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読書感想INDEX

ロバート・B・パーカー Robert Brown Parker 既読書籍
052 051 暗夜を渉る
050 訣別の海 049 湖水に消える
048 秘められた貌 047 愛と名誉のために
046 メランコリー・ベイビー 045 春嵐
044 盗まれた貴婦人 043 スターダスト
042 歩く影 041 沈黙
040 ダブル・デュースの対決  039 拡がる環
038 プレイメイツ 037 真紅の歓び
036 プロフェッショナル 035 海馬を馴らす
034 告別 033 過ぎ去りし日々
032 灰色の嵐 031 ドリームガール
030 昔日 029 蒼めた王たち
028 スクール・デイズ 027 冷たい銃声
026 ガンマンの伝説 025 背信
024 ダブルプレー 023 影に潜む
022 晩秋 021 キャッツキルの鷲
020 儀式 019 残酷な土地
018 誘拐 017 レイチェル・ウォレスを捜せ 
016 約束の地 015 失投
014 ゴッドウルフの行方 013 真相
012 おそらくは夢を 011 笑う未亡人
010 ハガーマガーを守れ 009 ポットショットの銃弾
008 ユダの山羊 007 突然の災禍
006 忍び寄る牙 005 悪党
004 初秋 003 チャンス
002 虚空 001 ペーパー・ドール
読書感想は2010年頃以降に書くようになりました。それ以前に読んだ本の感想はありません。


1932年〜2010年、アメリカ合衆国マサチューセッツ州出身。1973年、私立探偵スペンサーを主人公としたハードボイルド小説『ゴッドウルフの行方』(The Godwulf Manuscript)で小説家デビュー。以後、スペンサー・シリーズを中心に、ジェッシィ・ストーン・シリーズ、サニー・ランドル・シリーズなどを発表。(Wikipediaより引用 2022年)


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051 暗夜を渉る―ジェッシイ・ストーン・シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Night Passage

すでにスペンサーシリーズで人気を博していた著者が、新たな主人公を用い1997年に発刊(翻訳版は1998年)された新シリーズ「ジェッシイ・ストーン・シリーズ」の第1作目の作品で、翻訳文庫版は2001年に発刊されています。

このシリーズは、別の作家が後を引き継いで続編を出していると言うことですが、翻訳はされていないのか見かけません。

そしてこのシリーズは、2010年に著者が亡くなるまでに、下記の合計9作品が作られています。

作品名 原題 発刊年 
暗夜を渉る Night Passage 1997
忍び寄る牙 Trouble in Paradise 1998
湖水に消える Death in Paradise 2001
影に潜む Stone Cold 2003
訣別の海 Sea Change 2006
秘められた貌 High Profile 2007
容赦なき牙 Stranger in Paradise  2008
夜も昼も Night and Day 2009
暁に立つ Split Image 2010

ストーリーは、主人公がロサンゼルス警察の殺人課にいた当時、女優志望の女性と出会い結婚するも、その後妻の浮気が発覚したことで悩み、アルコール依存となり離婚します。

そして勤務中に酒を飲むようになりロス市警をクビになりますが、たまたま遠く離れた東海岸の小さな町で保安官を募集していてそこで採用されます。

1からやり直そうとアメリカ大陸を縦断するルート66を使って西海岸から東海岸までクルマで走ります。その大陸を横断するロードムービー的な情感が描かれていて素晴らしいです。

そして到着した町の保安官として就任し、実質的に町を牛耳る大物(=悪)と対峙するという、お決まり?の警察小説になっていきます。

このシリーズの舞台は、スペンサーシリーズがメインとするボストンにほど近く、この第1作目にはスペンサーシリーズに時々登場するマフィアのボス、ジノやその用心棒のガンマン、ヴィニー・モリス、州警察のヒーリー警部なども登場してきます。

逆にスペンサーシリーズの「真相」にもジェッシイ・ストーンが登場してきたり、行き来があって、馴染みの読者は思わずニヤリとなります。

ロバート・B・パーカー「スペンサーシリーズ」全巻まとめ 

スペンサー(Spenser)シリーズ ロバート・B・パーカー著 一覧

新しい主人公登場という回でもあって、ボリュームも内容も濃く、なかなか面白く出来上がっていました。

ただスペンサーのようにハードボイルドか?って思って読むと、愛する女性に出て行かれてグジグジと悩み割り切れない生煮えの半熟卵って感じで、著者の作品としてはまたひと味違った面を味わえてそれはそれで楽しいかも知れません。

★★★

3月後半の読書と感想、書評 2019/3/30(土)

050 訣別の海 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ)
Sea Change

ジェッシイ・ストーンシリーズ第5作目の作品で、2006年に米国で発刊、日本語翻訳版は2007年に出版されています。原題は「Sea Change」、直訳すれば「海の変化」です。

ジェッシイ・ストーンシリーズは「暗夜を渉る」「忍び寄る牙※」「湖水に消える※」「影に潜む※」「訣別の海※」「秘められた貌※」「容赦なき牙」「夜も昼も」「暁に立つ」と全部で9作品があり、そのうち※マークの5作品を読んだことになります。

またこの小説を原作としたアメリカの映画「警察署長ジェッシイ・ストーン 訣別の海」が、2007年にトム・セレック主演で製作されています。

舞台はボストンの近くにある架空の地方都市パラダイスで、その関係もありボストンが舞台のスペンサーシリーズでお馴染みの登場人物達が時々出てきたりします。

この小説でも、ヒーリー警部、リタ・フィオーレ(弁護士)が登場し、名前こそでてきませんが、スペンサーと思われるボストンの私立探偵から聞いたという話しも出てきて思わずニヤリとします。

逆にスペンサーシリーズの中で、ジェッシイ・ストーンが登場するのは、シリーズ30作目の「真相」(2003年)です。

内容は、海で溺死したと思われる女性に、なにが起きたのかを問い詰めていくという、いつものパターンですが、当初から疑わしいと思われた二人の金持ちで遊び人のヨット乗りから、突然、方向転換する終盤に緊迫感があってなかなかよろしい。

ただいつものことながら、主人公の警察署長は、浮気して離婚した元妻とまた暮らし始めていて、その点でグズグズと思い悩み、精神科医にもかかっている姿はどうにも釈然としないです。

アル中だった過去と決別したのはローレンス・ブロックの「マット・スカダー」と似てはいますが、マットはここまで女性に対し、意志薄弱、軟弱ではないですね。

いわゆるスペンサーシリーズのようにハード・ボイルド一辺倒ではない主人公を描きたいのだと思いますが、犯人を追い詰める姿と、元妻とデートするシーンとであまりの落差に読者は戸惑ってしまいます。

★★☆

2月後半の読書と感想、書評 2018/2/28(水)

049 湖水に消える (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Death in Paradise

2002年刊、文庫版は2005年に発刊された警察署長ジェッシイ・ストーン・シリーズの第4作目になります。この作品は、2006年にトム・セレック主演で映画化されています。

主人公はロスの殺人課の刑事でしたが、酒に溺れて謹慎を喰らい、ボストンにもほど近い東海岸の小さな街の警察署長として流れてきました。

別れた前妻にまだダラダラと未練を残していて、またいつかはよりを戻せると願いつつ、一方では女性関係は派手で、エンタメ要素は満載です。

今回の事件は、管内の湖で殺された若い女性の遺体があがり、その女性のたどってきた過去を調べ、犯人に迫っていくというストーリーです。

このシリーズでは、他のシリーズ「私立探偵スペンサー」や「女性探偵サニー・ランドル」と共通する人物が登場することもあり、スペンサーシリーズを全部読み終えた後ですが、懐かしい名前が出てきて楽しめます。

今回は、スペンサーシリーズに時々登場するギャングの殺し屋ヴィニィ・モリスが登場しています。スペンサーシリーズでは拳銃の腕はナンバーワンとスペンサー自身も評価をしているヴィニィ・モリスですが、この作品の中では「クレー射撃の的を拳銃で撃つ」という伝説の話しが出てきて笑いました。

今回の話しでは主人公自らボストンへ出向くことも多く、スペンサーとどこかで接点がないかとドキドキしましたが、さすがにそれはありませんでした。

★★☆

11月後半の読書と感想、書評 2017/11/29(水)

048 秘められた貌 (ジェッシイ・ストーン・シリーズ)ハヤカワ・ミステリ文庫
High Profile

2007年刊の「High Profile」の翻訳版(翻訳版文庫は2010年刊)で、警察署長ジェッシイ・ストーンシリーズ6作目です。別のシリーズの主人公で女性私立探偵サニー・ランドルも主人公ジェッシイのガールフレンドとして登場しています。

パーカー言えばやはりボストンの私立探偵スペンサーシリーズが有名で私も大好きですが、1997年から始まったこのジェッシイ・ストーンシリーズもスペンサーにはない面白さがあって楽しめます。

探偵と警察署長という違いこそあれ、そのキャラクターは似通っています。

スペンサーシリーズをすべて読み終えた後、その余韻が冷めた頃を見計らって、このシリーズを読むとパーカー独特の言い回しや絶妙な会話がよみがえってくること請負です。

ストーリーは、ジェッシイが警察署長を勤めるマサチューセッツ州の架空の街パラダイスで、テレビやラジオで活躍している毒舌の人気司会者が殺され、公園の木に吊り下げられているのが発見されます。

それと同時に司会者のアシスタントで、愛人の女性も同じ銃で殺害されているのが発見され、マスコミの注目を浴びる中、小さな街の警察署長の主人公は、自ら部下とともに犯人探しに奔走します。

その捜査手法が、私立探偵スペンサーとも共通していて、関係者と順番に会って質問し、なにかが動き出すのをジッと待ちます。

最近のミステリー小説のような変に凝った「驚愕のラスト!」とかはありませんが、「なぜ?」という疑問を解き明かしていく丁寧な捜査が好感を呼びます。

スペンサーシリーズでもお馴染みのマサチューセッツ州警察殺人課のヒーリー警部もサポート役として登場したりして、スペンサーシリーズを懐かしがるには最適です。

★★☆

10月前半の読書と感想、書評 2017/10/18(水)

047 愛と名誉のために (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Love and Glory

1883年刊(翻訳文庫版1994年刊)の長編小説で、著者の作品の中では珍しく、スペンサーシリーズ等に属さない単独の作品です。

どう感想を書けばいいのかちょっと考え込んでしまいました。

というのも、著者のスペンサーシリーズを絶賛している中で、こちらも素晴らしい出来ではあるものの、こちらは完全なるラブストーリーで、あまりにも小説のスタイルが違っていることで、同じ作者の作品として感想が書きにくくて。

でもところどころに「初秋」で見せたスペンサーの男らしい優しさの片鱗や、高度に知的な女性とのウイットに富む会話など、スペンサーとスーザンとの会話を彷彿させるようなシーンがあります。

もっと言えば、文庫の解説で書かれているように、この主人公男性ブーンがやがて私立探偵スペンサーに、そして18歳の時に初めて出会ってから紆余曲折があったジェニファーが精神科医スーザンとしてとらえることも可能かもです。

もちろんこの主人公の成長過程を見ると、徴兵されて朝鮮戦争へ出征し、そして休暇を使って日本へと、著者自身の経歴ともダブる部分がいくつもあり、そうした自分の経験と想像力でできあがったのでしょうけど、それがそのままスペンサーシリーズの主人公にも生きているということになります。

★★☆

5月前半の読書と感想、書評 2017/5/17(水)

046 メランコリー・ベイビー (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Melancholy Baby

女性の私立探偵サニー・ランドル・シリーズの第4作品目にあたり、2004年に発刊され、2005年には日本語翻訳版が出ています。著者は2010年に78歳で亡くなっています。

パーカーと言えばボストンの私立探偵スペンサーシリーズが有名ですが、翻訳されている39作全てを3年前に読み終えているので、仕方なく著者の作品ではその他のシリーズや単発モノに手を出しています。

ロバート・B・パーカー「スペンサーシリーズ」全巻まとめ 2014/4/12(土)

この女性私立探偵もスペンサーシリーズと同様、ボストンで開業している元警察官で免許持ちの私立探偵です。早く行ってしまえばスペンサーの女性版ですが、スペンサーのハードボイルドに対し女性らしく少し繊細なムードを醸し出しています。

ただ読んでいるとどうしても女性作家が描く女性の主人公ではなく、マッチョな男性作家が描く女主人公という香りがして、どうもスッキリと入っていきません。スペンサーシリーズのパーカーが書いているという前提が影響し、邪魔をしているのかもしれませんが。

ストーリーは様々な言動から自分の親は実の親ではないと考えている女子大生が探偵の主人公のところにやってきて、調査を依頼します。日本なら戸籍謄本でも見ればすぐにわかりそうですが、アメリカはどうなんでしょうね?いきなりDNA検査になるのには驚きました。

両親がDNA検査を断るので、周囲の調査を進めていくと邪魔が入ったり、ついには殺人事件が発生します。これはますます怪しいとのめり込んでいきますが、当事者の女子大生は自分が疑問を持ったせいであれこれ不幸が起きていることを知り調査の中止を希望します。

それでも中途半端には終わらせず、とことん追求し、殺し屋の探索や女子大生の出生の謎に迫っていくという物語です。依頼主が中止を何度も言っているのに、強引に調査を進めていくなんか、普通ではちょっと無理があったりします。

あとスペンサーシリーズでお馴染みの精神科医のスーザン・シルヴァマンやロス市警のフランク・ベルソンなども登場してくるのはご愛敬でしょうか。

★☆☆

1月後半の読書 2017/2/1(水)

045 春嵐〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
Sixkill

2010年に亡くなった著者の最後の作品で、2012年に邦訳の文庫が発刊されています。ボストンの私立探偵スペンサーシリーズは40年間続き39作品、このシリーズを読むのもこれが38作目(1作は邦訳版なし)で最後となります。

今回は前作同様に準レギュラーだった相棒ホークが旅行中ということで登場しないぐらいで、内容的には従来のものと特に変わったことはなく、著者としてはまだまだスペンサーシリーズを書きたかったんだろうなと思えてきます。老いてタフな探偵から引退するスペンサーを描く気はなかったと見えます。

ストーリーは、ある映画俳優が宿泊していたホテルの部屋で、若い女性が絞殺された状態で発見され、当然その俳優が疑われます。スペンサーの知り合いの刑事がやってきて、どうも不明な点が多く、興味本位のマスコミは俳優へのバッシングを続ける中、なにか引っかかるということで調査を頼まれ、俳優を守りたい映画制作会社と弁護士を通して調査を引き受けることになります。

この作品ではもうひとりの主役がいます。それは殺人容疑者のかかる映画俳優のボディガードを勤めていたものの、スペンサーにこてんぱんに痛めつけられたことでクビとなり、スペンサーの元へ弟子入り?することになったアメリカ先住民(インディアン)の男ゼブロン・シックスキル(通称Z)です。

今までクワークやホークをはじめとして多くのタフガイを仲間にしてきましたが、今回新たな仲間入りをすることになったZは残念ながら最初で最後の登場となってしまいました。

とは言え、スペンサーシリーズは別の作家が後を引き継いで書くらしいので、それらの作品にはまたホークもZも登場することになるのでしょう。007シリーズのジェームズ・ボンドが原作者イアン・フレミング亡き後、すでに何作も作られているような感じでしょうか。

最近のアメリカでのエンタティメントでは出演者の人種構成にとても過敏で、映画やドラマ、コマーシャルフィルムなどを見ても、昔のように白人ばかりが出てくるというのは皆無で、例え白人が主役でも、必ず人種構成比を考慮しアフリカ系や先住民系、南米系、東洋系などのマイノリティを混ぜることが求められています。

それに配慮したかどうかは不明ですが、このシリーズではアフリカ系のホークがほぼレギュラーで登場し、その他にもスペイン系(メキシコ系)や東洋系(主に中華レストランですか)の人物がよく登場してきます。それが今回ではアメリカ先住民ということなのでしょう。

名作だった「初秋」で両親からほとんど捨てられた状態の少年ポールに対し、愛情と強い生き方を教えたように、家庭や友人に恵まれず、クスリと酒浸りになっていたZに、立ち直るきっかけとして強い意志と立ち向かう力を時間をかけて教えていきます。なんとなく初期の頃の作品初秋をもう一度読み返したくなりました。

ロバート・B・パーカーの最後の小説「春嵐」のエンディング、つまり筆者が死ぬ直前に書いたこの小説の最後はこのように締められています。

「ボストンに戻ると、スウェットに着替え、清潔な服とひげ剃り道具をジムバックに入れて、ハーバー・ヘルス・クラブに出かけた。ウェイトを挙げた。スピードバッグを打った。全身汗をかき、シャツに染みこむまでサンドバッグを打った。それからスチームルームに入り、長いこと座っていた。出たあとシャワーを浴び、ひげを剃って、清潔な服を着た。クラブから出たときにはまだ雨が降っていた。が、西のほうでは少し弱まっているようにも見えた。ケンブリッジのあたり、スーザンが住んでいるところだ。
雨が上がれば、世界はおそらく私のように、すっかり洗い清められたように見えるのだろう。清潔さが幻想であるのはまずまちがいない。よくて束の間の思いこみだ。けれども、それを言えば、人生の大半はたとえ話だ。」
私は車に乗って、西へ向かった。


3月後半の読書と感想、書評 2014/4/2(水)

044 盗まれた貴婦人〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
Painted Ladies

私立探偵スペンサーシリーズ38作目の作品で、日本ではこの作品と遺作となる39作目の「春嵐」はパーカーの死後に発刊されました。

この小説にはいつもお馴染みの相棒ホークやその他友人のガンマンが登場してこない珍しい作品です。それだけに派手なアクションシーンはないかと思っていたら、いきなりプロの傭兵らに命を狙われることになり、二度も死にかけます。

愛犬パールの直感や、偶然が重なり怪我もなく助かるところはかなりご都合主義のところがありますが、主人公ですから仕方がありませせん。

いつもならホークやヴィニーなど腕のいい相棒に背中を守られて読者も安心して読めるのですが、今回は州警察のヒーリィ、ボストン市警のマーティン・クワーク、フランク・ベルソンや検察にいるお友達の助けを借りながら、基本自己解決で頑張ります。それは私立探偵としてのプライドをめちゃくちゃにされたことによります。

美術館から盗まれた小鳥と貴婦人を描いた絵画を取り戻すため、美術館の顧問を務める大学教授から、犯人から要求があった金と絵画の受け渡し時の護衛を引き受けたスペンサーですが、なすすべもなく目の前で教授は爆殺されてしまいます。

殺された教授の周辺を調べていくと、教授自身のスキャンダルや保険金、大物弁護士、それに元アウシュビッツで殺されたユダヤ人とその末裔のグループなどが浮かび上がってきます。そうした藪を突いていると、殺し屋が現れ、スペンサーの捜査の方向が間違っていないことを確信していきます。

もうこの調査スタイルは水戸黄門の印籠のようで特に変わりはありませんが、なぜ相手側がリスクがあり、手のかかる殺害方法をとるのか?とか、たまたま関係者を尾行をした時に限り黒幕と思われる男が一緒にいるのか?とか、オランダ美術に詳しい人を探していたら偶然知り合った愛犬仲間が紹介してくれたりとか、あまりにもうまく出来過ぎているな?と思わなくもありません。

こういう小説はスピード感が重要なので、あまり細かなことにこだわるよりもスイスイいくのがいいのでしょうね。

2月前半の読書 2013/2/20(水)

043 スターダスト (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 110-20))
Stardust

1990年に発刊されたスペンサーシリーズ17作目の作品です。この本がなかなか手に入らず苦心していましたが、ようやく見つけることができました。

これで著者が生前に日本で出版されていたスペンサーシリーズ作品37作すべてを読んだことになります。残すは遺作となった38作目「盗まれた貴婦人」と39作目「春嵐」だけになりました(日本語版のみ)。

ボストンの私立探偵スペンサーが初めて登場したのが1976年「ゴッドウルフの行方」(日本語翻訳の単行本は1984年、文庫版は1986年)ですから、米国ではスペンサーが登場してすでに37年が経ちます。

その間、著者も読者もどんどんと年を取っていきますが、小説の中に登場するスペンサーの年齢はほとんど変わらず、いつも若々しくたくましいナイスガイをキメてくれます。

パーカーと共に大のレイモンド・チャンドラーのファンであり、周囲から後継者とも言われていたもう片方の小説家ローレンス・ブロックが描くスペンサーと同じく1976年に初登場したニューヨークの探偵「マット・スカダー」は、最新作「償いの報酬」で、37年間を経て主人公もすっかり年老いた姿になっているのとが対照的です。

さて本作品は原題も「Stardust」で、激しい視聴率争いを繰り広げるテレビの人気女優に襲いかかる正体不明の相手にスペンサーとホークが活躍します。

その「スターダスト」以降、「昔日」や「虚空」「春嵐」などにも登場するロサンジェルスの顔役を護衛しているメキシカンの腕利きガンマン、チョヨがここで初登場します。

こうして長くスペンサーシリーズを読んでくると、小説に登場する女性には一定の法則があるようで、その多くは最初はわがままで、放埒的で、セクシーなファッションを身につけ、誰もが振り返りそうな美人です。

今回は売れっ子女優ということもあり、それが特に強調されているのでそう感じるのかも知れませんが、パーカーの一種あこがれが反映していたとも思えなくはありません。

12月後半の読書 2013/1/3(木)

042 歩く影 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Walking Shadow

スペンサー・シリーズ21作目のこの作品は1994年に発刊(ハヤカワ文庫は2001年発刊)されました。今度のスペンサーの相手はアメリカ社会に根付く中国マフィア達との闘いです。

恋人スーザンが所属する劇団員が公演中に射殺され、地元警察は頼りにならないので、その犯人を追い詰めるため方々へ出掛けて蜂の巣を突きに回ります。

そうするとそれが気に入らない中国人マフィアのボスが出てきて最初は脅し、次には実際に若い殺し屋のベトナム人を使って襲撃を仕掛けてきます。いずれも難なくしのいで、自分のケツを守るため、いつものように相棒ホークと、射撃の名手ヴィニイ・モリスを雇っていよいよ中国マフィアとの対決を仕掛けていきます。

銃を抜くのが速いはずのスペンサーとホークが半分ぐらい抜いたところでヴィニイがすでに3発撃って敵を倒すシーンなんかはゾッとします。

タイトルの「歩く影」(原題:Walking Shadow)とは、殺された劇団のメンバーが「何者かにいつもあとをつけられている」ということと、チャイナタウンに巣くう中国人マフィアのことを、とあるチャイナタウンに詳しい白人系の刑事が自分の親に言わせるとその存在が「歩く影」だと言っていたことによります。

スペンサーシリーズとしては比較的長めの小説ですが、その分読み応えがたっぷりで、最後まで事件の真相が謎でわかりにくく、20年近く前に書かれたものですが、意外と内容の古さは感じられず(ウォークマンやカーフォンなどが出てくるのはその時代の流行だったので仕方なし)、なかなかお勧めの一冊です。

それはそうと、このスペンサーシリーズ全39作中、現在文庫版が発刊されている38冊のうち、この本が36冊目の読了となりました(たぶん)。新刊の「盗まれた貴婦人 」(2010年)はまだですが、37冊目となる「スターダスト 」(シリーズ17作目1990年)もようやく手に入れましたので、近いうちにコンプリートできそうです。

あと残すはまだ文庫化されていない「春嵐」(没後発刊2011年)だけとなりますが、一度シリーズ全体を振り返ったまとめを書いてみたいと思っています。

11月後半の読書 2012/12/1(土)

041 沈黙 (ハヤカワ・ミステリ文庫 スペンサー・シリーズ)
Hush Money

1999年初出、日本語文庫版2005年発刊のスペンサーシリーズ26冊目の本で、原題は「Hush Money」口止め料という意味です。口止め料を払うから沈黙なのか、口止め料を払ったことを沈黙するのかよくわかりませんが、ま、そのような内容です。

10月前半に読んだ「ダブル・デュースの対決」と同じように異例の始まり方を見せます。

つまり相棒ホークから、知り合いの黒人の教授が、生徒と不適切な関係を結んでいたと告発がありピンチに立たされていると相談をされ、お金になりそうもないそのその事件を調べることになります。

と、同時に恋人スーザンからも「友人がストーカーに悩まされている」と相談され、それにも並行して応えることになります。

この全然関係のないふたつの事件を調べていくわけですが、ミステリー小説ファンならば、別々で起きたそのふたつが、最終的はつながっていくと推測するでしょう。

私もそう思いましたが、それはありませんでした(笑)。それぞれを別々にスペンサー風に解決していきますが、なぜ同時進行にしたのかは不明です。

アメリカ国内の黒人とゲイ、それぞれがまだ社会問題として存在しているという問題提起でもありますが、単なる表面上の描写だけでなく人の心の奥深くまでを探っていくところにこの小説の素晴らしいところがあります。

あと謎の多いホークの少年〜青年時代の話しが少し出てきます。これはホークファンにとっては見逃せない作品でしょう。

10月後半の読書 2012/11/3(土)

040 ダブル・デュースの対決―スペンサー・シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Double Deuce

スペンサーシリーズ第19作目で、1992年の作品です。いつもなら主人公の私立探偵スペンサーが依頼者から捜査や人捜しを頼まれ、当初は単独で動き始め、途中からホークに助っ人を頼むという流れですが、この作品では珍しくホークがテレビ局に勤める友人の女性のためにスラム街団地「ダブル・デュース」で暴力犯罪組織をつぶすため、逆にスペンサーを助っ人に雇うというストーリーです。

スペンサーはホークからこの仕事の手助けを頼まれたとき、報酬は半分と主張しますが、ホークからはそれだけの価値はないと一蹴され三分の一で受けることに。

この絶妙感がたまりません。結局は報酬は元々ゼロだったので、半分でも三分の一でも変わりはなかったんですけどね。

この小説に出てくる不良グループのリーダーは、その後「スクール・デイズ」(33作目、2005年)に登場しスペンサーを助けます。私の場合読む順序が逆になってしまったので、その時には知りませんでした。

この長いスペンサーシリーズでは過去の事件で登場した人物がよく出てくるので、それもまた楽しみになっています。

恋人スーザンとの関係では、この回でトライアル的にスーザンのアパートで同棲生活を始めますが、結局はうまくいかず元のアパートへ帰ることになります。それは最初から見えていましたけどね。

■スペンサーシリーズ関連過去記事
スペンサーシリーズの読み方(初級者編)
さらばスペンサー!さらばロバート・B・パーカー
ハードボイルド的男臭さ満点小説

10月前半の読書 2012/10/17(水)

039 拡がる環 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
The Widening Gyre

原題は「The Widening Gyre」で「拡がる輪」でほぼそのままの直訳です。1983年の作品(日本語版1984年)で、スペンサーシリーズ10作目の作品です。

物語はアメリカ上院議員選挙に絡みその立候補者に頼まれ、妻のスキャンダルに関連しての依頼です。

そのスキャンダルはおそらくライバルの政敵が仕掛けてきたと推測されますが、そのやり方がスペンサーにはどうも納得がいかず、おなじみの新聞社や警察署の友人の協力を得て、その政敵である下院議員に近づいていきます。

終盤にさしかかり、珍しくギャングに撃たれてしまいますが、軽傷で済み、その後は相棒ホークの力を借りて、問題を無事に解決していきます。

この作品では、スペンサーと離れて暮らすことになった恋人スーザンとのやりとりや、18歳に成長したポール・ジョコミンとの人生についての会話など、事件以外のスペンサーの考え方、生き方などが描かれています。

そのあたりがハードボイルドを期待しているとちょっとうざっぽく思えますが、その後に続くスーザンが男を作ってロスへ旅立ったり、独り立ちしてスターになっていくポールなどとの関係の原点になるのかもしれません。

6月前半の読書 2012/6/16(土)

038 プレイメイツ (ハヤカワ文庫)
Playmates

日本では1990年に発刊されたスペンサーシリーズ16作目です。タイトルからすると一見綺麗な女性がいっぱい登場してきそうですが、そのような期待は大きく裏切られ、アメリカでは4大人気スポーツの一つであるバスケットボールの将来有望な若手選手が今回の相手です。

大学のバスケットチームに所属し、プロのスカウト間違いなしと言われている選手に八百長疑惑が起きたことで、その大学が私立探偵スペンサーに調査を依頼するところから始まります。

八百長をおこなったかどうかの調査なら、すぐに終わってしまいますが、パーカーの理想とする探偵像はそれだけにとどまらず、依頼者である大学を裏切ってでも、将来のスター選手の芽をつみ取ってしまうだけのことに満足せず、殺し屋を送り込んでくる八百長を仕組んだマフィアを敵に回しながら、スキャンダルに発展しないよう落ち着き先を考えます。

またその生意気で自信過剰で、そそのかされて八百長に手を染め道を外そうとしているスター選手を心身両面で支え、賢明に助けようとするガールフレンドの誠実な対応に報いてやろうとするところが、スペンサーのスペンサーたる所以でもあるでしょう。

スポーツの世界を舞台としたこのシリーでには他に「失投」があります。こちらはメジャーリーグ、地元のボストンレッドソックス所属選手のやはり八百長問題についての調査でした。

スペンサー自身レッドソックスのファンでもあり、その他の小説の中にもホームグラウンドのフェンウェイ・パークや、メジャー中継をテレビで観戦しているシーンが登場しています。

中にはレッドソックスのライバル球団として「ヤンキースに入団した風変わりな日本人」と当時悪役のイメージがあった伊良部投手のことを書いたものもありました。

5月前半の読書 2012/5/19(土) 

037 真紅の歓び (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Crimson Joy

1989年初出の作品で、日本語の文庫化がされたのは1995年、探偵スペンサーシリーズでは15作目になる作品です。

パーカーの作品では珍しく、通常は「私」が語る一人称が多い中で、この小説では犯人と思わしき人物が淡々と独り言のように語っているところがあります。

その犯人とスペンサーの推理が最初は遠いところにあるものの、徐々に近づいていき、最後には交わっていくところがなんともスリルがあって楽しめます(実際は犯人自らから近づいていったのですが)。

内容は、黒人の中年女性が惨殺される事件がボストンで相次ぎ、ボストン市警のクワークに頼まれてスペンサーも犯人捜しを始めます。

そして別のよく似た事件が起き、その犯人が捕まりますが、クワークもスペンサーも犯人は別にいることを確信します。

しかし連続殺人事件を早く決着したい人達の妨害を受けながら、引き続き真犯人捜しを続けることになります。

タイトルは、犯人が警察やスペンサーに対する挑戦状を突きつけ、さらに女性を殺した現場に真っ赤な薔薇を残していくという、快楽殺人に通じるところからきているのでしょう。

このシリーズの中には、殺し屋に狙われ命からがらということも多い中、この作品ではそのような場面はなく、そして最後はあっけない幕切れとなり、悪役がサイコっぽい異常者だとしてもどうも小粒すぎて、相棒ホークが活躍するシーンもなく、やや全体に物足りなさを感じます。

この作品では派手なアクションではなく、恋人スーザンとの知的でエロチックな会話や、スーザンの精神科医としての専門性を生かした犯人の行動分析などに重点を置いた楽しみ方をするのが正しいのかも知れません。

3月後半の読書 2012/4/1(日)

036 プロフェッショナル〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕 (スペンサー・シリーズ)
The Professional

いよいよパーカー最後の作品まで残り少なくなってきましたが、2009年に出版され、つい先日ようやく日本で文庫化された作品です(単行本は高くて買えない)。ボストンの私立探偵スペンサーシリーズもこの作品を含め残り3作品となります。

この作品では派手なアクションはなく、金持ちの若い妻ばかりを狙って親密交際し、やがて金をゆすり取ろうとする魅力あるジゴロと、その強請をやめさせて欲しいと依頼されたスペンサーとの関係が楽しめる作品です。

話しの前半は、スペンサーもやがて好意すら持ってしまうそのジゴロというか女たらしの男性のことをずっと調べあげ、後半はその男に入れあげるセレブな若妻を中心として物語が進んでいきます。

スペンサーの魅力ある相棒ホークもヴィニィも登場しますが、その腕前を披露する機会はまったくなく、淡々としたストーリーで盛り上がりには欠けます。しかしこれは派手なアクションを楽しむのではなく、落ち着いてスペンサーの会話を楽しむモノなのでしょう。

著者のパーカー自身もかなり高齢(77歳頃)の作品なので、スペンサーの思考法にもその老成したところが見え隠れする、じっくりと読ませてくれるたいへん面白い一品です。

4月上旬の読書 2012/4/18(水)

035 海馬を馴らす (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Taming a Sea Horse

私立探偵スペンサーシリーズの13作目(日本版1987年)にあたり、9作目「儀式」(日本版1984年)の続編という位置づけです。

「儀式」では通りで身を売るしか救いがなかった少女エイプリルを、比較的まともな高級娼館の女主人へ引き渡してどうにかどん底から救い出したものの、そこで新たに知り合った男に騙され、飛び出したまま行方不明になります。

そのエイプリル・カイルを救うためにスペンサーが活躍をするわけですが、エイプリルを引き抜いたポン引き男を見つけて情報を引き出し、さらにその同じ男に使われている娼婦のジンジャーへも接触をします。

そこで彼女から12歳の時に父親に性的暴力を受け、その父親に16歳で娼館へ売られた過去の身の上話を聞くことになります。

その後その娼婦は誰かに殺されてしまい、スペンサーの怒りに火がつきます。なぜジンジャーが殺されなければならなかったのか?誰が殺したのか?そして飛び出していったエイプリルは今どこにいるのか?黒幕は誰か?という謎だらけの追跡が始まります。

それらの事情を調べるため、まず手始めに殺されたジンジャーの故郷へ出向き、そこで父親にジンジャーの仇とばかりに、わざと喧嘩をふっかけ、殴り合いをするあたり、まさにスペンサー流の調査といったところです。

タイトルの「海馬」は「タツノオトシゴ」や「セイウチの別名」という意味と、最近脳科学などでよく聞く「本能的な行動や記憶に関与する大脳辺縁系の一部」という意味があります。

最初は、深く考えずにただ本能だけで行動するエイプリルのことを指しているのかと思いましたが、作品が書かれた1982年頃と、原題の「Taming a Sea Horse」からするとやっぱり「タツノオトシゴ」で、エイプリルのことを、海流などの流れに逆らわず、外洋を漂い、擬態を用いて隠れ住むその特性に重ねているのしょう。全然違ってたりするかも。

■スペンサーシリーズ関連過去記事
スペンサーシリーズの読み方(初級者編)
さらばスペンサー!さらばロバート・B・パーカー
ハードボイルド的男臭さ満点小説

2月後半の読書 2012/3/4(日)

034 告別 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Valediction

ボストンの私立探偵スペンサーシリーズ11作目の作品で1992年に日本語訳が出ています。

今回の事件は、あるダンスチームの主宰者から怪しい新興宗教集団に自分の恋人がさらわれたと言う事件に首を突っ込むことになりますが、本当の事件はというと、スペンサーの恋人スーザンが精神科医の学位を取った後、ひとりになりたいと遠く西海岸へ行ってしまうことにあります。

そのためタフガイだったはずのスペンサーは精神的にヨレヨレになってしまい、しかもスーザンに男がいることまでわかり、振る舞いが暴力的になるのはまだいいとしても、生きていく気力までを失って、クライマックスでは拳銃を構える犯人に向かって手ぶらで向かっていき、そのため胸を2発撃たれ、意識不明の重体となってしまいます。

物語の内容というか事件そのものは、やや薄っぺらく、ご都合主義的に思いますが、タフガイのスペンサーが、イアン・フレミングの描く本当の007ジェームス・ボンドの姿−−任務のためとは言え、人をひとりやむを得ず殺してしまい、そのせいで、酒浸りになり、ひとりで悩んで苦しむ−−とダブって見えます。

1月後半の読書 2012/2/4(土)

033 過ぎ去りし日々 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
All Our Yesterdays

アイルランドからワケありでアメリカへ移住してきた祖父と、ボストンで親と同じ警官という職業に就いていた父親が辿ってきた人生を、主人公が調べ上げてきたことを、婚約破棄寸前の恋人に語ることで、その恋人の家族とのあいだに思わぬ接点があり、家族同志の関係が悪化した理由が徐々に明らかになっていく壮大なスケールの大河小説です。

ロバート・B. パーカーと言えば「探偵スペンサーが活躍しなければ面白くない」という人も多いのではないかと思いますが、パーカーファンであれば、この長編小説は大いに読む価値あります。

この小説では3代に渡る2つの家族の関係がポイントで、パーカーが作品の中で時々見せる「親と子の絆」について、その原点を知ることができます。

また同時に、命をかける勇気ある男の行動、安易な結婚の末路、そしてそれぞれの時代における恋愛など、スペンサーシリーズをも包括したような面白さがあります。

ただ小説の時代が今と過去と次々に交差し、登場人物も多いので、ゆっくりと理解しながら読み進める必要があります。ページは通常のスペンサーシリーズのゆうに2〜3倍はありますから、2〜3時間で読了し、難問も解決というわけにはいきません。私も何度か登場人物の欄を見直しつつ、じっくりと読む進めました。

小説の中では、外国人の場合、ファーストネーム、ラストネーム、ニックネームが場面場面で使い分けられ、会話に出てきたりすることがあり、それも同じラストネームで3代続くわけですから、混乱して、同一人物だとあとで気がついたりすることがしばしばあります。

内容自体はテンポもよく、スラスラ読めますが、一度こんがらがると意味不明に陥りますので、落ち着いてじっくり読める時にこそお勧めです。

12月後半の読書 2012/1/4(水)

032 灰色の嵐 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Rough Weather

残り少なくなってきたスペンサーシリーズ36作目は、過去(「悪党」「冷たい銃声」)に登場し、最初はスペンサーの命を奪う目的だったのが、その後は和解し、時には仲間としても活躍するようになった全身灰色ずくめの腕利き殺し屋グレイ・マンと再び対決することになります。

この謎だらけでクールなグレイ・マンの人気は高いのですが、この小説で再び適役となってしまった以上、主人公は死ぬわけにはいかないので結局グレイ・マンが死んでしまうのかとちょっと残念に思いながら読み進めます。

最初に娘の結婚パーティが開かれる島の女主人に護衛を依頼されながら、スペンサーの目の前でその娘が誘拐され、花婿や護衛が殺される事件が勃発し、その主犯がなんと顔見知りのグレイ・マン。そこから二人の闘いが切って落とされます。その後ボストンへ戻ってからは、「なぜグレイ・マンともあろう男がこのような雑な事件を起こしたのか?」「裏で糸を引いているのは誰か?」などを相棒ホークとともに調査を始めます。

しかし「首を突っ込むな」というグレイ・マンの警告に対し、一歩も引くことはないスペンサーをやがてつけ狙う殺し屋が現れたり、グレイ・マンや、パーティが開かれた島の持ち主、その元結婚相手などを調べていくうちに、徐々に謎が明らかとなっていきます。

このあたりは、いつものことですが、「わからない時は、とにかくいろんな人を尋ね歩き、つつき回すと、それを気に入らないと思う奴らがしびれを切らせて尻尾を出す」ということで、その通りになっていきます。

そして、最後の対決のためグレイ・マンがスペンサーの部屋へやってきて語る自身の過去とは、、、う〜ん、、、

■スペンサーシリーズ関連過去記事
スペンサーシリーズの読み方(初級者編)

さらばスペンサー!さらばロバート・B・パーカー

ハードボイルド的男臭さ満点小説

11月前半の読書 2011/11/23(水)

031 ドリームガール (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Hundred-Dollar Baby

昨年死去したロバート・B・パーカーのスペンサーシリーズの小説も未読分が残りあと数冊となってきましたが、大手書店やamazonでも在庫がなくなっているものもあり、たまたま見つけるとすぐに買ってしまいます。

このドリームガールは比較的新しく日本では2007年頃に出版されたもので、ちょうどその頃は他のシリーズが立て続けに文庫で刊行されていて、なぜかこの作品を見逃していました。

ロバート・B・パーカーや主人公スペンサー、あるいはハードボイルド小説については過去何度か書いています。

スペンサーシリーズの読み方(初級者編)
さらばスペンサー!さらばロバート・B・パーカー

今回は過去に2度(「儀式」と「海馬を馴らす」)危ないところを救い出した女性が、スペンサーの本拠地ボストンで高級娼館を経営していたところ、そこへ謎の相手から妨害が入るようになり、スペンサーが乗り出すというストーリーです。

助っ人にはホークはもちろん、最強のゲイと言われているテディ・サップも応援に駆けつけます。このテディ、名前がサップとつくので、どうしても私のイメージとしてはボブ・サップとなってしまうのですが、こちらは白人の銃使いです。

この小説のヒロインは少女の頃から売春をしていて、現在もその中から抜け出せずにいます。スペンサーと恋人スーザンとの会話の中で娼婦についての話しとなり、スペンサーは若い頃に兵士として従軍していた時、その休暇を使い仲間達と「巣鴨のホテルに泊まり、娼婦を買い、そして戦地へ戻った。娼婦を買ったのはその時が最後」と語る場面がありますが、過去の話とはいえ恋人に自分が娼婦を買ったことがあるなんて話しをするとはなんともはやです。

そこで、あれ?スペンサーってベトナム(実質的なアメリカ参戦は1965年〜1975年)へ行ったことあったっけ?と思いましたが、スペンサーシリーズ第1作目は1973年の発行で、その時既に警察官を経験した上で、探偵に職を変えていましたからちょっと無理があります。

解説を読んでわかったのですが、スペンサーは1950年代の朝鮮戦争へ兵士として行ったことになっていたそうで、このシリーズが大ヒットして、約40年間も続いてしまったものだから、そこのあたりの年代が合わなくなってきたということです。

確かに仮に20歳で朝鮮戦争へ従軍していたとすれば、今は80歳近い年齢となりますから、ちょっとハードボイルドのイメージが崩れてしまいます。小説の中でも「戦地に行った」としか書いてなくぼかした扱いになっています。

小説の中では一切年齢は明かしてきませんでしたが、イメージとしてはスペンサーはシリーズ最初の頃は30代後半、最近のものは40代の半ばという感じがします。

理由は、ボストン市警の警部(マーティン・クワーク)にいつもタメ口を聞いているので、さすがに30代ではありえないだろうと。

40年経っても主人公はまったく変わらないか、せいぜい10歳ぐらいしか歳をとらないのは、サザエさんやちびまる子ちゃんを見てもわかるとおりです。


10月上旬の読書 2011/10/19(水)

030 昔日(ハヤカワ・ミステリ文庫) (スペンサー・シリーズ)
Now and Then

昨年亡くなったロバート・B・パーカー氏の作品の中で、スペンサーシリーズとしてはラスト4にあたる2007年に出された小説(日本語版は2008年)です。まだシリーズ35冊(文庫発刊済み)の中で読んでないのが10冊ほどあるので、ブックオフへ行った際には必ず棚をチェックしています。しかしこのシリーズはほとんどブックオフに出てこないのですが、なにかワケでもあるのでしょううか。

今まで行った書店の中では、このスペンサーシリーズが一番多く置いてあったのは、丸善丸の内本店ですが、そこでもシリーズの8割ぐらいしかなかったように記憶しています。

保管場所に困らないAmazonでも全部が在庫としては持っていないので、シリーズ全部揃えるのはたいへんな苦労です。

そのうちまだ文庫として未発刊分のものを含め、38冊全部が箱詰めされて発売されるかもしれませんね。熱烈なファン以外「誰が買うねん、そんないっぱい」とも思いますが。

さて物語は、お馴染みの相棒ホークと、ガンマンのヴィニー・モリス、西海岸から応援に駆けつけたメキシコ系のチョヨが揃い、なかなか表面化してこない殺人集団を自らがそのターゲットとなって探していきます。

ちなみにスペンサーもホークも最高のガンマンと認める二人、ヴィニー・モリスの活躍は「拡がる環」「歩く影」など数多く、チョヨの活躍は「スターダスト」や「虚空」などで見られます。

題名は、妻の浮気調査を依頼してきた旦那が、その証拠を得た後に、夫婦とも何者かに殺されてしまったことから、その夫婦の復讐に燃え、さらに昔、スペンサーから離れていった恋人スーザンの心変わりが、今回の妻の浮気を心配する旦那の気持ちにシンクロして、それが関連づけられているのだと思われます。

7月後半の読書 2011/8/6(土)

029 蒼ざめた王たち (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)
Pale Kings and Princes

スペンサーシリーズ14作目(全37作)となる小説です。スペンサーシリーズは23作を既に読んでいて、今までに2回同じ作品をダブって買ってしまいましたが今回は大丈夫でした(と言ってもブックオフで見つけた100円本ですが)。

ストーリーは南米人が多く住む地方都市で新聞記者が殺された事件を解明するために出掛けます。

なんとなくコカインの犯罪との関係が臭うのですが、続けてスペンサーが接触をした警察署長やその子供までが殺され、意外な展開へと続いていきます。

もちろん相棒ホークもジャガーに乗って後半からですが颯爽と登場します。

9月後半の読書 2010/10/9(土)

028 スクール・デイズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
School Days

2009/11/20読了

「スクール・デイズ」はスペンサーシリーズのたぶん32作目で、これほど長くマンネリと言われず(言われてるのかもしれないが)続いているシリーズは少ないのではないでしょうか。

もちろんシリーズとはいえいくつかをつまみ食いで読んでも問題はありません。ただレギュラー陣がどのような経緯で主人公と関わりを持ったのかを知らないと、その絆の深さや信頼度がわからないままということになりかねません。

内容はボストンの高校で起きた乱射事件の真相を犯人だと自白した少年の祖母から頼まれ、ひとつずつ真実に近づいていきます。

今回は相棒のホークや恋人スーザンなどのレギュラー陣はほとんど出てきません。たまにはこのようなスペンサーだけが地味に根気よく活躍するのもいいのかも知れません。

11月後半の読書 2009年12月1日(火)

「BOOK」データベースより
ボストン郊外のハイスクールでスキーマスクをした二人組による銃乱射事件が発生、生徒の少年二人が逮捕された。容疑者の一人、ジェレドの祖母がスペンサーを訪れ、孫の濡れ衣を晴らしてほしいと言う。スペンサーは調査を始めるが、警察をはじめ関係者は皆、事件に早く幕を引きたがっている様子だ。背後にはいったい何が隠されているのか?スーザンもホークも不在のなか、孤高の騎士スペンサーが少年の心の奥に潜む真実を探る。

027 冷たい銃声 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 1-49 スペンサー・シリーズ)
Cold Service

2009/05/28読了

「BOOK」データベースより
背中から銃撃され、ホークが瀕死の重傷を負った。彼が護衛していた賭け屋一家も殺され、ホークは静かに復讐を誓う。しかし事件の背後には、襲撃の実行犯であるウクライナ・ギャングだけでなく、旧知のギャング、トニイ・マーカスをはじめ、様々な人物の思惑が絡み合っていた…スペンサーの協力のもと、ホークは真相を追い、復讐計画を練り上げていく。砕かれた誇りを取り戻す、ホークがホークであるための闘いが始まる。

026 ガンマンの伝説 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Gunman's Rhapsody

2008/11/11読了

「BOOK」データベースより
銃の力が支配する大西部。銀鉱の町として発展しつつあったアリゾナ州トゥムストーンでは、町の治安を預かるアープ兄弟と、クラントン兄弟を中心としたカウボーイたちとの対立が激化していた。やがて、両者は正面から激突し銃火を交えた。西部開拓史上有名な、「OKコラルの決闘」である―西部劇の伝説的なヒーロー、ワイアット・アープの姿を、巨匠パーカーが史実と自由な発想を交えて描いた、渾身の本格ウエスタン。

025 背信 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 1-47 スペンサー・シリーズ)
Bad Business

2008/06/29読了

「BOOK」データベースより
夫の不貞の決定的証拠を掴んでほしい。依頼人の女性マーリーンはスペンサーにこう懇願した。彼女の夫トレントンは世界的大企業の最高財務責任者だという。調べを進めるうちに明らかとなる、奇妙な男女関係。やがてトレントンが会社で死体となって発見され、さらに同社の警備部長まで不審な死を遂げてしまう。事件を追うスペンサーは、巨大企業の暗部に足を踏み入れることに…。スペンサーが専門外の事件に挑む異色作。

024 ダブルプレー (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 1-45)
Double Play

2008/03/15読了

「BOOK」データベースより
人種差別がいまだ厳しいアメリカで、黒人大リーガーとしてブルックリン・ドジャースに入団し、注目を集めるジャッキー・ロビンソン。第二次世界大戦で心身ともに傷を負ったバークは、彼のボディガードとして雇われる。立場を越えて友情を深めるふたりだが、イタリア系ギャングがロビンソン暗殺を計画する。バークは友人を守りきれるのか?1947年のアメリカ野球界を舞台に男たちの友情と闘いを描く傑作ハードボイルド。

023 影に潜む (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Stone Cold

2008/02/14読了

「BOOK」データベースより
最初の被害者は若い男性で、死体は砂浜で発見された。次は女性で現場はモールの駐車場。被害者たちの間には何のつながりもない。だが二人とも小口径の銃で、同じように胸を二発撃たれていた。それも二挺の銃で一発ずつ。特異な手口の連続殺人なのか?動機なき殺人を追うストーン署長の苦悩は深まる。だが彼に挑戦するかのように、さらなる殺人が…熱き警官魂を持つクールガイ、ジェッシイ・ストーンが姿なき敵に挑む。

022 晩秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Pastime

2007/12/30読了

「BOOK」データベースより
スペンサーとの運命的出会いから十年―自閉症の少年から、ダンサーとしてすっかり成長したポールが新たな問題を抱え、スペンサーの前に現れた。連絡のとれない母親を捜し出してほしいという。調べると、母親はチンピラと駆け落ちし、しかもその男はギャング組織の金を持ち逃げしていた。やがて、スペンサーは男を追うギャングと渡りあうことに…スペンサーの生い立ちを挾み、親子と男女の絆を描く名作『初秋』の続篇。

021 キャッツキルの鷲 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)
A Catskill Eagle

2007/12/28読了

「BOOK」データベースより
西海岸へ去ったスーザンから手紙が来た。留置場に入れられたホークを助けてほしいという。スーザンは新しい土地で恋人を得たが、スペンサーとの間で悩み、見かねて訪ねたホークが逆に恋人の罠にはまったのだ。そればかりか、今度はスーザンがその恋人にどこかへ拉致されてしまった。ホークを脱獄させたスペンサーは、彼女を求めて決死の捜索行に乗り出す!雄大なスケールと息もつかせぬアクションで放つ、シリーズ話題作。

020 儀式 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)
Ceremony

2007/12/26読了

「BOOK」データベースより
スーザンがカウンセリング指導をしている少女エイプリルが姿を消した。もともと悪い噂が絶えず、売春組織に関わっていた可能性もある。母親に懇願されたスペンサーは、たった1ドルの報酬で娘を連れ戻すことを請け負い、ホークとともに背徳うずまく歓楽街に潜入した。ところが何者かが圧力をかけているらしく、関係者は固く口を閉ざし関わり合いになろうとしない。やがて、複雑な糸を手繰り寄せ、ようやくエイプリルの居所をつきとめたスペンサーの前に、狡猾な売春組織がたちはだかった。揺れ動く少女の性に鋭くメスを入れたシリーズ問題作。

019 残酷な土地 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)
A Savage Place

2007/12/24読了

「BOOK」データベースより
スペンサーを西海岸に行かせたのは、レイチェル・ウォレスからの電話だった。友人のテレビ局のニュース記者キャンディ・スロゥンが、護衛を必要としているというのだ。依頼を受けたスペンサーがロス・アンジェルスに着いた晩、キャンディは何者かに襲われた。彼女が追っている映画撮影所の賄賂がらみの不正事件の公表を恐れた人間の仕業らしい。だがキャンディは脅迫に屈せず、女であることの武器を最大限に利用して、調査を続けていく…ロス・アンジェルスを舞台に“女性誇示”の依頼人とそれを助けるスペンサーの捨て身の捜査を描く会心作。

018 誘拐 (ハヤカワミテリ文庫―スペンサー・シリーズ)
God Save the Child

2007/12/18読了

「BOOK」データベースより
ボストン北方の町スミスフィールドで建設業を営むロジャー・バートレットの息子が家出して一週間たった。単なる家出か、それとも…?両親の依頼で15歳の少年ケヴィンを捜すことになったスペンサーは、彼が飼っていたモルモットだけを持って家を出たことに疑問を抱く。几張面な彼がモルモットの餌やケースを忘れるはずがない、きっと遠くへは行っていないはずだ…そう考えて少年の調査を進めているうち、こま漫画形式の身代金要求状が送られてきた!スペンサーの恋人スーザン・シルヴァマンが初めて登場するシリーズ第二作。

017 レイチェル・ウォレスを捜せ (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)
Looking for Rachel Wallace

2007/12/10読了

「BOOK」データベースより
「スペンサー、レイチェル・ウォレスが誘拐された。すぐに来てくれ」出版社からの電話はクリスマス気分を吹き飛ばした―それより2カ月前、スペンサーは同じ出版社の依頼で、ある女性著作家の護衛についていた。だが女性解放論者であり、かつレズビアンであることを公言する彼女とは肌が合わず、やがて彼女と衝突したスペンサーは解雇されてしまったのだ―その女性、レイチェル・ウォレスが過激派組織に誘拐された!彼らの目的は?彼女は無事なのか?単身レイチェルの足跡を追うスペンサーは、大雪に閉ざされたボストンの街を走る!

016 約束の地 (ハヤカワ・ミステリ文庫 110-3 スペンサー・シリーズ)
Promised Land

2007/12/07読了

「BOOK」データベースより
依頼人の家出した妻は、ウーマンリブ運動家たちがくわだてた銀行襲撃事件に巻き込まれ、夫は凄腕の借金取立て屋につきまとわれていた。スペンサーは、二人のトラブルを一挙に解決すべく、一計を案じるが……現代風俗と男女のあり方を鮮やかに描出するアメリカ探偵作家クラブ賞受賞作。

015 失投 (ハヤカワ・ミステリ文庫 110-1)
Mortal Stakes

2007/12/03読了

「BOOK」データベースより
大リーグのエースに八百長試合の疑いが……球団からの極秘の依頼で調査に乗り出したスペンサーは、事件の裏に潜む醜悪な脅迫を探り出す。無力な人々に群がるハイエナに、スペンサーの怒りが炸裂した! 現代の騎士、私立探偵スペンサー登場。人気沸騰のシリーズ会心作

014 ゴッドウルフの行方 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)
The Godwulf Manuscript

2007/12/03読了

「BOOK」データベースより
大学の図書館で厳重に保管されていた中世の稀覯書〈ゴッドウルフ彩飾写本〉が何者かに盗まれた。総長の依頼で調査を開始したスペンサーは、容疑がかかっている学内の過激派組織SCACEの書記をつとめる女子学生テリイと接触する。その深夜、彼女からの電話で駆けつけたスペンサーが見たものは、射殺死体の傍に呆然と立ちつくすテリイの姿だった!テリイを殺人容疑から救おうと奔走するスペンサー。が、事件の裏には意外な陰謀が…。話題のヒーローのデビュー作。

013 真相 (ハヤカワ・ノヴェルズ)
Back Story

2007/11/28読了

「BOOK」データベースより
母を殺した犯人たちを見つけてもらいたいの―迷宮入りになった28年前の銀行強盗事件で犯行グループに射殺された被害者の娘が、真剣な面持ちでスペンサーに訴えかけた。警察の捜査報告書によれば反体制の革命グループが犯行声明を出していたが、その正体は不明のままだった。やがて政府の秘密機関員だと名乗る男が、スペンサーのもとに忠告に現われた。事件の調査から手を退いたほうが身のためだというのだ。それは、彼がさらなる情報を求めてFBIの支局を訪れた直後のことだった。その後、ガンマンが銃をちらつかせながら、事件に関わらないようにとスペンサーに脅しをかけてくる。28年前の強盗事件の裏に、どんな秘密が隠されているというのか?関係者の多くが口を閉ざすなか、スペンサーが突き止めた苦い真相とは…。パラダイスの警察署長ジェッシイ・ストーンの協力を得たスペンサーが、28年の時を越えて事件の真相に迫る。

012 おそらくは夢を (ハヤカワ・ミステリ文庫)
PERCHANCE TO DREAM

2007/07/13読了

「BOOK」データベースより
私立探偵のフィリップ・マーロウは、スターンウッド家の執事ノリスからの失踪人捜索の依頼を受けて、その邸を再び訪れる。当主であった将軍はすでに亡く、長女ヴィヴィアンは妹のカーメンをサナトリウムに入院させていたが、精神を病んでいる彼女が突然に姿を消したのだ。だが、行方を追い始めたマーロウの前に、巨大な権力が立ちはだかる。ハードボイルドの巨匠が贈る、レイモンド・チャンドラー『大いなる眠り』の続篇。

011 笑う未亡人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 1-42 スペンサー・シリーズ)
Widow's Walk

2007/06/22読了

「BOOK」データベースより
初老の裕福な銀行家が殺され、28歳も年下の妻が逮捕された。弁護士の依頼で調査を始めたスペンサーは、あまりの単純さにかえって不審を抱く。釣り合わない結婚、事件直前の大喧嘩、アリバイの欠如。彼女に夫殺しを頼まれたという男まで現われる。ここまでうかつな犯人があるだろうか?だがやがて、関係者の裏の繋がりを探り出したスペンサーに銃口が向けられた!私立探偵スペンサーがボストンに巣食う悪に立ち向かう。

010 ハガーマガーを守れ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Hugger Mugger

2007/01/31読了

「BOOK」データベースより
スペンサーのもとに、遙か南部のジョージア州から依頼人がやってきた。彼の経営する厩舎の馬が何者かに次々と銃撃され、前途有望な競走馬ハガーマガーも狙われているので、犯人を探し出してほしいというのだ。スペンサーは単身ジョージア州に赴く。厩舎は厳重に警備されていたが、スペンサーは不穏な空気を感じ取っていた。競走馬でない馬までも銃撃する犯人の目的は?やがて凶弾は、思いもかけぬ標的に襲いかかった。

009 ポットショットの銃弾 (ハヤカワ・ノヴェルズ)
Potshot

2006/11/13読了

「BOOK」データベースより
西部の小さな町ポットショットから来た美女は、夫を殺した犯人を捕らえてほしいとスペンサーに依頼した。町の近くの鉱山跡に巣くう無法者集団“ザ・デル”が、彼女の夫を殺したと言うのだ。町の警察も保安官も、強大な“ザ・デル”には手を出せない。町へ乗り込んだスペンサーは、はやくも“ザ・デル”と対峙するが、その様子を見ていた町の有力者たちは、驚くような提案をスペンサーにした。「金は出す、方法は問わない、“ザ・デル”を追い払ってくれ」さっそく準備にかかったスペンサーは、各地から腕利きのガンマンたちを集める。敵の勢力は四十人以上だが、ホークをはじめとするスペンサー陣営も凄腕ぞろいだ。西部の荒野に、対決の舞台は整った…だが、スペンサーの嗅覚は、事件の裏にまったく別の構図を嗅ぎ当てていた。対決を前に明らかになる、意外な事実とは?雄大な西部の荒野を舞台に、オールスター・キャストで送る、アクション巨篇。

008 ユダの山羊 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)
The Judas Goat

2006/08/17読了

「BOOK」データベースより
車椅子の老富豪は、そこだけが生命の火を燃やしているような両眼を、ひたとスペンサーにすえた。妻子を殺したテロリストどもを捕えてほしい。標的は9人、報酬は1人につき2500ドル、ただし生死は問わない…。老人の怒りを見たスペンサーは、敢えて賞金稼ぎを引き受ける。ロンドンへ飛んだ彼に、テロリストたちの反撃がはじまった。再三の死闘に傷ついたスペンサーは、ついにボストンへ連絡をいれる。「ホークをよこしてくれ」ヨーロッパ各地を転戦する2人は、組織のリーダーに迫るが。―雄大なスケールで放つ、シリーズ屈指のアクション篇!

007 突然の災禍 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Sudden Mischief

2005/05/02読了

「BOOK」データベースより
スーザンの元夫ブラッドがセクハラで訴えられた。20年ぶりに現われた元夫に対する複雑な想いを胸に、スーザンはスペンサーに助力を求める。調査を開始したスペンサーに対し、当のブラッドは容疑を否定し弁護士を雇おうともしない。訴訟を起こした女性は、法曹会の大物を夫に持ち、妥協の余地はなかった。やがてスペンサーのもとへ二人組が現われ、調査をやめるように脅しをかけてきた。単純と思われた訴訟の裏に何が…。

006 忍び寄る牙 ジェッシイ・ストーン・シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Trouble in Paradise

2005/01/18読了

「BOOK」データベースより
刑務所を出たプロの犯罪者マクリンは、塀の中で面白い話を聞き込んでいた。パラダイス港に浮かぶ小島、スタイルズ島のことだ。島には金持ちの高級住宅と銀行があり、一本の橋で本土とつながっている。警備は民間の警備会社のみ。この島を襲い、すべての金品を丸ごと強奪してやろうというのだ。自信満々のマクリンは恋人のフェイに、こう言い放った。「世紀の強盗になるぞ」着々と準備を進めるマクリンは、資金を調達し、凄腕の仲間を揃える。殺し屋のクロウ、爆破屋のフラン、エレクトロニクスの専門家JD、水路に詳しい船主のコスタ。町へ下見に来たマクリンはパラダイス警察の署長ジェッシイ・ストーンを訪れる。たかが田舎町の警察と侮っていたマクリンだが、応対に出た相手にただならぬものを感じた。いっぽう百戦錬磨のストーンも、多忙な日常業務をこなしながら、密かにマクリンに探りをいれはじめる。平和な町に忍び寄る影―二人の対決の日は、目前に迫っていた。ニュー・ヒーロー、警察署長ジェッシイ・ストーンに、強敵が迫る。巨匠パーカーが贈る、男気満載のアクション巨篇。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

005 悪党 (Hayakawa Novels)
Small Vices

2004/11/24読了

「BOOK」データベースより
一年半前、ペンバートン大学の裕福な白人女子学生が殺害された事件で、凶暴な黒人少年エリスに容疑が掛けられた。州警察のミラー刑事が事件を担当し、当時次席検事だったリタ・フィオーレが新米弁護士マーシイ・ヴァンスに充分な弁護をさせず、エリスを有罪にした。そしていま、大手弁護士事務所に転職したリタが、スペンサーの事務所を訪れ、事件を調べ直してくれという。エリスの弁護人だったマーシイがいまもなお彼の無実を主張しているらしい。再調査のため現地へ赴いたスペンサーは、被害者の両親からも大学の関係者からも、もう解決した事件だからと冷たい対応を受ける。しかし調べていくうちに、被害者のボーイフレンドだった男がタフト大学テニス部主将で、両親が大金持ち、しかも初めは被害者のことを知らぬ振りをしたことから、スペンサーは疑念を抱きはじめる。どうもこの事件には複雑な背景があるようだ。一方、スペンサーは事件から手を引くよう再三脅迫を受ける。いったい誰の差し金か?そして、愛するスーザンにも自分にも警護をつけ、用心していたにもかかわらず、スペンサーはジョギング中に何者かの射撃を受け、瀕死の重傷を負ってしまう。

004 初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)
Early Autumn

2004/08/01読了

「BOOK」データベースより
離婚した夫が連れ去った息子を取り戻してほしい。―スペンサーにとっては簡単な仕事だった。が、問題の少年、ポールは彼の心にわだかまりを残した。対立する両親の間で駆け引きの材料に使われ、固く心を閉ざして何事にも関心を示さない少年。スペンサーは決心する。ポールを自立させるためには、一からすべてを学ばせるしかない。スペンサー流のトレーニングが始まる。―人生の生き方を何も知らぬ少年と、彼を見守るスペンサーの交流を描き、ハードボイルドの心を新たな局面で感動的に謳い上げた傑作。

003 チャンス (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Chance

2003/12/16読了

「BOOK」データベースより
ボストンの暗黒街を牛耳るギャングの娘婿、アンソニイがとつぜん失踪し、捜索依頼がスペンサーのもとに持ち込まれた。原因はギャング間のトラブルだろうか?スペンサーはホークと協力し、アンソニイに病的なまでの賭博癖があることを突き止める。彼がギャングの金を持ち逃げしたと読んだスペンサーは、行方を求めて巨大娯楽都市ラス・ヴェガスへ飛ぶ―欲望の街にとらわれた愚かな男たちにスペンサーの拳が炸裂する。

002 虚空―スペンサー・シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Thin Air

2002/11/15読了

「BOOK」データベースより
スペンサーの朋友ベルソン部長刑事は、失踪した新妻リーサの捜索中、何者かに撃たれて重傷を負った。瀕死の彼に、調査を引き継ぐことを誓ったスペンサーは、リーサがギャングの男によって拉致され、監禁されていることを突き止める。スペンサーは、ギャングの抗争に乗じてリーサを救い出すべく、ロス・アンジェルスから強力な応援を迎え入れた―極限状態におかれた人間の絶望と勇気を描ききる、シリーズ中屈指の感動作。

001 ペイパー・ドール (Hayakawa Novels)
Paper Doll

2000/11/15読了

「BOOK」データベースより
ルイスバーグ・スクェアに豪邸を構えるボストンの名家の女主人が通り魔に殴り殺された。犯人を挙げられない警察に業を煮やした当主のラウドン・トリップは、私立探偵スペンサーを選んだ。殺された妻オリヴィアを心から愛していたラウドンの苦悩は深く、なんとしても殺人犯を捕らえ、厳罰を下したかった。だが、依頼を受けたスペンサーはしっくりしないものを感じていた。いくら家庭を大事にしていたといっても、彼らの息子や娘はなにか問題を抱え、殺された妻には夫の知らぬ秘密がありそうだった。一見非の打ちどころのない幸せな家族―、それは大いなる幻影だったのではないのか?この事件の担当刑事は恋人をエイズで失ったゲイの青年リー・ファレルだったが、スペンサーは彼の協力を得て次第に事件の背後にあるものを嗅ぎとっていく。そして、被害者オリヴィアの出身地サウス・カロライナへ赴くが、そこには彼女の出生にまつわる意外な事実と、調査を妨げようとする巨大な圧力が待ち受けていた…。シリーズ中もっともプロットに凝り、高く評価された第20作。


関連リンク
808 ロバート・B・パーカー「スペンサーシリーズ」全巻まとめ

328 スペンサーシリーズの読み方(初級者編)

327 さらばスペンサー!さらばロバート・B・パーカー



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