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日記INDEXページ(タイトルと書き出し部の一覧)はこちらです

683 退職勧奨・強要にあった場合の対処法 2013/2/2(土)
684 1月後半の読書 2013/2/6(水)
685 値上げ、増税スケジュールを考える 2013/2/9(土)
686 50代をどう生きるか?のヒント 2013/2/13(水)
687 旺盛な高齢者の労働意欲は善か悪か 2013/2/16(土)
688 2月前半の読書 2013/2/20(水)
689 自分の終焉をどう演出するか 2013/2/23(土)
690 映画「グランド・ホテル」と「第十七捕虜収容所」 2013/2/27(水)



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退職勧奨・強要にあった場合の対処法 2013/2/2(土)

683
パナソニックやソニーなど大手製造業の不振が日本経済に大きな影響を及ぼしていますが、各地で大手企業の工場閉鎖が発表されると当然ですがそれにともない人員整理が行われることになります。

日立、情報機器の半導体製造終了 青梅の工場閉鎖(2012年12月7日)
ソニー・富士通・シャープ…工場の相次ぐ閉鎖で荒廃する日本の城下町(2012年11月14日)
日立、ソニーと相次ぐ工場閉鎖に揺れる岐阜・美濃加茂の悲鳴(2012年11月3日)
ダウ・ケミカル 衣浦工場を閉鎖へ(2012年10月25日)
東芝、蓄電池生産を柏崎に集約 佐久工場は閉鎖(2012年10月24日)
製造業で減産の動き相次ぐ 工場閉鎖、リストラ加速…回復見通し立たず(2012年10月13日)
富士通3工場を閉鎖、売却 国内半導体組み立てから撤退(2012年8月31日)
東芝ライテックが山形と茨城の4工場を来年3月末に閉鎖(2012年7月12日)

おそらく20年前までは、地方都市に大手製造業を優遇してでも呼び込むことが、その都市の税収を増やし雇用を作り町の発展に寄与しました。そのためこぞって工業団地を造り、税制や土地取得を優遇し、インフラを整えてきました。

地方の市や町は、ソニーが来た、トヨタが来た、富士通が来たと大喜びして、これで市の財政も雇用も安心とばかり工場進出バブルに酔いしれた時期もあったのでしょう。

しかしそのバブルも長くは続かず、現在は次々と国内の工場が閉鎖し、そこで働いてきた多くの従業員が路頭に迷うことになり社会問題化しています。

第一に地方で勤務していた従業員が、工場閉鎖で別の遠くにある地方の工場へ異動ができるか?という問題。第二に現在各製造業の主力工場の現場では、正社員従業員よりも派遣労働者、季節労働者、外国人労働者などの非正規社員の割合が急増していて、果たして異動先でも同じ給料と正社員の立場が守られるのか?という問題もあります。

地方都市で働く人にはその都市を離れられない人も多くいます。親の介護や子供の養育、妻の仕事の関係など、異動したくともできない従業員はただ指をくわえて閉鎖を見送るしかありません。

私も一度は企業の経営者をやったことがある人間ですから、その道理はわかります。企業を生き残らせるためには経営上非情な判断をしなければならないときが確かにあります。工場閉鎖や支店・営業所閉鎖による配転や人員整理はその最たるものでしょう。

一方では、配転や人員整理される側に立ってみると、心の中ではやむを得ないというあきらめもありながら、それでも「もっとちゃんと従業員の生活のことを考えてくれよ」と思ってしまいます。当たり前です。会社ごときに人の人生をめちゃくちゃにしてもらいたくはないものです。

うまく異動や配転により従来の雇用条件が維持されたり、高額の割り増し退職金が支払われるのはまだいいほうで、中にはひどい会社やリストラ担当者が、たいした保障もせずに自主退職を強く迫ってくるケースがあります。そういう会社や責任者(上司など)には、無能のレッテルとたっぷりのペナルティで償ってもらわなければなりません。

退職強要問題を決着するには、突き詰めれば最終的には調定や裁判ということになりますが、企業側はできればそうなることを望んではいませんので、そこに至るまでに様々な懐柔や和解の条件を出してくるのが通例です。手っ取り早く言えば手切れ金(退職金割り増しや退職一時金)や転職サポート、関連会社への出向や転籍などです。

ただ、出向以外は従業員の了承が条件ですので、会社側からの提案に従業員が了承しなければその次の和解策、それでもダメなら労働問題調停、裁判へと移っていくことになります。

ただ、なんでも裁判に訴えかければいいかというと私は決してそうは思いません。

会社対従業員となると悪代官役は会社というケースが多いのですが、会社にとってみると裁判をおこなうこと自体は会社の顧問弁護士に全部任せておけるので、別にたいした問題ではありません。「裁判を起こし会社と上司の悪行を世間に暴いて思い知らせてやる」なんて見得を切るのはもう完全に時代錯誤で、自分(従業員)の大事な人生の時間と労力を無駄にするだけと思っています。

裁判に慣れていない個人が訴訟を起こすのは、それなりに多くの時間や精神的な負担、そして費用もかかってきます。それで例え勝ったとしても、一審で終わるとは限らず、結審するまで数年もかかることさえあります。そのような無駄な時間や費用を考えると、もっと他に選択肢がないかと考えるべきでしょう。

もちろん裁判に訴えることがすべていけないとは言ってません。いろいろな選択肢の中のひとつで最終手段として考えるべきで、感情的になって「訴えてやる!」と闇雲に走ってしまわないことです。

さて、工場や営業所の閉鎖で会社から退職勧奨(強要)をされた場合に、まずどうすればいいでしょうか?

ソニーの労組(仙台支部)では下記の「リストラ・退職強要をはね返す10カ条」が書かれた職場新聞を組合員に配布していたそうです。なお一部要約をしています。

(1)「辞めません」とハッキリ言う。退職勧奨に及ぶ一切の言動に対して「辞めません」とはねつけましょう。
(2)やっぱり「辞めません」。辞めない理由を言うとつけ込まれる。「辞めません」が最強です。
(3)退職強要にはきっぱり抗議を。「辞めません」と言っているのに繰り返し呼び出すのは違法な権利侵害です。
(4)人権蹂躙には厳重に抗議を。別室に閉じ込めたり仕事を取り上げたりすることは人権蹂躙。その事実を必ずメモにしておきましょう。
(5)出向・配転・転籍も断る。辞めないと出向・配転がおこなわれるというのなら「そのとき考えます」と答えましょう。
(6)会社より自分の生活が大変。「会社は大変だ」と言われたら「私の生活が大変です。ソニー復活のためにがんばらせてください」と言いましょう。
(7)おだてにのらず、謙虚に拒否を。「社外に転進してみろ」と言われたら「あなたがどうぞ」と言いましょう。
(8)家族は首切りに反対です。短気は損気。頭にきたら負けです。家族と子どもを思い浮かべて踏みとどまりましょう
(9)最後は黙秘でがんばりましょう。会社の説得に詰まったら「とにかく辞めません」と言い続けて、最後は黙っていましょう。
(10)ソニー労組仙台支部に相談を。困ったときは、1人で悩んでいても解決方法は見つかりません

「ソニーのような大会社だから労組が力になってくれて・・・」と思う人がいるかも知れませんが、基本は労働法、労働基準法などで労働者の権利は厚く守られています。世の中には「法律など関係ない!」とわめくワンマン経営者やバカ上司がいることも知っていますが、そういう人や会社には必ず法律により鉄槌が下されますから、逆にど素人相手の交渉でラッキーと思ってもいいかも知れません。

私も過去には経営者側、労働者側のそれぞれの立場で労働紛争の現場にいたことがありますが、結果的には冷静にそして多少ずる賢く対応した方が勝ちということです。つい熱くなってしまい、暴言や売り言葉に買い言葉でヒートアップしてしまうと決していい解決はできなくなります。

また個人でも加入できる労働組合に紛争解決を依頼をするケースがあり、それで大いに助かることがあります。しかしそれで最終的に本当にハッピーになったかというと、必ずしもそうではなかったケースも知っていますので十分に注意をして、選ぶ目を養いましょう。ちなみに私に組合について相談されても、知識不足ですので、お役には立てません。

あとTwitterで、フォローしている弁護士さんがツイートで書かれていた退職勧奨の考え方と強要されたときにできることをまとめると、

「退職勧奨はあくまでも労働契約を合意解約したいという使用者からの申込みに過ぎない。断るのは自由。また断る理由も不要。むしろ申込む側が信義を尽くしてなぜ退職勧奨をするのかを説明すべき。」

「退職勧奨を拒否してるのに執拗に続けると、退職強要となり違法性を帯びてくる。また退職させるために仕事を取り上げたり、別室に閉じ込めるのは退職強要の典型的手段。」

「出向・配転・転籍について。転籍は「退職+別会社入社」なので、労働者の同意なくしてできない。出向は業務命令として命じることが可能な場合があるが、労契法14条※に従う必要あり。配転は判例で「契約上配転命令を出せる根拠があることが大前提で、業務上の必要性と労働者の不利益を考慮し、かつ不当な目的で行うものでない」ことが求めらる」

「退職勧奨(強要)の際、その話しを録音すること。密室でのやり取りなので、どんな酷いことを言われてもそれを立証するすべがないと争ったとき厳しい」(これ重要です。経験から言えば相手から人格を否定するような暴言を引き出して録音できれば調停でも裁判でも勝ったも同然です)

一番いいのはそういう羽目に陥らないことですが、いまはいつなにが起きても不思議ではない時代ですので、お互いに気をつけるに越したことはありませんね。

(※参考)
労働契約法第14条(出向)
使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。


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1月後半の読書 2013/2/6(水)

684
神様のカルテ2 (小学館文庫) 夏川草介

2009年に発売された「神様のカルテ」は新人デビュー作品にもかかわらず高い評価を受け、2010年には本屋大賞第2位となりベストセラーとなりました。

著者夏川草介氏は現役の医師でその体験などをうまく織り交ぜながら地方にある24時間365日受け入れ可能な総合病院の若い医師とその妻の姿を描いています。

2011年公開の映画も大ヒットし、主演の櫻井翔とその妻役宮崎あおいがまずまずいい味を出していました。

この「神様のカルテ2」はその続編で、別々に読んでもさほど問題はありませんが、できれば順番通りに読むことをお勧めします。

内容は、松本市にある最後の砦と言われている総合病院に主人公栗原一止の医学生時代の同級生で非常に優秀だった医師が同じ病院へ赴任してくるところから始まります。

そういうところは、やはり医師でありながら作家の海堂尊氏の「田口・白鳥シリーズ」の小説を想像してしまいますが、同じ医師が書く小説だけあって、医療の問題点をあぶり出すところなど似ているところもあります。

そのエリート街道まっしぐらだった同級生が実家のある松本へ幼い子供を連れて帰ってきた話しと、主人公が慕って師と仰いでいた古参の医者が倒れてしまい、精密検査をすると思いがけず重篤で「負け戦」の闘いを余儀なくされる話しが中心としつつ、妻や共同住宅に新しく入ってきた学生なども含め話しが展開していきます。

おそらくこちらも映画化はされるのでしょうけど、小説の中では「神様のカルテ」よりも信州や近郊の四季折々の風景がたくさん出てきそうで、今から楽しみです。そして「神様のカルテ 3」もすでに単行本は刊行されています。文庫本になるのが待ち遠しいです。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

東京セブンローズ (文春文庫) 上・下 井上ひさし

井上ひさし氏(2010年没)は数多くの小説や童話、随筆、戯曲などを残し、直木賞、谷崎潤一郎賞、菊池寛賞、日本SF大賞、日本芸術院賞、日本レコード大賞や文化功労者顕彰まで受けた多彩な才人ですが、なんと言っても私の年代で一番有名なのは「ひょっこりひょうたん島」の原作(共作)者ということではないでしょうか。

「東京セブンローズ」は単行本として1999年に発刊され(文庫は2002年刊)ましたが、書かれた時期は1982年から1999年まで17年間に渡って(途中中断もあったそうだが)季刊誌に掲載された小説です。

舞台は終戦近い昭和20年4月から1年間、東京都の根津(東大や上野公園も近い下町っぽい文教地区)に住んでいる団扇屋の主人が書いた日記という体裁をとっています。

この日記は当時のままを再現するためか正字正かなで書かれていますので、若い人には読むのにちょっと苦労するかも知れません。

私の世代だと、特にそういう教育は受けていませんが、なんとかギリギリ読むことができます。書けといわれても絶対に書けませんが。

正字正かなとは例えば本文から引用すると「帝國ホテルを三階まで登ったところで、自分はさう結論を出した。<301>と眞鍮製洋數字の貼り付けてある扉をコツコツ叩きながら文子が訊いたから、かう答えた」「天皇が神ぢやないとわかってゐたのなら、はつきりさういへばいいんだ」「彼らはいづれも學徒出陣組で、命拾ひをして復員し、元の大學に戻ったが、たちまち生活難に陥った」「發表文や聲明文にたくさん漢字を竝べて有難味を出さうとしたんでせう」という感じです。

話しは、戦中戦後の物資不足で苦心する庶民の姿、その中でたくましく生活をしていく姿など、この時代の庶民の暮らしがよくわかってたいへん興味深いです。

苦労を知らず、アメリカと絶望的な戦争をしたことすら知らない小・中学生用に教科書として使うといいかもしれません。

この小説のテーマは日本語で、終戦後のアメリカ占領軍が、世界一複雑で悪魔の言語と称する日本語の改革に着手し始め、漢字を廃止しすべてカナに、そしてローマ字へと移行させようと画策しますが、それに抵抗する日本人達という流れになっていきます。久しぶりに長編小説の醍醐味を味わいました。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

鄙の記憶 (角川文庫) 内田康夫

お馴染みの浅見光彦シリーズのミステリー小説で、文庫は2006年に発刊されています。この浅見光彦シリーズというのは、小説ですでに119話、それ以外に紀行文・随筆まであり、探偵小説界のゴルゴ13と言ってもいいかもしれません。

面白いのはこれだけの小説(原作)であればテレビに映画に引っ張りだこかと思いますが、テレビでは「火曜サスペンス」を始め数多く原作となっているものの、映画で製作されたのは「天河伝説殺人事件」ぐらいです。

テレビドラマになると、そのキー局によって主役の浅見光彦を演じる役者が違い、ある時は国広富之だったり、水谷豊だったり、沢村一樹だったりします。内容が映画よりも2時間ドラマ(実質90分間)向きなのでしょうかね。

あまりよく知らない人のために書いておくと、主人公の浅見光彦はフリーのルポライターで、普段は旅行雑誌に記事を書いたり、政治家の提灯記事を書いたりしていますが、なにか事件が起きると冴えわたる嗅覚を生かし、次々と難題を解き明かしていくという素人探偵です。

また事件は日本各地で起き、一種、観光案内というか紀行もの小説とも言えます。多くの場合は人に頼まれ、仕方なく事件に首を突っ込むことになりますが、いつも現地の警察から余計なことをするなと反発を受けます。

そして後になって、実の兄が全国の警察署を統括している警察庁の刑事局長だということが判明し、警察の態度がコロッと一変するというのもいつものオチというか流れです。

この作品はまず最初に静岡にある寸又峡(すまたきょう)で起きた自殺か事故か事件かよくわからない遺体が発見されるところからスタートし、その後、舞台が秋田県の大曲へと移っていきます。

途中まで準主役かなと思っていた、定年間近の地方の新聞社通信部員もやがて死体で発見され、その通信部員と寸又峡で捜査を共にした浅見光彦が乗り出していくことになります。

この本を読んで静岡と言えば伊豆半島や清水、浜名湖など海岸線へはよく行くものの、大井川鐵道沿線や寸又峡の南アルプス直下の地域には今まで縁がなく行く機会がなかったので、今度折を見て行ってみたくなりました。

ちなみにこの小説の中でも会話に出てきますが、寸又峡で起きた戦後史に残る大事件として、1968年に起きた金嬉老事件があります。55歳以上の人なら誰もが知っている事件で、猟銃で脅し人質をとり旅館に88時間立てこもった劇場型凶悪犯罪のハシリとなった事件です。

その籠城の舞台となったふじみや旅館はその後長く営業していましたが、ここ最近の不況が影響したのか観光客減少で昨年1月に廃業したようです。


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値上げ、増税スケジュールを考える 2013/2/9(土)

685
競争の激しい牛丼やハンバーガー、コンビニ弁当、一部の日用品、NHKの受信料が値下げしているのに対して、昨年より様々なものが値上げされています。

中でも強制的に徴収されてしまう、税金や社会保険料などはその最たるものでしょう。あまりにもその種類と仕組みが複雑で、考えるのも億劫になってしまう税金や、知らないうちに淡々と引き上げられていく社会保険料など、多くの人は実際に天引きされたりしたあとで「えっ!」と気がつくケースも多いのではないでしょうか。

【主な増税・値上げスケジュール(予定含む) 】
2004年度から2017年度まで毎年 厚生年金保険料増額
2012年 4月 子ども手当から児童手当に変更され支給減額
2012年 6月 住民税の年少扶養控除廃止(収入により約10数万円減)
2012年10月 地球温暖化対策税(ガソリンや灯油、電気、都市ガスなどの料金に上乗せ)
2013年 1月 復興増税(所得税、住民税が今後25年間新たに課税)
2013年 4月 自賠責保険料改定、自家用乗用車で11.6%値上げ
2014年 4月 消費税増税(5%から8%)
2015年 1月 所得税、相続税の最高税率改定、相続税の基礎控除額大幅縮小
2015年10月 消費税増税(8%から10%)

【2012年と比べ3年後の2015年で年間いくら負担が増えるかという試算】
※計算対象は消費税、復興増税、厚生年金保険、児童手当・年少扶養控除廃止による負担増のみ

◆世帯年収 300万円、単身者の場合
 約10万6700円負担増(年収の3.6%) → 月8892円負担増

◆世帯年収 500万円、単身者の場合
 約18万8100円負担増(年収の3.8%) → 月1万5675円負担増

◆世帯年収 800万円、単身者の場合
 約28万6900円負担増(年収の3.5%) → 月2万3908円負担増

◆世帯年収 500万円、夫、妻、小学生の子供2人(専業主婦)
 約33万8500円負担増(年収の6.8%) → 月2万8208円負担増

◆世帯年収 800万円、夫、妻、小学生の子供2人(夫婦共稼ぎ)
 約42万6700円負担増(年収の5.3%) → 月3万5558円負担増

◆年金世帯 年収 240万円、夫、妻
 約16万3000円負担増(年収の6.8%) → 月1万3583円負担増

この試算を見ると、裕福と見られている高齢者世帯と、子供を持つ世帯の家計が苦しくなることがわかります。これでは付け焼き刃的に少子化対策などやっても、ちょっと知恵のある夫婦なら子供を作ろうとは思わないですね。

国の本音は、少子化対策はポーズだけで、今後の日本の経済力や食糧生産力からして、人口を7〜8千万人ぐらいまで下げたいと思っているのではないでしょうか。なんと言っても明治の頃より太平洋戦争終結後においても、少し人口が増えると移民という名の棄民政策を積極的に進めてきた国です。

人口抑制策として中国のように批判の多い一人っ子政策をやらずとも、無為無策でさえいれば自然減してくれますので国としてこれほどありがたいことはありません。

さらに上記の数字には出てきませんが、サラリーマンが老後に支給を受ける厚生年金の支払が2030年までに段階的に60歳から65歳に引き上げられます。

保険料の支払を始めたときには60歳から支給されるという国との約束でずっと支払ってきたわけで、これも実質的には国民の新たな負担と言っていいでしょう。

例えば20歳の時からずっと掛けてきた年金型生命保険が、60歳で満期となり年金が支払われることになっていたはずなのに、契約後30年が経過し50歳になった時に「当社のルールが変わったから支払は65歳からに」と言われたら、普通は怒るでしょう。

そんな生保は糾弾されて経営すら危うくなります。でもそれが国家なら平気だし、ある役人の言いなりのアホな社会保険労務士は「年金額は過去一度も減額されていない」と話しをすり替えて強弁します。

支払い開始が当初の約束より5年も遅れたら減額したのと同じかそれ以上のことがわかっていません。

そういう詐欺まがいのことを国家が平気でやるものだから、先月にもブログに書きましたが、国民年金の不払いや滞納が大量に起こるのです。もし勤め人でも厚生年金など社会保険が国民年金と同様自主的な納付制であれば、不払いや滞納が大規模に起きるはずです。

「サラリーマンなら関係ないが、国民年金の滞納率」

これら以外にも電力料金はすでに値上げ申請が各所で提出されていますが、円安が進むとさらに大きく値上げされる可能性があります。また地球温暖化対策税や消費増税に絡めて二重増税の拡大、それと増税に合わせた便乗値上げが続出するでしょう。

例えばガソリン価格のうち約40%、ビール価格は35%が税金ですので、その税金にも消費税をかけるという二重課税で、それを一向に改正しようとしない違法的な行為を続けています。

つまり消費税が上がると言うことはそれら二重課税される額も増え、それが直接商品価格に跳ね返ってくるということです。

国が復興予算を沖縄の国道整備に使ったり反捕鯨団体対策費などに流用するのと同様、企業や団体が増税に合わせて便乗値上げをしても不思議ではありません。特に価格競争がないか少ない電気、ガス、道路、郵便、保険、金融、通信、公共サービスなどはその可能性が高いでしょう。

でも、それでもね、やっぱり生きてはいかなければならないわけで、それぞれ知恵を出して、引き締めるところはグッと引き締め、かと言って将来を担う子供には、現在よりももっと厳しい社会が待ち受けているはずなので、今のうちにしっかりとした躾けや教育投資をしてやらねばと思うので、これぐらいのことで負けてたまるか!って心意気で私たち庶民は歯を食いしばってやっていくしかないです。

おぉ!珍しくなんと前向きで、から元気な締めくくりでしょう。

【関連リンク】
年金受給年齢の引き上げと高齢者雇用
ぼったくりの税金天国 
見過ごせない自賠責保険料の大幅値上げ 
消費税増税論議素人編


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50代をどう生きるか?のヒント 2013/2/13(水)

686
前のブログで前向きの締めをしたのには少し訳がありまして、それはあるコラムを読んで「なるほどねぇ」と感心したことによります。

そう、私は経験とそれらから得た知識から述べられた熱い言葉に出会うと、すごく感化されてしまいやすいタイプの人間なのです。

逆に経験ではなく単なる勝手な思いこみや、書籍などに書いてあることのひけらかしには反感を覚えるタイプでもあります。

それゆえに、感化されると簡単に自分の考えを変えてしまったり、反感を覚えるトラブルを避けるため、「俺が俺が」タイプとは交わりたくないという習性も合わせてもっています。

自分のことはさておき、そのコラムとは、

50歳台をどう生きるか」郡山史郎氏

日本には、テロも戦争も民族紛争も、徴兵も強制収容所もありません。生活は、衣食住どの点でも世界最高のレベルにあります。世界中の食べ物や娯楽が、居ながらにして楽しめ、その気になれば、世界のどこにでも漫遊に行けます。この状態は21世紀の終わりまで間違いなく続きますから、20世紀を生き残りいま50代というのは、人類史上最も幸運な世代です。メデイアの悲観論に振り回されてはいけません。

(中略)

これまでの、高度成長期には仕事は有り余るほどあり、求職者が足りませんでした。今、それは完全に逆転していて、仕事が不足しています。この需給の逆転は、就業している人に労働強化と給与カットを強制します。また、いったん何かの理由で離職すると、長期に仕事が見つからない失業地獄が待ち構えています。これは簡単な経済原則で、変えることはできません。

それではどうするか。まずこの経済原則を拳々服膺(けんけんふくよう)して、いま持っている仕事を徹底的に大切にする。それを失わないように、あらゆる努力をする。ごますりでも何でもいい。過労死だけは避けてそれ以外のことは何でもする。そのくらいのことでないと、生き残れません。

何かの理由で離職したらどうするか。まずそれは原因のいかんを問わず、自業自得と決心して万策を講じて仕事を探す。長期戦で条件は極端に悪いことを認識して、最初に見つけた仕事に飛び込む。そして我慢してその仕事を大切にする。それしかありません。


さすがに50歳代が「人類史上最も幸運な世代」とは思いませんが、仕事に関する記述はまさに同感に思いますし、「いま持っている仕事を徹底的に大切にする。それを失わないように、あらゆる努力をする。」というのは、最近の私の頭からスッポリと抜け落ちていた言葉でもあります。

私が失業地獄に陥ったのは10数年前まだ40歳前半の頃でした。なので、まだ求めてくれる企業があり、今もこうして毎月の給料を得ることができています。もしいま50代半ばになって職を失ったとしたら、必死に就職活動を何年やっても正社員の職が得られるとはとても思えません。

筆者も書いていますが、比較論で言うならば恵まれていると言っていいのでしょう。例えばホームレスも海外のホームレスや日本でも終戦間もない時代のことを考えると、今は自らの意志でホームレスとなり、希望すれば様々な制限はあるものの、雨露がしのげて風呂まである収容施設に入ることができます。障害や健康を害して働けなければ年金生活者よりも医療費負担がないなど恵まれた生活保護を受けることができます。

そうして、残りの2〜30年(筆者は40年と書いていますが、そう長生きはしたくない)は、また今までと違う別のゲームをスタートさせることができます。いわゆるリタイア後の老後ですね。そう思えば、今の苦しみや悩み、政治への不満などなどたいしたことないなと思えてくるから不思議です。

この筆者郡山史郎氏は、1935年(昭和10年)生まれで今年78歳。この年でもベンチャースピリットあふれる現役バリバリの経営者です。別に嫌みでもなんでもなく、誤解を承知で書くと、もうそろそろ引退し、ビジネスのアイデアと資金だけ若い人にサポートしてあげればいいのにって思わなくもありません。

こうした70過ぎても精神的に若い人は、身体が動く限り働き続けるのが、仕事と趣味が同じようなことなのでしょう。立派とは思いますが私は真似をしたくありません。

この「50歳台をどう生きるか」以外にも、

40代はどう生きるか
「2013年の今は、40代は文字どおり働き盛りで、年俸もピークにあります。ただ、そのあとに待っているものは、まったく違います。これから先は、ほとんどの人の稼ぎは減ります。もし収入を増やそうとしたら、過酷な競争が待っています。そして、極めて少数の幸運な人たちだけが、それをつかむのです。・・・」

60代で何をすべきか
「人生で60歳代は、野球の試合でいえば9回の裏です。味方が大量得点をしていて、自分もヒットを打って貢献しているなら、早く無事に終えて早く次の試合の準備をしたい。逆に、さんざん負けていて、自分も三振にエラーまでしているなら、次の試合があるかどうか、あっても自分がその試合に出られるか分からない。前途不安です。・・・」

もしあなたが70歳以上なら
「人生を決めるのは20代と70代です。20代で、第1回目の人生の基本形が決まります。そのあと70歳までは、その惰性で流されてしまいます。じたばたしても、その枠から飛び出すことは、難しいです。

70歳になったら、まず自覚しましょう。自分は自然にとっても、人間界にとっても、まったく無価値である。これから貢献できることはほとんどない。この自覚があれば、第2の人生を、自分にとって、また周りのすべての人にとって、きっと良いものにできます。・・・」

と各年代ごとに知的で前向きな生き方コラムがシリーズ化されています。

【関連リンク】
本当に中高年者は豊かで若者だけが貧しいのか?
中高年者の活用について
あちらを立てるとこちらが立たず
中高年者とスマートフォン 
中高年者の雇用問題と非正規雇用問題
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旺盛な高齢者の労働意欲は善か悪か 2013/2/16(土)

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先月の同じ日に掲載された日経新聞のふたつの記事を複雑な思いで読みました。

ひとつ目は、
団塊まだまだ働く、人口減の影響緩和、65〜69歳就業率アップ

ふたつ目は、
高齢者の労働意欲、先進7ヵ国で首位

なぜ複雑な思いをしたかと言えば「高齢者がいつまでも元気に働く」というのは表面上素晴らしくいいことのように思えてきます。健康を害して医療費補助、寝たきりになって介護費用などの増大が見込まれている中で、働くと言うことは国にとってはありがたいことのようにも思えます。

しかし団塊世代(現在64〜66歳)は、別名「逃げ切り世代」とも言われていますが、団塊世代以上の人達は、高度成長期からバブル時代を経験し、その現役時代の多くは右肩上がりのいい時代を送り、退職金もそこそこ、年金も60歳から満額支給され、今や65歳以上世帯の平均で現金性預金額は約2300万円(総務省統計局2011年調査)に達し、それとは別に動産や不動産なども所有しているという世界の中でも稀なリッチ世代です。

そういうリッチな高齢者が、いつまでも現役で頑張るというのは、上記の医療負担などの削減や今後何十年と労働人口が減少していく中での労働力確保という観点ではよいことかもしれませんが、恋愛や結婚、子育て、巣作りなどで多額の消費をする若い層ではなく、もうすべてが上がりの高齢者がこれ以上いくら稼いだとしても、それが市場に環流されることはほとんどなく、消費は伸びず、したがって景気は上向かない現状となにも変わりません。

藻谷浩介氏著の「デフレの正体」に詳しく書かれていましたが、日本は国内市場において人口構成上間違いなく縮小していくわけですが、国の政策として年金支給時期を遅らせたいがためとはいえ、雇用延長を引き延ばして労働力(頭数)を当面維持していこうというのがまるでわかりません。

そんなことしたら縮小経済の中で一人当たりの平均収入が減るのは当たり前で、しかも一番お金を使ってくれる、必要とする若い人に回らず、加速度的にますます経済は冷え込んでいくことになります。

「国内はダメでも海外の需要があるじゃないか」という人がいるかもしれませんが、国際競争する商品は日本で製造していては勝てないことは明らかで、国内に多くの労働者はもう必要ありません。いまこそ数千万円もの預金と年金がある人には、早く仕事を引退してもらい、使う側にまわってもらうほうへ移ってもらうべきではないでしょうか。

仕事よりも自分のライフスタイルを優先したいと考える今の若い人達から見ると「ものすごく裕福でありながら、なぜその歳になってまで仕事に執着するの?」と思うでしょう。そして調査によるとおよそ1/3の企業が、定年退職者の雇用延長の法制化を受けて、若年層の採用を控えると答えているように、高齢者がいつまでも職にしがみつくことで、そのとばっちりは必然と若い人へと向きます。

前述の記事の中には、人材コンサルタントが団塊世代の人達がいまなお仕事を求める理由として「生活のためという切迫感はあまりなく、『経験を生かしたい』『時間を持てあましている』というのが多い」とありました。正社員の道が閉ざされ、非正規社員やフリーターとして働くしかない多くの若い人達がそれを聞くと、心情穏やかでは済まないでしょう。

ま、非正規社員やフリーターとして毎日安い給料で働く若い人が、日本経済新聞をジックリ読むことなどあまりイメージできないので、その心配は無用なのでしょうけど(もしいらっしゃれば、その方はやがてデキると認められてまもなく正社員へ登用されるでしょう)。

合わせて、もうひとつの記事、世界の高齢者の労働意欲調査を見てみることにします。

それなりの資産や年金があれば、55歳〜60歳のうちに仕事から引退して、夫婦で老後をエンジョイしようと考える人が先進国には多いのですが、日本人は真面目なのか、仕事人間だったので他になにもすることがないのか、家にいる生活が耐えられないのか、仕事を辞めると社会から締め出されたような気がするのか、なんでもいいから肩書きが欲しいのか、様々な理由が考えられますが、働き口さえあれば、まだまだ働き続けたいと考える人が多いようです。

年金がもらえなかったり、少なかったり、かつ子供からの支援が受けられない場合は、日々の生活費を稼ぐために高齢になっても働かなければならないのは理解できますが、前述の通り不動産以外に数千万円の現金性預金を持つ高齢者は生活のためではなさそうです。

もし生活のためであったとしても、それは「年金が減らされたら」「大きな病気をしたら」というような漠然とした将来の不安が大きいのではないでしょうか。

私などは、引退してもいいのなら(住宅ローンの支払がなく、それなりの最低限の資産や年金があれば)、喜んでいつでもさっさと仕事から引退して、自分の好きなことをして毎日過ごせる自信があります。言ってみれば子供と同じでお金はほとんど使わずに毎日でも遊んでいられます。

働いているときはタクシーに乗ったり、新幹線で移動したり、高額なハイシーズンの時期に旅行したり、加工された部品を買ったりと「金で時間を買う」ことをよくしましたが、引退後はそのような時間の心配をする必要がなく、何をするにしても自分の知恵と労働とそれにかける時間がたっぷりあります。

新しくなった政府も、そのような高齢者が持つ預貯金をどうにか引き出させて、市中に流通させられないかと学者を集めて知恵を絞っているようですが、将来の年金制度や医療制度に不安がある限り、そう簡単にはいかないでしょう。

最終的には使い切れず、子供や孫に遺産として引き継がれていくので、あと20〜30年もすれば吐き出されてきますので、それを待つしかないでしょう。

そしてそれら親からの遺産を相続できる人達と、できない人達のあいだで今以上の大きな格差ができるでしょう。その格差をなくすには相続税を90%以上にすればいいのですが、その法律を作る政治家が、親の遺産をあてにしている二世や三世ばかりですから、ずっと苦学してきた橋下氏のような政治家以外は自分の首を絞める政策をおこなうはずがありません。

提案というわけではないですが、

(A)貯蓄や親の遺産などたっぷり資産を持っている人は55歳で早々に仕事から引退してもらう。
(B)年金は規定の期間以上納め、老後はその年金だけで生活しようとする人は60歳まで懸命に働き年金をしっかり納めてもらう。
(C)過去に規定年数の年金を納めてこなかった人は規定に達するまで懸命に働いてもらう。というように資産や年金支払い状況に応じ引退時期を分け、それぞれ年金支給時期や年金支給額にも差をつける。

(A)は早く引退したが資産があるので10年間はそれを使ってもらい年金支給は65歳からで年金支給額は他より多い。(B)は60歳から支給されるが支給額は普通。(C)は70歳から年金は支給されるが年金の納付期間や額により年金額に差異がつく。とか。

(A)なのに56歳で働くことは原則禁止。国や自治体から特定に認められた不足している専門職ならば認められる。ちなみに(A)〜(C)とも短期間アルバイト・パートなら、引退後も働くことは可能。でも経営者やフルタイムの正社員、公務員、議員、職員などにはなれない。など。

ま、なにをそうしても不公平さが残る年金と中高年以降の雇用問題について、半分ふざけて考えてみました。

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2月前半の読書 2013/2/20(水)

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蛇行する川のほとり (集英社文庫) 恩田陸

同著作は2002年に初出、2007年に文庫化された小説です。恩田陸氏の小説は過去に14作品を読んでいますが、どの作品も取り上げるテーマが固定していなく、創造性が豊かで、読んでいてグイグイと引き込まれる内容にはいつも驚かされます。

恩田氏の小説は意外と映画化された作品は少なく「木曜組曲 (2002年)」「夜のピクニック (2006年)」だけなのですが、その理由のひとつとして同氏の小説では複雑な人間関係や心理描写が多いのと、気持ちよくハッピーエンドで終わるわけではなく、読者に考えをゆだねてしまう終わり方をすることも多く、エンタメとしての映像化が難しいのかも知れません。

また主人公が中高生だったりするので、そのような心理描写を表現できる演技力に優れた若い役者がなかなかいないということもあるかも知れません。その点大人のミステリーだった「木曜組曲」は、浅丘ルリ子、鈴木京香、原田美枝子などベテラン女優を揃えることで深みのある人間ドラマがうまく成立しています。

この「蛇行する川のほとり」は人気作品の「六番目の小夜子」や「夜のピクニック」と同様、主人公が高校生の小説です。最初はそうとは知らずに買ってきて、読み始めてから50半ばのジジイが読んで面白いのかな?と疑いながら読み進めていくと、高校生にしては知的で気が利き出来過ぎの人達ばかりで、ありえねぇと思いつつも結構面白く読ませていただきました。

あらすじは、蛇行する川のほとりに立つ古い家にまつわる話しです、以上。ミステリーなので内容を書くわけにはいかないので、、、しかし出来過ぎの高校生ばかりと思っていたら、小学生の頃にはもっと出来過ぎだったとはいやはや最後に驚かされてしまいます。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

盗まれた貴婦人〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕 ロバート・B・パーカー

私立探偵スペンサーシリーズ38作目の作品で、日本ではこの作品と遺作となる39作目の「春嵐」はパーカーの死後に発刊されました。

この小説にはいつもお馴染みの相棒ホークやその他友人のガンマンが登場してこない珍しい作品です。それだけに派手なアクションシーンはないかと思っていたら、いきなりプロの傭兵らに命を狙われることになり、二度も死にかけます。

愛犬パールの直感や、偶然が重なり怪我もなく助かるところはかなりご都合主義のところがありますが、主人公ですから仕方がありませせん。

いつもならホークやヴィニーなど腕のいい相棒に背中を守られて読者も安心して読めるのですが、今回は州警察のヒーリィ、ボストン市警のマーティン・クワーク、フランク・ベルソンや検察にいるお友達の助けを借りながら、基本自己解決で頑張ります。それは私立探偵としてのプライドをめちゃくちゃにされたことによります。

美術館から盗まれた小鳥と貴婦人を描いた絵画を取り戻すため、美術館の顧問を務める大学教授から、犯人から要求があった金と絵画の受け渡し時の護衛を引き受けたスペンサーですが、なすすべもなく目の前で教授は爆殺されてしまいます。

殺された教授の周辺を調べていくと、教授自身のスキャンダルや保険金、大物弁護士、それに元アウシュビッツで殺されたユダヤ人とその末裔のグループなどが浮かび上がってきます。そうした藪を突いていると、殺し屋が現れ、スペンサーの捜査の方向が間違っていないことを確信していきます。

もうこの調査スタイルは水戸黄門の印籠のようで特に変わりはありませんが、なぜ相手側がリスクがあり、手のかかる殺害方法をとるのか?とか、たまたま関係者を尾行をした時に限り黒幕と思われる男が一緒にいるのか?とか、オランダ美術に詳しい人を探していたら偶然知り合った愛犬仲間が紹介してくれたりとか、あまりにもうまく出来過ぎているな?と思わなくもありません。

こういう小説はスピード感が重要なので、あまり細かなことにこだわるよりもスイスイいくのがいいのでしょうね。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

星月夜 伊集院静

30年に及ぶ作家生活で初めての推理小説というこの作品は2011年に発刊されています。つまり東日本大震災が執筆中に起きていて、小説の中にはわずかながらずっと昔に津波で亡くなった家族の話しが出てきますが、その津波のイメージを入れたように思われます。

出版社のサイトにこの本について筆者のインタビューが公開されています。

初の推理小説で人の哀しみを描く(文藝春秋サイト)

その中にあらすじっぽい話しが書かれていますので、ここでは省略して感想だけを書くことにします。

著者の作品は、今までに直木賞を受賞した「受け月」を始め、12作品を読んでいて割とお気に入りの作家さんです。特になにか特徴があるかと言うと、実はあまりなく、読んでいると宮本輝氏、五木寛之氏、白川道氏などの作品とあまり区別がつかず、複数の小説を並行して読んでいるとこれは誰の作品だったっけと時々わからなくなるときもあります。

しかし「海峡―海峡幼年篇」「春雷―海峡・少年篇」「岬へ 海峡・青春篇」の三部作は、在日韓国人二世だった自伝的作品ですが、もっとも内容が濃く感動させられる小説でした。

やはり自分が歩いてきた道をベースにして描くのと、空想や創造力だけで描くのでは著者の思い入れが違ってきます。そういう自伝的作品を超える作品を創り出せるかが一流の作家の証となるのでしょう。

著者の作品の中では珍しい警察官や鑑識官を主人公としたこの作品は、冒頭のインタビューにもあるとおり、岩手から東京に出てきた若い女性と島根の老人が、なぜ殺されて一緒に東京湾に沈められたかを一歩一歩調べて行くというミステリー仕立ての小説です。

そのストーリーやプロットは最初に小樽で身元不明の死体が上がり、その謎を定年退職した刑事が必死に追いかける白川道氏の作品「最も遠い銀河 」ともよく似ていますが、「星月夜」のほうが話しの設定に無理がなく、より洗練されているように感じます。

その「最も遠い銀河」は先日テレ朝の開局55周年記念ドラマとして放送されていましたね。なんとなくタイトルも両方共通しているところがあるのが不思議です。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

ワシントンハイツの旋風 (講談社文庫) 山本一力

直木賞をとった作品「あかね空」は「昨年私が読んだ小説ベスト1」を獲得しましたが、その影響もあって著者の作品をもっと読んでみたいと探していました。

元々は「あかね空」をはじめとする時代小説が多い著者ですが、その中にあって異色とも言えるこの作品を選んでみました。この小説は2003年に発刊された、昭和の高度成長期を生き抜いてきた自伝的小説です。

中学生だった主人公は母親と妹と3人で暮らしていましたが、生活が苦しく仕事がない高知を出て東京に出ようということになります。

転校したくなかった主人公は、母妹が上京した後もひとりで高知に留まりますが、居候先での扱いに嫌気がさし、後を追いかけて東京へ向かいます。

その際友人達とストリップ劇場へ行ったり、上京途中乗り継ぎの長い待ち時間の際に、食堂の女主人に色目を使われたりとなかなかの早熟です。その後も数多くの女性を泣かせていきます。

五木寛之氏の「青春の門」や、花村萬月氏の「百万遍 」などもそうですが、自伝小説を書くと、やたらにモテる男を書きたくなる傾向があるのでしょうかね。ま、淡々とした味気ない日々をつづっても売れる小説にはなりませんからそういうものなのでしょう。

上京してさっそく住み込みで新聞配達をおこないながら学校へ通うことになります。その頃、東京は東京オリンピック開催がもう目の前でその景気に沸いています。

住み込みで働いているそばに、綺麗な芝生に囲まれたアメリカ軍が接収して建てた住宅や宿舎があり、それがタイトルになっている「ワシントンハイツ」です。

もちろん正式名ではなく、そう呼ばれていたというだけです。そのワシントンハイツ一帯は東京オリンピック前に返還され、宿舎を改装して選手村として利用されていました。

そのワシントンハイツに毎日新聞配達をすることで、中に住むアメリカ人とも仲良くなり、会話も正しい発音でマスターしていきます。そのことが後の人生で大きく役立ちます。

実は私が新入社員で入社した際の研修が、その元ワシントンハイツがあった「国立オリンピック記念青少年総合センター」で行われ、二泊三日で宿泊したことがあります。

30年前の当時はまだオリンピックの選手村当時の建物で、かなり老朽化した施設でしたが、部屋やベッドのサイズがすべて大きいのに驚いたことを覚えています。現在はすべて新しくなっていてその面影はありません。

高校を卒業するまでは新聞配達を続け、卒業してからメーカーに勤めますが、すぐに嫌になり、つき合っていた女性が気を利かせて応募してくれた近畿日本ツーリストへ転職します。

時は1970年の大阪万博の少し前で、国内旅行が盛り上がりはじめうまくその潮流にのったわけですね。

近ツリでは万博の国内旅行で成果を上げ、役員に見込まれアメリカへの添乗員も命ぜられ順調に出世をしていきます。その間も同じ社内の複数の女性と関係を持ちともし事実に基づいていたとしたらなかなか楽しい人生を送られたようです。中高年以上の人が読むと懐かしい風景があちこちに出てくる楽しい小説に仕上がっています。

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自分の終焉をどう演出するか 2013/2/23(土)

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高齢者が多くなり今や「終活」という自分の死後の際にどうするかという問題に直面する人が増えてきています。「終活」というのはなにもお墓のことだけではありませんが、今回はお墓を中心に考えてみます。今回はちょっとシリアスなテーマで、自分の死後についてのことをあれこれと考えてみました。

新聞にはお墓や霊園、仏壇などをPRするチラシが週末にはドカンと入ってきます。不況が続く中の日本では数少ない成長産業です。20年ほど前ならマンションなど不動産や自動車、インテリア用品などの広告が目立ちましたが、すっかり入れ替わった感があります。

そのお墓、子供達にできるだけ迷惑をかけたくない、あるいは跡継ぎの子供がいないので墓を作っても誰も守ってくれないからと独自のお墓を建てるのではなく最近は「共同埋葬スタイル」が人気となっているようです。

東京都が募集した共同埋葬の「樹林墓地」はそのうまいネーミングや自治体が運営する安さと安心感からか、応募が殺到しています。



団塊世代にとっては受験、就職、公団住宅入居、郊外の新築マンションなど若い頃からすべてにおいて競争率が高かったのですが、とうとう死んでから入るお墓まで高い競争率です。

ちょっと気の毒な気もしますが、意外と競争にはもう慣れっことなっているためか、不満の声はあまり聞こえてきません。

古くからの慣習で「死ねば先祖代々のお墓に入って」というのが廃れてきたのは、高度成長期に人が地方から大量に都会へ出てきたことによります。もうほとんど地元に帰ることもなく、子供達もずっと都会で生活しているので、今さら出身地に帰るのは嫌ということでしょう。

もっとも実家を長男が継いでいれば、自動的にお墓も長男が引き継ぐことになり、基本的なルールではその長男以外は自分たちで新たにお墓を準備するしかありません。

団塊世代前後から急速に核家族化が進み、親戚関係の縁が薄れ、同時に先祖が奉られている菩提寺の檀家の意識も弱まり、元々希薄だった宗教色もさらになくなってきました。

ほとんど縁がないお寺さんや僧侶と、法事や葬儀の時だけの関係というのに疑問を持つ人も増えています。

私が少し前に知人の葬式に参列したとき、いただいた案内に「お通夜」や「告別式」という表記ではなく「お別れ会」と書かれていて「?」と思いましたが、行ってみてわかりました。

その「お別れ会」は、会場こそ各宗教に対応ができる葬儀専用の施設でしたが、形式は無宗教スタイルで、僧侶の読経やお香などはなく、喪主や友人などの挨拶のあと、故人が好きだったポップな音楽が流れる中、柩の中の故人にお別れを伝え、そばにお花を置いていくというものでした。それを見て、自分の時もこうした気楽で負担をかけない「お別れ会」がいいなぁと感じました。

なにがいいかと言えば、第一に暗くて陰気くさい仏教の葬儀は、長い読経のあいだは私語は慎み、参列する人もただジッとうつむいてひたすらお焼香の順番を待ちます。喪主やその家族は最前列に座り、忙しい中来てくれた参列者と直接会話を交わすこともままなりません。

しかしこの無宗教スタイルだと会場の中はちょっとした立食パーティのようで(もちろんその場で飲み物や食事は出ませんが)、照明は明るく、参列者でザワザワとしていますので、故人を中心として参列者同士、あるいは喪主やその家族へお悔やみをいい、気軽に声をかけ、故人の思い出話をしたり、聞いてあげたりして故人を偲ぶことができました。

第二に決して明朗とは言えない葬儀社に支払う様々なランクがある祭壇や飾り付け、僧侶に渡す御布施、御車代、御膳代、戒名料などの費用を省いたり、あるいはクリアにすることで遺族の負担を減らすことができればと思うからです。

仏式で葬儀をおこなえば、一般的にかかる費用は会場費も含めるとざっと200万円〜300万円と言われています。

さらに初七日、四十九日などその先も脈々と続いていく法要や儀式があります。日本の古くからの伝統や慣習を軽んじるわけではありませんが、本人が希望すれば様々な見送り方があってもいいのでないでしょうか。

もちろんそのために、子供達には迷惑をかけないようにと自分の葬儀代を貯金している人や、事前にお墓を建てて戒名までもらっておく人、死亡保険をかけ葬儀費用が出るようにしている人なども多そうです。

私ならば次男坊ということもありますので、最初から子供達には「戒名、法要、葬式は不要」「息を引き取れば別紙に記載した知人だけに通知し短時間の質素なお別れ会」「お香典や供え物は辞退」「骨は共同墓地へ」「墓参りは無用」ぐらいの遺言を残しておくのが、親としての最後の務めかなとも考えています。

いずれにしても少子化の流れの中、今後ますます所有者のいないお墓が増加していきそうです。一人っ子同士の結婚も増えていますが、その両親のそれぞれのお墓を1組の夫婦だけで守っていくことが果たしてできるのか?ということです。

先祖代々のお墓があり永代使用権があるといっても、その土地の所有権はお寺であったり市区町村だったりします。通常ならば新たに永代使用権を買うならば数百万円+墓石+納骨代(法要)などが葬式費用とは別にかかります。さらに施設の管理費として年数万円(公営の場合は年数千円)が請求されることが多いのではないでしょうか。お寺さんへのお布施や寄進はまた別です。

そうこう考えると、子供がいない、あるいは一人っ子や他家へ嫁いだ娘ばかりの親の場合、それでも「立派な自分のお墓を建てて入りたい」と考える人は少ないでしょう。さらに今後数十年間は生まれてくる子供よりも死んでいく大人が圧倒的に多くなりますから、ますますその傾向が強くなるはずです。

私のところは子供が3人いますが、決してお墓参りというのは楽しいことではなく、しかも遠隔地にあれば、負担となり足が遠のくことになります。そのように考える人が今後増えていくのは間違いなさそうです。

そして圧倒的に不足する墓地を、お参りするのに便利な場所で大量に作るというのは、周囲の住人とのトラブルや、各種の規制、高額になる権利金などの問題があります。すでに先祖のお墓がある人以外は、法の定めがない散骨か、公営・民営の樹林墓地など共同墓地のスタイルがスタンダードになっていくのではないでしょうか。

この超高齢化社会の中において、比較的安く、倒産や廃業の心配もない市区町村が運営する公共の共同墓地が、希望する人にはすべて利用できるようになると、高齢者をカモにして金儲けに血眼になっている悪徳霊園ビジネス業者や、名義貸しで金儲けを企むお寺や僧侶を排除できると思うのですがどうなのでしょう。それもまた民業圧迫と言うのでしょうか。

財政難で苦しんでいる自治体や地方の市町村にもしアイデアマンがいれば、都会から割と交通の便利な場所で、しかも海や山など風光明媚な場所に、民間企業からお金を引き出して県営(市営)の大霊園+自然公園を建設し、県外(市外)の住人の利用も受付け、半分を分譲形式のお墓に(民間経営)、半分を共同墓地(公営)として売り出せば、いまもっとも有望な町おこし事業、税収不足対策になるのにと思わなくもありません。

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映画「グランド・ホテル」と「第十七捕虜収容所」 2013/2/27(水)

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NHKのBSで古い有名なモノクロ映画をやっていましたので、録画をして一気に見ました。若い人にはこのようなモノクロ映画というのはどうも拒絶反応がありあまり見たがらないようですが、なかなか味わい深くていいものです。

小学生の頃はまだ白黒テレビが普通だったこともあり、私は白黒映画も全然平気です。チャップリン映画は1967年の『伯爵夫人』以外はすべて白黒映画で、どの作品もたいへん面白いと思うのですが、以前録画して子供に見せると、モノクロ映画というだけで拒絶反応を示しました。生まれたときから当たり前にカラーテレビ・映画を見ていると、自然とそうなってしまうのでしょうかね。

映画「グランド・ホテル」はエドマンド・グールディング監督の1932年に製作されたアメリカ映画です。第5回アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した有名な映画ですから、テレビ映画やレンタルして見た人も多いと思います。この時代にこれだけの深い人間ドラマを作れるのはさすがに近代エンターテインメント先進国です。

公開された1932年というと日本では昭和7年、満州国が日本軍部の傀儡により建国され、上海事変(第一次)が起き、5.15事件で犬養毅首相が暗殺された昭和の暗黒時代へまっしぐらに進んでいた時期で、前年の1931年に公開した「街の灯 」が大ヒットしたチャーリー・チャップリンが宣伝も兼ねて初来日した年でもあります。

暗殺が起きた首相官邸からほど近い帝国ホテルに宿泊していたチャップリンも、その時はさすがに緊張したでしょうね。

元々の原作はヴィッキイ・バウムという作家の小説ですが、当初は舞台劇として有名になっただけに、映画を見ていても場面が変わることは少なく、ホテルのフロントと登場人物の部屋の中だけをいったりきたりするだけで、舞台演劇をそのまま映画にしたって感じです。

登場人物は、落ち目になって人気に陰りが見えた一流バレリーナ役に当時の大スターグレタ・ガルボが扮し、その他借金に追われホテルの部屋荒らしをする自称男爵の詐欺師にジョン・バリモア、生き残りのため企業合併を目指す事業家役にウォーレス・ビアリー、その事業家に雇われたタイピスト役に愛らしいジョーン・クロフォード、事業家の工場で長年会計士を勤めたが病気で余命がわずかと知り自暴自棄となっている男にライオネル・バリモアと、当時の名優たちを揃えています。と言っても私が知っている名前はグレタ・ガルボとジョーン・クロフォードぐらいなのですが。

映画の役ではグレタ・ガルボはとうが立ったダンサー役で、ジョーン・クロフォードは若い新米タイピスト役なのですが、あとで知りましたが二人はともに1905年生まれで映画公開当時27歳ということです。

ストーリーは、ベルリンにあるグランドホテル。そこの宿泊客として、借金まみれの自称男爵の詐欺師、人気と自信を失い生きる気力もなくした有名なバレリーナ、会社存続のため合併を画策している会社経営者、臨時に雇われた口述筆記のタイピスト、そして経営者の工場で働く余命少ない会計事務員らと役者が揃います。

留守を狙ってバレリーナの部屋に侵入し真珠のネックレスを盗もうとした男爵は、公演をキャンセルして突然帰ってきたバレリーナと鉢合わせしてしまいますが、苦悩に共感して二人のあいだに愛が芽生えます。

当初その自称男爵からナンパされダンスに誘われて期待を膨らませていた、しがない臨時雇いタイピストは、男爵の気持ちが他に移ってしまったことを悟り、お金のために言い寄る会社経営者にすり寄ろうとしたり、優しい会計事務員にも近づいたりと、したたかで節操がありません。

そのような人間関係が複雑に絡み合い、もつれる中、やがて偶発的に部屋の中で殺人事件(事故)が起きてしまいます。しかしグランドホテルは何事もなかったかのように、いつもと変わらず、出発する人を送り出し、来る人を暖かく迎え入れる日々が過ぎていきます。

「グランド・ホテル」監督:エドマンド・グールディング 1932年公開 アメリカ
【出演者】
グレタ・ガルボ(1905年〜1990年)スウェーデン生まれ
主な出演映画『肉体と悪魔 』『アンナ・クリスティ』『アンナ・カレニナ』『椿姫』『ニノチカ』『マタ・ハリ
アカデミー主演女優賞1938年『アンナ・カレニナ』、1940年『椿姫』 
アカデミー名誉賞1955年

ジョン・バリモア(1882年〜1942年)アメリカ生まれ
兄のライオネル・バリモア、姉のエセル・バリモアと共に「バリモア三兄弟」として有名
主な出演映画『ドン・ファン』『マノン・レスコウ』『狂へる悪魔』『愛の嗚咽』『ハムレット』

ライオネル・バリモア(1878年〜1954年)アメリカ生まれ
主な出演映画『晩餐八時』『サラトガ』『自由の魂』『素晴らしき哉、人生!
アカデミー主演男優賞『自由の魂』

ウォーレス・ビアリー(1885年〜1949年)アメリカ生まれ
主な出演映画『ビッグ・ハウス』『チャンプ』『奇傑パンチョ』
アカデミー主演男優賞1931年『チャンプ』

ジョーン・クロフォード(1905年〜1977年)アメリカ生まれ
主な出演映画『ミルドレッド・ピアース』『大砂塵』『何がジェーンに起ったか?』『失われた心』『突然の恐怖』
アカデミー主演女優賞1945年『ミルドレッド・ピアース』


続いて見た「第十七捕虜収容所」も元々は舞台劇で有名になった作品で、1945年には『失われた週末』でアカデミー監督賞、1960年には『アパートの鍵貸します』でアカデミー作品賞・監督賞・脚本賞を受賞した名匠ビリー・ワイルダーが監督した1953年公開の作品です。

映画は第二次大戦末期ドイツ占領地内で捕虜となったアメリカ軍の軍曹クラスばかりが集められた捕虜収容所が舞台で、そこで展開される捕虜の日々の生活や巻き起こる事件が、ある時はコメディタッチで、そしてある時はシリアスに描かれています。

主演は米軍捕虜セフトン役でウィリアム・ホールデン。この映画でアカデミー主演男優賞を受賞しました。その他の出演者は終盤になって登場する捕虜となった米軍将校ダンパー役のドン・テイラー、ネタバレですが米兵捕虜の中に混じってアメリカ軍の情報を収集するドイツのスパイ役に「おはようフェルプス君」こと若い頃のピーター・グレイブスなどです。

この映画での名演技によりピーター・グレイブスは14年後の1967年からテレビで始まる大人気ドラマ「スパイ大作戦 」(原題Mission: Impossible)への道が決まったも同然です。勝手な想像ですが。

私が思い描く捕虜収容所というのは「戦場のメリークリスマス 」や「戦場にかける橋 」など、食糧も乏しく極限状態の厳しい環境下で強制労働や虐待などが日常茶飯事というものですが、ドイツの捕虜収容所は「大脱走 」の時もそうでしたが、収容者は逃げようとしない限り比較的自由な生活のようです。

同じドイツの収容所でも「シンドラーのリスト 」などに出てくるユダヤ人収容所とはえらく違うものです。この映画でも捕虜だというのに酒、タバコ、クリスマスのお祝いなどを手に入れて持ち込み、望遠鏡でロシアの女子収容者棟を覗いたり、ラジオまで入手して英国BBC放送で戦況を聞いたりとやりたい放題です。

ストーリーは収容所に地下道を掘り脱走を企てますが、ドイツ軍に事前に見破られていて脱走者は待ち伏せを喰らい、外へ出た瞬間に射殺されてしまいます。その他、隠していたラジオが収容所所長に簡単に発見されたりと収容所内の秘密が正確にドイツ軍に漏れていることに気がつきます。

その中で脱走に否定的で、看守のドイツ軍兵士を買収して仲がよく、様々な闇物資をガッチリ貯め込んでいる主人公が、一番怪しいと疑われ、捕虜仲間から激しいリンチを受けることになります。

そうした中へドイツの貨物列車を爆破したと疑われているアメリカ人将校が新たな捕虜として収容所に連れてこられます。列車の爆破方法を収容所の中で仲間にしゃべったとたん、それまでは決め手がなく処分できなかったドイツ軍にその手法が伝わってしまい、重犯罪者としてゲシュタポに引き渡されることになります。

ゲシュタポに連れ去られるともう生きては帰れないので収容者は団結して将校を逃がそうと画策します。そのどさくさで、ドイツ軍と通じていたスパイが判明しますが、そのスパイを単に殺してしまうとドイツ軍の怒りを買い、捕虜全員が殺されてしまうリスクがあり、かと言ってそのまま逃がすと、また別の収容所で同じようなスパイ活動を繰り返すだろうということで、先にスパイと間違えられ仲間からリンチを受けた主人公が一計を案じることになります。

この映画を見ていると、子供の頃によく見ていたテレビドラマ『コンバット!』を思い出しました。同じ白黒ということもありますが、テーマ音楽も似ていて、おそらく『コンバット!』(1962年〜1967年)を最初に企画した際は、この映画や音楽を大いに参考にしたのではないかと思われます。

「第十七捕虜収容所」監督:ビリー・ワイルダー 1953年公開 アメリカ
【出演者】
ウィリアム・ホールデン(1918年〜1981年)アメリカ生まれ
主な出演映画『慕情 』『サンセット大通り 』『麗しのサブリナ 』『戦場にかける橋
「第十七捕虜収容所」でアカデミー主演男優賞

ドン・テイラー (1920年〜1998年)アメリカ生まれ
主な出演映画『花嫁の父 』『トゥルーマン・ショー』『東は東』
主な監督映画『新・猿の惑星』『ドクター・モローの島』『ファイナル・カウントダウン

ピーター・グレイブス( 1926年〜2010年)アメリカ生まれ
主な出演映画『狩人の夜』『世界終末の序曲』『テキサス』『アダムス・ファミリー2

【関連リンク】
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生と死が紙一重の潜水艦の魅力
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