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日本の農業はどこへ向かうか マイカーで東京から京都まで旅行する場合 ゴルフをプレイしている人の年代層割合に驚いた 世界と日本の宗教別信者数 2021年版出版社不況 客員教授と非常勤講師ってなんだ? ロバート・B・パーカー「スペンサーシリーズ」全巻まとめ 窓ガラスの熱割れで火災保険は使えるか? 天然素材でも綿はよく燃えるらしいことがわかった やっとのことでJ:COMを退会した 貯まった1円玉はどうする? 自動車整備士に未来はあるか? 液晶テレビが壊れた件 リタイア後の心配事 運転免許証取得者は意外にも増えている 著者別読書感想INDEX −−−−−−−−
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リストラ日記アーカイブ 2020年6月 読みやすいようにアーカイブは昇順(上から古いもの順)に並べ替えました。上から下へお読みください。 日記INDEXページ(タイトルと書き出し部の一覧)はこちらです |
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---------------------------------------------------------- 今年はどんな台風がやってくる? 2020/6/3(水) 1438 まもなく台風シーズンがやってきますが、最近気候変動で台風が巨大化しているのでは?とも言われています。
気象予報の精度向上、防災関連の充実、国民の防災意識の向上、住宅やインフラの強度向上などが年々と言うか、実際には数十年単位で大きく上昇しているのを実感しています。 気象予報の向上は、1959年に起きた伊勢湾台風の被害の大きさに観測の重要性を認識し、富士山の頂上に気象レーダーを1964年に設置したことがその後の気象予報に大きな前進となります。 その富士山レーダーもより精度の高い気象衛星の運用などで、お役御免となったのが設置後40年、1999年のことです。下の写真は、麓に移設された「富士吉田市立富士山レーダードーム館」です。 気象予報の精度が高まると、それをマスメディアがいちはやく国民に広く情報を伝えることができ、台風を迎える準備が整えることができます。特に漁業関係者は海上の予報を事前に知ることで、漁船や客船が台風の大波を避けることで、被害が激減していきます。 住宅も、地震対策もありますが、建築構造の強度が高まり、昔のように屋根が飛んだり、瓦がパラパラと降ってくると言うことがなくなりました。 同時に電柱も折れやすい木の電柱から鉄筋コンクリ製に変わり、水量が調整出来るダム、護岸を守るコンクリ製の堤防なども整備されてきました。自然保存派からすると目をむいて怒り出すでしょうけど、ダムや護岸堤防が災害から多くの人の命を守ってきたことも確かです。 1951年以降の台風で、日本の犠牲者が多かった順に30位まで並べてみました。データは「デジタル台風:台風被害データベース」(国立情報学研究所)ですが、わかりやすいように台風の通称名や主な被害地域などを加えています。台風番号はその西暦年と発生号数を表しています。
こうして見ると、被害が大きいのは、梅雨や秋梅雨の前線と相互に作用して豪雨がしかも長時間降り続くという被害と、風が強く、海上の漁船や客船が沈んで多くの犠牲者を出すというパターン(洞爺丸台風、昭和40年台風第29号マリアナ海難)などが目立ちます。 あと、1950年以前で死者・不明者数が多かった台風では、1934年(昭和9年)の室戸台風が3,036名、1945年(昭和20年)の枕崎台風が3,756名、1947年(昭和22年)カスリーン台風で1,930人となっています。それからしても、1959年の伊勢湾台風が被害者の数は突出していますね。 昨年(2019年)の令和元年台風第19号の記憶は、阿武隈川流域の河川氾濫や、宮城県での土砂崩れ等、まだ生々しく残っていますが、被害者ワースト19位に入っています。 最初に、最近被害は減ってきたようなことを書きましたが、いくら社会が進んでも自然の災害はいつもそれを上回ってくるということでしょう。 今年も、また夏から秋にかけて、巨大な台風が来ることを前提にし、様々な防災を考えておかないとなりません。 【関連リンク】 1376 台風と地震被害と保険について 1260 災害大国ならではのビジネスチャンス 923 ハイブリッド型植物工場は異常気象の野菜急騰を防げるか ---------------------------------------------------------- 耐え忍べるかフリーランス 2020/6/6(土) 1439 コロナ禍が拡がる前までは、フリーランスで働く人達は、会社の枠の中に閉じ込められている人達から羨ましがられ、評論家には褒め立てられ、国や政府からも働き方改革の見本のように言われてきました。 本人の才能や恵まれた運などによって違いますが、そこそこ収入も得られ、中にはサラリーマンでは手にすることができない報酬を得て、得意満面な姿が雑誌などで盛んに紹介されていました。 またフリーランスを含む個人事業主も後継者不足というネガティブな要素もありつつ、一国一城の主という満足と、家族が暮らしていくぐらいの収入は、優遇されている税制もあり、一生を雇われ人で終わりそうな人達から羨望の目で見られていました。 そうしたフリーランスと言われる働き方をする人は、1000万人を超え、生産年齢人口(15歳〜64歳)7,596万人(2017年)の学生など収入を得ていない人を除いた1年間で収入があった人口約6000万人の17%にも達しています。 フリーランスの内訳は、プロフェッショナル系の「自由業系フリーワーカー」が53万人(5%)、法人経営者などの「自営業系独立オーナー」が322万人(29%)、「副業系すきまワーカー」が454万人(41%)、バイトの掛け持ちなど「複業系パラレルワーカー」が290万人(26%)とのことです。 そのフリーワーカーの経済規模はおよそ20兆円で、日本の国内総生産(GDP)536兆円の3.7%を占めています。20兆円というと、中古住宅市場やゲーム業界の規模と同等です。 それはともかく、今回の思いもよらなかったコロナ禍のような非常事態に陥ると、その影響は活動運転資金に余裕がないフリーなど個人事業主を直撃します。 副業でやっていた人は、大きな借金さえなければ収入はあるので問題はありませんが、アパート経営など大きな借金をして運用している場合、本業が手に付かない状況かも知れません。 政府や自治体からの補償もわずかながらありますが、元々は収入が安定しないフリーランスの仕事ゆえ、こうした非常事態においては、企業からは非正規社員などと同様、雇用(委託)の調整弁として使われることも多そうです。 おそらく、今まで盛んに脚光を浴びて得意満面だったフリーランスはもちろん、必死に歯を食いしばってフリーで居続けようともがいてきた人達の多くは、大なり小なり影響を受けているはずで、中には致命的な被害を被っているフリーランスも多いのではないでしょうか。 資金が潤沢で、内部留保がしこたまあって、無借金経営のフリーランスというのはあまり聞かないので、一般的には2〜3ヶ月売上が半減すれば運転資金に行き詰まるのが普通だからです。 一方、大手企業はと言えば、ここ数年リーマンショックに散々な目にあった記憶がまだ生々しく残っていて、内部留保に努めてきました。そのおかげで、公務員はもちろん、大手企業の正社員は、夏・冬のボーナスには影響がでるでしょうけど、日々の給料にはなんら影響は及ぼしません。 2018年には企業の内部留保は過去最高の463兆円に達し、政治家や評論家はこぞって、内部留保を取り崩して社員の給料や研究開発、設備投資に回せ!と脳天気にわめいていました。 そしてこのコロナ禍が起きましたが、レナウンのような過去から経営状況が悪化していたところは別として、ほとんどの大手企業は、もし半年から1年ぐらいの休業要請があってもはまったく揺るがないレベルというのが実態です。 もし政治家や評論家が言うように、着々と内部留保してこないで、放漫経営をしていたり、あるいは、闇雲?に方々の企業へ大金を投資していたりすればソフトバンクのように大赤字となり、今回の2〜3ヶ月の休業要請や生産停止で大企業ともいえども資金がショートして経営も傾いていたでしょう。 結果論ながら、リーマンショック後、内部留保に邁進してきた経営陣は先見の明があり、有能だったということです。 ただ、ポストコロナはフリーランスが活躍出来る時代だという人もいます。 ポストコロナに起こる5大変化「今は苦境のフリーランスが台頭する」(DIAMOND online)
確かに中長期的にみると、今後ますますフリーランス的な働き方や、仕事の外注が増えていくでしょう。問題は、今後数年間は続いていきそうなコロナ禍と向き合いながら、資金力のないフリーランスが持ちこたえられるのか?という疑問はあります。 どちらかと言うと、こちらの悲観的な見方のほうが可能性は高い気がします。 「アフターコロナは想像を絶する時代が待ち受ける」(bizSPA!フレッシュ)
さて、数年後、社会は、そしてフリーランスはどのような姿を呈しているのか、それは誰にもわかりません。 【関連リンク】 1068 個人事業主の中でもフリーランスとしての働き方 938 成功者の美徳 539 コンサルタントという職の謎 ---------------------------------------------------------- 東日本大震災関連小説とコロナ禍後 2020/6/10(水) 1440 東日本大震災が起きた2011年以降、小説のストーリーの中に、震災や、その後の原発事故をモチーフにした作品が数多くありました。 震災のことを書いたノンフィクションも「遺体 震災、津波の果てに」や「津波の霊たち 3.11 死と生の物語」など数多くありますが、今回は小説だけ紹介しておきます。 あの震災で起きた壮絶な悲劇は、より近くで被災した作家さん自らが書く小説にリアリティが感じられます。 震災後に書かれた小説の中で、震災や原発事故に触れたものをざっと思い出すと下記の7冊になります。 星月夜 2月前半の読書 2013/2/20(水) 小説・震災後 10月前半の読書と感想、書評 2013/10/16(水) 幻影の星 10月前半の読書と感想、書評 2015/10/14(水) 首都崩壊 12月後半の読書と感想、書評 2016/1/7(木) 漂流者たち 私立探偵・神山健介 8月後半の読書と感想、書評 2017/8/30(水) ファミレス 2月後半の読書と感想、書評 2018/2/28(水) その時までサヨナラ 2月後半の読書と感想、書評 2020/3/4(水) 調べてみると、まだ読んでいない本で読みたくなる震災を描いた小説がいくつもありましたので、ちょっと備忘録的に書いておきます。紹介文は、Amazonの本の紹介のところからひっぱってきています。
なぜこのような震災を描いた小説を出してきたかというと、ご想像通り、これから数ヶ月後から続々とでてくるはずの「コロナ禍」をモチーフにした小説が頭の中をよぎったからです。 悲劇あり、コミカルなものあり、世界を舞台にしたスリラーサスペンスあり、非常時にはてんで役に立たない政治家や役人とか、休業要請で破産する個人事業主とか、医師兼業作家さんは医療現場の混乱した状態や、SF作家さんはバイオテクノロジーや未知の新型ウイルスとの闘いなど、それぞれの小説家にとっては創造力をかき立てられるまたとない社会の大きなうねりが到来したことで、私なんかが想像だにしなかったストーリーを書き上げてくれそうです。 コロナ禍は間違いなく悲劇ですが、これがきっかけとなり、平和ボケしている社会を見直すきっかけとなれば多少は貢献したことと言えるのかも知れません。 世界全体が萎縮しがちな気持ちの中で、様々な視点と発想で、ぶっ飛んだ小説を楽しみにして待っています! 【関連リンク】 国内で地震から逃れることができるか? 首相や東電バッシングに思うこと みちのく急ぎ旅 前編 ---------------------------------------------------------- コロナ後の日本の行くべき道は 2020/6/13(土) 1441 コロナ禍以前は、社員の採用時に「リモートで面接」というと、「またまた〜、単に企業の先進性をアピールで、実際には旧来通り呼びつけて普通の面接もしているくせに〜」と、相手にもしていませんでしたが、どうやら今年は大手企業やIT系企業においてはリモートでの面接が当たり前になってきています。 ある日、ちょっとしたことで、世の中一気にガラッと変わるものですね。 日本の古くからの慣例として、例えアルバイトの採用でも、人物を見るという目的で、実際にわざわざ呼び出して、目の前で話しをしてから、「良い」「ダメ」を判断してきましたが、今はそうも言ってられなくなったようです。 そう言う点では、民間企業は予算や計画もある程度は柔軟に対応ができるので、こうした非常事態には身代わりが早いと言えます。お役所と違って、競争に晒され生き残りがかかっていますからね。 ダメなのはそのお役所で、いち早くとりまとめる必要があるコロナ感染者情報を未だにファックスでやりとりしていると、世界中の笑いものになっていました。 これは古くからの慣例を現場主導で変更することはできず、また政治家や官僚の利権が跋扈する大きな無駄な公共事業はホイホイとやっても、そうしたチマチマした業務改善の予算は誰にも評価してもらえず、非常事態が起きても容易に昔の人力とアナログに頼るスタイルは変更ができないのでしょう。 小中学生の教育の場でも、パソコンやタブレットを使ったリモート授業ができるのは、子供の親に富裕層が多い私立学校の一部だけで、公立校のほとんどでは例え全校生徒の中のひとりでもそうしたネット環境がない生徒がいると、公平性から大手を振ってはできないというのが現状です。 ならば持っていない生徒には学校からタブレットとモバイルWi-Fiを貸し出せば良いじゃない?ということですが、今までその必要性を感じず(感じる人はいても極めて少数で)、社会保障費が激増していくのと反比例して、先細っていくだけの教育予算の関係で、貸し出し用の機器など後回しにしてきたツケが回ってきたと言うことです。 小中学校は義務教育と言うことで、強硬に、そういう環境がある子供だけでもリモート授業をやってしまえ!って乱暴なことは、当然誰も言えません。言えばもうそりゃ、平均年収が1千2百万円を超える朝日新聞社の記者などに袋だたきに遭うことは確実です。 こういう時に、一部の外国のように、教育機関への寄付が当たり前におこなわれる風習があると、一部の学校に限られるでしょうけど、そうしたお金や機材を使ってできるのでしょうけど、全国統一にこだわる文科省の方針に反することになります。 それにしても、このまま、社会は一気にIT化、リモート化が進んでいくことになるのでしょうか? コロナが収束しない限りは、そうせざるを得ませんし、今回の反省から、リモートワークやリモート会議、面接などはある程度は定着していくでしょう。 収束してからも、当面はこの恐ろしい事態が国民の多くの記憶に残っている限りは、再びパンデミックが起きたら?というBCPのために、仕事のリモート化へ舵を切っていくしかないでしょう。 パンデミック以外でも、例えば大地震や巨大台風などの災害においても、リモートワークや職場、製造拠点の分散化などは有効に機能します。 グローバルなサプライチェーンの問題も今回露わになりました。海外へ出て行くばかりの日本の工場が、再び国内回帰する可能性もあるかも知れません。と言うのも、これからしばらくは日本には広大な工場用地と、質の高い労働力は余っていきそうなので、早い者勝ちでしょう。 今までが、国土の広さに対し、人口が多いことを理由に労働集約的な仕事をしてきて、そのため日本の生産性の低さが指摘されてきました。 今の政治家にはまるで期待出来ませんが、これから10数年かけて、世界の中でトップをいく、IT先進国になることができるかどうかは、新たな日本のリーダー次第ということでしょう。 ITベンチャー企業出身で、政治にも野心がありそうな、成り上がり成功者が、ITに詳しい政治家という要請に応じて政治の舞台へ出ていこうと着々と準備をしているのでしょう。 しかしその政治家やリーダーを選ぶ(投票所に足を運ぶ)国民はと言うと、老い先はそう長くない、IT化や教育投資にさっぱり興味がない高齢者ばかりというのが最大の障壁でしょう。 【関連リンク】 1440 東日本大震災関連小説とコロナ禍後 1439 耐え忍べるかフリーランス 1436 コロナ時代のテレビ番組と再放送 ---------------------------------------------------------- 6月前半の読書と感想、書評 2020/6/17(水) 1442
愛なんて嘘(新潮文庫) 白石一文 2014年に単行本、2017年に文庫化された短編集で、「夜を想う人」「二人のプール」「河底の人」「わたしのリッチ」「傷痕」「星と泥棒」の6編からなります。 著者の作品は好きで、これが19冊目になります。初期の作品、「一瞬の光」「不自由な心」「僕のなかの壊れていない部分」などが新鮮に感じて次々読んできましたが、2009年に直木賞を受賞後はあまり読まなくなってしまいました。 いずれも若い女性を主人公にした物語で、こうした小説は主として女性作家さんが得意とするところですが、中年男性が書く若い女性の心理描写は、私の既成概念が邪魔するのか、やや不自然で、理解不能な行動もあり、そうした意外性が狙いなのかもと思いつつ、私には違和感がつのりました。 タイトル通り、いずれも現状の恋愛や結婚生活を望まなく、平和な家庭を平気に捨てて昔の彼氏だったり、直感でこの人と思える相手のところへ行ってしまうような情熱的で行動的な女性を主人公にしています。 ま、古い女性観を男性自らが打ち破るという側面は小説としては悪くはないでしょうけど、現実的にはありそうもないことが多く、シンデレラシンドロームじゃないけど、現状に不満だらけの夢見る乙女に向けた小説?という気がしてなりません。 あまりにもリアルな事情を知ってきた中年男性が読むと、どうにも複雑な感情を持ってしまいそうです。 ★☆☆ ◇著者別読書感想(白石一文) 定年後 年金プラス、ひとの役に立つ働き方 (朝日新書) 杉山由美子 著者はすでに来年には古希になられる1951年生まれのフリーランスライターの方で、若いときには雑誌の編集とかをおこなっていたとのことです。 この新書は、2014年に発刊されたもので、基本は定年後に生き生きと働いている方に取材をし、その生き方や、定年後に働く考え方などをまとめたものです。 ただこの新書に出てくる定年を迎えた人は、「猛烈働き蜂」「仕事が生きがい」「現役時代の仕事の延長」「難関な資格を楽々ゲット」などちょっと特殊な方々の例ばかりで、私のような凡庸な人にはさっぱり参考にはなりません。もっともそうした特殊な人の話しでないとインタビュー記事は書けないでしょうからね。 この本を読むと、「このままなにもしないで定年を迎えるのは悪なのか?」と自己嫌悪に陥りそうですが、もちろんそんなことはなく、勢古浩爾著の「定年後のリアル」にあるように、「なにもしない定年後」を送っている人が大部分ではないかなと自分に言い聞かせています。 なにか定年後や老後も「生き生きとして働く」というのが世の中の常識と言う人が多くなりましたが、私は逆に、昔から日本には「隠居」という風習があるように、決して表には立たず、目立たず、仕事は若い者にまかせて、ひっそりと静かに生きるというのが一番良いと思っています。 この新書に登場する高齢者の多くは企業に長年勤め、年金もたっぷりある方々です。日々の生活のために働かざるを得ないと言う人は出てきません。 どうして、そういう高齢者が、大きな顔をして、若い人の仕事を奪ってまで、年金に加えて、生き生きと働かなければならないのでしょうか。そこのところが、わからないので、この新書に書かれている「生き生きと働く」ことを肯定ができません。 ★☆☆ 儚い羊たちの祝宴(新潮文庫) 米澤穂信 2008年に単行本、2011年に文庫化された短編集です。短編のタイトルはそれぞれ「身内に不幸がありまして」「北の館の罪人」「山荘秘聞」「玉野五十鈴の誉れ」「儚い羊たちの晩餐」で、いずれも名門家の令嬢ばかりが通う女子大学の読書クラブ「バベルの会」が共通して関わってきます。と言っても連作スタイルではありません。 一応、ミステリー小説ですが、一部はホラー小説とも言えるようなブラックユーモア(と言ってもまず笑えませんが)的要素も含まれます。 その中で面白いと思ったのは「山荘秘聞」で、誰も客が来ない別荘の管理を任されていた女性が、近くの山で事故に遭った瀕死の登山家を助け、別荘で看病しますが、その動けない登山家を別荘で軟禁し、遭難した登山家を救助するためにやってくる捜索隊を別荘の客として迎えることに管理人として満足を得ます。 なんだかスティーヴン・キング著の小説で映画も大ヒットした「ミザリー」を思い出しましたが、この作品が一番上記に書いた「バベルの会」とはほとんど関係がなく、無理矢理その話しに向かわせなかったことが好感を持ったのかも知れません。著者の狙いとは違うかも知れませんが。 著者の作品は過去にまだ4作品しか読んでいませんが、いずれも長編作品でしたので、短編の実力もよくわかりました。でもやっぱり「折れた竜骨」のような、壮大な長編が読んでいて楽しいです。 ★★☆ ◇著者別読書感想(米澤穂信) 真鍮の評決 リンカーン弁護士(上)(下) (講談社文庫) マイクル・コナリー 原題は「The Brass Verdict」で2008年発刊され、日本では翻訳版が2012年に刊行されています。サブタイトルにあるとおり、「リンカーン弁護士」シリーズの第二作目で、著者が28年前から書いてきた「ハリーボッシュ」シリーズの主人公、ボッシュ刑事がこの作品に登場してきます。 お約束通りの法廷ドラマですが、第1作目の事件で主人公の弁護士は拳銃で撃たれ、その治療のために投与された薬物で中毒になり、この作品でようやく復帰を果たす設定となっています。 弁護士が主人公というと、対する検事が悪役と相場が決まっていますが、昔の裁判で相対した検事が、今は同じ弁護士仲間としてやっていたところ、その弁護士が銃撃を受けて亡くなり、その仕事を引き継ぐことになります。 その亡くなった弁護士の捜査をしているのが著者のライフワークとなっているボッシュ刑事で、主人公の弁護士とは仕事柄、水と油の関係ながら、なにかお互いに引きつけるところがあります。そのなぜかは、最後に判明することになり、事件の解決とは直接関係はないもののここでは秘密です。 私がボッシュ刑事と出会ったのは、今から28年前の1992年のことで、書店でフラッと買った「ナイトホークス」からです。 その時は、ベトナム戦争で方々に掘られた地下道の穴に潜り込んでベトコンゲリラを抹殺する仕事をやっていて、帰国後に警察官になってもそのトラウマが抜けず、また生きるために風俗で働いていた母親が何者かに殺されるという過去を持った影のある刑事でした。 それが、今や、定年後も引き続きロス市警に残って殺人課の刑事を務めている老練の静かな刑事です。 ということで、コナリーファンにとっては、著者が創りだした二人の登場人物の魅力をたっぷり味わえる一粒で二度美味しい小説です。 ★★★ ◇著者別読書感想(マイクル・コナリー) 【関連リンク】 5月後半の読書 東京バンドワゴン、再会、怒らない技術、ブラックボックス 5月前半の読書 レイトショー(上)(下)、クラウド・ナイン、メゾン・ド・ポリス、まほろ駅前狂騒曲、孤独のチカラ 4月後半の読書 火刑法廷、老後の資金がありません、聞く力 心をひらく35のヒント、仮面病棟 ---------------------------------------------------------- コロナ失業者増加で自殺者数はどうなる? 2020/6/20(土) 1443 6月に入ってからコロナ禍も国民はだんだんに関心が薄くなってきましたが、医療関係者は今年の秋ぐらいからの第二波にビクビクしている状況だと思います。 インバウンド需要が激減し、国内では買い控えが続いている中で、今年中に再度、緊急事態宣言でも出たら、もうやっていけないというお店や企業は少なくないでしょう。 そうした企業の多くは、採用計画を見直したり、投資計画も変更を余儀なくされています。 コロナ前は東京五輪需要もあって失業率は下がり、有効求人倍率は上がり、働く側にとっては良い状態、雇用側は求人しても応募がなく採用ができず、給料アップや外国人雇用の推進など今から思うとまったく逆でした。 コロナという災害が、社会情勢と雇用環境を一気に反転してしまいました。 例えば、インターネットバブルが崩壊した後の2001年から2003年頃の失業者は340〜360万人に達しました。 リーマンショックの影響が出た2009年、2010年は330〜340万人の失業者数でした。 平常時の失業者数は100万人から多くても200万人ぐらいですから、なにか特殊な事態が起きると新たに150万人以上の失業者が増えると言うことになります。 失業者(万人)と失業率(%)の推移をグラフにしてみました。 今年度2020年度と来年度の2021年度は、シンクタンクなどが想定している数値などを元にして、控えめに私が見た想定値を入れています。 ここで言う失業者数とは、職業安定所へ登録して仕事を探していることを表明している人の数です。 職安には行かず、民間の就職斡旋や、ネットだけで仕事を探している人、職探しをあきらめて資格を取るために勉強していたり、家事手伝いをしている人などは含まれませんから、実態の失業者(仕事をしたいができない人)は実質的にはもっと多いことになります。 来年度の2021年度は控えめに見て300万人の失業者としましたが、リーマン並みだとすると340万人、リーマンショックよりひどい状況とすれば400万人という想定もできます。 400万人の失業者となれば、失業率はインターネットバブル崩壊後を上回り、統計がある中で過去最高の5.5%程度に跳ね上がります。 もうひとつ上のグラフとよく似たグラフを見てください。 こちらは、自殺者数と失業率の推移のグラフです。どうです?失業者数(失業率)の推移と自殺者数の推移(傾向)はたいへん似ていることがわかります。 年間3万3千人を超えていた自殺者数は、民主党政権になってから様々な手を打ち、2010年頃からようやく下降に転じ、昨年は2万人までに減りました。 しかし過去の統計では、失業者が増えると、それに合わせるように自殺者数も一気に高まります。 これは政治がどのように手を打つかによっても変わってくると思いますが、今の強者や総理のお友達には優遇しても、弱者には冷たく斬り捨てる政治を見る限り、健康的、経済的な弱者が多い自殺者を減らせるとは思えません。 思い切って補助金などをばらまきましたが、これは国債という名の国の借金で、それを埋めるのはこれからの税金しかありません。 同時に、医療費や社会保障費などを大きく削減していくことで、今後の支出を抑えていくぐらいのことしかできないでしょう。防衛(装備)費はトランプさんのご機嫌を取るためにもとても削減出来ないでしょうから。 「正社員激減」コロナ不況が招く働き方の大変革(東洋経済)
こうした「失業者がこれから増えていくぞ!」というあおり記事を見るごとに、悲しいことだけど「自殺者がまた増加していくのか」と思ってしまいます。 【関連リンク】 1385 有効求人倍率と完全失業率長期推移グラフ 1162 不登校と自殺 1076 繰り返すな過労自殺 ---------------------------------------------------------- 株主総会集中日の傾向 2020/6/24(水) 1444 ちょうど今は3月末決算企業の定時株主総会(以下総会)が開催されている集中期にあたります。 私が社会人になった1980年は、ほとんどの企業が、総会を円満に終わらせるため、総会屋を避けるために総会日を合わせ、結果的には一般株主もどこか1社にしか総会に参加できないという無茶苦茶な時代でした。 1982年に改正された商法が施行され、大きく総会の形が変わってきましたが、それでも企業側は反社の影に怯え、裏では総会屋とつながり、総会の集中日も相変わらず継続していました。 その総会集中日は2000年頃から緩やかに(開催日が集中しなく)なってきました。 警察の総会屋への締め付けが厳しくなってきたことや、上場企業にベンチャー企業など、過去から総会屋など反社会勢力とのしがらみとは縁のない企業が増えてきたこともあるでしょう。 総会が集中する日に総会をおこなう企業数を3月決算の上場企業全体の数で割った割合を「集中率」と言いますが、もっとも集中率が高かったのは1990年代後半頃で95%もありました。 仮に3月末決算の上場企業が2000社あればそのうち1900社が、同じ日に総会を開いているのですから異常ですね。それにしてもよく会場が確保できたものです。 その過去90%を超えていた集中日は、ここ直近5年間は30%前後と大きく下がっています。 定時株主総会集中率 2016年 32.2% 2017年 29.6% 2018年 31.0% 2019年 30.9% 2020年 32.3% 今年2020年の最集中日は6月26日(金)で、3月決算上場企業のうち総会日程が決定公表している2094社の中で677社がこの日に開催されます。 下記は今年2020年の3月末決算企業の総会開催日のグラフです。横棒が長い方が企業が集中しています。6月8日以前、7月1日以降の開催日は少数なのでグラフからカットしています。 6月26日に次いで多いのは前日の6月25日(木)で474社、その次は6月24日(水)で279社の開催となっています。この3日間で、68%を占めています。 3月決算企業の総会開催日を調べていて、いくつか気がついたことを書いておきます。 ・一番早い開催は株式会社スクロールの5月29日 ・一番遅い開催は株式会社フォーバルの8月12日 ・開催日未定はNTTドコモや東芝など21社(6月5日時点) 今年はコロナウイルスの影響で、「(法律上)総会は開催はするけれども、来ないで欲しい」という要望が多くみられ、今まで一般株主を数多く集めるために、お土産を出していたところも、それを中止したり、別会場で映像を見るという形態に変わったりしています。 来年以降は、それに加えて、ネット上でリアルタイムに議決権行使もできるようになるのかも知れません。別に準備期間さえあれば難しいことではありません。 ネットなど糞食らえ!という高齢の株主が現在はまだ多そうなので、一気に全面的に移行するのは無理でしょうけど。 今年の総会では、コロナの影響を受けて業績が落ち込むところや、今期の計画についても抑制しがちで、株主にとっては精神上よろしくない状態のところが多いでしょう。 しかしこればかりは、経営の責任と言うより、災害ですから、今回の総会はそういう言い訳で切り抜けられたとしても、今期はどのように再生し成長させるのかが経営に問われる珍しい総会になりそうです。 【関連リンク】 1441 コロナ後の日本の行くべき道は 1407 2020年はまたもリストラが大ブームに? ---------------------------------------------------------- フリーランスに関しての調査より 2020/6/27(土) 1445 日本のフリーランスについて少し調べたので書いておきます。元データは、昨年2019年に内閣府政策統括官(経済財政分析担当)から報告された資料からです。 一般的に個人事業主の「自営業主(雇人なし)」とは、医師や弁護士、税理士などの「士業」、小売店や農林漁業、製造業などの「伝統的自営」、そしてコンサルタントや保健代理人、プログラマーなどのフリーランスの「雇用的自営業」の3種類に分類されています。 その「自営業主(雇人なし)の数」は総数で1985年は682万人いたところ、年々下がってきて2015年は396万人まで減ってきています。その中で大きく減らしているのは「小売・卸売主」と「農林漁業」です。 逆に1980年代以降、いわゆる「フリーランス」と言われる「雇用的自営業等」が増え始め、インターネットが普及してきた2000年以降に急速に増え、2015年には自営業主の中の約41%(164万人)を占めるに至りました。 また本業とは別に副業としてフリーランスとして働く人もこれとは別に150万名ほどいると想定されていて、フリーランスが本業の人と合わせると310万名を超えていることになります。 上記は公的機関の調査ですが、民間のリクルートワークス調査(2018年)では「就業形態が自営業主(雇人なし)もしくは内職 実店舗を持たない」労働者は本業にしている人が300万人、副業が140万人、計440万人という調査もあります。 同じく民間のランサーズ調査(2019年)では、副業系すきまワーカー434万人、複業系パラレルワーカー281万人、自由業系フリーワーカー60万人、自営業系独立オーナー312万人の計1090万人というデータもありますす。 ま、ランサーズは、フリーランスを登録してビジネスを展開している会社ですから、大きく言いたいのもわかりますが、1千万人とはまた大きく出たものです。勤労者の6人にひとりは副業含むフリーランスってことになります。 これは調査対象が微妙に違うのと、兼業、副業、すきまワーカーの基準や範囲が違うのかなという気がします。例えばメルカリで不要品を売って千円稼いだ!ってのも含めるとそれぐらいの数にはなりそうです。 それはともかく、国内の就業者数のうち雇用者は約6000万人ですから、公的調査数でおよそ5%(20人にひとり)がフリーランスと言っても良いでしょう(兼業含む)。 フリーランサーとして働く人が多そうなアメリカでもおよそ7%ですので、まだ追いついてはいませんが、かなり近づいてきています。 最近、ようやく日本の企業でも兼業禁止規則が緩和されたり、撤廃される方向にあります。そうしたことが、副業としてフリーランス的働き方をする人が増えてきたようです。公務員はまだ原則副業禁止ですが、それも営利目的以外の副業は除外されるなど徐々に弱まってきているようです。 雇用者(サラリーマン)からフリーランスになるきっかけは、 1)会社倒産・事業所閉鎖 2)事業不振・不安 3)人員整理・勧奨退職 4)自分に向かない 5)病気・高齢 ですが、男女で違いがあり、女性の場合は、 1)結婚 2)出産・育児 3)定年 などとなっています。 意外と「倒産」とか「人員整理」とか「病気」とか、後ろ向き?のきっかけが多い気がします。 フリーランスの働き方をしている人の年齢は、平均年齢で51歳前後で、男女比は男性が6割、女性が4割です。 フリーランスというと、20代から30代の若々しいイメージがありましたが、ちょっと意外な感じです。これもまた上記の後ろ向きのきっかけが主因なのかも知れません。 副業と言えば、ここのところクルマで走ると、ウーバーイーツの黒いバッグを背負って自転車で走っている人をあちこちで見かけるようになりました。 以前なら食事の配達と言えばピザの配達バイク、中華や鮨屋の出前ぐらいしかありませんでしたが、コロナ騒動で、背に腹は代えられず出前文化も大きく変えてしまったようです。 そうした社会が大きく変化するときに、働き方や社会システムも一気に変わっていくものです。 ってもう働かなくなる私が言うのもなんですけど、なにか楽しみではあります。 【関連リンク】 1439 耐え忍べるかフリーランス 1068 個人事業主の中でもフリーランスとしての働き方 |
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