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リストラ日記アーカイブ 2019年1月
読みやすいようにアーカイブは昇順(上から古いもの順)に並べ替えました。上から下へお読みください。

日記INDEXページ(タイトルと書き出し部の一覧)はこちらです

1292 12月後半の読書と感想、書評 2019/1/2(水)
1293 お詫びと訂正と放送禁止用語 2019/1/5(土)
1294 夫婦の顔は似てくる?の謎 2019/1/9(水)
1295 リス天管理人が2018年に読んだベスト書籍 2019/1/12(土)
1296 1月前半の読書と感想、書評 2019/1/16(水)
1297 2018年11月〜12月に観た映画 2019/1/19(土)
1298 「未来の年表」を読んで考えたこと 2019/1/23(水)
1299 ジオシティーズ閉鎖によるサイト移転作業 2019/1/26(土)
1300 1月後半の読書と感想、書評 2019/1/30(水)


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12月後半の読書と感想、書評 2019/1/2(水)

1292
あけましておめでとうございます。
本年も引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
昨年は、おかげさまで比較的穏やかな1年を送ることができました。
今年も1年健康で過ごし、さらに皆様のご健勝も願っています。

 12月後半の読書と感想、書評
 *豆の上で眠る 湊かなえ
 *八月十五日に吹く風 松岡圭祐
 *定年後のリアル 勢古浩爾
 *あのひとは蜘蛛を潰せない 彩瀬 まる
 *抱擁家族 小島信夫

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豆の上で眠る (新潮文庫) 湊かなえ

2008年に大ヒットしてその後映画が製作された「告白」で華々しくデビューした後、順調に売れっ子作家となっている著者の14作目の小説で、2014年単行本、2017年に文庫版が発刊されています。

最後に大きなどんでん返しを配した驚愕ミステリーを書く作家としてのイメージが定着してきましたが、これもその期待に違わない作品に仕上がっています。

タイトルは「エンドウ豆の上に寝たお姫さま」というアンデルセン童話から来ていて、主人公姉妹が子供の頃に好きだったこの童話と、その話の中身にわずかながら触れた小説となっています。

主人公女性がまだ小学校1年生だった頃に、2つ上の姉と近所の神社へ一緒に遊びに行ったあと、先に帰ったはずなのに、家に戻ってなく、行方不明となってしまいます。

行方不明はその後2年間続きますが、2年後に、その行方不明になった神社で、痩せ衰え、人相も変わった姿で発見されます。

発見された姉は、この2年間のことはまったく記憶になく、どこで何をしていたか、誘拐したのは誰かなど不明です。

さて、この発見された姉は、本当に姉なのでしょうか?

というのが大きなミステリーとなっていて、最後の最後まで、読者にモヤモヤをため込ませ、最後に一気にその謎が明かされるというミステリーの王道のようなストーリーです。

あとで読み返すと、最初のほうにその大きなヒントがちゃんとありました。

ま、常識では、あり得そうもないことですが、ミステリー小説としてはよくできていると思います。

ただ、短編でも書けそうなぐらいの内容だけに、なにか余計な話しをいっぱいくっつけて引っ張りすぎって気もします。

★★☆


            

八月十五日に吹く風 (講談社文庫) 松岡圭祐

先に文庫本を2017年に発刊後、数ヶ月語に単行本を発刊するという非常に珍しいパターンの戦記物小説です。小説とは言っても多くを実名で書かれているらしいノンフィクションに近い小説となっています。

著者は千里眼シリーズなどで有名で、数多くの映画やドラマの原作ともなっている小説があります。そうした現代を舞台とした作品の他に、近代歴史時代小説作品も少ないながらあり、この著作もそれに該当します。

八月十五日と聞くと「終戦記念日」とすぐに出てくる人は徐々に減ってきている(若い子に「日本は昔アメリカと戦争した」と言うと、「えぇ〜うそ〜信じられな〜い」と言われるそうです。今はC'mon, baby アメリカ♪ですからね)と思われますが、日本の体制や価値観が、それまでから180度転換した明治維新と並ぶ大きな変革の日です。

この作品では、その終戦記念日の8月15日に特別な意味を持たせてはいません。

物語は、1943年(昭和18年)5月27日から7月29日にかけておこなわれた「キスカ島撤退作戦」の話しが主です。

それまで日本軍の作戦は、負けが込んでくると、撤退ではなく、玉砕という見殺しをするのが普通ととらえられてきた中で、誰しもが不可能と思えた米軍に包囲されているアリューシャン諸島のキスカ島(鳴神島)に残された日本の守備隊5500名全員を、米軍の裏をかいて無事に救出するという快挙があります。

こうした行動が、「日本人は死ぬことに対し恐れはなく、例え日本本土を占領しても次々と刃向かってくる野蛮人で、仲間さえを平気で見殺しにする」というイメージから、「苦難を承知で仲間を救出する高度な文明人」へと見方が変わり、その後の占領政策に影響したと言われています。

主人公はその撤退作戦を成功させた木村昌福少将と、大学で気象観測を研究し、霧の大量発生を予想した気象予報士官です。

燃料不足の折、一度は霧の発生が十分でないことで、突入をあきらめ一旦帰還したことで、大本営からは非難をうけるも、意に介せず、次のチャンスを待ち、さらに米軍の裏をかいて遠回りの逆方向から島に近づき、まったく察知されることなく、作戦を成功させます。

そして、撤退が無事に完了した後の8月15日に、アメリカ・カナダ連合軍3万5千の大軍がキスカ島へ一斉攻撃をしかけて、上陸作戦を決行します。

そこはもぬけの殻で、後に「史上最大の最も実戦的な上陸演習であった」と言われることになります。

こうした歴史ドラマをフィクションに仕立ててあるものの、苦難な時においても、ただ長きに巻かれるではなく、人生の岐路に立ったときになにが大事かということに気がつかされそうです。

★★★


            

文庫 定年後のリアル (草思社文庫) 勢古浩爾

多くの新書を中心とする著書を書いている著者の2010年単行本、2013年に文庫版が発刊されている新書的な文庫本です。

その後、この本の売れ行きがよかったのか、二匹目のドジョウ的に「定年後7年目のリアル」(2014年)、「さらなる定年後のリアル」(2015年)と次々定年本が出ています。自分のことを、そのまま書くわけですから割と楽にかけそうですね。

著者は、大学を卒業後、就職に失敗し、大学院へ進み、さらに大学院卒業時の就職も上手くいかずに零細出版社に勤務、その後その会社で30数年勤め上げ、60歳の定年直前に退職をして、文筆業や出版プロデュースをおこなってきた方です。

そうした経歴で語る「定年後」は、近々定年となる私にとって、定年を迎える状況が割と似通っていて参考になることが多いです。なにかとても親近感がわきます。

世に出ている多くの定年本、リタイヤ本とはひと味もふた味も違った内容で、やや本人の恨み辛みや個人的な思い込みが強く出ているものの、言わんとしていることはわかります。多分に独りよがりであることは自らも認めているわけですが。

それにしても「それがどうした」「勝手にどうぞ」と言った、皮肉っぽく構えた突き放した感じが共感できるところです。

有川浩、村上春樹、上野千鶴子などの人気作家達の定年や定年後の趣味・生活を表した著書や発言をけちょんけちょんにけなしているところも、揚げ足取り的な気もしますが、ユニークで素敵です。これらは一読の価値ありですぞ。

定年後の朝起きて、「さて今日はなにをしようか・・・」という気持ちは多くの定年退職者に共通するところですが、それをダメな人ではなく、当然として受け入れます。そして人が少ない公園へ出掛けるのを日課として傍目からは「寂しそうな引退した高齢者」を装い、誰からも声をかけられるではなく、自分の世界に入ります。

また一般的に言われている「高齢者は裕福」というイメージをぶち壊し、文筆業から得られるお金についてもごくわずかしかなく、雇用延長で給料が半分になっても働いている方がまだマシなぐらいという話しにこの人なら信用しても良いんじゃないかなと妙に親近感を感じてしまいます。

私も来年には今の仕事を引退する予定で、年金が支給されるまで2年近くあり、それまでの間どうしようかなぁ〜って不安に思ってましたが、この本を読んで、別にしっかりと引退後の計画なんか作らなくても出たとこ勝負でも良いんじゃないかなという気持ちが強まってきました(笑)

今後、もし機会があれば(書くネタがなくなって困ったら)、この著作に絞って、我が身と照らし合わせ、もう少し紹介を書いてみたいと思ってます。

★★★


            

あのひとは蜘蛛を潰せない (新潮文庫) 彩瀬 まる

著者は1986年まれと言うことですから32歳という若手作家さんで、2010年に書いた小説が小説新潮に掲載(単行本は未収録)されて小説家としてデビュー。その後、この奇妙なタイトルの本作品が2013年に単行本デビュー、2015年に文庫化されています。

この作品の主人公は、アラサーで実家の母親と暮らしながら、近所のドラッグストアの店長として働く女性です。どこにでもいるような、いないようなよくわかりませんが。

その勤務するドラッグストアはチェーン店で、正社員の他、多くのアルバイトを抱え、24時間営業をしているという設定です。

仕事上の人間関係や、週に一度バファリンを買っていく薬物過剰摂取の女性客、突然来なくなったアルバイトの中年男性の妻からのお詫びなど、日々が淡々と過ぎていく中で、新しく入ってきた爽やかな学生バイト君に興味を持たれ、いつしか恋愛関係に入っていきます。

このあたり、よくわからないけど、アラサー女子の願望みたいなものが入っているのでしょうか?

で、実家から出てひとり住まいを始め、彼ともズブズブの関係となっていく様を見て、なんだか悲しい結末を想像してましたが、あに図らんや、そうはなりませんでした(詳しくは買って読んでね)。

タイトルは、突然失踪してしまった中年のバイトが、仕事中レジの近くに出没した蜘蛛を触れず、オタオタする様をみて、代わりに主人公の女性が排除したことがあり、その触れない理由が「蜘蛛をつかむと潰してしまいそうで」という言い訳したことから来ていますが、それがこの小説の根幹とどうつながっているのかはよくわかりません。

ただこのタイトルにしたことで、注目度はグッと上がることは確かなので、誰が付けたのかは知りませんが、巧いやり方です。

★★☆


            

抱擁家族 (講談社文芸文庫) 小島信夫

1965年初出の小説で、その年に谷崎潤一郎賞を受賞し、その後文庫化されています。著者の作品では、1955年に「アメリカン・スクール」で芥川賞を受賞されています。

数多くの著書や海外小説の翻訳などがありますが、なぜか今まで読んだことがありませんでした。どこか難解そうっていう先入観があったのかも知れません。

内容は、思っていたものとはだいぶんと違っていて、終戦後の裕福な一家に起きる様々な騒動と、そこの主人(主人公)の右往左往がコミカルでもあり、シニカルでもあるというなんとも言えない家庭痴話小説です。

主人公は翻訳を生業としながらも大学教授というエリートで、専業主婦で派手好きな妻のために家を新築するようなお金持ちです。

その妻は自宅に下宿させていたアメリカ人米兵と浮気をしますが、なんとももどかしくそれをとがめられません。1965年当時、高度成長期に向かう中で抑圧されてきた主婦にとって、この小説の裕福な旦那と奔放な妻は拍手喝采、鬱憤を晴らせたという感じだったのでしょうか。

その妻も最後には癌にかかり、亡くなってしまうことになりますが、その妻にぞっこんだった夫は哀れでありながらも、自業自得という人のからかいを受けてしまう、こうした富裕層に対してひがみを持つ多くの人達にとって支持されたのかなと思われます。

いや、でも、結構、鬱々として退屈な内容でした。さすが谷崎潤一郎賞だけのことはあります。

★☆☆


【関連リンク】
 12月前半の読書 ベルカ、吠えないのか?、地下街の雨、イノセント・デイズ、明智左馬助の恋、人生はすべて「逆」を行け
 11月後半の読書 ハリー・クバート事件、とにかくうちに帰ります、代償、介護ビジネスの罠、黒冷水
 11月前半の読書 孤舟、天使の卵 エンジェルス・エッグ、社会人大学人見知り学部卒業見込、沈黙の町で、流れ星が消えないうちに
 10月後半の読書 開かせていただき光栄です、新版 ユダヤ5000年の教え、深夜特急〈第一便〉黄金宮殿、ようこそ断捨離へ
 10月前半の読書 傷痕、季節の記憶、夜が明けたら、お墓の大問題、嫉妬をとめられない人
 9月後半の読書 満願、ナミヤ雑貨店の奇蹟、花まんま、雑学の威力、私たちの国に起きたこと
 9月前半の読書 幻の女、幸福な生活、神様のボート、それは経費で落とそう



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お詫びと訂正と放送禁止用語 2019/1/5(土)

1293
テレビを見ていると、訂正とお詫びが入ることがよくありますが、どうも最近(でもなくここ10年ぐらい)、ちょっとしたことでもいちいちクレームの電話をする人がいるようで、そのあまりの頻繁さに辟易(へきえき)しています。不寛容な社会ということです。

そりゃ、重要情報の誤報や、重要人物の氏名、問題を起こした会社名を間違えたとか、データの数字が一桁違っていたとかなら、訂正しなければ後で大事になりかねませんが、ちょっとした言い間違いや、役職名の違い、フリップの誤字、10年以上前の事件で、数年の間違いなど、取るに足らないように思えることでも、いちいち訂正とお詫びをしています。

ただ最近では、そうした訂正とお詫びが入る生放送は、プロの司会者やキャスターが喋るニュースや一部の情報番組ぐらいなので、目立つのは読み上げた原稿の間違いや字幕、フリップの記載ミスぐらいで、素人や素人に毛の生えたような芸人が多く出演するバラエティ番組などのように放送禁止語が飛び交う事故は、事前に編集カットされていてまず起きません。

それでもたまに、素人っぽい芸人やコメンテーターが、生放送中につい我を忘れて使ってしまう放送禁止用語というのがあります。

この放送禁止用語というのは、別に法律で定められているわけではなく、各放送局やその所属する団体が決めた自主規制の用語であり、その線引きは厳密に決められているものではありません。時代とともに変わっていくものもあるでしょう。

例えば、「放送注意用語」というのがあり、使ってもいいけど、配慮が必要な言葉というものがあったり、それよりもっと厳しく制限される「放送自粛用語」や「差別用語」というのがあったりして、その数も細かく分けると数百に上ります。ややこしい限りです。

自ら言葉狩りとも言える網をかけているにも関わらず、それでも視聴者からは「その言葉(言い回し)はけしからん!」「差別された!」というようなクレームが付くこともあります。言葉なんて聞く側によってそのニュアンスが変わってきたりするものです。

暇な高齢者の中には、元言語学者や元国語教師、元アナウンサー、作家、人文学者、辞書編集者、自称評論家などもいるでしょうし、それぞれ住む地域によって禁句の言葉もあったりして、自分が気になった言葉にすぐクレームを入れて、番組中で訂正、謝罪されるのを見て、自己満足に浸っている人がいそうな気がします。

すでに社会との関わりがすっかり薄くなってしまった中で、番組にクレームをつけることで、本人にしてみれば、自分が正しいことを教え、それを相手が認め、世の中のためになることをやっているというスタンスですから、悪気はなく、また一度うまくいったら調子に乗ってクレームを繰り返すことが使命みたいになったりするから、放送局側の苦労もたいへんです。

おそらくですが、どの放送局も、従来はいわゆる団塊世代のそうした言葉遣いに厳しくうるさかったベテランの人達が原稿を書いたりチェックをしていましたが、それらの年代が一斉に退職してしまい、あとを引き継ぎ、まだそのベテランの域には達していない若い社員がアナウンサーやキャスターが読み上げる原稿を作成したりチェックしているものと思われます。

製造業で、古参の熟練技術が若い社員や職人へうまく伝わらず、製品の質が落ちたというような話しもありましたが、放送業界、メディア業界でもそうした言葉や文章の質が落ちてきているのが、訂正が多い理由でもありそうです。

私はテレビは、主にニュース、ドキュメンタリー、スポーツ、映画を見ていますが、その中で、昭和30年代頃の古い映画では当時普通に使われていた現在の放送禁止用語がよく出てきます。

例えば「乞食」や「部落」「めくら」「女中」「気違い」「凶人」「連れ子」「出戻り」「浮浪児」「妾」「未亡人」「ドヤ街」「土方」「ジプシー」「孤児院」「下男」「ぎっちょ」「按摩」など、中には「え?なぜこれを使っちゃダメなの?」って思うような言葉もありますが、一応、これらはすべて放送禁止語です。

そうした現在の放送禁止用語が満載の映画やドラマがテレビで放送されるときには、映画の最初と最後に、「本作品には不適切な表現が含まれますが,作品のオリジナリティを尊重し、そのまま放送します」とか「本作品は制作当時の時代背景を尊重し、放送当時のまま放映します」などおことわりを入れることで、一応免罪符としています。

個人的には、古い映画を作者の了解なく勝手に改ざんするよりかは、オリジナルのまま放送すべきであると思いますし、それをいちいち断らなくても良いと思っています。ひどい場合はその発言部分がカットされている場合もありますから、見ていても違和感を感じます。

ましてや、現在作られる映画やドラマでは、時代劇や明治時代を描いた作品であっても、当時普通に使われていた言葉(不適切語や放送禁止用語)が使えず、逆に脚本家も開き直って?しまい、すっかり現代用語に変えていたりして脱力感が半端ないのです。

放送禁止用語以外でも、以前は、山口百恵の曲の歌詞の中に商品名が入っていると言うだけで、紅白ではその部分の歌詞を変えさせたりしたNHKですが、最近は少し緩くなってきているようです。

同じく職業的差別用語とされる「土方」という放送禁止用語が入っている美輪明宏の名曲「ヨイトマケの唄」も長らくNHKでは禁止されていました(2012年に解禁されました)。

それでも考えが昔から進歩していない高齢視聴者からすると、NHKが商品名や会社名を出したり映したりするのはけしからん!と言ったクレームは今でも多いでしょう。そんなこと言い出したらスポーツ中継なんか広告看板ばかりで、中継ができなくなります。

民放だから商品名や商品の映像が許されるかというと、これがNHK以上に厳しくて、それは番組スポンサーに気を遣って、スポンサーの商品以外の、ライバル社の商品や社名が映り込むことに極端にナーバスになり画面からいちいち排除しています。

旅番組や街歩きの番組で、自動販売機や飲料、広告看板、テーブルの上の調味料に至るまで、その番組のスポンサー以外の商品にはすべてモザイクがかけられていて、そこまでするかと違和感ありありです。

政治家のポスターはもちろん、個人情報の関係から歩いている人の顔も、表札も、クルマのナンバーも、エリアが特定できそうな個人住宅や所番地が書かれている電柱など、映像の大部分にモザイクがかけられるので、見ていて鬱陶しくてたまりません。

差別用語を中心とする放送禁止用語と、個人情報関連、そしてスポンサーに気を遣っての忖度とではそれぞれ意味合いが違いますが、一般視聴者にとっては、オリジナリティが失われ、映像の不自然さ際立つことは、まるで戦争中の検閲や、役所が仕方なしに出してくるのり弁のような情報公開資料と同様、とても残念に思います。


【関連リンク】
1113 ありきたりだが新入社員へ贈る言葉
1094 元号の話し
942 世知辛い世の中
912 気になる言葉の乱れと誤用
530 貧乏な若者からお金を取る方法


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夫婦の顔は似てくる?の謎 2019/1/9(水)

1294
長年連れ添った夫婦の顔を並べると、なぜかそっくりに見えることがあります。これは日本人だけでなく、外国の夫婦でも似たような現象?が起きていますからとても不思議に思っていました。

親子の顔が似るのは、これは遺伝子上のことで、当たり前ですが、夫婦は基本あかの他人ですから、本来なら最初から似ているということはあまりありません。

一般的には、生物学上、自然と同類の似たものを配偶者に選ぶとか、毎日顔をつきあわせているとその表情がお互いに似てくるとか、ま、普通一般に考えられることで終わってしまいます。

ところが先日、下記の番組をみて、その後なんどか頭の中で自分なりにグルグルと咀嚼をしていくと、「あ、そうなのか!」と(仮想の)頭の上にある電球がパッと灯ったような感じになりました。腑に落ちたというか。

最後の講義「生物学者 福岡伸一」(NHK)

2018年8月と、再放送が12月にされていますね。

re-chan124さんが、講義(概要)を書き起こしされたもの

この講義は、私は番組を途中から、しかもながらで見ていたので、しっかりとは把握できなかったのですが、その時に私が注目した点は下記の通り

・生命は機械ではない(ルドルフ・シェーンハイマーの言葉)
・動物は食べ続けないと生命を維持できない
・その食料は、クルマで言う燃料ではなく、ボディやタイヤなどクルマそのものを作る
・身体を作る37兆個の細胞は毎日何千億個も死んだり生まれたりして次々と入れ替わっている
・1年前の自分と今の自分はまったく別人。実は完全に入れ替わっている
・身体は個体ではなく流体、生命は流体
・うんこ(排泄物)の主成分は食物のカスではなく、古くて交換された老細胞
・したがって身体の組織を新たに作る食べ物の質はとても重要

汚い話しですが、私は以前から便秘症で、毎日3食食べているのに、1週間ぐらい大便が出なかった時もあるぐらい、排泄には苦労していました。

タレントの松本明子さんが、「1ヶ月ご無沙汰の時がある」という話しをされていて、さすがにそこまではありませんが、そういう人もいるのですね。

最近は、マグミット錠(旧マグラックス)など便を軟らかくする薬なども簡単に手に入るようなり、数日間の便秘の後の堅い木の棒のように固まったカチカチの便を排出する、地獄のような苦しみはなくなりました。

その便は、ずっと食べ物の未消化分とカスがほとんどだと信じ切っていましたが、この講義で、うんこは入れ替わった古い細胞という話しで、えぇ!?と驚いた次第です。

そう言われるとなんだか、食べたもののカスで汚いものから、長らく活躍してくれた細胞さんお疲れ様でしたって感謝したくなります(しないか)。

で、そうして身体の細胞は「1年以内にすべて入れ替わっている」「身体の細胞を作る食べ物の質は重要」という話しを聞いて、ひらめいたのでした。

もしかすると、長年連れ添った夫婦の顔や表情が似るのは、生物学上や行動学上だけでなく、毎日同じものを食べ、飲み、同じ場所で空気を吸うことで、そこで新しく作られる細胞が集まって形作る外形も自然と似通ってくるのではないか?と気がついたわけです。

若い頃には顔が全然似ていない夫婦でも、毎日同じ食事、同じ飲み物を何十年と続けていると、元々の遺伝子の違いはあるものの、やっぱり新たに作られる組織の同化性はあるのではないでしょうか。

結婚してからずっと単身赴任で一緒に同じ食事をしたことがないという夫婦と、毎日自宅で朝晩一緒に食事を取っている夫婦とで、その違いが出るかどうか、そのうち物好きな学者が調べてくれるかもですね。

ただ顔が似ているというのは、主観的なもので、数値に表しにくく、学術的な研究には不向きかも知れません。

と、まぁ、そんなわけで、身体を作っているのは、食事からなので、栄養が偏ってたり、化学合成された天然には存在しない不自然なものばかりを食べ続けると、それなりの身体や皮膚、筋肉、頭脳、内臓にしかならないし、逆に季節に逆らわず、自然のままで食べることがいかに重要かということが、今さらながらよくわかりました。


【関連リンク】
1255 独身を通すという生き方
873 父親の遺伝子
769 相続税の税率を上げると言うこと
724 離婚の多さと結婚という形式


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リス天管理人が2018年に読んだベスト書籍 2019/1/12(土)

1295
毎年恒例の1年間で読んだ本の中からベスト作を発表です。新作の単行本とかは諸般の事情から買えないので、読むのは主として旧作文庫本や新書です。

そういうところが世間一般にある本の賞と大きく違う点です。古くても良いものは良いという信念でやってます。

この年間大賞のシリーズは2012年からおこなっていて、今回で7回目となります。10回ぐらい続いたら(生きていたら)、その10年間の中でさらに大賞の中の大賞(死ぬまでにこれだけは読んどけ!大賞)をやってみたいですね。

過去の受賞作とリンク先を書いておきます。

◆1191 リス天管理人が2017年に読んだベスト書籍
 新書、エッセイ、ノンフィクション、ビジネス部門 「里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く」藻谷浩介 NHK広島取材班
 海外小説部門 「過去からの弔鐘」ローレンス・ブロック
 国内小説部門 「漂流者たち 私立探偵・神山健介」柴田哲孝
 次点には「夜の国のクーパー」伊坂 幸太郎と「旅のラゴス」筒井康隆

◆1093 リス天管理人が選ぶ2016年に読んだベスト書籍
 新書、ビジネス書、エッセイ部門 「20歳からの社会科」明治大学世代間政策研究所
 外国小説部門 「ザ・ロード」コーマック・マッカーシー
 国内小説部門 「八甲田山死の彷徨」新田次郎
 次点 「小説 上杉鷹山(上)(下)」童門冬二

◆993 リス天管理人が選ぶ2015年に読んだベスト書籍
 新書、ビジネス、エッセイ部門 「日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率」浅川芳裕
 外国小説部門「星を継ぐもの」ジェイムズ・P・ホーガン
 国内小説の2015年ベスト「屍者の帝国」伊藤計劃×円城塔
 次点「恍惚の人」有吉佐和子

◆886 リス天管理人が選ぶ2014年に読んだベスト書籍
 ビジネス書、エッセイ、ノンフィクション部門「冷血」カーポティ
 海外小説部門「卵をめぐる祖父の戦争」デイヴィッド ベニオフ
 日本小説部門「東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン」リリー・フランキー
 次点「親鸞(上)(下)」五木寛之、「二人静」盛田隆二

◆784 リス天管理人が選ぶ2013年に読んだベスト書籍
 新書・ビジネス書大賞「該当なし」
 ノンフィクション・エッセイ部門「三陸海岸大津波」吉村昭
 外国人作家部門「緋色の研究」アーサー・コナン・ドイル
 日本小説部門「東京セブンローズ(上)(下)」井上ひさし
 次点「写楽 閉じた国の幻」島田荘司

◆676 2012年に読んだ本のベストを発表
 新書部門第1位「大往生したけりゃ医療とかかわるな」中村仁一
 外国作品賞「パイレーツ掠奪海域」マイケル・クライトン、「歩く影」ロバート・B・パーカー
 読書大賞「あかね空」山本一力
 次点「神様のカルテ」夏川草介
 審査員(=私)特別賞「血と骨」梁石日

  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

昨年2018年の1年間に読んだ書籍は、全部で99作品110冊(1作品で上下巻の場合2冊とカウント)で、ジャンル別内訳は、国内小説が64作品(71冊)、海外小説が9作品(13冊)、新書やノンフィクション等が26作品(26冊)でした。それらの中にビジネス書がほとんどないのは、いかにもやる気がない高齢者然とご理解ください。

1年間に読んだ書籍数を年ごとに並べると、
2013年 86作品 98冊 8.2冊/月
2014年 101作品 113冊 9.4冊/月
2015年 94作品 107冊 8.9冊/月
2016年 91作品 109冊 9.1冊/月
2017年 104作品 117冊 9.8冊/月
2018年 99作品 110冊 9.2冊/月

仕事をしながらでは、月9冊平均ってのはここ数年変わらないって感じです。

仕事をリタイアすると、暇になって読書数が増える?と思いがちですが、歳とともに目がつらくて読書量が減ったり、いつでも読めると思ってしまってあまり読まなかったりして、逆に減ることが予想されます。

普段は通勤中の電車の中と、寝る前にベッドの中で読みますが、そのうち通勤中に読むことがなくなるのでその分は減ってしまいそうです。

  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

さて、いよいよ2018年の各部門別、年間大賞の発表です。

■新書、エッセイ、ノンフィクション、ビジネス部門

まずこの部門は26作品読みましたが、その中から大賞候補としては、

日本人の誇り 藤原正彦
この国の冷たさの正体 一億総「自己責任」時代を生き抜く 和田秀樹
フェルマーの最終定理 サイモン・シン
老いる家 崩れる街 住宅過剰社会の末路 野澤千絵
「子供を殺してください」という親たち 押川剛
私たちの国に起きたこと 海老名香葉子
深夜特急〈第一便〉黄金宮殿 沢木耕太郎
ようこそ断捨離へ モノ・コト・ヒトそして心の片づけ術 やましたひでこ
定年後のリアル 勢古浩爾

などがあります。

この中から、大賞は、、、、

定年後のリアル」勢古浩爾著

に決定です!

読書感想は、
12月後半の読書と感想、書評

昭和時代の働き方から一歩も抜け出せていない偉い学者先生や、元々裕福だったり、大企業出身者が書いた退職金たっぷりもらうことを前提に書かれた定年リタイア本とは違い、冷静な等身大(と自分では思える)の定年後のリアルな世界が描かれていて好感が持てました。

また読書感想にも同様のことを書きましたが、退職金がほとんどなくても、年金だけが頼りで預貯金も乏しくても、決して暗澹とした内容ではなく、「なんとかなる」、「それがどうした」と開き直った定年後の姿に救われ共感を感じます。

昨年はこのジャンルに面白く読めた本が多数あり、当たり年でした。中でも大賞以外に「フェルマーの最終定理」「「子供を殺してください」という親たち」「深夜特急〈第一便〉黄金宮殿」などは好奇心が刺激されましたので、同時にお勧めしておきます。



  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

■海外小説部門
次に海外小説部門ですが、2017年は9作品(13冊)とやや少なめです。理由は、好きでよく読んでいたロバート・B・パーカーや、ローレンス・ブロック、マイクル・コナリー、ジェフリー・アーチャーなどの未読作品が枯渇してしまったことが影響している気がします。

さて、その中から大賞候補作としては、

夜明けの光の中に ローレンス・ブロック
内なる宇宙(上)(下) ジェイムズ・P・ホーガン
時計じかけのオレンジ アンソニー・バージェス
シャンタラム(上)(中)(下) グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツ
幻の女 ウイリアム・アイリッシュ
ハリー・クバート事件(上)(下) ジョエル・ディケール
などです。

その中から、年間大賞に選んだのは、、、

シャンタラム(上)(中)(下)」グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツ

に決定です。

感想は、
7月前半の読書と感想、書評

この長編小説はほぼアマチュアの人が書いたもので、話しを面白くするため無理矢理に作った乱暴なところや、無駄な話しが多くて冗長過ぎる部分ももあり、そして欧米人(著者はオーストラリア人ですが)視点で、貧困にあえいでいるアジアを見下したような一種ステレオタイプ的な偏見も垣間見えます。

また自分の経験を元にしつつ、相当に話しを盛っているな?と感じる小説ですが、それだけに波瀾万丈、退屈せず、エンタメ的な要素にあふれ、文庫は3巻に渡る長い小説ですが、気にならずに面白く読めてしまいます。

最後まで「ハリー・クバート事件」ジョエル・ディケール著とどちらにするか悩みました。

小説のテクニックや整然とまとまったミステリーとしては「ハリー・クバート事件」の圧勝ですが、スケールの大きさと、読者を喜ばす破天荒なエンタメ性、最近少なくなった素人っぽい荒々しさが気に入り「シャンタラム」に軍配を上げました。



  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

■国内小説部門
読んだ数がもっとも多いジャンルで、64作品(71冊)の国内小説部門の年間大賞候補作としては、

楽園のカンヴァス 原田マハ
失われたミカドの秘紋 加治 将一
紀ノ川 有吉佐和子
恋歌 朝井まかて
土漠の花 月村了衛
限界集落株式会社 黒野伸一
ラブレス 桜木紫乃
人類資金VII 福井晴敏
噂 荻原浩
天空の蜂 東野圭吾
村上海賊の娘 和田 竜
夏美のホタル 森沢明夫
満願 米澤穂信
ナミヤ雑貨店の奇蹟 東野圭吾
花まんま 朱川湊人
開かせていただき光栄です 皆川博子
明智左馬助の恋(上)(下) 加藤廣
八月十五日に吹く風 松岡圭祐
などです。

さて、国内小説63作品の中から大賞に選ばれたのは、、、、、、、、、、
ドコドコドコドコドコドコ(太鼓の音)

紀ノ川」有吉佐和子著に決定!!

古いぞ〜という批判(初出1959年)は甘んじて受けるとして、良いものは何年経ても良い。長く読み続けられそうなお見事な作品です。

有吉佐和子氏の受賞は2015年に国内小説部門の次点として「恍惚の人」が入って以来で、初の大賞受賞となります。

特に谷崎潤一郎や三島由紀夫など、耽美的な文学には滅法弱い(評価が高い)という習性がある審査員ですので、そうした雰囲気があるこの小説にはグッときてしまいました。この小説が特に耽美的というわけではありませんけど、、、

読書の感想は、
2月後半の読書と感想、書評

大正から昭和の初めの和歌山の素封家、そこで生まれ育った女性が主人公で、女3代に渡る大河小説的な話しです。

読んでいると、都会とはまた違う、その時代の和歌山紀ノ川周辺の風景が見事によみがえり、恋愛や結婚に自分の自由がなかった当時の女性の生き方や、ささやかな抵抗、そして脈々と引き継がれていく遺伝子など、小説これに極まれりって気がします。

それにしてもこの本に出てくる男がみな貧弱でぼろくそなのはご愛敬。そう言えば、同じ著者の作品「悪女について」も同様に男は添え物でしたね。

 −  −  −  −  −  −  −

次点としては、中世のイギリスを舞台にし、まるで海外ミステリー翻訳本のような「開かせていただき光栄です」皆川博子著と、キスカ島撤退の歴史的事実を元にして、登場人物の多くを実名で書いたノンフィクションに近い小説「八月十五日に吹く風」松岡圭祐著の2作品とさせていただきます。

開かせていただき光栄です」の感想は、
10月後半の読書と感想、書評

八月十五日に吹く風」の感想は、
12月後半の読書と感想、書評



受賞された作家、著者さんに深く敬意を表します。今後のますますのご活躍を願っております。良い本を出していただきありがとうございました。

今年はどんな良い作品に巡り会えるでしょうか。楽しみです。


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1月前半の読書と感想、書評 2019/1/16(水)

1296
未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書) 河合雅司

著者は産経新聞社の元論説委員で、同新聞に「少子高齢化」について毎月連載を書いていました。その流れから、今後日本で起きることを様々な統計データを元にして年代順に書かれたものが2017年刊のこの新書です。

年の初めの早々に、超高齢化と少子化による労働人口の急速な減少が続く日本の未来という、破壊的、悲観本を読み、その感想を書くのはつらいものがあります。

私は今まで自分の性格を悲観的だと思っていますが、この著者も著書を売らんかなのためかどうかわかりませんが、とにかく危機を煽り、悲壮感を漂わせ、読んでいると暗澹とした気持ちになります。

ま、それが例え避けようがない事実であっても、そういう国にしてきた著者や私を含む多くの日本人がそれを選択してきたわけなので、甘んじて受けましょうと明るくなぜ言えないのかな?

百数十年後に、世界地図から日本が消えていようと、それは致し方ないではないですか。過去にも消えた国はオスマン帝国や清国、満州国、ムスタン王国などいくらでもあります。

それがもし戦争以外で成し遂げられたとしたら、それはかつての日本の平和憲法のおかげだったということかも知れません。

ま、それはさておき、とにかく年代が増えて行くにつれ、著者の想像というか様々な統計データは膨れ上がっていきますので、50年後の日本の姿はもう怖くて見ていられなくなります。

この本を読んでいると、そこまで日本人は底抜けにアホなのか?と思ってしまいますが、農耕民族的で変化を嫌い、お上には逆らってはいけないという日本人のDNAは、外圧によってのみ大きな変革を遂げられるという慣行からすれば、今回の移民の大量受け入れによって初めて変革を成し遂げることが可能という事かも知れません。

ちなみに、ベストセラーとなった本書に続き、柳のドジョウ的に続編の「未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること (講談社現代新書)」がすでに発刊されています。

★★☆

            

約束の海 (新潮文庫) 山崎豊子

2013年に89歳で亡くなった著者の遺作となる小説で、週刊誌に連載中に亡くなったため、予定では3部作品のところ、この第1部で終わってしまった未完の作品です。2014年に単行本、2016年に文庫本が発刊されました。

著者の本は、過去に「沈まぬ太陽」(1〜5巻)、「大地の子」(1〜4巻)、「運命の人」(1〜4巻)、「女系家族」(1〜2巻)を読んでいて、面白いけど長い!というのが特徴ですが、今回は未完ということで1巻のみ、勝手なもので逆に物足りなく感じました。

主人公は、希望していた一般大学を落ち、やむを得ず先に合格していた防衛大学に入り、その後海上自衛隊で潜水艦に乗ることになった若い独身男性で、特にモデルとなった人はいません。

その主人公の父親が、元日本帝国海軍少尉で、そのモデルは真珠湾攻撃において特殊潜航艇の故障で日本人初のアメリカ軍捕虜となった酒巻和男氏となっています。

つまり親子二代にわたり、潜水艦乗りという設定です。

また1988年に浦賀水道で起きた自衛隊の潜水艦「なだしお」と遊漁船が衝突し、沈没した遊漁船の30名が亡くなった事故をモデルとして、この第1部の中で取り扱われています。

私ごとですが、この衝突事故が起きた時は、会社の研修で湯河原にいて、夕方頃、研修の休憩時間に偶然つけたテレビでこのニュースが放送されていて、洋上に漂い、潜水艦上から海上を捜索している人の映像が強く印象に残っています。

なお、巻末にはその後に書かれる予定だった第2部と第3部のあらましが書かれています。

第2部は、主人公が日米共同訓練のため、父親がアメリカで捕虜となったハワイへ行き、そこで見聞きした話しが中心、第3部は、潜水艦の艦長となった主人公が、東シナ海で中国の潜水艦と一発触発となる話しなどが書かれる予定だったそうです。

できればどなたか著者を変えてでも、第2部と第3部を書いて欲しいなと思う気持ちがありますが、実現は難しそうです。

勝手に想像するに、もし続編を書くとしたら、「雷撃深度一九・五」など多くの潜水艦にまつわる著書がある池上司氏とか、過去に潜水艦にまつわる小説「終戦のローレライ」を書いた福井晴敏氏、「海の底」を書いた有川浩氏など。

あるいは事件記者としての経験から日航墜落事故を書いた「クライマーズ・ハイ」や人間魚雷回天搭乗員を描いた「出口のない海」の横山秀夫氏、同じく回天搭乗員の「僕たちの戦争」を書いた荻原浩氏などでしょうか。中でも横山秀夫氏が、著者の作風にもっとも似ているような気がします。

しかしながら上記のような売れっ子作家さんにとっては、頼まれても人の作品の続編なんて書きたくないやってところでしょうけど、読者としてはせっかくの構想を無駄にしてほしくはないものです。

★★★

            

ハサミ男 (講談社文庫) 殊能将之

推理小説を得意とした著者の1999年に発刊されたデビュー作品となる長編小説で、同年にメフィスト賞(公募文学新人賞)を受賞しています。

2005年には、同作品を原作とし、池田敏春監督、豊川悦司、麻生久美子の主演で映画化もされました。見てませんけど。

ただ残念なことに著者は2013年に49歳の若さで亡くなっています。死因は未公表で不明ですが、この小説を読んでいると主人公が試す様々な自殺法が書かれていて、もしかすると、、、と考えてしまいます。

主人公は、出版社でアルバイトをしながら、そこで見つけた女子高生の名簿を利用して過去に二人の女性を窒息死させ、顔にハサミを突き刺しておいたことからマスコミから「ハサミ男」と呼ばれています。

そして3人目を付け狙い、殺そうとしていた時、それまでとまったく同じ殺害方法で、誰かに先を越されて女子高生が殺され、しかもその殺害現場で第一発見者となってしまいます。

真っ先に疑われそうですが、発見したのが死後1時間ほど経っていたため、まさか犯人が1時間も現場にいるはずがないということで、見過ごされていきます。

そしてその連続殺人犯の主人公は解離性同一性障害(二重人格)で、「医者」という二人目の人格が時々出てきます。その医者から、3人目を殺した犯人を捜すように指示を受け、真犯人捜しを始めることになります。

これ以上書くと、推理とミステリーがわやになってしまうので、書きませんが、偶然が多すぎて現実感には乏しいものの、なかなか凝ったストーリーで、十分楽しめました。

最近は、事実は小説よりも奇なりで、現実がとんでもなく現実離れ?した犯罪にあふれているので、小説だって、現実離れしていて良いじゃないの!と思うようになっていますから、こうした読者の錯覚を誘うテクニックを使った小説も気にせずスッと入ってきます。

才能のある作家さんだっただけに、早世は残念な限りです。

★★★

            

さがしもの (新潮文庫) 角田光代

この本が、世界に存在することに」として2005年に発刊されましたが、2008年に文庫化されるときにこのタイトルに改題されています。

「旅する本」「だれか」「手紙」「彼と私の本棚」「不幸の種」「引き出しの奥」「ミツザワ書店」「さがしもの」「初バレンタイン」の9作品からなるライトな短編小説です。

著者の小説は、2009年に同じく短編集の「トリップ」(2004年刊)と、2013年に長編の「対岸の彼女」(2004年刊)を読んでいます。

著者の小説を原作とした映画は、過去に「八日目の蝉」(2007年刊)や「紙の月」(2012年刊)を見ていますが小説は読んでいません。

いずれの短編も書籍と関係する物語で、読書好きな女性が好んで読みそうな話ばかり。現実感はないし、夢もないし、ひねりを利かせた設定もないし、あまりに短すぎて、感情移入している間もありません。

やっぱりこの著者が本領を発揮できるのは、ジックリ読める長編小説で、それが好ましく思えます。

というわけで、この本は短くて暇つぶしにもならず、失敗です。

★☆☆

            

しゃぼん玉 (新潮文庫) 乃南アサ

2004年に単行本、2008年に文庫化されています。また2017年には「相棒」シリーズで有名になった東伸児監督、出演者は林遣都、この作品が最後となった市原悦子などで、この著作を原作とした映画が製作されています。

著者の小説では過去に「暗鬼」、「火のみち」、「風紋」を読んでいます。そう言えば1996年の直木賞に輝いた代表作とも言える「凍える牙」はまだ読んでいません。そのうちにね。

主人公は、コンビニ強盗や、女性や高齢者からひったくりを繰り返し、ヒッチハイクをしながら放浪しているどうしようもない若い男性。

ヒッチハイクでトラックに乗せてもらったところ、途中喧嘩をしてしまい、ドライバーをナイフで脅したものの途中で寝入ってしまったため、山の中の真っ暗な道に放り出されてしまいます。

仕方なく誰も通らない山道をとぼとぼ歩いていると、バイクで転けて動けなくなった老婆と出くわし、老婆を家まで送り届けます。

老婆の家からお金を盗んですぐに逃げだそうと思っていたものの、暖かな食事やどこの誰というような詮索もなく、居心地がよくてしばらく老婆の家に滞在することになります。

そうした底辺で犯罪を繰り返しながら生きるしか術がなかった若者の再生物語ってところでしょうか。

現実の社会でも、危険なあおり運転を繰り返し、その結果、相手が事故で亡くなっても「注意されてカッとなった」「我慢が限界を超えた」とか平気で言い、自分を正当化する身勝手な人も多い世の中ですから、犯罪を犯罪とは思わず、それに深く染まった人が、厳しく断罪されない限り、そう軽々しく自ら更生できるとも思えませんが、小説だけにそういう理想を求めています。

★★☆

【関連リンク】
 12月後半の読書 豆の上で眠る、八月十五日に吹く風、定年後のリアル、あのひとは蜘蛛を潰せない、抱擁家族
 12月前半の読書 ベルカ、吠えないのか?、地下街の雨、イノセント・デイズ、明智左馬助の恋、人生はすべて「逆」を行け
 11月後半の読書 ハリー・クバート事件、とにかくうちに帰ります、代償、介護ビジネスの罠、黒冷水
 11月前半の読書 孤舟、天使の卵 エンジェルス・エッグ、社会人大学人見知り学部卒業見込、沈黙の町で、流れ星が消えないうちに
 10月後半の読書 開かせていただき光栄です、新版 ユダヤ5000年の教え、深夜特急〈第一便〉黄金宮殿、ようこそ断捨離へ
 10月前半の読書 傷痕、季節の記憶、夜が明けたら、お墓の大問題、嫉妬をとめられない人


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2018年11月〜12月に観た映画 2019/1/19(土)


1297
ちょっと年末年始進行?のため、時期がずれてしまいましたが、昨年暮れに観た映画の感想です。


人生の特等席 原題:Trouble with the Curve 2012年アメリカ
監督 ロバート・ロレンツ 出演者 クリント・イーストウッド、エイミー・アダムス

米メジャーリーグ、アトランタブレーブスで有望選手のスカウトマンを長くやっている老齢のベテラン役が主人公で、イーストウッドが扮しています。

その主人公の娘は、母親を亡くしたあとは、全米をスカウトのために放浪する父親から離れて暮らし、現在は都会で弁護士として着々と実績を積み重ねていきますが、年老いた父親を心配して、しばらく休暇を取り、一緒に住むことになります。

娘がまだ幼少の頃には、全米各地をスカウトで回るため、一緒に旅をした楽しい想い出があります。

主人公は老齢のため、目が不自由となってきて、的確な判断がしづらくなってきますが、娘がその目の代わりを買って出て選手の善し悪しを一緒に見極めていきます。

あるとき、別の若いスカウトと、取るべきかどうかで意見が分かれますが、オーナーは若いスカウトマンの軽口を信じて指名することになります。

しかしそれが失敗だったということが、主人公の娘が偶然見つけた名もなき素人投手との対戦により証明されることになります。

ハッピーエンドで、平均的なアメリカ人が好きそうな、心温まる良い映画でした。

★★☆


            

メダリオン 英題:The Medallion 2003年香港・アメリカ
監督 ゴードン・チャン 出演者 ジャッキー・チェン、クレア・フォーラニ

ちょっと一昔と言ってよい古い映画ですが、例によってジャッキーが香港とアイルランドで所狭しと暴れ回る映画です。この頃のジャッキーは、キレがよくて気持ちよいですね。

主人公のジャッキーは香港の刑事で、死者を蘇らせることができるという伝説のメダルを狙う犯罪組織を追いかけ、インターポールと協力し、アイルランドまで出向きます。

組織との対決で一度は死にますが、そのメダルのおかげで甦り、さらに強力な肉体パワーを身につけ、同じく一度死んで蘇って力を付けた犯罪組織のボスと対決するという、絵に描いたようなハチャメチャドラマです。

とは言っても、かろうじてまだ40代の頃のジャッキーのいつもながらのちょこまかとした身のこなしと、スタントマンなしの危険な演技などは、見ていても楽しく、脂がのっているエンタメの頂点近くにいた頃と言っても良いでしょう。

ジャッキーも現在はすでに60代となり、最近は危険なスタントというよりも「ナミヤ雑貨店の奇蹟」(2018年)の老人約で出演したように演技派に転向しつつあるかと思いきや、「ポリス・ストーリー REBORN」(2018年)など今でも派手なアクション俳優は続けています。

ただ、有名俳優として巨大な市場でもある中国本土の影響は避けられず、その政治にも使われ、「弱きを助ける」のではんく「長いものには巻かれろ」的な最近の言動には、各所で批判を浴びているそうです。

★☆☆


            

木と市長と文化会館/または七つの偶然  1993年フランス
監督 エリック・ロメール 出演者 パスカル・グレゴリー、アリエル・ドンバール

ちょっと変わった、難解?に感じた映画で、プロローグの後、1章から7章までに分かれ、「もし○○でなかったら」というフランス語独特の「条件法の従属副詞節」を使った構成となっています。

野心のある若い村長が、その村に劇場やプールを備えた立派な文化会館を建設しようと考えます。

しかし、古くからあるお城の景観を壊したくない住民の反発などもあり、なかなか村民の説得がうまくいきません。

村長自身のフィアンセからも計画に賛同を得られず、結果的には、文化会館の構想はつぶされ、その場所には村民の憩いの大きな広場として解放されることになりますが、結局なにが言いたかったのか、よくわからないまま終わってしまいました。

自宅のテレビで映画を見るときは、結構ながら状態で見ることが多く、なかなか集中して見ることができません。

この映画は、ながらで見るには難解で、しっかり集中して見ておけばよかったなとちょっと反省です。

★☆☆


            

64-ロクヨン前編/後編 2016年 製作コブラピクチャーズ 配給東宝
監督 瀬々敬久 出演 佐藤浩市、永瀬正敏、綾野剛、榮倉奈々

横山秀夫著の小説「64(ロクヨン) 」(2012年)を原作とする刑事ものミステリー映画です。

タイトルの64とは、7日間しかなかった昭和64年を象徴し、その7日間に女児が誘拐され、身代金を奪われた上に殺害されるという残忍な事件が起き、その身代金誘拐殺人事件を警察署内部で「ロクヨン」と名付けています。

事件が起きた当時、世の中は昭和天皇崩御の話題一色で、この事件が大きく注目されることもなく、また報道も少なく、その事件から14年が経ち、まもなく時効を迎えようとしています。

主人公はその時に直接事件の捜査をしていた刑事ですが、現在は警察署の広報室というセクションに異動し、捜査活動からは遠ざかり、記者クラブと警察との険悪な関係の中で苦労しています。

時効が近づき、14年ぶりに主人公は被害者遺族の元を訪ねますが、殺された女児の母親はすでに亡くなり、唯一犯人と電話で話しをした父親は、仕事などすべてを失い、荒れた生活を送っているところを目にします。

そうしたときに、同じ警察署管内で、新たな誘拐事件が発生し、犯人からの要求が、14年前の誘拐事件と同じ内容(指定のデパートのスーツケースに2000万円という身代金)で、ロクヨンが再発した?と警察内部とマスコミが色めき立ちます。

この先は、ミステリーの本題に触れるので、書きませんが、前後半の2部に分かれた長い映画で、主人公が属している広報室と記者クラブのマスコミとのくだらない諍い場面や、主人公の家庭の問題などの部分も多く、ちょっとダレ気味なところもあります。

原作を読んでいないので、映画でその原作を忠実に描いているのかどうかわかりませんが、警察とマスコミとの関係、傲慢な警察上層部など、元事件記者でもあった著者が得意とするところが細かく描かれているのかも知れません。でもそれはいらんだろう〜って細かすぎるって気も。

すでに過去のものとなりますが、昭和64年の7日間は、年明け前の昭和63年から昭和天皇のご病気が重篤で、歌舞音曲の自粛ムードが日本全体に蔓延していて、テレビも新聞もそれ一色だったように記憶しています。

今はなき日産セフィーロのテレビCMで、セフィーロに乗った井上陽水が「みなさ〜ん、お元気ですかぁ〜?」と舌を巻いて喋った言葉が、この時期に失礼だ!という非難を浴び、その音声部分をカットして放送されたのも懐かしい想い出です。

この映画の事件には特に実在モデルはありませんが、そういうタイミングで起きた事故や事件というのは、メディアで大きく取り上げられることもなく、したがって世間で注目されず、目撃者情報なども少なく、犯罪のブラックホールの状態だったろうなと思います。

★★☆


【関連リンク】
1282 2018年9〜10月に見た映画
1254 2018年7〜8月に観た映画
1244 2018年4〜6月に見た映画
1194 最近見た映画(2018年1月)


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「未来の年表」を読んで考えたこと 2019/1/23(水)

1298
数年前にベストセラーとなった「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」(河合雅司著)を読み、過去の統計データを元にしたその分析ですので、別に目新しいことは書かれていませんが、未来に起きるであろう様々な事象や問題が整理して書かれているので、読むと論理的に考えやすくなっています。

1296 1月前半の読書と感想、書評「未来の年表」 2019/1/16(水)

なかでもその本で繰り返して書かれるのが、「少子化と高齢化がともに進み、人口全体の中での就業者の減少が最大の問題」ということです。わかりきったことですが。

少子化で国内の就業者が減ることで、

・GDPが減少する(経済規模が縮小する)
・納税額の減少(歳入が減れば歳出も減)
・消費が落ちる(デフレが継続?)
・求人難(人手不足倒産?、外国人労働者?)

高齢化で就業しない人が増えることで、

・納税額や社会保険徴収額が減少する(高齢者医療や社会福祉の削減)
・医療費の増加(同上)
・年金や生活保護費支給上昇(削減?)
・介護施設や介護人材の不足(地方分散?外国人労働者?)

少子化と高齢化は事象としてはまったく別物ですが、その結果として起きることはそう変わらないということです。

政治家や官僚、マスコミは、既得権益を守るためか、たいへんだと大合唱していますが、人口が減り、経済が縮小し、衰退していくことを前提として考えれば、GDPや歳入の減少は当然のことで、就業者が自然に減れば、南米のように失業者が増えて社会や政情が不安定になることもありません。高度成長期のように、安い賃金で労働者が欲しい営利企業はたいへんでしょうけど。

経済やGDPを伸ばしていくことを前提にするから、この人口問題はなにもかもつじつまが合わなくなるわけです。

というと、成長しなければ今の便利な生活や、充実した福祉は得られない!と反論されますが、結局はどちらにしても国民は我慢や無理を強いられることになります。

未来の年表」でも書かれているとおり、今後数十年にわたって医療費が増え、高齢者の年金や社会福祉コストが増えていくことが確実なので、それらを支えるためと称して、消費税の増税や、経済成長(≒納税額増加)を目指そうと政治家は考えますが、果たしてその考えは正しいのか?そういう方法でみなハッピーになれるのか?ということ。

それよりも、経済成長はしない、でも社会福祉コストや最低限のインフラの補修等は今後30〜40年間は嫌でも伸び続けていくということに真摯に向き合えば、ここは年代を問わず公平に負担をする消費税を最大北欧並みの20〜25%まで順次引き上げていくしかないでしょう。ちょっと乱暴な意見ですけど。

もちろん貧困層対策として、贅沢品ではない食料品には軽減税率というか、いっそ米とパンと野菜と肉と魚は一律非課税にしても良いぐらいです。

経済は右肩上がりはしない、でも国民福祉はちゃんとやれ、という相矛盾したことを、一時的な人気取りのために政治家が旗を振っても、もうすっかり化けの皮ははがれています。

しかし今の古い日本人が多くを占める政治家や高級官僚には、50年先にはもう生きていない人がほとんどで、そんな先のことまでまともには考えられません。

ここは「未来の年表」にも少し触れられていましたが、未来を作っていくことになる若い人に、学校の教育を通じて現状の危機的な話しを正しく伝え、これからこの国をどうしていくべきかを考えてもらい、古き日本人の「おかみには逆らえない」「政治は政治家に任せておけばよい」「長いものには巻かれろ」的な考えを捨て去り、自らが考え行動する新しい日本人を作っていくことが必要だと思います。


【関連リンク】
1260 災害大国ならではのビジネスチャンス
1211 過疎と限界集落の行方とコンパクトシティ
1055 働き方と社会構造
1040 高齢化社会は日本になにをもたらすか?
896 多死社会と葬儀ビジネス


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ジオシティーズ閉鎖によるサイト移転作業 2019/1/26(土)

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長年使ってきた無料ウェブサービスのジオシティーズ(GeoCities、現在はYahoo!ジオシティーズ、以下ジオ)が今年3月末で閉鎖になるということで、昨年12月から「リストラ天国」サイトを新しい場所へ順次移転してきました。

現在はすべて移転は完了し、ジオのページへ行くと「移転のお知らせ」だけになっています。

シオシティーズの閉鎖に向けて 2018/11/17(土)

移転先は、無料・有料問わず、様々なところを検討し、結局、サービス内容の充実と、有料ながらもその安さに釣られ、さくらインターネットのレンタルサーバに決めました。

有料サーバの良さは、なんと言っても邪魔な広告が入ってこないということや、目的やニーズによって機能(プラン)を選べること、それに困ったときのサポートが割と充実していることです。

有料サーバのデメリットもあり、月々の費用は業者側の言いなりで、業者の都合でどんどん上がっていくことがあり、いわゆる貧者向けビジネスと同様、少額を毎月永続的に支払わせるスパイラルに取り込まれてしまいます。携帯電話やCATVと同様、一度始めると、そう易々と解約して変えたり離れられなくなっています。

一方、無料サーバの良さは、そのサイトが閉鎖にならない限り、また自分で削除しない限り、費用が発生することなく、ずっと掲載し続けられることで、このメリットは見過ごせません。

有料サーバは金の切れ目が縁の切れ目で、契約が終了すればそれまで積み上げてきたコンテンツがサクッと消滅するのが一般的です。

無料サーバのデメリットは、一番目立つ場所に広告がデカデカと掲載され、利用できる機能も限定されることが多いことでしょうか。でもそれは無料であるが故仕方がないことで割り切ることができます。

今回移行したさくらインターネットのレンタルサーバは老舗で、特に初心者にも優しく、サービスが割と充実しています。ただWEBエンジニアなどプロにとっては、安いプランでは、使える機能が制限されていて物足りなく感じるでしょう。

同時に同社のレンタルサーバは、ジオの移行先として、移行キャンペーンがおこなわれており、開設初期費用が無料とか、試用期間も通常より長く設定されています(ジオの会員のみ)。

ジオの移行先のご紹介

またサイトの引越作業方法についても、ジオの中で詳しく書かれていて、好感が持てます。

ジオのホームページ移行ガイド

私がおこなったのは下記の作業です。

(1)新しい引越先サーバの選択と確保(URLが決まる)
(2)ジオにアップされているデータ(または自分のPCの中のデータ)を準備
(3)HTMLファイルの中のジオのリンクを一括変更
(4)HTMLファイル、画像ファイルを引越先サーバへ転送
(5)正しく表示されるか確認

移転の作業自体は、元データさえキチンと整理されていれば、ファイルや画像を転送するだけで、難しくはありませんが、2002年から始めているだけあって、16年間のゴミ、いや、多くのコンテンツが散在しており、その中には、ジオを前提とした内部回遊のリンクが多数貼ってあり、それの修正、変更にちょっと手間と工夫が必要でした。

ジオにもサイト内のURL一括変換方法が書かれています。

ホームページ内のURL一括変換方法

一応、その案内通りリンク先の変換はしましたが、うまく変換できなかった、あるいは漏れていたりして、リンク先がエラーとなってしまうケースも出てきそうです。

私の場合、移転とは直接関係がないことですが、貼っていた記事ごとの広告タグがいつの間にか変わっていて、表示するとエラーになっているケースが多く見つかりました。これは修正するのが大変なので、あきらめました。

リンクを一括で管理できるような、もっと合理的な方法もあるのでしょうけど、今さらほとんど読まれもしないコンテンツを一新するのも邪魔くさいので、あきらめてます。

あとは、ホームページとは別に、無料の忍者ブログに開設しているブログ(オヤジの主張リストラ天国日記)を移転するかどうかです。

今回新たに借りたレンタルサーバでも、ブログ形式で新しく開設することが可能なので、それも一緒に集約することができます。

ちょっと試しに使ってみたところ、現在使っている忍者ブログと比べると、機能はシンプルで、使い勝手は良さそうですが、現在のところ特に忍者ブログと比べて広告の非表示以外で優位性はないので、迷っているところです。

さくらのブログが常時SSL化されたら、その時にまた考えたいと思っています。というのも、Google先生の検索順位で、SSL対応か否かが大きく関わってくるのと、Chrome(ブラウザ)でSSL非対応のページを開こうとすると、「このページは安全ではないぞ」と警告が発せられるという非情な措置がとられるからです。

ま、こちらは、急いで作業を進める必要はないので、しばらく様子見でしょうかね。さくらに「ブログもSSL対応はする?」って聞いてみたところ、「鋭意検討中」(筆者意訳)との回答だったので、そのうちSSL化対応されるのでしょう。

最後に、移転をしたことを知らせるために、ジオのサイトから自動転送してもらう設定と、ほとんどやってないけれどSEO対策の一環として、検索エンジンに申請、登録すること、そして最後に、記事中に出している広告などの設定でも掲載するURLが変わることなど、細々とした変更手続きが必要です。

ま、これで、しばらくは安定した運営が可能ということで、良しとしましょう。

で、12月下旬頃から、実質のトップページは下記に変わりましたので、よろしくです。
ブログ(日記)は従来と変わりません。

リストラ天国ホームページhttp://restrer.sakura.ne.jp
同 日記 INDEXページhttps://restrer.sakura.ne.jp/site4/diaryindex1.html

【関連リンク】
1279 シオシティーズの閉鎖に向けて
959 今でもよく読まれている過去のブログは?
821 会社を辞めてから気がつくこと


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1月後半の読書と感想、書評 2019/1/30(水)

祝!日記1300回!

1300
本能寺の変 四二七年目の真実 明智憲三郎

2009年に単行本が発刊され、4年後の2013年に「本能寺の変 431年目の真実」として文庫版が発刊されています。著者は、自ら明智光秀の子孫だと称している作家であり歴史研究家です。但し本書を書いた時期はまだ会社勤めをしていて二足のわらじだったようです。

来年2020年のNHK大河ドラマは、二枚目俳優、長谷川博己が演じる明智光秀を主人公とした「麒麟がくる」に決定していますので、今後(と言っても1年先ですが)明智光秀ブームが沸騰してくるのは間違いないところでしょう。

本書の中でもなかなか興味深い話しが多く、定説と言われている様々な事柄を、別の資料からこう考えられるというような推理を述べています。

中でも傑出なのは、明智光秀と徳川家康は事前に信長暗殺の合意ができていて、本能寺の変が起きたと連絡が来てすぐ、家康は堺から楽々と伊賀越えして岡崎に帰ったあと、その後、信甲州の織田領を攻め入ったのは事前の打ち合わせ通りだったとする話し。

ただ、予想外だったのは、明智、徳川連合軍の体勢が整う前に、秀吉が中国大返しでやってきて、明智が大敗したことで、その後の予定が大きく狂ってしまったと本書では推定しています。

つまり本能寺の変は、明智光秀ひとりの陰謀ではなく、傍若無人の織田信長を恐れていた家康や、細川、長宗我部などを巻き込んだクーデターだったという話しです。

ま、ちょっと無理筋な推理の部分はあるとしても、明智の血筋としては、明智光秀ひとりが無謀にも己の欲求で天下取りに走ったというようなお馬鹿ではなかったんだということを言いたいのでしょうか。

こういう証拠になるような資料が少ない時代、その資料に矛盾があると、歴史家は自分の推理に都合が良いほうだけを取り上げ、それ以外は無視するか、ねつ造だと一笑に付してしまう傾向があります。

したがって歴史の解釈は幾通りにも考えられ、また時の権力者によってもゆがめられたり、消されたりすることも数多くあります。

この本能寺の変の真実というのも、著者の推理の部分がほとんどを占め、どこまで信憑性があるかという点については、素人が読む限りわかりません。ただ定説だけをむやみに信用するのはダメねってことは大事なことだと思いました。

著者自身の推理が絶対で断言調で書かれているのがちょっと鼻につきますが、でも割といい線を付いているのではないかなとも思えますし、歴史好きなら読んで定説との食い違いを検証してみるのも面白いかも知れません。

★★☆


            

欲しい (集英社文庫) 永井するみ

2006年単行本、2009年に文庫化された長編ミステリー小説です。著者の小説を読むのはこれが初めてですが、連作短編小説を雑誌連載中の2010年に49歳という若さで亡くなっています。

主人公は人材派遣会社を経営している40代の独身女性で、妻も子もいる男性と不倫関係にあり、なおかつ、寂しさを紛らわすため、若い男性を派遣してくれる派遣ホストもよく利用しているというちょっと話しをややこしくするようなできすぎた設定です。

ストーリーは、離婚して母子で暮らしている主人公の会社に登録し、派遣社員として働いていましたが、その職場に別れた旦那が金をせびりにきて、仕事を続けられなくなります。

その派遣社員は元旦那の暴力で離婚しましたが、消極的で強く言えないタイプで、そのようなことが起きるので仕事も続かず生活保護を受ける羽目になります。

片や、その女性の身の上話とそっくりな状況が、出会い系サイトの相談コーナーに書き込まれ、主人公の愛人がそれを読み、自分の娘にも同じようなことが起きたことで心配し、その女性にのめり込みストーカー行為をするようになります。

そしてその男性が、ストーカー被害者の女性に突き飛ばされ、歩道橋から転落し、亡くなるという事件が起きます。

このあと、また二転三転しますが、ミステリーなので、あとは書きません。

事件と言えば事件なのですが、女社長、愛人(出会い系サイト・ストーカー)、ホストと、DV、派遣、生活保護という関連性というか組み合わせってあまりピンとこないので、よく言えば意外性、悪く言えば、ありえねぇ!という感じもする小説でした。

★★☆


            

アキラとあきら (徳間文庫) 池井戸潤

2006年から2009年に雑誌に連載されながらその後単行本化はされず、2017年にテレビドラマ化されることとなり、その2017年にいきなり文庫化されて発刊されました。

2006年〜2009年頃と言えば、ドラマや映画化もされ著者の代表作ともなっている三菱自動車のリコール隠し問題を描いた「空飛ぶタイヤ」(2006年)や、地下鉄談合事件をモデルにしてNHKで連続ドラマ化された「鉄の骨」(2009年)、テレビで大ヒットした「半沢直樹シリーズ」(2004年〜2014年)などと重なる時期で、そうした中から、「下町ロケット」(2011年)が、直木賞に輝いています。

元々大学卒業後に三菱銀行へ入り、10年ほどサラリーマン生活を過ごしていた筆者だけに、金融、経済、財務等には明るく、そうした経済テーマの小説が真に迫っていて群を抜いています。

人気作家になったから言うのではないのですが、デビュー作「果つる底なき」が2011年に文庫本として登場した時、すぐに購入して読み、この作家は将来、城山三郎や高杉良以上の経済小説の作家になるかもと思いました。そしてその後も新しく文庫が出るたびに著者の小説は面白く読ませてもらっています。

この小説の主人公は、二人のアキラ。貧しい町工場に生まれ育った山崎瑛と、大手海運会社の御曹司の階堂彬です。

その二人が知恵を絞って戦うのかと思っていたら、まったく違い、二人とも東大を出て大手都銀へ入り、入社時研修でお互いの力を認め合い、その後、様々な危機を乗り越えていくという成長物語ってところです。

二人が協力し合うのは、最後の最後のわずかなところだけで、ずっと二人の両極端な人生が、それぞれに並行して描かれます。

720ページと、かなり長い小説ですが、途中ダレるようなこともなく、次々とテンポよく話が展開していき、とても面白く読めました。さすがとしか言えません。

将来起業したい、あるいは金融や企業買収などの仕事がしたいと漠然と思っている人は、そうしたビジネスの現場で起きている割とリアルな世界を垣間見られますので、若い人にお勧めです。

★★★


            

ひとり暮らし (新潮文庫) 谷川俊太郎

詩集や童話、翻訳本など多くの著作を出してきた86歳の作家であり、歌謡曲や学校校歌の作詞、鉄腕アトムなどアニメのテーマ曲の作詞、映画の脚本なども手掛ける多才な著者のエッセイ集で、2001年に発刊、2010年に文庫化されています。

「私」「ことばめぐり」「ある日」の三部構成になっていて、1980年代から90年代に雑誌等に書かれたものが集められています。

著者は1931年生まれで戦前派に属する方で、父親は哲学者で元法政大学総長という恵まれたエリートの生まれ育ちから来ているのでしょうか、下世話な庶民的な感覚ではなく、なにか吹っ切れていて、いつも遠くを見ている人という感じが文章から感じます。

ただ意外なのは、そうした教育者の父親の元にいながら、高校卒業後は大学入学や就職活動はせず、詩作に没頭して、その後作詞活動やエッセイスト、評論活動などの道へ向かいます。やはり変わり者と言えますね。現在87歳の今もご健在ですので、こんなことを書くと叱られそうです。

エッセイは、なにかテーマがあるわけでもなく、著者が60歳前後の時期に、日々の暮らしの中で、気がついたことや、感じたことが思うまま?に書かれていて、今ちょうどこのエッセイが書かれた著者の年齢に達した私が読むと、多くの共感と納得感が得られます。

もし私が、20年以上前の40代に読んでいたら、中には反感を覚えたり、目を上滑りしていくだけに終わったかも知れません。

★★☆


【関連リンク】
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