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読みやすいようにアーカイブは昇順(上から古いもの順)に並べ替えました。上から下へお読みください。

日記INDEXページ(タイトルと書き出し部の一覧)はこちらです
1463 8月後半の読書と感想、書評 2020/9/2(水)
1464 エッセンシャルワーカーへの感謝と憧れ 2020/9/5(土)
1465 リタイア後、日々やってきたこと 2020/9/9(水)
1466 シャングリ・ラ 2020/9/12(土)
1467 9月前半の読書と感想、書評 2020/9/16(水)
1468 スマホの普及でカメラ産業は風前の灯火か 2020/9/19(土)
1469 インフルエンザの予防接種を受けるか否か 2020/9/23(水)
1470 コロナ前と後で失業者数や失業率の変化 2020/9/26(土)
1471 9月後半の読書と感想、書評 2020/9/30(水)

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8月後半の読書と感想、書評 2020/9/2(水)

1463
螺旋の手術室 (新潮文庫) 知念実希人

2013年に「ブラッドライン」というタイトルで単行本が発刊され、2017年に文庫化されたときにタイトルが変更されました。

著者の作品は今年4月に「仮面病棟」を読んでいて、これが2作品目です。

2020年4月後半の読書と感想、書評「仮面病棟」

著者は現役医師ということで、医療サスペンス小説が多く、この作品も大学病院で手術中の医療事故と大学の教授選挙と関係している?という白い巨塔の中でのドロドロとした人間関係が描かれています。

前の「仮面病棟」でもそうでしたが、「一番怪しくない人物が犯人」というミステリーの鉄則はこの著者さんには強烈に強く生かされていて、終盤の謎解きで「おぉ、そういうことか」と感嘆します。現実的ではあり得なさそうですが、そうした読者にアッと言わせるストーリー構成はお見事です。

個人的には、こうした現役医師が書いたシリアスな医療ミステリーは、渡辺淳一氏、帚木蓬生氏、久坂部羊氏、海堂尊氏などの小説を数多く読んできましたが、その中では夏川草介氏の「神様のカルテ」のような、ミステリーではない、ほのぼのとする小説が好きです。

余談ですが、その「神様のカルテ」シリーズは、最近出てないな〜と勝手に思っていたら、「神様のカルテ0」(2015年)、「新章 神様のカルテ」(2019年)と出ているのですね。買ってこなくっちゃ。

★★☆

            

中高年シングルが日本を動かす 人口激減社会の消費と行動 (朝日新書) 三浦展

2015年〜2017年の各種統計調査から描き出した日本の人口構成や消費傾向、将来推定などを分析したことをアナリストがわかりやすく解説した2017年に発刊された新書です。

タイトルの「中高年シングル・・」はちょっと釣りタイトルっぽい感じですが、晩婚、未婚の人が増えていることと、離別・死別を含めて、今後もさらにシングル世帯が増えていくことで、ライフスタイルやそれにともなう経済が従来の形から変わってきたということです。

ただしこれらの調査は、過去のものであって、必ずしも将来を見通しているわけではないということ。当たり前ですが。

人口構成などはそう短期間で変化することはないものの、購買意欲や傾向は、今回のコロナ禍でよくわかる通り、大きな災害や流行、外交問題などが起きれば短期間でガラリと変わってしまいます。

さらに今後、年金の減額や、医療費負担の増減、定年延長などの雇用体制の変更、外国人労働者の流入など、様々な変化に対して、人がどう動くのかという点はまだ十分に明らかではありません。

そして、制度が変わったからと言って、やり直しがきく若い人ならばともかく、中高年者にできる対策というのは極めて限定的です。

それゆえにみな老後の心配が拭えず、高齢者はますます貯蓄に励み、資産の年代格差が広がっていく最大の要因なのだろうなぁって思います。

ちょっとしつこいな〜と思うのは、某大手広告代理店(H報堂と思われる)の調査報告で、「高年収女性は結婚できない」という間違った決めつけを、何度も何度も繰り返して否定し、それを発表したアナリストをとことんバカにしていること。

この大手広告代理店にはなにか因縁があったのでしょうか、そこまで何度(4〜5カ所で繰り返している)もグチグチ書かないで、ひとこと「誤りだ」だけでいいです。個人的な恨みは読者は関係ないので。

★★☆

著者別読書感想(三浦展)

            

スケアクロウ(上)(下) (講談社文庫) マイクル・コナリー

この著者の作品では刑事 「ハリー・ボッシュシリーズ」や、刑事弁護士「ミッキー・ハラーシリーズ」が有名ですが、この作品の主人公は過去に「ザ・ポエット」(1996年)で主人公だった新聞記者ジャック・マカヴォイが主人公の犯罪ミステリー小説です。

また他のシリーズでも時々登場するFBI捜査官レイチェル・ウォリングが準主役として登場します。

原題は「The Scarecrow」で、初出は2009年、翻訳版文庫は2013年に発刊されています。

ストーリーは、ひとことで言うと最新のデータセンターを運営する会社の管理者と、殺人事件でえん罪事件を調べる新聞記者の対決という構図です。

コナリーの犯罪小説は、悪役がいつも徹底していて、頭が良く、過去の犯罪歴はなく、しかし極めて凶悪という印象です。

この小説でも、MIT出身の天才的な頭脳を持ち、伸び盛りの企業で役員を務めながら、子供の頃のトラウマを抑えきれずに、完全犯罪に近い凶悪犯罪を繰り返すというパターンです。

上記のハリー・ボッシュ自身も子供の頃のトラウマをずっと抱えてきましたし、アメリカの闇というか、そういうパターンが多くちょっとワンパターン化しているかなという印象です。

タイトルは、企業の重要データを保管するデータセンターを農場と例え、果実=データを荒らしにやってくる害鳥≒ハッカーから守るスケアクロウ(かかし)が、データセンターの最高技術責任者の役目という意味です。

実はそのスケアクロウ、もうひとつの意味が隠されているのですけど、それは読んでからのお楽しみということで。

★★☆

著者別読書感想(マイクル・コナリー)

            

さよならの手口 (文春文庫) 若竹七海

初めて読む作家さんの推理小説ですが、あとで調べてみてわかったのが、以前NHKで放送されたドラマ「ハムラアキラ〜世界で最も不運な探偵〜」の原作だということ。

ドラマはチラッと見ただけですが、小説を読んでイメージした主人公とかなり違っているな〜という感じです。

というのもドラマの主人公役のシシド・カフカは、ハーフで帰国子女で歌手でドラマー、モデルもこなす身長175cmと大柄でスマート。

一方の小説では体型とかは出てきませんが、色気も男っ気もなく、貧乏なので古いアパートをリフォームしたシェアハウスでフリーター生活をしていて、仕事中に古い家の押し入れの床を踏み抜いて下へ落ち、足から上に引き上げてもらうおっちょこちょいな40歳を過ぎているおばさんというイメージ。ね、落差あるでしょ。

著者は1991年に作家デビューし、数多くの推理小説を出していますが、大きな賞とはあまり縁がなく(2013年日本推理作家協会賞 短編部門受賞)、今まで書店でもあまり見かけませんでした。

評論家にはいまいちうけなさそうですが、ミステリーが好きな人は、中毒になってしまいそうな軽めで、コミカルで読みやすいストーリーです。ただ登場人物が多く、どういう人だったっけと覚えるのが結構大変でもあります。

ストーリーは、元探偵の仕事をしていましたが、勤務先が廃業したため、探偵はやめて古書店のバイトをしている中、怪我をしたことから入院し、そこで知り合った元大女優の老婆から、20年前に家出した娘を探して欲しいと依頼を受けます。

しかしそこには、不可解なことが満載で、病み上がりのまま、その謎にいどんでいくわけですが、その本題の謎と並行して、別の問題も持ち上がってきたりドタバタが激しい感じ。

でもよくできたミステリー小説で、私もファンになりそうです。

★★★


【関連リンク】
 8月前半の読書 スロウハイツの神様 、幕末下級武士のリストラ戦記、降霊会の夜
 7月後半の読書 郵便配達は二度ベルを鳴らす、衆愚の果て、日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実 吉田裕、奇跡の人
 7月前半の読書 にじいろガーデン、僕は人生についてこんなふうに考えている、健康格差、幻夏


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エッセンシャルワーカーへの感謝と憧れ 2020/9/5(土)

1464
新型コロナウイルスが世界中に蔓延するにつれ、しばしば耳慣れない新しいカタカナ言葉が出てきました。

ソーシャルディスタンス」「クラスター」「ロックダウン」「パンデミック」などが代表的な例ですが、その他にも「スマートライフ」「リモートワーク」「サスティナビリティ」などさまざま。

そうしたカタカナ語の中で、個人的に気になるのは「エッセンシャルワーカー」という言葉です。

コロナ禍におけるエッセンシャルワーカーの求人動向「農業」「物流」「販売・小売」が急増(@DIME)
調査の結果、日本では新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月7日に政府から緊急事態宣言が発令されたが、該当月の4月に求人割合や仕事検索割合が大きく増加している職種が多く見受けられた。
特に「介護」「看護」「ドラッグストア」に関する求人は大きく増加しており、5月には昨年よりも60%以上の増加。また、仕事探しにおいては「スーパーマーケット」「コンビニ」「配達・デリバリー」に関する仕事検索割合が4月以降急増し、昨年よりも80%以上の増加が見られた。


役割増すエッセンシャルワーカー 支援の動き広がるも起こるリスクや差別(SankeiBiz)
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ外出自粛の長期化で、人々の暮らしに不可欠な職業に就く人たちの社会的役割が増している。海外では「エッセンシャルワーカー(生活必須職従事者)」と呼ばれるスーパー従業員や清掃員、郵便局員らだ。感染リスクがつきまとう職場で心ない差別的言動やクレームを受けるケースがみられる一方で、支援や感謝を示す動きも広がり始めている。

エッセンシャル(Essential)とは「本質的な」「不可欠な」という意味で、それにワーカー(労働者)がくっついて、コロナ禍で外出自粛やロックダウンの中でも、日常生活を維持するために働くことを求められる仕事や働く人のことで、代表的なのは、医療や介護、食料販売、流通、電気やガスなどインフラ維持、交通機関などなどです。

エッセンシャルワークの定義は定まったものがありませんが、一般的にリストにすると下記の通りです。

医療福祉 医師/看護師/薬剤師/介護士/保健士
公共インフラ 水道・ガス・電力会社職員/通信会社職員
保安・治安 警察官/消防士/救急救命士
行政・金融 役所職員/天気予報官/清掃員/銀行員
一次産業 農家/漁師/酪農畜産
製造業 食品製造業/日用品製造業/医薬品・医療機器製造業
運輸物流 鉄道職員/バス・トラックドライバー/宅配員
流通・小売り  コンビニ・スーパー・ドラッグストア・ホームセンター店員
保育・教育 保育士/教員
放送・情報 新聞社記者・配達員/放送局員
その他 葬儀関連業務/寺社/エネルギー輸入


確かに、今回の騒動で、日常生活の維持に必要な仕事(エッセンシャルワーカー)とそうでない仕事にくっきりと線が引かれた気がします。

ER緊急救命室つまり、緊急事態宣言下でも社会的な要請で通常通りに勤務地へ出勤する必要がある人と、休職、休業をしたり、自宅待機やリモートワークで出勤せずとも済ませられる人の違いです。

私が過去40年間、20年間は人材ビジネス、20年はIT教育とネット系ベンチャーの仕事をやってきて、ずっと思っていたことが「この仕事は誰か人の役立っているか?」「この仕事がなくなると誰か困る人はいるのか?」「この仕事で社会貢献できているのか?」です。

「なにをたいそうな!」って言われそうですが、実は20代の頃からずっと自分に質問し続け、悶々と悩んでいたことです。

もし人の命を救うような医療や介護、警察官、消防士、安全で独創的な食料や医薬品を生産、製造するような仕事をしていれば、おそらくそういう気持ちはわかなかったと思いますが、そうでない仕事をずっとやってきたので、「今の仕事のままで良いのだろうか?」という気持ちだったのです。

NHKでは「プロジェクトX」という番組で、普段あまり日の当たらない仕事に、ドラマチックにスポットライトをあてて賞賛しましたが、そうした話題になるような巨大なトンネルを掘ったり、世界に通用する製品を開発したりする仕事でもなく、地味で毎日コツコツ働いている人が実際はほとんどでしょう。エッセンシャルワークの多くもそうした地味な仕事です。

結果的に、私はエッセンシャルワークに就くことはなく、社会人としてはそれが唯一残念に思うところです。

仕事を選ぶときに、こうしたエッセンシャルワークに限定して探す人は多くないと思いますが、仕事に就いて、それが長くなり深まって行くにつれ、「今の仕事は・・・」って考えることになります。

将来のリストラや、大きな社会の変化で仕事を失ったり、なくなってしまうことを考えると、まさにエッセンシャルワークとそうでない仕事には平常時には見えない大きなラインがあるのではないかなと思います。

と、同時に、自分がやってきた仕事が、「経済や社会にとってどれほどの影響力があるのか?」ってことを考えるようになり、コロナ自粛中に、ジックリと振り返ってみると、「自分の仕事は世の中になくても良い?」インシデンシャルワーク(Incidental work 些末な付随的な仕事)なのかもって思い悩むことがあるかもしれません。

それにしても「エッセンシャルワーカーに感謝しよう!」という運動や行動が賞賛されていますが、それを見る度に、感謝するのと同時に、それ以外のワーカーは感謝される仕事ではないのかなぁーとちょっとひねくれた思いもよぎりました。

【関連リンク】
1009 兼業禁止規程はいつ禁止されるか
926 在宅派遣就労が拡がる可能性はある?
844 内職・副業詐欺など


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リタイア後、日々やってきたこと 2020/9/9(水)

1465
6月にリタイアしましたが、なにもすることがない暇な日々がやってくる?またリタイア後に計画していた遠出の旅もコロナ禍のため自粛していて毎日なにするの?と思われそうですが、毎日やること、やりたいことはそれなりにあって、忙しい日々を送っています。

ウォーキングは、2016年の人工股関節手術のあと、リハビリでおこなってきたのを、今ではメタボ対策として続けています。ほぼ毎日1時間半ぐらいかけて7〜9千歩を歩きますので、それだけでも時間はかかります。

そしてコロナ禍で遠出ができないので、自宅や自宅周辺でできることからと、まずは自宅の補修や、快適に過ごせるようにと自分の部屋の中の模様替えなどをチマチマとおこなっています。

まずやったのは、10数着あるスーツとシャツ、ビジネスシューズを1セットを残して全部処分しました。おかげで洋服ダンスの中がスッキリしたので、普段着などタンスに収まりきらず部屋の中にあふれ出ていた衣類を全部タンスの中に収納し部屋が広くなりました。

スーツを一着残したのは、ないとは思いますけど、なにか公式行事に出る必要があったとき、慌てなくても良いようにしました。もしノーベル賞でも受賞したら普段着のジャージやTシャツで記者会見というわけにもいかないでしょうし、、、

そう言えば文学賞の頂点とも言える直木賞の受賞インタビューに姫野カオルコ氏がジャージ姿で現れて、ひっくり返った関係者も多かったのではないでしょうか。

次に古くなった自宅の網戸、全部で大小合わせて20箇所ぐらいあり、その中の破れ等があるものを張り替えました。写真を撮るの忘れてましたので画像はありません。

網戸の張り替えは、

1)網戸を取り外すため邪魔な家具や大型家電を移動
2)古くなってゆがみが出ている窓枠から網戸を外し
3)古い網をはがして
4)汚れたサッシを綺麗にして
5)新しい網を張っていき
6)再び窓枠に取り付けて、家具などを元へ戻す

と、ひとりでチマチマとやっていると結構時間(日数)がかかります。

張り替え作業は、部屋の中に広い作業スペースがないので、暑い中、外で作業するので汗がとまりません。しゃがんだり立ち上がったりしてスクワットするような動きが多く、良い運動にはなりますが。

網戸によっては押さえゴムのサイズが違っていたり、網が足らなくなってその都度買いに走ったりと手間もかかります。

さらに、あちこちにホコリをかぶって積み置かれている3000冊を超える書籍を整理し、見栄え良く並べることにしました。

書棚新たに大きな書棚を4つ購入し、自分で組み立て設置しますが、書棚で部屋を狭くしたくないので、書棚は上へ上へと伸びることになります。すでにハシゴがないと本の出し入れが出来ない高さになっています。

地震で書棚が倒れてこないように、転倒防止用の金具を買ってきて取り付けたりと、設置に手間も時間もかかります。

そして書棚に本を詰めていくと、不要な本が出てきますので少しずつ捨てていくようにしています。もう絶対に読まないな〜という本から。

一度、その不要な中で比較的新しそうなビジネス書や小説をブックオフへ持っていったら、15冊中、8冊が「値段が付かない」と返されました。

購入時にいつもレジで「ご不要の本があればお持ちください」と店員さんが決まり事で言うので持ってきたのに、半分を突き返されるとそりゃ腹も立ち、もう二度と持ってくるか!と思いました(笑)

後で知りましたが、ネットでブックオフの宅配用買い取り価格を調べる「買取価格検索」があります。

そこに不要な本のタイトルを片っ端に入れて調べると、私が入れてみた本の8割が「在庫量の多い品物の為、お値段をおつけできません」とつれない回答です。

そりゃーないでしょう。いやそれが現実なのでしょう。彼らも買い取って売るビジネスであって、ゴミ回収ボランティアではないのだから。えぇ、わかっていますとも。

それはさておき、新しい書棚を入れる代わりに、古くなった収納力がイマイチな大きな書棚を大型ゴミとして出すため清掃局へ連絡すると、なんと混み合っていて2ヶ月先まで回収してもらえないと。

コロナ外出自粛やリモートワークなどの影響があって、自宅の整理とか断捨離をおこなっている人が多いのでしょうね。

部屋の壁を覆う大量の書籍に関して、自分が生きているうちになんとか処分したい気もしますが、借家ではなく自分の家だからそのままにしておいて、残された家族が故人(私)のことを想いながら(恨みながら)処分するのもいいかな。つまり放置しておこうかなと。

書籍以外についても、もう少し涼しくなってきたら、ダンボール数箱に詰めしたまま放置していた趣味の収集品などにも手を付けて、部屋を少しでも広くして過ごしやすい快適な場所にしたいと考えています。

処分に困っているものが、現在のように個人情報管理にうるさくなかった時代の名簿です。

以前勤務していた会社の社員千名ほどの名簿(毎年発行されていた)や、学校同窓会の数千名の卒業生(同窓会)名簿など分厚い冊子になったものもあり、単純にゴミとして出すのは躊躇われます。

過去の年賀状は時々まとめて処分しています。あれも厳密には個人情報ですが、数が1年分で50〜80枚程度と少ないこともあり気にしないでバサバサとゴミとして捨ててます。

さすがに一覧表になっていて、それが何十ページにも氏名・住所・電話番号が掲載されている名簿はそういうわけにはいきませんよねぇ、、、みなさんどうしているのかな?


【関連リンク】
1447 ビジネス界からリタイアした
1421 春うらら、高齢者はひたすら歩く
1375 ハッピー・リタイアメントに向けて


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シャングリ・ラ 2020/9/12(土)

1466
シャングリラ」と聞いて、人はなにを想像するでしょうか?おそらくこの名称からいだくイメージは似たようなものの、みなそれぞれ違うものを思い浮かべるのではないでしょうか。

シャングリラ」とは、Wikipediaによると、
シャングリラ(英語: Shangri-La)は、イギリスの作家ジェームズ・ヒルトンが1933年に出版した小説『失われた地平線』に登場する理想郷(ユートピア)の名称。仏教徒や神秘主義者の伝説の王国シャンバラをモデルにしたといわれる。ここから転じて、一般的に理想郷と同義としても扱われている。

とのこと。小説に登場した名称が一般化するというのも珍しいことで、それだけこの言葉が持つなにか記憶に残るインパクトというか、一種の言葉の魔力があったのでしょう。

名称として国内で一般的によく知られている(使われている)のは、

・シャングリ・ラ・ホテル東京 香港に本拠を置くホテルチェーン
・Shangri-La 電気グルーヴの1997年の楽曲
・シャングリラ 中島みゆきの著書や夜会ライブ名
・シャングリラ チャットモンチーの2006年の楽曲
・Shangri-La angelaの2004年の楽曲
・東急ホテルズの直営レストラン
・ユーミンのコンサートツアー名

など、様々なところで使われています。

中国には、近年改称されたシャングリラ市(中文表記:香格里拉市)という地名まであります。

シャングリラ私がシャングリラと聞くといつも思い浮かべるのは、初めてその名称を知った香港の「カオルーン シャングリラ(九龍香格里拉大酒店)」で、1984年に香港で仕事をしていたときに、時々仕事をさぼってコーヒーを飲みに利用していました。

というのも、当時(1980年代)のシャングリラホテルは今と違って日本人の宿泊者は少なく、団体客も受け入れてない孤高の気高い雰囲気があり、知り合いにバッタリ出会ったりすることがない、ひとりでゆっくりするのには向いたホテルでした。現在は日本人宿泊客に人気のようですけど。

ペニンシュラホテルや、マンダリン、今はもうなくなったリージェントやフラマホテルなどは、日本人観光客やビジネス駐在員などがいっぱいで、誰に見られるかわからない雰囲気でした。

その時に「シャングリラ」という言葉の意味がわからず、香港の知り合いに聞くと「桃源郷」という意味だということを教えられ、それ以来、「シャングリラ=桃源郷(理想郷)」というイメージが定着しましたが、香港を去ってからはその名称を耳にすることは長くありませんでした。

Shangri-Laそのシャングリラという名称を再びよく聞くようになったのが、1997年にテレビコマーシャルに使われヒットした電気グルーヴの「Shangri-La」です。

すぐにCDを買って、いつもクルマの中で繰り返し流していたものです。

2019年にはメンバーのひとりピエール瀧が麻薬で逮捕されたときには、情報番組で何度もこの曲が流されていました。

今でもこの曲を聴くと、香港のシャングリラホテルを反射的に思い出し、好きになった曲で今でもクルマのミュージックサーバに入っています。

そのフレーズを聴く度に、香港のシャングリラでまったりしていた仕事人生の中でも一番?輝いていた頃のイメージが浮かんできます。

  どこへもどこまでもつながるような色めく世界 麗しの時よ
  いつまでもいつまでも きらめくような甘い思いに 胸ときめいていたあの頃のように・・・


えぇ、昔を懐かしむ年寄りの戯れ言です。


【関連リンク】
1436 コロナ時代のテレビ番組と再放送
1206 年齢を問わずに楽しめる俳句、和歌、短歌、川柳の違い
764 思い出の香港


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9月前半の読書と感想、書評 2020/9/16(水)

1467
空白を満たしなさい(講談社文庫)(上)(下) 平野啓一郎

2012年に単行本、2015年に文庫化された長編小説です。著者の作品は2011年に単行本で「ドーン」を読んでいます。それ以来なんと9年ぶりです。

2011年3月後半の読書(ドーン)

この小説はSFというか、いやちょっと違うか、死んだ人間が次々と生き返るという小説には良くある「IF物語」のようです。映画にもなった梶尾真治著の「黄泉がえり」をチラッと思い出しました。

著者独特の発想で、対人関係ごとにそれぞれの人格が存在するという「分人主義」を絡めた、大枠ではそのシリーズ作品のひとつだそうです。

生き返る理由や原因は特に明示されてなく、ご都合的ではありますが、結婚して子供を授かり、マイホームも購入したばかりで夫婦仲も良好、仕事はちょっとつまずいたけれど、異動先では新規事業で大成功を収めつつある時に、主人公の男性は会社の屋上から突然謎の飛び降り自殺をしたということになっています。

そしてその3年後に主人公はフラッと自宅へ帰ってきますが、本人にはその3年間の記憶はなく、しかも「幸福の絶頂の中で、自分が自殺などするわけはない」と真相を調べ始めます。

特にその自殺の原因(本人は行動を注意されて逆恨みしている警備員に突き落とされたと主張)追求の行動がこの小説で重要なところと思わないけど、その真相探しが長くてちょっと主題がよくわからなくなってしまっています。ページを増やす理由でもあったのかな。

死者が生き返る現象が、世界中で認められるようになり、そうした事が想定されていない様々な法律や制度に問題が起き、そして差別などが起き始めます。

果たして自殺の真相は?自殺した原因で家族や両親のあいだに大きな亀裂が入ってしまったその修復は?生き返った人達はその後どうなるのか?などは読んでからのお楽しみということで。

う〜ん、上下巻の長い小説ですが、あまり変化や抑揚がない、淡々とした流れで、ちょっと退屈な感じがしました。哲学的ともいえますので、読んでいて眠たくなるのは仕方がないのかも知れません。

★☆☆

            

ブラック オア ホワイト (新潮文庫) 浅田次郎

2013年に週刊新潮で連載され、2015年に単行本、2017年に文庫化された、長編小説です。

西洋の人種問題?ぐらいに思って、内容はまったく知らないまま読み始めましたが、全然違いました。なんと、このタイトルで、夢の話しです。

60過ぎた元エリート商社マンだった裕福な男性が、亡くなった学生時代の友人のお通夜で久しぶりに会った同級生に語る夢の話しですが、その不思議な夢を見た場所が、総合商社員らしくスイス、パラオ、インド、中国、日本(京都)で、そこに白い枕と黒い枕が登場してきます。

白い枕で寝ると、ハッピーな夢に、黒い枕で寝ると不幸な夢をみることになり、夢を見ているときは、それは夢だと言うことがわかっています。

いずれの夢にも、満州鉄道の理事を務め、戦後は総合商社に入社した祖父や、誰かわからない謎の恋人の女性が出てきます。

世界中で活躍する商社員としての仕事の他は、そうした夢の話しが淡々と続くだけの話しですが、なにか仕事を引退した後、昔の輝いていた頃を懐かしんで、誰かに聞いてもらいたいだけ?とも思えて、その真意がイマイチよくわかりませんでした。

★☆☆

著者別読書感想(浅田次郎)

            

人生を「半分」降りる―哲学的生き方のすすめ (ちくま文庫) 中島義道

1997年に初版が出た後、新潮と筑摩から文庫版が出ましたが私が購入したのは2008年刊の筑摩書房版文庫です。これが書かれたのはまだ20世紀の1996年頃で、当時は電気通信大学電気通信学部人間コミュニケーション学科教授という肩書きでした(2009年に退任)。

サブタイトルにあるように、哲学の考えを元にした中高年以降の生き方について著者の考え、過去の哲学者などが残した言葉などを紹介した新書っぽい内容の文庫です。

したがって、本文にもありますが、この本の想定対象年齢は40代から50代前半ぐらいで、もうガツガツと野心を持って出世競争をしたくない中高年者という感じで、すでにそこから大きく超えてしまった私にはちょっと遅かった?とも思いますが、ようやく手に入れたので、しっかり読みました。

著者の書籍は「人生に生きる価値はない」(2009年)、「「人間嫌い」のルール」(2007年)、「私の嫌いな10の人びと」(2006年)、「どうせ死んでしまうのに、なぜいま死んではいけないのか?」(2000年)、「<対話>のない社会―思いやりと優しさが圧殺するもの」(1997年)の5作を読んできましたが、本書が一番著者の専門の哲学に寄った作品です。

2020年3月後半の読書と感想、書評(人生に生きる価値はない)

2015年3月後半の読書と感想、書評(「人間嫌い」のルール)

2014年8月後半の読書と感想、書評(私の嫌いな10の言葉)

内容は、、、、、えぇ、哲学的というか、哲学です。

哲学の本の感想を簡潔に書けと?そ、それは、丁重にお断りしますデス。

著者の専門でもあるカントはもちろん、セネカ、スピノザ、ルソー、ヴァレリー、陶淵明、永井荷風、兼好法師など多くの先達が残した文章や生き方から「半隠遁生活のススメ」を引用しています。

閑職に左遷されてガックリしている方、ライバルに先を越され投げやりになっている人、そしてちょっと変わった知的好奇心を満たしたい方にはうってつけの本です。

★★☆

著者別読書感想(中島義道)

【関連リンク】
 8月後半の読書 螺旋の手術室、中高年シングルが日本を動かす、スケアクロウ、さよならの手口
 8月前半の読書 スロウハイツの神様 、幕末下級武士のリストラ戦記、降霊会の夜
 7月後半の読書 郵便配達は二度ベルを鳴らす、衆愚の果て、日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実 吉田裕、奇跡の人


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スマホの普及でカメラ産業は風前の灯火か 2020/9/19(土)

1468
今やほとんどの人が持っているスマホのカメラがすさまじい勢いで高性能化しています。

SONY α7V高機能化メラが得意としていた夜間撮影モードや背景ぼかし、手ぶれ防止などは当たり前、最近増えてきた多眼カメラ以外でも、アプリで画像を3D化できるものまであり、もうスマホさえあれば(専用の)カメラやビデオを別に持っていなくても事足りるようになってきています。

そうなると、カメラは売れなくなり、超望遠や超広角、超高精細などが必要なプロカメラマンや趣味でやっているハイアマチュア(いわゆるカメラマニア、写真マニア)の需要以外で購入者はいなくなっているというのが実情です。

私の持っているスマホカメラは、単眼(レンズがひとつ)で、しかも解像度も高くないので、画質はイマイチですが、それでもスマホとカメラと、普段どちらを多く使っているかというと、8:2ぐらいでスマホ撮影が多いのが現状です。

ちょうど、好きで買った高級セダンと、ゲタ代わりの軽自動車と2台持ちの人が、「結局は軽ばかりに乗っている!」というのに似ています。私の場合も、小型2ボックスカーとバイクですが、「燃費も良いし渋滞知らずでバイクばかり乗っている〜!」というのが現実です。

かつてカメラ産業は、自動車や時計、家電品などとともに、Made in Japanが世界を席巻してきた歴史があり、貴重な日本の産業資源でもありましたが、今はその立場も危うくなってきています。

どれぐらいカメラの生産量、出荷量、金額が変わってきたか、2009年と2019年で比較した表が下記です。データ出典はいずれも「CIPA 一般社団法人カメラ映像機器工業会」です。

2019年 生産 総出荷
デジタルスチルカメラ合計 14,882,729 440,014,774 千円 15,216,957 587,143,002 千円
レンズ一体型 6,622,012 107,683,151 千円 6,755,467 130,137,331 千円
レンズ交換式一眼レフ 8,240,717 332,331,623 千円 8,461,490 457,005,671 千円
一眼レフ 4,417,993 143,760,695 千円 4,504,987 174,635,831 千円
ミラーレス 3,822,724 188,570,928 千円 3,956,503 282,369,840 千円
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
2009年 生産 総出荷
デジタルスチルカメラ合計 103,040,969 1,347,609,821 千円 105,863,632 1,620,798,550 千円
レンズ一体型 93,270,116 998,463,519 千円 95,952,937 1,161,940,656 千円
レンズ交換式一眼レフ 9,770,853 349,146,302 千円 9,910,695 458,857,894 千円
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
2019年/2009年対比 生産 総出荷
デジタルスチルカメラ合計 14.4% 32.7% 14.4% 36.2%
レンズ一体型 7.1% 10.8% 7.0% 11.2%
レンズ交換式一眼レフ 84.3% 95.2% 85.4% 99.6%

カメラ全体では生産、総出荷台数は14.4%まで落ち込んでいます。金額ベースでも生産で33%、総出荷で36%まで下落しています。

2009年当時は、カメラというとすでに銀塩フィルムからほぼデジタル化への移行が終わっていましたが、デジタルカメラはレンズ交換ができないコンパクトカメラと、レンズ交換ができる一眼レフカメラの2種類で、ミラーレスカメラは登場こそ2008年からですが、一般化するにはもう少しあとになってからです。

そのコンパクトカメラの2019年/2009年の比較では、生産・総出荷台数がわずか7%に減少し、生産・出荷額は11%に減少しています。ざっくり9割減少したってことです。

一方、プロやハイアマチュアが使うことが多い一眼レフカメラ(2019年はミラーレスカメラ含む)は、生産・総出荷で84〜85%、生産・総出荷額では95〜100%と、こちらはこの10年間ほぼ横ばいです。これは産業界にとっては数少ない喜ばしい結果です。

つまり、カメラの需要は、スマホとバッティングするコンパクトデジカメが影響を受けて9割減少しているが、2019年のカメラ台数の55%を占める一眼レフカメラ(ミラーレス含む)は横ばいで踏ん張っているということです。

崖っぷちのデジカメ各社 高機能や動画で生き残り 市場規模ピークから9割減(SankeiBiz)
カメラ映像機器工業会によると、デジカメの世界出荷台数は平成22年(2010年)にピークの1億2146万台を記録したが、令和元年(2019年)は9割程度少ない1521万台まで落ち込んだ。今年は東京五輪の“特需”も期待されていたが、逆に新型コロナの影響で需要が急減し、「とどめを刺された」(業界関係者)との見方も広がる。

この記事では、コンパクトカメラと一眼レフカメラの区別はなく、カメラ総出荷台数での比較なので、「え!9割減!」ちょっと誤解を受けそうです。

というのはコンパクトデジカメと一眼レフカメラでは金額で比べると大きな差があり、台数が9割減でも総出荷金額では6割減程度(それでもデカいですけど)で収まっているからです。

コンパクトカメラの1台あたり平均金額は2019年で19,260円、一眼レフカメラは54,010円です。3倍近くの差があります。また一般的には、より高付加価値がある一眼レフカメラのほうが、利益率も高い(原価率は低い)ので、利益を見ればもっと違った割合になるでしょう。

とは言え、コンパクトカメラの凋落はもう歯止めが効かないところまできているのは確かで、記事にもありましたが、今後はより一眼レフカメラに近い性能をもつ、高機能でユーザーをつかんでいく他、生き残りは難しいでしょう。

もっともこのカメラ産業は、一般市販用カメラだけをビジネスにしているわけではないので、医療用機器や光学センサー技術など、他の優位性が得られる分野へ力点を置き、やがては市販カメラからフェードアウトしていくかも知れません。

上記の総出荷量は日本を含む世界中への出荷ですので、国内向け出荷台数・金額はどうなっているかというと、下記の表です。

2019年 日本向け
デジタルスチルカメラ合計 2,315,868 75,928,531 千円
レンズ一体型 1,483,179 26,941,333 千円
レンズ交換式一眼レフ 832,689 48,987,198 千円
一眼レフ 287,694 13,743,593 千円
ミラーレス 544,995 35,243,605 千円
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
2009年 日本向け
デジタルスチルカメラ合計 9,748,295 207,703,757 千円
レンズ一体型 8,677,230 153,078,828 千円
レンズ交換式一眼レフ 1,071,065 54,624,929 千円
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
2009年対比 日本向け
デジタルスチルカメラ合計 23.8% 36.6%
レンズ一体型 17.1% 17.6%
レンズ交換式一眼レフ 77.7% 89.7%

世界向けのカメラ総出荷台数2019年/2009年比14%と比べると、日本国内向け出荷台数は24%と落ち込みはやや少なめですが、一眼レフカメラの落ち込みが横ばいの世界と比べて大きく(世界は100%、国内は90%)、結果的に金額ベースでは総出荷金額36.2%とほぼ同じ36.6%となっています。

ただ、みなさんよくご存じでしょうけど、スマホカメラにしてもドライブレコーダーにしても、レンズやイメージングシステムなどその根幹たる高度な技術には、まだ日本のメーカーの技術や製品が多く使われていることが多く、かろうじて光学製品では世界のトップを維持しているようです。

しかし、それらについても、過去に家電製品のほとんどが国内生産できなくなり競争力を失ったように、やがてそれらの技術が霧散してしまうのも時間の問題かも知れません。

【関連リンク】
1366 スマホ3年で買い換え
1307 格安スマホ(MVNO)を利用してきて思ったこと(1)
623 古い写真を整理してみてわかったこと


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インフルエンザの予防接種を受けるか否か 2020/9/23(水)

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インフルエンザの流行時期が近づいてきました。ここ数年間は勤務していた会社へ接種注射に医者が来てくれて、接種費用も会社が負担してくれましたので、あまり考えることもなく毎年受けていましたが、今年からは自己負担&病院やクリニックへ予約して行かなければなりません。

今年の接種は、新型コロナの件もあり、ちょっと複雑な様相を呈しています。

というのも、こういう医者の意見もあります。

基礎疾患のない人はインフルエンザ予防接種注射は止めましょう(かねしろクリニック)
インフルエンザ予防接種注射はあくまで重症化予防で感染予防ではありません。
今回のCOVID-19でも症状の出ない感染者や症状が出る前の感染者が他人に感染させている可能性が言われていますが、インフルエンザ予防接種注射は軽症もしくは症状の出ない感染者を作り出しているだけです。
インフル予防接種注射をしたために感染しているのに軽症もしくは症状が出ずに感染を拡げている人が居ます。

インフルエンザ予防接種注射はあくまで重症化予防で感染予防ではありません。」というのは、遅まきながら初めて知ったことです。

ずっと感染予防だとばかり思っていました。だって、「インフル予防注射」って言い方しませんか?その予防ってのは重症化予防だったと言うことです。

私と同様に「予防接種受けたからインフルには罹らない」と思っている人が多いのではないでしょうか?

まれに予防接種を受けても罹った人に対して「きっと別の種類のインフルエンザだったんじゃない?」とか言ってますよね。

そうではなく、感染自体は接種したか否かは関係なく、感染した後、接種した人は発症しないか発症しても軽度で済むことが多いという違いだと言うことです。

うそー!と思う人は厚労省の「インフルエンザQ&A」を読むと良いです。
インフルエンザワクチンは、感染後に発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に有効と報告されており、日本でもワクチン接種をする方が増加する傾向にあります。

接種イラスト確かに論理的に考えてみても、ワクチンで体内に抗体を作ったからといって、感染しない(感染予防ができる)わけではないでしょう。

ただ、感染後に発病するかどうかはワクチンを接種している人としていない人で差があります。つまり感染しても気がつかないほどの軽症で終わるケースが接種して人には多いと言うことです。

そして、インフルエンザに罹ってしまっても、新型コロナと違い、「インフルエンザはCOVID-19と違って治療薬があるので、少しでもインフルエンザを疑えば受診し、検査をして診断されれば一般の風邪よりも早く良くなります。」(同)ということです。

もちろん上記の記事にも書かれているように「基礎疾患のある人や高齢者、乳幼児は重症化すれば命に関わる危険があるので予防接種を受けても構いません」ということは前提です。

私の場合、まだ厚労省が決めた高齢者(65歳以上)ではないのと、基礎疾患はないのと、仕事をリタイアして満員電車に乗ったり、密室の会議室で多人数と長時間過ごすこともなくなったので、インフルエンザに罹る可能性は今までよりはずっと低く、もう打たなくともいいかなぁという思いもあります。

国立感染症研究所のインフルエンザ予防接種状況データでは、2018年の接種率(1年間で一度でも接種した人の割合)は、全年齢平均で44%、60代で45%と言うことです。

しかし一方では、今年はインフルエンザと新型コロナのダブルで感染した場合の合併症で重症化するなど今まで以上に警戒が必要とも言われています。悩むなぁ〜

なお、予防接種法における予防接種としてのインフルエンザ定期接種は65歳以上となっていますので、まだそれには達していません。

【関連リンク】
1441 コロナ後の日本の行くべき道は
1440 東日本大震災関連小説とコロナ禍後
1422 ウイルスと細菌の違いなど


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コロナ前と後で失業者数や失業率の変化 2020/9/26(土)

1470
安倍さんが総理の座を降りるときに、「失業率が民主党政権時代からこんなに改善しました!」「自殺者は大きく減っている!」とまるで自分の成果のように自慢していましたが、もちろんそんな単純なことではありません。

リーマンショックからようやく世界が立ち直ってきたところに日本では東日本大震災が起きた2011年の翌年に総理大臣になった安倍さんですから、そのどん底状態の日本経済がそれ以上はひどくはなりっこない状況でした。

自殺者数は失業率や景気動向と連動することが多いのですが、自民党政権時に年々増加し3万人をゆうに超えていた自殺者数をあれこれ対策して下げたのが民主党政権時代で、その減少傾向の流れを安倍政権がそのまま引き継いだに過ぎません。

そして世界の好景気に引っ張られながら、震災から立ち直り、東京オリンピックの誘致に成功(別に安倍さんの手柄ではなく)したおかげで、日本に好景気がやってきたという運に恵まれました。

ま、運も実力のうちと言われれば、そうかもしれません。

政治には興味がないので、これぐらいにして、本題の「コロナ前とコロナ後の完全失業者数と完全失業率推移」です。データ出典は、総務省「労働力調査」です。

コロナ前とコロナ後の完全失業者数と完全失業率推移

まず日本の完全失業率は、コロナ前の2019年12月時点では145万人、2.2%と極めて低いいわゆる売り手市場が続いていました。人手不足倒産の話題もよく出ていました。

そしてコロナ後の2020年3月は176万人、2.5%、同5月は198万人、2.9%まで上昇しました。3%以下であれば世界的に見ると低い方です。

2019年12月から2020年5月の半年の間で、完全失業者は52万人増えていることになります。

もちろんこの完全失業者というのは、職安へ失業の届け(求職の申請)をした人の数で、世の中の実態とは差があることは過去に何度も書いてきたとおりです。それしか統計データとして追えないので仕方ないです。

1385 有効求人倍率と完全失業率長期推移グラフ 2019/11/23(土)

その半年で増えた失業者数52万人というと、鳥取県の人口55万人(2020年4月)、東京都江東区(51万人)、宇都宮市(52万人)、姫路市(53万人)あたりの人口に匹敵します。

今まで人手不足と言われてきた中で、たった半年の期間にこれだけの失業者が増えるというのは大きなインパクトです。

次に世界の主要国の失業率です。データ出典は、独立行政法人労働政策研究・研修機構です。

世界の主要国の失業

アメリカは、2月まで3%台で推移していたのが、4月に一気に14%台まで上がり、7月には10%と高止まりしています。しかし大統領選も近いということもあってか、8月には8%台まで下がってきたようです。

意外なのは、1月まで8%以上で推移していたフランスが、5月以降は6%台に少し下がっていることです。同様にイタリアも2月まで9%台、4月には7%台、5月は8%台にいったん下がり、その後はまた上昇傾向にあります。

またイギリスは、12月3.7%に対して5月3.8%と安定して横ばい状態が続いていて、コロナの影響は極めて小さそうです。

失業者数の統計は国によって取り方が多少違うので、他国と比べ数が多い少ないではなく、傾向をみるだけですが、その傾向は、日本はドイツや韓国と同じような推移を示していて、特に目立った傾向があるわけではなさそうです。

いずれにしても、コロナ禍が長引くことで、また秋から冬にかけて、再流行すると言われていますので、今後、8月以降の失業率も注視していく必要がありそうです。


【関連リンク】
1443 コロナ失業者増加で自殺者数はどうなる?
1385 有効求人倍率と完全失業率長期推移グラフ
866 失業率とか雇用状況


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9月後半の読書と感想、書評 2020/9/30(水)

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しあわせの理由 (ハヤカワ文庫SF) グレッグ・イーガン

著者はオーストラリア出身の物理学を学んだSF作家さんで、やはり理科系の坂村建氏の解説でも書いてありましたが、文系の人にはよくわからない話しがバンバンでてきて、しかも文系にも理解してもらおうと丁寧な説明などは一切ない小説短編集です。

「適切な愛」「闇の中へ」「愛撫」「道徳的ウイルス学者」「移相夢」「チェルノブイリの聖母」「ボーダー・ガード」「血をわけた姉妹」「しあわせの理由」の9話からなります。

読後には、あの話しってどの短編だっけ?と、文系の私にはそんなあやふやなままです。

ただのSFではなく、哲学的SF小説(坂村建氏解説)ということで、未来科学と哲学と両方を理解しなければ十分に楽しめないというのは、なかなか難易度が高いです。

理数系も哲学も得意じゃない私としては、実はそれなりには面白かったです。意外な感じ。でもそれが正しい(著者が意図した)理解と楽しみであったかは神のみぞ知るです。

理解出来た(それなりに面白く読めた)短編は、脳内の記憶をコンピュータに移し替えることで生き続けることができる「移相夢」、古いイコンを巡って殺人事件が起きる「チェルノブイリの聖母」、子供の頃に死ぬときも一緒と話し合った一卵性双子の姉妹が離れた場所で遺伝子に関係する新型ウイルスに罹る「「血をわけた姉妹」、そして表題にもなっている脳内ドーパミンや新たな脳内手術法が出てくる「しあわせの理由」。

こうしたSFを読むときは、例えサッパリわからない時でもイライラせずに、淡々と読むに限ります。そのうちボンヤリとでもわかってくるものです。サッパリわからない時もありますけど。

★★☆

            

向田理髪店 (光文社文庫) 奥田英朗

小説宝石に2013年〜2015年連載され、2016年に単行本、2018年に文庫化された連作短編小説です。

好きな作家さんで、1999年の実質デビュー作「最悪」以来、ほとんどの作品を読んでいます。

最近は「我が家のヒミツ」「我が家の問題」などの「平成の家族小説シリーズ」をチマチマと読んでいます。感想の評価はあまり高くないですが。

2019年11月後半の読書(我が家のヒミツ)
2019年7月後半の読書(我が家の問題)

この作品は「向田理髪店」「祭りのあと」「中国からの花嫁」「小さなスナック」「赤い雪」「逃亡者」の6編からなり、主人公はいずれも北海道の夕張をイメージできる、財政破綻したひなびた元炭鉱都市にある、理髪店の50代店主です。

店主の息子は都会へ出て働いていましたが、実家へ帰ってきて理髪店の跡を継ごうとしますが、父親の店主はこんなところで店をやっていても将来性はないと乗り気でありません。

そうした疲弊した地方都市での騒動がテーマとなりますが、これがまた「若者は大都市へ出て行き高齢者だらけで活気のない町」「跡取り息子の嫁のきてがなく中国の地方から」「出戻りで故郷に帰ってスナックを始めた色気たっぷりなママさん」「映画ロケに町中あげての応援とエキストラ出演」など、誰でもがすぐにこれといった産業がないくたびれた地方都市をイメージする内容で、ちょっとガッカリ。

短編で直木賞を受賞した「伊良部シリーズ」や、長編だけど「サウスバウンド」「オリンピックの身代金」のようなキレのある小説はもう出てこないのかな、、、

ちょっと期待していただけに、残念ながら最近読む著者の作品は私にとってはあまり向かない感じです。

★☆☆

著者別読書感想(奥田英朗)

            

邂逅の森 (文春文庫) 熊谷達也

私と同年代の著者が2004年に直木賞を受賞した作品で、一般には馴染みがなく、近代化で消えつつあるマタギと呼ばれる山の狩猟民を描いた小説です。

マタギとヒグマが登場した小説としては、過去に吉村昭著で実話の巨大な羆が村を襲った1915年(大正4年)の三毛別羆事件を題材にした「羆嵐」を読みました。

2015年10月前半の読書と感想、書評(羆嵐)

こちら(邂逅の森)の小説は、時代は大正末期から昭和初期の頃の話しで、世界を見ると、第一次世界大戦や、日露戦争、満州事変ぐらいの時代背景です。

小説の舞台は山形から秋田周辺の山深い里が中心で、マタギの父親から当然のように跡を継いだ少年が、様々な経験と苦難を乗り越えていく半生です。

夜這いをかけた村の実力者の娘とのあいだに子ができてしまい、実家を追い出され、マタギの仕事を失い、炭坑で働くようになりますが、やがてマタギの血が騒いで、熟練工となった炭坑夫の仕事を捨てて、再びマタギの世界へ足を踏み入れます。

医薬品として高く売れるヒグマの胆嚢を富山の薬売りに騙されて持ち逃げされたり、閉鎖的な村に住まわせてもらう条件として、女郎として売られたあとに、村に戻ってきていた女性を嫁にすることになったりします。

そして、会うこともかなわなかった、若いときの過ちで生まれた息子との出会い、その母親と息子に課せられた過酷な生活、最後に、マタギをやめるかどうか迷いつつ、ツキノワグマとの壮絶な闘い(クライマックス)と続きます。

いやー、とっても面白かった。読み進めると同時に、その場面場面の映像がリアルに思い浮かぶ内容で、もし映画になれば絶対に見たいと思います。

★★★

            

血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫) ダシール・ハメット

原題は「RED HARVEST」で初出は1929年の作品です。その後多くの出版社から翻訳版が出版されましたが、今回購入したのは2019年刊の東京創元社版で翻訳者はローレンス・ブロック作品などの翻訳で馴染みのある田口俊樹氏で、この作品では8人目の翻訳者(解説より)とのことです。

ハードボイルド小説でレジェンド的な著者ですが、この作品が長編としては記念すべき最初の作品です。この作品の内容をモチーフとした映画や小説がその後数多く作られていますが、その中のひとつに黒澤監督の映画「用心棒」があります。

そのモチーフとは、ある問題を抱えている町(村)に第三者がやってきて、その町を牛耳っている悪人達の中に入り込み、悪人同士が殺し合いをするように仕向けていくという流れです。

著者の作品では、かなり昔に代表作「マルタの鷹」を読んでいますが、その後あまり食指が動かずこの作品で2作目です。映画「マルタの鷹」はハンフリー・ボガートが主演し世界中でヒットして有名になりました。

主人公は、著者が勤務していたこともあるアメリカの大手探偵事務所ピンカートン探偵社の私立探偵で、依頼があり町へやってきます。

しかしその依頼主である新聞社CEOが、直前に殺されてしまい、依頼主の父親で、町の大物の実業家へ会いに行くと、この町に巣くう悪人達を一掃して欲しいと新たな仕事を依頼されます。

そこで、上記にも書いたように、警察官を含む悪人同士を対立させ、抗争を起こさせるように仕向けていきます。

今から90年も前に書かれた小説ながら、翻訳者の努力もあってか、古さはほとんど感じず、現代の小説と言っても通用しそうな話となっています。まったく素晴らしい。

またタフな私立探偵が自ら語っていくという一人称スタイルを取り入れ、ハードボイルド小説のひとつの形式を確立した記念碑的な作品です。いや〜面白かったです。

★★★

【関連リンク】
 9月前半の読書 空白を満たしなさい、ブラック オア ホワイト、人生を<半分>降りる
 8月後半の読書 螺旋の手術室、中高年シングルが日本を動かす、スケアクロウ、さよならの手口
 8月前半の読書 スロウハイツの神様 、幕末下級武士のリストラ戦記、降霊会の夜

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