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日記INDEXページ(タイトルと書き出し部の一覧)はこちらです
1819 12月後半の読書と感想、書評 2025/1/4(土)
1820 2024年11〜12月にみた映画 2025/1/11(土)
1821 1月前半の読書と感想、書評 2025/1/18(土)



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12月後半の読書と感想、書評 2025/1/4(土)

1819
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。


ビジネス界からリタイアしてからはや4年が過ぎ、今年の夏には5年目となります。

元々人に対して過剰なほど気を遣う性格なので、多くの人に交じって働くと大きなストレスを感じます。働かないということはこれほどストレスがなく、精神衛生上に良いものかと日々実感しています。

ただし肉体的に老化で自然に衰えていく分は仕方がないとして、少しでも健康でいたいので、毎日1時間ほどの早歩きを取り入れたウォーキングとストレッチ、家事やDIYなどをこなして身体をよく動かしています。

お正月と言えば年賀状ですが、ここ10年間で鬼籍に入った方や年賀状仕舞いなどで少しずつ減っていき、今では50枚ほどが続いています。

こうした古くからの慣習で、私自身も物心が付いた4〜5歳の幼稚園の頃から始めている習慣なので、できればまだ続けたいところですが、今後はどうしようかと考えています。

しかしはがきの値段が今年一気に1枚22円も値上がりし85円になったことでもう愛想が尽きかけています。効率を上げるためだったはずの郵政民営化が正解だったのかわからなくなりました。

私がまだ幼児だった頃、母親あてに実家の祖母からよくはがきが届いていて、いつも見せてもらっていましたが(達筆すぎて読めなかった)、その頃(昭和30年代終盤から昭和40年頃)ははがきの値段は5円、封書が10円だったのをよく覚えています。

そのイメージが強く残っているので、60年間で17倍!(5円→85円)というのはいくらなんでも横暴な上昇としか言いようがありません。ちなみに大卒初任給で言えば昭和40年(1965年)が2.4万円だったのが、令和6年(2024年)が21.6万円で9倍です。

さて、正月早々の愚痴もそこそこにして、今年もスタートは読書感想からです。

            

指名手配(創元推理文庫) ロバート・クレイス

指名手配
1953年アメリカ生まれの小説家の著者は、1987年からロサンゼルスの私立探偵を主人公とした「エルヴィス・コール&ジョー・パイク」シリーズを執筆していて、本作は2017年に出版(邦訳版は2019年)されたシリーズの17作目です。

原題は「THE WANTED」で、直訳です。でも内容は私立探偵の人捜しですので、一般的に想像する警察がおこなう「指名手配(犯)」とはちょっとイメージが違っています。

著者の作品には他にも警官と警察犬を主人公としたシリーズもありますが、著者の作品を読むのは今回が初めてです。

探偵小説が好きで、チャンドラーや、パーカー、ブロック、コナリーなどを読んできてこのクレイスに気がつかなかった自分は大恥モノです。

その仲でもマイクル・コナリーとは親しい間柄で、双方の作品中にお互い相手の主人公(ハリー・ボッシュとエルヴィス・コール)を登場させるぐらいの仲だそうです。

このコールシリーズを最初から読みたいけど、初期の作品はすでに絶版状態で、気長にブクオフに出てくるのを待つしかなさそうです。またシリーズ17作品の内、邦訳されているのはその半分ぐらいです。

内容は、高級な腕時計を隠し持っていた息子が犯罪に関わっているのではないかと思い、その母親が探偵に調査を依頼しますが、その過程で高級住宅ばかりを狙った連続空き巣犯一味の可能性が高くなってきます。

息子は母親と探偵にバレて警察へ自首することを求められたことで、家出をして行方不明となります。

そこで探偵が様々な関係先を回って調べていくことになりますが、警察以外にも息子を探していることがわかり、、、

強面の相棒で元海兵隊のジョー・パイクはスペンサーシリーズで言うならホークの役で、主人公コールの良き理解者として大いに活躍します。

そう言えば私立探偵コールも相棒パイクもベトナム戦争の帰還兵という設定で、ハリー・ボッシュの経歴とかぶります。

ベトナム戦争でアメリカが関わった時期は1965年から1975年までですから、1975年に20歳で軍に従軍したと考えても、2017年時点では62歳になっているはずですが、スペンサーシリーズと同様(スペンサーは朝鮮戦争に従軍)、何年経っても歳をとらないサザエさん一家のようなスタイルです。その点、ハリー・ボッシュやマット・スカダーは作者と同様に年老いています。

どうしてもこうした長いシリーズとなった場合には、主人公の年齢や過去の経歴などに矛盾点などが発生してしまいます。

サザエさんが最初に登場したのは1946年ですが、戦争の影響もあったでしょうけど当時の日本人男性の平均寿命が50歳、サザエの父親の波平は孫もいる54歳の設定です。30年以上も寿命が延びて、54歳で孫までいる大家族というのは現在では滅多にお目にかかれないでしょう。

★★★

            

白い遠景(講談社文庫) 吉村昭

白い遠景
著者の二つ目のエッセイ集で、1979年に単行本、今回読んだのは2015年版の文庫ですが、それ以前に文庫化されていたかは不明です。

主に昭和40年代に書かれたものがほとんどで、時代を感じるものもあれば、作家の矜持のような普遍的なものまで様々です。

1927年(昭和2年)生まれの著者は、代表作に「戦艦武蔵」など戦記物が多いので、太平洋戦争に従軍していた方と思っていたら、戦時下で学校を繰り上げ卒業したものの予備役で終戦を迎えたとのこと。もう数ヶ月早く生まれていたら完全に徴兵され、他の多くの同級生と同様、南方へ送られ生きては帰れなかっただろうとのことで、人の運命なんてわからないものです。

エッセイでは著者の様々な小説の裏話というか取材の実際や、事件や事故が起きた現地へ足を運んでその場所を確かめることを常としていることなどがよくわかります。

太平洋戦争の話しは取材できる相手がまだいた時代(昭和40年代)ですが、江戸時代や幕末の頃の話しは直接見聞きした人からの取材はできず、そのため様々な古文書や研究資料から史実は曲げない範囲で著者独自の創作力が発揮できて楽しいということです。

多くの新聞や雑誌にそれぞれ掲載されたものを集めていますので、かなり重複しているところもありますが、小説では書けなかった著者が感じた雰囲気や、戦争の悲惨な現場に実際遭遇した人たちがポツリポツリと話す内容には小説以上の重々しさがあります。

★★☆

著者別読書感想(吉村昭)

            

時効を待つ女(徳間文庫) 新津きよみ

時効を待つ女
2005年に出版された短編小説集です。短篇は「時効を待つ女」「筆が殺した」「彼女に流れる静かな時間」「種を蒔く女」「捨てられない秘密」「わたしのもの」のそれぞれ独立した6篇が収録されています。

著者はサスペンス・ホラー要素の強い作品が多いのはよく知られていますが、先日読んだ「帰郷 三世代警察医物語」は意外な感じがしましたが、真っ当な家族愛とミステリーを絡めた作品でした。

さて今回はどのような展開なのかな?とわくわくしながら読みました。

タイトルになっている初っぱなの「時効を待つ女」はミステリー要素が強いものの、ひねりが効いていて最後の大どんでん返しでは「え?えっ?えぇぇぇ!」と、最初に戻って読み返すことになるほど驚かされました。

「ムフフ、してやったり」とまったく会ったこともないし見かけたこともない方ですが、著者のにやけ顔が思い浮かびます。

他の短篇もそれぞれにユニークな発想で、ありえねぇー!と思いつつも、意外な展開で面白かったです。ただ一番目の作品の衝撃が大きかったため、期待値が大きく上がってしまい、それと比べるとややパワー不足に感じました。

★★☆

著者別読書感想(新津きよみ)

            

歴史のミカタ(祥伝社新書) 井上章一、磯田道史

歴史のミカタ
2021年に出版された共著の新書です。1955年生まれの井上氏は京都にある国際日本文化研究センター所長で、1970年生まれの磯田氏はテレビでよく見かけるようになりましたが歴史学者で国際日本文化研究センター教授ということで表面上は上司と部下という関係です。

タイトルの「ミカタ」とは「見方」であって「味方」ではありません。読むまでどっちなんだろう?と思っていました。歴史学者としては、歴史をもっと好きになって欲しいという歴史の「味方」という意味も裏にはありそうです。

共著には違いないですが、もっぱら主導して喋っているのは歴史学者の磯田氏で、井上氏はわざとかも知れませんが的外れというか、茶化したり、脱線した話が多いように感じました。

幅広い日本の歴史を語るには、古文書をスラスラ読めて、さらにNHKで歴史番組を長くやっている磯田氏にはかないませんから、磯田氏の独壇場になるのは仕方ないでしょう。井上氏は自身が生まれ育った京都の歴史や世界史、特にローマ時代などには造詣が深いです。

本書で語られていますが、日本の歴史の学習はとにかく年号や人名などの暗記が主となっていて、それでは興味を持ってくれる若い人が少ないというのもうなづけます。

また大河ドラマでは語られない英雄達の派手な女性関係など、時代錯誤と言われる今の時代では取り上げにくい話などにこそ興味を引く面白いことがあったりします。

また女性天皇(国王)が、文明が発生した大陸では少なく、欧州(半島)や朝鮮半島までくるとやや増えてきて、日本や英国のような島国では結構多くなると言う文化が伝わってくる時間と距離によって変わってくる経緯など「なるほど!」といった話しは面白いです。

★★☆

著者別読書感想(磯田道史)

【関連リンク】
 12月前半の読書 生存者ゼロ、七つの会議、遺言、名もなき少女に墓碑銘を
 11月後半の読書 カササギ殺人事件、探偵は絵にならない、歩きながら考える、遠い唇
 11月前半の読書 十二月八日の幻影、メーデー極北のクライシス、この青い空で君をつつもう、健康を食い物にするメディアたち


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2024年11〜12月にみた映画 2025/1/11(土)

1820
網走番外地 北海篇 1965年 東映
監督:石井輝男 出演者:高倉健、千葉真一、田中邦衛他

網走番外地 北海篇高倉健の出世作とも言える「網走番外地」「続 網走番外地」「網走番外地 望郷篇」に続くシリーズ第4作目です。主演の高倉健は演技に磨きがかかってきた34歳の頃です。

脇役で最初の少ししか登場しませんが、ニヒルなイケメン千葉真一は26歳、当時から老け顔の田中邦衛は33歳、途中から最後までずっと愛嬌を振りまく助演と言える大原麗子はなんと19歳のギャルです。その他にも嵐寛寿郎や由利徹、小林稔侍、石橋蓮司なども出演しています。

主人公が網走刑務所から仮出所する前に囚人仲間から母親へお金を届け、自分の妻を奪ったヤクザの組長にけじめをつけさせて欲しいと頼まれ請け負い一暴れして組長の指を詰めさせるなど相変わらずの無謀ぶりです。

そして金を受け取るために釧路の運送会社へ向かいますが、現金がないと断られ、その代わり雪道を走る高額報酬の特別便のトラック運転手をしてくれるなら高額報酬を支払うということで請け負います。

怪しげな二人の荷主と隠れて乗ってきた運送会社の娘を乗せてボロトラックで山道を走ります。これは古典の名作、ジョン・フォード監督の「駅馬車」をモチーフにしたものです。

閉ざされた山の中で、麻薬を密造するために材料を運ばせていたことがわかり、雪原の中で、偶然出会ったマタギの刑務所仲間と協力し、派手な打ち合いが始まります。

シリーズ4作目となり、単純な勧善懲悪がややマンネリ化もしてきたらしく、ストーリーにはやや手抜きな感じもうかがえます。しかし当時の背景や映画のスタイルがよくわかって楽しめました。

東映の網走番外地シリーズは、石井輝男監督で10作、他監督で8作が製作されています。当時は鶴田浩二主演の映画とこの高倉健主演の映画が年2本ずつ製作され2本立てで上映されていました。

★★☆

            

2019年 KADOKAWA
監督・原作・脚本 北野武
出演者 ビートたけし、西島秀俊、加瀬亮、中村獅童、木村祐一、浅野忠信、大森南朋

首たけし流解釈の「本能寺の変」を主題に、織田信長(加瀬亮)とその部下の大名、羽柴秀吉(ビートたけし)、明智光秀(西島秀俊)、徳川家康(小林薫)、荒木村重(遠藤憲一)、黒田官兵衛(浅野忠信)などの主従関係や裏切り、そして信長の後継者争いを描いています。

もちろん現在一般的になっている本能寺の変の構図とは一線を画しているのと、信長や光秀などの男色がそれぞれの思惑や人間関係に影響を与えています。

ま、有名な中年男優が裸で抱き合っているシーンなどはちょっとひきますが、戦国時代には男色は特に珍しいものでなかったことはよく知られています。

またタイトル通り、首がはねられるシーンが多く、R15+に指定されています。考えてみるとアニメや映画になっている「鬼滅の刃」も鬼の首をはねるシーンが多いですがそちらはPG12指定です。その差は人間と鬼の違いなのか、実写とアニメの違いなのかどうなんでしょう。

久しぶりの北野映画と言うことで注目されましたが、カンヌ国際映画祭ではノミネートのみ、その他あまり評判が良いとは言えず製作費を上回る興行収入はなかったようです。

見た感想は、様々な小説や映画、ドラマで幾度も繰り返される織田信長像や本能寺の変だけに、少しひねった(秀吉や黒田官兵衛などの謀略で、光秀に信長暗殺を焚きつけた)ストーリーにも少し無理があり、特に日本の戦国時代に詳しくない外国人などが見るとよくわからないストーリーということになるでしょう。

その点、黒澤明監督の時代劇、「七人の侍」や「用心棒」「影武者」などは、ストーリーはいたってシンプルで、日本人にはもちろん、外国人にもよく理解できて楽しめるものでした。

もう、戦国時代のきらびやかな衣装や、武将、忍者、殺陣だけで人気がでるものではなく、ストーリー性に魅力がないとイマイチ受けないのかも知れません。

★★☆

            

駅 STATION 1981年 東宝映画
監督 降旗康男 出演者 高倉健、倍賞千恵子、いしだあゆみ、烏丸せつこ

駅 STATION北海道の道西地域の増毛町、銭函、雄冬などを舞台にして、そこで活躍する射撃の得意な警察官を主人公に1968年(昭和43年)〜1979年(昭和54年)頃の様々な人間模様が描かれます。倉本聰氏の脚本と言えばおおよその想像がつくと思います。

その中でもちょっと衝撃を受けたのは、主人公の警官の実家が雄冬にあり、その当時はまだ陸路がなく、実家に帰省するには離れ島でもないのに増毛から定期連絡船に乗ることになり、陸の孤島と言われていた場所です。

現在は国道231号線が全線開通し、石狩から雄冬(岬)を通って増毛や留萌方面へ海岸沿いに抜けられますが、その国道ができたのは1992年(平成4年)と割と最近のことで、日本海オロロンラインと名付けられて北海道一周旅行には欠かせない道路になっています。

ストーリーは、主人公が警察の仕事と次のメキシコオリンピックの射撃選手としての役目と責任を背負うことで夫婦関係が壊れ、妻と離別するところから始まります。

映画の中でも食堂のテレビニュースでプレッシャーに押しつぶされた円谷幸吉の訃報が流れていて当時のオリンピック選手の精神的な負担が大きかったかが偲ばれます。

映画は大きく三篇に分かれていてそれぞれにひとりの女性がフューチャーされ、1部が1968年1月直子、2部が1976年6月すず子、3部が1979年12月桐子とサブタイトルが入ります。直子は主人公の別れた妻、すず子は張り込み先の殺人犯の妹、桐子は増毛の居酒屋の女将です。

仲間の殉死や、実家にいた妹の結婚、同郷の仲間との友情などがあり、仕事では殺人犯の妹を見張り逃亡犯を捕まえるなど貢献します。

増毛でふと訪れた居酒屋に入ると、ひとり寂しげな女将とやがて関係ができますが、その女将を訪ねてきた元彼が同僚を射殺して逃げている殺人犯というのに気がつき、撃ち合いになって射殺します。

ひとりの男と3人の女、そして射撃の名手というアクションとエンタメ要素がキチッと散らばめられている楽しめる映画でした。

軽薄そうなアイドルばっかりの最近の映画とは違い、この頃の映画はちょい役でもちゃんとしたまともな演技ができる俳優達が演じるので映画の質はグッと高いです。

★★★

            

張込み 1958年 松竹大船
監督 野村芳太郎 出演者 大木実、宮口精二、高峰秀子

張込み原作は松本清張の短篇小説で、初出は1955年に小説新潮、その後短篇集の収録作品として1996年に出版されました。

時代背景も1950年代初頭で、ほとんど現場ロケで製作されたと思われ、当時の社会風俗がよく反映されていて面白く見られます。

最近の映画では、こうした戦後間もない頃の生活風景はCGやFSXで作られますが、どうしても嘘くさい雰囲気が残ります。

この映画では、真夏の1週間がメインですので、家や旅館、鉄道にもエアコンなどがない中で、満員の長距離列車の中では下着姿で通路に寝ている人や、旅館の中でいつも団扇でバタバタとあおぎつつ吹きだす汗をタオルで顔や身体を拭いていて、画面の中から汗のにおいがムッと漂ってきそうな感じです。

この映画の中で普通に見られる今は消えてしまったシーンを挙げておくと、「蒸気機関車」「満員の客車内での喫煙」「ボンネットバス」「冷房がない客車や旅館」「一泊3食付き700円の宿」「刑事が所持しているFN ブローニングM1910拳銃」「刑事が必ずかぶっているハンチング帽」など。

あとロケ地になった「1957年頃の佐賀市内の様子」も佐賀城のお堀付近?と思われる場所はあまり変わりがないと思われますが、その他の地域は今では想像も付かないほど変貌しているでしょう。

古い映画を見ると、どこか懐かしい(私も1950年代生まれなので)様々なモノや風景を見ることができて「そうそう、あの頃はそうだった」と蘇ってきます。

内容は、東京で起きた強盗殺人事件の重要容疑者のひとりが逃げて行方不明になります。容疑者の実家が山口にあり、さらに東京へ出てくる直前まで付き合っていた恋人が、現在は結婚し佐賀市に住んでいることを知っていることから、そのどちらかに立ち寄るのではないかと判断し、張り込んで逮捕するため警視庁から刑事が山口と佐賀に派遣されます。

その佐賀に派遣された刑事二人の張り込みと、元恋人だった女性の変貌が見どころとなっています。

今のエンタメ映画からすると、どこか稚拙な感じで、リアリティに乏しいところがいくつもありますが、当時は刑事の仕事や、女性の二面性など面白おかしく楽しめたのでしょう。

★★☆

            

60歳のラブレター 2009年 「60歳のラブレター」フィルムパートナーズ
監督 深川栄洋 出演者 中村雅俊、原田美枝子、井上順、戸田恵子

60歳のラブレター住友信託銀行(現・三井住友信託銀行)が主催し、毎年60歳を迎えた夫婦を対象に互いに感謝を伝えるメッセージを募集する企画があり、その中から優秀作品を書籍化しています。そうした中から選ばれた作品を映画化したものです。

主人公は60歳を迎え大手広告会社を定年退職しますが、愛人もいて妻との関係はギクシャクしていて離婚することになります。二人はそれぞれの道へ足を踏み出しますが、一度壊れてしまった関係はその後、、、

もうひと組の魚屋の夫婦は、夫が60歳になり糖尿病を患い、好きな酒を断たれ、妻に叱咤激励されてジョギングをする毎日です。その成果もあり、夫の糖尿病は改善してきたところ、今度は妻のほうに異常が見つかり、、、

もうひとり、病院の内科に勤務する60歳の男性は5年前に妻を亡くし、中学生の娘と二人暮らしですが、医学書の翻訳で知り合った有名な翻訳家に惹かれていきます。しかしその翻訳家の女性の態度や生活は亡くなった小学校の教員だった妻とあまりにもかけ離れていることから娘が反抗し始め、、、

という60歳を迎える3つの夫婦や家庭を中心に、夫婦とは?結婚とは?を問いかけていきます。

そういう映画なのでハッピーエンドはお約束ですが、こうした素人じみた俳優ばかりで映画を作る難しさを感じた作品でした。

★☆☆

            

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(原題:Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb) 1964年 米・英
監督 スタンリー・キューブリック 出演者 ピーター・セラーズ、ジョージ・C・スコット

博士の異常な愛情この長いタイトルは監督の強いこだわりがあってのことで、世界中で翻訳するときにもタイトルは直訳以外は認めないという条件に入れたと言われています。

ただ原題を日本語に直訳すると「ドクター・ストレンジラブ あるいは: 私はどうやって心配するのをやめて爆弾を愛することを学んだのか」となりますが、日本のタイトルはわざと?少し変わっています。

ブラックコメディ映画の範疇で、東西冷戦中で米ソ核開発競争が盛んな時代、ソ連の近くで警戒飛行中のアメリカ空軍の核爆弾を搭載した爆撃機に、米空軍基地の司令官から「アメリカ本土がソ連から核攻撃を受けたので、大至急ソ連の核ミサイル基地へ核爆弾を投下せよ」と攻撃命令が下されます。

爆撃機は敵からの偽通信を防ぐため、司令官が決めた暗号を受信しない限りは通信ができなくなり、大統領を含む政府首脳などが集まり対策会議を始めますが結局は間に合わずに攻撃がおこなわれることになります。

一方、ソ連側には、核攻撃をされたときには自動的に米国に反撃するタイマーが設置されていることがわかります。

狂った司令官と話ができる英国から来ていた空軍大佐がいましたが、逆に軟禁されてしまい、米陸軍は空軍基地を攻撃して司令官を捕まえようとしますが、突入寸前で自ら命を絶ってしまい絶体絶命となり、、、

映画が公開された1964年というと、1962年に起きたソ連がアメリカの喉元とも言えるキューバに核ミサイルを配備する計画が起き、米ソが激しく対立し、全面核戦争が起きるかも?と思われていた直後です。

水爆に詳しい博士に大統領が「ソ連からの核攻撃を受けた時の対処法」を聞くと、「古い鉱山などの地下深くに逃げ込み、そこで半減期の500年ほど過ごせば出てこられる」(意訳)という回答だったのにはもう笑うしかありません。

主演のピーター・セラーズが、アメリカ大統領、英国空軍大佐、ストレンジラヴ博士のそれぞれまったく違った三役を演じているのもこの映画の面白さです。

ややB級映画っぽい雰囲気ですが、「2001年宇宙の旅」などとともにキューブリック監督の代表作のひとつに数えられています。

★★☆

            

フィラデルフィア(Philadelphia) 1993年(日本公開1994年) 米
監督 ジョナサン・デミ 出演者 トム・ハンクス、デンゼル・ワシントン

フィラデルフィア映画のタイトル「フィラデルフィア」は、アメリカの最初の首都であり、その意味はギリシア語で「兄弟愛」ということです。

映画は同性愛者でエイズに罹っている優秀な弁護士男性が、職場では病気を隠していましたがあるとき幹部に呼ばれて解雇を通知されます。

同性愛者、また当時は不治の病エイズ罹患者ということで、職場で差別的扱いを受けたとして弁護士事務所の幹部を訴えるという内容で、これは実話が元になっています。

とにかく、主演のトム・ハンクスの顔つきがエリート弁護士の頃とエイズで次第に弱っていく姿とでは別人か?と思うほど変わっていきます。エイズは急激に痩せ衰える病気なので、その変化を見事に表現しています。

特殊メイクもあるでしょうけど、2000年の映画「キャスト・アウェイ」でも、お腹がたるんだDHLの会社員の姿から一転、無人島でサバイバル生活を送る筋肉隆々の細マッチョ姿へ変身する驚愕の変わり身もあるので、役者魂が本物だということがわかります。

日本映画に登場するアイドル達が、江戸時代の武士や、戦争中の兵隊の役なのに長髪だったりするのとは大違いです。

アカデミー賞でもトム・ハンクスは主演男優賞を受賞しています。その後「プライベート・ライアン」や「フォレスト・ガンプ」などに主演して大ヒットを飛ばすことになる、31年前のトム・ハンクスの演技を見るだけでも価値がある映画です。

★★★

【関連リンク】
2024年9〜10月に見た映画 弾を噛め(1975年)、スノーデン(2016年)、ハプニング(2008年)、ひとよ(2019年)、エアフォース・ワン(1997年)、放浪記(1962年)

2024年7〜8月に見た映画 風とライオン(1975年)、シティーハンター(2024年)、パワーゲーム(2013年)、山の郵便配達(1999年)、ペギー・スーの結婚(1986年)、引っ越し大名!(2019年)

2024年5〜6月に見た映画 岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年)、ハドソン川の奇跡(2016年)、ケイン号の反乱(1954年)、ゴールデンカムイ(2024年)、ダンディー少佐(1965年)、kapiwとapappoアイヌの姉妹の物語(2016年)、PERFECT DAYS(2023年)


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1月前半の読書と感想、書評 2025/1/18(土)

1821
世界の終わり、あるいは始まり(角川文庫) 歌野晶午

世界の終わり、あるいは始まり
2002年に単行本、2006年に文庫化された長編ミステリー小説です。ミステリーには違いないですが、主人公の妄想?がメインとなっていて、どこまでが現実なのか妄想なのかが途中わからなくなってきます。

主人公は埼玉郊外の一戸建て住宅に妻と小学生の長男、長女の4人で暮らしている東京の食品会社に勤務するサラリーマン。

ある日、長男と知り合いの近所の小学生が誘拐され、殺されるという悲惨な事件が起きます。さらに続けて同様の誘拐事件が自宅周辺地域で3件起き、連続誘拐殺人事件となります。

一連の誘拐殺人の特徴は、小学生を誘拐した後、拳銃で殺害したあと、その子供の携帯電話を使い父親の会社あてにメールで犯行声明と身代金を要求するもので、その身代金はすぐに用意できそうな少額です。

犯行は目撃者もなく、警察が関与したお金の受け取りにも現れず捜査は難航しています。

子供のことはほとんど妻に任せっきりにしていましたが、あるとき長男の机に誘拐された子供の父親の名刺を見つけ、どうしてなんの関係もなさそうな誘拐事件の被害者の父親の会社の名刺があるのか?そこから疑心暗鬼となっていきます。

さらに子供の部屋を調べると、犯行に使われたと思われる拳銃などが見つかります。

父親のとるべき方法としては、長男を連れて警察へ出頭するべきか、その前に犯行に使われた証拠品をなぜ持っているのか聞くべきか、いやもし小学生の長男が犯人だった場合、社会は両親や妹に対し猛烈なバッシングを浴びせるだろうし、一生返せない莫大な賠償額などを背負うことになり、、、とグルグルと妄想が渦巻いていきます。

確かにそういう事態が起きて発覚すると、その人(保護者)にとっては「世界の終わり」です。しかし本当にだんまりを続けていて良いのか?それともカオスな「世界の始まり」なのか?

終わり方は、読者それぞれに判断を任されているようで、ちょっとモヤッとしますが、それまで散々妄想と付き合わされてきたので、晴れやかな気分でもあります。

★★☆

著者別読書感想(歌野晶午)

            

世界でいちばん透きとおった物語(新潮文庫) 杉井光

世界でいちばん透きとおった物語
タイトルだけ見ると「世界の中心で、愛をさけぶ」のような不治の病に冒された悲しいラブストーリーか?と思いましたが、全然違っていて最後にその意味がわかるという仕組みの長編ミステリー小説でした。

本著は、2023年に文庫で出版されましたが、紙の書籍であることが必須の仕掛けが施されています。ライトノベルなどが多い著者の作品は今回初めて読みました。

元グラフィックデザイナーの京極夏彦氏の小説には「ひとつの文章が次のページにまたがらない」(必ず文末で改行される)という独自ルールがあり、小説の中にはその京極氏に教えを請いたいという主人公の父親の推理小説家が出てきます。

過去に京極夏彦氏の小説は6作品を読んでいますが、そのような独自ルールで書かれていたなんてまったく知りませんでした。しかも単行本や文庫などそれぞれの文字数や行数に応じて修正しているそうです。

この小説もその京極氏の独自ルールが採用されていて、その影響なのかスラスラとリズムに乗って読みやすくなっています。が、しかしここでは明かせませんが、本著の超絶独自ルールはそれだけではありません。

ただ、文中に三点リーダー「・・・・・・」や長音符号「------」がやたらと多いのには違和感がありましたが、その理由は最後になってわかりました。タイトルにも関係しています。

主人公は有名な推理小説家の愛人だった母親の息子で、その小説家が癌で亡くなったことを知ります。母親も数年前に事故で亡くなっています。

一度も会ったことがない父親(推理小説家)のことはどうでも良いと思っていましたが、小説家の息子(義理の兄)から電話があり、遺作がどこかにあるはずなので探して欲しいと頼まれ、フリーで校正作業を出版社から請け負っていた母親と親しかった大手出版社の編集者と一緒に遺作探しをおこないます。

なかなか凝った内容となっていて、久しぶりに驚かされました。

なお、すでに続編「世界でいちばん透きとおった物語2」も出版されているので、そのうち読みたいと思っています。

★★★

            

クズリ ある殺し屋の伝説(講談社文庫) 柴田哲孝

クズリ
タイトルから想像できるように長編クライムノベルで、2015年単行本、2017年に文庫版が出版されています。

タイトルの「グズリ」とは、日本には生息していないイタチ科クズリ属に分類される食肉類で、別名クロアナグマと呼ばれています。凶暴で爪と強力な顎で自分よりも大きな動物を一撃で倒すことができ、大きな熊も逃げていくそうです。その愛称を持つ殺し屋が主人公です。

20年も前に日本で暗殺の痕跡を残して消えてしまった殺し屋が、横浜に戻ってきて暗殺の仕事を再開します。

殺す相手は犯罪者で、特に麻薬に関連する人物をお金で依頼を受けて実行します。

警察庁の対テロ対策を担う外事課の警察官もその動向に注目しますが、使われた拳銃以外はまったく謎の人物で、過去に拳銃を売った密売人や、母親と思える人物と親しかった人物と会ったり、裏の動向に詳しい情報屋からネタを受け、ちょうど中国マフィアから送り込まれている二人の殺し屋とグズリを対決させ相打ちしたところで一網打尽にしようと目論みます。

主人公の出自はかなりややこしく、ロシア人の父親と日本人の母親で幼い頃にはロシアで育てられた記憶があり、子供の頃に父親も母親も亡くしています。

そして警察官の狙い通りに中国マフィアと本牧ふ頭で対決することになりますが、結果は想像通りの展開で、特にひねりや驚きはありません。このあたりは他の作品にも共通するパターンであっさりした終わり方です。

この作品の続編として「殺し屋商会」が2023年に発刊されています。

★★☆

著者別読書感想(柴田哲孝)

            

向こうの果て(幻冬舎文庫) 竹田新

向こうの果て
著者は山野海という女優さんで、演劇やドラマの脚本なども書く多才な方で、この作品はwowowの連続ドラマ(2021年放送)の脚本を手がけ、そこから派生した小説で、女優以外のペンネームが竹田新ということのようです。

女優としていくつものNHK大河ドラマに出演、数多くのテレビドラマや映画、テレビCM、そして本業とも言える舞台と活躍の場は多いのですが、残念ながら私の記憶にはありませんでした。

ストーリーは、保険金目的の殺人事件で逮捕された女性と検事の対話が主になっていて、その女性の過去や周辺にいた男性達、そして検事自身の過去などが徐々に明らかになっていくという流れです。

容疑者の女性も殺人を認めていて、簡単な裁判になるはずでしたが、検事が女性の沼にはまっていくところはドキドキさせられます。

なにか内容は全然違っていますが、以前読んだ山田宗樹著の小説「嫌われ松子の一生」や有吉佐和子著「悪女について」をふと思い出しました。

いずれも貧しく壮絶な子供時代を送った女性が必死に生きていく姿を表していたからだろうと思います。

各章に視点(語り手)となる人物名がそれぞれ書かれていて、またテンポの良さもあって一気に読めてしまうのも特徴だと思います。

★★★

【関連リンク】
 12月後半の読書 指名手配、白い遠景、時効を待つ女、歴史のミカタ
 12月前半の読書 生存者ゼロ、七つの会議、遺言、名もなき少女に墓碑銘を
 11月後半の読書 カササギ殺人事件、探偵は絵にならない、歩きながら考える、遠い唇

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