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日本の農業はどこへ向かうか マイカーで東京から京都まで旅行する場合 ゴルフをプレイしている人の年代層割合に驚いた 世界と日本の宗教別信者数 2021年版出版社不況 客員教授と非常勤講師ってなんだ? ロバート・B・パーカー「スペンサーシリーズ」全巻まとめ 窓ガラスの熱割れで火災保険は使えるか? 天然素材でも綿はよく燃えるらしいことがわかった やっとのことでJ:COMを退会した 貯まった1円玉はどうする? 自動車整備士に未来はあるか? 液晶テレビが壊れた件 リタイア後の心配事 運転免許証取得者は意外にも増えている 著者別読書感想INDEX −−−−−−−−
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リストラ日記アーカイブ 2021年7月 読みやすいようにアーカイブは昇順(上から古いもの順)に並べ替えました。上から下へお読みください。 日記INDEXページ(タイトルと書き出し部の一覧)はこちらです |
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---------------------------------------------------------- 天文とは天から届く文(ふみ) 2021/7/3(土) 1550 宇宙のことを調べる学問、いわゆる「天文学」は、紀元前のエジプトでもみられるように、歴史だけは古い学問ですが、望遠鏡が発明されたのは17世紀でガリレオ・ガリレイがそれを使った観測をしてからになります。 当時の光学式望遠鏡のレンズ口径は数センチだったでしょうけど、400年の間に現在は10mを超える口径のレンズで空をにらみ、可視光線をつかもうとしています。
次に天体についてですが、まずは身近な太陽系です。 太陽系は太陽を中心にして水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、(冥王星)の9つの惑星を持ちますが、最後の冥王星は極めて小さい(地球の1/5)のと惑星としての要件を満たしているかどうか議論があるところです。 地球から星空を観測すると、星が集中しているように見える天の川を肉眼でも見ることができますが、天の川は正式には天の川銀河と呼ばれ、その銀河の中に我々が住む太陽系も含まれています。
もし宇宙の中で正確に住所を書くなら、天の川銀河、オリオン腕、太陽系、3番惑星地球、日本、東京…となるわけですね。 地球から太陽までの距離は1億5千万kmで、大きさ(半径)は地球の109倍あります。 恒星の中では比較的軽量級の太陽(原子核融合炉)の寿命は、およそ100億年と想定されています。 すでに46億年が経過しているので、残り50億年ほどで太陽は燃え尽き、地球など惑星を巻き込みながら消滅することになります。人の命が永遠でないように、星の命も永遠ではないということです。 どちらにしても太陽がなければ地球は今の環境を保てませんから、50億年後までには人類?は絶滅を避けるためにどこか光(熱)や酸素、水などのある地球と似た星を探して移住をしなければならないということになります。 太陽のように光や熱を出す恒星で一番近いのは、ケンタウルス座のα星の伴星プロクシマ・ケンタウリで、地球からの距離は4.3光年(約40兆km)先です。光速の時速10億7900万kmで飛ぶことができれば4.3年で到着します。 ちなみに現在のロケットが地球周回軌道を回る速度はマッハ2(2,450km/h)ですが、光速に達するにはマッハ880,000(88万)が必要です。頑張れ未来の宇宙工学者!ですね。 結局は今ある技術の延長線上ではなく、スタートレックや宇宙戦艦ヤマト(番組名で著者の年代がわかります)のように、時空をショートカットするワープ的な技術が確立しないと移住はもちろん、探査すら容易ではありません。 その他、肉眼で見える天の川銀河の恒星も、そのほとんどが数十光年〜数百光年先です。ちなみに比較的太陽系と近い場所にあり、なじみ深い北極星までの距離は430光年ですから、光速で向かっても430年の旅となります。 ということは、いま、北極星から超超高倍率望遠鏡を覗くと、地球では織田信長が安土城で敦盛を舞っているシーンが見られるわけです。 太陽系が含まれる天の川銀河(The Milky Way)にはおよそ1000億の恒星があり、次々と新しく誕生する星もあれば、逆に死んでしまう星もあります。その中には地球と同じような環境の惑星をもつ恒星が見つかるかもですね。 さらに宇宙には天の川銀河以外にもアンドロメダ銀河など、観測できるものだけでも2000億個の銀河があると言われています。観測ができない銀河を含めると推定では2兆個はあると言われています。宇宙はどれだけ広いんだ?って感じですね。 天体に興味を持ち出すとなにか際限がなく、しかも結果や到着点もないので、人生100年だけではとても足りなくて何世代にわたって、観測とシミュレーションを繰り返して仮説を積み上げていくしかありません。 日本も一見無駄とも思える少なくない予算を宇宙開発や天文学につぎ込んでいますが、こうした観測や経験を積み重ねを続けることで、いますぐの結果や成果には乏しいものの、きっと人類の未来につながっていくのだと思いました。 【関連リンク】 1460 時計を必要としない世界 1289 昼夜の時間が逆転する今日が冬至 1277 世界は広いぞ!もっと見てみたい 600 地熱発電大国への第一歩を踏み出したか? ---------------------------------------------------------- 2021年5〜6月にみた映画 2021/7/7(水) 1551 新選組 1969年 三船プロダクション 監督:沢島忠 出演者:三船敏郎、小林桂樹、北大路欣也など 新選組と言えば、子母沢寛著「新選組始末記」を原作としてドラマや映画に使われることが多いですが、こちらの映画はオリジナル脚本で、主に近藤勇にスポットをあてた作品です。 制作された時代も時代ですから、特に奇をてらった演出や新解釈はなく、「新選組始末記」に出てきたことが淡々とそして矢継ぎ早にでてくるだけです。 少し違うなと思うのは、主人公近藤勇役の三船敏郎中心の作品なので、近藤勇は人間的にもよくできた善人で、芹沢(三國連太郎)や山南(中村梅之助)、土方(小林桂樹)が脇役で小者感が強いことでしょう。三船プロ製作ですからそうなりますよね。 出演する俳優陣は一流でありながら、内容は平凡、人物描写も薄く、新選組が関わる事件や戦いも予算の都合か、あっさりしていて、見所はなかったなぁというのが感想です。 ま、東宝配給で、当時、同時上映(当時は2本立て上映が多かった)された映画が「ブラボー!若大将」ですので、この映画の位置づけがわかるというものです。 ★☆☆ 座頭市と用心棒 1970年 勝プロダクション 監督:岡本喜八 出演者:勝新太郎、三船敏郎、若尾文子 1960年代、時代劇映画で人気を二分していた勝新の座頭市と三船の浪人侍の二巨頭を共演させた大作です。 内容はちょっと複雑で、親子喧嘩、兄弟喧嘩、身売り、役人の不正、潜入捜査など盛りだくさんで、ながらで見ていては途中でわからなくなってしまいます。 で、いきなり最初に出会ってすぐ座頭市と用心棒が対決しますが、すぐお互いに「バケモノ」「ケダモノ」と呼び合う仲となり、不正に手を染める役人や村を牛耳っている商売人を懲らしめるため手を組みます。 もうひとり、江戸から呼び寄せた拳銃使いの用心棒が悪役商人の味方として途中から参戦しますが、これは三船主演映画「用心棒」(1961年)で敵役の拳銃使い(仲代達矢)との対決を彷彿させるものでした。 映画二大スターを揃え、監督は時代劇から現代ドラマまでなんでもこなせ、三船と縁が深い名監督で、カメラマンは黒澤映画を支えた宮川一夫、原作は座頭市の生みの親子母沢寛と、これで成功しなければ嘘です。 座頭市シリーズ映画26作品の中でも一番の興行成績を残したということです。 ★★☆ パットン大戦車軍団(原題:Patton) 1970年 米 監督:フランクリン・J・シャフナー 出演者:ジョージ・C・スコット、カール・マルデン 1971年のアカデミー賞では、作品賞、監督賞、主演男優賞など7部門で最優秀賞を獲得した名作巨編です。 子供の頃にテレビで見た記憶はありましたが、今回あらためて見ると、当然ながらまた違った印象になります。 主人公は、第一次世界大戦で、新たに作られた戦車部隊を指揮し、第二次大戦でもアフリカからイタリア、ドイツとドイツ機甲部隊を追いつめた第二次大戦の英雄のひとりジョージ・パットンです。 同年代で、ライバルの「砂漠の狐」こと、ドイツ陸軍ロンメル将軍との知能戦は語り草となっています。 映画では、北アフリカへ配属され、ドイツ軍を蹴散らし、シチリア島へ上陸、快進撃を見せつけますが、負傷者を収容している野戦病院を訪れた時に、恐怖で精神的におかしくなった兵隊を「臆病者!」と脅し殴ったとこで批判が強まり、しばらく謹慎することになります。 その後ノルマンディー上陸作戦、バルジの戦いなど、戦場に復活し活躍しましたが、ドイツ以外のポーランドなどまで一気に攻め落とそうと、いろいろと問題発言が多く、やがて第一線から外されてしまいます。 太平洋を受け持ったマッカーサーが、朝鮮戦争の時に、ソ連や中国の共産党が支配している満州に原爆を落とそうと主張してクビになったのとなにか似ていますね。 ★★☆ シング・ストリート 未来へのうた(原題:Sing Street) 2016年 アイルランド、米、英 監督:ジョン・カーニー 出演者:フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、ルーシー・ボイントン 英国のすぐそばにあるアイルランドの下町?の高校に通う14歳の高校生が、家のゴタゴタから札付きのワルが多い公立高校へ転校してきます。 学校の近くで偶然見かけた年上の女性に一目惚れし、声をかけますが相手にされず、思わず「ロックバンドで歌っているのでそのミュージックビデオに出てくれないか?」と誘います。 好印象を得て、それから慌てて、同級生を集め、バンドを結成し、高校の校名と発音が同じ「シング・ストリート」という名前のロックバンドを始めます。 「みんな知っている曲のカバーをやっていてはダメ」と、昔バンドを組んでいた兄にもいろいろアドバイスを受け、オリジナル曲を作り、MVのロケでは女性にも参加してもらいますが、その女性には恋人がいて、まもなくモデルの仕事をするためと言ってロンドンへ旅立ってしまいます。 さて、恋の行方とバンドの成功は、、、ということで、軽めのコメディー映画ですが、なかなかしっかりした内容で、面白く楽しめました。 ★★☆ 【関連リンク】 2021年3〜4月 おしゃれ泥棒(1966年)、海賊と呼ばれた男(2016年)、天気の子(2019年)、心の旅(1991年) 、80デイズ(2004年) 2020年11〜12月 48時間PART2/帰って来たふたり(1990年)、レディ・プレイヤー1(2018年)、こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話(2018年)、天国は待ってくれる(1943年) 2020年8〜10月 免許がない(1994年)、日々是好日(2018年)、助太刀屋助六(2002年)、ニューヨーク東8番街の奇跡(1987年)、ブリジット・ジョーンズの日記(2001年) 2020年7月 嘘八百 2018年、東京マグニチュード8.0(2009年)、深夜の告白(1944年)、知りすぎていた男(1956年)、ウエスタン(1968年) ---------------------------------------------------------- 新型コロナワクチン接種を受けながら考えたこと 2021/7/10(土) 1552 先月下旬にModerna社の新型コロナウイルス感染症mRNAワクチン「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」(武田薬品工業製)の第1回目を接種してきました。 政府は「全国民に十分行き渡るだけのワクチンを確保したから安心してね」と自慢げに言いますが、これはもちろん政治家のポケットマネーで国民にプレゼントしてくれたわけでもなく、ほとんど無用の長物だったアベノマスクと同様、結局は国民が収めた税金や国の借金(国債≒結局は後に税金で埋める)です。 東日本大震災が起きて、東北の多くの海岸沿いの町やインフラが壊滅し、さらに原発がメルトダウンしたために、多くの住人が避難し、広範囲にばらまかれた放射性物質を除染し、新たな町を元の場所に作るため、土地のかさ上げをし、海岸沿いに醜悪な巨大な堤防を延々と作っています。 それが復興のための予算だという大義名分で、復興税という新税を作り、まんまと増税することに成功しました。 東日本大震災による復興税については、震災後10年が経ち、その予算の使われ方については方々で疑問の声が上がってきています。 復興税は、2013年から2037年までの25年間、個人と法人から所得税と住民税にかかる新たな税金ですが、元々の目的は、 ・千葉県から青森県までの432キロに及ぶ防潮堤の整備 ・被災地域での高速道路の整備 ・高台への集団移転や土地のかさ上げを伴う宅地の整備、災害公営住宅の建設 ・被災地への企業誘致や中小企業の支援 ・被災者の支援 ・原発事故からの復興 などだったはずです。 しかし、「令和2年度東日本大震災復興特別会計歳入歳出予定額各目明細書(PDF)」をチラッと見ても、復興庁以外の予算がかなり多く、しかもその明細がイマイチ不明(なぜか各省庁役人の人件費や出張費などがベラボーに多い)で、うまくオブラートにくるんで誤魔化している感じがします。 下記の記事は2020年に書かれたものですが、驚くべき話しがこれでもか!ってぐらい書かれていてあきれ果てるばかりです。 税金が驚くほどムダに…大震災から9年「復興予算流用問題」を問う(現代ビジネス、福場ひとみ)
そして、今度のコロナ禍です。 今度のコロナ禍では、目に見えるものだけでもアベノマスク配布、Go to トラベル、Go to イート、Go to 商店街、特別定額給付金、持続化給付金、家賃支援給付金、月次給付金、事業継続給付金、事業再構築補助金、雇用調整助成金、IT導入補助金、休業支援金・給付金、生活困窮者自立支援金、小学校休業等対応助成金、ワクチン購入&接種関連費用、医療機器や医薬品メーカーへの補助金など、多額の予算をつぎ込み、これからもまだ当分は続きそうです。 そのような大盤振る舞いをした暁には、今後きっと、なにか大義名分を付けて、新税や増税が計られるのは目に見えています。 一方、政治家の議員定員削減や、恒久的な議員報酬減額、政党交付金削減、様々な特権廃止などは一切議論にも上がらず、そうした税金を原資とするあぶく銭が国会議員の選挙で不正な買収に使われても誰も説明しないというていたらくに国民はあきれかえると同時に耐えています。外国ならとっくに暴動ものです。 政治家も官僚も、このチャンスを見逃すわけはなく、新たな巨額マネー利権を誰がどうやって生み出して、その利権を獲得するか虎視眈々と狙っているのは間違いのないところです。 上記の復興税の歳入は年間で約4000億円で、25年間で9兆4千億円が見込まれています。それを含めた復興予算は総額38兆円と推定されています。 今回のコロナ対策費は公的支援だけでも40兆円とも言われていて、まだこれから膨れ上がるでしょう。 すると、復興税とほぼ同額を数十年間で回収するために、新税「感染病対策税」とか「国民福祉税」と名目をつけて新税がつくられても不思議ではありません。 大義名分は、日本の先端医療の維持、感染症予防対策、医療系大学や研究所への補助金、全国の保健所強化などで、あくまで名目は「国民の健康と安全のため」と言うことになります。 しかしその実は、本来の感染症対策や医療とは関係ないところ、例えば役所のIT化や、高齢化してコスト高の公務員の人件費や福利厚生などに使われるのは目に見えています。 すでに自治体にばらまかれたコロナ交付金がこんなことにも使われていたことはニュースでお馴染みでしょう。 コロナ交付金で巨大なイカの像を設置(東京新聞)
天から降ってくる巨額マネーを手にした役人は、その金を職権を利用して自分の懐に入れていた役人もいましたが、概してその使い方にも誠実とか常識という言葉は消えてしまいます。 新型コロナワクチンの大規模接種会場で、多くの人が気忙しく働いているのを見て、そんなことを思っていました。 【関連リンク】 1469 インフルエンザの予防接種を受けるか否か 1464 エッセンシャルワーカーへの感謝と憧れ 1422 ウイルスと細菌の違いなど ---------------------------------------------------------- 7月前半の読書と感想。書評 2021/7/14(水) 1553 カラー版 宇宙を読む (中公新書) 谷口義明 2006年発刊の科学・技術分野の新書です。著者は東北大学理学部天文学科卒の専門家で他にも著書がいくつかあります。 天文学や星座にはあまり興味はないのですが、それでも冬の透き通った夜空に明るく拡がるオリオン座などを見ていると、諸行無常を感じたりする普通の感性を持っています。 新書では珍しく「カラー版」として、カラー写真を使って現代の技術で捕らえられた様々な星や銀河など、わかりやすく解説してくれています。 わかりやすく、と書きましたが、実は1/3ぐらいは私には理解不能でした。 というのも、天文学で使われる言葉(用語)は一種独特で、馴染みがなく、すぐにどこかへ飛んで行ってしまって覚えられません。年齢のせいもあるでしょうけど、、、 特に星やガス雲に存在している分子ガスやら、星から発せられる電磁波の波長についてどういう特性があって天文とどういう関係があるとか書かれてもちんぷんかんぷんです。 あとは、銀河の大きさ(天の川銀河の直径は10万光年)や、ひとつの銀河に含まれる星の数(天の川の場合、太陽のような恒星だけで2000億個以上)、太陽以外の恒星と地球との距離(一番近い恒星で4.3光年≒40兆km)とか、想像を遙かに超えて何千億個とか何百光年とかの値が次々と出てきて、なにかと比較できるようなものはなく(富士山の高さは東京タワー11個分とか)、イメージが作れません。 例えば太陽の寿命はおよそ100億年で、すでに46億年が経っているので、残りは50数億年で、その後は寿命が尽きて地球を含め惑星も終わると書かれていて、「そっか50億年後に地球はなくなるんだー」と、なにか焦燥感に襲われたり、「当たり前だけど何事にも終わりがあるのだなぁ」と哲学的になったり忙しいです。 でも、これは面白いです、お薦めです。知っておいてすぐ役に立つものではありませんが、大人の教養としてなかなかキラッと光るものがありそうです。星だけに。 ★★★ 夏の情婦 (集英社文庫) 佐藤正午 過去に著者の作品を読んだと思ってましたが、調べると読むのはこれが初めてでした。本屋さんの棚でよく見かける名前でしたので、読んだことがあるとばかり思ってました。 そう言えば、著者の原作を元にした、1987年公開の映画「永遠の1/2」を見たことがあります。その時の記憶があったのかも知れません。 著者は私よりも二つ上のほぼ同年代の方で、「月の満ち欠け」で2017年の直木賞を受賞されています。 この作品は、「二十歳」「夏の情婦」「片恋」「傘を探す」「恋人」の5篇の短編集です。 どれも魅力的でしたが、特に「傘を探す」は予定調和的なコミカルな面があり、面白く読めました。 著者の出身地、佐世保が舞台と思われるものが多く、また大学を中退してアルバイトで生活していたりと著者自身の経験や思いを反映した作品となっています。 それにしてもどの短編の主人公も少しワルで女にもてて、「恋人」ではいかようにでもコントロールできる精力絶倫でという著者自身を反映しているとしたら羨ましい限りですが、小説ですから当然脚色はオーバー目ということなのでしょう。 著者としては1988年単行本、1993年文庫版という割と初期の作品で、変に手馴れたところはなく、一生懸命にマジメに書きました〜ってところが見られる文章でした。 ★★☆ 永遠の出口 (集英社文庫(日本)) 森絵都 著者の作品は以前「カラフル」(1998年)を読んでいます。2003年単行本、2006年文庫版発刊のこの作品は、小学3年生から高校を卒業するところまでの少女の青春物語?で、ちょっと還暦過ぎたおっさんが読むには無理がありました。 絵本作家としても活躍する著者ですから、子供の揺れ動く心理描写や淡い恋愛などはお手のものという感じですが、いったいこれはどういう人(読者層)向けに書いた小説なんだろう?とちょっと不思議に思いました。 甘酸っぱい自分の子供時代を思い浮かべてこの小説の主人公に感情移入しながら読むとしたら、20代〜30代の女性かなぁと思いますが、現在50歳を超えている著者の子供時代を思い浮かべて描いていそうなので、当然携帯やスマホなんてものはないし、20代の人にはなかなか想像し難そうな青春時代です。 とすると、著者と同年代付近の女性向けなのか、う〜む、よくわかりません。 タイトルは、「永遠に・・」という言葉に弱い妹が、姉からいつもからかうように「もう永遠に見られないからね」とか「永遠に食べられないから」と言われて悲しい思いをしていた子供時代から、永遠に残り続けるものはなにもないことを悟り、それでも永遠に憧れていくというファンタジー?かと思ってしまうような内容です。 主人公が高校3年生の時に、学園祭で天体ショーのガイドを務めることになり、基本的な天文の知識を学習していた時、「太陽系は50億年前にできて、50億年後には滅びる」ことを知ります。 ちょうど私も先日「宇宙を読む」を読み、同じことを知り、軽い衝撃を受けたばかりなので、なんとなく主人公がそのことで「永遠なんてないんだ」と悟ってしまうことは理解できます。 エピローグでは、高校卒業後の人生に少し触れていますが、結局はなにを言いたかった?というのはオジサンには最後までわからずじまいでした。 ★☆☆ ◇著者別読書感想(森絵都) 無人島に生きる十六人 (新潮文庫) 須川邦彦 最初に言っておきます。「これは凄い本を見つけた!」です。 著者の須川氏は、明治13年生まれ、商船学校を出て日露戦争、第一次世界大戦にも出征し、その後は東京高等商船学校など教育関係に従事されていた方です。 ここで書かれている話しは小説ではなく、直接遭難した関係者から話しを聞いて文章で起こした海洋ノンフィクションです。 無人島ものの小説や映画は数多くありますが、そのほとんどがフィクションやファンタジーもので、実際にそんなことはないだろうって思いますが、こうした(無人島で長期間生活後に生還)ことってあるのだなぁって感激しました。 過去に見た無人島映画の中で、特に印象に残っているのがトム・ハンクス主演の映画「キャスト・アウェイ」です。これはお勧めです。 個人的には夢とロマンあふれる無人島生活ものの小説や映画が大好きですが、実際の無人島生活の記録としては貴重で、しかも悲惨さはなく、希望を持って統制の取れた生活をおくり、日本人として誇らしく思える内容でした。 過去に無人島をテーマにした記事を書いています。こちらは夢やロマンではなく、実経済面での利用法提案ですけど。 無人島をもっと活用できないか? 2020/3/18(水) さて、この本について、簡単に紹介しておくと、1941年に少年倶楽部に連載され、その後何度か書籍化されていますが、最新のものは今回手に取った2003年に発行された新潮文庫です。 今から120年前、明治32年(1899年)に海洋漁業調査中の民間の帆船龍睡丸がミッドウェー近海で座礁、沈没してしまい、近くの珊瑚礁でできた小島に乗船員全員が上陸、船から持ち出せたのはわずかな食糧と備品類だけです。 小島は細長い約4000坪(正方形なら一辺115m四方ぐらいの広さ、サッカーグラウンド2面分ぐらい)で海抜は高い場所でも4mぐらい、土地は平らで木も生えていない無人島です。 水がないと生きられないのでまず井戸を掘りますが、塩気たっぷりの水しか出ず、あとは雨を帆布で受けて集めるしかなく一番苦心します。食料は、正覚坊(青ウミガメ)や、針金で釣った魚です。 そうした中で、船長を中心にして全員が規律を守り、役割を決め、24時間見張り番を立て、様々な工夫を凝らしながら、ひたすら救助を待ちます。 と言った内容ですが、無人島生活のノウハウが満載で、実際に経験した人でないとわからないことばかりです。 さて、そのような極限状態の中で、メンバーは生き残り、無事日本に帰ってこられるのか!?って、ハッピーエンドで終わりますから安心してください。 ★★★ MISSING (角川文庫) 本多孝好 「眠りの海」「祈灯」「蝉の証」「瑠璃」「彼の棲む場所」の5編からなる短編小説集で、1999年に単行本、2001年に文庫が発刊されています。 著者の作品は、過去に「チェーン・ポイズン」(2008年刊)、「FINE DAYS」(2003年刊)「MOMENT」(2002年刊)の3冊を読んでいます。 正直言うと、あまり印象に残りにくい淡々とした文章と内容で、昨年に読んだばかりの「チェーン・ポイズン」は別として、他の2作品のことはまったく覚えていません。 人の生き様、死に様やちょっとホラー?なところもあり、そうした刺激的な話しにはまると、それなりに楽しめそうですが、自殺であれ、病気であれ、交通事故であれ、話しの中で人がすぐ死んでばかりいる小説は個人的に好きではなく、この短編もそのひとつになります。 それはともかく、著者は今は天命を知る年齢ですが、この短編集が書かれたのは20代という若さで、まだ死というものははるか遠くにあり、身近ではないことから安易に扱えるのだろうと想像しますが、あと20年もすれば変わってくるかも知れません。 ただ、最近、脂がのっている頃かと思いきや、2019年以降は新刊がないようで、ちょっと心配しています。 著者別読書感想INDEX(本多孝好) ★☆☆ 【関連リンク】 6月後半の読書 騙し絵の檻、思い出袋、パンク侍、斬られて候、黄砂の籠城(上)(下) 6月前半の読書 オリジン、ゴルディアスの結び目、デフレーション“日本の慢性病"の全貌を解明する、望郷 5月後半の読書 ザ・チーム、緋色の記憶、ビット・トレーダー、王妃マリー・アントワネット ---------------------------------------------------------- スニーカーやウォーキングシューズのアウトソール 2021/7/17(土) 1554 人工股関節手術をした2016年以降、リハビリを兼ねてウォーキングを始めましたが、リタイア後も引き続き運動不足になることを避けるため、またメタボ気味になりつつあるお腹の脂肪を減らそうと毎日歩いています。 梅雨の時期は朝からずっと雨降りで、歩けない日もありますが、その分は別の日にカバーし、月間で、1日平均を6千歩を超えるようにしています。 そこでウォーキングシューズの話しです。 靴にはビジネス用、ウォーキング用、登山用など、それぞれ用途別に種類が違いますが、個人的にはブランドや形状にこだわりはありません。どちらかと言えば、ケチなので安くて丈夫そうなのをいつも履いています。 ビジネス用の靴は、リタイヤ後に6〜7足あったのを冠婚葬祭用として2足(カジュアルタイプとオーソドックスタイプ)を除きすべて処分し、今ではウォーキングシューズを普段履き(ドライブ用など兼用)として使っています。 しかしこのウォーキングシューズ、毎日履いていると、半年ぐらいで破れたり、濡れた舗装路を歩くだけで水が浸みてきたりと、長持ちしません。 ここ10年間ほどで使ってきたスニーカーやウォーキングシューズは、アシックス、ムーンスター、世界長ユニオン(ドクターアッシー)、アキレス、リーボック、ダンロップなどで、一応は名の知れたメーカー品(製造はほとんど中国など海外)を選んでいます。 例え、耐水、防水機能を唄っているウォーキングシューズ(ムーンスター、ダンロップモータースポーツ)でも、2〜3ヶ月でその防水機能は失われてしまいます。 最近は、ウォーキング中に少し筋肉に負担をかけようと、軽いジョギングを取り入れたり、公園でストレッチ(スクワットや柔軟体操)をしています。 そこで今回、軽くて通気性の良いランニングシューズと、濡れた道でも浸みてこない防水機能付きのスニーカー(ウォーキングシューズ)を通販で購入し、使い分けるようにしました。 寒い日以外の好天時にはランニングシューズ、前日に雨が降って濡れた道が残っていたり、寒い日には防水ウォーキングシューズという感じです。 しかし、靴というのは、メーカーによってクセというか仕様が異なっていて、同じサイズでも幅やクッション性能、甲の高さ、つま先の余裕、中敷きの品質などまちまちです。 今回購入した、ランニングシューズは幅が3Eということで、普段幅の広い4Eを履いていたので、サイズをワンサイズ(0.5cm)大きいものを選んだところ、結構つま先に余裕があり、これならワンサイズ上げることはなかったなと。 一方、防水機能付きウォーキングシューズは幅広4Eとあったので、そのままのサイズを購入したところ、つま先付近がキツくて長く歩くと指が痛くなってきます。うまくいかないものです、、、 本当は、お店で履いてみてから購入するのが良いのでしょうけど、「ちょっとだけ履いてみる」のと、「長時間履いて歩く」のではその感触や履き心地は経験上大きく変わってきます。 そのような割り切りで「失敗しても半年我慢すれば」という感覚で、安い通販で購入しています。 シューズであまり目を向けられませんが、履き心地の次に大切なのはソールです。 一般的に靴底は外側からアウトソール、ミッドソール、インソールの3つのソールで成り立っています。 その中でもアウトソールは地面と直接接するところで、歩きやすさに影響を与えます。 なので、お洒落なデザイン以上に、シューズでは大切なパーツです。 靴のアウトソールに使われる素材としては、
一般的に安いスニーカーやウォーキングシューズには、コスト見合いなのでしょう、合成底、ウレタン底を使ったものが多いようです。 ただ、この合成底、クッション性や耐摩耗性、防滑性、コストパフォーマンスなど、メーカーによって、どの素材と素材を混ぜてというのが秘密なのか詳しくは表示されていません。ま、知りたいという人も少ないでしょうけど。 それで、最近ではなぜかほとんど固いプラスチックのようなアウトソールがついています。 使われている合成底の素材としては、PVC(ポリ塩化ビニル)やPU(ポリウレタン)などが多いそうですが、最近時々見かけるようになったのがEVAソールと呼ばれるエチレン酢酸ビニルポリマーを使ったものもあります。 それぞれ特徴は、配合の割合などの違いもあり、なかなか判別しにくくなんとも言えません。 私も経験がありますが、PU(ポリウレタン)製のアウトソールは、長期間置いておくと加水分解しやすく、何年かぶりに出して使うとボロボロと靴底が分解してしまうことがあります。 数々のメーカーのスニーカーやウォーキングシューズを履いてきましたが、いずれも濡れたマンホールや金属製の側溝ふた(グレーチング)、建物のエントランスに多いタイル風床材の上では、何度か滑って怖い思いをしています。 見かけはゴツゴツとしていて山の岩場でも歩けそうなのに、濡れた舗装路ですらツルツル滑りやすいものもありました。そのような見かけ倒しのアウトソールが多すぎます。 防水性能を唄うぐらいなら、雨道にも強いと当然思いますが、それが大きな間違いと、実際に使ってみて初めて気がつきます。 もし防滑性能を重視するなら、見かけは少々野暮ったくはなりますが、作業用の防滑シューズを買うしかありません。 作業用防滑シューズで有名なのは日進ゴム製の「ハイパーV」という世界トップクラスのグリップ力を持つと言われるゴム素材でアウトソールを作った製品でしょう。水濡れはもちろん、油や石けん水などの上でも滑りにくいソールだそうです。 さすがゴムの専門メーカーだけあります。 この「ハイパーV」シリーズ製品は屋根の上で作業する人や、船の上、岩場、堤防で釣りをする人、料理店の厨房、医療現場等などで働く人が使うプロ向けの製品です。 また、雪や凍った道でも滑らない防滑シューズは、上記のものとは違った、スタッドレスタイヤと同様な冷たくても固くならない特殊なソールがあります。雪国では必須でしょう。 上記のスポーツシューズを販売している各スポーツ用品メーカーも、アウトソールだけ、見かけ倒しではなく、こうしたゴムの専門メーカーが開発した優れた防滑性能をもった製品を使ってくれたらなぁーといつも思います。コスト的に合わないのでしょうかね? 【関連リンク】 1543 ウォーキングを継続するための工夫 1132 歩数計とともに 543 靴はどのタイミングで捨てたらいいの? ---------------------------------------------------------- 東京オリンピック2020は誰のために開催されるのか 2021/7/21(水) 1555 いよいよ今週末7月24日に東京オリンピック2020が開会されます。すでに競技の一部(ソフトボールとサッカー)は7月22日から始まります。 コロナ禍で1年延期となり、その間に対策をし、コロナに打ち勝った証としてつつがなく開催できるかと思っていたら、結構しぶとくとても押さえ込みに成功したとは言えない不安の中での開催です。 個人的には、前回の東京五輪はまだ小学低学年で、しかも関西在住ということもあって、あまり興味がなく、親や兄弟が見ていたテレビを少し見たぐらいの記憶しかありません。 今回の開催は、関東にいることもあり、一度ぐらいは競技と表彰式を見てみたいなと思って、観戦チケットに応募したところ、新国立競技場でおこなわれる女子サッカーの決勝戦&表彰式のチケットが当たり楽しみにしていました。 小中学生だけに観戦を許せば良いとか勝手なことをほざいている情報番組キャスターもいましたが、今の10代、20代であれば、今後日本国内で開催されるオリンピックを観戦する機会はきっとあるでしょう。 しかし、今の50代以上にとってはこれが最後の国内でおこなわれる夏のオリンピックで、逃すともうチャンスはないでしょう。それならば、小中学生ではなく、すでにワクチン接種をした、そして投票率が圧倒的に高い高齢者を無料招待でもしておけば、レームダック状態の政権は人気が高まり秋の衆院選は有利になるでしょう(皮肉です)。 それが、結果的には無観客となり、当然ながら大会関係者でもない一般庶民の席はなかったことにされてしまいました、トホホです。 せっかく間に合うように急いでワクチンも打ちましたが、そういうことは関係なく、一方的、政治的な対応で腹も立ちます。ワクチン2回接種者はリスクは大幅に減るのですから無条件に入場OKすれば良いのにね〜 ま、そこはアンガーマネジメントを実践し、入場できない怒りは抑えましたが、結局、東京オリンピックはテレビで見よう!とかワケのわからない話しになっています。 1386 つまらない怒りは身を滅ぼす 2019/11/27(水) テレビで見るオリンピックなら、様々な道路規制や、大会が終われば無用の長物化してしまう五輪遺産、世界中から持ち込まれるだろう変異型ウイルスの国内拡散など迷惑なだけですから、よその国でやってくれ!まだ一度もオリンピックをやってなくやりたい国もあるのだから、そういう国でやってくれ!あるいはどこか無人島にでも集めてやればいいじゃん!と思うのは私だけではないでしょう。 無観客となり、テレビの視聴率があがりそうです。 テレビ中継でメリットがあるのは、民放なら放送局と広告主、代理店でしょう。視聴率は確実に上がります。しかも主催者までが「テレビで見よう!」と宣伝してくれます。 つまり、この点で考えれば、五輪の開催は、テレビ局や広告主(スポンサー)、代理店のために開催するということが言えます。 次に、競技者(選手)からすれば、4年に一度の大きな大会ですから、そこに出場し、成績を残すことで大きな成果が得られます。 競技によってはメダルを取れば国や団体から賞金が出ることもありますし、国の英雄になれることもあります。 少なくともメダルを取れば名前はその国の中では全国区となり、現役を引退した後のバラ色の道も開けてくるのは間違いないところです。 そういうことから考えると、オリンピックは競技者のために開催するということも言えそうです。 次に主催者のIOC国際オリンピック委員会、その下のJOC日本オリンピック委員会は、今回のコロナ禍での開催については、少なくともスポンサー協賛金や、テレビ放映権などの収入があり、黒字にできるかどうかは微妙ですが、少なくとも、中止よりは収入が得られて一息つけそうです。 なので、IOCとその傘下のJOCのために東京五輪は開催されると考えることもできそうです。 そして、開催国の日本、開催都市の東京都ですが、どちらも金銭面、運営面、入国者対応、VIP・ゲスト対応など、大きな負担を背負うことになり、いっそ返上したほうがいいと思っている役人や関係者も少なからずいると思います。 ただ、大会関係者や政治家の中には、この最大規模のプロジェクトをここまで進めてきたというプライドが捨てられないということはあるでしょう。 特に高齢者中心の政治家や大会役員の多くは、もう二度と東京でオリンピックが見られるという機会はやってこないでしょうから、意地でも開催したいと思っているでしょう。 そうした、税金を私物化してもなんら気にしない人達のために東京五輪が開催されると言えるのかも知れません。 結局は、開催国の関係者以外の国民にとって、数少ないメリットである五輪を生で観戦したり、世界最高のアスリートと直接触れ合えるような機会は閉ざされてしまい、自国で開催するメリットはなにもないってことがわかります。 【関連リンク】 1469 インフルエンザの予防接種を受けるか否か 1440 東日本大震災関連小説とコロナ禍後 1067 平均給与は下がり、税金や社会保障費の負担は増え続ける現実 487 ぼったくりの税金天国 ---------------------------------------------------------- 寝たきりの人はどのぐらいいるのか 2021/7/24(土) 1556 寝たきりの人や、そうでない人も含め要介護者・要支援者の人数は、介護保険がはじまった2000年4月の時点で218万人だったのが、2021年は684万人と3倍以上に大きく増加しています。 高齢者数が伸びているので、一定の割合で介護が必要な人数が増えるのと、介護保険の理解が進むことで加入者が増えていきます。 前期高齢者65〜74歳の要介護者は495千人で介護保険加入者人口に占める割合は2.9%、後期高齢者75歳以上の要介護者は4,137千人で23.0%となっています。 やはり、年齢が高くなるにつれて、介護の必要性は加速度的に増えていくことがわかります。 要支援、要介護の対象者には様々なレベルがあり、必ずしも要介護=寝たきりというわけではありませんが、他の先進国と比べて、日本では寝たきりの人が多いという統計があります。 一般社団法人日本慢性期医療協会会長武久洋三氏2017年講演会資料より抜粋 なぜ、寝たきりの人が多くなっていくのかと言えば、多くは寿命の長期化でそれだけ高齢者が増えていることと、医療の進歩で簡単には死なない、死なせない医療が施せるようになってきていることが言えるでしょう。 その他にも、軽々しく書けない大人の事情?というものがあることも知っています。例えば徘徊や暴力行為が多い認知症患者や精神疾患患者の場合、おとなしくベッドで寝ていてもらったほうが、介護をする周囲が助かるというような事情などです。 寝たきりの人が増えることで、国も自治体も病院も個人も様々な大きな問題を抱えます。 寝たきりで自分で自由に動けなければ、基本的には24時間介護が必要で、家族や、病院、療養施設などの負担は大きくなります。 病院や療養所で療養中の寝たきり患者の場合、本来ならコロナ感染者のように緊急で治療、療養が必要な医療用ベッドや施設が長期間占有されていると、緊急時にすぐに使うことができず、適切な治療ができません。 さらに長期入院の場合、入院費や治療費のため、国(医療保険)と個人の医療費負担が増えます。 最近も洪水や土砂崩れなどが起きましたが、災害などが起きたとき、あるいは起きそうで避難が必要となれば、自宅で療養中の寝たきりの患者は誰かが複数名で避難を手伝わなければなりません。老老介護に任せておけないのは言うまでもないことです。 ご近所さん同士で助け合いと言っても、周囲に住むのは似たような高齢者ばかりで、寝たきりの人を担いで逃げることができる人がいるとは思えません。自治体(警察、消防、保健所)や町内会の役割がより一層重くなっています。 自宅で療養の場合、せめて食事(嚥下)や排泄、ベッドから降りて立ち上がることが自力でできれば、車椅子などを利用して自力、あるいは老老介護でも日常生活にそれほど負担をかけませんし、災害が起きそうなときの避難行動も容易です。 そこで、寝たきりの人数(推移)はどのぐらいの人数なのかと調べましたが、明確な数値が見つからず、また、一口に寝たきりと言っても、高齢者だけでなく、少数ですが若年層、中年層の場合もあり、65歳以上が対象になる介護保険の認定数だけでは把握できません。 また認知症や重度精神疾患のように、寝たきりではないものの、要介護3以上の寝たきりと等しい(あるいはそれ以上の)対応(介護)が求められるケースも増えています。 ここではとりあえず、介護保険(従って65歳以上の高齢者対象)加入者のデータから、寝たきり人数を推定してみます。 介護認定の中で、寝たきりに近いのは要介護3以上です。もちろんそうではないケースも多々あるかと思いますが、ここでは一応それを基準とします。 要介護3とは、 (1)見だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話が自分ひとりでできない。 (2)立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作が自分ひとりでできない。 (3)歩行や両足での立位保持などの移動の動作が自分でできないことがある。 (4)排泄が自分ひとりでできない。 (5)いくつかの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。 が一定の基準だそうです。 この要介護3から一番高い要介護5までの合計人数は、 2009年 1,833千人 2018年 2,220千人 2021年 2,349千人 となっています。 およそですが、この235万人というのが、現在(2021年)の寝たきりの人数と解釈してもそう大きくは外れていないでしょう。 65歳以上の高齢者数は、およそ3600万人ですから、その中で6.5%が寝たきり状態ということです。 しかし人口のボリュームゾーンである団塊世代がすべて後期高齢者に入るのが2025年で(2025年問題と言われています)、そこから加速度的に要介護が必要となることを考えると、これからまだまだ寝たきり人口は増えていきそうです。 2040年頃の65歳以上高齢者数はおよそ4000万人と予測されており、その6.5%が寝たきりになるとするとその数は260万人で、現在より1割ほど増えることになります。 そして団塊世代の介護が終わる頃には、次の団塊ジュニア世代の介護が始まり、2050年頃には日本の高齢化がピークを迎え、その介護が終わる2060〜2070年頃まで、要介護人口は増えていきそうです。 寝たきり問題の解決は、寝たきり患者を他の先進国並みの今の2割程度(250万人→50万人)に下げることが一番で、そのためには、医療以上に、日常生活するための機能を改善させるリハビリ、理学療法に国を挙げて力を入れていくことが求められます。 つまり、従来の医療の先にリハビリがあるのではなく、医療とリハビリを対等にして、機能回復を前提とした医療行為であり、医療方針の決定には理学療法士も加わっていくような態勢作りが求められています。 私は5年前と4年前に人工股関節手術をおこない、その後1週間ほど理学療法士とリハビリをおこなった経験がありますが、そのリハビリ室で、同様に人工股関節手術をした後、「私は歩かない、車椅子でいい」と、頑として歩く練習を拒否していた高齢女性がいました。 そうした、高齢者の思い込みやわがままをどうやって説得し、つらいリハビリを納得してもらい、機能回復させていくのかなど難しそうな問題はいろいろありそうですが、それをやっていかないと、日本の介護はもちろん、医療も、財政も、そして個人の文化的な最低限度の生活も失われてしまいそうです。 その他にも薬漬けの体質(患者側も医者側も)の改善や、特に認知症患者で徘徊や暴力を防ぐために悪意はなくとも寝たきり状態へ誘導する(したい)介護現場、規則上長期入院ができないと病院を転々とさせるような規則と無責任な医療機関など、あらためるべきこと、考えることは他にもいくらでもありそうです。 【関連リンク】 1043 親の介護は行くのか呼ぶのか 999 覚悟の地方移住か都市部で介護難民か 946 介護人材を増やす 876 介護にまつわるあれこれ ---------------------------------------------------------- ビジネスダイアリー資産 2021/7/28(水) 1557 仕事をリタイアしてからビジネスダイアリー(手帳)を持つことがなくなってしまいました。 別にGoogleカレンダーがあればそれでいいんじゃない?ということですが、昭和の人間としては、手書きで、ちょっと気になったことや感じたことをメモしておける紙のダイアリーが好きでした。 引退後も持とうかと思いましたが、仕事をしているときから比べると、会議の予定とメモとか取引先との商談メモなどは当然なく、書き込みがおそらく1/10以下になってしまいそうと思って今は使っていません。 Googleカレンダーはリマインドや予定時間通知などが便利なので、現役時代からずっと使い続けていますが、それも今は中身がスカスカで、散髪の予約とか、大型ゴミ(月2回)の予定日とか、生活費の振り込みリマインド、家族の誕生日などに限られ、あまり使っていると言えません。 思えば、42年間ほどの現役生活を送ってきたので、40冊以上のダイヤリーを使ってきたことになります。 新入社員の頃は、スケジュールは小型の手帳、その他メモは会社に置いてあった普通の罫線が引かれたノートと併用して使っていましたが、いろいろと覚えないといけないこと、会議メモなど書いておくことが多く、手帳とノートに別れてとっちらかるので、2年目以降は大きめのダイアリーを使うようにしてきました。 過去、一番多く使ってきたのがオーソドックスなB5かA5サイズの能率ダイアリーで、自由に書ける白紙ページが全体の半分以上を占めるダイアリーです。 一時期には、ファイロファックス(filofax)のシステム手帳がやたら流行ったときがあり、それを持っているだけで「デキるビジネスマン」風の演出ができましたが、その手には乗らず、地道なダイアリーを買い続けました。 実際には毎年12月に入ると、書店でビジネスダイアリーのコーナーが作られますので、そこでいろいろと比べ、時には高橋のダイアリーに浮気をしながら選んでいました。 そして年末の仕事が一段落し、気分が晴れたときに、ダイアリーの引継ぎをするため、大事なことを新しいダイアリーへコツコツと書き写していくというのが年中行事でした。 思えば、そのダイアリーだけではメモ書きのページが足りなくて、コピー用紙を折って、ページに挟み込み使っていた年が数年間ありました。いや〜その時はめちゃ仕事してたのですね〜 平成生まれの人にとっては、そうしたアナログツールは、仕事効率の悪さや、手書きのかっこ悪さ、検索の不自由さなどから過去の遺物扱いされそうです。 しかしアプリやソフトのメールやスケジュールは、提供企業の都合や景気に左右され、サービス停止になって使えなくなったり、理不尽にも有料化されてしまったりすることがあり、また企業のアカウントで使っていたサービスだと転職や退職したらすぐに使えなくなってしまいます。 私が新入社員の頃にはまだパソコンはなく、しばらくしてから導入が始まりましたが、その時の定番ソフトは一太郎とロータス1.2.3でした。 その後、マイクロソフトワードやエクセルが主流になりますが、当時、一太郎の表組みなど含む膨大な文章をワードに変換するのはなかなか上手くいかず、作り直した方が速い!ってこともあり、結局は一太郎やロータス1.2.3で作ったデータ資産の多くは世の中の潮流の中で消え去っていきました。 メールやスケジューラーも過去に国産、外国製、Webツール、それぞれ数多く出てきて、そのうちのいくつかを使ってきましたが、アプリやソフト、webサイトの栄枯盛衰で、過去の資産はほとんど捨てざるを得ませんでした。 無料で使えるGoogleスケジューラーも、今は使いやすくて便利ですが、もし将来Googleの経営が傾いたり、どこかに買収されたり、身勝手で強欲な経営者がトップに就いたりしたら、今のまま使い続けられるか保証の限りではありません。メールも同様です。 その点、ダイアリーは、その年別にキチンとそのまま手元で保管でき、何十年後でもすぐに見ることができます。データ変換作業も何時間もかけてバックアップしておく必要もありません。 若いときには、そんな何十年後に古い情報が必要か?って思うでしょうけど、どこで誰と会ってなにをしたというのは結構役立ったりすることがあるのです。 もちろん仕事だけではなく、なにかの記念日や、高額商品の購入など、軽い日記的にも使えます。 一期一会、人と人との関係を大事にする昭和時代の人だからかも知れませんが、「あの時、あの人とはこういう話しをした」ということをすべて記憶しておくのは大変ですが、覚え書きとしてダイアリーに書いておけば、いつでもその時の記憶を取り戻せます。 会社において、会議の場で、私のようにダイアリー兼メモ帳をもって出席していた人が年々少なくなっていましたが、業務効率やペーパーレスなどと言う前に、自分の未来資産としてのダイアリーをもう一度見直しても良いのでは?と思っています。 【関連リンク】 1379 おそらく最後になるビジネスダイアリー 1264 新入社員が真っ先に電話に出ることの意味 1216 新卒学生の就職先選定の条件 450 師走の恒例行事 ---------------------------------------------------------- 7月後半の読書と感想、書評 2021/7/31(土) 1558 生きて帰ってきた男――ある日本兵の戦争と戦後 (岩波新書) 小熊英二 大戦末期、19歳で徴兵され満州に渡り、その後すぐに敗戦でシベリアに抑留され、終戦から3年後に帰国がかなった父親の半生を、著者(社会学者)がインタビューしてまとめた新書で、2015年に発刊されています。 あとがきにも書かれていますが、この作品の特徴は、 1)戦争前、戦争中、入営、敗戦後、帰国後の10代から80代までの長期的な精緻な記録 2)士官など幹部が自分を飾り自慢げに話す内容ではなく最下層に近い一兵卒の実話 で、幼いときに母親を亡くし、小学生時代に地方の貧困家庭から、祖父母が住む東京の家に出され旧制中学の早稲田実業へ進みますが戦況が悪化し早期卒業、軍需企業の富士通信機(現富士通)へ就職するも、19歳で徴兵され満州の関東軍へ配属されます。 様々な運にも恵まれて、シベリア抑留から3年後に帰国することができますが、本書に書かれている、ドイツ軍が捕虜にしたソ連軍兵士の死亡率は6割、逆にソ連軍に捕虜にされたドイツ軍兵士の死亡率は3割、日本軍の捕虜になった英米軍捕虜の死亡率は27%という中で、ソ連軍の捕虜となった(抑留された)日本軍兵士の死亡率は10%(64万人中約6万人が死亡)という客観的な数字には驚きました。 ここでは触れられていませんが、日本軍に捕虜にされた中国人(兵)の死亡率を想像すると背筋が凍る思いです。 著者の父親も、なにかにつけて新兵イジメやストレス発散のために部下を殴るのが常態化していた日本軍に比べ、ソ連兵に殴られたのは、野菜を盗んで収容所に持ち帰ろうとして見つかったときの1回だけで、シベリア抑留はつらいが「日本軍よりソ連軍のほうがずっとマシ」という感想を述べています。 そのように、よくあるやたらと美化した戦争体験談ではなく、病気になっても肉体労働を免除されず、極限状態で厳しい環境に置かれた下層兵士たちが、帰国後には将校のように軍人恩給が支給されることもなく、共産主義思想に染まって帰って来たと噂され、仕事探しにも苦労します。 そして戦争責任があるはずの戦犯たちが、その後臆面もなく政治家になり、再軍備を進めていく日本に憂いを持ちつつ、家族のため、生きるため、戦友のために必死に働き、活動していく姿にはうたれます。 ちょっと新書としては長い(380ページ)ですが、良心を持った日本人なら読んで損はないノンフィクションだと思います。 ★★★ 震源 (講談社文庫) 真保裕一 1993年に単行本、1996年に文庫化された28年前のやや古い作品で、3.11の前に書かれた火山や津波、地震など気象や海底火山などに関係した陰謀渦巻くミステリー小説です。 著者の作品は好きで、硬軟まじえて過去に結構読んでいます。 ◆著者別読書感想(真保裕一) 「天魔ゆく空」「覇王の番人」など歴史小説も好きですが、この作品のようないわゆる「公務員(小役人)シリーズ」も好きです。 小役人ってなにかバカにしたような言い方に思えて好きではないので、私の中では公務員シリーズです。 タイトルと、主人公が気象庁職員といので、こりゃ石黒耀著「死都日本」や高嶋哲夫著「M8 エムエイト」のような地震か火山関連の小説だろうと読み始めましたが、裏切られました。 気象台の仕事は表にあまり出てこないのでよく知りませんでしたが、途切れることがない24時間365日の観測とシミュレーションなどを通じて、マスコミへの対応や大学など学術界との連携など、地味な仕事が日々連綿と続けられています。 その気象庁福岡気象台に勤務する主人公が、先輩が起こしたミスに自分が関わっていることを悩みますが、その後、その先輩は左遷先で誰にも理由を告げずに退職、疑念をもった主人公が調べて行くとやがて国際的な陰謀に巻き込まれていくというストーリーです。 そう言えば、「ホワイトアウト」では、いち公務員が、ひとりで巨大ダムを人質にしたテロリスト集団と対決しましたが、こちらも同様に海上保安庁や内閣情報調査室、外人スパイなどを相手に立ち回る公務員ハードボイルドと言っても良さそうです。 文庫で630ページという長編ですが、サクサク面白く読めました。 ★★☆ ◇著者別読書感想(真保裕一) もらい泣き (集英社文庫) 冲方丁 2012年に単行本、2015年に文庫化されたショートショート的なエッセイというか自分で集めたり経験した泣ける話集です。 元々は「小説すばる」で2009年から2011年にかけて連載していた30数回分をまとめたものです。 んー、、でも、どれも個人的には泣け話しではなく、様々な人の不思議?な経験談を小説家のテクニックを使って架空の話しっぽくうまくまとめた?という感じです。実話が元にはあるのでしょうけど。 最初は「怒り」をテーマに書こうと思ったそうですが、「怒り」は単純すぎて連載していくのは難しいと判断し、「泣ける話」に落ち着いたそうな。 そこで周囲の仕事する人や知り合いなどに「泣ける話」を聞いて回って、個人が特定できないよう、性別を変えたり、仕事を変えたりして文章にしたものです。 唯一楽しめたのは「爆弾発言」で登場してきた話しで、空気をまるで読まない爆弾発言をして空気をすっかり入れ換えてしまう人の話し。その爆弾発言女が最後に著者の妻だというのには泣くどころか笑ってしまいました。 やっぱり著者の作品は、「天地明察」や「光圀伝」のような歴史長編小説が好きです。 ★☆☆ ◆著者別読書感想(冲方丁) 時砂の王 (ハヤカワ文庫JA) 小川一水 著者の作品を読むのは今回が初めてですが、SF小説を得意とする作家さんで2020年には「天冥の標シリーズ」で日本SF大賞、星雲賞日本長編部門を受賞されています。この「時砂の王」は2007年に出版されています。 SF小説で、地球や人類を救うため、未来の人類から、地球にETが来襲する前に、撃退する備え訴えるために人造人間メッセンジャーを過去に送り込みます。シュワちゃんの映画「ターミネーターシリーズ」みたいな感じですかね? その人造メッセンジャーが送り込まれる時代がまだ人類が出現したばかりの紀元前だったり、卑弥呼が邪馬台国を支配する時代だったり、第二次大戦の頃だったり様々で、ちょっと混乱しがちです。 しかも、歴史を変えると、その将来も変わってしまうので、なおややこしい限り。パラドクスですね。 正史では敵対していた1940年代のドイツ軍とソ連軍が協力してETとの戦争をしていたり、大日本帝国とフランス軍がやはり協力してETを迎え撃っています。 しかし未来の戦争ではこうした人造人間、非人類同士の戦いがメインになるのだろうなと思わずにいられません。 そりゃそうです、機械ロボットであれば、設備と材料さえあればいくらでも製造できるし、食料や酸素も必要としません。なんらかの動力が補充でき、ある程度の故障の自己修復が可能であれば、完全に破壊されない限り何万年でも活動できます。 痛みや恐怖心もなく、気圧や重力で失神したりもしません。AIが発達すれば、自分で考えて冷静に自立行動や仲間との連携活動も可能です。 それを考えると、なんと人類というのはもろくて弱い存在なのかって哲学的に考えてしまったり。 あまりSFは読まないのですが、時々読むと、なかなか優れた作品も多そうです。 ★★☆ 【関連リンク】 7月前半の読書 宇宙を読む、夏の情婦、永遠の出口、無人島に生きる十六人、MISSING 6月後半の読書 騙し絵の檻、思い出袋、パンク侍、斬られて候、黄砂の籠城(上)(下) 6月前半の読書 オリジン、ゴルディアスの結び目、デフレーション“日本の慢性病"の全貌を解明する、望郷 |
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