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磯田道史 ISODA MICHIFUMI 既読書籍

003 歴史のミカタ
002 日本史の内幕 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで 001 無私の日本人
読書感想は2010年頃以降から書くようになりました。それ以前に読んだ本の感想はありません。


1970年岡山県生まれ。慶應義塾大学文学部史学科卒業。同大学院文学研究科博士課程修了「近世大名家臣団の社会構造」で史学博士。2012年東京歯科大学客員准教授、静岡文化芸術大学文化政策学部准教授、2014年同学部教授、2016年国際日本文化研究センター准教授、2021年同教授。「武士の家計簿 」(2003年)、「日本人の叡智」(2011年)、「歴史とは靴である 17歳の特別教室」(2020年)など著書多数。(Wikipediaより引用 2024年)


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003
歴史のミカタ(祥伝社新書)

歴史のミカタ
2021年に出版された共著の新書です。1955年生まれの井上氏は京都にある国際日本文化研究センター所長で、1970年生まれの磯田氏はテレビでよく見かけるようになりましたが歴史学者で国際日本文化研究センター教授ということで表面上は上司と部下という関係です。

タイトルの「ミカタ」とは「見方」であって「味方」ではありません。読むまでどっちなんだろう?と思っていました。歴史学者としては、歴史をもっと好きになって欲しいという歴史の「味方」という意味も裏にはありそうです。

共著には違いないですが、もっぱら主導して喋っているのは歴史学者の磯田氏で、井上氏はわざとかも知れませんが的外れというか、茶化したり、脱線した話が多いように感じました。

幅広い日本の歴史を語るには、古文書をスラスラ読めて、さらにNHKで歴史番組を長くやっている磯田氏にはかないませんから、磯田氏の独壇場になるのは仕方ないでしょう。井上氏は自身が生まれ育った京都の歴史や世界史、特にローマ時代などには造詣が深いです。

本書で語られていますが、日本の歴史の学習はとにかく年号や人名などの暗記が主となっていて、それでは興味を持ってくれる若い人が少ないというのもうなづけます。

また大河ドラマでは語られない英雄達の派手な女性関係など、時代錯誤と言われる今の時代では取り上げにくい話などにこそ興味を引く面白いことがあったりします。

また女性天皇(国王)が、文明が発生した大陸では少なく、欧州(半島)や朝鮮半島までくるとやや増えてきて、日本や英国のような島国では結構多くなると言う文化が伝わってくる時間と距離によって変わってくる経緯など「なるほど!」といった話しは面白いです。

★★☆

12月後半の読書と感想、書評 2025/1/4(土)

002
日本史の内幕 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで(中公新書)

日本史の内幕
2017年に発刊された新書で、自らが古文書を発掘し、読み込んでわかったことをまとめたものです。

テレビですっかり有名人となり、今や歴史物では欠かせない若手研究者ですが、弁舌の爽やかさと良い、和洋問わず歴史の知識の豊富さで視聴者や読者を魅了し続けています。さらに武術と軍事経験がもしあれば(なさそうですが)、漫画「マスターキートン」の主人公を地でいく人です。

この新書では、教科書には出てこないような、もっとローカルで、些細な出来事などを発掘した古文書を解読し、雑誌や新聞のコラムで披露されたものがまとめられています。

古文書という以外、特に時代やテーマがあるわけではなく、寺社に保存されていた古文書を見せてもらってわかったことや、古書店で見つけた古文書を解読してみると新たな発見があったとかが綴られています。

一例では、徳川家康が武田信玄にコテンパンにやられた三方ヶ原の戦いについて書かれた古文書や、大坂夏の陣で破れた真田幸村の首実検で家康がかけた言葉とか、家康の最初の正室築山殿の謎、新たに見つかった坂本龍馬や西郷隆盛の書状、安政地震の際の江戸商人の日記など、多岐にわたります。

一種の雑学になりますが、教科書や歴史書、小説などでお馴染みの武将や偉人が実はこういう繊細な人だったとか、あの行動はこういう意味もあったのかなど、楽しく読めます。

★★★

5月前半の読書と感想、書評 2024/5/18(土)

001
無私の日本人 (文春文庫)

映画で有名になった「武士の家計簿」などの著書がある磯田氏は、今やテレビの歴史番組の解説者として欠かせないキャラクターとなっているユニークな学者先生です。

私も毎週欠かさずNHK BSの「英雄たちの選択」を録画して楽しく見ています。それにしても、古代天皇から、昭和時代まで、どうしてそんなに詳しいの?と思えるぐらい博学で、しかもテレビに向いた雄弁な方です。

この著作は、実話を元にして、様々な古い資料から3人のそれぞれの生き方をとりあげています。小説でもなく、ドキュメンタリーでもなく、ノンフィクション的な、あり知名度はないけれど、江戸時代から幕末、明治初期に生きた、無名に近い偉大な3人の歴史実話物語です。

その3人とは、「穀田屋十三郎」「中根東里」「大田垣蓮月」で、よほどの歴史研究家、江戸時代の詩人、和歌の研究家でなければ、まず知られていないでしょう。私もまったく知らなかった人々です。

内容は、いずれもめちゃ面白くしかも感動する内容で、これはクドクド書くよりも、まず読んでいただくとして、その中の「穀田屋十三郎」は、2016年に中村義洋監督、阿部サダヲ、瑛太、妻夫木聡などの出演で「殿、利息でござる!」というタイトルで映画化されています。さらにこの映画には仙台つながりなのかスケーターの羽生結弦が最後にちょい役で出演しているそうです。

江戸時代にこうした英雄でもなんでもないけれど、控えめで奥ゆかしく、成果をひけらかすこともなく、欲はなく、貧しくても人のために身体を張った人がいるのだということがわかります。

お金(税金)を集めて、自分のためにばらまくのが仕事だと思っている今の政治家さんにはぜひ読んでもらいたい書籍です。

そして偉人や英雄伝には決して出てこないけれど、素晴らしい市井の隠れた英雄達を取り上げてくれる著者には感謝しかありません。

★★★

6月後半の読書と感想、書評 2020/7/1(水)



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