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リストラ日記アーカイブ 2023年11月
読みやすいようにアーカイブは昇順(上から古いもの順)に並べ替えました。上から下へお読みください。

日記INDEXページ(タイトルと書き出し部の一覧)はこちらです
1751 10月後半の読書と感想、書評 2023/11/4(土)
1752 2023年9〜10月に見た映画 2023/11/11(土)
1753 11月前半の読書と感想、書評 2023/11/15(水)
1754 続・タクシー業界の行く末 2023/11/18(土)
1755 男性中心社会に居座るオジサン達 2023/11/25(土)



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10月後半の読書と感想、書評 2023/11/4(土)

1751
にぎやかな未来(角川文庫) 筒井康隆

1960年代に雑誌等で掲載されたショートショートを1冊にまとめたもので、最初は1968年に出版され、その後、文庫などが何度か再版された著者のデビューまもない時期の作品集です。

基本はSFやファンタジーもので、ブラックユーモアの効いたものあり、刹那的な話あり、ディフォルメした未来をよく表しているものもあり、また意味不明なものもあったりと結構楽しめます。

各作品の感想はとにかく数が多くて(41篇収録)いちいち書けませんが、書籍のタイトルにもなっている「にぎやかな未来」の内容だけ少し触れておくと、マスメディアが力を持った未来の話しで、テレビやラジオの放送中にはCMばかりが流れ、買ったレコード(当時はまだCDなんかなかった)にも曲の途中にCMが挟まれようになり、さらに聞きたくないと思っても、法律で常時ラジオをつけておかなければならないと決められ、世の中、どこへ行っても広告の嵐の中におかれます。

これを読んだとき、今テレビをつける度にいつも思うのが「いつもどのチャンネルもCMばかり」で、測ったわけではありませんが、番組のおよそ半分はCMではないかなと思います。公共放送で受信料を払っているNHKですら、自局の番組の放送予定や取り組み活動などのCMを流し続けています。

高い料金を支払う有料ネット放送でもCMが入ると嘆いている人がいましたし(私は有料がバカらしいので加入してないから知らない)、とにかくテレビでもラジオでもネットでもつなぐと視聴者は広告の大波にのまれてしまいます。

60年以上前に書かれた近未来のブラックコメディSF小説が、いよいよ現実化しつつあるのだなぁとこの小説を読んで感心しきりです。

★★☆

著者別読書感想(筒井康隆)

            

凪の光景(文春文庫) 佐藤愛子

著者は大正生まれ、今年99歳の大御所で、1969年に「戦いすんで日が暮れて」で直木賞を受賞されています。戦前生まれの方にしてはかなり奔放でユニークな方のようで、ご自身の人生も波瀾万丈の中で生きてこられたという感じです。

今回の作品は、1987年から1988年まで朝日新聞に連載された長編小説で、2022年に文庫が発刊されています。1990年と1992年にはテレビドラマが作られています。

小説の中では作者と同じ、戦前生まれの老夫婦と、同じ敷地に住む息子夫婦の二組の夫婦がそれぞれ語り部となり、日々の生活や仕事などが描かれています。

教師生活を定年で辞め隠居生活をしている夫は、碁会所の友人へ後妻の世話をしようと奮闘したり、その妻でわがままし放題で横暴な夫と距離を置いて自由を手にしたいと考え、息子は自動車販売会社で売上ノルマと部下の管理に悩み、その妻はキャリアウーマンとしてバリバリ働く一方、子育てにはあまり関心がないという状態です。

老夫婦の妻は、隣に住むハンサムな浪人生にほのかな恋心をいだき、また長く横暴な夫に仕えてきたことに疑問を感じて離婚や別居を考えるようになり、息子は職場で受付の若い女性の悩みの相談を聞いていたことからやがて深い関係に陥ったりと、著者のリアルと同様に波瀾万丈な展開となっていきます。

それにしても内容はタイトルの「凪」とはまったく逆で、二つの夫婦関係にヒビが入り、それぞれの人生を考え直すことになっていきます。

朝日新聞を購読している読者の多くは、私を含めて中高年夫婦というパターンが多そうですから、身につまされるような内容で、心穏やかに読めない人も少なくなかったでしょう。

ただ一箇所、え!?と思ったのは、40年間教師や校長として奉職してきた男性が受け取っている年金が月30万円というのにはビックリ。

教師だと平均年収もそれほど高くはなかったと思いますが、1980年代にはそんなにもらえたのでしょうか?今だと40年間勤め上げてもその半分ぐらいでしょう。

いずれにしても広い敷地に自宅がある恵まれた環境で、有り余る年金をもらって息子夫婦や孫に囲まれ悠々自適の老後生活をおくる主人公達で、今の若い世代からすると、どこかよその国の話?と思ってしまいそうです。

★★☆

            

コブラ(上)(下)(角川文庫) フレデリック・フォーサイス

2011年に前作の「アフガンの男」を読んで以来、12年ぶりのフォーサイスです。本作「The Cobra」は2010年に出版され、日本語版は2012年に単行本、2014年に文庫版が出版されています。

アベンジャー」(2003年、日本語版2004年)で主役だったベトナム帰りの弁護士デクスターと因縁深かったCIA捜査官(通称コブラ)がタッグを組んで、コロンビアのマフィアが支配するコカインの欧米への密輸ルートをアメリカ大統領命令でおこなうという痛快ドラマです。

米国と英国がタッグを組み、無人機を使ってコカインの密貿易の海路や空路を見つけ出して断ち、不正を働く税関官吏を罠にはめ、さらにコロンビアのマフィア幹部同士が誰かが情報を漏らしていると疑心暗鬼に陥るよう仕組んでいきます。

こうしたコロンビアマフィアを悪者にしてアメリカが叩く作品はいくつかありますが、ずっと以前に読んだトム・クランシー著「いま、そこにある危機」(1989年)にも詳しく書かれています。それらを最新の戦術でアップデートさせた内容でした。

しかしすべてが予定通りにうまくいきすぎて、そんなに簡単じゃないだろ?と思わなくもありませんが、そこは単なるエンタメフィクションということで納得しておくしかありません。

ヒヤヒヤ、ドキドキすることもなく、あっさりと麻薬戦争は勝利に終わりますが、最後にちょっとだけ意外な展開が待ち受けているのは読んだ人だけのお楽しみと言うことで。

★★☆

著者別読書感想(フレデリック・フォーサイス)

            

百万のマルコ(集英社文庫) 柳広司

1篇を除いて2002年から2005年に小説すばるに掲載され、1篇だけ割と最近の2022年にweb集英社文庫に掲載された歴史物連作短編小説集です。

基本構成は、「東方見聞録」のマルコ・ポーロ(1254年頃〜1324年)が、アジアへの旅の後にベネチアに戻ってからの話しが中心(1篇だけ東方への旅に出る前の話しが出てきます)で、ジェノバとの戦争で捕虜となり、ジェノバの収容所に閉じ込められている時(実話)の話しです。

実際にマルコ・ポーロには、イル・ミリオーネ(百万男)というあだ名がつけられていましたが、その理由は様々で定かではない(Wikipedia)ものの、本著では「ほら吹き男」という意味で使われています。

1話1話が、マルコが東方の地、大都(現在の北京)で権勢を振るう大ハーン(クビライ)に謁見後、相談役として仕えていた頃の驚くべき話し、言い方を考えるとホラ話のような話しを、戦争捕虜としてなにも楽しみがない娯楽の一つとして、同じく捕虜になっている僧侶や貴族、労働者などに話しをしていくという流れです。

現実にも、商人の息子マルコ・ポーロは、父親と叔父とともに東方へ商売のために訪問し、謁見したクビライに気に入られしばらくそこで過ごし、またクビライの依頼で近辺の国へ使節として訪問しています。そして故郷ベネチアへ帰ってきたら、敵のジェノバ軍に捕まり戦争捕虜として収容所に収監されています。

東方見聞録は、その捕虜収容所でマルコが語った小話を、同じく収監中の作家ルスティケロ・ダ・ピサが話しをまとめて出版したものが大ヒットしました。

したがって、小説とは言え、ある程度は歴史上の人物や出来事をうまくフィクション化していて、面白い内容です。

こうした歴史上起きた様々な事実や実在した人物を主人公としたり題材に使った作品は結構好きで、著者の作品「新世界」(2003年)では原爆の開発者オッペンハイマーが登場します。

今回の本著はややコミカルな要素があって少し違っていますが、著名人を用いた作品として浅田次郎氏の「終わらざる夏」(占守島守備隊)、「一刀斎夢録」(新選組の隊員だった斎藤一)、松岡圭祐氏の「黄砂の籠城」(北京駐在武官・柴五郎)、「ヒトラーの試写室」(特殊撮影・円谷英二)、服部まゆみ氏の「一八八八切り裂きジャック」(エレファントマン、森鴎外など)、原田マハ氏の「暗幕のゲルニカ」(ピカソ、ドラ・マール)などの小説が面白かったです。

ただ、短篇の頭に繰り返して出てくる前置きは、雑誌に掲載されるときは仕方がないでしょうけど、あらためて文庫化するときには、端折ってくれると(実際は読み飛ばしましたが)読者に優しいなと思いました。

★★☆

著者別読書感想(柳広司)

【関連リンク】
 10月前半の読書 太陽は気を失う、ジャイロスコープ、一億円のさようなら、七人の暗殺者
 9月後半の読書 見捨てられた者たち、日傘を差す女、信長の血脈、「脱・自前」の日本成長戦略
 9月前半の読書 オロチの郷、奥出雲 古事記異聞、素晴らしき世界、浦島太郎の真相 恐ろしい八つの昔話、飛族


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2023年9〜10月に見た映画 2023/11/11(土)

1752
ゲッタウェイ(原題:The Getaway) 1972年 米(日本公開1973年)
監督 サム・ペキンパー 
出演者 スティーブ・マックイーン、アリ・マッグロー

1994年にも同名の作品がアレック・ボールドウィンとキム・ベイシンガー主演でリメイクされていますが、今回見たのは51年前の1972年に公開されたオリジナル版です。

実はこの映画、中学生の頃にロードショーを映画館へ見に行った記憶がありますが、内容についてはほとんど忘れてしまっていました。最後のほうに出てくる広大なゴミ捨て場を二人でトボトボ歩くシーンだけはよく覚えていましたが。

マックイーンの脂がのっていた頃の映画で、この頃はマックイーンが主演なら見に行かないと!という雰囲気がありました。お色気たっぷりのアリ・マッグローとはこの映画で夫婦役を共演してから現実でも結婚して夫婦になりますが、その後離婚しています。

ブリット」(1968年)ではシスコの華麗な刑事役が似合っていましたが、今回は刑務所に収監されている犯罪者役で、街のボスに銀行強盗を引き受ける代わりに刑務所から仮出所させてもらい、強盗の約束は果たしますが、その後に仕掛けられていた裏切り行為に反撃し、追撃してくる警察やボス達から逃げまくります。

本当にマックイーンは、兵士(戦う翼、大脱走、砲艦サンパブロなど)、カウボーイ(荒野の七人、ネバダ・スミス、トム・ホーンなど)、消防士(タワーリング・インフェルノ)、レーサー(栄光のル・マン)、刑事、犯罪者など、男っぽい野性味あふれる役ならなにをやっても似合っていて最高の俳優です。

★★★

            

扉の影に誰かいる 1971年 フランス
監督 ニコラ・ジェスネール
出演者 チャールズ・ブロンソン、アンソニー・パーキンス

アメリカで肉体派スターだったブロンソンが、フランス映画で、しかもアクションはまったくなく謎めいた記憶喪失の男を演じています。

もうひとりの主人公アンソニー・パーキンスもアメリカで人気の俳優ですから、フランス映画と言いつつ、舞台はロンドンの郊外、会話はすべて英語で展開されます。

精神科医の主人公が、運び込まれてきた記憶喪失男をうまく丸め込み自宅に住まわせ、妻の浮気相手の愛人を殺させようと画策します。

舞台などで演じられそうなほとんどが精神科医の邸宅の中で起きるこぢんまりした低予算?映画っぽく、あまりドキドキも感動もなくサクッと終わってしまいました。

★☆☆

            

目撃(原題:Absolute Power) 1997年 米
監督 クリント・イーストウッド
出演者 クリント・イーストウッド、ジーン・ハックマン、エド・ハリス

17作目となるクリント・イーストウッド監督作品で、主演も自身です。この映画の一番のウリはイーストウッドとジーン・ハックマンの大物俳優の共演でしょう。

内容は、凄腕の泥棒で逮捕歴もある主人公が、米国大統領の最大の支援者で大富豪の留守宅に忍び込んだところ、突然パーティに出掛けていたはずの富豪の妻と大統領が部屋に突然入ってきて、慌てて部屋の奥にあるマジックミラーで部屋の中がよく見える隠し部屋に隠れます。

大統領と富豪の妻は良いムードになりますが、大統領が乱暴に扱ったため、妻も近くにあったペーパーナイフをつかみ抵抗しようともみ合い、悲鳴に駆けつけた大統領SPが妻を射殺してしまいます。

大統領の首席補佐官とSPはグルになって、強盗に女性が射殺されたように偽装しますが、妻と大統領の指紋がついているナイフをうっかり部屋の中に落としてしまい、泥棒の主人公はそれを拾って部屋から逃亡します。

しかし、その逃亡をSP達に見つかり、第三者が事件を目撃し、証拠品のナイフを持ち去ったことが知られてしまい、泥棒の主人公は警察と大統領SPとそして妻を殺された富豪が雇った殺し屋の3者から追われることになります。

凄腕の泥棒ということもあり、変装や侵入などはお手のもので、危機を脱出しますが、妻を亡くした富豪の肩を抱いて悲しみに同情する大統領の会見をテレビで見て、逃げるのではなく反抗に出ることを決意します。

ま、よくあるようなストーリーですが、どうやって追われる身から、権力の中枢の大統領をはめていくかというストーリーが秀逸です。

★★☆

            

ミステリと言う勿れ 2023年 フジテレビジョン他
監督 松山博昭
出演者 菅田将暉、原菜乃華、松下洸平

原作のコミックスは2016年から連載された田村由美さんの作品で、2022年1月にはフジテレビでドラマ化されています。

今回は初めての映画化で、フジテレビ開局65周年記念作品となっています。個人的にはこの作品はテレビの再放送で初めて知り、好きになりましたので、映画館へ行って見てきました。

大学生の主人公が、子供の頃にうけた家族間のトラウマを引きずりながら、自身の身に降りかかってくる様々な事件や揉めごとを、幅広い知識と記憶力、洞察力で喋りまくり、謎を解いていくという一連のストーリーが繰り返されます。

主人公の口癖「僕は常々思うんですが・・・」で、昭和発想のオジサン達などカチンときた相手に対し、説教臭い持論や正論をとうとうと一気に語っていくスタイルは、閉塞感に悩む若い人にはなにかスカッとする思いがあるのでしょう。

原作者の年齢は非公表ですが、ドラマの撮影を見に行った時に、出演していた遠藤憲一氏(昭和36年生まれ)と会って同年代と書いてあったので、すでに還暦を迎えた方のようで、そのため昭和時代の古い慣習や仕組みの中で邪魔くさいオジサン達への反感や恨み節が炸裂しています。

今回の映画では、広島へやってきた主人公が、旧家の大富豪の遺産相続で命を狙われるという女子高生から頼まれその騒動に巻き込まれていくという流れです。

小さなテレビ画面だと、出演者のこまかな演技や表情などはあまり気になりませんが、大きな画角の映画では演技の上手下手がよくわかります。

そしてこの監督さん、顔のどアップがやたらと好きで、ちょっとどうなのかなと思ってしまいます。

たいして演技が上手いとは言えない俳優達の、毛穴の一つ一つがわかるような顔のアップばかり見せられてもまったく面白くありませんし、そう言うシーンの時はあまり多いので気味、いや気持ちが悪いので見ないように下を向いていました。

顔のアップだけで表情豊かに演技ができる俳優って少なそうで、菅田将暉や柴咲コウ、わき役の松坂慶子、滝藤賢一クラスはともかく、あとの演技は学芸会のノリだったのが残念です。

作品としてはフジテレビの過大とも言えるバックアップがあり、成功していそうですが、俳優のキャスティングと監督で失敗しているかなぁと勝手な思いです。

あと事件の舞台は広島ですので、テレビドラマでお馴染みのレギュラー陣、大隣警察署のメンバーは今回は出てこないなと思っていたら、最後の出演者のクレジットに表示されていて「あれれ?」と思っていたら、エンドロールのほとんどが終わった頃にチラッとだけ登場し、なにかいつもの姿でホッと気持ちが癒やされました。

★★☆

            

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(原題:Extremely Loud & Incredibly Close) 2011年 米
監督 スティーブン・ダルドリー
出演者 トム・ハンクス、サンドラ・ブロック、トーマス・ホーン

ジョナサン・サフラン・フォア著の2005年に出版された同名小説が原作です。2019年に私も読んでいます。

2019年10月後半の読書の感想、書評(ものすごくうるさくて、ありえないほど近い)

ニューヨークに住む裕福な夫婦と発達障害をもつ一人息子の家族で、その11歳の子どもが主人公(小説では9歳)です。

いつも父親とセントラルパークで宝探しなどをして遊んでいましたが、その父親が仕事で世界貿易センタービルに行っていた時同時多発テロが発生して亡くなってしまいます。

悲しみと寂しさで、父親の遺品を見ていたときに、花瓶の中に鍵が入っているのが見つかります。その鍵を入れた封筒にはブラックと記載されていて、この鍵の謎を知っているのはブラックという名前の人に違いないと、ニューヨーク中のブラック姓の家472軒を調べて片っ端から聞いてまわることにします。

また近所に住む祖母の家に間借りしている発声障害の高齢男性にも興味を持ち、一緒にブラック家を訪問していきます。

しかし、相手にされず追い返されたりしながらもほとんどのブラック姓の家を周りますが、鍵の出所は不明で、あきらめかけた頃、遺品の中にあった新聞の切り抜きに遺品整理の広告があり、思い切ってそこへ電話したところ最初に訪問したブラック氏の家だったことがわかります。

危険なニューヨークの街を歩き回る11歳の子どもという冒険・探険談ですが、9.11で父親が犠牲になったという特殊なこともあり、多くのニューヨーカーは温かく子どもの冒険に協力してくれます。それには後で明らかになる別の理由があったのですけど。

書籍で読んだときには、スラングなどが多くて翻訳の文体が難しくて意味不明だったことも、映像を通して見ると意味はわからなくても「そういうことだったのね」と納得がいきます。

少年の演技はともかく、周囲をベテラン勢がうまくサポートし、ニューヨークの街の姿がよく出ていて映像的にも良い映画だと思います。

★★★

            

三人の名付親(原題:3 Godfathers) 1948年米(日本公開1953年)
監督 ジョン・フォード
出演者 ジョン・ウェイン、ペドロ・アルメンダリス、ハリー・ケリー・ジュニア

軽いノリの西部劇で、ジョン・ウェイン演じる主人公とその仲間二人がある街で銀行強盗をおこしますが、その時に警備員をひとり射殺してしまい、金も奪えずに失敗し砂漠の中へ逃走します。

街の保安官と助手達が追跡し、飲み水を求めてやってきそうな場所に罠を張りますが、なかなか捕まえられません。、

逃走した3人は、水が湧き出るオアシスのひとつにたどり着きますが、そこには朽ち果てた馬車があるだけで、誰かがダイナマイトで水源を爆破したために水がなくなっていました。

馬車の中には、臨月の妊婦がひとり残されていて、やむなく出産の手助けをしますが、出産後に女性は亡くなり生まれたての赤ちゃんと聖書だけが残ります。

3人は赤ちゃんに名前をつけて、サボテンから搾り取った水を飲ませるなど懸命に世話をして逃亡を続けますが、保安官たちからは、水飲み場の馬車を襲って女性を殺したのも彼らだと決めつけて怒りに燃えます。

そして灼熱の砂漠の中、飲み水がない中で犯人達は追跡から逃れるため聖書に導かれていきますが、まず怪我をしていたひとりが力尽き、そしてまたひとりが死んでいきます。

思っていたよりもずっとよくできた西部劇で、銀行強盗犯でありながら、赤ちゃんの命を救ったということで、逆に英雄扱いされるところが、出来過ぎた話しとなっています。

★★☆

【関連リンク】
2023年7〜8月 君たちはどう生きるか(2023年)、隣のヒットマン(2000年)、オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主(2013年)、起終点駅 ターミナル(2015年)、ブラッド・ファーザー(2016年)

2023年5〜6月 スペース カウボーイ(2000年)、幸せへのまわり道(2019年)、最後の忠臣蔵(2010年)、キネマの神様(2021年)、小説家を見つけたら(2000年)

2023年3〜4月 ドライビング Miss デイジー(1989年)、カリートの道(1993年)、あかね空(2007年)、ジェシー・ジェームズの暗殺(2007年)、漁港の肉子ちゃん(2021年)


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11月前半の読書と感想、書評 2023/11/15(水)

1753
忍ぶ川(新潮文庫) 三浦哲郎

著者の小説を読むのは今回が初めてですが、1961年の芥川賞受賞作「忍ぶ川」を含む同年に単行本が出版された短篇集です。単行本とその後に発売された文庫版とでは収録作品に違いがあります。

著者は戦前の1951年生まれで自伝的小説が多い青森出身の作家さんですが、年が離れた6人兄弟の末っ子で、まだ幼い頃に二人の姉が相次いで自殺、二人の兄は失踪し行方不明という過酷な子ども時代を過ごしています。

表題作の「忍ぶ川」を含め「初夜」「帰郷」「団欒」「恥の譜」「幻燈畫集」「驢馬」の7篇が収録されていて、1961年から1934年に発表された小説で、その多くが自伝を元にした内容です。

タイトルの忍ぶ川はどこか地方の川の名前か愛称かと思っていたら、大学生時代に東京で下宿をしていた時に、貧乏なのに酒の勢いで行った少し高級な料理屋の店名でした。

「忍ぶ川」では、忍ぶ川で仲居の仕事をしていた女性を見初め、収入のない学生時代に結婚するという無茶なことをします。

貧困と、差別や因習が残る田舎の中で、血のつながった家族の自殺や失踪という実際に経験してきたことを元にして書かれているので、時代が違うとは言えリアリティがあります。

「初夜」と「帰郷」はその続編という扱いで、東京の大学を休学して実家の青森に戻り、身内だけのささやかな結婚をして近くの温泉へ新婚旅行へ出掛けます。その後、東京で仕事が見つかり妻と子を呼び寄せて暮らしますが、父親が危篤となり帰郷することになります。

最後の作品「驢馬」はこれらの中では全く異質のもので、太平洋戦争中に満州から留学生という扱いで青森にやってきた満州生まれの主人公が、狂っているとしか思えない日本人に、追いつめられて自分が狂ったフリをする必要に迫られるという内容で、一番読み応えがありました。

★★☆

            

定年バカ(SB新書) 勢古浩爾

過去に「定年後のリアル」(2010年)、「定年後7年目のリアル」(2014年)を読み、自分の定年後を見ているようで、また考え方について参考になることが多く、ファンになりました。

2018年12月後半の読書と感想、書評(定年後のリアル)

2019年7月前半の読書と感想、書評(定年後7年目のリアル)

著者はすでに50冊近い書籍を出版されていて、それだけでも凄いなと思いますが、大ヒットしてその後続々と出て7冊にも達する「定年」本で、しっかりと印税生活をされているような気がします。羨ましい限りですが、機を見るに敏で能力がある方なのでしょう。

本著は2017年に出版された柳の下狙いの「定年」本ですが、これがまた面白くて、学者や評論家などが書いた「定年本」を徹底的にこき下ろしています。リアルな定年後を知らない奴が勝手なこと言うなとばかりです。

それらのこき下ろされた定年本のいくつかは私も過去に読みましたが、著者の定年本に比べるとリアリティがなく、薄っぺらで読んだそばから記憶には残っていませんが、著者の「定年のリアル」はいつまで経っても記憶に残っています。そういうことが言いたかったのでしょう。

だいたこうした定年本を書いている人(著者)は、一流大学を出て一流会社に就職し、その後は独立してカタカナの事業をしている人か、世の中をまるで知らない学者先生と相場が決まっていますので、中身は空疎で机上の理想論が上滑りしている感じです。

読者の年齢や年収、健康状態、雇用延長、年金金額、配偶者の収入、資産、居住地など様々なので、定年前後に「あーしろ、こーしろ」というのは難しく、どうしても自分が考える理想の定年後を述べるという形になるのでしょう。

その点、著者の定年本に書かれているのは、「自分の定年後はこうだった」というリアルな姿で、それを知って「自分ならこうする、こうしたい」という思慮を導いてくれるという点で優れています。

サラリーマンを長く勤め上げ、定年で辞めたというホワイトカラー限定の定年実例と言えるので、それに近い定年を迎えた人やまもなく迎える人の参考にはなりそうです。

余計なお世話ですが、出版社SBクリエイティブにはまともな編集者や校正者がいないようで、ミスがそのまま残っているのが目立ちます。著者は悪くないです、出版社がプロの仕事をしていないだけです。

57ページ 誤「なにもするこがなく」→正「なにもすることがなく」
137ページ 誤「なくせばい」→正「なくせばいい」
189ページ 誤「告別式は・・」→正「送別会は・・・」

など、素人がサクッと読んでいて3つも見つかるので、プロの校正者が校正すればその何倍かの誤字や誤用が見つかると思います。名門出版社の岩波文庫や新潮文庫では、プロの校正者や編集者が仕事をやっているので誤字や誤用はほとんど見つかりません。

SBCさん、安く使える校正者がいないのなら、特別な訓練を受けていない素人ですけどやってあげますよ。って私のブログも誤字誤用だらけで信用はないでしょうけど。

★★☆

            

二千七百夏と冬(上)(下) (双葉文庫) 荻原浩

2014年に単行本、2017年に文庫が出版された長編歴史小説です。歴史と言っても現代(2011年)と縄文時代の終盤近い2700年前とのふたつの時代が舞台です。

主人公は、現代は新聞社の北関東と思われる地方局に勤務する若い女性記者と、2700年前は石器を使って狩猟をメインとしている小さな村の少年です。

縄文時代というのは歴史の中ではすごく長く、諸説あるものの現在から1万6000年ほど前から2500年前までの1万3500年ほどが続きました。縄文時代の特徴は、石器だけではなく土器や竪穴式住居、弓矢などが特徴です。

1万年以上続いた縄文時代から、渡来人の影響で食糧生産の稲作や鉄器などが特徴の弥生時代へ変わるタイミングは、なにかのきっかけで一気に生活風習が変わってしまうというものではなく、おそらく何百年もそれぞれの時代が並行していたはずです。

著者はそこに目をつけて、狩猟主体の縄文部族と、海を渡ってやってきて、農耕を始め米を主食とする農耕部族のふたつが交わる瞬間をドラマ化していています。これがまるっきりの創作だというのは当然ですが、まるで見てきたような描き方で読み応えがあります。

前半部分は縄文時代の少年の話が長く続きますが、そこで使われる言葉が現代の日本語と共通する部分があり、著者の苦心の跡が読み取れます。例えば「イー→イノシシ」「ヌー→犬」「クムゥ→熊」「カァー→鹿」「クヌコ→キノコ」など。誰もそのことを証明したり反論できません。

ちょっと前半部分で間延びして、しかも意味のわからない縄文時代の言葉が出てきて読みづらいですが、慣れてくる中盤頃からは感情移入ができてサクサク読めるようになります。ちょっと我慢が必要ってことです。

現代の新聞記者が出てくるのは、ダム工事現場で、縄文人と弥生人が手をつないでいるような人骨が発見され、その時代を超えた二人のことを考えるという流れです。

前・中盤の密度の濃い内容と比較すると、最後はちょっと淡泊な感じでしたが、面白かったです。

★★★

著者別読書感想(荻原浩)

            

長く高い壁 The Great Wall(角川文庫) 浅田次郎

著者の作品はかなりの数を読んできましたが、おそらく初めてではないかと思われる犯罪ミステリーで、ホームズ役の探偵作家と、ワトソン役の東京帝大出の文系エリート将校という組み合わせで事件を解決?する話です。

小説雑誌「野性時代」に連載後、2018年に単行本、2021年に文庫化されています。

単に戦場ミステリーだと「日輪の遺産」(1993年)なんかはそれに近いかも知れませんが、探偵が事件の謎に迫るというのは初めてのような気がします。

タイトルの「長い壁」とは、万里の長城を指していて、時代は日中戦争が泥沼に入りつつある1938年秋の北京から物語は始まり、万里の長城に駐屯し、匪賊や共産党軍の攻撃に対処していた日本陸軍の兵士10名が、何者かに殺されてしまうという事件が起きます。

単に敵に攻撃を受けて戦死した状態ではなく、血の一滴も流さず銃器の使用跡もなく、見張り番をしていた全員が同じような謎多き死に方です。

そこへ通称ペン部隊として新聞社の嘱託として北京へ来ていた探偵小説で人気作家の主人公が、護衛兼見張り役として軍の検閲班長と一緒にその事件現場へ向かうことになります。

ミステリーなので詳細を書くのは野暮というものですが、ヒントはこの万里の長城で守備を任されたのは、本隊の足手まといになるならず者だったり犯罪者などで、指揮官も士官学校を出たばかりで実戦経験がない若い見習士官だということ。

主人公達は、事件現場近くにいた軍隊の警察を担っている憲兵曹長とともに、殺された10名以外の他の分隊長らから聴取をおこない、事件の謎に迫っていくことになります。

舞台のバックボーンをもう少し書いておくと、1930年代に満州を併合した日本は、1937年には中国北東部の盧溝橋事件が発端となり支那事変(日中戦争)が起き、その後全面戦争へと発展していきます。

武力衝突後に首都北京を攻略後も、中国政府(中国国民党軍)は南下して戦い続け、北京周辺や北東部では日本軍に反抗する中国共産党が組織だってゲリラ攻撃をしかけ、また広大な満州から中国北東部にかけて発生した抗日武装集団(匪賊)がいて、日本軍はそれらに悩まされ続けます。

本著に出てくる張飛嶺は架空の場所ですが、調べると現在も昔のまま残っている司馬台長城周辺がモデルのようです。

角川書店のサイトにも、司馬台長城を見学した時の著者の写真が載っていて、長城の巨大さがよくわかります。

万里の長城を舞台に、従軍作家が日本軍の闇に挑む。浅田次郎作品初の戦場ミステリ(カドブン)

★★★

著者別読書感想(浅田次郎)

【関連リンク】
 10月後半の読書 にぎやかな未来、凪の光景、コブラ(上)(下)、百万のマルコ
 10月前半の読書 太陽は気を失う、ジャイロスコープ、一億円のさようなら、七人の暗殺者
 9月後半の読書 見捨てられた者たち、日傘を差す女、信長の血脈、「脱・自前」の日本成長戦略


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続・タクシー業界の行く末 2023/11/18(土)

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先月に書いた「タクシー業界の行く末 2023/10/28(土)」の続編で、書き漏らしたことを書いておきます。

前回はタクシー運転手の収入と労働時間を主に書きましたが、今回は現在のタクシー運転手の年齢と、今後期待されている女性運転手数の推移、そしてここのところ進歩が早い料金決裁システムの導入状況についてです。

まず、タクシー運転手の年齢層ですが、地域別に年齢層のグラフにしてみました。データ出典は、「一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会」です。

地域別タクシー運転手年齢層

関東を除き、年齢層で多いトップ2は60代と70代以上の高齢ドライバーです。関東だけは50代と60代がトップ2です。つまり関東だけはタクシードライバーの高齢化が他の地域よりはマシになっています。

東北、四国、九州・沖縄の3地域では、60歳以上のタクシードライバーが7割を超えています。住人の高齢化ばかりが言われていますが、サービス業の運転手の高齢化も顕著です。

そうした高齢のタクシードライバーが、限界を感じていよいよ引退する頃(5〜10年後?)は、地方のタクシー事情はどうなるのでしょうか。

全国のタクシー運転手の年齢層別では下のグラフの通りです。

タクシー運転手年齢層(全国)

60代と70代以上を合わせると63%と、様々な産業(従業員)の中でも、このタクシー乗務員の圧倒的な高齢化が進んでいることがよくわかります。この年齢層は通常他の産業では心身ともに疲れて次々とリタイアしていく人達です。

ウーバーなど、配車アプリを使ったライドシェア(白タク?)の規制緩和は「安全管理面で懸念がある!」と堅固な利権を持つ国や政府は後ろ向きですが、果たしてこのような本来なら身体が弱って引退してもおかしくない60代以上が6割を超えるタクシー乗務員の運転が、若い人が最新の安全装備を備えた高級車を使ったライドシェア※と比べて安全か?というとなんとも言えなくなります。

※欧米のウーバーを見ていると、利用者が予約するときに運転手の評判や使っている自動車を見て選べるので、自ずとウーバーで人気(依頼が多くなる)となるためにはアウディやベンツなど安全で快適なクルマを使う人が増えています。

ライドシェアの現状は下記の記事の通り、まだまだ道険しです。

タクシー不足で地方が悲鳴 業界はライドシェア導入に反対(2023/10/17時事通信社)
一般の人が自家用車で客を有料で運ぶ「ライドシェア」導入に向け、「活力ある地方を創る首長の会」が17日、国に提言を出した。高齢化と人口減少が加速する中、地域社会での移動手段の確保は喫緊の課題だ。新型コロナウイルス禍の収束後、増加傾向にある外国人観光客の運送にも十分に対応できておらず、地方は悲鳴を上げている。

  ◇  ◇  ◇

運転手不足と乗務員の高齢化対策に有効なタクシーの女性運転手の割合は、まだ全体の2.3〜2.5%に過ぎませんが、時間や日数など比較的多様な働き方ができるということもあり、今後の増加に期待できます。

その女性運転手の推移ですが、ここ数年はコロナ禍の影響もあってか意外に伸びてはいません。

女性タクシー運転手推移

女性運転手の10歳ごとの年齢層で一番多いのは50代でその次が60代、次が40代となっています。男女合計の全体では一番多いのが60代、次が70代以上の年齢層になるので、全体平均よりおよそ10歳以上若いということになります。

一般的にはタクシーの乗客が多いのは、公共交通がないか少ない早朝や深夜時間帯と言われますが、女性運転手の場合は、乱暴な酔っ払いなどを避けるなど、安全面を考えるとやはり勤務する時間帯に配慮が必要でしょう。

しかし、病院への送り迎えや、子どもの送迎など、昼間の高齢者や、習い事などで子どもの利用はこれからも増えていきますから、昼間の勤務だけでも活躍の場はあります。

運転手不足が叫ばれると、すぐに「自動運転だ!」とバカのひとつ覚えのように言う人がいますが、安全なレールの上だけを走る電車でさえ自動運転がほとんどできていないのに、特に都市部において、なにが起きるかわからない公道上で自動運転車が自由に走るようになるにはまだ十数年も先の話でしょう。

  ◇  ◇  ◇

最後にタクシーの料金決済方法の多様化です。私がよくタクシーを使っていた頃(20〜30年前)は、ようやくクレジットカードが使えるようになってきてはいましたが、乗車中にスマホやICカードでかんたんに決済できるような仕組みはここ5年ぐらいで普及してきました。

一般的にタクシーで使えるキャッシュレス決済には、クレジットカード、非接触型ICカード、QRコードの3種類があります。

非接触型ICカードの中には、SuicaやPASMOのようなICカードの場合と、スマホでタッチして決済するApplePayや楽天Edyなど、QRコードにはPayPayやLINE Pay、楽天ペイなどがあります。

乗ったタクシーでどのキャッシュレスが使えて、なにが使えないのかというのは乗ってみないとわからない(ドアに書いてある場合が多いですが)というのは不便です。まだまだ改善の余地がありそうです。

そうしたキャッシュレス決済が今は当たり前だ!と言ってしまっては、運転免許証を返納して病院へ通うキャッシュレス・リテラシィが低い高齢者にとってはキツイものがあります。

特に地方の過疎地域の高齢者にとって、そうしたキャッシュレスの仕組みは他では必要がないので馴染みがなく、丁寧に教えてくれる若い人もいないので、混乱するばかりです。

タクシーが少ない地域で、限定的に配車アプリを使った白タクを許可しようという話もありますが、そうした地域に住む80代、90代の高齢者に配車アプリや電子決済がうまく使いこなせるとも思えません。

若い人はまったく考えられないことでしょうけど、高齢になって眼が悪くなると、あの小さなスマホの画面に出てくるボタンや説明文がよくわからないし読めないのです。

都会に住む高齢者ですら、コンビニやスーパーのレジで、スマホ決済やポイント利用のためにモタモタしている人をよく見かけますが、地方に住む高齢者には現状では配車アプリを使えと言ってもなかなか普及しないでしょう。

現在、クレジットカード決済を含むキャッシュレスの電子決済の機器を搭載しているタクシー車両は全国平均でおよそ90%に登っています(2022年3月、一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会調べ)。

ただ地域によって差があり、東京都と神奈川県においては99%の搭載率ですが、和歌山県や鳥取県、徳島県、愛媛県、佐賀県は60%台です(同)。60%の装着だとまだ普及しているとは言えません。

面白いのは昔からあるクレジットカードが利用できる車両と、比較的新しいSuicaやPASMO、PayPayなど非接触型ICカード(スマホ、QRコード決済含む)が使える決裁の機器設置は必ずしもリンクはしてなく、地域によって、例えば佐賀県はICカード決済が63%の普及率に対し、クレジットカード決済は22%と大きく開きがあります。

同様に宮崎県はICカード93%とかなり高い普及率に対し、クレジットカードが使える車両は35%という少なさです。県民性とかもあるのでしょうかね?

つまりひとつのキャッシュレス決済の手段だけ覚えておけば大丈夫ということになっていないことが問題です。現金なら同じ方法で全国共通で使えるのにです。

今はまだマイカーがあり仕事もしていないのでタクシーに乗ることはまずありませんが、やがて免許証の返納の時が来ることは確実で、そうなった10数年後にはタクシーの料金決済は業務効率と安全確保のため(少なくとも都市部では)現金は受け付けないということになっているかも知れません。

タクシー業界の行く末 2023/10/28(土)

【関連リンク】
1735 地方の大問題は災害と公共サービス
1315 キャッシュレスの流行にあえて逆らってみる
1154 地方の可能性と限界


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男性中心社会に居座るオジサン達 2023/11/25(土)

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昨今なにかと評判が悪いのが、オジサン中心というか男性ばかりが徒党を組んでいるかのような場や会などで、昭和の香りがたっぷりと漂ってきます。

例えば、ビッグモーターの謝罪会見では似たようなダークスーツに身を包むオジサン達が居並んで脂汗をかきながら会見に臨んでいましたし、日本大学のアメフトタックル問題や理事長の不正が発覚したときも、会見の場に居並んでいたのは操り人形のような生気のない顔をしたオジサンばかりでした。最近では女の花園、宝塚劇団員自殺問題で会見に出てきたのもダークスーツを着た金太郎飴みたいなオジサンばかりです。

ビッグモーターの会見には取締役全員は出ていませんが、同社の取締役は全員が男性だったそうです。もっとも特別調査委員会の報告書では義務の取締役会すら開かれていなかったそうで、名ばかり取締役だったのでしょう。

一昔の上場企業の株主総会はまさにそうしたオジサン達だけの仲良しクラブでしたが、現在は政府の男女共同参画の推進や東証などの指導により取締役や社会取締役などに女性の登用が進み、役員全員が男性というケースは少なくなっています。

しかし相変わらず、政治の世界や役所の中ではまだまだ中高年男性が強い実権を握っていて、女性の積極登用やリーダーが出てきません。小池東京都知事や千葉県知事、大阪府知事、熊本県知事などはその中では稀なケースでしょう。与党自民党の派閥のリーダーには過去も現在も女性はいません。

日本大学に不祥事が相次ぎ、その原因のひとつには権力のある男性がトップに立って、言いなりになる男性幹部ばかりを登用して経営をブラックボックス化してきたことにあると言われています。

林真理子新理事長が名乗りを上げて改革に乗り出しましたが、いかんせん巨大法人においては経営のアマチュアで、実質的に大学運営を支配しているのは、やはり男性幹部達だろうと容易に推測できます。数十年後に今回の様々な苦悩やうまくいかない言い訳を小説化してくれることぐらいしか期待できません。

そんなわけで、今でもオジサン支配が続いていると思われる日本大学は、なにも変わらず、様々な問題を引きずったまま右往左往しています。

先日、テレビでドキュメンタリー番組を見ていたら、石川県の「赤ちゃん協議会」の様子が紹介されていました。

遠距離出産 “能登で産みたい”(NNNドキュメント'23 2023年10月8日放送)

石川県が立ち上げた「赤ちゃん協議会」とは、
本県の周産期医療の提供体制について、病院・市町・大学等の関係者が一堂に会し、課題を共有し、対応策を協議するために、「赤ちゃん協議会」を設立いたしました。
今後、「赤ちゃん協議会」の下に設ける「産科医ワーキンググループ」「病院長・大学ワーキンググループ」の2つのワーキンググループにおいて検討を行い、この結果をふまえて、再度、「赤ちゃん協議会」で協議し、本県の周産期医療提供体制に必要な対応を実施することとしています。

と、分娩事故が起きて乳児を死なせた反省から立派なお題目が立てられています。

が、しかし、、、

下の写真は、その石川県で2022年に開催された「赤ちゃん協議会」の様子です。

赤ちゃん協議会

ずらーと居並ぶダークスーツの参加者はみなオジサン達です。「赤ちゃん」のことを考える会ですら育児の経験などまったくなさそうなオジサン達ばかりです。もう終わっているでしょ?

いやもちろん育児経験があり、また妊婦に寄り添える産婦人科医なども中にはいるのでしょうけど、居並ぶ全員が本当に妊婦や出産、育児に理解や深い関わりがあるのでしょうか?

これが日本のオジサン社会の実態です。少なくともこのようなメンバーに周産期医療を託したいとは思いません。

少し話しはズレますが、漫画家田村由美氏原作の漫画、またはテレビドラマの「ミステリーと言う勿れ」の中で、オジサン達について印象的なことが描かれていました。

ミステリーと言う勿れそれは、主人公の大学生久能整が、ある殺人事件の重要参考人として警察で取り調べをうけることになります。

そこでオジサン達に雑用ばかりやらされている新米の若い女性刑事が、警察の男社会の中でパワハラに耐えながら悩んでいることを察します。

その女性刑事が思いやりのある人だと感じ、主人公は「何か罪を犯した時、あなたに捕まえてもらいたい」と伝えたところ、女性刑事は「女だからといってなめないで」と怒り出します。

主人公は「なめられないように気をつけなければいけないのはこの署のおじさんたちだ」と答え、「それこそがあなたの存在意義だと思います」と核心を突きます。

その意味は、
「おじさんたちって特に権力サイドにいる人たちって徒党を組んで悪事を働くんです」
「都合の悪いことを隠したり、こっそり談合したり、汚いお金を動かしたり」
「でもそこに女の人が一人混ざっているとおじさんたちはやりにくいんですよ」
「悪事に荷担してくれないから、鉄の結束が乱れるから」
「でも女の人は群れて立ち上がったりしないからどれだけ虐げられても戦ったりしない」
「だからおじさんたちが不正をしづらいように、見張れる存在が、あなたがいる意味ってそれじゃないですか?」
と言い放ちます。

原作者も女性で、60代ということらしいですから、昭和時代の男性社会の真っ只中で様々な苦労をされてきて、漫画の中でこうしたオジサン批判がすらすらと出てくるのでしょう。

同じく映画「ミステリーと言う勿れ」の中でも(もちろん漫画でもあり)、昭和的なオヤジが出てきて、仕事を辞めて専業主婦になって子育てをしている娘に「子供とのんびりいられるのは幸せだろ?それが女性の幸せのはずだよ」」と言うシーンがあります。

それを聞いて複雑な顔をしていた娘を見た主人公は、昭和オヤジに対し「もし家にいて家事と子育てをすることが、本当に簡単で楽なことだったらもっと男性がやりたがると思う」「実際はそうじゃないということは、男性にとってしたくないできないことなんです」とバッサリ斬り捨てます。

さらに「男の幸せという言葉がなく女性の幸せだけあるというのも、おそらく女性をある型にはめるためにオジサンが言い出したことだと思う」と容赦ありません。

ま、そんなわけで、有能な女性が多く出てきて、自ら変わることができそうもない、未だ勘違いしているオジサン達や男性中心社会を早く崩壊させてもらいたいものです。

【関連リンク】
1585 専業主婦志向と共働き志向推移
1393 女性活躍ブームと女性管理職
869 働かないおじさんと年功序列

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