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筒井康隆 TSUTSUI YASUTAKA 既読書籍
005 | にぎやかな未来 | ||
004 | 旅のラゴス | 003 | 家族八景 |
002 | ロートレック荘事件 | 001 | 最後の伝令 |
1934年大阪府生まれ。1952年関西芸術アカデミー研究科に研究生として入学。1957年同志社大学文学部文化学科卒業。乃村工藝社に入社。1960年父と三人の弟でSF同人誌『NULL』を創刊。マスコミに取り上げられ、「筒井一家」紹介記事がたびたび新聞に掲載。それが江戸川乱歩の目に留まり、短編「お助け」が乱歩主催の雑誌『宝石』1960年8月号に転載。これが実質的なデビュー作となった。小松左京・星新一と並んで「SF御三家」とも称される。代表作に『時をかける少女』(1967年)、『日本以外全部沈没』(1973年)、『虚人たち』(1981年)、『夢の木坂分岐点』(1987年)、『文学部唯野教授』(1990年)、『朝のガスパール』(1992年)、『わたしのグランパ』(1999年)など(Wikipediaより引用 2022年) |
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005 | にぎやかな未来(角川文庫) | |
1960年代に雑誌等で掲載されたショートショートを1冊にまとめたもので、最初は1968年に出版され、その後、文庫などが何度か再版された著者のデビューまもない時期の作品集です。 基本はSFやファンタジーもので、ブラックユーモアの効いたものあり、刹那的な話あり、ディフォルメした未来をよく表しているものもあり、また意味不明なものもあったりと結構楽しめます。 各作品の感想はとにかく数が多くて(41篇収録)いちいち書けませんが、書籍のタイトルにもなっている「にぎやかな未来」の内容だけ少し書くと、マスメディアが力を持った未来の話しで、テレビやラジオの放送中にはCMばかりが流れ、買ったレコード(当時はまだCDなんかなかった)にも曲の途中にCMが挟まれようになり、さらに聞きたくないと思っても、法律で常時ラジオをつけておかなければならないと決められ、世の中、どこへ行っても広告の嵐の中におかれます。 これを読んだとき、今テレビをつける度にいつも思うのが「いつもどのチャンネルもCMばかり」で、測ったわけではありませんが、番組のおよそ半分はCMではないかなと思います。公共放送で受信料も払っているNHKですら、自局の番組や取り組み活動などのCMを流し続けています。 高い料金を支払う有料ネット放送でもCMが入ると嘆いている人がいましたし(私は有料がバカらしいので加入してないから知らない)、とにかくテレビでもラジオでもネットでもつなぐと視聴者は広告の大波にのまれてしまいます。 60年以上前に書かれた近未来のブラックコメディSF小説が、いよいよ現実化しつつあるのだなぁとこの小説を読んで感心しきりです。 ★★☆ 10月後半の読書と感想、書評 2023/11/4(土) |
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004 | 旅のラゴス(新潮文庫) | ラゴスという名前の主人公の男性が、架空の地域を苦労しながら旅する物語で、今から31年前、1986年に発刊された小説です。 著者は最近、炎上させる目的で過激?な発言をしたりとお騒がせしていますが、もうこの年(82歳)になれば、しかも死ぬまで食っていけるだけの十分な蓄えもあるでしょうから、なにをしても、なにが起きても、もう怖いものはない状態なのでしょうね。それにしてもあの発言は本人もあとで反省しているようですが、お下品を通り越しています。 時々元気な高齢者が、衝動的に重大な事件を起こしたりすることがありますが、今後もそうした短気を爆発させたような事件や問題発言が増えていくことが容易に想像できる昨今です。本書とは関係はありませんが。 さて、小説ですが、電気などエネルギー革命が起きていない中世の世界観の中の話しです。 様々な出会いや障害に遭いつつ、何年もかけて遠く異国の地へ旅をする主人公の目的は、昔不時着した宇宙船の乗員から新しく得た知恵や知識を書物にして残している村があり、その村へ行って大量の書物を読むためです。 旅の途中では奴隷狩りに捕まり鉱山で働かされたりしますが、どうにか逃げ出して旅を続けます。そんなに何年も旅を続けられるお金はどうして得ていたのか、その点は大きな謎です。 その村に到着し、村からは一切持ち出し禁止の大量の書物を何年もかけてそれらを読破していきます。さらにはその貧しい村でコーヒー豆の栽培を指導して、村の発展に寄与したことで、王に祭り上げられ、二人の妃も得ますが、やがてその村からも出て、生まれ故郷へ帰ってきます。 さて結局、この小説では何を言いたかったんだろう?と考えてもよくわからず、知的好奇心を満たすため、一生をかけた夢と旅と冒険、そして初恋の物語かな?と。 またこのような空想の中世という時代設定が、最近読んだ別の小説と似通っている気がするなぁ〜なんだったっけ?と記憶障害が最近顕著な頭をかき回して思い出すと、伊坂幸太郎著「夜の国のクーパー」でした。 2017年3月前半の読書と感想「夜の国のクーパー」 旅の途中で知り合った少女への思いを何十年も過ぎた後でも捨てきれず、その影を追ってそれはそれでロマンがあって良かったのですが、平凡な能なしオヤジにはこの主人公には感情移入ができず、数々の行動が理解に苦しむものでした。 ★★☆ 4月後半の読書と感想、書評 2017/4/29(土) |
003 | 家族八景(新潮文庫) | 1972年(文庫は1975年)の短編集作品で、「七瀬ふたたび」(1975年)と「エディプスの恋人」(1977年)の「七瀬シリーズ」で七瀬三部作の最初の作品です。 「七瀬ふたたび」とともに、過去何度もテレビドラマ化されていますので、そちらで知っている人も多いのではないでしょうか。 主人公の七瀬とは派遣で働く住み込みの家政婦で、短編の作品ごとにひとつの家庭の話しとなっていて、タイトルにある通り、8つの家族の物語です。 その主人公七瀬は人の心が読めるいわゆるエスパーで、それぞれの家庭の中に入ることで、家族の中にある根深い問題を知ることになります。 だからと言って、事態を好転するように努力をしたりそう仕向けるわけではなく、逆にそうした特殊なチカラを持っていることを隠すために興味がないフリをしたりと、いま思えば単なる覗き趣味の嫌な性格です。 70年代ってそうした他人のドロドロした部分に興味はあるけど、干渉はしたくないという、そういう身勝手が当たり前の時代だったのでしょうかね。よくわかりません。 市原悦子主演の「家政婦は見た!」シリーズは、その後1983年からスタート(2008年終了)していますから、同様によそのうちの内情がみんな気にかかるっていう1億総覗き病だったのかも知れません。 短編はそれぞれ「無風地帯」「澱の呪縛」「青春讃歌」「水蜜桃」「紅蓮菩薩」「芝生は緑」「日曜画家」「亡母渇仰」とタイトルが付けられています。 1970年頃に書かれた作品ということもあり、現代とはだいぶんと生活の様子が違うだろうと思って読み始めましたが、こと家族というか家庭の姿というのはこの40〜50年経過したあとでも、ほとんどなにも変わっていないんだなということがわかって意外でした。 もっとも住み込みの家政婦を雇えるというのは、当時も今も特定の富裕層だけで、私を含め下々の生活者とは縁遠いのですけどね。 ★☆☆ 12月後半の読書と感想、書評 2016/12/28(水) |
002 | ロートレック荘事件(新潮文庫) | 数多くのSF作品で有名な著者の1990年初出の長編の推理ミステリー小説です。著者が書いた多くの小説の中で、推理小説としては「富豪刑事」、「フェミニズム殺人事件」とこの作品の3作だけと言われています。 SF小説はあまり好みでなかったこともあり、著者の作品で過去に読んだのは「最後の伝令」だけで、1993年のことです。 タイトルのロートレックは正式にはアンリ・マリー・レイモン・ド・トゥルーズ=ロートレック=モンファという、長ったらしい名前の1991年に亡くなったフランスの画家です。 小説の舞台となる別荘に、その持ち主の趣味で、ロートレック作品があちこちにかけてあり、通称「ロートレック荘」と呼ばれています。 その別荘に集まってきた人達のうち、若い女性が何者かに射殺されてしまいます。そして警察が現場検証をしている最中に、第二の殺人が行われます。 さて犯人は? ってことで、幾重にも張り巡らされたトリック?に翻弄されて、最後までまったく犯人捜しはできませんでした。 しかし先の「富豪刑事」とは違って、これは小説ならではのトリックで、映画など映像化は難しいだろうなぁって思います。 ★★☆ 11月前半の読書の感想、書評 2016/11/16(水) |
001 | 最後の伝令(新潮文庫) | 1993/01/25 肝硬変末期、全身が衰弱しつつある窓際会社員の体内で情報細胞の最後の旅が始まった。行く先々で様々な情報を蓄えつつ、めざすは延髄末端の十二番街。臓器という都市の混乱を緊迫した筆致で描く表題作ほか、現実と虚構の融合を語る「瀕死の舞台」。桜の木が切々と陳述する「樹木法廷に立つ」等、SF回帰と熱狂的に迎えられ、“死”をめぐる文学的野心作とも激賞された傑作14編。(新潮社) |
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