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道尾秀介 MICHIO SYUSUKE 既読書籍

008 カササギたちの四季 007 笑うハーレキン
006 貘の檻(ばくのおり)  005 光媒の花
004 ソロモンの犬 003 月と蟹
002 骸の爪 001 片眼の猿―One-eyed monkeys

読書感想は2010年頃以降に書くようになりました。それ以前に読んだ本の感想はありません。


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1975年兵庫県生まれ。1998年に玉川大学農学部を卒業し、住宅機器メーカーに就職する。1999年「どうして犬は」が『小説現代』の「ショートショートコンテスト」に入選し掲載される。2004年に『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し小説家デビュー。『向日葵の咲かない夏』の新潮文庫版が100万部を超えるベストセラーになる。2009年『カラスの親指』、『鬼の跫音』、2010年『球体の蛇』、『光媒の花』と4回連続で直木賞候補となり、5回目の2011年『月と蟹』で第144回直木賞を受賞。直木賞の副賞である賞金は、東日本大震災の被災者に全額寄付された。(Wikipediaより引用 2022年)

008 カササギたちの四季(光文社文庫)

2011年に単行本、2014年に文庫化された連作短篇小説集です。2010年に「月と蟹」で直木賞を受賞した直後の作品です。

四季を意識した「鵲の橋」「蜩の川」「南の絆」「橘の寺」の4篇のミステリー短篇からなっています。

主人公は郊外にあるリサイクルショップを友人と二人で始めたのは良いけれど、客の押しに弱くて高く買い取り安く売ってしまうと言う儲からない商売をやっています。

タイトルのカササギは鳥のことではなく、その事業を一緒に始めた友人の名前です。その友人はいつも「マーフィーの法則」を愛読していて、ミステリー好き、事件や謎が起きると推理を始めますが、いつもちょっとピント外れで、主人公が裏でリカバリーしていくという流れです。

なにか連続ドラマなど映像化を視野に入れたというか、すぐに安上がりに制作できそうな舞台装置と内容ですからきっとそのうち実現するでしょう。

この短篇での設定には無理がいっぱいありそうですが、リサイクルショップで起きるミステリーというのはうまい設定です。

というのは、昔から東洋西洋問わずミステリーが起きる場所として、古書店や骨董品店などが舞台となることがよくあり、現代で言うならそれはリサイクルショップと言うことになりそうです。

★★☆

12月前半の読書と感想、書評 2022/12/17(土)

007 笑うハーレキン (中公文庫)
著者の作品の中では過去に「骸の爪」(2006年)、「片眼の猿」(2007年)、「ソロモンの犬」(2007年)、「光媒の花」(2010年)、「月と蟹」(2010年・直木賞受賞)、「獏の檻」(2014年)の6作品を読んでいますが、この作品は、2013年単行本、2016年文庫化された長編小説です。

読むまでは「ハーレキン」の意味すら知りませんでしたが、いわゆる道化師のことです。ピエロと道化師は同じと思っていましたが、本著にも出てくるとおり、ピエロには顔の化粧に涙を描くのが通例で、道化師(ハーレキン)の顔に涙を描けばピエロになるということです。

ちなみにマクドナルドの広告等で出てくる道化師には涙マークはないのでハーレキンです。

ストーリーにピエロや道化師は直接出てきませんが、腕の良い家具職人でありながら、幼い子供を失い、事業に失敗したことからホームレスとなり、精神的に不安定で、自虐的な生活を送る主人公のことを遠回しに表現しているようです。

大人は、ピエロや道化師を見ると、その化粧で笑っていると判断しますが、子供はその表層的な笑顔の中に、実際の顔は笑っていないことに気づき、見ると泣き出す子もいるのではという仮説が出てきます。

私自身も子供の頃は、ピエロや道化師(区別は付きませんでしたが)を見ると、なにかとっても嫌な気分にさせられましたが、それがなにかは判然としません。

おそらく化粧の下の顔が怒っているようで怖かったような気がします。実際は怒っているのではなく、一生懸命に演技をするあまり、無表情で真剣な顔つきになっていたのではないかなと思います。

少しミステリー仕立ての小説の内容には触れませんが、主人公の家具職人のことを考えると、ずっと普通のサラリーマンをやってきて、なにも手に職がないまま老齢期に入る自分の人生と比べると、どうしてこういう道を選ばなかったかな〜と今さらながら残念に思います。

小・中学生の頃から、図工や工作、機械いじりが好きで、細かな手作業が得意で、もしそうした職人の道へ入っていたなら、今とは違う、自分にとっては有意義なもっと別の世界を見られたのにと残念に思います。

★★☆

9月後半の読書と感想、書評 2019/10/2(水)

006 貘の檻(ばくのおり) (新潮文庫)
2014年に単行本、2016年に文庫化された長編ミステリー小説です。文庫で570ページ、謎多きミステリーだけに、些細なことも見逃さないよう熟読したので、とても長く感じました。

しかしそのおかげもあり、小説の半ば頃に「きっとこいつが諸悪の根源だろう?」と気がつき、結果的にそれが正しいことがわかりました。

だいたい最後になって悪意の本性を現すミステリー小説の悪人は、その最後の時まで主人公にとっては優しく頼りがいや思いやりがあり、しかも社会的に信用がおける立派な人というのが通例です。

もっとも最初から怪しそうな人や悪そうな人が「やっぱり犯人でした」では面白みに欠け、善良な人が「実は」と転換するのが小説やドラマの定番とならざるを得ません。

さて、主人公は長野の山奥の村で子供時代を過ごし、山で猟師をしていた父親が殺人事件の容疑者とされたまま死亡してしまい、逃げるように母親の実家へと移り住みます。

さらに悪夢を断ち切るように上京し、大学へ入り、就職、結婚をし、子供もできたところで、毎日不安な夢に悩まされ続け、それが家庭崩壊、離婚へとつながっていきます。

別れた妻に引き取られていた小学生の息子と月1度の面会した後、悪夢から逃げるために電車に飛び込み死のうとホームに立った時、父親が容疑者とされた殺人事件に関係し、32年間生死が不明だった女性が反対側のホームで電車に轢かれて亡くなります。

ここから最後まで、話しは子供時代を過ごし、父親が亡くなった山奥の集落が舞台となります。

当時の父親に起きたことや、集落の歴史などがわかってきて、主人公が子供の頃に目撃し、それを封印してきた事柄が目覚めていきます。

最初はホラー小説なのかな?と思ってましたが、ジャンルとしては完全なミステリ−で、名探偵こそ出てきませんが、やたらとその村に歴史に詳しいカメラマンと、封印されてきた過去の出来事などを解いていきます。

様々な設定には、やや無理さや強引なところも感じますが、おしなべて小説らしいと言うか、映像化してもそれなりの面白いミステリーができそうな作品と言っておきましょう。

★★☆

3月前半の読書と感想、書評 2019/3/16(土)

005 光媒の花 (集英社文庫)
2007年から2009年にかけて小説すばるに掲載され、2010年に単行本、2012年に文庫化された連作短編小説集です。「隠れ鬼」、「虫送り」、「冬の蝶」、「春の蝶」、「風媒花」、「遠い光」の6編からなっています。

著者は2004年に作家デビュー後すぐに人気を博していましたが、特に2009年から2011年の3年間は著者にとっては特に飛躍した年になります。

2009年に「カラスの親指 by rule of CROW’s thumb」で日本推理作家協会賞、2010年に「龍神の雨』で大藪春彦賞とこの「光媒の花」で山本周五郎賞、そして2011年には「月と蟹」で直木三十五賞と大きくブレークしました。

連作というのも、ずっと主人公が同じと言うことではなく、先の短編にちょっと出てきただけの人物が今度はまったく違う話しで主人公となっていたりして、それをする意味がなにかあるのか?ってちょっと思ったりします。

どの作品も他人には知られたくない機微に触れるような心理描写を描いた作品ですが、短編だけにお得意のトリックやミステリアスなところも少なく、全体的に淡々としている感じです。

記憶や印象に強く残るか?という意味では、こうした盛り上がりに欠ける平坦な短編集では難しいでしょうね。

★☆☆

5月前半の読書と感想、書評 2018/5/16(水)

004 ソロモンの犬 (文春文庫)
2007年に単行本、2010年に文庫化された長編ミステリー小説です。

タイトルは、昔、ソロモンの王が魔法の指輪をはめることで、動物たちと会話することができたという言い伝えからで、「ソロモンの指輪」というのは動物行動学になぞらえて使われます。

主人公は自転車で書類などを運ぶバイトをしている大学生で、自分の目の前で、知り合いでもある大学の教員の息子が飼い犬に引っ張られ、道路に飛び出したところでダンプカーにひかれてしまうという悲惨な事故に遭遇してしまいます。

その犬の行動が謎で、普段からおとなしく飼い主に忠実だったその犬ともし会話ができれば「なぜ急に飛び出した」がわかるのにと残念がる大学の生物学者とともに謎を調べていきます。

昔から動物と会話ができればと空想する作家も多く、「ドリトル先生シリーズ」などが有名ですが、上記でも書いた伊坂幸太郎著「夜の国のクーパー」でも猫やネズミと人間が話ししていましたね。

ただ人間同士でも、使う言語が違えば意思の疎通はかなり難しいし、同じ言語同士でも傷つけ合っているのに、なに動物との意思疎通って言ってんだかって感じもします。

そして誰の責でもなく犬が飼い主を引っ張ったせい起きた事故というのは明らかで、原因がわかったからと言っても死んだ子供が返ってくるわけもない事故をほじくり返してどうなるんだ?って気もします。

結果的には、謎を解こうとすることで、知られたくない秘密が暴露されたり、間接的に責任を感じる人が出てきて、さらに不幸なことが起きていくという連鎖型ミステリーは後味があまりよろしくないです。

★★☆

4月後半の読書と感想、書評 2017/4/29(土)

003 月と蟹 (文春文庫)
サラリーマンから作家に転身し、今やすっかり若手の中でも超売れっ子作家の地位を築きあげ、デビューから9年目で手にした2011年の直木賞受賞作品です。過去には「骸の爪」(2006年)、「片眼の猿―One-eyed monkeys」(2007年)を読んでいます。

タイトルからは話の内容がまったくわからず、また予備知識もないまま読み始めました。

主人公は鎌倉で母親と、片足を失った元漁師の祖父と3人で暮らす中学生の男の子。父を病気で失い、高齢になった祖父と同居するために転校してきたこともあり、学校では地元出身の同級生にはとけ込めず、同じく関西から転校してきた同級生と仲良くなっていきます。

淡々とその中学生の生活が描かれています。子供だったらそういう遊びもするだろうなぁってその情景が目に浮かびます。

タイトルの月と蟹のエピソードは、終わり近くで祖父が話してくれることに由来ししていますが、その話しだけでタイトルになるほどのこととも思えず、ちょっと謎です。

私の子供時代は海が遠かったので、この小説で子供がするように、ヤドカリを捕まえて火であぶったりはしませんでしたが、田んぼにいるザリガニを捕まえ、その殻をむき、身を餌にして深くに潜んでいる別のザリガニを釣って遊んだり、時にはカエルを爆破したりと、小説に出てくる少年達と変わらず、今にして思えば残酷なことが平気でしていましたので変わりない感じです。

主人公少年の祖父が操っていた漁船に、調査活動のために乗り合わせていた同級生の母親が船の事故で亡くなっていたという過去や、主人公と仲良しになった友人が家庭内暴力にさらされているようだとか、大人の事情で子供の感情が揺さぶられていく過程がなかなか興味深く、直木賞の選考委員にうまくヒットしたのでしょう。

★★☆

1月前半の読書と感想、書評 2016/1/20(水)

002 骸の爪 (幻冬舎文庫)
2006年に単行本、2009年に文庫化された作品で、「背の眼」(2005年)に続く、霊現象探求所の真備庄介が登場するミステリーホラーシリーズです。

著者の作品では過去に「片眼の猿―One-eyed monkeys」(2007年)を読みましたが、上記シリーズや、2011年直木賞に輝いた「月と蟹」、評価の高い「向日葵の咲かない夏」(2006年)などはまだ読んでいません。って言うか、実は著者の名前は以前からよく知っているので、もっと何冊も読んでいる気がしていました。

主人公は著者と同じ名前のミステリー小説家で、滋賀県へ親戚の結婚式に出席したあと、見学させてもらう予定だった深い山の中のお寺で宿泊することになります。

そこは、仏像を製作する場所でもあり、木彫りや漆塗り、焼き物などで様々な仏像が作られています。そこで一泊した主人公は、お約束通り、様々な異変に出くわすこととなり、さらに20年前に謎の失踪をして行方不明のままになっている仏師のことを知ることになります。

謎を抱えたまま、帰京してきた主人公は友人の真備庄介に話しをして、再度そのお寺へ向かいます。

ま、予定通りに、主人公が見た様々な謎や、行方不明になっていた仏師とその婚約者、そして今回新たに行方不明となった二人の仏師について、真備が論理的に解明していくというものです。

ま、あまり考えることもなく、ストーリーも単純で、娯楽読み物としていいものですね。いくつかの謎は途中でなんとなくわかった気になりますが、そうしたことも織り込み済みなのか、これでもかっていうぐらい次から次へとどんでん返しが続くのはさすがです。

12月前半の読書と感想、書評 2014/12/17(水)

001 片眼の猿―One-eyed monkeys (新潮文庫)
2009/07/25

「BOOK」データベースより
盗聴専門の探偵、それが俺の職業だ。目下の仕事は産業スパイを洗い出すこと。楽器メーカーからの依頼でライバル社の調査を続けるうちに、冬絵の存在を知った。同業者だった彼女をスカウトし、チームプレイで核心に迫ろうとしていた矢先に殺人事件が起きる。俺たちは否応なしに、その渦中に巻き込まれていった。謎、そして…。ソウルと技巧が絶妙なハーモニーを奏でる長編ミステリ。



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