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読書感想INDEX
ジェフリー・アーチャー Jeffrey Howard Archer 既読本
032 | 悪しき正義をつかまえろ | 031 | レンブラントをとり返せ |
030 | 運命のコイン(上)(下) | 029 | 獄中記―煉獄篇 |
028 | 剣より強し クリフトン年代記 第5部(上)(下) | 027 | 機は熟せり クリフトン年代記 第6部(上)(下) |
026 | 永遠に残るは クリフトン年代記 第7部(上)(下) | 025 | 嘘ばっかり |
024 | 追風に帆を上げよ クリフトン年代記 第4部(上)(下) | 023 | 裁きの鐘は クリフトン年代記 第3部(上)(下) |
022 | 死もまた我等なり クリフトン年代記 第2部(上)(下) | 021 | 時のみぞ知る クリフトン年代記 第1部 (上)(下) |
020 | 15のわけあり小説 | 019 | 遥かなる未踏峰(上)(下) |
018 | 誇りと復讐 上・下 | 017 | プリズン・ストーリーズ |
016 | ゴッホは欺く 上・下 | 015 | 獄中記 |
014 | 運命の息子 上・下 | 013 | 十四の嘘と真実 |
012 | 十一番目の戒律 | 011 | メディア買収の野望 上・下 |
010 | 盗まれた独立宣言 上・下 | 009 | チェルシー・テラスへの道 上・下 |
008 | ロシア皇帝の密約 | 007 | 十二本の毒矢 |
006 | 十二の意外な結末 | 005 | 新版大統領に知らせますか? |
004 | ロスノフスキ家の娘 上・下 | 003 | 百万ドルをとり返せ! |
002 | めざせダウニング街10番地 | 001 | ケインとアベル 上・下 |
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1940年ロンドン生まれ。オックスフォード大学卒業。1969年庶民院(下院)議員補欠選挙にて保守党から立候補し最年少議員として当選する。以降、1970年6月の総選挙、1974年2月の総選挙と、ラウス選挙区で連続当選を果たす。1973年に北海油田の幽霊会社に投資したことから財産を全て失い、1974年の総選挙を機に政界を退く。1976年に発表した処女作 "Not a Penny More, Not a Penny Less" (日本語版タイトル『百万ドルをとり返せ!』)が大ヒットし、借金を完済する。1999年、友人がスキャンダルでのアリバイ証言を嘘だったと告白し、偽証罪に問われ2001年裁判で実刑が確定した。(Wikipediaより引用 2022年) |
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032 | 悪しき正義をつかまえろ ロンドン警視庁内務監察特別捜査班(ハーパーBOOKS) | |
著者の小説を読むのは今回が32作目となります。そのうち半分以上の作品が上下巻で一つの作品となっているので冊数でいうと50冊は超えていそうです。 今回の作品は、「ロンドン警視庁美術骨董捜査班」シリーズの第3作目で、本国では2019年(日本語翻訳版は2020年刊)に出版されています。 そのシリーズ第1作目の「レンブラントをとり返せ-ロンドン警視庁美術骨董捜査班-」は2022年に読んでいて、第2作目の「まだ見ぬ敵はそこにいる-ロンドン警視庁麻薬取締独立捜査班-」はまだ未読です。 内容的にはそれぞれ独自の展開なので、前作を読まないとまったく意味不明というわけではありませんが、物語の登場人物が連続しているので、順番に読んでいくのが正解です。しかし今回は2作目は飛ばして3作目を先に読むことになりました。 第1作目以来ずっと刑事の主人公を悩ます悪人は今回は脇役で、本作では麻薬の大物ディーラーと、主人公の刑事と同期で華々しい実績を上げている裏で私腹を肥やしている腐敗警官の二人との戦いがメインとなります。 主人公は日本では滅多に見られないおとり捜査を専門とする部署で、麻薬王を捕まえ、また腐敗警官の所業の証拠をつかみ二人とも裁判にかけられます。 しかし裁判では悪役に味方し、証拠をねつ造することもいとわない辣腕弁護士が今回も登場し、裁判所での法廷ドラマが物語の半分を占めます。 著者の小説の多くは、ミステリー的な要素はなく、善悪をハッキリと分けた上で、頭脳戦や偶然の運・不運により裁判の結果が二転三転して読者をドキドキさせるというスタイルを取っています。 そういう意味では、最後は黄門様が登場して解決する勧善懲悪ドラマと同じで、安心して読めますが、ちょっとその展開にも飽きてきたのが実感です。 そして一番の悪人は逃げ切って、次回作以降にも主人公を悩ますことになりそうです。引き続きこのシリーズを読むかどうかはちょっと微妙です。 ★★☆ 6月後半の読書と感想、書評 2024/7/6(土) |
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031 | レンブラントをとり返せ(新潮文庫) | |
原題は「Nothing Ventured」で2019年に出されたこの作品の翻訳版は2020年に発刊されました。この作品は、「クリフトン年代記」の中に登場する架空の主人公のひとりが人気作家で、その作家が書いたベストセラーが本著と言うことになっています。 「Nothing ventured, nothing gained」は「虎穴に入らずんば虎子を得ず」ということわざで有名ですが、その前段だけですから直訳すれば「危険を冒さなければ」とでもなるのでしょうか。もうちょっと意訳すれば「当たってくだけろ!」的な感じかな。 翻訳版では小説の内容を説明するかのようなつまらない説明をグダグダつけた副題を含む正式名は「レンブラントをとり返せ-ロンドン警視庁美術骨董捜査班-」と長ったらしいタイトルがつけられています。早川書房の編集部だと、こういう大御所の作品にこんなベタなタイトルはつけないでしょう。 ともかく、美術館から盗まれたレンブラントの最後の作品と言われている「アムステルダムの織物商組合の見本調査官たち」をロンドン警視庁美術骨董捜査班に入った主人公の若きヒーロー刑事が取り戻すというタイトルそのもののたわいもない話です。 同時に、美術館で知り合った婚約者の父親が、理不尽な取り調べと裁判によって殺人罪で刑が確定し収監されていることを知り、著名な弁護士である主人公の父親が一肌脱ぐというその二本立てストーリーが並行して進みます。 もちろんハッピーエンドで終わりますが、このシリーズはしばらく続くそうで、そのためか、主人公が追いつめた大物悪役は生き延びて次回作へ引き続き主人公を悩ますことになりそうです。 ★★☆ 12月前半の読書と感想、書評 2022/12/17(土) |
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030 | 運命のコイン(上) (下) (新潮文庫) | 原作は2018年に、日本では2019年に発刊された長編小説で、以前読んだ短編集「嘘ばっかり」(日本版2018年刊)にそのプロローグというか第1章がすでに書かれていたという変わったスタイルでした。 1960年代後半、旧ソ連に住んでいた親子のうち、父親が労働組合設立を進めていたことが発覚し、KGBに惨殺され、さらに母子にもその災いが起きそうになり、旧ソ連から脱出することになります。 港から外国船に密航して脱出する際、アメリカ行きかイギリス行きのどちらの箱に入るか、コイントスをして決めることになります。ここまでが、第1章です。 そしてその後は、「ケインとアベル」や「クリフトン年代記」などとも共通する、貧困と絶望からの復活と成功物語が展開していきますが、これまたスタイルが変わっていて、アメリカへ渡った場合と、イギリスへ渡った場合が、同時並行で語られていきます。 最初はどうなのよーと思いましたが、まるでそれぞれが別人格の物語で、よく考えられていて楽しめます。 まだ未読の方もいると思いますので、クライマックスは書きませんが、米英それぞれに向かって成功した二人の主人公が、同時期に生まれ故郷のレニングラードに向かいます。 著者の長編ではお馴染みの主人公を徹底的に貶める悪役はソ連時代にはKGB将校で迫力ありましたが、渡米、渡英後は、同級生のライバルだったり、仕事上の元社長だったりで迫力不足、どちらかと言えば、都合の良い味方が多く出てきて安心して読めますが、ドキドキ感は薄まっています。 長さも、第7部あり、しかもそのほとんどが1部あたり上・下巻ある「クリフトン年代記」と比べると、中篇か?って思うぐらいの分量で、サクッと読めてちょうど良い感じです。 著者が描く「政治家とビジネスマンの成功物語」はちょっとワンパターンで飽きてきましたが、なかなか面白かったです。 ★★★ 8月後半の読書と感想、書評 2021/9/1(水) |
029 | 獄中記―煉獄篇 A Prison Diary I |
シリーズ第1作目の「獄中記 地獄篇」は2005年に読みましたが、ブログに感想文はまだ書いていない時期でした。 第1作「地獄篇」は収監1日目から22日目までが書かれていましたが、この第2作目の「煉獄篇」は2004年に単行本が発刊され、その後文庫が出てくるのを待っていましたが、大人の事情なのかどうか知りませんが、一向に文庫化されず、あきらめて単行本を購入しました。 「地獄篇」「煉獄篇」に続いて第3作目の「天国篇」は2005年に英国では発刊されていますが、日本語版は2021年3月時点でまだ発刊されていません。もう出そうもないですね。なにか出版社とエージェントとの大人の事情がありそうです。 で、こちらの煉獄篇は22日目の続きから始まります。この22日目で、それまで収監されていた”地獄の”刑務所から別の”煉獄”刑務所へ移動します。 つまり1作目の「地獄」から脱出し、「天国」と「地獄」の中間にあたる「煉獄」に移ったということです。 煉獄とは、「カトリック教で説く、天国と地獄との間にある所。死者の霊が天国にはいる前に、ここで火によって浄化される。」(Oxford Languages and Google)とのことです。 しかし英国の刑務所というのは、なんと自由というか、自主性に任されているというか、不思議なところです。 ・男性収容者の刑務所内に女性の刑務官や各種講師、事務官などが普通にいる ・外部のサッカーやラグビーやクリケットのチームが刑務所囚人チームとの試合にやってくる ・ほぼ毎日、刑務所内から好きなところへ電話ができる ・昼食と夕食は数種類の中から選べ(ベジタリアン食など)、自分の部屋で食べる ・刑務所内にあるトレーニングジムには一般のスポーツジムと変わらない器具がある ・囚人でも個人で新聞が購入できる ・芸術や語学など様々な講習が用意されていて、受講すればお金が支給される ・朝に部屋の扉の鍵が開けられ、夜に閉められるまで他の部屋へ行くのが割と自由 ・各部屋にテレビが設置 ・囚人同士で大麻やヘロインなどが普通に流通している などなど。 面白いですねぇ〜 刑務所内の話し(ノンフィクション)は、堀江貴文著「刑務所なう。」、山本譲司著「獄窓記」、佐藤優著「獄中記」 など数多くあります。 その中では「獄窓記」だけ読んでいます。 2012年4月後半の読書と感想、書評(獄窓記) しかし現役のベストセラー作家が書くこの「獄中記」はまたひと味もふた味も違います。 でもさすがにあまり代わり映えのない刑務所内の日々の話しだけで2冊読むと、もう良いかなぁ〜って気もします。 ★★☆ 4月前半の読書と感想、書評 2021/4/14(水) |
028 | 剣より強し(上)(下): クリフトン年代記 第5部 (新潮文庫) Mightier Than the Sword |
「時のみぞ知る クリフトン年代記 第1部」(2013年)から始まり、「死もまた我等なり クリフトン年代記 第2部」(2013年)、「裁きの鐘は クリフトン年代記 第3部」(2014年)、「追風に帆を上げよ クリフトン年代記 第4部」(2015年)へと続いてきた壮大な大河長編小説ですが、第5部から最終章の第7部まで、コロナ自粛中のお正月に一気に読みました。( )は日本語文庫版発刊年 第5部は2016年、第6部は2016年、第7部は2017年に日本語版文庫が発刊されています。 それにしても長かったです。物語はイギリスを舞台に、1930年頃から1992年までのおよそ60年間、主人公ハリー・クリフトンを中心にその前後を含む三世代にわたる物語です。 時代背景の違いや世代交代はありませんが、日本の小説で言うなら五木寛之著「青春の門」並みの長さです。 ストーリーをざっくり言うと、著者の代表作「ケインとアベル」の亜流で、二つの家系、ひとりは貴族であり、大企業経営者の息子、ひとりは、造船所の工員の息子で父親は早くに亡くなり母親がウエートレスをしながら息子を名門校へ進学させます。 そのまったく立場もクラスも違う二人が、全寮制の学校で知り合い、立場の違いを乗り越えて親しくなり、また妹と知り合いやがて家族同士になっていくものです。シェークスピアでもありますね。 物語はジェットコースターのように、良いときもあれば、どん底に落とされたり、はめられたりし、そのたびに絶体絶命の危機をなんとかしのいでいくという、毎章飽きさせない工夫がてんこ盛りです。 あるときは企業経営のビジネス・経済小説でもあり、ソ連から禁書を持ち出そうとしてKGBに捕まり、強制収容所送りか?という国際スパイ小説でもあり、M&Aを仕掛ける金融ミステリー小説でもあり、イギリス議会を舞台にした選挙運動など政治小説でもあり、家族との絆や恋愛など恋愛・ファミリー小説でもありと、様々な要素が込められています。 中には実在する政治家マーガレット・サッチャー(1925年〜2013年)が登場し、主人公のひとりとも深く関わってきます。 サッチャーさんと言えば、昔みた映画「007 ユア・アイズ・オンリー」でもサッチャー首相のそっくりさんが首相役で登場していましたが、英国の首相としては、チャーチルに次いで多くの小説や映画に実名で登場している政治家ではないでしょうか。 著者が描く悪役は、わかりやすく徹底していて、しかも打たれ強く、なかなかしぶといのが特徴です。これでもかこれでもかとばかりに、主役達をいじめ抜き、したたかに罠にはめようとします。それも魅力にひとつとなっています。 著者自身、英国で政治家と作家の二足のわらじを履いて活動していましたが、詐欺に遭い大金を失ったり、買春スキャンダルで偽証罪に問われ2001年に有罪となり刑務所に服役するという波瀾万丈の人生です。そうした様々な経験を生かした内容がこの小説でも折々出てきて「転んでもただは起きない」人だということがわかります。 著者の小説は、文庫になったものはすべて読んできました。まだ読んでない新作は昨年発刊された「レンブラントをとり返せ」で、近いうちに読むことになりそうです。 著者も御年80歳、そろそろ引退が近いかも知れません。無理をせず、またウイットに富んだ短編でも良いので、面白い小説を書いてもらいたいものです。 ★★★ 1月前半の読書と感想、書評 2021/1/16(土) |
027 | 機は熟せり(上)(下): クリフトン年代記 第6部 (新潮文庫) Cometh the Hour |
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026 | 永遠に残るは(上)(下): クリフトン年代記 第7部 (新潮文庫) This Was a Man |
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025 | 嘘ばっかり (新潮文庫) Tell Tale |
原題は「Tell Tale」、直訳すれば「告げ口」とでも訳せるのでしょうか、お得意のショートショートを含む短編小説集で、2017年に発刊、翻訳版は2018年に刊行されています。 2011年から2016年まで続く7部作の大作「クリフトン年代記」のあとに書かれたのがこの作品となります。 収録されている作品は、「唯一無二」「最後の懺悔」「オーヴェル-シュル-オワーズの風景」「立派な教育を受けた育ちのいい人」「恋と戦は手段を選ばず」「駐車場管理人」「無駄になった一時間」「回心の道」「寝盗られ男」「生涯の休日」「負けたら倍、勝てば帳消し」「上級副支店長」「コイン・トス」「だれが町長を殺したか?」「完全殺人」「次作についてのお知らせ」となっています。 「ケインとアベル」や「クリフトン年代記」のような長編小説も良いですが、ウィットの効いた短編作品も数多く書いていて、どれも好きです。 ところが、今回の短編集はというと、わずか1ページ(英語で100語、翻訳した日本語で250語)で完結するものもあれば、結構な枚数のあるものまで多彩です。 内容も、過去の短編同様、最後のオチでニヤリとさせるものもありますが、繰り返し読んでも、オチはなんなの?と意味不明なものまであって、ちょっとどうしたの?って感じがしました。 作品には、現実にあったことを下敷きにしたものとまったく創作で作ったものが区別されていましたが、それは読み手にとってはどうでもよく、できれば同じ短編集に入れるのならば、似通ったものにしてほしかったです。 つまりウイットの効いたコミカルなものと、実話を元にしたシリアスな人生ドラマがごっちゃになっていて、一気に通して読むのがつらかったです。 どの短編が面白くて、どの作品がさっぱりわからないかというのは、書きませんが、読み手によって、思いがそれぞれ違ってくるというのが狙いなのかも知れません。 また最後に、次作の長編小説「運命のコイン」のプロローグとして、次作に期待させる、早く読みたくなるような、商売上手な短編がありました。 ★★☆ 3月後半の読書と感想、書評 2020/4/1(水) |
024 | 追風に帆を上げよ クリフトン年代記 第4部(上)(下) (新潮文庫) Be Careful What You Wish For |
2015年3月に刊行された「クリフトン年代記」の第4部となります。ここまでのところ3世代に渡る英国版大河ドラマですが、この先いったい何部まで続くのやら。 =「クリフトン年代記」過去の読書感想= 時のみぞ知る - クリフトン年代記第1部 死もまた我等なり - クリフトン年代記第2部 裁きの鐘は - クリフトン年代記第3部 このシリーズでは過去からの因縁というか恩讐が複雑に絡んでくるので、シリーズの途中から読むと?って感じになるので注意が必要です。 著者を一気に有名にした「ケインとアベル」のように親から息子や娘へと物語が続いていくところが似てはいますが、こちらは安物の2時間ドラマみたく、悪人と正義の味方がハッキリと区分されていて、文学的要素の欠片もないと言うと失礼ですが、ま、そういう大衆演劇に仕上がっています。 読んでいて感じたのは、前にも書いたことがありますが、これは著者の過去の代表的な作品「ケインとアベル」(1981年)、「ロスノフスキ家の娘」(1983年)、「めざせダウニング街10番地」(1985年)、「チェルシー・テラスへの道」(1991年)、「運命の息子」(2003年)の、それぞれのいいとこ取りをした総集編のように思えてきます。 それだけに、過去の作品を全て読んでいると、先が読めてきて、ドキドキワクワク感が乏しいのです。 著者も御歳75歳、もういい年なので、引退に向けてそろそろまとめに入ってきたのか?と、そういうことなのかも知れません。 ★★☆ 8月後半の読書と感想、書評 2015/9/2(水) |
023 | 裁きの鐘は クリフトン年代記 第3部(上)(下) (新潮文庫) Best Kept Secret |
時のみぞ知る : クリフトン年代記 第1部、死もまた我等なり: クリフトン年代記 第2部に続く第3部です。2014年4月1日に文庫版が発売されました。 簡単に1部と2部のあらすじを書くと、貧乏な家の生まれだった主人公と名門家で大金持ちの少年が、寄宿舎で知り合い親友同士となります。しかしその後この二人は父親が同じで異母兄弟ではないかという疑いがかかり、その親友の妹と恋仲になっていた主人公は、恋人と結婚することをあきらめ、逃げるように一人アメリカへ旅立ってしまいます。 イギリスからアメリカへ向かう客船に船員として乗船中に、Uボートの攻撃を受け、船は沈んでしまいますが、主人公は幸い近くの船に救助されます。このどさくさを利用して、新しく生まれ変わるチャンスだと考え、アメリカへ上陸する時には沈没で亡くなった同僚の船員の名前を告げます。 ところが名を騙った同僚船員は殺人犯として手配されている男で、主人公は捕まり、裁判にかけられ、そして弁護士にもうまく騙され結果的に有罪判決を受け、刑務所で服役することになります。 イギリスに残してきた親友の妹の恋人は、主人公の子を産み、そして主人公が生きていることを信じ、ニューヨークまで追いかけてきますが、その居場所が判明したとき、主人公は刑を減免してもらうのと引き替えにアメリカ軍に入隊し、ヨーロッパ戦線へ旅立ったあとでした。 ここまでが1部と2部のおおまかなあらすじです。 さてこの3部は、第二次大戦が連合国軍の勝利で終わり、主人公は勲章を得て帰国を果たし、そして恋人と無事に結婚することができて平穏な日々をおくっています。 ところが名門家の財産を引き継いだ妻の兄である親友が、結婚相手に選んだ女性が、財産目当てと思われる高慢な貴族階級出身者で、母親が亡くなった後の財産を巡って一悶着が起きます。 結局はその女性とは別れることになりますが、主人公とその親友に対して執拗な悪意を持つ学生時代のライバルと組み、イギリスの国会議員である庶民院の選挙で邪魔をされたり、インサイダー取引に利用されたりと散々な目に遭います。 また、主人公の息子は成績は悪くないものの、数々の校則違反を犯し、卒業間近に停学処分を喰らうことなったり、奨学生として入学が決まっていたケンブリッジ大学の推薦が取り消されそうになる事態が発生します。 さらに両親が用事でアメリカへ渡っている隙に、ロンドンへ遊びに行き、同級生の家へ行くと、今度はそこの父親に利用され、本人が知らないうちにアルゼンチンから偽札の運び屋の仕事をすることになります。もうジェットコースターのように次々と危険と謀略がいっぱいで、これはもう漫画の世界と言っていいでしょう。 この第3部は第二次大戦が終わってしばらく経った1950年代までで、最終的にはサッチャー首相が登場する1980年頃までの第10部まで続くそうで、前回に書いた宮本輝氏の「流転の海」シリーズや五木寛之氏の「青春の門」シリーズと同様、現在74歳の著者が、あと何年かかるかわからないシリーズの最後までちゃんと書けるのか?ってちょっと心配なところもあります。 もしかすると、緻密に計算され、人間の機微をうまくとらえ、しかもウィットに富んでいた「ケインとアベル」のような過去の多くの作品から、ただ乱雑で派手なばかりのB級アクション映画のようなストーリーへと最近毛色が変わっていることからすると、すでに実際は誰か別人のゴーストが書いているのかなぁって気もしないでもありません。 6月前半の読書と感想、書評 2014/6/18(水) |
022 | 死もまた我等なり:クリフトン年代記 第2部(上)(下) (新潮文庫) The sins of the Father |
「時のみぞ知る : クリフトン年代記 第1部」では紆余曲折あった主人公が客船の乗組員としてアメリカに向かう途中、Uボートの攻撃をうけて船は沈没してしまい、かろうじて別の船に救助されたものの、訳あって同じ乗組員として働いていたアメリカ人が死んだことで、その男にすり替わろうとします。 しかしそれが裏目に出てしまい、上陸したとたん、いきなり殺人罪で逮捕されてしまうという盛り上げ方をして終わりましたが、そこからの続編です。 この小説では、貧しい家の生まれながら頭の良さをかわれ名門大学へ進むメーンの主人公以外に、その主人公と婚約する女性、ハイスクールの同級生で親友かつ主人公と婚約する女性の兄、その父親、主人公の母親という準主役達がいます。 そして一見するとバラバラに動いているその準主役達の目でも章ごとに時代が語られていきます。時代はナチスドイツの勢力がヨーロッパ中で猛威をふるい、主人公がアメリカに渡ってすぐ、アメリカも重い腰を上げて第二次大戦に参戦するという大きく世界が動いたタイミングです。 ストリーはぜひ読んでいただきたいのであえて書きませんが、第一部の感想でも書いたように、アーチャーの得意な「貧しさの中から努力をして身を立て、貴族や金持ちに対して自分の頭脳と周囲の仲間達に助けられながら、成功者に上り詰めていく」という物語で、エンタテーメントとしては一級品です。 さらに今回はアーチャー自身収監された経験から、主人公が刑務所に入れられ、その中でも才能を発揮していくという話しが手厚くなっているのが、過去の長編とは違う点でしょうか。 唯一残念なのは、世界的にベストセラー作家としてアーチャーも売れっ子となり、書けば売れるということからか翻訳(出版)権も高騰しているのでしょうけど、文庫の上下巻とも薄っぺらな約280ページ程度で各662円、上下巻で1,324円、第一部(上下)と第二部(上下)計4冊で総額2,690円。文庫でこれですから嫌になります。 だいたいページ数から言って上下巻に分ける必要すら感じません。今読んでいる盛田隆二氏の「二人静」(980円)は1冊の文庫で634ページです。 翻訳本ということを差し引いてもちょっと高過ぎるような気がします。デフレなのですからもっと安く刊行する努力が出版社にはないのでしょうかね。 今回は(文庫の)新刊本ということもあり、書店で購入しましたが、こうした文庫まで強気の値付けから、多くの人は図書館やブックオフなどへ流れてしまうのではないでしょうか? 1月前半の読書と感想、書評 2014/1/15(水) |
021 | 時のみぞ知る (上)(下): クリフトン年代記 第1部 (新潮文庫) Only Time will tell |
書店で平積みされていた文庫新刊「死もまた我等なり:クリフトン年代記 第2部」を見つけて手に取りましたが、その前に発刊されているこの前作を読まなければ途中からになってしまうので、先にこの作品を探して買ってきました。 外れがない著者の長編小説で、この第一部上下巻を読む限り、過去に読んだ同氏の作品「ケインとアベル」「チェルシー・テラスへの道」「運命の息子」を足して3で割ったような感じです。 副題になっているハリー・クリフトンという英国生まれの主人公が、そのたぐいまれな才能を開花させ、極貧の中からのし上がっていくという著者のいかにも好きそうなストーリーで、ロンドンから200kmほど離れた港町ブリストルが舞台です。 時はまだ第二次大戦勃発前のことで、造船所に勤めていた父を生まれたときに戦争(第一次大戦)で亡くし、母親とその兄、母親と暮らしているハリーは、ろくに学校にも行かず、造船所の中に置いてある客車を住まいにしているホームレスのような老人に興味を覚えます。 そこからハリーの目覚ましい奮闘と活躍が描かれますが、なぜ周囲の人達が、ハリーの頑張り以上に優しく接してくれて、また挫折を味わってもその後うまくリカバリーできるのか、そういった謎が次第に明らかになっていきます。 こうして1900年初頭の英国の姿を見ると、当時から先進国であったのは間違いないものの、貧乏人の子供は貧乏なまま一生を終え、金持ちは代々途方もなく金持ちで、その子供に引き継がれていくという、いわゆる世襲社会と貧富の格差が大きいことがわかります。 貧しい家で、しかも父親がいない主人公は、本来なら小学校を出た後は亡くなった父親の後を継いで地元の造船所で働き、油まみれでその一生を終えるはずでした。 しかし様々な幸運や才能に恵まれて、造船所のオーナーの孫が通う名門校へ入ることができ、しかもそのジャイルズと親友になり、やがては、その妹エマとも婚約することになります。 ここまででもある程度のネタバレしてしまいましたが、実はもっと恐ろしい罠が潜んでいて、エマとの婚約を破棄せざるを得なくなり、その失意を払拭するため、まもなく戦争になることを予想し、いずれは戦艦に乗って戦おうと、その前に単身でキューバ行きの船に乗り込み船乗りとしての訓練を自分に課すことになります。 波瀾万丈の人生ドラマと言っては陳腐な表現ですが、なにか勇気を与えてくれる小説です。この第一部では何度目かの危機一髪で突然終わってしまいますので、第二部を読まないわけにはいかないでしょう。 10月後半の読書と感想、書評 2013/11/2(土) |
020 | 15のわけあり小説 (新潮文庫) And Thereby Hangs a Tale |
アーチャーは「ケインとアベル」など長編小説がたまらなく面白いのですが、その合間に短編集もいくつか出していて、それがまたいいのです。今回はタイトル通り、15話からなる短編小説で、事実を元にした物語と想像で書いたものとが混在しています。 概ね彼の短編小説の特徴とパターンがわかってきましたので、物語の最後のどんでん返しで驚くことは少なくなりましたが、逆にニヤリとするようにひねってないと満足いかなくなり、評価のハードルが高くなってしまいました。そういう中でも短編ならではこそ発揮される彼のストーリーテラーぶりにはいつも感心します。 事実に基づいた話しでは、どこまでが本当の話しなのかは知りようないのですが、もしそのまま事実であれば、それは痛快だなと思えることが満載です。 でもやはり昔に読んだ「十二本の毒矢」や「十二の意外な結末」などからすると、文章や構成は上手くなっていますが、いまいちドッキリさせるキレがなく、また新鮮味に欠けるように思いました。 それにしても2004年に書かれた獄中記の二作目「煉獄篇」が未だに文庫になりません。一作目の「地獄篇」がとても面白かっただけに、ぜひ早く契約関係?をスッキリさせて「煉獄篇」の文庫化を急いでもらいたいものです。第三部の「天国編」も楽しみに待っていますが、いつになるのか神のみぞ知るってところでしょうか。 6月前半の読書 2011/6/15(水) |
019 | 遥かなる未踏峰〈上〉〈下〉 (新潮文庫) Paths of Glory |
数年に1冊ぐらいのペースでしか文庫が出ないアーチャーですが、毎回楽しみにして購入しています。この人の本、古くは「百万ドルをとり返せ!」「ケインとアベル」「チェルシー・テラスへの道」など20数冊にのぼりますが失敗したと思ったものは1冊もなくすべて当たりです。今回もアーチャーお得意の古き良き時代の英国の話しですが、間違いなくいい作品です。 ストーリーは、北極点、南極点への到達が他国に先を越され、最後に残された未踏峰エベレストへ、第一次世界大戦が終了した1920年代に果敢に挑戦した英国人(実在の人物)を主人公にした小説です。登場人物のほとんどが実在の人達ですから、基本的に悪役はいません。 主人公(ジョージ・マロリー)は、アメリカの新聞記者に「なぜ、あなたはエベレストを目指すのか?」と問われて「そこに山があるから(Because it is there)」という返答をしたという有名な話しがあります。私も子供の頃にその話を聞いたことがあります。 少し出来すぎに思えるぐらい登場人物がそれぞれの役目をキッチリと果たし、未踏峰征服の大プロジェクトへ向かって進んでいきますが、小説では2回となっているエベレスト行きが実際には下調べを含め3回行っていることや、登山家として活動すると従来勤めていた教職には就けず、生活費に困ってしまうことなど、やや端折った部分もあるようです。(Wikipedia等には詳しく書かれている) おそらくいずれはこれを原作とした映画も制作されるのでしょう。今から100年近く前の装備で、エベレスト登頂というのは考えただけでも無謀な冒険ですが、小説ではわかりにくい当時の貧弱な装備が映画で見られるとそれが実感できるのではないかと思います。 2月前半の読書 2011/2/17(木) |
018 | 誇りと復讐〈上〉〈下〉 (新潮文庫) A Prisoner of Birth |
「誇りと復讐」原題:「A Prisoner of Birth」はジェフリー・アーチャーがよく描く貧困や逆境から見事に成功者へとつながっていく恒例になった長編ドラマですが、そのような一言では表せない様々な要素が詰まっていて楽しめる一品です。 すでにご存じの通りアーチャーは議員時代に自らのスキャンダルに関係し、議会での偽証罪で刑務所に長く収監されていたことがあります。なので刑務所内のドラマはかなり真に迫っています。 過去には詐欺にあって大金を盗まれたことをテーマにした「百万ドルをとり返せ」を書き、英国議員になったことで今度は首相を目指す小説「めざせダウニング街10番地」を描き、今度は刑務所に入ったことで刑務所の生活という、とにかく転んでも絶対にはただでは起きない人です。人間的にどうこういう人もいますが、正直言ってこの人の小説はすべてお勧めです。 6月後半の読書 2009年7月1日 (水) 「BOOK」データベースより 自動車修理工ダニーのプロポーズは成功した。相手は幼馴染みで雇い主の娘ベス。これで運命が大きく変わるはずだった。しかしお祝いに出かけたパブで、ダニーは殺人事件に巻き込まれる。被害者は一緒にいたベスの兄で親友のバーニー。ダニーは犯人として逮捕されてしまう―運命は変わった、全く違う方向に。読者を翻弄するストーリー展開と息を呑むサスペンス、作者会心の復讐劇。 自分を陥れ、親友の命を奪い、最愛のベスを苦境の淵に突き落した男たちを絶対に許すことはできない。収監中、身に付けた知識を武器に計画は着々と進む。しかし再び囚われて五つの大罪で告発され、絶対絶命の時を迎えたダニー。彼の無実を確信し、大法廷で死力を尽すレドメイン弁護士父子の秘策とは?完璧な構成、周到な伏線、胸のすく結末が見事な、巧者アーチャーの裁判劇。 |
017 | プリズン・ストーリーズ (新潮文庫) Cat O'nine Tales |
2008/06/11読了 「BOOK」データベースより 決して飲んではいけないペットボトルの水を妻に飲ませた男の運命―「この水は飲めません」。巧妙に儲けを隠す人気イタリアン・レストラン主―「マエストロ」。豊かに肉付けされたキャラクターと緻密な構成、そして待ち受ける意外な結末―読者をとことん楽しませる12編。多くは、著者が実際に服役者から聞いた話が元になっている。転んでもタダでは起きない、作家魂あふれる待望の短編集。 |
016 | ゴッホは欺く〈上〉〈下〉 (新潮文庫) False Impression |
2007/02/14読了 「BOOK」データベースより 9・11テロ前夜、英貴族ウェントワース家の女主人ヴィクトリアは、破産寸前の家計に悩んでいた。双子の妹アラベラに手紙を書いているところに賊が侵入し、首を切られて命を落す。犯人は左耳も切断し、著名な美術品蒐集家フェンストンに送った。一方崩落したビルから生還したフェストンの美術コンサルタント、アンナは、付きまとう男の影に怯えていた。ゴッホの自画像を巡る会心作。 あまりにあくどいフェンストンのやり方に反発するアンナは、アラベラと協力して、ウェントワース家救助作戦を果敢に推し進める。二つに増えた敵の影に怯えながら、今はルーマニアで美術教授となった元恋人にある援助を頼み、舞台は自画像の買い手を求めて東京に移った。一分でもフェンストンの先回りをして、ゴッホを救わねば―自身も絵画コレクターとして知られる著者による、胸のすく名画サスペンス。 |
015 | 獄中記 地獄篇 A Prison Diary |
2005/04/14読了 「BOOK」データベースより 偽証罪に問われ、4年の禁固刑を言い渡された世界的ベストセラー作家ジェフリー・アーチャーが過酷な刑務所生活を自ら綴った衝撃作!!衝撃の世界的ベストセラー!! |
014 | 運命の息子〈上〉〈下〉 (新潮文庫) Sons of Fortune |
2003/12/25読了 「BOOK」データベースより 富裕な実業家ダヴェンポート夫妻に、念願の男子が生まれた。同じ日、平凡な保険セールスマン、カートライト家にも、双子の男の子が誕生した。そしてその夜悲劇が起きる…。献身的な看護婦の姿を借りた運命の神は、兄弟の間を引き裂いた。かけ離れた環境で育つことになった二人は、やがてそれぞれの夢を追い始める。数奇な生涯を辿る二人に、再会の時はいつ訪れるのか…。 ヴェトナム戦争で戦功を立て、親友の父の経営する銀行に入ったナットは、コンピューターの天才スー・リンと一目で恋に落ちた。厳しい競争を勝ち抜いて著名な法律事務所に入ったフレッチャーは、幼馴染の親友の妹と結ばれた。やがて二人はコネチカット州知事選に、共和党と民主党から出馬、文字通りの接戦を繰り広げる。それとは知らぬまま互いに絡み合い、影響し合う二人の人生。 |
013 | 十四の嘘と真実 (新潮文庫) To Cut A Long Story short |
2001/03/28読了 「BOOK」データベースより もっとも確実な相続人選びの方法とは―「終盤戦」、たまたま聞いてしまった混線電話が思ってもみなかった悲劇を生む―「欲の代償」、悩みのない人生はないとほろっと苦い後味―「隣りの芝生は…」など、いずれも巧みな出来栄えの14編。うち9編は世界各地に取材した実際の事件に基づく。読む者を手玉に取り、トコトン楽しませる、天性のストーリーテラーによる最新短編集。 |
012 | 十一番目の戒律 (新潮文庫) The Eleventh Commandment |
1999/02/18読了 「BOOK」データベースより CIAの天才的暗殺者コナーは、南米での任務を終えた後、大統領から直々の電話を受けて再び不可能な任務に挑むことになった。ロシアに入国し、次期大統領候補の命を狙うのだ。しかし彼の周囲には周到に仕組まれた幾重もの罠が…。天才的暗殺者はCIAの第11戒(汝、正体を現すなかれ)を守れるのか。CIAとロシア・マフィアの実体が描かれていると大評判の、サスペンス長編。 |
011 | メディア買収の野望〈上〉〈下〉 (新潮文庫) The Fourth Estate |
1997/01/30読了 「BOOK」データベースより チェコスロバキアの貧しいユダヤ人の家に生れたルブジは、ナチ収容所から脱走し、英国に密航する。名をアームストロングと改め、生来の語学の才と商才を武器に、ほとんど詐欺的手段で新聞事業を興す。少し遅れてオーストラリアに生れたタウンゼンドは、オクスフォード大を卒業し、父親から新聞社を受け継ぐ。大衆受けを狙った強引な編集方針が成功し、ついに全国紙を所有する。 非情なギャンブラー、タウンゼンドは、世界的なメディア企業を次々に傘下におさめていく。アームストロングの野望もとどまるところを知らず、強引な買収を続けて帝国の拡張をめざす。尽きることがないように見えた二人の資金力も、ついに底をつきはじめ、戦いは泥沼化する。世界のメディアを牛耳るのはどちらか―宿命のライヴァル同士の対決がいよいよ迫る。話題沸騰の注目作。 |
010 | 盗まれた独立宣言〈上〉〈下〉 (新潮文庫) Honour Among Thieves |
1993/11/01読了 「BOOK」データベースより 世界最高の贋金造り、評判の形成外科医、有名映画監督らを動員して、暗黒街の大ボス父子が立てた驚くべき計画とは、アメリカの名誉の象徴、独立宣言の書かれた羊皮紙を盗み出すことだった。一度でも現場を経験したいと願うCIA教官スコットの希望はかなえられ、彼は羊皮紙を追ってパリへ。そこで、肉親を殺された痛みをモサドの仕事で癒そうとする、美しいハンナと巡りあった。 アメリカの名誉を盗む―。湾岸戦争で、手痛い敗北を喫したフセインの考えた究極の報復作戦は、成功するのだろうか。独立宣言の書かれた羊皮紙は、今や彼の執務室の壁に…。そして敵陣深く入り込んだハンナには、愛するスコットの無事を知る術もない。一方イラクの国連代理大使アル・オバイディは、身の安全を図るために、ある計画を練っていた。久々のサスペンス長編。 |
009 | チェルシー・テラスへの道〈上〉〈下〉 (新潮文庫) As the Crow Flies |
1991/07/04読了 「BOOK」データベースより ロンドンの下町で貧しい野菜売りの家に生れたチャーリー・トランパーは、祖父から譲られた手押車を唯一の資本に商売を始めた。彼の夢は、高級商店街チェルシー・テラスの全店輔を買収することだった。第一次大戦が勃発し、出征したチャーリーは、生涯の敵ガイ・トレンザム大尉と出会う。やがて彼は、幼な馴染で共同経営者となったベッキーと、長く遠い苦難の道を歩み始めた…。 ニューヨークのデパートを見学したチャーリーは、チェルシー・テラスに“一軒で何でも揃う店”を作ろうと決心した。ベッキー、ダフニ、ハミルトン中佐などを重役に迎えて、『トランパーズ』は動き出した。しかし、息子を溺愛するミセス・トレンザムの妨害工作はますます執拗を極め、ついに対決の時がくる―。当代随一のベストセラー作家が物語る、チャーリー・トランパーの苦闘の半生。 |
008 | ロシア皇帝の密約 (新潮文庫) A Matter of Honour |
1988/12/10 「BOOK」データベースより 1867年、アメリカはロシアからベーリング海沿いの土地を買いとった。皇帝ニコライ2世は、革命の際、その条約書をある額の裏に隠して西側に送り、身の安全を図ろうとした。条約には、実は、買戻しの条項があったのだ。1966年、元英陸軍スコット大尉は、無実の罪を着たまま死んだ父から、「皇帝のイコン」と呼ばれる名画を遺された。遺産を受けとりに出かけた彼を待っていたのは―。 |
007 | 十二本の毒矢 (新潮文庫) A Quiver Full of Arrows |
1988/11/05 「BOOK」データベースより 冴えない初老のビジネスマンの、判で押したように繰り返す毎日の生活の中に、突如として割り込んだ一大椿事を描き、そのおちに気付いた時、読者を抱腹絶倒させずにはおかない「破られた習慣」など12編。技巧を凝らしたおちのあるもの、さりげない筆致でしみじみとした読後感を抱かせるものと、さまざまなタイプをイギリスの伝統的な短編小説の手法で語る、著者の唯一の短編集。 |
006 | 十二の意外な結末 (新潮文庫) A Twist in the Tale |
1988/10/05 「BOOK」データベースより 愛人宅から男が出てくるのを目撃した男は、怒りにまかせて彼女を殴った。翌日、謝りに行ってみると、家の前に救急車が止まって…。全く予想外な結末が待ち受ける「完全殺人」、おまけの勲章をもらうために、コーンフレイクの蓋集めに熱中する少年が、本物の勲章に辿りつくまでを描く「本物じゃない」など、著者の興味の広さと私生活をも垣間見させる、創意に満ちた12編を収録する。 |
005 | 新版 大統領に知らせますか? (新潮文庫) Shall We Tell the President? New edition |
1988/07/30 「BOOK」データベースより FBIワシントン支局は、大統領暗殺の情報を得た。犯人は、米国初の女性大統領念願の銃砲所持規制法案の成立に反対する者たちか?黒幕の存在を察したFBIは現行犯逮捕をめざし、極秘の捜査を開始した。その直後、捜査官は情報提供者と上司と親友の同僚を失った。決行の日まであと1週間、捜査は一向に進展しない―時代をさらに未来に移し、きめこまかに書きかえた改訂版 |
004 | ロスノフスキ家の娘 (上) (下) (新潮文庫) The Prodigal Dangher |
1988/06/15 |
003 | 百万ドルをとり返せ! (新潮文庫) Not a Penny More, Not a Penny Less |
1988/03/30 「BOOK」データベースより 大物詐欺師で富豪のハーヴェイ・メトカーフの策略により、北海油田の幽霊会社の株を買わされ、合計百万ドルを巻きあげられて無一文になった四人の男たち。天才的数学教授を中心に医者、画商、貴族が専門を生かしたプランを持ちより、頭脳のかぎりを尽くして展開する絶妙華麗、痛快無比の奪回作戦。新機軸のエンターテインメントとして話題を呼ぶ“コン・ゲーム小説”の傑作。 |
002 | めざせダウニング街10番地 (新潮文庫) First Among Equals |
1988/01/15 |
001 | ケインとアベル (上) (下) (新潮文庫) Kane and Abel |
1986/09/30 「BOOK」データベースより 1906年、ポーランドの片田舎で私生児として生れたヴワデクは、極貧の猟師に引きとられた。時を同じくしてボストンの名門ケイン家に生れたウィリアムは、祝福された人生を歩み始めた。ドイツの侵攻で祖国も肉親も失ったヴワデクは、数奇な放浪の旅の果て、無一文の移民としてアメリカに辿りつき、アベルと改名した。「三作目が勝負」と明言した著者が、満を持して発表する大作。 ずば抜けた商才と頑張りで社会の底辺からのし上がったアベルは、全米に拡がるホテル・チェーンを作りあげた。一方、出世コースを突き進むケインは、その確かな判断力を認められて大銀行頭取の地位をつかんだ。ホテル王と銀行家、ポーランド移民と名門出のエリート―いずれも典型的といえるふたりのアメリカ人の、皮肉な出会いと成功を通して、20世紀のアメリカ史が甦る大ロマン。 |
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