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貴志祐介 KISHI YUSUKE 既読書籍

008 硝子のハンマー 007 天使の囀り
006 新世界より(上)(中)(下) 005 鍵のかかった部屋 
004 悪の教典(上)(下) 003 クリムゾンの迷宮
002 黒い家 001 青の炎


1959年大阪府生まれ。京都大学経済学部卒業。大学卒業後朝日生命保険に入社。8年間勤めた朝日生命保険を退職し、執筆・投稿活動に専念、1994年に日本ホラー小説大賞が創設されると第1回から応募を続け、阪神大震災の経験を機に、1996年に『ISOLA』で第3回長編賞佳作を受賞し同作で作家デビュー。1997年に『黒い家』で第4回大賞を受賞した。2008年『新世界より』で第29回日本SF大賞受賞。2010年『悪の教典』で第1回山田風太郎賞受賞。(Wikipediaより引用 2022年)


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008 硝子のハンマー(角川文庫)

著者の比較的初期の作品で2004年単行本、2007年に文庫化された長編ミステリー小説です。

この作品は短篇集含め現在5作品ある「防犯探偵・榎本シリーズ」の記念すべき最初の作品です。

そのタイトルから本書で出てくる密室殺人の謎が半分ぐらいわかってしまいそうですが、登場人物達が様々な方向へ話しを持っていくので、それは気にならず、謎が謎を呼んで貴志ワールドに没頭していくことになります。

シリーズ名にある防犯探偵とは、新宿の雑居ビルであまり儲かっていない防犯・セキュリティショップを経営している男性が、頼まれる(お金がもらえれば)と防犯コンサルタントとして現場へ出向いて活躍します。

そしてワトソン役としては、依頼主にもなる弁護士事務所に所属する若くて麗しい女性弁護士さんというお決まりのパターンです。

この作品はシリーズ一作目ですので、その防犯コンサルタントと女性弁護士が最初に出会う(仕事を依頼する)場面があり、なかなかユニークでお気に入りです。初対面で弁護士だと見抜いたワザは最後の方で謎解きされます。

主人公の趣味がビリヤードで、最後の謎解きをする時に、ひとりで突きながら殺人の方法を解き明かすシーンは、その意味はわかりますが、なんだかミステリードラマで崖の上で犯人を前に謎解きをするのと似ていて笑えました。

★★☆

7月前半の読書と感想、書評 2022/7/16(土)

007 天使の囀り (角川ホラー文庫)
1998年単行本、2000年に文庫化された長編ホラーミステリー小説です。長編としては「十三番目の人格(ペルソナ)―ISOLA 」、「黒い家」に続く3作品目ということになります。ちなみに「天使の囀り(さえずり)」と読みます。「囀り」って、書けと言われても書けそうもない難しい漢字です。

文庫の解説は「パラサイト・イヴ」で一躍有名になった瀬名秀明氏が書いているのでなんとなく内容が想像できますが、期待に添って人体に影響を及ぼす謎の物質がテーマとなっています。

ストーリーは、小説家としてデビューを果たした作家がその後スランプに陥り悶々とする中で、新聞社の依頼で動物研究者やカメラマン達に同行し、南米のアマゾン流域へ冒険譚を書く旅に出ます。

その作家の恋人は日本に住む精神科医で、その恋人に日記のようなメールを現地から送ってきます。やがて原住民から「呪われた谷」と呼ばれている地域に日本人達が入ったことで怒りを買い、追われるように現地から撤退します。そして無事に帰国をしますが、その作家の人格がすっかりと変わってしまったことに愕然とします。

同様な現象はアマゾンの同行メンバーにも現れ、作家を始めとして次々に考えられない異常な方法で自殺していくことで、恋人だった精神科医がその原因を探し求めていくというストーリーです。

解説を書いた瀬名秀明氏や「リング」などの鈴木光司氏の小説ともホラー的な要素で共通点があります。

20年近く前のちょっと古い小説ですが、今読んでも古さは感じられず(ネット接続するためいちいちダイヤルアップするシーンは仕方ないですが)、これは映画化しても十分にエンタメ性があって面白そうに思えます。期待したいところです。

★★☆

2月後半の読書と感想、書評 2017/3/1(水)


006 新世界より(上)(中)(下)(講談社文庫)
2008年に単行本、2011年に文庫化された長編SF小説で、第29回日本SF大賞を受賞しています。上巻、中巻、下巻3冊合わせて1500ページ近い、長い長い物語で、読み応えがあります。

最近、1冊で1000ページを超える「魍魎の匣」を読むなど、なぜか一気に読むにはちょっと苦しい長編を読む機会が増えてきましたが、秋の夜長に相応しい選択をしているのかも知れません。

そう言えば、柳広司著の小説に「新世界」というのがありました。こちらは大阪のごちゃごちゃした下町を描いた小説、、、ではなく、ロスアラモス国立研究所の原爆開発現場で起きた殺人事件のお話でしたね。

小説の舞台は今から1000年後の日本で、理由は不明ですが、戦争?などで文明は一度リセットされていて、千葉や茨城の狭い限られたエリアの中で、高度に管理された社会が営まれています。

そして人はすべて妖術を操ることで、他の動植物を人間に都合良く操り、厳しい肉体労働から解放されていますが、一方では妖術をうまく使えない者や社会を乱し害を及ぼすとされる者は徹底して排除するという仕組みができあがっています。

また過去になにが起きて、周囲にどういう問題が残されているのかという歴史もゆがめられ、教育の場でそれらの真実を知ることはできません。

タイトルはドボルザーク作曲のクラッシック音楽で、夕方になって帰宅を促す学校の放送などで有名です。小説のこの時代でも、夜間の外出を制限するために、この曲が流れるとみんな家路に急ぐという古き伝統は残されています。

主人公はそうした特殊な「村」で育った少女で、村を襲う化けネズミや異端者と対決するというストーリーです。なのでSFファンタジー小説と言えるかも知れません。

指輪物語」や「ハリー・ポッター」以降、そうした長編ファンタジー&ミステリー小説というのが日本でも増えてきた感じです。私も最近読んだ、上橋菜穂子著「精霊の守り人」や宮部みゆき著「英雄の書」なども同じジャンルでしょう。

ちょっと中年のオジサンが読むのはつらいところですが、中高生には読書が好きになってもらうために、こういう本はいいかもしれません。

★★☆

11月前半の読書の感想、書評 2016/11/16(水)

005 鍵のかかった部屋 (角川文庫)
2011年に単行本、2012年に文庫版が発刊された『防犯探偵・榎本シリーズ』の第3作で、「佇む男」、「鍵のかかった部屋」、「歪んだ箱」、「密室劇場」の4編が収録されています。

またこのシリーズ作品は2012年に大野智主演でテレビドラマ化 もされていて、いわゆるエンタテインメント的な犯罪ミステリー小説というジャンルになるでしょうか。

密室殺人の謎を解く主人公は防犯コンサルタントが本業で、弁護士から相談されたり、警察から依頼を受けたりして、それぞれの謎解きをおこないます。

「佇む男」は1代で築き上げた葬祭会社の社長が、遺言を残し密室で自殺した事件、「鍵のかかった部屋」も引きこもりがちな連れ子の息子が密室にした自分の部屋で練炭自殺をした事件、「歪んだ箱」は手抜き工事で大きく傾いてしまった新居の中で事故死した建築会社社長の事件、、「密室劇場」は芝居本番中の楽屋で何者かに役者が殺されていた事件と、それぞれに密室状態の謎解きがテーマとなっています。

それぞれに特殊な才能、つまり葬祭で遺体の防腐処理をおこなう技術、学校の理科の教員で科学や化学に詳しかったり、また野球部の監督でピッチングマシンを自由に扱えたりと、なかなか手の込んだ密室完全犯罪?が披露されていきます。

短編が中心なのでちょっと物足りない感じがするのと、現実には?ってところもありますが、そこは小説ですから、気にしないってことで。

★☆☆

7月前半の読書と感想、書評 2016/7/9(土)

004 悪の教典(上)(下) (文春文庫)
2008年から別冊文藝春秋に連載され、」2010年に単行本、2012年に文庫版が発刊されました。2012年には三池崇史監督、伊藤英明、二階堂ふみ主演で映画化もされています。見てないけど。

「教典」というからには、もう少し哲学的、宗教的で高尚な内容かと期待していた面もありましたが、あまりにも俗世感たっぷりな内容でやや混乱気味です。

タイトルは小説の中で高校生バンドが練習しているイギリスのプログレッシブ・ロックバンド「エマーソン・レイク&パーマー」の「悪の教典(原題Karn Evil)から都合良く取られているようです。

主人公は子供の頃から自分の気にくわない相手を次々と殺してきた人との共感を持たない高校教師という設定で、殺人鬼と知った両親も小学生の頃に手にかけています。

そうした殺人鬼のあり得そうもない設定かというと、さすがに小学生ではちょっと知りませんが、中学生ぐらいになると、親を殺害した事件は世の中には結構ありますから、まんざら嘘くさい話しとも思えません。

また主人公が勤務する私立高校では、男子生徒と淫行している中年女性教諭、男子生徒とゲイの関係をもつ美術教師、校長の弱みを握り、学校を支配しようと目論む根暗数学教諭、女子高生を弄ぶチンピラ体育教師など、青少年の教育の場にあるまじき異常な倒錯世界がてんこ盛りです。エンタメとわかっていても、真面目な高校教師からすると反吐が出そうな展開でしょう。

ま、それはいいとして(よくないが)、やがては表向きは明るく弁説も爽やかな人気英語教師の主人公の裏の顔に気がつく生徒が現れ、また仮面が剥がれそうになって追い詰められていく主人公教師と対決していくという流れです。

途中からバイオレンス色が強くなり、校内でブラックジャックやスタンガンはもちろん、散弾銃までが登場し、壮絶すぎる殺戮が始まります。まるで「処刑教室」とか「バトル・ロワイアル」のノリになってきて不快さを感じる人も多いような気がします。

ま、理性ある教師なら、さすがにそこまではしないだろ?って思うのですが、事実は小説よりも奇なりってこともあるので、小説の世界ではこれぐらいはどうってことないのでしょうね。でもやり過ぎ。

★☆☆

3月後半の読書と感想、書評 2016/3/30(水)

003 クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)
著者は作風からすると、もっと若い作家さんかと思っていたら、私とほぼ同年代ですでに50代に入っています。作家さんの年齢というのはなかなかわかりにくいものです。

この作品は1999年に単行本、2003年に文庫化された作品で、以前読んだ「黒い家」と同様、ホラーと言える小説です。

観ていませんが一時期問題作品として話題となった無人島で少年少女が殺し合いをするという「バトル・ロワイアル」と似たようなシチュエーションで、こちらはオーストラリアの無人地帯で、生き残るために日本人同士が繰り広げる殺人ゲームです。

と、書いちゃうと、荒唐無稽な話しで、まともな中年以上の読者は興味を失ってしまいそうですが、そこは売れっ子作家だけあって、単なる殺人ゲームだけではなく、様々なサバイバル術や登場人物に仕掛けなどが施され、主人公もうだつの上がらないホームレスになりかけていた中年男性という設定で、若い人以外にも共感が得られ、読み応えのある作品となっています。

タイトルのクリムゾンとは火星の表面のような濃く明るい赤色で、マゼンダとも近い色のことです。オーストラリアの大地を火星に見立て、そこに閉じこめられた男女9人がサバイバルをゲームのように繰り広げます。やっぱり荒唐無稽な話しですね。

10月前半の読書と感想、書評 2014/10/15(水)

002 黒い家 (角川ホラー文庫)
今ではすっかり売れっ子のミステリー小説家貴志祐介氏の比較的初期(1997年初出)のホラー作品です。

主人公は生命保険会社の京都支社に勤務する独身男性です。著者は元朝日生命に勤務していたことがあり、生命保険会社の様々な内部事情が散りばめられなかなか興味深いものがあります。

特にこの小説のテーマでもある保険金殺人や不正受給の方法が詳しく紹介されていて、これを読んで保険金詐欺の不正行為を思いつくという人が出てきても不思議ではありません。

そう言えば昨年2011年のNHKドラマ「ラストマネー -愛の値段-」というのが放送され、そこでは伊藤英明演じる保険金支払い査定人が保険金詐欺の不正や犯罪を暴いたり、できるだけ支払いを免れようとする会社の姿勢など、生命保険会社の光と影をうまく演じて好評を得ていました。

この小説では、主人公と保険金の支払いを求める「黒い家」に住む異様な夫婦とが対決するわけですが、私は半分ぐらい読んだ時点で、この犯罪の真の主犯はこいつだなととすぐにわかってしまいました。それが誰かは読んでからのお楽しみです。

私でも推理ができるミステリーとしてはオーソドックスとも言える設定ですが、保険金を得るためなら我が子を殺したり、自分の指だけでなく腕を切り落とすなど背筋が凍るような話しで暑い夏にはもってこいの小説です。

8月前半の読書 2012/8/17(金)

001 青の炎 (角川文庫)
優秀な高校生が家族や自分を守るため殺人の完全犯罪を目指すという1999年に書かれたミステリー小説です。

筆者の貴志氏は1959年生まれなので私より2年後の割と近い年代です。このおやじ年代が今の高校生を主役とした小説を書くというのは、結構大変だったのではないでしょうか。

若い人が中高年や高齢者を描くのは自分が経験したことがないだけにもっと難しいでしょうが、それにしても自分が経験してからすでに四半世紀前の高校生時代と現代の高校生の生活とはまったく行動様式が違っています。

それゆえかどうかはわかりませんが、主役の高校生の心理描写には変に大人びた老成した考え方がしばしば登場します。

これは意図的なものか、どうかはわかりませんが、もし本当に今の高校生(と言っても書かれたのは今から12年も前ですが)がこのような発想や知識を持っているならそれはまた恐ろしいというべきものです。

ま、湊かなえの「告白」でも主人公は大人の女教師でしたが、実際に殺人事件を犯すのは中学生でした。このような少年犯罪を描く小説が注目されるのはやはり小説の中だけではなく、現実社会にもそのような流れがすでにあるのでしょう。

日本中を震撼させた酒鬼薔薇事件(神戸連続児童殺傷事件)が起きたのは1997年で今から14年前のことですが、それ以来少年犯罪がテーマになる小説はより過激化していくことになったのでしょう。

スピード感あふれるストーリー展開で、サクッと読めますが、とにかく殺人が絡むミステリーですので、読んでいて気持ちがよくなるものではありません。

6月後半の読書 2011/7/2(土)



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