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リストラ日記アーカイブ 2017年5月
読みやすいようにアーカイブは昇順(上から古いもの順)に並べ替えました。上から下へお読みください。

日記INDEXページ(タイトルと書き出し部の一覧)はこちらです

1122 5月は退職シーズンか? 2017/5/3(水)
1123 羽毛布団が心地よい 2017/5/6(土)
1124 国内自動車販売台数や耐用年数推移など 2017/5/10(水)
1125 離婚についてのあれこれ 2017/5/13(土)
1126 5月前半の読書と感想、書評 2017/5/17(水)
1127 元アル中探偵マット・スカダーに惚れる 2017/5/20(土)
1128 日本三大○○ 2017/5/24(水)
1129 子供の教育費にはいくらかかる?2017年度版 2017/5/27(土)
1130 5月後半の読書と感想、書評 2017/5/31(水)



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5月は退職シーズンか? 2017/5/3(水)

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5月というと春真っ盛りでレジャーにスポーツにいい季節ですが、同時に新卒の新入社員が職場に入って1ヶ月が過ぎ、「なにか思っていたのと違う」「本当にこの会社(役所)でよいのだろうか?」「毎日疲れがとれない」と働くことの疑問や肉体的精神的な疲労がたまってくる時期でもあります。

そういえば大学関係者が「4月に新入学生を迎えるものの、わずか1ヶ月足らずでゴールデンウィークに入り、長期休校。その間にホームシックもあってか実家へ帰り、その後休みが明けた後も学校に戻ってこない学生が結構いる」と聞いたことがあります。社会人でも同様な事が起きているのかもしれません。

「新卒社員の3割が3年で辞める」はなぜ30年間変わらないのか(ダイヤモンドオンライン)
厚生労働省が発表している「新規学卒者の離職状況」によると、新入社員(大卒者)の3割が、入社後3年以内に最初の会社を辞めている。この状態はバブル時代から変わることなく、1987年以降、「新卒3年目までの離職率」は概ね25〜35%の範囲で推移している。

しかも採用人数が少ない(≒規模が小さい)ところほど、離職率は高くなり、新卒30名未満の採用企業ではなんと半数の5割が3年以内に辞めているとのことです。

ちなみに30名の新卒採用をする会社って決して零細企業ではありません。少なくとも30名の新卒を採る会社の社員数は1000名は超えるぐらいの規模の会社が普通です。

腐っても鯛、寄らば大樹の陰、やっぱり大企業ほど退職率は低く、しかも教育制度もしっかりしていて、安定しているので狙うべきは大企業や親方日の丸です。

「公務員や大企業ばかり目指さず中小企業に目を向けろ」なんてふざけたこと言っている学者や評論家などの嘘に乗せられてはいけません。

さて、30年ほどこの傾向が続いているということは、それ以前、私が新卒で入社した38年ほど前は違ったと言うことですね。

確かに私の入社した頃はまだバブル期前の1980年で、オイルショックが1973年(第1次)と1979年(第2次)に起き、世界的に経済状況の見通しが不透明な頃で、まだ終身雇用、年功序列の風習が根強く残っていました。

それは入社して間もなく、先輩社員に「今は仕事がきつい割に給料は安いけど、いずれ年を取れば仕事は楽になり、しかも給料はたくさんもらえるようになるから」と笑いながら言い聞かせられました。

今の若い人にそんなことでも言おうものなら、翌日には退職してますよね。

「終身雇用の崩壊」が言われ始めたのは、バブル経済が崩壊した後の1990代半ば頃から2000年代で、1997年の山一証券の自主廃業、1998年の北海道拓殖銀行や日本長期信用銀行が経営破綻を起こし、金融以外の多くの企業でも相次ぐリストラという人員削減の嵐が吹き荒れました。

3年で辞めちゃう傾向が30年というと、そうした1990年前後のバブル入社世代を含む、失われた20年に入社した人達ということになります。

と言うことは、売り手市場で「入社がしやすかった頃」(バブル時)と「就職氷河期」(1993年〜2005年)の両方を含み、再就職に影響を及ぼすであろう失業率も2.1%(1990年)の時もあれば、5.4%(2002年)の時も含み、それらはあまり関係がないということにもなります。

いずれにしても、いま多くの企業では、世界的に見て低い生産性を改善するため、政府主導の働き方改革という名前にすり替えて、「賃金体系の見直し」「ワークライフバランス思想の取り組み」「女性の積極活用」「残業規制、サービス残業の禁止」などがおこなわれています。

これらは企業の生産性を上げていくことで、実現が可能となることが多く、過剰品質や過剰なサービス提供、店舗の24時間営業などの廃止、仕事中の集中力を高める工夫(電話取り次ぎ禁止とか、早朝勤務とか)など様々なことが実験的に行われています。

今まで搾取されてきた労働時間の賃金を会社利益のためではなく労働者に還元するというのは大いに結構なことですが、もっと儲けたい、もっと金持ちになりたいと欲張りな経営者は、例えば、ほとんどの従業員の給料が下がり、退職金がなくなるような「賃金体系の見直し」だけを一方的におこない、あとは知らないと決め込むかも知れません。

残念ながら中小企業に入ってしまった人は、中途半端なままでズルズルいるのではなく、思い切ってトップ、トップがオーナーなら、せめて役員を目指して死ぬ気で働くしかないです。

転職したって、規模にしても仕事内容にしても、今の会社より良い会社に入れる確率なんてずっと低くなります。それだったら、社長に気に入られるためならなんだってやり、他人からゴマすりだとか茶坊主とか何を言われても気にせず、トップ(またはその周辺)を目指しましょう。

そうしたら、自分の力で会社を変えることもできますし、自分がそれまでやってきて嫌だったことを禁止することだってできます。

衝動的に辞めることだけが解決法じゃないって事ですよ。


【関連リンク】
1075 今でも若者は3年で辞めているのか?
1006 都合よく利用される虚報
782 転職適齢期というのがあるとすれば
767 若者の離職の原因は単なるミスマッチなのか?
614 企業は若者の早期離職を恐れるな

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羽毛布団が心地よい 2017/5/6(土)

1123
子供の頃からずっと掛け布団と言えば綿がギッシリと詰まった普通の掛け布団でした。冬のあいだは暖かくていいのですが、夏布団に切り替わるまでの春・秋の中途半端な時期はもう暑くてたまりません。

そして、さらに困ったことが。

綿の掛け布団を今までずっと使ってきたので、あまり意識してきませんでしたが、重いのです。

毎日晴天の下、外で干したり、布団乾燥機で十分に乾燥させればそうでもないのかもしれませんが、綿は空気中や体内の水分を吸収していって、だんだんとその重みを増していきます。

股関節を悪くしてからは、そのずっしり重い綿の掛け布団が苦になってきました。なんと言っても寝返りをしようと布団を少し持ち上げようと思っても足が痛くてできないのです。重い布団に身体中をがっちりと押さえ込まれた状態になります。これは健常者にとっては???ってことだと思います。

 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

たまに旅先のホテルで羽毛布団に出会うことがあり、その軽さや快適性は知っていたいたのですが、いざ広告を見ると安くても5万円とか10万円とかするので、自分とは関係がない布団と、はなから諦めていました。

そして少し前にはよく羽毛布団にまつわる高齢者詐欺のニュースもありました。羽毛布団は高いというイメージがすり込まれています。一組80万円の羽毛布団ですって!

高齢者に群がる業者「合法的詐欺」の手口(YAHOO!ニュース)
新品の高級羽毛布団15セット。一組80万円以上、総額で1000万円を超える。その部屋で一人暮らしをする76歳の婦人のもとに訪問販売業者が押しかけ、個別式クレジットを利用して購入させていたのだ。

そのようななにか怪しげな高額商品というイメージが定着しつつある?羽毛布団ですが、綿の布団が重たくて寝返りがうてない苦しさを、背に腹は代えられないと、購入すべくいろいろと調べてみました。

羽毛布団の選び方はネットで調べるといっぱい出てきますので、それは専門家に任せるとして、私が勘違いしていたことをいくつか箇条書きにまとめておきます。

■羽毛布団と錯覚しやすい羽根布団とが混在している
羽毛(ダウン)が50%以上入っているのが羽毛布団で、羽根(フェザー)が50%以上入っている場合は羽根布団と言います。どちらがいいかと言うと吸湿発散性や柔らかさは羽毛が優れていて掛け布団に向いています。但し羽毛は1羽の鳥からとれる量が少なく、貴重で価格も高価になります。

■日本製と書いてあっても信用できない
一般的な日本人なら「日本製」というブランドは高級品というイメージがあります。業者側も売るためにはできれば「日本製」と入れたいと考えます。「日本製」と書いてあると、羽毛自体は日本ではほとんど生産していないので当然外国産を使いますが、そのほか羽毛の処理や充填、生地の製造、縫製は日本でおこなっていると考えがちですが、中にはほとんどを安い海外で製造(処理、充填、縫製)をおこない、日本ではラベルだけを付けて「日本製」と唄う業者もあるとか。このあたり最終工程を日本でおこなっているからという理屈で虚偽表示かどうかは微妙です。利用者にそうしたことは事前にはわからないので、やはり信用できる業者の製品が無難ということでしょう。

■ふとんの生地や縫製も大事
一般的に羽毛布団と言えば、中に入っているダウンの量や品質をメインに考えがちですが、ふとんの生地と縫製も重要です。ふとんの生地は日本製のしっかりした綿100%生地を利用し、縫製も日本でおこなっているというのが高品質の証となります。使っているうちに生地がすり切れたり、縫い目がほどけて中の羽毛が飛び出したりするのは生地や縫製が悪いせいです。長く使うものですので、いいものを選びたいものです。

■季節によって変わる羽毛布団の種類
羽毛布団は冬暖かく夏は涼しいから1枚でずっと使えるものと勝手に勘違いしていましたが、当然そんなことはなく、冬用と夏用(肌掛け)とでは厚さは違います。しかし冬用、夏用、春秋用と季節に合わせて何種類も買うのもアレなので調べたところ、2枚合わせの羽毛布団がオールシーズン用として普通に売られています。これは厚めの1枚、薄い1枚の2枚の羽毛布団がセットになっていて、夏は薄めの1枚(肌掛け)、春・秋は厚めの1枚(合掛け)、冬はその2枚を重ねてと3通りの使い方ができる優れものです。冬用は2枚の羽毛布団がずれないようにホックで留められるようになっています。デメリットは2枚合わせの時は布団の生地が2倍になるのでやや重たくなることぐらいでしょうか。シーズン的には4月中〜6月と10月〜12月中は春秋用(合掛け)、7〜9月は夏用(肌掛け)、12月中〜4月中は冬用(2枚合わせ)って感じです(関東南部)。

そのほか、羽毛は動物の毛ですので、加工処理の段階でちゃんと洗浄・消臭処理が行われていないと獣臭さが残っている場合があるとか、羽毛布団の生地は綿100%でも、布団カバーが合繊で、寝ているときにパチパチと静電気が発生して困ったとか失敗談も聞きます。

私は通販でレビュー(最大に褒めちぎっているレビューはサクラと思って除外して読んだ方がよい)などを参考にし、2枚合わせ羽毛布団、生地・縫製は日本、生地は綿100%、布団カバーも別業者ですが綿100%のを購入しましたが、思っていたよりもずっと安い価格(2万円台)で購入でき、軽いので寝返りも苦痛なくできるようになり、それなりに満足しています。

夜中にうなされるのは、重い綿布団のせいかも知れません。この春から軽〜い羽毛布団を試してみるのはどうでしょうか?

※私は羽毛布団製造・販売の関係者ではありません。また特定の布団業者から収益を得ることはありません。

【Amazonおすすめ品】
     


【関連リンク】
1119 格安スマホMVNOへ変更後1年 その1
1117 7年ぶりに自宅のパソコンを買い換えたその1
962 ケーブルテレビの契約見直し
863 マイカーを軽自動車に買い換え
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国内自動車販売台数や耐用年数推移など 2017/5/10(水)

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日本の人口が高齢化とともに減少していき、若者のクルマ離れ、公共交通網が発達した都市への人口集中、自動車保有の維持費の高騰など、自動車販売はここのところずっと逆風が吹いています。

これも団塊世代を中心にクルマの開発や需要を喚起するだけで、その他の世代に向けたクルマをメーカーが作ってこなかったツケが回ってきたとも言えますし、現在では国内よりも海外でその多くを売るために(売れるために)海外仕様を優先としたクルマ作りが行われていて、もはや日本のユーザー向けのクルマというのは軽自動車以外は考えられなくなりつつあります。

また最近のクルマのウリは「エコ」や「燃費」、「安全」が中心で、エコにも燃費にも興味がない人には欲しい買いたいというモチベーションは発生しません。

スマホ代金には毎月1万数千円を支払っても、クルマごときに同額のお金(軽自動車をリースで購入すれば月々約1万3千円で乗れます)は支払いたくないというのが若い人の本音でしょう。

なので、いま国内自動車メーカーは、

 1)裕福な団塊世代向け高級車
 2)普通の団塊世代向け地味車
 3)地方に住む奥様向け軽自動車
 4)子育てファミリー世代向けミニバン

の4つのジャンル向けしか実質商売にはなっていない気がします。

不景気もあって、新車の売上げは厳しいだろうというのは容易に想像がつきますが、中古車市場はそこそこ賑わっているのかなと思って調べてみました。

自動車保有台数の推移(軽自動車含む)


トラックや商用車など貨物車は1991年を境にして保有台数は落ち続けていますが、乗用車や二輪はかろうじてまだ伸び続けています。2010年頃からすでに人口減社会に入っていますがちょっと驚きの結果です。

その理由は次の平均車齢と使用年数の変化の影響、つまりクルマの耐用年数が延びていることによると思われます。新車は売れなくても中古車として長く生き延びれば、そして廃車にならなければ保有台数は減りませんからね。

平均車齢と平均使用年数


「平均車齢」とは、「現在登録されている車が何年使用されているのか」の平均年数。つまり登録されている車の平均年齢です。ナンバー付きのクルマの全平均経過年数です。

「平均使用年数」は、「1台の車が新車登録されてから廃車にされてしまうまでの平均年数」です。事故で1年でお釈迦になるケースもあれば、20年経っても元気に走っているクルマもありますが、それらの平均です。

2000年ぐらいから急速に平均車齢、平均使用年数とも延びています。これは失われた20年とか言われている平成不況ともリンクしますが、同時にクルマの耐久性能が大きく上がってきた技術革新の成果とも言えるかもしれません。

もちろん使用環境がよくなってきたこと(ほぼすべての道が舗装路となった)や、技術的にもスピードを追い求めたりするのではなく、エコや安全、そして耐久性能に振り向けた結果とも言えます。

メーカーも悩ましいでしょうね。安全で耐久性能を上げれば、それがやがては新車の売上げに影響してくるわけですから。

次に新車と中古車の販売推移を見てみましょう。

新車・中古車販売数推移(棒グラフが新車、折れ線グラフが中古車の推移です)


新車(棒グラフ)はリーマンショックの余波後、2012年にいったん持ち直しますが、普通乗用車はその後3年、小型乗用車は4年連続して下落し、唯一好調に推移していた軽自動車も、増税のあおりで2015年以降は大きく下降しました。

中古車(折れ線グラフ)は、軽自動車以外はリーマンショック後は横ばいのまま推移している感じで、特に小型乗用車(5ナンバー)は4年連続で下がってます。新車がダメな分、テレビCMで盛んに宣伝している中古車業界はもっと活況があるものと思っていましたが、新車同様厳しい状況が見て取れます。軽自動車は増税で新車の売れ行きは大きく落としましたが、中古車の人気は高水準を維持しています。

それにしてもやはり国内では軽自動車のシェアが新車中古車問わずに急増しているのがわかります。もはや見栄や走行性能、居住性ではなく、「維持費の安さ」が選択理由の第一にきているのでしょう。

さて、今後はどうなるかと想像してみると、私の推測では今はまだ元気な裕福な団塊世代がやがて免許証を返還していきますので、高級車の販売数は中長期的には下がってくるのではないかと思います。

しかしメーカーもわざわざ国内専用の小型車(5ナンバー)を作るのでは割が合わないので、サイズ的には小型車でも海外仕様の幅広の普通乗用車(3ナンバー)ばかりになり、実質5ナンバーの役割は終わることになりそうです。

ずっと以前から軽自動車のサイズや排気量を緩和し、国際的なAクラスのサイズ、排気量まで拡大したら?という話しもありますが、これは軽自動車を作っていないメーカー(トヨタ、マツダ、スバル)は相当に抵抗するでしょうし、国としても税金が安い軽自動車ばかりになってもらうのは困るので規制緩和はかなり難しいでしょう。

但し、小型車の売れ行きに危機感を感じ、軽自動車の増税+小型車の減税というセットにして、軽と小型車の維持費の差を縮めるという姑息な工夫などは今後考えられそうです。

そういう私は現在軽自動車にのっていますが、購入して3年が経ち車検を迎えるにあたり、次は中古車でも買おうかなと思って近所の中古車屋さんの展示車を眺めています。


【関連リンク】
994 自動運転の未来
997 自動運転の未来2
975 自動車の分類「セグメント」とはなにか?
916 春風の中をオープンスポーツカーで走りたい
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751 自動車事故と車種や装備の関係
661 乗用車の平均車齢と平均使用年数
640 クルマで行く京都観光お勧めコース その1


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離婚についてのあれこれ 2017/5/13(土)

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北朝鮮情勢が緊迫度合いを深める中でも、テレビのワイドショーでは芸能人の結婚や離婚の報道に大半の時間を費やしていて、素敵に平和ボケしていると訳知り顔のコメンテーターのごとく偉そうに言うのは容易いのですが、政治家や、もちろん私自身も含めて、ここ70数年間と長きにわたり、外国との戦争を一度も経験していない世界でも希有な国で暮らしている国民ですから、戦争に対する危機感や民度はその程度でも仕方がありません。

それにしても「芸能人の離婚率って一般人よりは高い」ような気がします。統計データがあるわけではないので、証明は出来ませんが、印象として。それが偏見だと言われるとその通りですが、、、

あと、最近よく思うのは、「離婚した親を持つ子供は離婚率が高いのでは?」ということ。こちらも印象だけで言っているので、確かではありません。

米国のFAMILYSCHOLARS.ORGの調査レポート「なぜ結婚が重要か: 社会科学からの30の結論(PDF)」に「離婚した両親の子供たちは自分自身が離婚するか、未婚の親になる可能性が高くなる」「両親が離婚した子供たちは、精神的な病気の割合が高くなる」などということが書かれています。

親が離婚していると、身近なところで離婚を見てきているので、自分に置き換えた場合でも、気軽に離婚することができるのでしょう。

また親が離婚をすることで、その子供達は親に過剰に気を遣ったり、あるいは親の離婚ストレスを受け止めざるを得なかったりして、神経がまいってしまう子供が割合的に増えるというのもなんとなく理解できます。

いずれにしても結婚が周囲を暖かな気持ちにさせるプラスの気を発するのに対して、離婚は多くの場合はマイナスの気を周囲にまき散らすことになりそうです。

最近はかならずしもマイナスとは言えない離婚もありそうですが、一般的には喧嘩や暴力(肉体的・精神的)、すれ違い(共働きが増えるとそれぞれの生活時間やリズムが違う)、不貞などが原因となっていそうです。

また米国価値研究所Institute for American Valuesの調査結果では「離婚した子供もまた、将来離婚してしまうという確率がアップし、離婚や未婚、再婚した家族で育った娘が未婚の母になる率はそうでない人の3倍に達する」というデータがあります。

そうした中で、先月には離婚ではなく結婚のおめでたいニュースがありました。
神田沙也加&村田充が結婚報告 父・神田正輝と笑顔で「見守って」

神田沙也加と言えば離婚した松田聖子と神田正輝の娘です。このおめでたいニュースを見たとき「さて、この二人はいつまで持つのかなぁ、、、」って思ってしまいました。えぇ、私は意地の悪い人間です。

偏見と言われそうですが、芸能人の親が離婚をしていて、やはり芸能人の娘はすでに確固たる地位を築いていて収入も高いでしょう。つまりやがて離婚をするいくつかの条件がそろっているなと思った次第です。

いずれにしても、離婚する方法として、協議離婚が90%を占め、調停離婚が9%、裁判離婚が1%ということです。

ほとんどの場合、当事者が話し合って離婚するという形でしょう。アメリカのセレブの離婚騒動のように、無駄に弁護士費用をかけたり、慰謝料や養育費で骨肉の争い?のような裁判沙汰を避けたいと思うのは当然のことです。

別に離婚していない両親の子供でも離婚するカップルは増えているのでしょうけど、その離婚率(離婚数/結婚数)の推移を見てみます。

離婚率は様々な方式で求められますが、ここでは単純に1年間で何組結婚して何組が離婚したかの割合でみることにします。つまり「離婚数/結婚数」です。注意しなくてはいけないのは、今年結婚した人が今年離婚をするわけではないので(中には成田離婚のようなカップルもいるでしょうけど)、純粋に今の離婚率を表しているわけではありません。また結婚ブームの年には離婚率は下がりますし、逆の時は上がります。

結婚数・離婚数・離婚率推移

出典:平成28年(2016)人口動態統計の年間推計(厚生労働省)

1960年当時は8%(結婚12〜13組に対して1組の離婚)だった離婚率は1990年には22%(結婚4〜5組に離婚は1組)、2003年と2004年には離婚率過去最高の38%(2.6組の結婚に対し1組の離婚)、その後ほぼ横ばい状態が続き、昨年2016年には35%(2.9組の結婚に対し1組の離婚)となっています。

この20年ほどずっと結婚3組に対して一組の割合で離婚している状態が続いています。
35%の離婚率ってもの凄く高い!って思ってしまう私はやはり昭和の人間なのでしょう。

この離婚率、他の国との比較ではどうでしょうか。
国際比較をする際は、人口1000人に対する離婚数で求める離婚率で比較します。



G7先進7カ国(太字)で見ると、日本はイタリアに次いで下から2つめと、比較的離婚率は低い国となります。

G7で離婚率が一番高いのはアメリカ。G7ではないですが、ロシアはそのアメリカを大きく上回わり、飛び抜けたトップの離婚率です。意外とどこの国でも離婚というのは日常にあるのですね。

さて国内に戻り、離婚率と地域はなにか関係があるのかないのか、都道府県別で調べてみました。

離婚率の高い都道府県ベスト5は、
1位 沖縄県
2位 大阪府
3位 北海道
4位 福岡県
5位 宮崎県

あまり地域性というのは感じられませんが、失業率が慢性的に高い沖縄県と離婚率の関係はさもありなんって気がします。そう言えば大阪府も北海道も失業率は結構高かった気がしますので、失業率と離婚率には相関関係がありそうです。

離婚率が高くない(低い)都道府県ベスト5は、
47位 富山県
46位 新潟県
45位 福井県
44位 島根県
43位 石川県

こちらはなんと全部が日本海沿いの県です。離婚率と日本海側といどういう相関関係があるのか誰かに調べてもらいたいものです。大学生の卒論のテーマにもいいかもしれませんよ。ベスト5のうち島根県以外の4つが北陸地域というのもなにか理由がありそうで研究テーマによさそうです。米が美味しいと離婚率が低いとか、、、

年代別で見ると比較的若い層の離婚が圧倒的に多いのですが、近年急速に増えてきているのは前からよく言われている「熟年離婚」「老年離婚」です。

増えてきていると言っても、やはりその離婚率は10%程度で推移していて、同居5年未満の30〜40%の離婚率とは大きく差があります。

ちなみに同居5年と言うと最近の平均結婚年齢が男性32歳、女性が30歳ですから男女とも30代半〜後半での離婚がもっとも多いということになるのでしょう。

離婚の原因(出典:司法統計2014)としては男女それぞれに申し立て理由が多少食い違っていて、
妻からの申し立て動機としては、
1位 性格の不一致
2位 生活費を渡さない
3位 精神的虐待
4位 暴力
5位 異性関係

夫からの申し立て動機は、
1位 性格の不一致
2位 精神的虐待
3位 異性関係
4位 家族親族と折り合いが悪い
5位 性的不調和

となっています。夫からの「性的不調和」ってのはなんですかね?

熟年離婚は、定年になって年金生活に入れば、もう旦那の収入に頼る必要もなく、家にずっといる旦那の世話をするのはゴメンとばかり、財産の半分をもらって離婚するというパターンでしょうか。哀れなものですが、中年男性には誰だってその可能性はありそうです。

少し前に読んだ短編小説でも、夫が定年退職したその日の夜、専業主婦だった妻から「私も定年退職して家を出て行くから退職金の半分をください。その権利はあるはず。」と言われ、翌日の朝にはいなくなるというのがありました。怖いですねぇ〜。

そうならないように、世の男性諸氏は、定年前に自分のことはなんでも自分でする、料理や後片付け、掃除や洗濯など家事を積極的にする意識改革が必要なのでしょうね。


【関連リンク】
1035 最近の恋愛、結婚事情
724 離婚の多さと結婚という形式
529 それでもしたいか結婚
457 未婚+親との同居が増えてきている


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5月前半の読書と感想、書評 2017/5/17(水)

1126
他人を見下す若者たち (講談社現代新書) 速水敏彦

著者は私より10歳上と言うことはちょうど団塊世代の教育学者です。この新書は2006年に発刊されました。

常見陽平氏の「「意識高い系」という病」(2012年)ともなにか共通するところがありそうな気がしますが、そちらはまだ読んでいません。

著者が言うところの「仮想的有能感」については今の若者にあてはめて考えると納得いく部分もあるけれど、団塊世代を含む今の高齢者にあてはめて考えてみても同様な印象は受けます。

つまり「自分は他人よりも賢くて正しいのだ」という思いは、昔の若者にはなかった資質かもしれませんが、多くの大人や高齢者が昔から持っているもので、モンスターペアレント、クレーマー、ご近所トラブル、すぐキレる高齢者などはその最たるものではないかなと思ったり済ます。

ゴミ屋敷の住人だって、自分のやっていることは正しいと思ってやっているわけで、他人を見下しているから人の言うことを聞かないわけです。

こうした若者論はいくつも読んできましたが、なかなか純粋に若者だけを分析した研究はなく、本書がそうというのではなく、なんとなく若者にこういう傾向があるとか、過去にはなかった行動だとか、推論が多く入った高齢者の主張という気がします。

こう指摘された若者が、やがて30〜40年後にはまた極端な新しい若者論を書くと思えば、別に不思議な気はしません。

★☆☆

         

八月の六日間 (角川文庫) 北村 薫

こちらも団塊世代の売れっ子作家さんで、この作品は2014年に発刊されました。内容は連作短編集のような形式ですが、まとめて長編と言ってもよい小説です。

著者の作品は概ね好きで、よく読みますが、イメージとしてはファンタジーとミステリーとヒストリーをうまく掛け合わせひと味違うユニークな小説と思ってましたが、この小説では新しい一面を見ることができました。

主人公の女性は、やり手の雑誌編集長でアラフォー世代。3年前に長く付き合っていたプロカメラマンと別れ、現在は仕事に生きるシングル。年齢はちょっと違うけどイメージ的には天海祐希みたいな感じ(個人的感想)。

その女性が付き合いで始めた山登りに目覚めます。近隣の初心者向けの山歩きで練習を積みつつ、やがては単独で槍ヶ岳など次々と登っていく姿は、行ったことがない私でも(登山ではなく観光で上高地の河童橋までは行ったことはあります)、雄大な山と自然の情景が思い浮んできて楽しめます。

しかし、最後の解説文を読み、この本は現地へ行って取材をして書いたのではなく、専門書や登山家に話しを聞いて書いたというのには驚きました。さすが創造力豊かな作家さんです。

流行っていいるとは聞いていた山ガールに焦点をあてた内容ですが、登山とは縁がない人でも今すぐにでも山歩きをしてみたいと思わせる内容で、逆に登山のベテランから言わせると、ちょっと違うんじゃないの?と突っ込みどころはいっぱいありそうです。

山岳小説の書き手としては著名な新田次郎氏や夢枕獏など多くの作家がいますが、そのどれとも違う軽いノリで読める作品です。

そして実在の場所が多く出てきますが、あくまでファンタジーが混ぜ合わさった小説の世界の話しと言うことを忘れずに楽しみましょう。久々にこれ見よがしに死人が出てこない小説で、登山をしないオヤジでも十分に楽しめる面白い本です。

★★★

         

氷の華 (幻冬舎文庫) 天野節子

著者のデビュー作で2006年に自費出版、2007年には単行本、2008年に文庫化されています。2008年には米倉涼子主演でテレビドラマ化されています、見ていませんが。

実はたった4年前、2013年に一度読んでいまして、誤ってダブって購入。読み始めた時から、「アレっ」って感じはありましたが、中程になってようやくこれは読んだぞと判明した次第。

しかし結末には記憶がなく、最後までしっかりと再読することにしました。老化現象もここまできたかとちょっとガックリです。

しっかりと読後の感想も書いていましたw

2013年7月後半の読書と感想、書評 「氷の華」天野節子

「氷」と名の付く小説とか映画にはついついひかれてしまいます。燃える氷」「樹氷」「氷の森」「霧氷」「氷雪の殺人」「四度目の氷河期」「氷炎」「赤い氷河期」「氷点」「氷の微笑(映画)」などなど。どれもそこそこにお勧めです。

それはさておき、なかなかスリリングでよく練られたミステリー小説で、意外性はあまりないものの、文庫で500ページを超える長編に関わらずまったく無駄な部分はなく、そして肩肘張らず気軽に楽しめる小説です。

それゆえに物語にはインパクトは少なく、後に印象として残りにくいのかもしれません。って4年ですっかり忘れてしまった言い訳に過ぎませんが。

★★☆

         

愛と名誉のために (ハヤカワ・ミステリ文庫)(原題:Love and Glory) ロバート・ブラウン・パーカー

1883年刊(翻訳文庫版1994年刊)の長編小説で、著者の作品の中では珍しく、スペンサーシリーズ等に属さない単独の作品です。

どう感想を書けばいいのかちょっと考え込んでしまいました。

というのも、著者のスペンサーシリーズを絶賛している中で、こちらも素晴らしい出来ではあるものの、こちらは完全なるラブストーリーで、あまりにも小説のスタイルが違っていることで、同じ作者の作品として感想が書きにくくて。

でもところどころに「初秋」で見せたスペンサーの男らしい優しさの片鱗や、高度に知的な女性とのウイットに富む会話など、スペンサーとスーザンとの会話を彷彿させるようなシーンがあります。

もっと言えば、文庫の解説で書かれているように、この主人公男性ブーンがやがて私立探偵スペンサーに、そして18歳の時に初めて出会ってから紆余曲折があったジェニファーが精神科医スーザンとしてとらえることも可能かもです。

もちろんこの主人公の成長過程を見ると、徴兵されて朝鮮戦争へ出征し、そして休暇を使って日本へと、著者自身の経歴ともダブる部分がいくつもあり、そうした自分の経験と想像力でできあがったのでしょうけど、それがそのままスペンサーシリーズの主人公にも生きているということになります。

★★☆

         

顔に降りかかる雨 (講談社文庫) 桐野夏生

1993年に単行本、1996年に文庫化された後に「村野ミロシリーズ」とされる第1作目の長編ミステリー小説で、著者の実質デビュー作品です。

重ね重ね自分の老化現象の恥をさらすようで気が引けますが、この作品も上の「氷の華」と同様、過去に読んことがある本で、半ばまですっかり忘れていました。前に読んだのは2011年ですから、今から6年前に読んでいます。

2011年4月後半の読書(顔に降りかかる雨)

あー恥ずかしい。かと言ってブックオフなどで買うときに、いちいち蔵書のすべてを調べて買うなんて手間暇がかかることはしたくないので、どうしてもこういうことになってしまいます。まだ書店で定価の本をダブって買うことを考えれば自分にも納得がいきます。

でもこれまた読んだことがあっても、最後の結末がどうなったかは思い出せず、結局は最後まで丁寧に読み進めることになりました。

夫を自殺で亡くした無職の女性が、いきなりヤクザ絡みで1億円を持ち逃げしたと疑われている友人の女性を探す羽目となり、その友人の恋人と一緒に探偵のまねごとをするという、ストーリーからしてハチャメチャぶりで、主人公にまったく感情移入ができないので印象も薄かったのでしょう。でもそれはそれで結構面白かったです。

★★☆


【関連リンク】
 4月後半の読書 一九八四年、ガニメデの優しい巨人、老いの才覚、旅のラゴス、ソロモンの犬
 4月前半の読書 二流小説家、脊梁山脈、国盗り物語(1)(2)、遊びの品格、悪党
 3月後半の読書 下流の宴、老後に破産しないお金の話、過去からの弔鐘、蝶々の纏足・風葬の教室、漱石先生の事件簿猫の巻
 3月前半の読書 夜の国のクーパー、ホクサイの世界、一路(上)(下)、会社という病
 2月後半の読書 天使の囀り、日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか、楽園、サムライと愚か者 暗躍オリンパス事件
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 リス天管理人が選ぶ2016年に読んだベスト書籍
 1月前半の読書 怒り(上)(下)、月は怒らない、人間にとって成熟とは何か、ガソリン生活



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元アル中探偵マット・スカダーに惚れる 2017/5/20(土)

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好きな探偵小説というと、レイモンド・チャンドラー「フィリップ・マーロウシリーズ」やロバート・B・パーカー「スペンサーシリーズ」、マイクル・コナリー「ハリー・ボッシュシリーズ」、原りょう「沢崎シリーズ」などと並んで、このローレンス・ブロックの「マット・スカダーシリーズ」を外すわけにはいきません。

今回はそのアル中探偵「マット・スカダーシリーズ」について、長編・短編ともほぼすべて(手に入りにくい2冊を除き)を読み終えたことで、備忘録として書いておきます。

フィリップ・マーロウはロサンジェルス、ハリー・ボッシュもロサンゼルス、スペンサーはボストンで、沢崎は東京、そしてマット・スカダーはニューヨークが活躍の舞台です。

これは著者が長く住んでいる場所がその活躍の舞台となるのは仕方がないとして、やはり大都会でなければ成立しない職業なのは自然の摂理です。

マット・スカダーも他の多くの探偵と同様、元警察官で(マーロウとスペンサーは検事局捜査官出身)は、事情があって退官したあと、生活費を稼ぐためにひとりで探偵を始めています。

マット・スカダーの前に接頭辞のごとく付く「アル中探偵」「酔いどれ探偵」とは、結果的に警官を辞めることとなった誤射事故で、犯人逮捕の際に撃った弾が跳弾して小さな子供に当たってしまうという悲劇から立ち直れず、警官時代からアル中になりいつも酒を浴びていたという名残りです。

タイトルに「元」と入れたのは途中からはすっかりアルコールが抜けて、色っぽいガールフレンドから酒を勧められても毅然と断り、ニューヨークの深夜バーでコーヒーを飲むことができるようになります。なので、私の中ではもう「アル中」ではないので「元」を入れたわけ。

しかし途中までは正体をなくすまで飲み続ける生活からなんとか脱しようとAA協会(Alco- holics Anonymous アルコーリックス・アノニマス、匿名酒害者協会)の会合へ毎日のように通い、その苦労の様子が何話も続きます。

そのアル中から、アルコールを断てたのは第7作「慈悲深い死」あたりです。但し不安と孤独にさいなまされつつ毎日アル中自主治療協会へ通う日々が重苦しく感じられます。

日本でもアル中患者(アルコール依存症患者)は100万人を超え、増加傾向にあるということですが、アルコール依存が比較的高いアメリカやロシアは割合から言ってもその比ではないでしょう。

日本なら健康保険制度のおかげで病院へ入院して治療というように考えますが、そこはアメリカ、お金持ちでなければ自分で治すしかありません。

そうした人達のために、主に教会が会場を提供し、アル中患者を立ち直らせるためのボランティア活動が活発に行われているようです。

マット・スカダーもそうした集会に顔を出しては、自分の経験談などを参加者に話しをする順番が回ってくると「マット・スカダーです。今日は特に話しはなにもありません」と答えるのを常としているところなど、彼の性格と深刻さが伝わってきます。

そして、スペンサーやボッシュのような犯人との派手な立ち回りとかはあまりなく、物静かにコツコツと歩き回って物事の真相に近づいていくという派手さはないものの、なにか人の琴線に触れるような物語です。

スペンサーの相棒ホーク、ボッシュの相棒ジェリー・エドガー、キズミン・ライダーなどと同様、よき理解者でもあり、また時には協力者となってくれるミック・バルーというアイルランド系の元ギャングがいます。現在はバーの裏の経営者ですが、このミック・バルー、血まみれの肉屋のエプロンをして早朝のミサへ出かけるなど、とても魅力的で、マットとの会話も洒落ています。

それにこのマット・スカダーは、他の多くのシリーズものと違い、主人公は年々ちゃんと年を取っていきます。スペンサーが最初に登場してから38年間ほとんど年を取らず、サザエさん一家と同様にいつまでも変わらずに若々しいのと大きく違います。

1976年にシリーズ最初の「過去からの弔鐘」が出たときから、一番最後の2011年「償いの報酬」まで35年が経過していますが、最後のほうでは探偵を引退し、老人になったマットがミック相手に警官時代の回想をするという内容になっています。

これは作者ローレンス・ブロックの年齢、つまり1938年生まれで、1976年のデビュー作当時38歳、そしてマット・スカダーシリーズの最終作?が出版された2011年当時は73歳という年齢がリンクしているものと思われます。

大都会NYではこの35年というのは世界貿易センターへの航空機テロを置いても大きく変貌しています。NYへは一度も行ったことがありませんが、東京や香港の35年前と今を比べて見ればよくわかります。

そうした情景の変化とともに、主人公の感性にも徐々に変わってきていて、警官時代の悪夢は最後まで消えないものの、その後自分が行ってきたことに悔いはなかったと思える節があり、やっと安らかに過ごせる日々がやってきたのだろうかと想像します。

できればあともう一つ最終章として、マットが亡くなり、彼の葬儀に過去関わってきた様々な人が集まり、マットとの思い出(いいのも悪いのも)を語り、最後はミックが話しを締めてくれるというのを期待したいところですが無理でしょうね。ずっとマットの一人称が語る内容から、一転して三人称で語られるマットの人生なんか面白そうですけどね。

このシリーズ作品の長編は全17作品ありますが、日本の出版社の都合なのでしょうか、一番最初に日本語に翻訳されたのは1986年に出版された6作目の「聖なる酒場の挽歌」でした。

その後、そのヒットに気をよくしたためか第1作目の「過去からの弔鐘」と第2作目「冬を怖れた女」(いずれも米国出版は1976年)が、1987年に翻訳されて出版されています。

と言うように、出版社の都合?でシリーズの発刊時期が前後しましたが、内容はほぼ一話完結ですので、それほど気にすることなく読めます。ただアル中時代とアル中から抜け出した後では多少変わっていますので、注意が必要です。

17の長編以外にも短編集にマット・スカダーが登場する作品がいくつかあります。そちらから入るのも悪くはないですが、やはり短編では長編の醍醐味は味わえません。

そして免許を持たずに探偵の仕事をしている関係で、依頼があって収入を得ると、自ら10%税と称して、受け取った依頼料の10%を教会の寄付箱に入れます。そうした律儀?なところも主人公に共感できる点です。

あと、余談ですが、この作者ローレンス・ブロックは、この「マット・スカダーシリーズ」以外に「泥棒バーニイ・シリーズ」「快盗タナー・シリーズ」「殺し屋ケラー・シリーズ」があります。

その中では個人的には「殺し屋ケラー・シリーズ」がお勧めで、長編と短編が半々ずつあり、こちらは最初はシリーズ第1作目の「殺し屋」(1998年)、第3作目「殺しのパレード」(2006年)など、短編から入るのもいいかもしれません。抱腹絶倒です。

「マット・スカダーシリーズ」作品リスト
題名 原題 出版年 翻訳版
1 過去からの弔鐘 Sins of the Fathers 1976 1987
2 冬を怖れた女 In the Midst of Death 1976 1987
3 1ドル銀貨の遺言 Time to Murder and Create 1977 1988
4 暗闇にひと突き A Stab in the Dark 1981 1990
5 八百万の死にざま Eight Million Ways to Die 1982 1988
6 聖なる酒場の挽歌 When the Sacred Ginmill Closes 1986 1986
7 慈悲深い死 Out on the Cutting Edge 1989 1990
8 墓場への切符 A Ticket to the Boneyard 1990 1995
9 倒錯の舞踏 A Dance at the Slaughterhouse 1991 1999
10 獣たちの墓 A Walk Among the Tombstones 1992 2000
11 死者との誓い The Devil Knows You're Dead 1993 2002
12 死者の長い列 A Long Line of Dead Men 1994 2002
13 処刑宣告 Even the Wicked 1996 2005
14 皆殺し Everybody Dies 1998 2006
15 死への祈り Hope to Die 2001 2006
16 すべては死にゆく All the Flowers Are Dying 2005 2006
17 償いの報酬 A Drop of the Hard Stuff 2011 2015
マット・スカダーが登場する短編集
おかしなことを聞くね ローレンス・ブロック傑作集1 ローレンス・ブロック傑作選
バランスが肝心 ローレンス・ブロック傑作集〈2〉
夜明けの光の中に ローレンス・ブロック傑作集〈3〉
やさしい小さな手 現代短篇の名手たち7
頭痛と悪夢―英米短編ミステリー名人選集〈4〉
探偵稼業はやめられない『ジャーロ』傑作短編アンソロジー)
映画化された作品
800万の死にざま 1986年米 主演ジェフ・ブリッジス
誘拐の掟(原作「獣たちの墓」)2014年米 主演リーアム・ニーソン





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短編集



映画
 


【関連リンク】
881 私立探偵ハードボイルド小説2つ
808 ロバート・B・パーカー「スペンサーシリーズ」全巻まとめ
328 スペンサーシリーズの読み方(初級者編)
327 さらばスペンサー!さらばロバート・B・パーカー
269 ハードボイルド的男臭さ満点小説


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日本三大○○ 2017/5/24(水)

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日本三大○○とか、日本三○○いった表現がよくあります。いわゆる日本国内の各種TOP3を象徴的に選んだもので、別に公的に定められているものではありません。

そのTOP3にの中に入れようと様々な人や行政機関、企業、マスコミ等の思惑が絡まり、また公式に決まっているわけではないのを良いことに、言ったもの勝ちみたいなものも数多くあります。

個人的には別に狙って行ったわけではありませんが、4年前に松島へ行き日本三景をコンプリートし、3年前には山形へ行き最上川を見て日本三大急流をすべて見たことになり、その途中で喜多方に寄り、札幌、博多とととに地元(現地)で食べる日本三大ラーメンを制覇しました。

そして2年前には青森の恐山へ行って日本三大霊場のすべてに足を踏み入れたことになりました。

足が悪いクセに結構活動豊富ですね。

そうした日本三大○○ですが、例えば日本三名山、日本三大霊場、日本三景、日本三大河川、日本三大急流、日本三渓谷、日本三大瀑布など山や河川、日本三大温泉、日本三名城、日本三大夜景、三大漁港、日本三大ダム、日本三大祭、日本三大鳥居、三大史跡、日本三名園などの観光地や寺社、施設など、そして食べ物で日本三大珍味や、三大そば、三大うどん、三大ラーメンなどとにかく代表的な3つにまとめるのが好きなようです。

しかしそれらがどれほど知られているかというと、実は関係者以外はあまり知らないって人が多いのではないでしょうか?

日本三景や、日本三大祭りなどは小学生の教科書にも載るぐらいに有名ですが、他にもいくつかを紹介しておきます。

※赤字は訪問済み、または現地で賞味済み

日本三名山
富士山(静岡県、山梨県)、白山(石川県、岐阜県)、立山(富山県)

日本三大霊場
恐山(青森県)、比叡山(京都府、滋賀県)、高野山(和歌山県)

日本三景
松島(宮城県)、天橋立(京都府)、宮島(厳島)(広島県)

日本三大河川
信濃川(新潟県、長野県)、利根川(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都)、石狩川(北海道)

日本三大急流
富士川(長野県、山梨県、静岡県)、球磨川(熊本県)、最上川(山形県)

日本三渓谷
清津峡(新潟県)、
黒部峡谷(富山県)、大杉峡谷(三重県)

日本三大瀑布
那智の滝(和歌山県)、華厳の滝(栃木県)、袋田の滝(茨城県)

日本三大温泉
熱海温泉(静岡県)、南紀白浜温泉(和歌山県)、別府温泉(大分県)

日本三名城
姫路城(兵庫県)、名古屋城(愛知県)、大坂城(大阪府)、その他熊本城や松本城など諸説あり

日本三大夜景
摩耶山掬星台(六甲山)(兵庫県)、函館山(北海道)、稲佐山(長崎県)

日本三大漁港
銚子港(千葉県)、釧路港(北海道)、焼津港(静岡県)

日本三大ダム
黒部ダム(富山県)、 奥只見ダム(福島県)、御母衣ダム(岐阜県)

日本三大祭
祇園祭(京都府)、天神祭(大阪府)、神田祭(東京都)

日本三大鳥居
厳島神社(広島県)、伊勢神宮(三重県)、春日大社(奈良県)

日本三大史跡
平城宮跡(奈良県)、大宰府跡(福岡県)、多賀城跡(宮城県)

日本三名園
兼六園(石川県)、後楽園(岡山県)、偕楽園(茨城県)

日本三大珍味
カラスミ(長崎県)、このわた(愛知県)、ウニ(福井県)

日本三大そば
わんこそば(岩手県)、出雲そば(島根県)、 戸隠そば(長野県)

日本三大うどん
讃岐うどん(香川県)、稲庭うどん(秋田県)と、あとひとつは、水沢うどん(群馬県)、五島うどん(長崎県)、氷見うどん(富山県)、きしめん(愛知県)などの諸説あり。

日本三大ラーメン
札幌ラーメン(北海道)、喜多方ラーメン(福島県)博多ラーメン(福岡県)

最近では喜多方ラーメンも喜多方以外でも食べられますので、あまりそうした三大ラーメンと言っても有り難みは薄そうですね。でもやっぱり本場で食べるうどんやそば、ラーメンなどは、ひと味違った感覚に浸れるのでしょう。

今年60歳を迎えますので、早く仕事をバッサリと辞め、そうした誰もが認めるような名園や名所をまわり、美味しい地元ならではの料理を食べる旅をするのが当面の目標です。

でも実際のところは、老後のお金が65歳(一部は63歳から)から支給される年金以外全然ないので今後ずっと働かないとダメでしょうね、、、


【関連リンク】
847 みちのく急ぎ旅 後編
846 みちのく急ぎ旅 前編
802 観光後進国日本の現実
486 マイカーで東京から京都まで旅行する場合 その2
485 マイカーで東京から京都まで旅行する場合 その1


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子供の教育費にはいくらかかる?2017年度版 2017/5/27(土)

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世の中では眞子さまが婚約内定と、おめでたい話題でもちきりですが、結婚されると皇室からは外れますので、今では少なくなってきた皇族がまたひとり減ってしまい、最後には悠仁親王がいらっしゃるとは言え、日本の皇室維持に黄色信号が点ったままで、中長期的に見ると、さぁこれからどうする?って議論が活発になるような気がします。

ところで、結婚して子供ができると、当然に親の義務として子供の健全な養育や教育を受けさせる必要があります。甘やかしすぎてもダメ、厳しすぎてもダメ、高等教育の程度も人それぞれに違ってきます。

中には子供のことより親の自分の幸せや快楽を追求するばかりで、子供を不幸に追いやったり、酷いときは子育てを放棄して子供の命まで奪ってしまうような下衆な事件も起きますが、概ね親の心理としては子供には自分たち以上に立派になって欲しいと願うものです。

親や祖父母の財政状況によって子供の養育費や教育費に使える分量は大きく変わってきますが、それが現在の格差の一因とも言われていて、親としては自分たちのことよりも、まずは子供優先で良い環境で子育てを行い、良い学校や塾、習い事に通い、良い友人を作り、良い教師の下でと際限なく欲望が膨らんでいくものです。

極端な話しでは、子供の教育(学校進学)のために海外へ移住したり、海外移住まではいかなくても、子供の学校のために国内で移住や引っ越しをする家族は今や珍しくはないでしょう。裕福だからこそできるのでしょうね。

一般的に子供を育てるにはいったいいくらぐらいの費用が必要か調べてみました。

子育て費用には大きく食費や小遣いなどの「養育費」と学費などの「教育費」の二つがあります。

また主として教育費に関係しますが、幼稚園から大学まで私立に入れる場合と、全部国公立に入れる場合とでは何倍にも違ってきます。また自宅通学かどうかでもコストは変わってきます。

ここでは一般的な例として、全部自宅通学として、
私立幼稚園、公立小学校、公立中学校、私立高校、私立大学(文系)
として見ます。

まずは、養育費です。
養育費で大きいのは食費で、幼児〜小学生で年間平均20万円、中学生〜大学生で年平均30万円かかります。その他の養育費には保育費(または私立幼稚園)、医療費、お小遣い、服飾費、生活費、旅行費、保険代などがあり、概ね年間平均80万円(22年間で1760万円)がかかります。
(1)22年間×80万円=1760万円

次に教育費です。
公立小学校6年間の教育費(修学旅行費、塾、習い事、学用品等)はおよそ190万円(6年間)です。私立なら920万円(同)かかります。(文科省学校基本調査、以下同じ)
(2)190万円

公立中学校3年間の総額は145万円(3年間)です。こちらも私立なら400万円(同)かかります。義務教育とは言え諸々と教育費はかさみます。
(3)145万円

私立高校(普通科)3年間の教育費は平均で300万円(3年間)です。公立高校なら123万円(同)です。
(4)300万円

私立大学(文系)4年間は平均で390万円(4年間)です※。国立なら230万円(同)です。
※この金額にはちょっと違和感があります。我が家の子が通っていた文系の私立大学は、学費が年間100万円超、初年度は入学金等が20万円超、その他施設設備費とか諸々併せ4年間の総額は約500万円ほどでした。また日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果(平成26年度)」では、大学生の教育費総額は、国立大学(4年間)で511万円ほどかかる見込みというデータもあります。

(5)500万円(実態を反映して)

(1)〜(4)合計 2,895万円

これが二人だと、5,790万円

この5790万円という金額、都内の高級住宅地、世田谷区の新築分譲マンションでは60〜70平米ぐらい、中古だと80平米程度の広さの物件が買える金額です。

子供の育児とマンションとの比較が適正かどうかはわかりませんが、つまり、二人の子供の養育&教育費は、セレブな地区に広めのファミリー向けのマンションを買うのと同じぐらいのインパクトがあるということです。ちょっと皮肉ですね。

結婚した後に、二人の子供を持つか、それとも子供は作らず都内に夫婦だけで都内の高級マンションに住むか、っていう究極ではありませんが、迷う選択があるってことでしょうね。

果たしていまの若い人で、二人、三人の子供を産み育てていくのはよほどの高年収のカップルか、あるいは子供の祖父母がかなり裕福で、孫のために数千万円を出してくれるというのでなければ、とてもやっていけないだろうと思います。

それでも夫婦とも子供が好きで、子育てをなんとかやっても、その親の貯金はほとんど使い果たしてしまい、子育てが終わってまもなく老後を迎えようとするとき、老後の資金は?って考えると目の前が真っ暗になるというのが実際のところではないでしょうか。

皇室から結婚して民間に移られる眞子様は、皇族を外れるときに持参金として国から1億円ぐらい支払われるのが通例となっているそうで、そうした下々の心配は不要でしょうけどね。

でも皇室出身者としての品位を保つということで考えれば、結婚後の住まいや子供の教育、その他皇室出身者ということで特別に警戒が必要となる保安等の経費、外出時の服もいつもユニクロって訳にはいかないでしょうから衣装代などを考えると、一時的な1億円ってそんなに多くはない感じですね。

結婚後は他の皇族からの仕送り等は法律で禁じられているということなので、子供の教育費など、あとの費用は自分たちで稼ぐしかないってことで、セレブな生活感覚が身についているとなにかたいへんそうです。


【関連リンク】
1035 最近の恋愛、結婚事情
934 子供の教育費にいくらかけますか?
724 離婚の多さと結婚という形式
666 子供の教育費の負担を覚悟しているか
527 教員の高齢化について

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5月後半の読書と感想、書評 2017/5/31(水)

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バランスが肝心 ローレンス・ブロック傑作集2 ローレンス・ブロック

1993年(翻訳版は1994年)の短編集で、18編の小ネタが載っています。その中のひとつ「バッグ・レディの死」という短編が著者の大ヒットシリーズ「マット・スカダー」が登場する作品となっています。

「バッグ・レディ」とは、大きなバッグに財産すべてを入れて持ち歩いている、いわゆるホームレス女性のことです。

ホームレスですがそれなりの財産は持っている女性で、その女性が何者かに殺されて亡くなったあと、遺書から自分が死んだとき、マットやその他何人かの知り合いに遺産を分けて支払うという文書が見つかり、弁護士がやってきて小切手で受け取ることになります。

そしてそのお金は「自分の死について調べて欲しい」というメッセージだろうと解釈し、殺害されるに至った経緯や犯人を突き止めていくというストーリーです。

短編ですので、テンポが速く、登場人物も限られていますが、通り魔の犯行なのか、それともなにか怨恨があったのか、警察もホームレスの死ということで本気で捜査はおこなわれておらず、なかなか真相に迫れず、終盤になってから急転直下真相にたどり着くというかなり忙しい感じです。

著者は上記のように「マット・スカダーシリーズ」や「泥棒バーニイ・シリーズ」などの長編作品が多く、この短編集は副題に「ローレンス・ブロック傑作集2」とあるように、「おかしなことを聞くね ローレンス・ブロック傑作集1」に続く2番目の短篇集とのことです。

著者の短編はこれら以外にも、「殺し屋屋ケラー・シリーズ」の中でも連作短編という形で存在しています。

この短編集に収録されている作品は、「雲を消した少年」「狂気の行方」「危険な稼業」「処女とコニャック」「経験」「週末の客」「それもまた立派な強請」「人生の折り返し点」「マロリイ・クイーンの死」「今日はそんな日」「安らかに眠れ、レオ・ヤングダール」「バランスが肝心」「ホット・アイズ、コールド・アイズ」「最期に笑みを」「風変わりな人質」「エイレングラフの取り決め」「カシャッ!」「逃げるが勝ち?」「バッグ・レディの死」の18編です。

正直に言うと、面白いものもあれば、さっぱりなものもあり、玉石混淆って感じです。「殺し屋屋ケラー・シリーズ」の連作短編はそれなりに楽しめましたが、こうした1話完結の短編集については、やや出来不出来の幅が大きいという印象です。

実はこのローレンス・ブロックの作品を最初に読んだのが1993年に読んだ短編集「おかしなことを聞くね」で、それ以来著者のファンになり、上記の「マット・スカダーシリーズ」や「殺し屋屋ケラー・シリーズ」のほぼすべてを読むことになります。本来は短編の名手とも言われているので、面白くないという感覚は、読み手側の責任もあるかもですね。

今回の短編は短編集第1作目の「おかしなことを聞くね」の出来がとても良く、もっと大きな期待をしていただけに、ちょっと残念な感じでした。

★☆☆

         

獄窓記 (新潮文庫) 山本譲司

年のせいにはしたくないのですが、5年前にこの本を読んでいたのに、まったく気がつかず最後まで読みきりました。

2012年4月後半の読書の感想」で、あらましを書いています。

感想としては、あらためて今回読み返した(事実上は初めて読んだ感じ)ところでは、上記ブログで書いたことと変わりませんので、割愛させていただきます。

この著者はその後2012年には「覚醒」という小説を上梓されています。まだ単行本しか出ていないので、文庫になれば買って読みたいと思います。

あぁ、しかし我ながら情けない、、、

★★☆

         

十字架 (講談社文庫) 重松 清

2009年単行本、2012年に文庫化された長編小説で、2010年に吉川英治文学賞を受賞した作品です。

筆者の作品は好きでよく読みますが、それにしても多作家で、次々と作品が出てくるものだからとてもすべては読んでいません。

以前からテレビのコメンテーターとして見かけることもあり、そうした多忙な中、よくこれほどに創作意欲がわくものだと感心しきりです。

読んだ小説は、数えてみると14タイトルありましたが、Amazonに登録されている著者の文庫だけで100タイトル以上ありますから、実質的に著者の作品の1割ちょっとしか読んでいないということでしょう。

過去に読んだ筆者の作品の中では「疾走」「その日のまえに」「ビタミンF」(直木賞受賞)「哀愁的東京」などが良かったかな。

基本的には「家族」や「定年後のオヤジ」「子供と父親」「幼なじみと友情」と言った割と軽い、懐かしさや郷愁を誘うテーマが多い感じです。

さて、この作品は、同級生がイジメを苦にして自殺しますが、そのイジメを見て見ぬふりしていた幼なじみの同級生や淡い恋をしていた相手の子が背負ってしまったトラウマというか十字架がテーマとなっています。

学校などでのイジメ問題が社会問題化してもう相当長いですが、小説にもこうしたイジメ問題はよく出てきますね。学園ものにはもう不可欠になっていると言えます。

自殺した子供の父親は、イジメをした同級生だけでなく、それを見過ごしてきた担任教師や同じクラスの子供に対しても反感を持ち続け、マスコミを利用して非難を続け責任を問い続けます。

私なら「それなら親の責任はどうなんだ?」「死にたいほど困ったことが話せない家庭に責任はないのか?」と真っ先に反発するところですが、なぜかそうしたところは無視されていますね。

ちょっと感動的に盛り上げていこうというところにわざとらしさが感じられ、著者の作品としてはちょっとどうなのかなぁって思わざるを得ません。多作しているとどうしてもあまり深掘りはせずに、ついそれでも通用してしまうテクニックに走ってしまうのでしょうかねぇ、、、

★☆☆

         

碇星 (中公文庫) 吉村昭

1999年に単行本、2002年に文庫化された短編集で、「飲み友達」「喫煙コーナー」「花火」「受話器」「牛乳瓶」「寒牡丹」「光る干潟」「碇星」の8篇が収められています。

著者の作品は過去に10タイトルほど読みましたが、歴史もの、時代もの、戦争もの、現代もの、事件、紀行、人物記、随筆など含め、ざっと数えただけでも140近い作品があり、今まで外れだったことがない秀作そろいで、今後折に触れて他の作品も読んでいきたいと思っています。

タイトルの碇星(いかりぼし)とは、「カシオペア座の W 形の五星を碇に見たてた和名」(大辞林)ということです。

その「碇星」はある会社の中で葬儀専門部署に配属になった嘱託社員の話し、「喫煙コーナー」は定年後どこにも行く当てがない高齢者が大きなショッピングセンターの喫煙コーナーへ毎日集まってくるという話し、人生の哀愁を帯びた話しが多く高齢化社会に向けた「すぐそばにある現実」を思い知らされます。

とは言うものの、いつもの長編とは勝手が違ってか、それとも読み手の読解力不足のせいか、いまいちすっきりした結末とはほど遠く、なにかもや〜としたものが残ってしまいます。ちょっと尻切れトンボみたいな終わり方も多くて、、、

作家的には、こうした短編を膨らませて長編小説に仕上げたりする人もいるのでしょけど、元々長編小説に手練れた作家さんはやはり長編が一番似合います。

★★☆

         

ようこそ、わが家へ (小学館文庫) 池井戸潤

ミーハー的には「半沢直樹シリーズ」で、文学少年少女的には直木賞を受賞した「下町ロケット」で、そして社会派としては「鉄の骨」や「空飛ぶタイヤ」で、それぞれよく知られた銀行出身の売れっ子作家さんの文庫オリジナル作品で2013年に発表されました。

いずれも元銀行員という仕事を通じてなじみのある企業あるいはビジネス小説が多い作家さんなのですが、この小説はそれらとは一線を画しタイトルからもわかるように「家族」が主たるテーマになっています。

と言っても主人公の一家の主は銀行マンで中小企業へ出向していて、その会社で不正を見つけたものの、所詮は外様という軋轢との戦いがあり、そうしたところは著者の最も得意とするところです。

その主人公は通勤途中で電車に割り込みをしてきた男に勇気を絞って注意をします。それがきっかけとなり、自宅への嫌がらせが始まり、エスカレートしていくという、重苦しい話しです。

しかし、通称イヤミス(イヤな気分になるミステリー)の湊かなえ氏や沼田まほかる氏の小説とは違って、両親と二人の子供の4人家族の関係は極めて良好で、一緒に協力しあって犯人を突き止めようとするなど、著者の性格が反映しているかなと思われます。

そして勤務先の中小企業にも、自宅への嫌がらせにも、最後に意外な展開が見られましたが、なかなかストレートなビジネス&ファミリー小説と言えるでしょう。

★★☆


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