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日本の農業はどこへ向かうか マイカーで東京から京都まで旅行する場合 ゴルフをプレイしている人の年代層割合に驚いた 世界と日本の宗教別信者数 2021年版出版社不況 客員教授と非常勤講師ってなんだ? ロバート・B・パーカー「スペンサーシリーズ」全巻まとめ 窓ガラスの熱割れで火災保険は使えるか? 天然素材でも綿はよく燃えるらしいことがわかった やっとのことでJ:COMを退会した 貯まった1円玉はどうする? 自動車整備士に未来はあるか? 液晶テレビが壊れた件 リタイア後の心配事 運転免許証取得者は意外にも増えている 著者別読書感想INDEX −−−−−−−−
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リストラ日記アーカイブ 2019年4月 読みやすいようにアーカイブは昇順(上から古いもの順)に並べ替えました。上から下へお読みください。 日記INDEXページ(タイトルと書き出し部の一覧)はこちらです |
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---------------------------------------------------- 3年以内に3割以上の人が辞めちゃうけど 2019/4/3(水) 1318 新しく社会へ出てきたみなさん、入社3日目ですが、まだ大丈夫ですか?(笑) 大卒で新卒入社した人の30%以上が3年以内に辞めるという傾向はここ6年間続いています。 出典:新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況(厚労省) 私は入社の3ヶ月前からアルバイトとして働かされてましたので、正式に4月1日に社員として入社する1ヶ月前にはもう辞めたいと思っていました(笑) ただ結果的には、40歳過ぎになる約20年間はその会社で働き続けました。辞める勇気がなかったのか、それとも流されてしまったのか、よくわかりません。 学校を卒業して就職したのが1980年の4月1日で、その後会社はいくつか変わりましたが、社会人となってから39年が経過し、40年目に突入しました。 まさか20代の頃には、その後40年も働き続けているとは夢にも思っていませんでした。仕事とか労働とかめちゃ嫌いでしたから。 当時(1980年)は、企業の定年は55歳が一般的で、年金は60歳から支給なので、その年金支給までの5年間は退職金でまかなうというのが普通のサラリーマンの姿でした。 もっとも男性の平均寿命(0歳児の平均余命)が1980年当時で73.35歳ですから、2018年の81.09歳と比べて7歳も長寿となってきていますので、定年年齢や年金の支給開始が5歳程度遅れても、文句が言えません(言ってますけど)。 もちろん当時から雇用を少し延長し、55歳から嘱託として60歳近くまで働く人もいましたが、個人的にはできればしっかり貯金をして50歳ぐらいに早期引退、最悪の場合でも、定年の55歳まで働いてビジネスの世界からスパッと引退しようと考えていました。 早く引退するためには、まずは誰にも邪魔されない永住も可能な持ち家を確保し、その他に年金が支給されるまで生活を維持するお金と、その後年金だけでは不足する分の貯蓄を目標としていました。 次男坊なので、サラリーマンだった親の遺産や住宅はまったくあてにできないので、すべて自力&嫁の財力に期待するしかありません。 ところがなかなか考えるように上手くはいかないもので、嫁は専業主婦として適性があり、家事や子育ては得意でも外で働いて稼ぐようなことはできず、子供はひとりかせいぜいふたりまでと思っていたら3人目も出来てその子供達の学費だけで汲々とする羽目になりました。 その時点で50代引退計画ははかなく潰えてます。 幸い、自分には今の多くの大学卒業生のように学費ローンなどの借金はなく、また勤務していた会社も急成長を遂げ給料もそれなりによかったので、一人目の子供ができた後に中古マンション、そして二人目ができた後のバブル崩壊直後に一戸建て住宅を長期のローンですが購入できました。 そこまでは順調だったのですが、その後転職に失敗し、しばし無給期間が続き、まだまだ残る住宅ローンに苦しみ、貯金も底をつきかけたときなんとか再就職できて、3人の子供を無事社会に出すことができました。 なんと言っても想定外だったのは、子供の学費の高さと3人目の子供ができたことです。 自分が大学へ行っていたときは年間の授業料20万円(4年間で80万円+入学金)程度だった文系大学の学費は、その後25年を経て年間100万円(4年間400万円+入学金)と5倍近くに跳ね上がっていました。これは想像をはるかに超えていました。 ひとつの物価指数としてみる大卒の初任給が1980年頃は12万円だったのが、その26年後の2006年頃は20万円と2倍にもなっていないのに、学費だけは5倍です。あまりの理不尽さでしょ? そして3人目が生まれ、上の子(私立高校)の学費がそろそろ必要になってきたとき、ちょうど転職の失敗も重なり資金的にピンチを迎え、50代初めにリタイヤするためシコシコためていた貯金はほとんど使い果たしてしまいました。 そういうわけで、今現在に至っているわけですが、世の中の流れも60歳定年など贅沢すぎる!65歳、いや70歳まで働け!という風潮になってきているので、61歳になった自分がまだがむしゃら?に働いている(働かされている)違和感もありません。 「そんな早くにリタイヤしたら暇で仕方ないだろ?」と、今でも働いている前の会社の先輩に言われますが、仕事以外にやりたいことはいっぱいあって、しかもそれらはゴルフや海外旅行などお金のかかる道楽ではなく、お金のかからない知的な道楽が多いので、決して暇を持て余すことはないと思っています。 で、教訓としては、 ・どこに勤めようと、なにをしてようと、結局は自分の未来はわからない ・どうせ働くなら誰よりも懸命に働き、少しでも早く上に行こう ・キャリアとなる経験は最低でも3年間の継続が必要。またバイトは有効な経験とならない ・芸は身を助ける。どんな仕事でも向き不向きを自分で決めつけずなんでも吸収しちゃえ! ・若いときに苦労を経験しとけ。視野も広げとけ。年食ってから初めて苦難に遭うとしんどい なーんてね。 新社会人の皆さんの武運と健闘を祈ります。 【関連リンク】 1264 新入社員が真っ先に電話に出ることの意味 1216 新卒学生の就職先選定の条件 1113 ありきたりだが新入社員へ贈る言葉 ---------------------------------------------------------- ボーイスカウトという組織は生き残れるか? 2019/4/6(土) 1319 私が小学生の頃には、クラスの中に数名ボーイスカウト(10歳まではカブスカウト)に入っている同級生達がいて、その制服姿の凜々しさや、リーダーシップ、行動力など「やっぱ違うな〜」って、羨ましく思い、外で遊ぶときなど、仲間にひとりでもいるとたくましく感じていました。 そのボーイスカウト、最近は目にすることがほとんどなかったのですが、この前多摩川沿いをウォーキングしていたら、ボーイスカウトの制服を着た人達が活動しているのを目にしました。 その歴史や背景、目的などはともかく、この活動が現在の少子化や、趣味の多様化、受験戦争などの影響で、最近はどのようになっているのか興味を覚え調べてみました。 まずはちょっと古いデータですが、ボーイスカウトの会員数推移です。 厳密にはボーイスカウトは、小学校高学年(小学5年生の9月〜)から中学生までを差し、その他のクラスとして、下からビーバー(就学前年の9月〜)、カブ(小学2年生〜)、ボーイ、ベンチャー(高校生)、ローバー(大学生)とに分かれています。 でも、それらを総称して「ボーイスカウト」という言い方をすることもあります。 上記のグラフは平成10年(1998年)から平成23年(2011年)の会員数推移ですが、予想通りというか元々少子化の流れもあり、会員数の減少は凄まじく、今のところ回復の兆しは見えていません。 2010年以降も平均すると4〜5%の割合で減少し続けています。国内の少子化は、こどもの人数が前年と比較しておよそ1%未満で減じていますので、それと比較すると5倍のスピードで減っているということです。 過去国内でもっともスカウト会員が多かったのは1970年前後で、それはちょうど私が小学生高学年から中学生にかかる頃で、クラスにも数名のスカウトがいました。 私の世代だけでなく、いま70歳以上の団塊世代も、1960年代にこのスカウト活動を横目で見ながら憧れにもにた気持ちを持った人も多かったのでないでしょうか。 1990年代後半頃でもまだ19万人ほどの会員がいましたので、2011年の84,000人というのはその後の10数年のあいだに半減以上の減少となり衝撃的です。 2011年のスカウト会員を84,000人として、その後毎年5%ずつ会員が減少していくと仮定すると、今年2019年時点では56,000名程度となります。詳細は明らかにされていませんので不明ですが。 そしてその後も同じく5%で減少していくと、下記の表の通り20年後(2039年)には2万人を割り、34年後(2053年)には1万人をも割ることになります。もし7%減少していくと、20年後には1万人を割り込みそうです。 時代の変化と言うことでしょうか、ボーイスカウトの活動の未来は決して明るいものではなさそうです。 もちろん、OBなどを中心として、伝統を守り、継続していこうという人達も多くいらっしゃるのでしょうけど、なにか画期的な改革をしない限り、会員数の回復は期待できない気がします。 画期的と言っても、これだけ世界中に張り巡らされたネットワークと巨大な組織を変えるのは日本の組織だけ頑張っても不可能でしょうし、また基本理念から外れてしまってはその意義を失ってしまいます。 PRと権威漬けで最高の方法としては、将来日本の天皇となることが確実視されている悠仁親王(現13歳)をボーイスカウトに迎えることですが、なかなかそれもハードルが高そうです。 同様に手っ取り早く話題性があり人気を高めるには、若手のアイドルがボーイスカウトに加入し、生きた広告塔になることかも知れませんが、それもまた難しいのでしょう。芸能人を広告塔に使うのは、新興宗教団体や投資詐欺団体がよく使う手ですね。 他にはなかなか画期的な復活プランは思い浮かびません、、、って当たり前です、すでに世界中の関係者がいろいろと考えて出てこないのに、私が思いつくわけもありません。 個人的には、高い理想と理念を掲げるこの団体は、長く将来にわたって続けてもらいたいと願うばかりですが、時代の要請に応えられなければ、やがて退場していくことになってしまうのかも知れません。 【関連リンク】 1233 運転免許証取得者は意外にも増えている 1211 過疎と限界集落の行方とコンパクトシティ 914 殺人事件の国際比較 ---------------------------------------------------------- 2019年3月に見た映画 2019/4/10(水) 1320 マネー・ピット(原題:The Money Pit) 1986年アメリカ 監督 リチャード・ベンジャミン 出演者 トム・ハンクス、シェリー・ロング タイトルは「金食い虫」という意味だそうで、買った中古不動産が、見かけとは違い思いのほか修繕が必要でたいへんな思いをするっていうコメディ映画です。 製作総指揮にスティーヴン・スピルバーグということで、もうちょっと奥深い話しかなと思っていたら、そうではなく、ハチャメチャな内容でガッカリです。 いったいこの映画でなにを言いたかったのかがよくわかりません。 コメディ映画の常で、最後はハッピーエンドで終わるわけですが、そうなるとわかっていながら、途中の苦労話や危機を見続けるというのも結構つらいものがあります。 もうちょっとなにかヒネっても良さそうでしたが、特になにもなくスッと始まりスッと終わるという味気なさでした。 今ではすっかり大物俳優になったトム・ハンクスも、33年前はまだこうした内容がない映画にも出ざるを得なかったのでしょう。大ブレークするのはこの映画から8年後の「フォレスト・ガンプ/一期一会」辺りからでしょうから。 ★☆☆ 謝罪の王様 2013年 日本テレビ放送網、シネバザール 監督 水田伸生 出演者 阿部サダヲ、井上真央、竹野内豊、岡田将生 「舞妓Haaaan!!!」(2007年)、「なくもんか」(2009年)に続き、脚本が宮藤官九郎、水田伸生監督、阿部サダヲの主演というコンビシリーズの第3弾になります。 過去には「舞妓Haaaan!!!」を録画して見ましたが、面白くもなんともなく、印象にも残らず、日記に感想すら書いていませんでした。 この映画のテーマは「謝罪」で、社会風潮として、謝罪会見というのがよく開かれていますが、そうした失敗例などもあげながら、いくつかのパターンの謝罪の仕方を面白おかしく?映画にしています。 芸能人の息子が起こした暴力事件での親の謝罪はわかるものの、暴力団のクルマに傷を付けた謝罪やら、酔っ払ってセクハラした相手への謝罪、果ては、国際問題になった某国へわざわざ外務大臣や首相が出掛けて行っての謝罪など、無茶苦茶すぎて意味がわかりません。 一応、コメディ映画ということですが、笑えるシーンはほとんどなく、「なんだかなぁ〜」と思ってしまいました。 ただ井上真央が黒いレオタードを着て踊るシーンがありますが、それがめちゃくちゃスタイルが良くってわずか数秒のことですが一番目が釘付けとなりました。これだけは見る価値のあるものです。 ★☆☆ ギルバート・グレイプ 1993年 アメリカ(日本公開1994年) 監督 ラッセ・ハルストレム 出演者 ジョニー・デップ、レオナルド・ディカプリオ なんと、ジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオの今をときめく二大男性俳優共演の映画が26年も前にあったのですね。知りませんでした。 アメリカの片田舎の町に住む、一家のお話しで、父親は自宅で首をつって亡くなり、母親はそのストレスから過食症となり激しく肥満してしまい外出もしなくなります。 そこの家の長男で、地元の食料品店に勤めながら、お客の人妻とちょくちょく火遊びしているのが主人公のデップ。もちろん海賊のイメージとは大きく違い、そこらにいる若くて軽い兄ちゃんという感じです。 そして、知的障害があり、時々は善悪がわからずに叫びつつ暴走してしまう弟がディカプリオという配役です。 その兄弟と二人の姉妹、母親とは仲が良く、それだけをとってみると良い家族なのですが、父親の自殺から家族の人生が大きく変わってしまっています。 そこへトレーラーハウスで全米各地を旅行しながら生活している母娘とふとしたことで縁ができ、兄弟が人生を見直す良い機会となります。 あるとき、どうにも我慢ができずに兄が弟を殴ってしまい、そのことで深く悩みますが、知り合った女性や妹達に励まされ、和解します。そうした中で、突然母親が亡くなります。 派手なアクションも、涙を誘うようなシーンも、二枚目俳優としての格好良さもない、普通の悩み多き人間ドラマを描いた映画ですが、こういうの好きです。 ★★★ 息子 1991年 配給松竹 監督 山田洋次 出演者 三國連太郎、永瀬正敏、和久井映見 第15回日本アカデミー賞で、最優秀作品賞、優秀主演男優賞、新人俳優賞など、14部門の賞に輝き、総なめにした作品です。 そんな映画ですが、今回録画したものを見るまで、まったく知らなかったというお恥ずかしい限りのことです。 年に2本のペースで「男はつらいよシリーズ」(1969年〜1995年)を作り続けていた山田監督の、その合間に挟まった作品ですが、先日書いた「学校」(1993年)と同様、優れた作品に仕上がっています。 主人公は岩手の寒村でひとりで農業を営む年老いた父親と、東京で暮らす兄弟の不器用な愛と葛藤で、大学を出て家庭を持ってマンションまで買った優秀な兄と、アルバイトすらまともに仕事が続かず、フラフラしている弟との対比が強く描かれます。 そのダメダメと思われていた弟ですが、仕事場で知り合った口頭での会話が出来ない聾唖の娘と仲良くなり、その結果、キツイからすぐに辞めるだろうと言われていた仕事も続き、やがてその娘と結婚を決意するという流れ。 最後に東京から雪で埋まった岩手の家に戻った父親が、誰もいない囲炉裏を見て、昔の家族が勢揃いをしている懐かしいシーンを印象的に挿入していますが、その後、この家族はどうなっていくのか?、弟夫婦は父親を看取るため嫁を連れて岩手に帰ってくるのか?など、続編がぜひ見てみたいな〜と思わせるものでした。 ★★★ 【関連リンク】 1312 2019年2月にみた映画 1301 2019年お正月に見た映画 1297 2018年11月〜12月に観た映画 ---------------------------------------------------------- 「今日は○○の日」が多すぎて 2019/4/13(土) 1321 メディアやSNSでは「今日は○○の日」という話題がよく出てきますが、そのほとんどはつまらないもので、販売促進のためだったり、単なる話題作りのためだったりします。 例えば、二十四節季の中で冬至や夏至、春分、秋分の日などは、1年の中で昼と夜の長さが逆転したり同じになったりする季節の変わり目を知るための目安となり、自然とともに生活する特に農耕民族には意味のあることだと思います。 ただ上記の冬至や春分などを除き、現在の社会において、その他の二十四節季はあまり使われることはありません。 国民の祝日に採用されている「○○の日」というのも、なにかこじつけっぽいものが多く、その日に根拠があり、その日でなければならないものはほとんどありません。 SNSでは、他に書くネタがないのか?と言うぐらい、「今日は○○の日です!その由来は・・・」という話しが多く、いい加減に辟易しています。 そりゃ、歴史を紐解いて探せば、1年中毎日なにかが起きた日ということになります。でも「720年前に○○の姫が誕生した」とか「423年前の今日が○○の乱が起きた」とか言われても、「だからなに?」と突っ込みたくなります。暇人のお遊びに付き合えっての? 特に今から約150年前ぐらいまでは日本では旧暦が使われていたので、それ以前の○月○日という日にちには、新暦の同日とは季節も違ってきたりしてまったく根拠がなくなります。 例えば慶長5年9月15日に起きた関ヶ原の戦いは、現在の新暦に直すと1600年10月21日と1ヶ月以上も変わってきます。でも一般的には9月15日になると「今日は関ヶ原の戦いがあった日です!」とあちこちで雑学が披露されます。 坂本龍馬が暗殺されたのは旧暦慶応3年11月15日で、新暦に直すと1867年12月10日となりますが、龍馬を偲ぶ様々なイベントや行事は新暦の11月15日におこなわれています。意味ないって。 ましてや、商品の販売促進のために「今日は○○の日です、みんなで○○を食べましょう」的な話しは、商魂たくましいな〜とは思いますが、余計なお世話です。 そうした商売上の流行は、冬が旬で美味しい鰻を、料理屋が夏枯れする季節に売るには?と考え「土用の丑には夏バテ対策に鰻を食べよう」と平賀源内が考え出した(諸説あり)ということ以来、やれケーキだ!チョコだ!恵方巻きだ!と、商売主導の一大イベント化してきました。 最近では余って捨てられる食品ロスや、需要が集中することによる価格高騰など、需要が偏ることで起きる弊害も多くなっています。 本来は、お正月の縁起物のおせち料理や、胃腸を整え1年の無病息災を願う七草がゆ、節分に食べる煎った大豆、お彼岸に食べるおはぎ、冬至に食べるカボチャなど、それぞれの地域性もありますが、古来から長く引き継がれてきた食の伝統は、それぞれに意味があり、また不自然な流行ではなく、健康に配慮した神事や仏事の一環とも言えるものです。 それなのに、節分に恵方巻きを一本丸々黙って食べるという、江戸時代のお茶屋遊びから流行ったらしい(諸説あり)意味があるとも思えない風習など、金儲けをしたいと言うだけの商売人にうまく乗せられているだけで、バカも良いところです。 ま、うちでも、人並みに、子供が小さいときにはクリスマスケーキを買ってきたり、冬至には柚子湯にしたりと、つい乗せられることもありますが、まったく無意味なことをやっているなーといつも思います。 ちなみに今日、4月13日(新暦)に起きた過去のこととしては、平城京遷都(710年)、日本初の喫茶店「可否茶館」オープン(1888年)、石川啄木が亡くなった日(1912年)、大阪鉄道(現在の近鉄)天王寺駅開業(1923年)、アニメクレヨンしんちゃん放送開始(1992年)とか、いろいろあります。また旧暦の4月13日では、宮本武蔵と佐々木小次郎の決闘が巌流島にておこなわれました。 やっぱり、だからそれがなに?って感じです。 大きな事が起きた年代や当時の元号なら物知りとして知っていても不思議ではないですが、その日にちまで知っておく必要はまったくなく、したがって、そういう知識をひけらかされても尊敬もしないし鬱陶しく思うだけです。 ましてや、「29日は肉の日」とか、語呂合わせについてはまったく無意味なことで、その日に焼き肉屋さんへ行けば割引があったりするのかも知れませんが、店も商売ですから損をするほどのサービスがあるわけでもなく、安いなりの品質であったり、混雑するので店の対応が悪かったりし、それなら割引がなくても混雑しない日にゆっくりと味わいたいものです。 10月1日は「メガネの日」ですが、数字を並べた一00一がメガネの形状だというつまらないお遊びで、別に壊れもしていないのに「今日はメガネの日だから、新しいメガネでも作りに行こうか〜」とはおそらくならないと思いますが、それでも業界団体としては、なにか記念日を作りたいのでしょうね。 まとまりがない話しですが、要は「○○の日」というのが多すぎて、そのほとんどが意味がなく、役にも立たないつまらないもので、そんなのにいちいち反応するのは文明人としてやめちゃいましょう!という提言でした。 【関連リンク】 1289 昼夜の時間が逆転する今日が冬至 1206 年齢を問わずに楽しめる俳句、和歌、短歌、川柳の違い 851 松尾芭蕉のおさらい ---------------------------------------------------------- 4月前半の読書と感想、書評 2019/4/17(水) 1322 虚無への供物(上)(下) (講談社文庫) 中井英夫 1964年に単行本、1974年に文庫化された文庫で、1970年代の小さな活字で文庫本に印刷されている、670ページ近くもある長編の小説です。老眼の入った目にはつらいです、、、 2004年の新装版(上下巻で合計900ページ)はたぶん文字が大きくなっていそうなので、そちらを買うべきだったかな。 それはさておき、この小説はWikipediaによると、「小栗虫太郎『黒死館殺人事件』、夢野久作『ドグラ・マグラ』とともに、日本探偵小説史上の三大奇書」とのことで、昨年「ドグラ・マグラ」は頑張って読んだので、残すは「黒死館殺人事件」だけとなりました。 さて、内容ですが、大雑把に言えば、次々起きる密室殺人のトリック集ということですが、登場する何人もが同じ事件で自分のトリックを披露し合うというたわいのない?ものですが、とにかく読んでいてイライラすることが多いのです。 あまりテンポが良いとは言えず、話しが行きつ戻りつ、謎のまま次の事故や殺人事件が起きたりしていきますので、普段最近流行のテンポが良い活劇のようなミステリーに慣れていると、まどろっこしさ全開です。 ただ物語の舞台である1954年〜1955年というのは、社会状況は殺伐としていて、人命は今よりもずっと軽く、殺人事件がもっとも多かった時期で、事件以外にも大きな人命に関わる事故も頻発していました。 1954年 二重橋事件(16人死亡) 太平洋炭礦爆発事故(39人死亡) 洞爺丸事故(死者・行方不明者1155人) 岩内大火(死者33名) 内郷丸遭難事件(22名死亡) 1955年 聖母の園養老院で火災(犠牲者99名) 安倍鉱業ボタ山崩落事故(犠牲者68人) 紫雲丸事故(犠牲者168名) 北上バス転落事故(12人死亡) 橋北中学校水難事件(36名溺死) 墨田区花火問屋爆発事故(死者18名) 森永ヒ素ミルク中毒事件(被害者12,344人うち死亡者130名) 茂尻炭鉱ガス爆発事故(60人死亡) など。 そうした世相も小説の中に取り上げられていて、割と近い歴史を知るのにも役立ちそうです。この私がまだ生まれる前の1954年あたりのことに付いては、後日別途書いてみたいと思います。 その他では、事件の主たる現場となる家が目白にあり、目黒不動で有名な目黒や目白があるならと、登場人物が調べていくと、目赤や目青、目黄などの不動もあったこととか、駒込にある有名な動坂の動は不動尊(目赤不動)の動からきているとか、雑学王になれそうなどうでもよい知識が満載です。 そうした雑学が詰め込まれていたりもするので、とにかく長い長いどうでも良さそうな話しがダラダラと続くので、時間ばかりを費やして、結果は、、、これは内緒です。 ま、ミステリーや探偵モノの常道で、とにかく一番怪しくない者を疑え!ってことですね。 ★★☆ 未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること (講談社現代新書) 河合雅司 以前読んだ「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」(2017年)の続編で、2018年に発刊されています。 その前作がベストセラー(著者の弁)になりましたので、二匹目のドジョウです。って書いていたら、著者が丁寧にも本書の最初と最後に「これは二匹目のドジョウ本ではない」と書かれていました。 でもやっぱり良い意味を込めてこれは立派な二匹目のドジョウ以外のなにものでもありません。 というのも、様々な機関が発行する統計データや推定を元にし、未来の国の形はこう変わっていくというテーマ自体は変わりありません。 要はデータや推計を見て、どこまで創造力を発揮できるか?というのがポイントで、創造力に欠ける人はこの本を読んで、理解してくださいってことです。 したがって、これは預言書でもなければ、お金を取って代わりに考えてあげるコンサルでもなく、各種のデータが示す「こうなるから、その影響はこれに出る」という事実をわかりやすくまとめてあるものです。 この本では多くは触れられていませんが、それ以外にも、クルマが猛烈なスピードで内燃機関からEV化されていくことや、寿命が近くなった団塊世代が大量死する時代に起きること、お隣の中国や韓国が日本経済に大きな影響力を持つことで起きる出来事など、この未来予測の話しを始めると尽きることがありません。 ただ著者が何度も主張している「定年後も働ける限り働く」というのは、「定年でとっとと仕事から引退」した、以前読んだ勢古浩爾著「定年後のリアル」の勝ちかなと思ったりしています。 著者がまだ一度も経験していないし、おそらく今後も経験することがない定年後にどうすべきかという予測より、決して裕福とは言えないまま定年を迎え、スパッと不安を断ち切って仕事から引退した生の声のほうが説得力があります。定年後、仕事なんか無理して続けなくてもなんとかなりますよ、要は考え方、気持ちの持ち方ですよと。 よくあるケースとして、有名大学を卒業し、大手有名企業へ新卒で入社し、その後、その有名大学卒と大手企業出身というのを武器として独立した人が、「学生は大手企業ばかり志向していないで、中小企業やベンチャー企業を狙え」とか臆面もなく言っているのと同じです。 ★★☆ ◇著者別読書感想(河合雅司) 白いしるし (新潮文庫) 西加奈子 2010年単行本、2013年に文庫化された小説です。著者の作品は過去に「きいろいゾウ」(2006年)、「通天閣」(2006年)、「ふくわらい」(2012年)の3編を読んでいます。 そう言えば直木賞受賞作で代表作の「サラバ!」(2014年)はまだ読んでいませんでした。 上記の「虚無への供物」とは対称的で、200ページ足らずの、文庫の中でも薄くてサラッと読んでしまえる短い作品です。 32歳の独身女性の心理をたくみに小説に仕上げていますが、60過ぎた男性が読むと「へぇ〜」とか「あれー」とか思うことしきりです。 新宿のバーでアルバイトのバーテンの仕事をしながら絵画を描いている大阪出身の女性が主人公で、友人のカメラマンに連れられてある美術作家の個展へ行き、そこで出会った作者との不思議な関係がテーマです。 大阪弁丸出しの主人公の会話がとても良い感じですが、独身女性の32歳というのは、やっぱり将来を考える岐路ってところなのでしょうかね。よくわかりませんが、、、 北村薫著の「八月の六日間」は30代後半の独身女性の山歩きと人生についてのなんやかんやでたいへん面白く読めましたが、なんとなくそれにも似ているかな。 ただ結末というか終盤は盛り上がらず、そのままフェードアウトしてしまったような感じで、後に印象が残らないものでした。オッサンだからかも知れません。 ★★☆ ◇著者別読書感想(西加奈子) フォルトゥナの瞳 (新潮文庫) 百田尚樹 2014年に単行本、2015年に文庫化された長編小説です。2014年と言えば、その後様々な訴訟沙汰を引き起こした「殉愛」の発刊の直前で、この「殉愛」が大きな話題となったため、こちらの作品はあまり目立ちませんでした。 2019年には監督三木孝浩、神木隆之介や有村架純出演で映画が製作されています。 タイトルのフォルトゥナ(Fortuna)とは、ローマ神話に伝えられる運命の女神で、運命の車輪を司り、人々の運命を決めるという英語の「Fortune」の語源(wikipedia)ということで、この小説では、人がもうすぐ死ぬのがわかってしまう能力のことを指しています。 主人公は子供の時に両親と妹を事故で亡くし、天涯孤独の身で育ちますが、まっすぐに育ち、やがては自動車のボディを磨く工場で真面目に勤務し、その腕も高く評価されていきます。 その主人公が、まもなく死んでしまう人の姿が透明になって見えることに気がつき、未来を変えてそうした人を助けるべきかどうかで悩むことになります。 ある日、腕が透明になっている有名人をジッと見つめていると、中年男性から「お前もフォルトゥナの瞳を持っているな」と声をかけられ、その話から、人助けをすることで、自分の身体に大きな負担がかかり自分の寿命を縮めてしまうことを教えられます。 というような、特殊な能力を持ってしまったばかりに悩み続け、果ては多くの人を救うため、自分の命を引き換えにしてしまう犠牲的精神を発揮する美徳のお話しです。 個人的にはどうせであれば、乃南アサ著の「しゃぼん玉」のような、悪の限りを尽くしてきた男が、偶然山で知り合った老婆の元で暮らすうちに、過去の自分を反省し、やがては過去の罪を認めて自首するという流れの方が、読者の感情を盛り上げるためには良かったかな。 つまり本書においては悪事から身を引いて、自首する代わりに大事故を防止するために自分の命を差し出すというような感じ。 「永遠の0」でもありましたが、零戦の模擬戦闘で主人公をうっかりして機銃で撃ってしまったヤクザ者が、戦後、暴力団抗争で組長を斬ったあと、そこにいた主人公の妻だった女性も斬るはずだったのをお金を与えて逃がしたような感じ。 絵に描いたような真面目な苦労人が、さらに犠牲者精神を発揮するよりかは、ずっと物語としては面白いかも。まったく大きなお世話、余計なことですが。 ★★☆ ◇著者別読書感想(百田尚樹) 【関連リンク】 3月後半の読書 教団X、新個人主義のすすめ、暗夜を渉る、何者、リアルワールド 3月前半の読書 悟浄出立、言ってはいけない 残酷すぎる真実、死者の奢り・飼育、獏の檻、君の膵臓をたべたい 2月後半の読書 手のひらの音符、あの女、いつまでも若いと思うなよ、残穢、悲しみのイレーヌ ---------------------------------------------------------- 暗黒の1950年代 2019/4/20(土) 1323 凶悪な事件で少年が関わる殺人事件が起きると「最近こうした殺人事件が増えてきている気がする」という声を耳にすることがありますが、データを見る限り、もちろんそういうことはありません。 それに気がつかせてくれるのは中井英夫著の「虚無への供物」(1964年刊)です。 と言ってもこれは私はまだ生まれたすぐの幼児の頃に出版された小説で、こうしたものを今になって読んだり、その他の様々なデータや小説などで、その当時のことを知るようになっています。 この小説の舞台と登場人物は、昭和29、30年(1954〜1955年)、東京の目白にある古い豪邸に住んでいる宝石商の末裔達です。 今は没落してきたとはいえ、一時は財をなしてきた名門家とその関係者や友人達が、身近で起きた密室殺人事件を推理するものですが、それと同時になにか殺伐とした当時の時代背景も描かれています。 この小説にも殺人ではありませんが千名を超える死者を出した洞爺丸の沈没事故により、主人公の親族が亡くなり、その他にもコメット機の連続墜落事故、文京区小2女児殺害事件などの世相を表す暗い話題が次々と登場してきます。 その昭和29年に起きた大事件、大事故を列挙しておくと、 1月2日 皇居一般参賀者が皇居二重橋で将棋倒しとなり16人が死亡(二重橋事件) 1月10日 コメット連続墜落事故: 英国海外航空781便墜落事故起こる。35名死亡 3月1日 マグロ漁船第五福竜丸が米国の水爆実験で多量の放射性降下物を浴びる 4月8日 コメット連続墜落事故: 南アフリカ航空201便墜落事故起こる。21名死亡 4月19日 文京区小2女児殺害事件 6月13日 カービン銃ギャング事件 8月31日 北海道釧路市の太平洋炭礦で爆発事故、39人死亡。 9月26日 洞爺丸事故。死者行方不明1155名 9月26日 岩内大火、北海道岩内郡岩内町。焼損棟数3299棟、死者33名。 10月8日 相模湖で遠足の中学生らを乗せた遊覧船が沈没し22名が死亡。(内郷丸遭難事件) そして、この時代(1950年代)の特徴として言えるのは、日本で殺人事件がもっとも多くあった年代です。 ピークの1955年には殺人事件の被害者数は2,119人に達し、人口10万人あたりにすると2.3人が殺人事件で殺されていました。 その数がどれほど多いかというと、2016年の殺人事件の被害者数は290人、10万人あたりにすると0.27人となります。10倍までには達しませんが今と比べると8〜9倍の多さです。 当時と現在とを比較すると、殺人被害者数は当時から14%へ減少、10万人あたりの被害者数も12%に減っています。つまり、現在の凶悪事件の件数は1950年代の2割以下にまで減っているということです。 そんな60年以上も前と比べても〜という人がいると思うので、今から19年前の2000年の殺人被害者数は768人、10万人あたり0.61人で、上記の2016年と比べると、38%、44%とやはり半数以下に減少してきています。 つまり、殺人事件においては近年は件数自体や人口比双方とも大幅に減少していることは明らかなので、「最近増えている」というのは明らかに間違った感覚と言えます。 ただ、ここ10年ほどに限ってみると、凶悪犯罪件数自体は下げ止まりしているようで、刑法犯による死亡者の数は漸減傾向ですが、重傷者の数は横ばいという感じが続いています。 同様なことは交通事故死でもあり、過去もっとも交通事故死が多かったのは1970年(昭和45年)の16,765人で、2918年の3,532人の5倍近い死者をだしていました。 こちらは凶悪犯罪と違い、警察が得意げに交通事故の死亡者激減は自分たちの成果だと広報していますので、相当数減ってきているという認識と実感は多くの人にありそうです。 もちろん交通事故死亡者が減ってきたのは、警察の力などではなく、交通マナーの向上、クルマの安全性の進化や、救急医療体制の充実などが最大の要因です。 一方では、この1950年代は映画「ALWAYS 三丁目の夕日」で描かれているように、貧しい時代ながらも将来に大きな夢を持って成長していくという側面もありました。 その映画に出てきたような美しく表現された躍進する日本、元気いっぱいな日本人というイメージだけでその時代を懐かしがったり、評価をすると、上記のような凶悪な犯罪が跋扈していたことが見逃されてしまいます。 殺人事件にしても、交通事故死にしても、過去と比べると現在は遙かに改善しているということをちゃんと認識しておき、気分で「多い」とか「増えている」とか言ったりすると、あとで大恥をかくことになります。 【関連リンク】 1177 年間8万人の行方不明者の行方 1081 高齢ドライバに対する偏見と規制 914 殺人事件の国際比較 ---------------------------------------------------------- ここ10数年間にみた映画(2) 2019/4/24(水) 1324 「ここ10数年間にみた映画(1)」では、この10年ぐらいに見た映画の中で、1999年までに製作・公開された映画の一覧を並べておきました。 それから少し期間が空きましたが、(2)では2000年以降に製作・公開された映画の中で見た一覧を並べておきます。もちろん劇場で見た映画だけでなく、テレビ(録画)で見た映画も含まれます。 2000年〜2009年に製作公開された映画が32本、2010年〜現在までに製作公開された映画が47本となっています。 これらの中からお勧めの10本を選ぶとすると、 キャスト・アウェイ(2000年) スターリングラード(2001年) 最高の人生の見つけ方(2007年) グラン・トリノ(2008年) きみがぼくを見つけた日(2009年) スリーデイズ(2010年) 神様のカルテ(2011年) ゼロ・グラビティ(2013年) 永遠の0(ゼロ)(2013年) オデッセイ(2015年) って感じです、ちょっと偏っているかも。 【関連リンク】 1320 2019年3月に見た映画 1312 2019年2月にみた映画 1301 2019年お正月に見た映画 ---------------------------------------------------------- ニュースと埋め草 2019/4/27(土) 1325 まもなく平成の時代が終わり令和の時代がやってきます。時代は移ろっていくばかりです。感傷に浸るオヤジの戯れ言です。 テレビ局や大手新聞社の報道の中には、必ず業界用語で言うところの「埋め草」という場面や記事が常に準備されています。 「埋め草」の意味は、「空いたところや、欠けた部分を埋め補うもの。雑誌・新聞などの余白を埋めるために使う短い記事」(コトバンク)で、言ってみれば役に立たない、どうでも良い記事だったり番組だったり、そのシーンだったりします。 思い出すのは、3.11震災が起きた後、テレビCMのほとんどが、CMの埋め草である「公益社団法人ACジャパン」の広告で埋め尽くされました。 テレビ局がこのCMを流したからと言って利益はなく、単に広告スポンサーが自粛した隙間時間を埋めるだけに使われていました。 もっと古い話しでは、1989年に昭和天皇が崩御されたときは、天気予報や報道番組以外は、埋め草の風景の映像にクラッシック音楽が延々と流されていました。そんな時におちゃらけたバラエティなど流せない雰囲気がありました。 ここで言いたい「埋め草」はもう少し広い意味で、使うかどうかは他のニュース次第というようなどうでも良い内容の記事やニュース映像です。 大きなニュースが急に入ってきたときにはその「埋め草」が使われることはありませんが、日々その季節に応じた「埋め草」をいつも準備しておくことは報道の現場においては重要なことです。 埋め草で多いのは、(1)動物園で取材した動物の映像(2)公園などで取材した花や樹木の映像(3)遊園地やイベント会場で取材した参加者へのインタビュー(5)ローカルの農村の田園や山間の風景でしょうか。 それ以外に、成人式、ひな祭り、七五三、卒業・入学式、花見、こどもの日の風景など、季節ごとのお決まりの風景も各地へ出掛けて取材されています。 その中で、もううんざりするのが、お盆や正月に親と一緒に里帰りしてきた子供、夏休みやゴールデンウィークで海外旅行へ行ってきた子供へのインタビューが駅や空港で、さらに食のイベントで名物料理を食べた子供にインタビューをしているシーンです。 どうせテレビなんか見ているのは、ジジババばかりだから、可愛い孫のような子供を出しておけば概ね満足するだろうということなのか、毎年、毎回、繰り返し代わり映えしないシーンが流されます。 インタビューされた子供の答えは決まって「うれしかった〜」「楽しかった〜」「美味しかった〜」と、頭のてっぺんから出ているような、年配者には耳障りな高音域の大声のワンパターンで、それが毎年繰り返されています。 これほど毎回同じ映像、同じ答えであれば、なにも毎回取材車を出して排気ガスをばらまき、渋滞に輪をかけなくとも、10年前のものを再利用すれば十分に事足りるような気もしますが、テレビ局はその同じ声を毎回拾ってくるのがなによりも使命と考えているようです。まったくアホです。 もっともインタビューの中でちょっと変わった子がいて「けっ!お年玉くれるからおとなしくしているけど、ジジババのご機嫌とるのは疲れるぜ〜」とか「ホントはアフリカで狩りを満喫したかったのに、セブだぜ、セブ、田舎だし、海しかないし!」とか、「外国のクソまずい料理ばかり食ってたから、あーマック食いてー!」とかの回答があっても、もちろんそういう映像や音声は使われることはありません。 いくらお定まりの埋め草でも、もうちょっとマスメディアは気を利かせたものを作れないものでしょうか。 例えばNHKの埋め草で「世界ふれあい街歩き」のワンシーンを切り取ったショート版や、日本百名山の登山シーンを短くして流すときがありますが、そうしたものはグッドです。 とにかく新聞社もテレビ局も、いまは経営状態がよろしくなく、しかもそれらが改善する見込みは、長らく減速が続く重厚長大産業よりも低そうなので、とにかく制作費を抑えにかかっているというのが埋め草の質にもよく出ています。 そうしたことが、埋め草の制作にも影響しているのか、とにかくワンパターンで、素人が作ったような質の悪いものばかりです。 経営が厳しいので、ゴールデンタイムの報道番組でも、高額な人気司会者を切って、自社の月給制のアナウンサーを使ったり、視聴率が落ちてきた有名な大物芸能人より、ひとりひとりはたいしたことがなくともまとめて集めるとそれなりにファンも増える安く使える芸能人をいっぱい集めた番組などが多くなってきています。埋め草ごときにお金をかけるわけにはいきません。 もっともテレビ局の中でもまるで税金のように聴取料を徴収して唯一景気が良いNHKだけを見ていると、テレビ局の景気の悪さは実感できませんが、実のところ民間大手キー局5局がそのうち経営が苦しくなって2〜3局に統合されていくのも時間の問題かも知れません。 大手銀行だって、1990年代まではバブル以降に都市銀行が合併に次ぐ合併に揺れるとは誰も思っていませんでした。テレビ局だって経営が悪化すればやがて合併や廃業がおこなわれてもまったく不思議ではありません。 ま、少なくとも、テレビを一番見てくれる高齢者の数が、ピークとなるのは団塊ジュニア層のほとんどが高齢者となる2040年頃ですから、そこまではなんとかもったとしても、20年後のメディアがどうなっているかはまったく予想がつきません。 製造業などと同様、この分野においても、海外メディアの攻勢をどこまで食い止められるかにもかかっていますが、現在のテレビ局の外資規制などあっても、例えばアメリカ大統領が日本の総理に一声「自動車の関税を引き上げるぞ」とでも恫喝すれば、すぐにそんな規制は撤廃されてしまいそうな頼りないものです。 もっとも、すでに一方的に電波を送ってくるテレビ局の使命は終盤に近づいていて、今後は高速ネット通信があれば、リアルタイムで映像もデータも双方向コミュニケーションもできるって時代です。 今のテレビ局は過去の遺産で食いつないでいるということでしょう。 それもやがては食い潰されてしまうと、その次はどうなるのか、私はもうその時を見ることはないかも知れません。 【関連リンク】 1293 お詫びと訂正と放送禁止用語 1182 経済波及効果とはなんだ? 1161 偏向報道って何だ? |
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