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リストラ日記アーカイブ 2019年10月
読みやすいようにアーカイブは昇順(上から古いもの順)に並べ替えました。上から下へお読みください。

日記INDEXページ(タイトルと書き出し部の一覧)はこちらです
1370 9月後半の読書と感想、書評 2019/10/2(水)
1371 2019年9月に見た映画 2019/10/5(土)
1372 リタイア後の心配事 2019/10/9(水)
1373 セールスマンの死ではなくセールス業務の落日 2019/10/12(土)
1374 10月前半の読書と感想、書評 2019/10/16(水)
1375 ハッピー・リタイアメントに向けて 2019/10/19(土)
1376 台風と地震被害と保険について 2019/10/23(水)
1377 絶滅危惧種の喫茶店と書店数推移 2019/10/26(土)
1378 10月後半の読書の感想、書評 2019/10/30(水)

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9月後半の読書と感想、書評 2019/10/2(水)

1370
赤ひげ診療譚 (新潮文庫) 山本周五郎

小説の初出は1958年に雑誌にて連載され、1959年に単行本が発刊されました。今からなんと60年前のことです。

この時代小説は、連作の短編集で、「狂女の話」「駆込み訴え」「むじな長屋」「三度目の正直」「徒労に賭ける」「鶯ばか」「おくめ殺し」「氷の下の芽」の8編が収録されています。

赤ひげ」はこの小説を原作として1965年に公開された黒澤明監督、三船敏郎主演の映画として有名です。

その映画のイメージを利用して、サントリー胡麻麦茶のCMで使われていますね。

赤ひげ先生このCM映像はモノクロのフィルム風で、いかにも当時の映画を加工して作られているように思われますが、実はまったく新しく作られたもので、三船敏郎?と思える役者は若い頃の三船敏郎に似ていると言われている俳優の増田雄一だそうです。私もすっかり騙されていました。

「赤ひげ」は、映画の他にもテレビドラマとして7回も制作されていたとか(wikipedia)で、団塊世代以上にとっては知らない人はいない懐かしさ満点でしょう。胡麻麦茶も、世代人口が多く、健康志向が強そうなその世代に向けて一番PRしたいのでしょうね。

さて小説の中身ですが、実在していた江戸時代中期の町医者で漢方医の小川笙船をモデルとした「赤ひげ」こと新出去定が、自ら奉行所に提案して作った貧しい人でも無料で医者にかかるようにした小石川養生所での出来事が、もうひとりの主人公で、長崎で西洋医学を学んだきた保本登とともに描かれています。

保本登は長崎留学のあとはエリートコースの幕府の御目見医になるつもりで意気揚々と江戸に帰ってきたものの、許嫁には裏切られ、しがない貧乏町民が集まる養生所で働くよう指示され、やる気をなくします。

しかし養生所の赤ひげや仲間と一緒に過ごすうちに、医学に対する自分の考えが違っていたことや、生き方に変化が現れてきます。

その辺りの心境の変化などが連作短編の中で順々にうまく表現されていて、途中から読むとうまく理解出来ないかもしれません。

やっぱこうした長く読み継がれている小説というのはたいへん良いものです。

★★★

            

非属の才能 (光文社新書) 山田玲司

著者は1966年生まれの漫画家さんですが、一般書籍も数多く出版されています。この著作は2007年に発刊された新書で、2011年の本屋大賞、特別企画「中2男子に読ませたい!中2賞」というのを北尾トロ著「キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるかデラックス」とともに受賞されています。なんじゃそれ?って気もしますが。

日本人に対してよく言われる、同一性、同調圧力、協調性などは今の時代には役に立たず、孤立化を恐れず人と違うことをやろうという逆張り指南本です。

確かに、他人に同調さえしていればそこそこ楽に生きられます。でもそこから先へは行けないでしょ?というのが主論なわけですが、同時に、発達障害や不登校などでも悩むことはなく、人と違った才能なんだという励ましになっています。

引きこもり、大いに結構ではないかという流れですが、親の年金だけが頼りで、親が亡くなっても届け出ず、不正に年金を受給していたり、なにも守るべきものがない無敵の人となって、子供や弱者を狙って刃物を振り回す一部の中高年引きこもりのことを考えると果たしてそう無責任なことを言っていて良いのかどうか、、、

こうした新書では「常識とは違うぞ!」というのを全面に出さないと売れないし、話題性にもならないので、そういうものばかりという気もしますが、割と感化されやすい中高年者の私や無垢な少年だと「なるほど!」とその時は首肯するかもです。

たびたび書かれていますが、一流アスリートや世界的な有名人はそうした同調しない非属の才能が突出しているというのも理解出来ます。

が、若い人向けに書かれた?という内容の浅さで、想定読者外?の中高年者が読むにはちょっと物足りない感じです。

★★☆

            

笑うハーレキン (中公文庫) 道尾秀介

著者の作品の中では過去に「骸の爪」(2006年)、「片眼の猿」(2007年)、「ソロモンの犬」(2007年)、「光媒の花」(2010年)、「月と蟹」(2010年・直木賞受賞)、「獏の檻」(2014年)の6作品を読んでいますが、この作品は、2013年単行本、2016年文庫化された長編小説です。

読むまでは「ハーレキン」の意味すら知りませんでしたが、いわゆる道化師のことです。ピエロと道化師は同じと思っていましたが、本著にも出てくるとおり、ピエロには顔の化粧に涙を描くのが通例で、道化師(ハーレキン)の顔に涙を描けばピエロになるということです。

ちなみにマクドナルドの広告等で出てくる道化師には涙マークはないのでハーレキンです。

ストーリーにピエロや道化師は直接出てきませんが、腕の良い家具職人でありながら、幼い子供を失い、事業に失敗したことからホームレスとなり、精神的に不安定で、自虐的な生活を送る主人公のことを遠回しに表現しているようです。

大人は、ピエロや道化師を見ると、その化粧で笑っていると判断しますが、子供はその表層的な笑顔の中に、実際の顔は笑っていないことに気づき、見ると泣き出す子もいるのではという仮説が出てきます。

私自身も子供の頃は、ピエロや道化師(区別は付きませんでしたが)を見ると、なにかとっても嫌な気分にさせられましたが、それがなにかは判然としません。

おそらく化粧の下の顔が怒っているようで怖かったような気がします。実際は怒っているのではなく、一生懸命に演技をするあまり、無表情で真剣な顔つきになっていたのではないかなと思います。

少しミステリー仕立ての小説の内容には触れませんが、主人公の家具職人のことを考えると、ずっと普通のサラリーマンをやってきて、なにも手に職がないまま老齢期に入る自分の人生と比べると、どうしてこういう道を選ばなかったかな〜と今さらながら残念に思います。

小・中学生の頃から、図工や工作、機械いじりが好きで、細かな手作業が得意で、もしそうした職人の道へ入っていたなら、今とは違う、自分にとっては有意義なもっと別の世界を見られたのにと残念に思います。

★★☆

著者別読書感想(道尾秀介)

            

土の中の子供 (新潮文庫) 中村文則

2005年に単行本が、2008年に文庫化された中短編小説で、2005年に「土の中の子供」で芥川賞を受賞されています。同書にはもうひとつ短編「蜘蛛の声」が収録されています。

著者の作品の中では今年3月に「教団X」(2014年)を読んでいます。

2019年3月後半の読書と感想、書評「教団X」

この小説の主人公は、親からの激しいDVを受け、トラウマが消えていない男性です。

子供の頃には、土の中に埋められて殺されかけた後に、施設で育てられ、現在はタクシー運転手をしながら生計を立てています。

自ら公園にたむろしている暴走族に対し喧嘩を売り、こっぴどく痛めつけられたりと、自傷や被暴力に対してコンプレックスを抱えているという暗く重苦しい精神が全体に流れています。

この小説が出た2005年にはこうした家庭内DVや、それららがトラウマになったまま生きていく人達のことはすでに社会問題化していましたが、2019年の今になっても、子供が親から殺され、虐待される事件はなくなりません。

最後の最後で、ひどい目に遭わせた父親との訣別を決意し、トラウマから脱する可能性をわずかに示した主人公に、明るい未来を感じることができる良い小説でした。

★★☆

著者別読書感想(中村文則)

            

あこがれ (新潮文庫) 川上未映子

2008年に「乳と卵」で芥川賞を受賞した著者の作品は過去に「ヘヴン」(2009年)と「すべて真夜中の恋人たち」(2011年)の2作品を読んでいて、今回が三作目です。

この作品は「ミス・アイスサンドイッチ」と「苺ジャムから苺をひけば」の2つの連作短編小説が収録されています。

主人公が小学生という私のもっとも苦手とする小説で、最近の小学生って、こんなに気が利いて、頭が良くって、物知りで、想像力豊かで、語彙が豊富だったっけ?と思うぐらいに、小賢しい限りです。

もっとも、大人、しかも才能のある作家さんが、想像の中から創り出す小学生ですから、何でもありって言えばその通りで、楽しければそれで良いという軽い読者には十分なのかも知れません。

テレビを見ていても、そこに登場してくる子供(子役?)達は、大人顔負けの知性と将来への固い決意、そして無垢な純粋な心を合わせもち、だらしない大人を煙に巻くというのがだいたいの流れとなっていますので、小説においても、ま、そういうことになりますか。

いや、自分の小学生の頃と比べると、そのあまりの落差で、フィクションとは言えなにか恥ずかしくなってくるだけに、小中学生が理路整然と難しいうんちくを語り、高度な知性を発揮する小説というのはとても苦手です。

この小説には出てきませんが、同様に、最近の映画には欠かせない、政府機関などどこにでもハッキングができて、主役にいたく協力的な天才ハッカーの存在も、もういい加減に飽き飽きしています。

ま、そういうことで、ストーリーは、洗練された大人の頭脳?を持った普通の小学生の日常を淡々と描いたもので、なにかとりたてて、魅力的なものではありません。

★☆☆

著者別読書感想(川上未映子)

【関連リンク】
 9月前半の読書 田園発港行き自転車、大人の流儀6 不運と思うな。、日本農業への正しい絶望法、お引っ越し
 8月後半の読書 美学への招待、中年だって生きている、すべて真夜中の恋人たち、孤独の歌声
 8月前半の読書 彼女のいない飛行機、残された者たち、国境(上)(下)、残念な人のお金の習慣


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2019年9月に見た映画 2019/10/5(土)

1371
この世界の片隅に 2016年 「この世界の片隅に」製作委員会
監督:片渕須直 出演(声):のん、細谷佳正

太平洋戦争中の広島を舞台にしたアニメ映画で、原作は、こうの史代著の漫画「この世界の片隅に」です。

主人公は広島に生まれ、呉に嫁入りした若い女性で、当時の広島や呉の町並みが美しく描かれています。

しかしたがて軍港呉は集中的に空襲にさらされ、主人公の姪の幼い子が目の前で亡くなり、片腕を失ってしまいます。

そして広島への原爆投下と続いていくわけですが、戦争のはかなさ、しかし時代がそれを求め、市井の人々はただそれに従うしかなかった庶民の生活を独特のタッチで描かれています。

ちょっと残念なのは、主人公がプロの声優さんではなく、こうした表現には不得手な人を使ったことで、それも味わいだと言ってしまえばそうなのかもしれませんが、節々でそれが気になってしまい、作品にのめり込める感じではありませんでした。

強く反戦というメッセージが込められているわけでもなく、ただ女性から見た昔の生活を懐かしがってみましたという内容で、それもありかなという感想です。

★★☆

            

東京暮色 1957年 松竹
監督:小津安二郎 出演者:原節子、有馬稲子、笠智衆、杉村春子、山田五十鈴

当時の大女優集合!という感じですが、内容はお堅い銀行勤めの夫や二人の姉妹を捨てて男と逃げだした妻、嫁いだ娘が旦那との折り合いが悪く、子供を連れて出戻ってきた娘、遊び人と付き合って妊娠してしまい、中絶をする妹など、敗戦後12年と、当時まだ戦後が抜けきれていない中では、さぞかし刺激的な作品だったことと想像します。

そうした家族の中の女性達がみんなバラバラで、好き勝手なことをしているのに対し、父親役の笠智衆がひとり、真面目でひょうひょうとしているのが微笑ましく笑えてきます。

結局この家族は最後までハッピーエンドというわけにはいかず、それぞれの着地点を見つけて治まるところに治まっていくという感じでしょうか。

有名女優陣を揃えながらも、結局はなにが言いたいのか、伝えたいのかがイマイチよくわかりませんでした。

★★☆

            

大殺陣(だいさつじん) 1964年 東映
監督:工藤栄一 出演者:里見浩太郎、平幹二朗、宗方奈美

すごいタイトルに惹かれて見ましたが、昔のチャンバラに少し毛が生えたものと理解して良いのかも知れません。

将軍家綱の後継争いで、時の大老が暗躍する世を変えようと侍の有志達が集まり大老の暗殺計画を立てます。

元々それには加わっていなかった侍も、厳しい取り調べを受けたり、家族が殺されたりしてその計画に加わっていきます。

しかしその計画が漏れてしまい、仲間が次々と捕らえられていく中、中心的な暗殺首謀者がBプランとして大老自身の暗殺ではなく、大老が後継に就けようとしていた家綱の弟を狙い暗殺計画を実行します。

そこから大立ち回りが延々と続き、結局多勢に無勢、暗殺者達はすべて斬り殺され、家綱の弟と救援に駆けつけた大老は無事に帰路につきます。

そこでもう一波乱があるという流れですが、戦闘シーンは、最近のCGや特殊効果などを使った迫力あるモノとは違い、長回しのフィルムを回し、その中で大人数が激しい動きをするというのが中心のいかにも大活動劇という感じです。

なにかそうした大人数で斬り合うチャンバラ映画ってなにかあったなぁって考えると、2010年にリメークされた「十三人の刺客」(1963年)と同じ構成というか続編的な位置づけだったようです。1963年のオリジナルは見ていませんが、2010年版は以前見ています。

当時のチャンバラは、いかにも軽い竹みつの刀を振り回しているという感じで、刀と刀が大きな金属音を出してぶつかり合う音(効果)もないし、斬っても血しぶきが飛ぶわけでもなく、今見ると子供のチャンバラ?って感じもしてきます。当時はそれが普通だったのでしょうね。

★☆☆

            

横道世之介 2013年 「横道世之介」製作委員会
監督:沖田修一 出演者:高良健吾、吉高由里子、綾野剛

先に原作となった吉田修一著の小説を読んでいますので、どういうストーリーで最後はどうなるということまであわかっていました。

2015年4月後半の読書と感想、書評「横道世之介」

そのようなすでに自分の頭の中に出来上がったイメージと映画に登場してくる人物が違っているとガッカリするモノですが、この映画の配役では、特に意外性はなく、またストーリーも原作に忠実で、すんなりと受け入れることができました。

原作小説の著者の地元長崎から、法政大学へ進学のために上京してきた青春時代をデフォルメして描いたものと思いますが、著者は1968年生まれですので、私とは年齢で11年の差があり、学生生活のあるあるにもその差がくっきりと出ていました。

ストーリーは、長崎から東京へ出てきた誰からも好かれるタイプの若者が、学生生活やアルバイト、クラブ活動、恋愛をエンジョイしながら成長していく姿と、その数年後に学生時代に彼を取り巻いていた友人達が彼のことを懐かしく想うというものです。見ていない人のために詳しくは書きませんが。

よくあるハッピーエンドものの青春ストーリーではないものの、なにか心が癒やされるような、懐かしい味のする映画でした。

ストーリーも内容の奥深さも、なにもかもが違いますが、みうらじゅんの高校生活を描いた青春小説(2004年)と、それを原作とした映画「色即ぜねれいしょん」(2009年)を、著者自身の出身高校や大学が撮影に全面協力をしているという唯一の共通性から、それをふと思い浮かべました。

★★☆

            

ジョバンニの島 2014年 日本音楽事業者協会
監督:西久保瑞穂  出演者(声):仲代達矢、市村正親、仲間由紀恵

宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」をモチーフとしたアニメ映画で、太平洋戦争末期から終戦後の北方領土のひとつ色丹島が舞台となっています。

主人公は色丹島に暮らす日本人一家の子供で、仲間内では「銀河鉄道の夜」の登場人物ジョバンニと名乗っています。まだ幼い弟は同様に「カンパネルラ」と名付けています。

戦争により平和な暮らしが一変し、やがて終戦を迎えた後、本土と同様アメリカ軍がやってくると思っていたら、ソビエト軍がやってきて、武力で村が占領され、家も接収されてしまいます。
やがて、ソビエト軍の家族もこの村に移住してきて、ジョバンニはその中の少女ターニャと仲良くなり、淡い恋が芽生えていきます。

しかし民間人は本土へと送られることとなり、その経由地として樺太の収容所に入りますが、島の守備隊の武器を隠していた父親が捕らえられた捕虜収容所が近くにあることを知り、弟と二人で会いに行こうと画策します。

途中、学校の先生と叔父に助けられ、収容所の父親と再会を果たしますが、その頃から弟の身体の具合が悪くなっていきます。

弟の体調はますます悪くなり、いよいよ本土へ向かう船に乗ろうとするとき息を引き取ります。

場面は変わって、ビザなし渡航が認められ、旧島民が帰島し、島に住むロシア人との交流の場で、年老いたジョバンニは、元の姿のままのターニャと再会します。

ターニャだと思ったのは、ターニャの孫娘で、当時ジョバンニがターニャを描いた絵を大事に持っていて、今回祖母に代わって会いに来てくれたということです。

なんでもこの話しは実話をもとにしたということで、浅田次郎著の小説「終わらざる夏」や、池上司著「八月十五日の開戦」などにも書かれていましたが、8月15日の終戦後に起きた北方領土でのソビエト軍との悲惨な出来事は、日本人にとって忘れべかざることでしょう。

あと、ひとつ、仲間由紀恵が学校の先生の声役で出ていますが、このような声と女優としてのイメージがすぐに結びつきやすい有名女優を声優として使うのはどうなのかな?と思いました。

例えば極端なことを言うと、ドラえもんの声優が、シリアスな大人のドラマに出演したら、それはちょっと違うだろ?ってことと同じです。

★★☆

【関連リンク】
1336 2019年5月 バリー・リンドン(1976年)、アメリカ アメリカ(1963年)、我が命つきるとも(1967年)、夜は短し歩けよ乙女(2017年)
1328 2019年4月 ソロモンの偽証 前篇・事件、後篇・裁判(2015年)、カメラを止めるな(2017年)、眺めのいい部屋(1986年)、グランド・キャニオンの対決
1324 ここ10数年間にみた映画(2)


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リタイア後の心配事 2019/10/9(水)

1372
先のブログ「完全リタイアまであと9ヶ月 2019/9/25(水)」では、ノー天気で楽観的な話しを書きましたが、心配性な性格からか、いくつか懸念していることもあります。

人混みリタイア後の心配としては、家計統計上不足するだろうと言われている老後資金、つまり「お金」の不安というのが一般的ですが、その点についてはあまり心配していません。

退職金があるわけでも、ウン千万という貯金があるわけでもありませんが、なにか大きなアクシデントで入り用ができない限り、65歳から満額支給される(予定)の夫婦の年金だけで、どうにかやっていけそうと思っています。

幸い、働いている子供がまだ同居(パラサイト)していて、ちゃんと支出させているのと、28年前に買った自宅のローンが来年の年初には完済するので、生活費以外の出費は、家のメンテナンスや家電の老朽化に伴う買い換え費用とクルマの維持費に限られてきます。

家族が高額な治療費を要する難病に罹るとか、インフレになり年金だけでは追いつかないとか考えるとキリがありませんので、そうしたリスクは考えないようにして、若い頃に収めてきた比較的高額な厚生年金(30代の頃は子会社の役員を勤めた関係で、高収入だった時期があり、平均よりも多く支払ってきた)で、夫婦の生活費の収支はなんとかなりそうと思ってます。

では心配事とはなにか?

今はまだ、会社に行き、それなりに最新の設備の中で、最新の機器を使い最新の情報を扱う仕事をしていますが、リタイアすれば当然ですが、そうした環境からまったく遮断されてしまうことになります。

今まで、「情弱」と思っていた多くの高齢者と同じく、時代の先端を行くすべてのことから離れてしまうことで、様々な不安があります。

そのあたりに、「定年後のリアル」の勢古浩爾氏のように、スパッと割り切った定年後を送ることを潔しとしない、優柔不断なところがあるわけです。

別に、リタイア後もなんらか仕事に関わっていたいとか思っているわけではなく、仕事からは完全に離れたいと思っていますが、「リタイアしたらもうこういうオフィスビルに来ることもなく、その中で使われる最新設備や機器とも縁がなくなるのだろうなぁ、、、」と、不安ではなく、きっと寂しい思いをするだろうと思います。

今から40年ほど前の社会人1年目の時には、当時何百万円もするワープロ専用機や、Basicで動くPC8800などが登場し、それらを仕事絡みでいち早く使ってきた、比較的恵まれた環境に長くいた身としては、オフィスの中でしか味わえない、ダイナミックな最先端技術や機器ともこれでお別れかと思うと寂寥感に満たされるというわけです。

自宅の中でも最先端は使える?と言っても、それはあくまで個人レベルの最先端であって、ビジネスの中での最先端とは、規模も桁も何倍も違います。

また、技術で不明のことがあれば、同じ部屋の中により詳しい人が何人もいて、いつでも気軽に教えてもらえる環境は、それなりの専門職がいる会社組織があってのことです。

そうした刺激的な最新技術や身近にそれを扱う人達がいなくなることで、知識はどんどんと劣化していき、考え方も保守的にならざるを得なくなり、いわゆる「周囲にいっぱいいる老人のひとり」となり、同化してしまうことを一番危惧しています。

普通の老人でなにが悪い!って割り切ってしまうことができるのか、それとも、なにか別の方法で、いつまでも頭の中は新鮮で若く保てるのか、その分かれ目がまもなくやってきているような気がします。


【関連リンク】
1286 棺桶リスト
1285 怒りを抑制するアンガーマネジメント
1211 過疎と限界集落の行方とコンパクトシティ


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セールスマンの死ではなくセールス業務の落日 2019/10/12(土)

1373
社会やビジネスの仕組みが大きく変化していくと、働く人の職業の中身も変わってきます。特に専門職という仕事が顕著に表れてきます。

セールスマン私が新入社員だった1980年頃は、まだ大手企業の中には電話交換業務がおこなわれていて、したがって1960年代頃の女性の花形職業だった「電話交換手」という専門技能職がまだありました。

その他にも、「和文タイピスト」や「カナタイピスト」「テレックスオペレーター」「エレベーターガール」など女性向きだった専門職も今はもうありません。

同様に新聞社や印刷会社に熟練工が多かった活字を拾う植字や文選といった仕事も、DTPやデジタル化が進んだ1980年代に姿を消していきました。

そのように綺麗さっぱりとなくなってしまった仕事もありますが、しぶとく生き残っていく息の長い仕事もあります。

例えば、簿記を使う経理事務や会計業務は、いくら機械化、システム化が進み効率化が図られても、なくなることはありませんし、営業業務も企業業績の中枢を担うだけにそう簡単にはなくなりません。

もっとも、経理業務も、営業業務も、人事業務も、社外に丸投げでアウトソーシングができる時代ですので、経営者ひとりで企業を営むこともなんら支障がない時代とも言えますが、その仕事自体が電話交換手のようになくなってしまったわけではありません。

ところが、その営業職、特に外勤営業の仕事が急速に減ってきているとのことです。

この15年で130万人の営業マンが消滅したワケ(SankeiBiz)
国勢調査によれば、日本には2000年まで468万人の「営業職」がいた。ところが2015年までに336万人に減った。営業マンはどこへ消えたのか。統計データ分析家の本川裕氏は「ITによる流通の構造変化により、事務職に取って代わられたようだ」という
(中略)
企業の中で商品(不動産・金融・保険商品を含む)の販売を担当する営業職(営業マン、セールスマンなどとも呼ばれる職種)は、1975年までの高度成長期にも企業社会の成長とともに大きく増加したが、70年代後半以降、「作れば売れる」時代から「積極的な売り込み」の時代に変化したこともあって、職種として花形職業となり人数も大きく増加した。特に80年代には230万人から400万人へと74%増となった。この時期の営業職の増加率は高度成長期をむしろ上回っていたのである。ところが、バブル経済が最終的に崩壊したのち、2000年の468万人をピークに今度はかなり急速な減少に転じた。そして、15年にはバブル期以前の水準の336万人にまで減った。

営業や販売自体の仕事がなくなってきたというわけではなさそうですが、70年代以降ビジネスの中で花形だった「外勤営業」いわゆるセールスマン(パーソン)が大きく減ってきているということです。

ちょうど私が就職した1980年頃が、その外勤営業がピークを迎える時期だったようです。確かに会社説明会へ行ってもどこも募集は外勤営業ばかりでした。

企業のマーケティング手法にITやAIが導入され、また効率性や生産性向上の観点から言っても、古くからある「飛び込み営業」など「精神論、根性論で売ってこい!」式のやり方は、余程のブラック企業でもなければすでになくなってきています。

今は個人も企業もネットで気軽に安くてサービスの良いところを選び、ネットで見積もりを取ったり購入できる時代です。わざわざ、売りたい物しか売らない営業マンに来てもらって時間を使い、値引きの交渉をしたり世間話している時代ではありません。

私は新卒で会社に入ってから数年間は飛び込み営業を主とした外勤営業をやっていました。

社員研修では、ミサワホームの元No.1セールスマンや、トヨタのディーラーでNo.1営業マンという触れ込みの営業コンサルタントから厳しい指導も受けたりしました。

研修の一環で、コンサルの人と一緒に実際に飛び込み営業をし、あとで講評をもらうというようなこともしました。そういう時代だったんですよ〜

私の場合は企業への飛び込み営業なので、個人宅への飛び込み営業とは違い、水をかけられたり、犬に吠えられたりしないから楽だね〜ぐらいにしか思っていませんでしたが、知らない会社へ飛び込みで営業に行くときは、やはりプレッシャーは相当にありました。後輩の中には何名かそのプレッシャーに負けてノイローゼにかかった人もいました。

しかし飛び込み営業は、相手のことを知らないので、実のある提案営業などできるわけもなく、今思えば単にセンミツのチラシ配りをやっていたようなものです。

そんな中でも優しい人がいて、飛び込み営業に関わらず、応接間に通され、ジックリ話しを聞いてくれ、次回のちゃんとした提案も聞いてくれるというビジネスマンがいたことが救いでした。割合からすると、20〜30社回って1社あるかどうかでしたけど。

そうした身を削ってまで覚えてきた飛び込み営業のノウハウは、今のビジネス界ではまったく通用しませんし、また需要もなく、逆に気持ち悪がられるだけでしょう。しかし何事にも動じない度胸だけはつきました。

現在だと、マーケティングツールで仕込んだ、自社の製品やサービスに興味がある相手企業のキーマンに対し、直接アプローチをして、具体的なニーズを聞き出し、アポイントを取って提案を持って行き、クロージングするというのが営業の仕事なのでしょう。

どういうスキルが求められるかというと、
1)見込み客を効率よく探し出すノウハウ
2)見込み客のキーマンにアポを取るテクニック
3)ライバル社よりも優れた企画提案書を作り、プレゼンができるテクニック
4)速やかにクロージングできるノウハウ
など。

1)や2)に関しては自社の中だけでおこなうと言うよりも、最近は外部に委託したり、外部の専門業者と連携しておこなうケースが増えてきています。委託先はテレアポ会社や、営業受託会社、イベント主催会社などでしょうか。

例えば、大きなイベントに出展をして、自社製品に興味をもってくれた人のデータを収集するとか、自社サイトの製品・サービスサイトを読みに来てくれた人のデータを収集・分析し、見込み客(企業)を絞っていきます。

アポイントをとるのははアウトバウンドのコールセンターなどを使ったりするケースもあります。

もっともそういう客は、今すぐに欲しいという客は少なく、数ヶ月先、数年先に購買を考えている客が多いので、そういう客を見つけたら、逃がさないように時々はアップデートされた情報などを提供するなど、中長期的にフォローするおく(インキュベイト)必要があります。そういうことも昔の営業マンにはあまり発想としてなかったことです。

3)はライバルのことをよく調べておき、価格だけでなく、他社と差別化できる点を企画書に盛り込むことで、自社製品の優位性をアピールします。もちろん、企画書や提案書の中身やデザインの出来も、その企業の信頼性に影響を与えます。

おそらく今の営業パーソンに求められる一番のキーワードは、この4)のクロージング能力ではないかと思います。

クロージングはなかなか難しい仕事で、商品によっては何千万円、何億円というものもあり、それをクロージングするのは簡単なはずがありません。でもそれが決まったときの喜びは、営業パーソンならではのもので、それがこの仕事のやりがいにつながっていきます。

私が第1線で営業をやっていた頃は、飛び込み営業で、相手と知り合ってから、話しを聞き、とりあえず提案をするところまでが営業の醍醐味で、その結果の勝ち負けは、時の運みたいなところがありました。今考えると変な話しですけど。

要は結果よりもプロセスや頻度を大事にしていました。もちろん今はそれではダメで、プロセスよりも結果が求められます。

そうしたことを考えると、昔風の外勤営業や提案営業が衰退していくのは当たり前で、そうした時代を生きてきた元営業マンというのは、今の社会においてはほとんど使い物にならない過去の遺物なのでしょうね、、、

自分自身のことだけにつらい現実ですが、実感をしています。老兵は死なず、ただ去りゆくのみです。

【関連リンク】
933 飛び込み営業について
821 会社を辞めてから気がつくこと
817 カフェではない喫茶店の凋落


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10月前半の読書と感想、書評 2019/10/16(水)

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その女アレックス (文春文庫) ピエール・ルメートル

カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ第1作目の「悲しみのイレーヌ」(2006年刊、日本語版は2015年刊)は今年2月に読んでいますが、この作品がシリーズとしては2作目(2011年刊、日本語翻訳版2014年刊)となります。

2019年2月後半の読書と感想、書評「悲しみのイレーヌ」

この作品は日本でも「このミステリーがすごい!2015 海外部門で1位」、「本屋大賞翻訳小説部門で1位」などに輝きましたが、世界的にも大ベストセラーとなっています。

このシリーズは、「わが母なるロージー」(2011年、翻訳版2019年)、「傷だらけのカミーユ」(2012年、翻訳版2016年)がすでに既刊です。

ストーリーですが、ミステリー小説ゆえ、深い内容には触れませんが、主人公は夜道を歩いていたとき、突然誘拐される女性(アレックス)と、フランス警察のカミーユ警部。

女性が誘拐されたのを目撃したとの通報で、警部が担当することになりますが、まったくその足取りや被害者が特定できず、難航します。

この警部は、過去に自分の妻が誘拐されて惨殺されてしまうと言う経験(前作「悲しみのイレーヌ」 )をあり、本来は精神的にもこうした誘拐事件の捜査にはふさわしくないのですが、周囲の仲間から過去を早く吹っ切るためにも事件を担当させられます。

ただし、普通の犯罪小説と違うのが、その誘拐事件は本作品の1/3ぐらいの部分を占めるに過ぎず、その女性の本性や過去に起きた凄惨な出来事が次第に明らかになっていくというものです。

ま、最後のトリックとクライマックスについては、少々どころかかなり無理な感じもしますが、それが小説だ!ということなのでしょう。

長い作品ですが、テンポもよくサクッと読めてしまいます。できればシリーズ1作目の「悲しみのイレーヌ」を読んでおくと、主人公の警部の苦悩やレギュラー陣のこともよくわかって良いかも知れません。

★★★

著者別読書感想(ピエール・ルメートル)

            

レオナルドの扉 (角川文庫) 真保裕一

2015年に単行本、2017年に文庫化された長編歴史小説です。タイトルにあるようにレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452年〜1519年)にまつわる話しがテーマになっていて、小説の舞台となっているのは、ダ・ヴィンチの死後300年のイタリアとフランスで、ナポレオン(1769年〜1821年)が皇帝となり武力で支配している地域です。

前からずっと不思議に思っていたことがあり、それが本書にも出てきますが、フランス革命(1789年〜1799年)では圧政と堕落した王政に対し民衆が立ち上がり、革命を起こして王政と旧体制を壊したわけですが、その後すぐに軍人であり元貴族ののナポレオンが登場し、革命終結後わずか数年で自らが皇帝になるとというのはどうにも理解できませんでした。

もう王政はこりごりと国民は思って革命を起こしたはずなのに、そうした不可思議な事情は本書の主人公の言葉で出てきますが、その理由は書かれていません。

本書のストーリーは、元ダ・ヴィンチ村に住んでいた祖父とともに、流れ着いたイタリアの小さな村で時計屋を営んでいる若い孫の男の子を主人公として、レオナルドが300年前に書き遺した新兵器などのアイデアを書いたノートのありかをナポレオンが率いるフランス軍よりも早く見つけ出そうとします。

途中、同じくそのノートを手に入れようと、レオナルドの良きライバルでもあったミケランジェロの末裔とも一悶着が起きますが、和解ができて、協力し合い、少年がレオナルドのノートに書かれた新兵器を次々と実現化して、イタリア全土を支配するナポレオンの軍隊を圧倒するなどというエンタメ感満載のストーリーです。

さすがに波瀾万丈、快刀乱麻、よほどの予算がなければ実写映画化は難しいでしょうけど、せめてアニメ映画化しても不思議ではないかなと思います。そのうちできるかも知れませんね。

★★☆

著者別読書感想(真保裕一)

            

「やりがいのある仕事」という幻想 (朝日新書) 森博嗣

普段新書を買うときは、いわゆるジャケ買いで、タイトルを見て面白そうなものを買ってきます。つまり著者は誰でも構わないし知らないケースが多いのです。そのあたりは必ず著者名を見て買う小説と違う点です。

この新書もタイトルを見ただけで買ったので、実際に読むだすまでは誰が書いた作品かは知りませんでした。

で、読む前に、著者名を見ると、おっ!なんと、「スカイ・クロラ」などの作品で有名な作家さんじゃない!ということを知りました。

この著者は数多くの作品を出されていますが、過去にその中の「すべてがFになる」と「ZOKU」という小説を読んでいます。「スカイ・クロラ」はアニメ映画で見ました。

この著者とはまったく同世代で、誕生日が数日違うだけという、なにか不思議な親近感があります。

きっと小学生の頃にはツイスターや人生ゲームで遊び、中学生の頃には好きなアーチストのレコードを買い求め、高校生の頃には深夜ラジオとアーケードゲームのブロック崩しを楽しみ、大学生になってからインベーダーゲームに夢中となったのではないでしょうか。著者は国立大に入った秀才なので、子供時代とは言え、凡人の私と比べるのもなんですけど。

内容はタイトルにあるとおり、最近の若者がよく言う「やりがいのある仕事がしたい」に、著者なりの反論というか考え方を述べたものです。著者は大学で教鞭をとっていたこともあり、学生やOBから就職などについてよく氏と門や相談があったそうで、そうした経験からです。

一度も民間企業の会社員になったことがない著者にしては、世の会社の道理をよくご存じで、机上の空論ばかりを述べる学者先生や、自身が有名大学&大企業出身であることをベースにして上から目線でモノ言う有識者と違い、若い人にはなかなか役立ちそうな話しが満載です。

舌鋒鋭く、少し突き放した冷淡な感じもしますが、会社に入ってから「思っていたのと違う」と嘆くより、こうした器用で名をなした人の話を聞いてみるのも悪くはないでしょう。もっとも著者と同レベルに生きられるか?というものとは違いますが。

★★☆

著者別読書感想(森博嗣)

            

ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石 (講談社文庫) 上・下巻 伊集院静

2013年に単行本、2016年に文庫化された小説で、若い頃からの正岡子規と夏目漱石の友情と、正岡子規が後世に残した偉大な文化などの話しが中心となっています。

正岡子規(1867年〜1902年)というと、真横から撮影されたはげ頭の頭部が異常にでかい?写真がすぐ思い浮かび、ちょっととっつきにくそうな感じがしますが、四国松山から上京し、東大へ通っていた頃は誰もから好かれる好男子だったのですね。

それとその横顔でひげを生やした写真からは、お爺さん?って感じを受けていましたが、35歳という若さで亡くなっていますから、やや老け顔だったのでしょう。

その正岡子規、ほぼ同世代に夏目漱石や同じく松山出身で日露戦争で活躍する秋山真之、俳句で知り合った森鴎外も懇意で、その他にも歴史的人物が子規の周囲に次々と登場してくるのは驚きです。

特に東京大学入学後からの夏目漱石との仲は深く、お互いにその才能を尊敬し合い、行く道は違っていてもその友情はずっと変わりませんでした。

また正岡子規は野球が日本に入ってきてまもなくプレーヤーとして日本での普及に大きな影響をもたらし、ベースボールをもじって野球、バッターを打者、ランナーを走者、四球をファーボールなど訳した最初の人でもあり、野球に対して一家言ある著者(伊集院静)にとっては、この正岡子規を取り上げなければならない運命だったのかも知れません。

松山から希望が叶って上京し、予備門から東京帝国大学へ入学、その間にも俳句や短歌、随筆、浄瑠璃などを書き、自分には小説が向いているのではと創作活動を続けます。

タイトルは、正岡子規の幼名正岡升(のぼる)から、松山時代の友人達から「ノボさん」と親しみを込めて呼ばれていたことからです。

そのハチャメチャで貧しく短い人生ですが、多くの人に影響を及ぼし、明治という時代を駆け抜けていった一人の人間正岡子規を魅力ある人物として描いた小説として秀逸です。

★★★

著者別読書感想(伊集院静)

【関連リンク】
 9月後半の読書 赤ひげ診療譚、非属の才能、笑うハーレキン、土の中の子供、あこがれ
 9月前半の読書 田園発港行き自転車、大人の流儀6 不運と思うな。、日本農業への正しい絶望法、お引っ越し
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ハッピー・リタイアメントに向けて 2019/10/19(土)

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完全リタイアまであと9ヶ月 2019/9/25(水)」と「リタイア後の心配事 2019/10/9(水)」に続き、「リタイア三部作」の完結編です。

今までに数多くのリタイア関連本(小説、新書)を読んできました。

ハッピー・リタイアメント 浅田次郎
定年後 年金前 岩崎日出俊
おひとりさまの老後 上野千鶴子
老後に破産しないお金の話 大竹のり子
定年後 50歳からの生き方、終わり方 楠木新
定年ゴジラ 重松清
老後に本当はいくら必要か 津田倫男
定年病! 野末陳平
超リタイア術 野口悠紀雄
下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 藤田孝典
54歳引退論 布施克彦
田舎暮らしができる人 できない人 玉村豊男
田舎暮らしに殺されない法 丸山健二
地方消滅東京一極集中が招く人口急減 増田寛也
限界集落株式会社 黒野伸一
プラチナタウン 楡 周平
みっともない老い方60歳ぁらの「生き直し」のすすめ 川北義則
老いの才覚 曾野綾子
老いる家 崩れる街 野澤千絵
老いる覚悟 森村誠一
定年後のリアル 勢古浩爾
定年後7年目のリアル 勢古浩爾

この他に定年後や年金関連のムック本なども買っています。いや、まったく心配性な性格故、不安に駆られて無駄に読んでいます。

しかしそれらの中で、一番身近に感じ、自分にフィットしているなと感じたのは、このブログで何度か紹介している勢古浩爾著の「定年後のリアル」です。比較的新しく、自分と近い境遇ということもあるでしょうけど。

あと、人並みにちょっと憧れていた「引退後は田舎に引っ込んで静かな生活を」という幻想を見事に打ち壊してくれた丸山健二著の「田舎暮らしに殺されない法」は面白かったです。

強盗対策に槍を備えておけとか、プライバシーはないとか、いろいろ参考になりました。最近地方で起きる強盗殺人事件などを見ていると、防犯カメラが少なく、駆けつける警察署も遠く、田舎こそ犯罪者天国なのかも知れません。

今までは自分の人生は、会社とともにあると言ってもよく、その中で、いかに成長していくか、うまくやっていくかというのが常に主題となり、会社ありきでの人生でした。昭和の時代に就職した人であれば、その多くは同じ道を歩んできたのではないでしょうか。

それが良いとか悪いとか言うのではなく、今まで頼りにしてきた会社という存在がこれからはなくなることで、なにかにつけすべてを自分の裁量で決めていかなければならないというところに、サラリーマン人生を長く送ってきた人の不安と苦悩があるわけです。

ま、案ずるより産むが易しってことわざもあるとおり、やってみなきゃわからんことも多いので、たいして気にはしていませんが(でもしているのは購読書籍を見ると明らか)、ブログでもこの定年後の話しをたびたび書いていることからしても、我がことながら心情は決して穏やかではありません。まるで他人事のようですが、、、

そうした中、これだけは守ろうと思っているのが、高齢になるにつれ、怒りっぽくなってきたことで、なぜか、ちょっとしたことでもムラムラと怒りが自然にわいてきてしまい、つい相手に言い返したり、批判してしまうことがあります。

不寛容な社会に同化しやすい性格なのかもしれませんが、これはいけない、絶対ダメってことで、引退する前にアンガーマネジメントを実践しようと思ってます。いつもニコニコと何でも受容できる老人になりたいものです。

あとは飽きっぽい性格をなんとかしたいと思っています。

飽きっぽい性格は、逆に見るといろんなことに興味をもって、一見悪いことではなさそうにも見えますが、年齢を重ねてから常に思うようになってきたのは集中力や忍耐力の欠如です。

一般的に高齢になると集中力がなくなり、また継続する忍耐力もなくなります。それではどこにでもいる老人と変わらないので、ニコニコとしていながら、意外と集中力、忍耐力があり、デキる老人を目指します。

ブログを書くことはそれ自体を目的としていませんが、なにかをおこなった成果や人と共有したい事、記録として残したいことをブログに書くという行動は、引き続き続けていきたいなと。ま、本人の備忘録のようなものです。

ブログは飽きっぽい性格の割りにはよく続いている(2002年から途中の中断もありましたが約17年間)ことのひとつです。

それはなにか目標にしていたり、多くの人に読んでもらったりとかは考えてなく、日々時間があるときにササッと書いているだけで、精神的にも肉体的にも負担になっていないからだと思います。

あとは日々衰えてくる健康に気をつけることで、できるだけ医者や薬は遠ざけておくことを目指します。快眠、快食、快便の3快が当面の目標です。

なにもしないと太ってくるので、その対応も気をつけなくっちゃね。


【関連リンク】
1215 定年退職後の再就職はどうする
1169 定年起業
1131 平均貯蓄高1820万円


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台風と地震被害と保険について 2019/10/23(水)

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今年も水害や台風、竜巻など自然災害による被害があちこちで起きました。毎年必ずどこかで大きな自然災害が起きていますので、日本人なら他人事では済まされないでしょう。

そうした自然災害で被害を受けたときに助けになるのが行政の支援と火災保険です。

まず行政の支援は、住む場所が災害でなくなった場合に、空いている公営住宅などに速やかに入れたり、仮設住宅が提供されたり、激甚災害の場合は壊れた住宅の修理費用や、再建の費用の一部が税金から補助されたりします。

台風15号を激甚災害に指定へ 屋根一部損壊を補助も(テレビ朝日)
自治体が行う復旧事業に対して国の補助の割合が増えることになります。また、本来は補償の対象外である屋根の一部損壊についても国で補助する方針です。また、九州北部を襲った記録的豪雨など8月から9月の大雨も激甚災害の対象とする方向です。

10月に列島を襲った台風19号の被害も甚大で(政治家さんにとっては「この程度」だそうですが)、おそらく国や自治体からも(税金を使った)支援がおこなわれることでしょう。

新築工事助け合いの観点からすれば、収めた税金がこうした災害により、公益性の高い道路やインフラの補修に使われるだけではなく、減損した個人財産の修復と形成にも使われることに対し、個人的にはやむを得ないと思いますが、公平性の観点からすれば、違和感を感じる人も少なからずいるでしょう。

例えば他人の不法行為で奪われた個人財産は、加害者が特定できた場合は加害者に対して損害賠償できますが、その多くの場合、刑務所に入った加害者に返済能力がなく、加害者が不明の場合とともに実質的に損害が賠償されることは少ないでしょう。

じゃ、その被った損害を行政が補填してくれるかと言うと、一部の条件が整えば「損害賠償命令」や地域の条例で規定されているのを除きほとんどしてくれません。

    ◇     ◇     ◇     ◇

そうした賠償や補償のためにある保険ですが、火事や天災などによる救済方法としての火災保険については説明は必要ないでしょうが、住んでいる住宅に火災保険をかけている人の割合は、全体の8割ほどと言われています。

普通、家を買う際に建物部分について住宅ローンを借りていれば、金融機関が強制的に火災保険を加入しますので、ローン支払中の人はほぼ全員が入っていることになります。

ローンが終わり、建物が老朽化してくると、もうそれだけの価値はないとして、火災保険に加入しないという方もいるでしょう。

あとは、金融機関がかけてくれていた火災保険が終了したあと、自分で加入するのを忘れていたというケースもあるかも知れません。

また火災保険をかけていても、必ずしも自然災害にオールマイティで有効というわけではなく、契約内容によっては、保険金は焼け石に水状態ということもあります。焼け太りってのは現在では少なくなっています。

例えば、台風の風で屋根が壊れた場合、その修理費の一部または全部は通常の火災保険で補償される範疇ですが、同じ台風被害でも、大雨で川があふれ、その水害で受けた住宅被害は、火災保険のオプションの水災補償に加入していなければ補償されません。

また火事の場合ももちろんですが、風で屋根が壊れたり、川があふれて床上浸水すると、家電や畳、敷物、家具など家財道具がダメになります。

同様に落雷で家電製品が壊れてしまった場合など、これらも火災保険のオプションで家財補償に加入していなければ補償されません。

家財補償もその補償される金額を最初に決めておくことが必要で、それによって保険料も変わってきますので、支払う保険料と、万一の場合に補償される金額のバランスを考えておく必要があります。

その場合でも実際に損害の金額までしか補償されないので、たくさん保険をかけておけば、焼け太りするかな?ということにはなりません。

    ◇     ◇     ◇     ◇

そしてもっとも悩ましいのが火災保険と同時に加入すべきかどうか迷う地震保険です。

火災保険だけでは、地震が原因で出火し家が焼けたり壊れた場合、それが例え近隣からの延焼で被害を被っても、補償されません。

この地震保険はちょっと特殊で、広範囲で被害総額が巨額になるので、国と保険会社が共同で運営しているもので、地震保険法で規定されています。

そしてその補償額たるや、火災保険で設定した補償金額の30〜50%でしかなく、地震保険に加入していても、万一地震で壊れた時の自宅の再建は容易ではありません。

さらに、この地震保険は、地域別で保険料が定められていて、特に都市部ではめちゃくちゃ高額になっています。

例えば木造住宅で、1000万円の地震保険金をかけるためには、東京、千葉、神奈川の地域だと地震保険の年間保険料は38,900円(月3,242円)です。

これが東北や中越、九州(青森、新潟、大分、宮崎除く)の地域だと11,600円(月967円)となり、3倍以上の開きがあります。

首都圏の一戸建てに住み、火災保険に3000円ほど支払い、さらにその上に地震保険を3890円(保険金1千万円の場合)を支払うというのは、普通の家計ではちょっとご無体な気がします。

もちろん地震で全壊し、満額の保険料1千万円が出たとしても、壊れた家のがれきを片付け、土地を整備し、家を新築し、家財道具一式を購入できる金額ではありません。東京都内で平均的な一戸建て(建坪38坪)の建築費だけで3000万円程度かかります。

保険は将来予想を見越した確率で保険料が決まっていくので、仕方ないとも思いますが、都市部に住んでいると、どう考えても地震保険に加入するメリットは少ないのではないか?と思ってしまいます。

それでも、東日本大震災を経験し、その後も各地で地震災害が多いせいか、火災保険とセットにして地震保険に加入している人は火災保険加入者の65%程度もいるから不思議です。

ちなみに私は、ローン会社の火災保険が終了したので、新たに火災保険に加入しましたが、地震保険には入っていません。

そのうちそのことで泣きを見ることになるかも知れませんが、どちらにしても自宅再建に必要な金額の30%程度しか保険金が出ないのなら、来年夏以降は年金生活者になりますので、自力での再建は不可能です。

その場合は、土地を売って、どこか地方の安い空き家でも探して移ることにしようと考えています。

【関連リンク】
894 火災保険・地震保険について調べてみた
892 火事と賠償
888 火事と高齢化社会の因果関係


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絶滅危惧種の喫茶店と書店数推移 2019/10/26(土)

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新卒で会社に入り、その後しばらくは外勤営業の仕事をしていましたことはこのブログにも何度か書いています。

外勤営業を長くやっていた人なら、常時、目一杯、100%の働きを持ち続けるモチベーションや、外回りで体力を維持するのは難しく、どうも体調が悪くて気乗りのしないとき、雨や雪に濡れて気持ちが萎えるとき、取引先で喋りまくり、しばらく静かにひとりでいたいとき、上梓や取引先に叱られて落ち込んだときなどなど、社外に出ていることを良いことに喫茶店などでサボった経験があるかと思います。

当然いたって凡人の私も平均すると外出時間の4分の1〜3分の1ぐらいの時間は喫茶店や書店巡りなどで時間を費やしていたことを告白しておきますw

特に書店に関しては、東名阪の都市部の主だった店にはだいたい出没していて、どこの店には誰々の本が過去のもの含めて豊富に在庫があるとか、この店だと滅多に見ない雑誌が置いてあるとか、まるで書店のマーケターのごとくよく知っている時期もありました。

先日は、外勤営業をする人の数が減ってきたことを書きました。

1373 セールスマンの死ではなくセールス業務の落日 2019/10/12(土)

やみくもに走り回る外勤営業がビジネスの花形?だったのは1970年代から1990年代ぐらいまでで、その後は営業活動は効率や論理的な手法へと移ってきました。プロセスよりも結果を求める成果主義が台頭してきたので、当然のことでしょうね。

そうすると、それまで営業マンの憩いの巣となっていた喫茶店にとっては死活問題となってきます。

ここで取り上げる喫茶店は、店内にスポーツ新聞や漫画雑誌、週刊誌などが置かれていて、ゆったりしたソファーや椅子があり、コーヒー一杯で何時間粘っていても後ろめたくはない昔ながらの喫茶店です(もちろん普通の神経だと1時間を越えると気がとがめますが)。

私は、外出時のランチは、食事のあとにコーヒーがつく喫茶店をよく利用していました。それだと客単価は千円近くになり、1時間以上粘って週刊誌を読みまくっても気がとがめません。

スタバやドトールのようなカフェスタイルのお店は、いわゆる営業マンが根城にするにはオープン過ぎて、しかも長く座っていると疲れるお洒落な背の高いチェアなどで、旧来のソファに深々と座って休憩ができる喫茶店とは一線を画しています。

そのように旧来の喫茶店から外回りの営業マンの常連が次々と減り、現在では、引退して暇を持て余している高齢者が、懐かしさからか、どこからともなくワラワラと集まってきているに過ぎません。

そうした昔ながらの喫茶店は今や絶滅状態で、駅前の便利な立地であっても、喫茶店よりも客の回転が速く、若い人に好かれそうないカフェやファストフード店に置き換わっています。

これと同様な状況は、一般書店にも当てはまり、若者の書籍離れ、週刊誌や雑誌が好きだった団塊世代の大量リタイア、書籍購入の通販利用、中古書籍店のチェーン展開、急増したコンビニでの雑誌販売、電子書籍化など、90年代以降に書店経営にとっては逆風が吹きまくり、今や風前の灯火状態で、喫茶店とともに絶滅が危惧されています。

この喫茶店の店舗数推移と、書店数の推移には、なにか相関関係があるのではないかと個人的にふと思って、調べてみました。

下のグラフ、調査された年月や調査主体が統一されていないので、おおよその感じで見ていただきたいのですが、「喫茶店数推移」と「書店数推移」を表したグラフで、数量は喫茶店が書店の6倍ほど多いため、高さの目盛りを左右の軸に分けて同水準に合わせてあります。

喫茶店・書店数推移
出典:総務省統計局「事業所統計調査報告書」、経済産業省・商業統計調査、日本著者販促センター 、日本著者販促センター

喫茶店数(青)のピークは1981年(昭和56年)で154,630店、書店数(オレンジ)のピークは1988年(昭和63年)の26,216店です。両者がピークを迎えた年は7年の差がありました。

次にピーク時と最近を比べると、どれぐらいの割合まで減少したか調べてみると、喫茶店で43%、書店で44%と同水準に減少していることがわかりました。どちらもピーク時の半分を割っていたのですね。

この喫茶店数と書店数、バブル絶頂期より少し前に迎えたピーク時から、この約30年の間にほぼ同じ割合で減少してきたということになります。

しかし、それぞれの利用者の年齢や利用頻度など多くの要素が不明なので、具体的な相関関係があるのかはわかりません。

80年代を駆け抜けていった外勤営業マンに必要不可欠だったこの両者の衰退が、かなり似通った曲線で表せたことに、なにか感慨深いものがあります。

【関連リンク】
1097 出版不況と電子出版の行方
954 書店数や出版業界売上減と未来
817 カフェではない喫茶店の凋落


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10月後半の読書の感想、書評 2019/10/30(水)

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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(原題:Extremely Loud and Incredibly Close) ジョナサン・サフラン・フォア

著者は1977年生まれのアメリカの小説家で、2002年に作家デビュー、この作品は長編としては第2作目の2005年の作品で、日本語版は2011年に出版されています。

またこの小説を原作とした映画が2011年に制作公開されていて日本では2012年に公開されています(見ていないけど)。

日本語のタイトル名はえらく長ったらしく変わっていますが、直訳すればほぼ原題通りの意味です。

ストーリーは、2009年のアメリカ同時多発テロで貿易センタービルにいた父親を失った、ちょっと変わり者の9歳の少年を主人公として、その父親が残した鍵の秘密を解こうとニューヨーク中を駆け回ります。

貿易センタービルへの航空機衝突テロはアメリカが他国から一方的に攻撃されたという論調が一般的ですが、この小説では、アメリカのドイツドレスデンへの無差別空襲や、広島への原爆投下で同様に多くの市民が亡くなったことなど、戦争でアメリカがおこなってきた様々な大量殺人についても触れられています。

主人公の少年も、そのドイツへの空襲で多くの家族や友人を亡くし、その後アメリカへ移民としてやってきた祖母がいますが、祖父は父親が生まれる前に出奔しています。

そうした中で、突然父親をテロで亡くし、情緒不安定になりながらも、周囲の見知らぬ人を巻き込みながら、父親の姿を追い求め、鍵の秘密を探し回る勇気とその行動力は目を見張ります。そんな9歳がいるわけねぇ!って言ってしまえばその通りですが、、、

鍵と一緒にブラックと書かれたメモが残されていて、電話帳で調べるとニューヨーク市の5区に472名のブラック姓があり、それを一軒一軒訪ねていっては自分の父親と関係がないかを訪ね歩きます。

本の体裁は少し変わっていて、1行しか書かれていないページや、少年が父親に買ってもらったカメラで撮影した写真、祖母の古い手紙などがあちこちに挟み込まれていて、なかなか読み解くのがたいへんでした。こういうのが、最近の流行なんでしょうかね。

ともかく、今までにはない、新鮮な気持ちで新種の小説を読んだ気分になれました。

★★☆

            

オネスティ (集英社文庫) 石田衣良

2015年に単行本、2017年に文庫化された長編小説です。

著者の作品は、過去に「うつくしい子ども」(1999年)、「エンジェル」(1999年)、「眠れぬ真珠」(2006年)、「40翼ふたたび」(2006年)、「美丘」(2006年)、「シューカツ!」(2008年)を読んでいます。

2011年3月後半の読書「美丘」

2013年7月前半の読書「40翼ふたたび」

2013年9月前半の読書「眠れぬ真珠」

2013年11月後半の読書「うつくしい子ども」

2014年2月後半の読書「シューカツ!」

シリーズ物やエッセイなど多作の作家さんですので、読んだのはごくごく一部ですが、久しぶりに読んだって気分になりました。テレビでは時々バラエティや情報番組に出ていて拝見するのですが。

さて中身ですが、恋愛小説と言うにはちょっとアレ過ぎて、なんとも言えませんが、幼稚園時代に隣同士になった同い年の男女が、中学生時代に「お互い恋愛抜きで何もかも話せる親友で居続けよう」と二人で取り決め、それぞれの道を歩んでいくというそれだけです。

ま、内容は結構過激な描写というか、お互いの性体験を話し合うというのが延々と続きますので、エロ系小説が苦手な人にはお勧めできないかも。

そしてそうした二人の関係性に周囲の人達が疑心暗鬼に巻き込まれ、結局は二人だけの世界にどっぷりつかった「迷惑な人達」という流れです。

★☆☆

著者別読書感想(石田衣良)

            

生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント (文春新書 868) 西原理恵子

著者はマンガ「毎日かあさん」などの作品がある漫画家さんです。その代表作「毎日かあさん」は毎日新聞で15年間の長きにわたり週1回連載されていました。

「仕事編」「家庭編」「男と女編」「性格編」「トラブル編」と別れていて、合計60の質問と、それぞれに明快な回答(ちゃんと内容はあります)が書かれています。

60の質問以外のおまけに有名作家さんや漫画家さんからの質問にも回答しているのが笑えます。業界?内で顔が広いのでしょうね。

ちょっとその中から、質問と回答の最後のひと言(実際は丁寧に回答されています)でまとめた文章を書いておきます。ぶっ飛んでいる回答も多くあって楽しいですよ。

「仕事編」では『「ミスは人のせい、手柄は自分のもの」という上司を改心させる方法は?』
→相手の悪事をみんなに晒せ。

「家庭編」では「息子の部屋からロリコンマンガが出てきました」
→「君臨すれども統治せず」で。

「男と女編」では「30歳過ぎて、いまだに童貞です」
→ソープに行け!(北方りえぞう)

「国際結婚に親が反対しています」
→無視してさっさと結婚して、さっさと孫を産むが吉。

「トラブル編」では「別れた彼女の部屋に置いてあったものを捨てられた」
→傷は浅いぞ、よかったよかった。

など、本人はいたって真面目に答えていますが、その回答が的を射ているのは当然としても笑っちゃうものもあり、楽しめます。

回答に共通しているのは、結構女性に対して厳しく、「女性も必死に働いて稼げ!」という考え方。

今でこそ専業主婦が減り共働き夫婦が増えてきていますが、著者が言う女性の働き方は、男になにかあっても自分が養う覚悟でガンガン働けという思想です。またそれで初めて男女が対等な立場に立てるということ。

これは、著者が結婚していたカメラマンの夫(その後離婚)を病気で亡くした壮絶な経験と、自身のギャンブルで大きな借金を背負った過去と教訓からきているものと思います。

★★☆

            

敦煌 (新潮文庫) 井上 靖

この小説は、1959年に初出、その後文庫本が発刊されましたが、「楼蘭」(1958年)、「天平の甍」(1957年)、「蒼き狼」(1959年)など著者の中国西域ものの代表作と言われています。1988年には佐藤純彌監督、西田敏行、佐藤浩市などが出演した映画が公開されました。

実はこの映画、見たかったけどまだ見ていないので、日テレさん!ぜひ映画の全編ノーカット放送をお願いします。

物語は、北宋(960年〜1127年)の時代、科挙(エリート官僚)の試験を受けに来た小説の主人公趙行徳は、試験中に居眠りをしてしまい失敗してしまいますが、その帰り道で殺されかけていた隣国西夏の女を救ったことで、西夏文字で書かれた布きれをもらい、その書かれている内容を知りたいと、北宋と敵対している西夏へ向かいます。

西夏が支配する地域に入ると、兵隊に捕まり捕虜となり、そのまま西夏の兵隊として徴兵されることになりますが、文字を読むことができ、様々な知識が豊富なことで、武勇優れる隊長の参謀となり、勢力急拡大中の西夏の中枢へと入っていきます。

元々は漢民族が支配していた地域に多くの仏典や経典があり、それらを西夏文字に翻訳する仕事を自ら進んでおこなうことになります。しかし漢民族の隊長が西夏に反旗を翻したことで、隊長の腹心だった主人公の運命も大きく変わっていきます。

やがて西夏の軍隊に追い詰められ、敦煌へ逃げ延びますが、そこにもやがて西夏の大軍が押し寄せ、せっかく見つけた仏教経典など古い資料が焼かれてしまうことをどうにか阻止しようと画策します。

現実の歴史では、その隠されていた多くの仏教資料が1900年代に入ってから海外の研究者により次々と発見されました。千年前の隠されたそれらの文化遺産が、どうやって隠され残ったかという疑問をモチーフにしています。

★★☆

【関連リンク】
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 9月後半の読書 赤ひげ診療譚、非属の才能、笑うハーレキン、土の中の子供、あこがれ
 9月前半の読書 田園発港行き自転車、大人の流儀6 不運と思うな。、日本農業への正しい絶望法、お引っ越し

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