関節全置換手術(2)
1046 変形性股関節症の人工股関節全置換手術(3)
1047 変形性股関節症の人工股関節全置換手術(4)
1049 変形性股関節症の人工股関節置換手術まとめ

人工股関節レントゲン昨年(2016年)7月に10日間(9泊10日)入院して手術、リハビリを受け、退院後1週間ほど自宅で療養とリハビリをおこないました。

その自宅療養時には近所のスポーツクラブへ行って、なまった身体の筋肉トレーニングやプールで歩行などもおこないました。

少し以前の人工股関節置換手術の場合、ブログなどで読むと、脱臼する恐れから禁忌肢位(してはいけない姿勢等)があり、いろいろと注意をうけたらしいのですが、今回の手術では医者からも理学療法士からも禁忌肢位の注意はなく、最近の手術が進歩していることを実感しました。手術法や個人差があるのかも知れませんので一律注意が不要という意味ではありません。

そして術後20日後に杖をつきながら、満員の電車に乗って会社へ行きました。最初はちょっとおっかなびっくりでしたが、そこはもう30年以上満員電車で通勤してきたベテランですから、周囲が心配するほどのことはありません。

ただ電車内で30〜40分ずっと立ちっぱなしのあと、駅から地上へ出る階段と、会社まで約10分ほど歩くのが、体力や筋力が低下していることもあり、結構つらかったです。健康な人にはなんでもない階段や歩道ですが、脚が悪いと少しの段差や坂、勾配が筋力が落ちた脚を痛めつけます。

今回の人工股関節置換手術は筋肉を切らない最先端の施術でしたが、それでも脚の筋肉がかなり落ちています。リハビリで運動したと言っても、リハビリはリハビリ、現実の健常者に混じって階段や意外と凸凹している道の歩行はその消耗度が全然違います。

強い雨が降っている時は、傘を差しながら杖をついて歩くのもたいへんなので、会社近くの駅から1メーターの距離ですがタクシーに乗ったこともあります。

約1ヶ月ぐらいは安全のため杖をもって通勤しましたが、次第に歩くのに慣れてきたのと、だんだんと杖が邪魔になってきて、杖なしでも問題なく歩けるようになれます。

そうすると外見上は健常者と同じですから、遠慮なく満員電車で押されたりもたれかかられたりしますのでちょっとつらいときもあります。杖を持っていると良識ある人は気をつかってくれます。杖を持っているとき、まったく期待も要望もしていませんでしたが、満員電車で一度だけ席を譲られましたw

譲ってくれた男性に、大丈夫ですと丁重に一度はお断りしたのですが、それでも是非にと勧められたので、せっかくの好意を無にするのもあれなので、ありがたく座らせていただきました。

そうした通勤時間の満員電車に乗る以上は、「脚が悪いので席を譲ってもらうのは当然だ」みたいな考えを持つのはどうかなと思います。どうしても座りたければ始発電車にでも乗るべきでしょう。

さて、術後3ヶ月経つと1回目の定期検査があります。この検査は本格的なもので、
 ・CT撮影
 ・骨塩定量検査
 ・X線撮影
 ・診察
 ・運動能力や可動域測定
などがあり、それぞれに待ち時間も多く、まる1日かかりました。

結果は特に異常なところはなく、術前の運動能力や可動域の範囲に達していてホッと一安心です。

2回目の定期検査は術後半年です。この時はレントゲン撮影と診察だけでしたが、予約していたに関わらず診察に2時間半ほど待たされて半日がつぶれました。まったく病院ってところは、、、診察結果は問題なしです。

3回目の定期検査はさらに半年後で、術後1年の検査と言うことになります。

手術した右側は日ごとに調子よくなっていくのに反比例し、手術時にはまだ痛みがほとんどなかった左側の股関節が急速に悪くなってきました。

これで手術をしていない左側に痛みさえなければ、しばらくできずにいた軽いランニングができそうなぐらい右側は回復しているのに、無念です。

しかしリハビリを続けるために、休日もできるだけ外に出て歩くようにしています。目標は(低いですが)1日6千歩です。歩くのはできるだけ大股でサクサクと歩くようにします。寒い日でも少し歩くと、うっすらと汗をかいてきます。

散歩以外にも、柔軟運動や腹筋運動、そして机につかまりながらですが足の屈伸、つまりスクワットを毎日寝る前におこなっています。

せっかく骨よりも強度のある人工股関節を入れながら、その周囲の筋肉が弱くなってしまうと長く歩けなくなってしまいますからね。左側股関節手術の後になりますが、いずれはまたゴルフでも始めたいというのが当面の目標です。

定期検査のレントゲンでは両方の股関節を撮影しますので、医者は手術をした右側のことよりも、左側が前よりかなり悪化していることに懸念を示しています。なんとなくすぐにでも手術をしたそうな感じでしたw

医者の希望に沿うわけではありませんが、人工股関節置換のメリットもよくわかりましたので、おそらく今の調子が続けば、今年中(秋頃?)には左側の置換手術を行うことになりそうです。

手術やリハビリは一通り経験済みなので、気持ち的には楽ですが、またいろいろと準備したり、家族に迷惑をかけるのがやっかいです。


◇過去記事◇
1049 変形性股関節症の人工股関節置換手術まとめ
924 高齢化社会で変形性股関節症が増加する
716 変形性股関節症は治らない


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宅配業者は本当に困っているのか? 2017/3/22(水)

1110
宅配大手のヤマト宅急便が配達員不足でたいへんだ!ってことが話題になっていますが、どうしても疑問に思えてくることがあります。

通販事業者は“物流危機”にどう対応する?(ITメディアオンライン)

ヤマト宅配便を直撃、人手不足は日本経済の新たなボトルネックだ(ダイヤモンドオンライン)

宅急便「ネット通販の普及により宅配物が急増し、配達する人がいくら残業しても追いつかない」というのが一番最初に言われたことです。

その後に出てきたのは、「配達しても不在だと再配達になる」「通販などの大口顧客向けの割引競争が激しい」「時間指定など細かな指示が増えて面倒」「宅配ボックスの設置が不足」などなど。

しかし普通に考えると、「通販など宅配物が増えれば、それだけ配達の効率が上がり(コストが下がり)、したがって利益は増える」はずではないのか?と。

例えば、家1軒に今まで1個だけの荷物を宅配していたのが、増えて1回で2個の荷物を届けられれば効率はグッと上がったことになります。3個4個とまとまる場合だってありそうです。

個数と同様、今までは一家の中で父親だけが通販を使っていたのが、母親も子供も祖父母もみな通販を利用すれば、一家に何個もまとめて1回で配達できるので、これほど効率のよい宅配はないです。我が家がまさにそうです。

そうしたまとめて配達が可能となるので、宅配会社はできるだけ多くの荷物を引き受けたくなるのが自然の摂理というものです。

配達先が不在というのは、別に最近急に高まったわけではありません。逆に最近では新しいマンションなどでは宅配ボックスが設置されたり、時間指定が始まってからは在宅の精度が高まり、10年前より不在配達の率自体は大きく減っている可能性があります。

では真の問題はなにか?

「不在が多く再配達が手間」「1日にさばけないほど大量」というのは、なにかとってつけた値上げの言い訳みたいなもので、荷物が増えた(=売上増加)なら、それに応じた物流拠点を整備し、人を雇えばいいだけのことです。人が雇えないのは人手不足のためというのならもっと賃金を上げればいいのです。

別にこの通販による宅配増加は、季節変動や一時的な増加と言うことではなく、小売りとデリバリーの変革ですから、投資した分が将来無駄になる可能性は極めて低いと考えられます。少なくとも高齢化がピークになる20年後までは間違いなく通販の利用者は増え続けるでしょう。

つまりヤマトは大口顧客を取るために、大口顧客割引を拡大しすぎたために、取扱量が増えても人を新たに雇うほどは儲からない仕組みに陥ったという自業自得みたいなもので、それはつまり価格戦略、経営戦略の失敗に他なりません。

今の中小零細企業は、一部業界を除き、人口減少、少子化、高齢化、生産拠点の海外移転等のため、仕事が少なくあえいでいるところも多い状態です。

それに比べれば宅配の仕事は腐るほどあって、さらに今後増えていくことが明かな景気のよい数少ない業界です。ただそれは荷主、特に大口の荷主との関係において、公正な料金が請求していることが前提なのです。

もしアイデアマンで国の古い規制に敢然と立ち向かい、人徳もあった宅急便の生みの親の小倉昌男氏が生きていたら、こうした他社と競争のため、荷主と弱腰の交渉のために自社の従業員を犠牲にするような経営方針はきっととらなかっただろうなぁって思います。ハッキリ言って今のヤマトの経営陣は無能なのでしょう。

だいぶんと以前から、各戸の玄関まで運ぶ「ラストワンマイル」の様々な問題は指摘されていました。宅配ボックスで解決するならよいのですが、あれも宅配各社で取り合いになっていたり、通販会社がとんでもなく大きな段ボールで梱包するせいでボックスに入らなかったりと、最終的な解決策に至っていません。

例えば、東急田園都市線〜東京メトロ半蔵門線〜東武スカイツリーライン・伊勢崎線は3社が乗り入れて相互運行しています。同様に東急〜東京メトロ〜西武、小田急〜東京メトロ〜JR東日本などもあります。

宅配業でも相互に協力し合うことで、もっと配送効率を高め、宅配会社ごとに玄関に出なくちゃいけない客の手間を減らし、配送トラックの数も減らして、環境に優しい経済活動が可能となるでしょう。

少なくとも相互乗り入れは都市部で顕著に効果が期待できます。

例えば、現在のコンビニでは、扱う宅配会社が決まっていて、客側からすると家の近くにコンビニがあるのにわざわざ遠くのコンビニへ行かないと希望する宅配会社に依頼ができないとかコンビニ店頭受取ができないという問題があります。昭和じゃないんだから、そうした縄張り意識で意地張って争っている場合じゃないでしょ?

少なくともエリアを分けてそれぞれが担当するエリアへまとめて荷物を配達すれば、配達する方も、受け取る方も1回で済みますからこれほど便利になることはありません。Win-Winです。なぜそれができないのでしょうか?

※後で知りましたが、2016年から一部地域においてヤマト、佐川、日本郵便の共同配送がスタートしているそうです

また不在の場合は近隣のコンビニにまとめて預け、客にそこへ取りに行ってもらうか、再配達する場合は、数百円の別料金にしてコンビニ従業員(常に複数のアルバイトがいるので可能)に肩代わりを頼むような仕組みも作れそうです。

人不足と言いながら、定年前後の中高年者ならまだまだ余っています。

そりゃ、500ミリリットルミネラルウォーター48本パックを団地の4階まで階段で運べと言うのはキツイですが、そういうのを除いた他の約9割の荷物は高齢者でもクルマやバイク、自転車、手押しカートで配達が可能です。

各地域にステーション(営業所とかコンビニとか集会所とか)を設け、そこを基点として暇で時間の余っている高齢者にラストワンマイルを託すのは難しいとは思えません。人集めも簡単だし、一般的に年配者は若者と違って信用を重んじるので遅刻や無断欠勤も少ないと思われます。病気や体調不良が多いかもしれませんが、、、

せっかく通販の恩恵で業務量が拡大してチャンスなのに、経営努力や流通革命も起こさず、なんだかんだと愚痴のように外に向けて文句を垂れ、大口顧客への大幅値引きによって収支を悪化させた経営戦略のミスと無策を「再配達がどうの」と一般利用者に責任の一端を押しつけ、値上げまで実施するヤマトの経営者には愛想が尽きそうです。


【関連リンク】
1081 高齢ドライバに対する偏見と規制
1055 働き方と社会構造
1040 高齢化社会は日本になにをもたらすか?


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ギャンブル依存対策もいいけど、引きこもり中年問題もね 2017/3/25(土)

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前に引きこもり中年問題について書いたのが2013年なので4年前になります。

693 引きこもりが長期化する前にすべきこと 2013/3/9(土)

上記では「手遅れになった引きこもり殺人事件」が続発している事実や、手遅れにならないうちに「CARPE・FIDEM(カルぺ・フィデム)」という不登校や引きこもりになった人を、再び学校や社会へ送り出すための教育をおこなっている会社のサイトからちょっと手厳しい?Q&Aなどを紹介しました。

さて、ひきこもりが原因で起きる悲し過ぎる事件は、4年後の今も当然今も変わっていません。逆により顕在化してきたように思えます。

2015年12月30日
横浜市青葉区で殺人事件 32歳の男、観葉植物枯らして責められ父親刺す

2016年5月9日
新潟・三条市で男性の変死体 母も遺体で発見 息子殺害後に自殺か

2016年10月20日
門真市の4人殺傷事件 容疑者は「アクシデント」で不登校、引きこもりに

そして、最近特に懸念されてきているのは、統計上では現れない40歳以上のひきこもり、つまり中高年者のひきこもりが増えてきているのでは?という問題です。

「ひきこもり」過半数が40歳以上、親子共倒れ危機の衝撃(ASCII.jp/DIAMOND online)
岩手県洋野町が「社会的ひきこもり」状態にある人の過半数を40歳以上が占めるといった、訪問調査の結果を、3月11日に学会で発表する。「ひきこもり期間」は長期化し、ひきこもる人たちの高齢化が進んでいる。彼らの親も年老いていく中、全国で何十万もの世帯が“親子共倒れ”の危機に直面している。

いわゆる「詰んだ」と揶揄される40代以上の長期引きこもりは今後も社会に大きな影を落としそうですが、国はなぜか40代以上の引きこもりについて統計はとらず、見て見ぬふりをしています。

健康上の理由により外で働けないとか、一時的に療養のためという人は、もちろんその問題数に含むことはできません。

難しいのは健康だけど単に働きたくない、人と関わりたくないというだけで引きこもっている人たち以外の鬱など精神的、神経的な病気の方で、療養が長期化している場合、どう判断すればよいかという問題はあります。

もっとも病気の場合は、障害年金や生活保護など、十分とはいえないまでもある程度のセーフティネットがあります。

でも高齢者の親の年金が頼りで、実家に引きこもっている、働けるのに働かない人たちに対して、今後国や自治体はどうしていくのかという方針がハッキリと見えてきません。

つまり今のところ役所としては、そうした子供を甘やかして養っている親の責任だということなのでしょうけど、やがては親が亡くなり年金収入が途絶えたとき、その子供(年齢はいい大人なのですが)がどうなるかという想像力に欠けているとしか思えません。

20〜59歳の孤立無業者(SNEP)は162万人
孤立無業者(スネップ:SNEP=Solitary Non-Employed Persons)とは、20〜59歳の無職・独身者のうち、家族以外との交流がない人々を指す。SNEPを提唱した東京大学社会科学研究所の玄田有史教授によると、2011年の段階で約162万人おり、そのうち35歳以上は79万人と過半数を占めるという。

真面目に税金を納め、年金や健康保険、介護保険などを支払っているほとんどの人にとっては、こうした「働けるのに働かず、親が生きているうちは親に、親が亡くなった後には国や自治体の福祉サービスに頼る」という何十万人という人たちに対する視線は冷たいものです。

国や自治体も過去の慣例だけでなく、こうした現代に起きている事態を的確に捉えて早めに対策をとらないと、いつまでも見て見ぬふりを決めているわけにはいかないでしょう。

上記のような長期の引きこもりが原因の悲惨な事件が起きるたびに、「起きるべくして起きた」と言われてきますが、若者の中にも定職を持たず、お金に困ったときだけ少しだけ働くというフリーター生活を尊重する風潮もあり、また若者をアルバイトとして安く使える企業側の論理もあり、そうした人たちがやがて年齢を重ねていったとき仕事にあぶれ、結局は親に頼るしかない状態に陥ることがないよう対策が必要でしょう。

具体的には、職安での教育や付け焼き刃的な補助金等を見直して、

1)職能訓練よりも意識改革を進めるような教育に転換すること
2)フルタイムの非正規雇用の最低時給や福利厚生条件を大幅に改善することで、正社員雇用を促す政策
3)正社員の職業紹介規制の緩和と成果に応じたインセンティブ支給
4)長期引きこもり者への個別指導(就農体験やボランティア活動への誘導など)
5)長期引きこもりを抱えている家族へ指導や心理カウンセリング

などなど。

ギャンブル中毒や薬物中毒も数百万人単位でリスクがあると言われていますが、それらの対策を進めていく以上に、こうした引きこもり対策にもお金を使った方が、長い目で見るとその効果は高いのではないかなと思います。


【関連リンク】
1075 今でも若者は3年で辞めているのか?
767 若者の離職の原因は単なるミスマッチなのか?
693 引きこもりが長期化する前にすべきこと


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3月後半の読書と感想、書評 2017/3/29(水)

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下流の宴 (文春文庫) 林真理子

毎日新聞に2009年に連載されていた長編小説で、2010年に単行本、2013年に文庫版が出ています。また2011年にはNHKが黒木瞳主演でテレビドラマを放映していました。その時少し見たのですが、内容は小説とだいぶんと違っている感じです。

小説のストーリーは、両親とも大学卒のひとり息子には最高の教育を与えようと母親は熱心に子育てをしてきましたが、息子はそうした環境に馴染めず高校を中退してしまい、現在はフリーターの生活です。

そしてバイト先で知り合った沖縄出身で単身東京に出てきている女性と知り合い、フリーター同士で半同棲生活に入ってしまいます。見事な下流の宴の序章です。

それを許せない母親はなんとかして別れさせようと、同棲相手に「私は医者の娘で大学卒だ。息子には大学へ行ってもらう。所詮あなたとは住む世界が違う」と罵詈雑言を浴びせかけます。

その言葉にカチンと来た同棲相手の女性が「それなら私は大学の医学部へ入るから、それなら交際を認めてくれるか」と売り言葉に買い言葉。そして周囲の協力を仰ぎながら、彼女の必死の猛勉強が始まるわけです。

結局はこの母親のひとり息子はフリーター生活を続け、母親にとってはなんら解決に至らないわけですが、こうしたことが現在のあちこちで現実に起きているのでしょう。

親の気持ちとして、小説でもテレビドラマでもやや大げさに教育熱心さを表現していますが、これは現代の親なら普通の感覚に近く、「子に残せるのは教育だけ」というのが間違っているとも思えません。

20代の頃は安い元気な労働者としてチヤホヤされ、フリーターとして仕事にあぶれることもないでしょうけど、これが30代、40代になったとき、同じように食っていくだけの収入が継続してあるのか?と言ったら、かなり現実は厳しいものになりそうです。

そうなると親の年金が頼りで、実家住まいのままで、やがて仕事が打ち切られ、中高年になってから学歴は高校中退の中卒で、職歴として書けるのはアルバイトしかなく、まともな仕事には就けず、引きこもってしまうことになってしまいそうです。

なにかそうしたことを考えながら読んでいると、面白くは読めますが、後味はよくない小説です。

★★☆


         

老後に破産しないお金の話 (成美文庫) 大竹のり子

いきなり老後に必要なお金は最低の生活でも3000万円という話しが出て、その時点で読むモチベーションが著しく低下したことはいうまでもありません。

確かにそれだけあれば老後の不安はかなーり解消されるでしょうけど、団塊世代より後の世代で、引退時にローンも終わったうえに3千万円の預貯金がある人なんてそういないでしょ?と思いますが、そうでもないのかなぁ、、、

新卒から大企業や役所で勤務し、子供はひとりだけで、公立へいかせ、お金をかけずに、定年までコツコツと貯金に励み、退職時にはそれなりの退職金をもらってというならば、それも可能でしょう。

でも子供が2〜3人いて、私立高校、大学へ通わせれば、もうそれだけで数千万円の費用がかかり、普通の収入レベルでは老後の資金なんてまず貯められません。

また退職金が40年前に入社時の規定通りに支払われるケースがいったいどれほどあるかは知りませんが、役所以外では、そのあたりは大きく変わっています。

そうした実態をあまり知らずに書かれているだけにややトンチンカンな感じを受けます。

★☆☆


         

過去からの弔鐘 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) ローレンス・ブロック

1976年に書かれた「マット・スカダー・シリーズ」の記念すべき第1作目となる探偵小説で、翻訳版が日本で発売されたのが1987年と11年経ったあとでした。このシリーズは2015年現在で17作品あります。

主人公は元警察官で、犯人に向けて発砲した際、流れ弾が近くにいた少女に当たってしまい死亡させてしまいました。

そのことはやむを得ない不幸な事故として処理されましたが、自分の気持ちに整理がつかず、アルコール中毒になってしまい、離婚し、警官も退職、その後はフリーで探偵登録をしないまま探偵の仕事を警察の元同僚などから回してもらって生活の糧にしています。

ストーリーは、そうしたマットの元に、刑事から紹介されたと言って、娘をニューヨークで殺された父親が訪ねて来ます。

犯人はすでに逮捕されていますが、なぜ娘は殺されなければならなかったのか?娘はどういう生活を送っていたのか?などを調べて欲しいと頼まれます。

知りたいことがわかるとは限らない、知らなかった方がよいこともあることを警告した上で、それでもいいと了解をとった上で捜査に入ります。というのもその娘は年齢に似合わず、高級アパートで、いい暮らしをしていて、それは売春をしていたからではないかとマスコミは報じていたことを知っていたからです。

仕事を受けたマットは、娘を殺した犯人として逮捕されていた娘とルームシェアで同居していたゲイの男性の周辺や、娘と仲良かった学生時代の友人などから話しを聞いて回ります。

やがて、娘の複雑な人間関係や、殺したとされる男の当日の不可解な行動などが明らかになっていきます。著者はまだ若い38歳の時の作品(現在は78歳)で、元気はつらつとした中にも奥の深い考えさせるとてもよい作品に仕上がっています。

このシリーズ全17作の中で読んでいないのはあと1作「すべては死にゆく」を残すのみとなりました(たぶん)。でもなぜかこの作品だけは2005年の作品ですが文庫化がされていないんですよね。

★★★

著者別読書感想(ローレンス・ブロック)

         

蝶々の纏足・風葬の教室 (新潮文庫) 山田詠美

「蝶々の纏足」は1987年、「風葬の教室」は1988年に初出で、それらをまとめて1冊にした文庫版は1997年に発刊されています。文庫版で20年前、初出からはもう30年という年月が経っているのですね。そんな古い小説だとは知りませんでした。

「蝶々の纏足」、「風葬の教室」、「こぎつねこん」といういずれも多感な思春期を迎える女子学生を主人にした甘酸っぱい3作品の短編集です。

なるほどこれは男性の作家にはまず書けそうもない、想像もできない作品に仕上がっていて、おっさんが読んでもなにか古典作品を読むような感じで読めてしまいます。ちょっとあまりにも現実とかけ離れていて、印象が薄い感じではありますが。

そういえば昔の転校生っていうと、なにか特別な感じがしたなぁって思いました。うまくすぐに溶け込める人もいれば、馴染む間もなくまた引っ越してしまう人もいたりして、転校の経験がない私にとって転校するという大イベントについてまったく無知でした。

特にいじめ問題が頻発している現代の学校では、こうした転校にまつわる転校生の感情の機微について、こうした作品を読むことでしか知り得なかったことです。

★★☆

著者別読書感想(山田詠美)

         

漱石先生の事件簿 猫の巻 (角川文庫) 柳広司

2007年に単行本、2010年に文庫化された連作短編小説です。収録作品は「吾輩は猫でない?」、「猫は踊る」、「泥棒と鼻恋」、「矯風演芸会」、「落雲館大戦争」、「春風影裏に猫が家出する」の6編です。

猫ブームでもあり、また今年は夏目漱石生誕150年という節目でもあり、その二つにあやかって、、、ということではありませんが、気になって読んでみました。

小説の中に出てくる夏目漱石と言うと、「神様のカルテ」(夏川草介著)の主人公栗原一止が、草枕を暗唱できるぐらいに敬愛し、いつも漱石の文庫本を持っているという設定を思い出します。

この小説では、漱石の作品がどうのということではなく、英語教師として大学で教えている漱石に師事する若い書生が主人公で、漱石の周りで起きる様々な事件の謎をこの書生が解いていくという内容です。

なのでタイトルからするとまるで漱石自身が探偵のように見えますが、実はそうではありません。

物語の時代は、英国留学から帰国し、友人の高浜虚子に勧められて書いた『吾輩は猫である』を「ホトトギス」に発表した1904年(明治37年)の頃の話となっています。

★★☆

著者別読書感想(柳広司)

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