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日本の農業はどこへ向かうか マイカーで東京から京都まで旅行する場合 ゴルフをプレイしている人の年代層割合に驚いた 世界と日本の宗教別信者数 2021年版出版社不況 客員教授と非常勤講師ってなんだ? ロバート・B・パーカー「スペンサーシリーズ」全巻まとめ 窓ガラスの熱割れで火災保険は使えるか? 天然素材でも綿はよく燃えるらしいことがわかった やっとのことでJ:COMを退会した 貯まった1円玉はどうする? 自動車整備士に未来はあるか? 液晶テレビが壊れた件 リタイア後の心配事 運転免許証取得者は意外にも増えている 著者別読書感想INDEX −−−−−−−−
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リストラ日記アーカイブ 2021年1月 読みやすいようにアーカイブは昇順(上から古いもの順)に並べ替えました。上から下へお読みください。 日記INDEXページ(タイトルと書き出し部の一覧)はこちらです |
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---------------------------------------------------------- 蔵書書籍3200冊のタイトル分析 2021/1/2(土) 1498 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。 コロナ禍の外出自粛を利用して、自宅の書籍を整理していましたが、昨年中にほぼ終えて少し綺麗にまとまりました。 ついでに、データ化もしている3200冊の書籍タイトルから、よく使われている「語」と「ワード」を調べてみました。 3200冊ぐらいだとビッグデータとはとても言えませんが、私自身の趣向や流行などもわかるかな?と思っての作業です。 まずは、3200冊の書籍(小説、新書、ノンフィクション、伝記、ビジネス書、詩集、自己啓発本など多種多様)のタイトル一覧を作成します。 その一覧から、「漢字一語」、「熟語」、「カタカナ語」で出現数が多いものを並べてみました。 但しタイトルに付随する「上巻」「下巻」などによく使われる「上」と「下」と「巻」は頻出するので、除外しました。 それぞれの結果です。
漢字1字では「人」がダントツです。 「日本人」「大人」「他人」「人間」など新書でよく使われている上に、「人類資金」「運命の人」「奇面館の殺人」「異邦人」「人斬り以蔵」など小説にもこの字はよく出てきます。 漢字1字の次点が「日」でその次が「本」なのは、やはり「日本」という熟語が多いことでしょう。 4番目が「夜」なのは、小説によく使われている漢字で、「夜の国のクーパー」「戒厳令の夜」「夜のピクニック」「夜と霧の隅で」「夜より暗き闇」「暗夜行路」「銀河鉄道の夜」など多くのタイトルに使われています。逆に「朝」はランク外です。 漢字2〜3字では、1位「日本」、2位「物語」、3位「殺人」となっています。 「日本」は新書でよく使われる熟語で、「日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか」「日本農業への正しい絶望法」「日本を創った12人」「中高年シングルが日本を動かす」「中国化する日本」など多くの新書で使われています。 また小説でも「「日本興業銀行」「死都日本」「日本国債」などに見つかります。 第2位の「物語」は、「帝都物語」「遠野殺人物語」「国盗り物語」「カンタベリー物語」など小説に多く使われています。 第3位の「殺人」はミステリー小説の十八番のタイトルで、「秋田殺人事件」「恐山殺人事件」「熊野古道殺人事件」「占星術殺人事件」「殺人症候群」「殺人鬼フジコの衝動」「長い長い殺人」「雨の殺人者」などがあります。 第4位の「小説」では、「ノボさん 小説正岡子規と夏目漱石」「二流小説家」「犯罪小説家」「小説・秒速5センチメートル」「小説・震災後」「小説巨大証券」など、タイトルにノンフィクションではないことを明らかにする意味で小説を付けるケースが目立ちます。 第5位の「時代」は、新書によく出てくるキーワードです。「大学大倒産時代」「定年前後の「やってはいけない」人生100年時代の生き方、働き方」「衆愚の時代」「「意識高い系」という病ソーシャル時代にはびこるバカヤロー」「若者殺しの時代」などがあり、小説でも「恋愛時代」「青の時代」などあります。 カタカナ第1位は「アメリカ」で、新書やビジネス書、エッセイによく使われるワードで、「超・格差社会アメリカの真実」「アメリカ素描」「ルポ貧困大国アメリカ」などがあります。 カタカナの第2位「ブラック」は新書でも小説でもよく使われています。「ブラック・ダリア」「ブラック企業、世にはばかる」「ブラック・ハート」「ブラックボックス」など。 カタカナ第3位の「ムーン」はちょっと意外でしたが、「ムーン・パレス」「ウィンター・ムーン」「バッドラック・ムーン」など外国小説のタイトルによく使われています。日本の小説にも「ダーク・ムーン」がありました。 さて今年はどんな年になるのでしょう。そろそろコロナ禍の中の社会を描いた小説やノンフィクションが出てきそうです。 【関連リンク】 1476 蔵書の著者別冊数上位45位まで 2020/10/17(土) 1281 毎年書籍や雑誌はどれぐらい出版されているか 2018/11/24(土) 1219 2800冊の蔵書について(1) 2018/4/21(土) ---------------------------------------------------------- 2020年11〜12月に見た映画 2021/1/6(水) 1499 48時間PART2/帰って来たふたり(原題:Another 48 Hrs.) 1990年米 監督:ウォルター・ヒル 出演者:エディ・マーフィ、ニック・ノルティ 1982年の映画『48時間』が好調だったことから、その続編として8年ぶりに製作された、今から30年前の映画です。 その第1作も以前見ましたが、エディ・マーフィによるエディ・マーフィファンに贈る作品という感じで、日本で言う人気アイドル歌手が主演する映画のようなイメージに思えました。エンタテインメントとしてはさすがに優れています。 もちろんエディ・マーフィはアイドル歌手ではなくプロの売れっ子俳優ですから、立派な演技者ですが、どうも映画制作の周囲にいる人達が、彼をマイノリティ達のアイドル化したいのかなぁって気がします。 今回もその様相に変化はなく、エディと白人の刑事がお互いに反発をしながら、結局は二人で仲良くタッグを組み、悪役と対決するといういつものパターンで、珍しかった1作目と違い、凸凹コンビの掛け合い漫才?に感動することもなく、予想通りの展開で、悪の元締め陰のボスも早々に想像がついてちょっと退屈かも。 同じようなスタイルだったマイノリティのジャッキー・チェンと白人警察官が嫌々コンビを組んで、ジャッキーの超人的な働きで巨悪をやっつけるというストーリーと基本は同じだなぁと思った次第です。 ★☆☆ レディ・プレイヤー1(原題:Ready Player One) 2018年米 監督:スティーヴン・スピルバーグ 出演者:タイ・シェリダン、オリヴィア・クック、ベン・メンデルソーン SF映画というジャンルですが、ゲームやアニメのファンが楽しめる内容です。 というのも、場面の多くはヴァーチャル世界での戦いがメインで、そのアバターとしてはアニメのヒーローが多く登場します。よくそれらの版権?著作権?をクリアできたものです。 ざっと言うと、ガンダム、メカゴジラ、アキラに登場する金田のバイク、マッハ号、キングコング、バットマン、ロボコップなどなど。私自身はあまりゲームにもアニメにも興味がない人なので、それぐらいしかわかりませんが、実際はその何倍ものキャラクターが出ているようです。 Wikimediaには、原作の小説ではウルトラマンも登場したそうですが、この映画では著作権の関係で登場させられなかったと書かれていました。やっぱりそういう障害もありますね。 とにかくSFですから、何でもありでハチャメチャですが、よく知ったキャラクターが出てきたり、街の中にロゴがチラッと映ったりするだけで、それなりに楽しめます。 映画の舞台は、2045年のアメリカで、今から25年後という設定ですが、もうこの年代になると、世界はボーダレス状態で、「どこ」という場所は無意味でしょう。 また映画にはドローンも活躍しますが、スラム街では相変わらずガソリン車が走っていました。世界中、2030年頃からはすべて電気自動車に変わっていきますので、その15年後にはガソリン車は極めて少ないか貴重品でしょうね。 ★★☆ こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話 2018年松竹他 監督:前田哲 出演者:大泉洋、高畑充希、三浦春馬 渡辺一史氏のノンフィクションを元にして映画向けのエンタメ要素を加え脚本が作られた映画です。 筋力が徐々に衰える進行性筋ジストロフィーという難病患者を主人公に、それを支える家族やボランティアの日常を描いています。 本来はひとりでは生活ができず、病院や施設などで24時間看護、介護が必要ですが、患者本人の強い意志で「自立生活」を求め、生活保護を受けて、実家を出て生活を送っています。 介護は自ら集めて訓練をしてきたボランティ達で、その中に別の主人公となる二人のカップルがいます。 実は同時期にその映画にもなった同名の小説を読んでいます。 ◆12月後半の読書(こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話) 主人公の患者役には大泉洋が見事な演技で、見る人をグイグイと中に引き込んでいきます。真夜中にバナナを買いに走らされる高畑充希も素直な良い演技でした。 「障害者だから我慢を強いられる」「人にお世話になることを申し訳なく思う」「やりたいことができなくても当然」という、過去(現在でも?)の常識をことごとく打ち破り、「障害者も健常者と平等なはず」「できないから人に頼むのは当たり前」というノーマライゼーションを世に広めていくことになります。 映画の中にも出てきますが、地下鉄などの駅にエレベーターが設置されてきたのも、こうした身障者からの長く粘り強い要望があってのことで、それの恩恵は障害者だけでなく、高齢者やベビーカーを押す人達にも大きな恩恵があります。 タイトルも、「自分でできないから遠慮なく人に頼む」という、不思議ではない無茶ぶりを象徴したものです。 ★★☆ 天国は待ってくれる(原題:Heaven Can Wait)1943年米 監督:エルンスト・ルビッチ 出演者:ジーン・ティアニー、ドン・アメチー、チャールズ・コバーン 一応コメディ映画という範疇に入っていますが、クスッとでも笑えるシーンはほとんどなく、1930〜40年代のニューヨークを舞台に富豪一族の長子として生まれた男性の、口のうまいプレイボーイの一代記って感じです。 コメディ要素があるのは、人が亡くなったあと、その人が行くのが天国か地獄かを決める場所が最初と最後に出てきて、主人公が死後にその判断をする日本流で言えば閻魔大王の前で、自分がいかに悪人で地獄行きは仕方がないというその一生を語るというスタイルだからでしょう。 しかし過去に同じようなことを何度も書いていますが、この映画が公開された1943年の前後と言えば、欧州ではドイツと、太平洋では日本との激しい戦闘中で、戦争とはまったく無縁のこうしたコメディ映画が普通に制作、公開されていたというのが凄い国です。 太平洋戦争前の1936年に制作公開されたオールカラー巨編「風と共に去りぬ」を上海で見た日本人が、「こんな映画を作る国と戦争しても勝てるわけはない」と思ったという回想録を読んだことがありますが、ガダルカナルの撤退戦中の日本軍に、爆弾ではなくこの映画を投下して天皇や大本営の偉いさんに見せてあげれば、もっと早く円満に終戦できたのかもしれません。 ★★★ 【関連リンク】 2020年8〜10月 免許がない(1994年)、日々是好日(2018年)、助太刀屋助六(2002年)、ニューヨーク東8番街の奇跡(1987年)、ブリジット・ジョーンズの日記(2001年) 2020年7月 嘘八百 2018年、東京マグニチュード8.0(2009年)、深夜の告白(1944年)、知りすぎていた男(1956年)、ウエスタン(1968年) 2020年5〜6月 海外特派員(1940年)、黄金狂時代(1925年)、殺人狂時代(1947年)、真珠の耳飾りの少女 (2003年)、お早よう(1959年) ---------------------------------------------------------- リス天管理人が2020年に読んだベスト書籍 2021/1/9(土) 1500(祝!1500回) 昨年1年間は、仕事を辞めたこと、コロナ禍で在宅時間が長かったこともあり、読書量が一気に増えそうと思っていたら、あにはからんや、在職中だった前年の冊数を下回ってしまいました。 時間があると言うことと、読書の時間が増えるというのは必ずしも一致しないと言うことです(私の場合)。 2018年に読んだ本は110冊(99作品※)で、2019年は115冊(108作品)でしたが、2020年は105冊(94作品)に留まりました。1ヶ月に8.8冊のペースとなります。 ※1作品で上巻下巻のように複数冊数があります 内訳は、「新書・エッセイ・ビジネス・ノンフィクション」が29作品(30冊)で前年の29作品(29冊)とほぼ同数でした。 「海外小説」は14作品(19冊)で、昨年の9冊(8作品)から5作品(11冊)の増加です。 「国内小説」は、51作品(56冊)で、昨年の71作品(77冊)から、20作品(21冊)と大きく減っています。 総数が減った原因は、割とサクサク読める国内小説が少なく、ジックリと読むことが多い新書や海外小説が相対的に増えたことによるかも知れません。 では、さっそく、各賞の発表です。 まず「新書・エッセイ・ビジネス・ノンフィクション」部門全29作品の中で★3を付けたのは、 幕末下級武士のリストラ戦記 安藤優一カ 無私の日本人 磯田道史 おとなの教養 池上彰 バッタを倒しにアフリカへ 前野ウルド浩太郎 日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実 吉田裕 人口と日本経済 吉川洋 陰翳礼讃 谷崎潤一郎 高熱隧道 吉村昭 の8作品です。 今回、この新書等部門が順位を付けるのが一番悩ましいです。 と言うのも、この8作品はどれもすごく面白く読めて、甲乙が付けにくいです。 それでも心を鬼にして、さらに選ぶと「バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書) 前野ウルド浩太郎」「陰翳礼讃 (中公文庫) 谷崎潤一郎」「無私の日本人 (文春文庫) 磯田道史」の3作品。 この中から1番を選ぶというのは酷で、特別に今回限り、この三つの作品を大賞に選びたいと思います。 感想は下記にあります。 6月後半の読書と感想、書評(無私の日本人 磯田道史) 3月前半の読書と感想、書評(バッタを倒しにアフリカへ 前野ウルド浩太郎 ) 11月前半の読書と感想、書評(陰翳礼讃 谷崎潤一郎) 落選した「日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実 吉田裕」「高熱隧道 吉村昭」「おとなの教養 池上彰」「幕末下級武士のリストラ戦記 安藤優一カ」「人口と日本経済 吉川洋」も、決して大賞作品に劣らない名著だと思います。 ◇ ◇ ◇ 次に「海外小説」部門です。 候補作品は、全14作品の中から、下記の6作品です。 マリー・アントワネット(上)(下) シュテファン・ツヴァイク 火刑法廷 ジョン・ディクスン・カー レイトショー(上)(下) マイクル・コナリー 真鍮の評決(上)(下) マイクル・コナリー 血の収穫 ダシール・ハメット 悪童日記 アゴタ・クリストフ この中からベストを選ぶと、、、、 「マリー・アントワネット (角川文庫)(上)(下) シュテファン・ツヴァイク」です。 感想は、 10月後半の読書の感想、書評(マリー・アントワネット(上)(下) シュテファン・ツヴァイク) 次点は、「悪童日記 (ハヤカワepi文庫) アゴタ・クリストフ」です。 2月後半の読書と感想、書評(悪童日記 アゴタ・クリストフ) 今回候補にはあがりませんでしたが、「郵便配達は二度ベルを鳴らす ジェームズ・M・ケイン」も、強く印象に残った作品です。 ◇ ◇ ◇ 最後に一番冊数の多い「国内小説」部門です。全51作品の中から候補作は、 スロウハイツの神様(上)(下) 辻村深月 にじいろガーデン 小川糸 華竜の宮(上)(下) 上田早夕里 家霊 岡本かの子 光圀伝(上)(下) 冲方 丁 よろずのことに気をつけよ 川瀬七緒 邂逅の森 熊谷達也 さよならの手口 若竹七海 ブラックボックス 篠田節子 の9作品です。なぜか女性作家さんの作品が多いですね。 この中では、圧倒的に面白く、大正から昭和初期にかけての東北の厳しい風景とマタギの世界観が印象深い、2004年の直木賞受賞作「邂逅の森 (文春文庫) 熊谷達也」です。ひねりもオチもなくスミマセン。でも、大賞おめでとうございます! 感想は、 9月後半の読書と感想、書評(邂逅の森 熊谷達也) 次点として、かなり歴史小説としては軽い内容ですが、面白くてワクワクした「光圀伝 (角川文庫)(上)(下) 冲方 丁」を選びます。 1月前半の読書と感想、書評(光圀伝(上)(下) 冲方 丁) 今回、大賞候補には入りませんでしたが、印象深い作品として、「生ける屍の死 山口雅也」と「涙香迷宮 竹本健治」があり、大賞候補に十分入る名著でした。 以上、2020年のベスト書籍が出揃いました。 今年も素晴らしい良書に出会えることを願っています。 【関連リンク】 1295 リス天管理人が2019年に読んだベスト書籍 1295 リス天管理人が2018年に読んだベスト書籍 1191 リス天管理人が2017年に読んだベスト書籍 1093 リス天管理人が選ぶ2016年に読んだベスト書籍 993 リス天管理人が選ぶ2015年に読んだベスト書籍 886 リス天管理人が選ぶ2014年に読んだベスト書籍 784 リス天管理人が選ぶ2013年に読んだベスト書籍 676 2012年に読んだ本のベストを発表 ---------------------------------------------------------- 活字離れは事実か? 2021/1/13(水) 1501 若者の活字離れと言われて久しいですが、確かに新聞や書籍の発行数や販売低下から、それが推測されています。 でも考えたら、紙媒体が減って電子書籍を含む、ネットニュースやSNS等で活字を読む機会は若者を中心に増えていて、実質的にはその差と、2010年以降人口が減ってきていることも考え合わせると、実際はそれほどでもないんじゃないかな?と思っています。 まずは、紙媒体の書籍とその中の文庫本の販売推移を全国出版協会のデータで見てみます。 書籍の販売推移 文庫本の販売推移 出典はいずれも公益社団法人全国出版協会 このデータは、紙媒体の販売データです。確かに月刊誌、週刊誌、書籍とも年々見事に下降しています。 次に文化庁の平成30年度「国語に関する世論調査」から1ヶ月に何冊の本を読むかどうかを調べたデータからグラフを作ってみました。 2013年と2018年の比較 2018年の割合 1ヶ月に1冊以上(年間12冊以上)読む人は52.6%、ギリギリ読書家と言える1ヶ月に3冊以上(年間36冊以上)読む人は15%です。15%というのは少ないのか?それとも多いのか?よくわかりません。 これらのデータをみると、書籍販売数は減っていますが、世論調査による1ヶ月に読んだ本の数は5年前と比べて特に減ってきたということでもなさそうです。 つまり紙媒体以外の書籍、電子書籍などを読んだ人が増えたのか、人口減少の影響をうえけての書籍消費が減ってきているのか、あるいは書籍販売数にカウントされないブックオフなどの中古本のシェアリングで読む人が増えたのか、図書館の活用が上昇したのか、その他にも理由があるのかわかりませんが、そんな感じでしょう。 つまり、紙かデジタル化はともかく、日本人の活字離れはそれほど進んでいないとも言えそうです。 電子書籍を読む人のデータもグラフ化しておきます。2018年と2013年の比較です。 この5年間で、電子書籍の「よく利用する」「たまに利用する」合わせると8ポイント増加し、「紙の本・雑誌・漫画しか読まない」は6.5ポイント下がっています。 中でも電子書籍はコミックの割合が高いので、それはデジタルに強い若い人が紙からデジタルへ移っているということでしょう。 また別のデータでは、昨年のコロナ禍で巣ごもり時間が増えたことで、読書量が増えたという人が約4割もいたということです。 さらに「鬼滅の刃」の大ヒットで、コミック本がバカ売れしましたから、もし2020年のデータを取れば、そうした特殊要因があるとは言え、書籍の販売数や1ヶ月に読んだ本の数はおそらく増加しているでしょう。 【関連リンク】 1434 新聞の発行部数推移など 1281 毎年書籍や雑誌はどれぐらい出版されているか 1097 出版不況と電子出版の行方 ---------------------------------------------------------- 1月前半の読書と感想、書評 2021/1/16(土) 1502 剣より強し クリフトン年代記 第5部 (新潮文庫)(上)(下) Mightier Than the Sword(2015) ジェフリー・アーチャー ★★★ 機は熟せり クリフトン年代記 第6部 (新潮文庫)(上)(下) Cometh the Hour(2016) ジェフリー・アーチャー ★★★ 永遠に残るは クリフトン年代記 第7部 (新潮文庫)(上)(下) This Was a Man(2016) ジェフリー・アーチャー ★★★ 「時のみぞ知る クリフトン年代記 第1部」(2013年)から始まり、「死もまた我等なり クリフトン年代記 第2部」(2013年)、「裁きの鐘は クリフトン年代記 第3部」(2014年)、「追風に帆を上げよ クリフトン年代記 第4部」(2015年)へと続いてきた壮大な大河長編小説ですが、第5部から最終章の第7部まで、コロナ自粛中のお正月に一気に読みました。( )は日本語文庫版発刊年 第5部は2016年、第6部は2016年、第7部は2017年に日本語版文庫が発刊されています。 それにしても長かったです。物語はイギリスを舞台に、1930年頃から1992年までのおよそ60年間、主人公ハリー・クリフトンを中心にその前後を含む三世代にわたる物語です。 時代背景の違いや世代交代はありませんが、日本の小説で言うなら五木寛之著「青春の門」並みの長さです。 ストーリーをざっくり言うと、著者の代表作「ケインとアベル」の亜流で、二つの家系、ひとりは貴族であり、大企業経営者の息子、ひとりは、造船所の工員の息子で父親は早くに亡くなり母親がウエートレスをしながら息子を名門校へ進学させます。 そのまったく立場もクラスも違う二人が、全寮制の学校で知り合い、立場の違いを乗り越えて親しくなり、また妹と知り合いやがて家族同士になっていくものです。シェークスピアでもありますね。 物語はジェットコースターのように、良いときもあれば、どん底に落とされたり、はめられたりし、そのたびに絶体絶命の危機をなんとかしのいでいくという、毎章飽きさせない工夫がてんこ盛りです。 あるときは企業経営のビジネス・経済小説でもあり、ソ連から禁書を持ち出そうとしてKGBに捕まり、強制収容所送りか?という国際スパイ小説でもあり、M&Aを仕掛ける金融ミステリー小説でもあり、イギリス議会を舞台にした選挙運動など政治小説でもあり、家族との絆や恋愛など恋愛・ファミリー小説でもありと、様々な要素が込められています。 中には実在する政治家マーガレット・サッチャー(1925年〜2013年)が登場し、主人公のひとりとも深く関わってきます。 サッチャーさんと言えば、昔みた映画「007 ユア・アイズ・オンリー」でもサッチャー首相のそっくりさんが首相役で登場していましたが、英国の首相としては、チャーチルに次いで多くの小説や映画に実名で登場している政治家ではないでしょうか。 著者が描く悪役は、わかりやすく徹底していて、しかも打たれ強く、なかなかしぶといのが特徴です。これでもかこれでもかとばかりに、主役達をいじめ抜き、したたかに罠にはめようとします。それも魅力にひとつとなっています。 著者自身、英国で政治家と作家の二足のわらじを履いて活動していましたが、詐欺に遭い大金を失ったり、買春スキャンダルで偽証罪に問われ2001年に有罪となり刑務所に服役するという波瀾万丈の人生です。そうした様々な経験を生かした内容がこの小説でも折々出てきて「転んでもただは起きない」人だということがわかります。 著者の小説は、文庫になったものはすべて読んできました。まだ読んでない新作は昨年発刊された「レンブラントをとり返せ」で、近いうちに読むことになりそうです。 著者も御年80歳、そろそろ引退が近いかも知れません。無理をせず、またウイットに富んだ短編でも良いので、面白い小説を書いてもらいたいものです。 【過去のクリフトン年代記シリーズ感想】 2013年10月後半の読書(時のみぞ知る クリフトン年代記 第1部) 2014年1月前半の読書(死もまた我等なり クリフトン年代記 第2部) 2014年6月前半の読書(裁きの鐘は クリフトン年代記 第3部) 2015年8月後半の読書(追風に帆を上げよ クリフトン年代記 第4部) ◇著者別読書感想(ジェフリー・アーチャー) 【関連リンク】 12月後半の読書 生ける屍の死、こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話、人間の本性 12月前半の読書 呪われた町、傘をもたない蟻たちは、2025年東京不動産大暴落、殺人犯はそこにいる ---------------------------------------------------------- 地域別100歳以上の高齢者数 2021/1/20(水) 1503 100歳以上の日本人センテナリアンが初めて1万人を超えたのは23年前の1998年と割と最近のことです。2000年前とも言われる日本建国以来(おそらく)初めてのことです。 そして2万人を超えたのは2003年で、2000年間かけて1万人を超えてから、わずか5年で倍に増えました。 さらに、3万人を超えたのは2007年(4年間)、4万人を超えたのが2009年(2年)、5万人を超えたのは2012年(3年)、6万人を超えたのが2015年(3年)、7万人を超えたのが2018年(3年)と、ここ20年間は2〜4年で1万人ずつ100歳以上の高齢者が増えていくという想像を絶する長命化です。 そして7万人達成から2年後の昨年2020年には8万人を超えました。これは人口が約2倍のアメリカとほぼ同数で、世界一の多さです。従って100歳以上の人口比も世界一です。 ボリュームが圧倒的に多く(おそらく生命力もやたらと強い)団塊世代は、今は70代ですから、団塊世代すべてが100歳を超える25年後までは、かなり高い確率でさらに増加していくでしょうから、現在と同じ増え方、3年で1万人ずつ増え続けると仮定すれば、プラス8万人、合計16万人という仮説が成り立ちそうです。 もうひとつ、別のデータ、将来推計人口(国立社会保障・人口問題研究所)の2045年の人口構成予測では、100歳以上というくくりはありませんが、90歳以上の人口が529万人という予測で、全人口の5%を占めています。 現在の年齢別人口構成では、90歳以上人口のおよそ3%が100歳以上ですから、2045年の人口予測の90歳以上人口529万人の3%を計算するとなんと15万9千名となり、上記3年毎に1万人が増えていくと2045年に16万人になる予測とほぼ合います。 なにか凄いですね〜 100歳以上の長寿者は、地域によってバラツキがあります。下記は、厚生労働省が発表している都道府県別の令和元年100歳以上人口データを管理人が表に作成したものです。 百歳以上高齢者の状況
都道府県によって人口が大きく違うので、右端の10万人当たりの100歳以上高齢者数の順位を見るとして、100歳以上が多い県上位10はピンク色、少ない都県下位10はグレイに色づけしています。 多い県1位は島根県、3位は鳥取県ですが、その他では、高知県(2位)や鹿児島県(4位)、徳島県(5位)、熊本県(6位)など、南の比較的温暖な地域に100歳以上の割合が多いように見えます。その他では、健康寿命が長い山梨県(8位)や長野県(9位)も上位にランクされています。 長寿者が多いと思っていた沖縄県は、19位とそれほどでもない感じです。意外でした。 最下位(100歳以上人口が少ない)は埼玉県で、その他首都圏や関西圏、中部圏の大都市圏が下位10位に多く含まれています。これは都市部には学生など比較的若い人が多く、人口比では不利になるからと思われます。 下位のその他では、青森県(39位)、宮城県(38位)、栃木県(41位)など、比較的寒い地域が目立ちます。 引退したアメリカ人がフロリダ半島やハワイに住みたがり、フランス人も南のニースへ移住したがるように、長生きしたければ、温暖な南へ行けってことなのでしょうか。 私も宝くじで大当たりでもしてくれたら、すぐにでも温暖な気候で、近くに原発もなく、温泉もすぐ近くにある和歌山県白浜町にでも移住したいと思っていますが、残念ながら和歌山県は100歳ランキングでは23位とちょうど真ん中あたりで、長寿県ではありません。 【関連リンク】 1211 過疎と限界集落の行方とコンパクトシティ 1205 老人ホームは男性高齢者にとって快適ではないという話し 1044 高齢者ドライバーの増加がもたらすこと ---------------------------------------------------------- 交通事故死者数と自殺者の推移 2021/1/23(土) 1504 交通事故死と自殺とはまったく関係がない死因ですが、意外なことにコロナ禍において、この二つの数値が相反することがわかってきました。 まずコロナ自粛で外出することが減り、また通勤時やドライブ旅行でクルマを運転する機会も減り、交通事故や事故による死亡者数が減っています。 2020年の交通事故の発生件数は、2019年の381,237件から309,000件へ約19%減り、交通事故死者数は、2019年の3,215人から2,839人へ約12%も一気に減少しました。 交通事故死亡者数は交通戦争と揶揄されていた1970年には16,000人を超えていましたので、それからすると、2020年は8割以上の減少、17%へと大きく減少したことになります。 一方、自殺者は、1967年以降は概ね増え続けていきました。交通事故死亡者が減っていくのに対し、増加の一途をたどり1998年からは3万人を超えるようになっていました。 2009年に民主党政権になったことで、国として様々な積極的な対策を取るようになり、ようやく高止まりから下降させることができ、2012年以降は2万人台に下がりました。 しかし2020年のコロナ禍で、非正規労働者の割合が多く、コロナ自粛のあおりを大きく受けたと思われる女性の自殺率が増加し、2019年に20,169人だった年間の自殺者が2020年は20,800人(12月分のみ想定値)と、631人ですが11年ぶりに再び増加することになりそうです。 コロナ禍で日本人女性の自殺が急増「特有の悲劇」が顕在化(Forbes Japan)
交通事故者数推移と自殺者数推移をグラフとデータを掲載しておきます。データの出典は警察庁です。
交通事故死対策は、車の安全性能向上、緊急医療体制の充実、安全な交通インフラ整備など、様々な具体的な方法がありますが、自殺者防止については、イジメやパワハラ防止活動や、生活支援など、あくまで間接的な方法での支援しかありません。個人的な問題や病気などが発端が多いだけに対策が難しい面はあります。 民主党政権では、特にうつ病患者の自殺率が高いことに目を付けてその対策をおこなっていました。と言っても、生活や雇用面での相談と支援ができる環境を作っただけですけど。 自殺対策というと、若い人のイジメやパワハラなどに焦点があたりがちですが、実際は中高年者のうつ病や不治の病などの健康問題と、左遷や失業などの経済問題が一番多く、まず数を減らすためにはそこに重点をおかないと大きく減りません。 今回コロナ禍で自殺者が増えているのも、おそらく生活環境の変化による精神的なストレスや、それによるうつ病の発症、あるいは、事業が窮地に陥り、仕事を失い、雇用者なら数ヶ月は失業保険で踏ん張れても、その間に再就職がかなわないと、生活が立ちゆかなくなり大きなプレッシャーとストレスにさらされてしまうということでしょう。 交通事故が減るのは大いに結構なことですが、それに反比例するがごとく、自殺者が再び増加し続ける社会にだけはなってもらいたいものです。 【関連リンク】 1470 コロナ前と後で失業者数や失業率の変化 2020/9/26(土) 1443 コロナ失業者増加で自殺者数はどうなる? 2020/6/20(土) 1418 寿命と死因を考える年齢に 2020/3/25(水) ---------------------------------------------------------- 日本のEVシフトは環境問題ではなく経済問題 2021/1/27(水) 1505 先日下記の「環境問題とEVシフト」に関する記事を読みながら、考えたことをちょっとだけ。 「火力発電頼み」の国でのEV化は意味なし!クルマの電動化を「有意義」にする手段とは(WEB CARTOP)
普及進まぬEV 海外に遅れ、課題多く―需要喚起へ新型車(時事通信社)
日本でも2035年以降は、ガソリン車(ハイブリッド除く)の販売を禁止するという話しが政府近くから漏れ伝えてきましたが、先進国や環境問題に熱心な国の潮流は、すでにそういう方向で進んでいます。 上のCARTOPの記事の主題は、「クルマのEVシフトだけでは環境問題(CO2削減)の解決にはならない」ということですが、日本製のクルマのEV化を急ぐには、同時に発電方法でもCO2を減らす環境問題があるというのはある意味興味深い考察なのですが、経済的な観点からはそれは後回しでも良いような気がします。 下の時事通信の記事は耳タコの「世界から日本は遅れている!」という危機感をあおるだけで内容のない薄っぺらな記事ですが、その理由を「土壌が育っていない」という安易に国策の無策と環境問題に疎いユーザーの責任に転嫁せず、もう少し掘り下げて欲しいものです。 例えば、EVの弱点でもある充電するインフラ不足が普及の妨げと言われていますが、自動車工業会が大手コンビニと全国の店舗にある駐車場に充電設備を作るという提携をすれば一気に解決する問題で、「土壌」というのは、EVに積極的ではないメーカーと、ユーザーの損得意識の問題にしか思えません。 世界の先端を行く、例えばボルボのように「2025年中にすべてのクルマはEVかハイブリッドにする!」というようなEVシフトに積極的な日本メーカーはなく、横並び、護送船団、後出しじゃんけんスタイルというか、変化に対して怖々様子見という状態です。 いえ、私個人的には、ガソリン車大好き派で、残りおそらく10数年のドライバー生活では、ガソリン車に乗り続けたいと思っていて、EVにはなーんの興味もありません。 日本のユーザーの多くは、環境問題よりも、「気持ちよく、維持費が安く、便利に、安全で、お買い得な価格で買える」ことが重要で、ガソリンかEVかの区別、環境問題の解決でEVを買うというSDGsに熱心な人は多くはないでしょう。 しかし、日本の車メーカーがいますぐ考えないといけないのは、上記の記事のような環境問題に逆行するEVシフト問題提起ではなく、商品(=クルマ)を売っている先、相手国の環境対策、政策にほかなりません。 日本のクルマメーカーが国内需要で販売している台数と、輸出や現地生産して他国で販売している台数はかなり前から国外での販売台数が上回っていますが、2019年の自動車の国内生産台数、輸出台数、海外生産台数は下記の通りです。
このデータを見ると、日本メーカーは、国内販売より海外で販売(海外生産分を含む)する台数が4.6倍多いことがわかります。 しかも国内販売台数の4割近くは、国内専用の軽自動車ですから、日本メーカーは、国内専用車以外は国内向けではなく、海外向けのクルマを作ることが真っ先に求められています。海外生産のクルマは言うまでもなく当然です。 つまり日本の自動車メーカーは、国内の環境問題や、需要のためにクルマを作るのではなく、2030年までにガソリン車の販売を禁止する英国や、2035年までにEVしか売れなくなるカナダやアメリカのカルフォルニア州、中国など、少なくとも輸出や海外生産分はEV車や燃料電池車にせざるを得ないわけです。 しかもここで言うEVは日本メーカーお得意のガソリンエンジンとのハイブリッド(HV)は含まれず、純EV車のことです。 なので、日本の基幹産業である自動車産業の経済問題であって、この記事にあるように、EV製造時や運用時のCO2に問題ありという指摘はちょっとズレている気がします。 いずれにしても、1980年代に、世界一厳しいクルマの公害規制を課してそれを見事にクリアした日本車ですから、中途半端なハイブリッド車に長く固執してきたために、世界からは半周以上遅れているとは言え、並み居る強豪をアッと言わせるEVや燃料電池技術で再び世界の頂点を目指してもらいたいものです。 そのためには、自動車メーカー以外に、歴史ある日本のバッテリーメーカーのエポックメーキングな奮闘に期待したいものです。無理かな、、、 【関連リンク】 1459 マイペースな運転は身を滅ぼす 1284 今はもうないクルマの部品や用品 1247 若者のクルマ離れ論にひとこと ---------------------------------------------------------- 1月後半の読書と感想、書評 2021/1/30(土) 1506 交通事故賠償 被害者の心理、加害者の論理(中公新書) 加茂隆康 1992年に初版ですから、29年前の新書です。交通事故は日常的に起きているにも関わらず、こうした交通事故賠償に関する新書というのは少ないです。著者は交通事故裁判を主とする弁護士です。 一般的には、新車で購入するときと車検時に必ず加入する自賠責と、それぞれ任意に加入する任意保険で交通事故の賠償に備えますが、その実際についてはあまり知られていないというのが実態です。 それは保険屋さんにお任せだったり、加入者と実際の運転者が別(親のクルマで親が保険の支払いをしていて子が運転するとか)だったり、あるいは「オレ様は事故なんか起こさない」と根拠のない自信で保険に加入していなかったりというケースもあるでしょう。 そういう人任せながら、万一事故が発生した場合、保険会社が頼りにならなかったり、被害金額がもらえなかったり、加害者が逃げたり自己破産してしまい、被害者が持ち出しで大きな損害を受けることとなり、理不尽を嘆くことになるケースも多いようです。 そうした、交通事故に関わる賠償問題がわかりやすく、示談で済む場合、裁判まで行く場合、加害者側の主張、被害者の多い苦情などが実際のケースを元に書かれています。 あと保険会社の都合、つまり賠償金をできるだけ払いたくないという、利益を追求する企業論理など裏話的な話しもあり、もし自分が当事者に陥ったら(幸い過去にもめるケースには出くわしていません)参考になりそうで、知人など周囲にそういう人がいれば、アドバイス(交渉ごとではなく、交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センター、最終的には弁護士に相談するべきなど)できそうです。 自分では任意保険に加入しないでクルマを運転するなんて怖くてできませんが、世の中には20%以上が加入していないというのが実態のようです。怖いですね〜 交通事故は、自分が加害者になれば当然ですが、被害者になっても大損(金銭的、精神的、肉体的)することになるのが普通なので、できうる限りの対策をしておくことがこの新書を読んでよくわかります。 ★★☆ 噂の女(新潮文庫) 奥田英朗 2012年に単行本、2015年に文庫化された連作短編小説です。2018年にはBSジャパンでテレビドラマ化されています。噂の女(主演)はグラビアアイドル?足立梨花です。 「中古車販売店の女」「麻雀荘の女」「料理教室の女」「マンションの女」「パチンコの女」「柳ケ瀬の女」「和服の女」「檀家の女」「内偵の女」「スカイツリーの女」の10編からなりますが、そのすべてに同じひとりの謎多き女性が登場します。 その噂の女は次々とお金持ちの男を替え、結婚するとその夫はまもなく死亡するとかすっかり街中の噂が拡がっていきます。 その美人ではないけれど、男好きがする肢体と男あしらいで、したたかに、疑惑の輪からうまく逃れていきます。 現実の事件にも時々そういう女性が現れますが、おしなべて「えっ、どうしてこの女が?」と(自分的には)美人とはとても思えない容姿の女が何人もの男を食い物にして、財産を奪ったりしています。 悪女というと響きは良いですが、愛人や夫に酒と睡眠薬を飲ませて風呂で溺れさせるなどからすると別の言い方で毒婦とも言えます。 そう言えば関係ないですが、悪男とか毒夫とはいわないですね?女性を指す特有の言葉で、きっと男中心社会の中で、触れてはいけない怖い女性を指すこととして作られたのでしょう。 ま、面白いのは面白かったですが、著者の作品は本格的な長編ミステリーが私は好きです。一般的な評価では「精神科医・伊良部シリーズ」など連作短編のウケが良い(シリーズ二作目「空中ブランコ」が直木賞受賞)ようですけど。 ★★☆ ◇著者別読書感想(奥田英朗) ダイイング・アイ (光文社文庫) 東野圭吾 小説宝石に連載され、その後2007年に単行本、2011年に文庫化された推理ミステリー小説です。2019年にはWOWOWで昨年亡くなった三浦春馬主演のテレビドラマが放送されています。 夫婦共働きの新婚家庭で、妻が仕事から自転車での帰り道でクルマに追突され、塀とクルマの間に挟まれ無残に死ぬところから始まります。 タイトルにあるように、事故を起こした加害者が、死につつある恨みのこもった人の目を正面に見ることがキーポイントになっています。 主人公はバーの店員で、仕事が終わった後に、客としてきていた男に後ろからスパナで殴られ、一命は取り留めたものの記憶障害が起き、自分が起こしたという交通事故のことが思い出せません。 犯人は事故で亡くなった被害女性の夫で、その夫は自宅で事件直後に自殺してしまいます。 と、複雑に絡み合った交通事故と事件について、主人公が記憶をたどりながら、必死に思い出そうとしますが、肝心なところがなかなか思い出せず、それがクライマックスのところで明らかになっていきます。 記憶喪失というちょっとミステリーにはご都合良すぎる設定ですが、主人公に一番味方っぽいと思っていた人が実は極悪人だったというのはお約束というか王道のようです。 ★★☆ ◇著者別読書感想(東野圭吾) 22年目の告白-私が殺人犯です- (講談社文庫) 浜口倫太郎 2017年に公開された映画「22年目の告白 -私が殺人犯です-」の小説版と言うことです。元の原案は韓国の映画「殺人の告白」です。 同様に2020年に公開された映画「AI崩壊」の小説版もこの著者が書いています。 殺人事件に15年の時効がまだあった頃に、連続して同一犯と思われる5件の絞殺事件が起き、その後すでに時効が成立している22年目になってから「私が殺人犯です」と名乗り出る男が現れます。 また同時に、事件の詳細を書いた手記を出版したいと原稿を出版社の編集者宛に持ち込み、200万部のベストセラーを目指したいと様々な策を出版社と一緒におこないます。 映画では脇役だった出版社の女性編集者が小説では主人公で、本来は商業主義ではなく人を幸せにする書籍を出したいと願っていながらも、この悪意に満ちた殺人者の手記を担当することになり、会社の意向には逆らえずジレンマに陥ります。 手記を出した殺人者が表舞台に登場すると、それは誰もが振り向く美貌と洗練された立ち振る舞いで、一気に人気が沸騰し、時代の寵児として持ち上げられるようになります。 そして過去にこの事件の取材を熱心にしてきた人気ジャーナリストがMCを務めるニュース番組に出演することが決まり、そこで戦わされる辛辣な問答が大きな話題となります。 と、その人気番組に「犯人は俺で、そいつは偽者だ」という、犯人しか知り得ない動画が送られて来ます。 と、まぁそういう流れで、混乱を極めていき、クライマックスでは衝撃の事実が明らかになってきますが、なんだか途中の計算し尽くされたダイナミックな内容と比べると、終盤はかなり無理っぽいやっつけみたいな終わり方でちょっと残念。 やっぱり悪は最後まで悪らしく、とことん非道を貫いて欲しかった。というのが読後に思ったところです。 ★★☆ 【関連リンク】 1月前半の読書 クリフトン年代記 剣より強し第5部、機は熟せり第6部、永遠に残るは第7部 12月後半の読書 生ける屍の死、こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話、人間の本性 12月前半の読書 呪われた町、傘をもたない蟻たちは、2025年東京不動産大暴落、殺人犯はそこにいる |
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