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読みやすいようにアーカイブは昇順(上から古いもの順)に並べ替えました。上から下へお読みください。

日記INDEXページ(タイトルと書き出し部の一覧)はこちらです
1446 6月後半の読書と感想、書評 2020/7/1(水)
1447 ビジネス界からリタイアした 2020/7/4(土)
1448 2020年5〜6月にみた映画 2020/7/8(水)
1449 いきなりステーキの憂鬱 2020/7/11(土)
1450 7月前半の読書と感想、書評 2020/7/15(水)
1451 再びゴルフ場とゴルフ人口の推移 2020/7/18(土)
1452 貯まった1円玉はどうする? 2020/7/22(水)
1453 ビザなし渡航できる最強パスポートは日本が3年連続世界一 2020/7/25(土)
1454 交通事故の過失割合は妥協の産物 2020/7/29(水)

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6月後半の読書と感想、書評 2020/7/1(水)

1446
あなたの人生、片づけます (双葉文庫) 垣谷美雨

連作短編のこの小説は、2013年に単行本、2016年に文庫化されています。この著者の作品は最近「老後の資金がありません」を読んでいます。

2020年4月後半の読書と感想、書評「老後の資金がありません」

タイトルだけ見ると、伊坂幸太郎著の「死神の精度」的な死神小説か?それとも、コミカルなローレンス・ブロック著の「殺し屋ケラーシリーズ」か?って思ってしまいそうですが、全然違っていて、部屋の片付けができない人の、心を変えることで生き方と整理整頓を勧めていくという、ほのぼのとした心の断捨離小説です。

確かにゴミ屋敷や汚部屋に代表される、部屋を片づけられない、逆によそのゴミまで集めて持って帰る人って、いくら物の道理を話しして「ゴミは捨てましょう」と言っても「ハイそうですね」とはなりません。

結局は心の問題で、それを解決しないことには、そうした片づけられない習慣は繰り返すだけでしょう。それだけに抱えている闇のプライベートに入っていかなければならず、難しい問題です。

そういう仕事には、この小説の主人公のような、どこにでもいるおばちゃんタイプが良さそうで、依頼された場所へズカズカと入り込み、部屋の持ち主の前でチッと平気で毒づき、大きくため息を漏らすという普通の反応が面白いです。

短編は「ケース1 清算」「ケース2 木魚堂」「ケース3 豪商の館」「ケース4 きれいすぎる部屋」の4編で、それぞれに、「社内不倫に疲れた30代OL」、「妻に先立たれた職人気質の老人」、「子供に見捨てられた資産家老女」、「謎の一部屋だけ綺麗に片づいた部屋がある主婦」の心の中に分け入って変化をもたらせることで、解決していきます。

部屋の片づけ方の手法をいくら教えても改善しないであろう場合(本書では重症)、そうした心の問題を解決していかなくてはならないということがよくわかる小説です。

夏場になって臭いがたまらなくなるゴミ屋敷などの相談が持ち込まれることが多い役所の福祉関係者にもぜひ読んでいただきたいです。

★★☆

著者別読書感想(垣谷美雨)

            

羊と鋼の森 (文春文庫) 宮下奈都

2015年に単行本、2018年に文庫化された小説で、2016年の本屋大賞で大賞を受賞しています。また2018年には橋本光二郎監督、山ア賢人、鈴木亮平などの出演で映画が制作され公開されました。

著者の作品は、昨年「遠くの声に耳を澄ませて」を読んでいますので、今回が2作品目です。

2019年6月後半の読書と感想、書評「遠くの声に耳を澄ませて」

タイトルからは内容が想像出来ませんでしたが、ピアノの調律師の話です。ピアノ調律師と羊?鋼(ハガネ)?というのは、やっぱり小説を読んで理解してください(意地悪)。

北海道の地方都市の高校生が、試験の後にひとり教室に残っていたため、先生から「学校を訪ねてくる調律師を体育館へ案内してくれ」と頼まれます。

調律師がグランドピアノのフタを開け、調律を始めますが、ピアノの精緻な構造を見て感動し、また調律師の仕事を間近に見て、自分にはこれしかないと、調律師を目指します。

そう、一人の若い男性の成長物語です。こりゃアイドル映画にはもってこいですね。

小説は、普段馴染みのない調律師の現実と理想の世界を浮かび上がらせて、三浦しをんさんがお得意とする「お仕事小説」とも言えます。別に著者はそういうつもりで書いたわけではないでしょうけど。

ピアノ調律師の需要は、家庭へのピアノ普及率に大きく影響するでしょうけど、少子化ゆえ、今後仕事が拡大していくという想像はできず、逆に厳しくなっていく状況のような気がしますが、これを読んで、調律師を目指してみよう!という若者が出てくればそれはそれでいいなと思います。

★★☆

            

大学大倒産時代 都会で消える大学、地方で伸びる大学 (朝日新書) 木村誠

教育書籍の学研出身の著者は、多くの教育関連本を出している教育ジャーナリストさんです。この新書は、2017年の発刊です。

タイトルは衝撃的で、これは釣りタイトルか?というと、「2011年 新聞・テレビ消滅」のような、まったく根拠なき釣りタイトルではなく、そこそこ現実的な問題となってきています。

少子化で子供の数が減ってきているのに、大学の新設や既存大学の定員増員など、多少進学率が上がったとしても、既に大学は飽和状態にあります。

特に学費が高騰しているのに反して、所得が上がらない人が増え、所得格差も拡がっていることで、一部の富裕層以外は子供を進学させたくてもできないという現実もあります。

奨学金という名の学生ローンは、アメリカの例を出すまでもなく、卒業と同時に返済が大きな負担となり、就職に失敗したり、就職先の業績が不安定だったりすると、もう即座に返済が滞ります。

そして有名な国立大学、学費が安い公立大学、ブランド化している私立大学、若者が好きな場所に立地している大学などに人気が集中し、郊外や地方の立地で、特段特徴のない大学はすでに定員割れをしています。

何年も定員割れが続くと、良い教員をジックリ育てたり、スカウトして雇うだけの資金はなく、良い教員がいないと、研究も進まず国からの補助金も減らされ、やがては行き詰まることになってしまいます。

そうした大学の実情を、国立大学、私立大学、地方大学などごとに分析データとともに危ない大学、安心な大学が読めばわかるようになっています。

しかし今回この本で地方にもキラリと光る人気校などがあることを知りました。地方の大学って情報はほとんど入ってこないので、校名すら知らないところがたくさんありました。

それにしても、学校の関係者は、相当な努力をされているのでしょう。日本は資産となるもの少なく、高度な教育ぐらいしか子供達に残せないので、逆風の中でも頑張ってもらいたいものです。

★★☆

            

無私の日本人 (文春文庫) 磯田道史

映画で有名になった「武士の家計簿」などの著書がある磯田氏は、今やテレビの歴史番組の解説者として欠かせないキャラクターとなっているユニークな学者先生です。

私も毎週欠かさずNHK BSの「英雄たちの選択」を録画して楽しく見ています。それにしても、古代天皇から、昭和時代まで、どうしてそんなに詳しいの?と思えるぐらい博学で、しかもテレビに向いた雄弁な方です。

この著作は、実話を元にして、様々な古い資料から3人のそれぞれの生き方をとりあげています。小説でもなく、ドキュメンタリーでもなく、ノンフィクション的な、あり知名度はないけれど、江戸時代から幕末、明治初期に生きた、無名に近い偉大な3人の歴史実話物語です。

その3人とは、「穀田屋十三郎」「中根東里」「大田垣蓮月」で、よほどの歴史研究家、江戸時代の詩人、和歌の研究家でなければ、まず知られていないでしょう。私もまったく知らなかった人々です。

内容は、いずれもめちゃ面白くしかも感動する内容で、これはクドクド書くよりも、まず読んでいただくとして、その中の「穀田屋十三郎」は、2016年に中村義洋監督、阿部サダヲ、瑛太、妻夫木聡などの出演で「殿、利息でござる!」というタイトルで映画化されています。さらにこの映画には仙台つながりなのかスケーターの羽生結弦が最後にちょい役で出演しているそうです。

江戸時代にこうした英雄でもなんでもないけれど、控えめで奥ゆかしく、成果をひけらかすこともなく、欲はなく、貧しくても人のために身体を張った人がいるのだということがわかります。

お金(税金)を集めて、自分のためにばらまくのが仕事だと思っている今の政治家さんにはぜひ読んでもらいたい書籍です。

そして偉人や英雄伝には決して出てこないけれど、素晴らしい市井の隠れた英雄達を取り上げてくれる著者には感謝しかありません。

★★★


【関連リンク】
 6月前半の読書 愛なんて嘘、定年後 年金プラス、ひとの役に立つ働き方、儚い羊たちの祝宴、真鍮の評決
 5月後半の読書 東京バンドワゴン、再会、怒らない技術、ブラックボックス
 5月前半の読書 レイトショー(上)(下)、クラウド・ナイン、メゾン・ド・ポリス、まほろ駅前狂騒曲、孤独のチカラ


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ビジネス界からリタイアした 2020/7/4(土)

1447
はい、何度か書いてきましたが、6月で会社から完全に身を引いて晴れて自由人となりました。

22歳で社会人となって、現在62歳で引退し、合計41年間、身を粉にして働きました。

花束本来なら、いまから7年ほど前の55歳でアーリーリタイアを目指していましたが、20代の半ばで作った長期計画など、そううまくいくはずもなく、結局今になりました。

もう稼ぐための労働は十分してきたのと、惜しまれて新たな仕事を頼まれることもないでしょうから、仕事やビジネスマン生活にまったく未練はありません。

よく定年後に環境がガラッと変わることにより、鬱になったり、引きこもりになったりすることがあると聞きますが、元々ここ10年ぐらいは働き蜂ではなく、自由奔放に生きてきたので、そうした心配は無用です。

誰でもそうだと思いますが、思えばこの40年間、紆余曲折が何度かありました。

最大のネガティブな出来事は、今からちょうど20年前、42歳の時、スカウトされて転職した先が3年も経たずして、私の知らなかった不良債権が見つかり会社全体が業績不振に陥り、中年の中途入社組として何人か一緒にまとめてリストラされたことです。

私の力不足もありましたが、手のひらを返すような扱いで、生存競争の厳しさを思い知りました。その会社は上場企業でしたが、自力では再建出来ず、私の退職後1年ほどで身売りされました。

そのリストラで無職の時に、暇に飽かせて作ったのがこの「リストラ天国」です。

その会社を退職してから3ヶ月目に、日々の生活費や住宅ローン支払いに焦って、あまり考えず入社した会社はまったく合わずにすぐ退職する羽目となります。この頃は先が見えず、毎日なにをやってんだろうと悶々とする地獄の日々でした。

しかし捨てる神あれば救う神もあり、そこを退職後すぐに人材紹介会社から連絡があり、過去の仕事の経験を生かせるIT系の全社員15名ほどのベンチャー企業に拾われ、そこがうまく時流に乗り、成長と合併を繰り返しながらみるみる大きくなり、やがて上場を果たすまでに成長しました。

入社したのが中途とは言え、まだ社員数も少数の時だったので、企業の成長と共に待遇も上がり、一時期の地獄の日々からすると、天国に引っ越ししたようなものです。まるで芥川龍之介の「蜘蛛の糸」です。

まったく人の運とかツキというのはわからないものです。

教訓としては、悪いことだけをクローズアップして悩まず腐らず落ち込まず、淡々と平然と、毎日できることをやっていれば、きっといつかは報われるものだな〜とその時身をもって感じました。

40年も仕事をしていれば、誰だって不調の時や、病気で長期離脱する時、勤務先の倒産や人員整理、家族との不和など様々なネガティブなことが身近で起きます。それも個別に来るのではなく、得てして同時多発的にやってくるのです。

短期的に見ると、嫌なこと腹が立つことがいっぱいあり、時には絶望感でいっぱいになりますが、中・長期的にみれば、「いまはアイドリング状態なのだ」「今はひたすら流して耐えるとき」と自分に言い聞かせることで、ストレスや怒りや肩の力が抜けて楽になります。そう簡単ではないですけどね。

さて、今後はなにをする?

知人からは「なにもしないとすぐにボケるぞ!」とか、「1ヶ月もすれば暇に飽きて働きたくなる」とか言われていますが、今のところは「リタイア後にやりたいことリスト」が埋まっている状態で、ひとつずつゆっくりと実践していき、同時に新しく「やりたいことリスト」を加えていくこともして、残りの自由人生活を楽しみたいと思っています。

かと言って引退後のお金がたっぷりあるわけではなく、さらに年金受給はまだ半年以上先なので、「やりたいことリスト」のほとんどは、お金がかからないものばかりで、その中にはこのブログを続けていくことも含まれています。

【関連リンク】
1397 早期退職はありかなしか
1394 あと半年に迫ったリタイア準備
1375 ハッピー・リタイアメントに向けて


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2020年5〜6月にみた映画 2020/7/8(水)

1448
海外特派員(原題:Foreign Correspondent)1940年アメリカ
監督 アルフレッド・ヒッチコック 出演者 ジョエル・マクリー、ラレイン・デイ

お馴染みアルフレッド・ヒッチコック監督映画はどの作品を見ても外れがないです。映画がアメリカで公開されたのは1940年で、その前年にドイツがポーランド侵攻を開始しています。

アメリカは当時まだ参戦していませんが、欧州では第二次世界大戦が始まっています。そんな戦争直前の映画ですから、日本での上映は戦後ずっと経ってからの1976年です。

そんなキナ臭いヨーロッパを舞台にした大戦前夜の謀略とミステリーが重なったシリアスなサスペンス映画です。ヒッチコックと言えばホラーやスリラーですが、暗殺されたはずの要人が実は生きているというように、その要素もちゃんと入っています。

主人公はタイトル通り、アメリカから英国へ厄介払いのように飛ばされた新聞社勤務の自称海外特派員です。

舞台は英国内だけに収まらず、ギリギリまで平和交渉がおこなわれていたオランダへ移り、言葉が通じない中で事件に巻き込まれ奮闘します。

緊迫したリアルなヨーロッパの姿がそのまま映画になっていて、その中に引き込まれてしまいました。

もちろん監督のカメオ出演もあります。実はその瞬間をなぜか見逃してしまったので、あとで調べてその箇所を再度見ると、これは見逃すはずがない!というシーンでした。主人公にあまりにも感情移入していて、その脇を通り過ぎる人にまで目に入ってこなかったというのは言い訳です。

★★☆

            

黄金狂時代 (原題:The Gold Rush) 1925年米
監督・主演:チャールズ・チャップリン 出演者:ジョージア・ヘイル

チャップリン制作の初めての長編映画で、1925年の公開当時は完全な無声映画だったそうで、その後、声の代わりとしてキャプチャーが入るようになりました。

驚くことに、当時はアメリカとはまだ仲がよく、この映画も同年に日本で公開されています。チャップリンが初来日したのは、「街の灯」(1931年)の翌年1932年(昭和7年)のことです。

この映画がアメリカで公開された1925年と言えば、日本ではNHKの前身東京放送局が初めてラジオ放送を開始し、娯楽の王様だった映画界では溝口健二監督、阪東妻三郎、嵐寛寿郎、大河内傳次郎などが活躍していた頃です。

アラスカを想像させる雪山へやってきた探検家がチャップリンで、そこでは金を掘りにやってきた人達で賑わっています。

吹雪に遭い、なんとか粗末な山小屋にたどり着いた探検家と、指名手配中の悪人、そして金鉱を発見したと思ったら、悪党に頭を殴られて記憶をなくした大男、そして街に暮らしている若くて綺麗な女性などで物語は展開していきます。

吹雪の中で山小屋に閉じ込められ、食べるものもなく、自分靴をゆでて食べるシーンや、悪人があまりにもお腹が減って、探検家がダチョウに見えて襲おうと追いかけ回すシーンとか何度見ても抱腹絶倒です。

この映画を最初に見たのは、中学生の頃ですから50年ほど前です。何度目かのリバイバル上映で、ちゃんとした映画館で見たことを思い出します。

★★★

            

殺人狂時代(原題:Monsieur Verdoux) 1947年 米
監督・脚本・主演チャールズ・チャップリン

制作されたのは太平洋戦争が終わった2年後で、まだ世界は戦後の混乱の最中でしたが、戦勝国アメリカは、自信と栄光を手にして浮かれている頃です。

監督・主演映画のほとんどは戦前・戦中に作られたもので、戦後になってからの作品は、「ライムライト」などわずか3本しかなく、これはそのうちの1本で貴重な作品です。

この映画を最初に見たのは、1972年のリバイバル上映の「モダンタイムス」を皮切りにして、チャップリン映画が大ヒットを続け、「独裁者」「街の灯」などとともにリバイバル上映された時でした。

今回、テレビ放映を録画し、内容はうろ覚えで知っているものの、十分楽しめました。

この作品はコミカルさはほとんどなく、社会の問題点を衝くリアリティとシリアルさが際立っています。それだけにチャップリン映画としての評価は大きく分かれるところです。

それまでのチャップリンのトレードマークだった山高帽にステッキとダボダボズボンなどはありませんし、顔も素顔に近い状態で、飄々とした冷酷な殺人鬼を演じています。

こうした作品が当時の戦争に大勝し浮かれた熱狂的な保守層からバッシングをうけ、やがてアメリカを去ることになります。

個人的には、コミカル路線の映画も好きですが、こうした社会の断面を切り取り、浮かれている世の中に警告を与える真面目な映画のほうが好きです。

★★★


            

真珠の耳飾りの少女 原題:Girl with a Pearl Earring) 2003年イギリス・ルクセンブルク合作
監督 ピーター・ウェーバー 出演者 スカーレット・ヨハンソン、コリン・ファース

一度見たら忘れない印象深いヨハネス・フェルメールの絵画「真珠の耳飾りの少女」をテーマにした美しい映画で、主人公はその画家と、その家で女中として働きながらモデルになった女性です。

ストーリーの原作は歴史小説が得意なトレイシー・シュヴァリエの小説で、史実を元にしているとかではなく、あくまで想像の産物のようです。

絵画の少女によく似た、スカーレット・ヨハンソンの(作られた)初々しさがとても良い作品です。

意味不明の行動や感情の動きが謎ではありますが。

真珠の耳飾りの少女フェルメール(1632〜1675年)はオランダ(当時はネーデルラント)出身の画家でバロック絵画の代表的な存在です。また光と影をうまく取り入れ「光の魔術師」と言われています。

この作品はバロック調とは言え宗教色はまったくありません。

家が貧しく女中に出された主人公の少女は、一風変わった主人のアトリエ部屋の掃除をすることで、主人に気に入られ、仕事の合間にモデルをすることになります。

なので、絵画に描写された服装が、きらびやかなドレスとかではなく、地味な作業服で頭巾をかぶった姿となっているのですね。

光と影の設定も窓の開け閉めなどを通じてよく説明されています。

ただその姿に相応しくない、真珠のピアスについての説明も理にかなった設定で、史実?かと思ってしまいそうです。

絵画好きなら、当時の画家の生活などがよくわかって、楽しめそうです。

★★☆

            

お早よう 1959年 松竹
監督:小津安二郎 出演者:佐田啓二、久我美子、笠智衆、杉村春子

60年前の古い映画で、私のような中高年者には、「ALWAYS 三丁目の夕日」のようにCGで表現されたちょっと無理ある風景ではなく、当時の本物の風景があちらこちらに出てきて感涙ものです。

私の場合は、この映画が作られたときはまだ赤ちゃんでしたからこの時代のことはほとんど記憶にないですが、団塊世代以上には、よく目にした光景でしょう。私の子供の頃にもまだその名残がいっぱい残っていました。

その団塊世代と思われる子供たちが映画の中でも、親に対して「テレビ買ってくれよー買ってくれよ〜!」と大騒ぎして大人達を困らせます。

ちょうど高度成長期が始まろうとしていた、日本がいろいろと社会的矛盾は抱えていたものの、暗い戦争時代から脱却出来、希望にあふれていた時代です。

淡々とサラリーマン一家の日常が描かれているだけの映画ですが、パリッとしたスーツを着て通勤する都会の郊外のこうした新しい生活が、当時としてはまだ多かった地方での第一次産業で働く人が見ると、憧れに近いものがあったのでしょう。

地方から続々と都会にやってくる集団就職はこの映画の数年後、1960年代から本格的に始まります。

★★☆


【関連リンク】
2020年3〜4月 翔んで埼玉(日 2019年)、影の軍隊(仏 1969年)、タバコロード(米 1941年)、デューン/砂の惑星(米 1984年)、海よりもまだ深く(日 2016年)、ベニスに死す(仏・伊 1971年)

2020年1〜2月 ペイルライダー(1985年)、アラバマ物語(1962年)、マスカレード・ホテル(2019年)、 疾風ロンド(2016年)、ブラジルから来た少年(1978年)

2019年11〜12月 億男(2018年)、バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(2016年)、マーニー(1964年)、赤ひげ (1965年)


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いきなりステーキの憂鬱 2020/7/11(土)

1449
2013年に登場し、新たなレストラン形態として、一躍脚光を浴び続けてきた「いきなりステーキ」が、危険水域に達しているようです。

「いきなりステーキ」が登場するまでは、一般的に外食で本格的なボリュームのあるステーキを食べようとすると、

(1)ひとり最低5千円以上は覚悟
(2)二人以上でレストランへ行く
(3)前菜やサラダなど副菜も
(4)時間をかけてゆっくり味わう

などが常識とされていました。

ステーキガストやビッグボーイ、フォルクスなど、ファミレス系で廉価なステーキに注力しているところもありましたが、やはりボリュームのある高級肉をガッツリ食べるような雰囲気ではなく、サラダやスープなどとともに、家族でワイワイとゆっくり味わう場所です。

それを吉野家的なファストフードスタイルで、そこそこ高級な肉を、安く、早く提供してくれる店で、世の中のガッツリ系男女の胃袋を射止めたかと思ってました。

私は、家の近所にも、会社の近所にもその店がなく、仕事も内勤中心で、店舗のある地域へ出掛けることもなかったので、行ったことはありませんが、そのうちチャンスがあればと以前から思っています。

ところが、マスコミや、珍しもの好きなネットでもてはやされ、一気に拡大策をとったものの、需要が伸びずに陰りが見えてきたその時に、コロナ禍で追い打ちをかけられています。

いきなりステーキやペッパーランチを運営するペッパーフードサービスの株価推移
ペッパーフードサービスの株価推移


いきなり!ステーキなど188店閉店へ 希望退職も募集(朝日新聞 2020年7月3日)
外食大手のペッパーフードサービスは3日、ステーキチェーン「ペッパーランチ」事業を投資ファンドJ-STARに約85億円で売却すると発表した。年内に「いきなり!ステーキ」を中心に計188店を閉店し、希望退職も募る。急激な店舗拡大に新型コロナウイルスが重なり、事業縮小に追い込まれた。

さらに積極的に海外進出もおこなってきましたが、それも裏目に出てしまい、米国子会社は破産法申請することになりました。

いきなりステーキの売上げ(棒グラフ)と店舗数(折れ線グラフ)推移です。
いきなりステーキの売上げ(棒グラフ)と店舗数(折れ線グラフ)推移

こうした状況を見ていると、なにか「牛丼」という新しいファストフードをひっさげて飛ぶ鳥の勢いで急拡大してきた吉野家が、ちょうど今から40年前、私が新入社員になったばかりの1980年に、会社更生法を申請し、倒産したことがダブってきます。

その時は、「えぇ!吉野家がつぶれてなくなるの!?」って思い、「今のうちに食いだめだ!」と当時勤務していた会社の近く、東京・新橋駅前の吉野家によく通いました。結局なくなりはしませんでしたけどね。

吉野家も急速な店舗拡大と、北米の海外事業の不振などがあり、さらに国内で輸入牛肉が高騰し、アッという間に業績が悪化してしまいました。

その後、良いスポンサーに恵まれて、再建されましたが、あのときそのまま消えていても不思議ではありませんでした。

こうした急拡大する事業では、どこでブレーキを踏むかというのが大切ですが、おそらくイケイケのカリスマ経営者に物言える幹部はいないでしょう。

このコロナ禍で、その他にも業績に急ブレーキがかかり、それまで過剰に借金して投資してきた資金が回るの?っていう企業がいくつもありそうです。

誰も、このような事態を想像出来るわけでもなく、「業績悪化は不可抗力だ!」と事業家は言いたいところでしょうけど、そうしたリスクを考えていなかったとすれば、それはやはり、事業家、経営者としては不適格だったということです。

【関連リンク】
1201 カレーライスは最強の国民食だが問題もあり
1015 丼飯を日本の文化として育てていきたい
938 成功者の美徳


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7月前半の読書と感想、書評 2020/7/15(水)

1450
にじいろガーデン (集英社文庫) 小川糸

2014年に単行本、2017年に文庫化された長編小説です。以前NHKで、著者の原作「つるかめ助産院〜南の島から〜」が放送され、それを時々見ていたので、すっかり原作の小説も読んだ気になっていましたが、この著者の作品を読むのはこれが初めてです。

「つるかめ助産院」のように、癒やし系のほのぼのとした物語かな?と思っていたら、そういう要素もありますが、これはLGBT家族の奮闘と、社会からの差別など様々な問題提起の小説でした。

2020年の今でこそ、先進的な一部の自治体では、パートナーシップ制度など、LGBTにも寛容な社会システムを作り、浸透しつつありますが、この小説が書かれた2014年時点ではまだまだ差別や偏見、それに理解してもらえない家族との絶縁など険しい状況だったでしょう。

もちろん今でもそうした差別や問題は変わらず残っているでしょうけど。

主人公の二人は年齢も育ちもまったく異なりますが、自殺しようとホームに立っていた女子高生の前に、もうひとりの子育て中で夫と別居中の中年女性が心配して声をかけます。

それがきっかけで、二人の女性は仲良くなり、行動的な女子高生の強い希望で、別居中の夫とは離婚し、子連れで知り合いが誰もいない遠くへ駆け落ちをすることになります。

タイトルの「にじいろ」は、1970年頃から使用されるようになったという、レインボーフラッグというLGBTの社会運動を象徴する虹色の旗からきていて、二人が東北?の寒村で住居用として借りた、元小学校だった建物にその旗を立てたことからきています。

当然、そうした保守的な寒村ということもあり、なかなか理解を得るどころか、嫌がらせなども続きますが、二人とその子供達の成長が清々しくたいへん面白く読めました。

最後は残念ながら、ハッピーエンドではなく、そのことに様々な意見はあるでしょうけど、無理矢理、予定調和的な円満、万事解決で終わるより、LGBTの厳しい現実などを象徴するかのように自然で良いのかも知れません。

★★★

            

僕は人生についてこんなふうに考えている (新潮文庫) 浅田次郎

2003年に単行本、2006年に文庫化された、著者の多くの作品の中からテーマ毎に一部を抜き出したアンソロジー的な内容です。

読むまでは知らなかったのですが、著者がこの本のために書いたのは「あとがき」だけで、想像ですが、出版社の熱烈な浅田ファンの編集者が「私が過去の著書から抜き出しますから、それで1冊作らせて!」と頼んだのではないかなぁーと。

なので、著者の作品だと思って読むと、正直ちょっとガックリです。

と言うのも、ごく一部だけ小説の登場人物が発する言葉や、著者のエッセイのひと言を抜き出し、それらを寄せ集めただけのものですから、感動もなければ、わくわく感もありません。

せめて、エッセイだけから抜き出しているのなら「僕は・・考えている」もわかりますが、小説の登場人物の言葉を抜き出して、それを「著者の考え」というのはあまりにも乱暴すぎます。

これじゃーこの本の著者名は浅田次郎氏ではなく、○○編集部編ってするのが正しそうですが、それじゃー売れませんものね、、、

そんなわけで、著者にはなんの不満も恨みもありませんが、Amazonに1円で並ぶぐらいの評価するに値しないつまらないものでした。

☆☆☆

著者別読書感想(浅田次郎)

            

健康格差 あなたの寿命は社会が決める (講談社現代新書) NHKスペシャル取材班

2016年にNHKで放送された「NHKスペシャル 私たちのこれから#健康格差〜あなたに忍び寄る危機〜」のために2年半も取材した内容を、番組だけでは放送しきれない部分を含め再構成された2017年に発刊された濃い内容の新書です。

私自身、先月末でリタイアし、これからは健康年齢を高める努力をしつつ、残りの人生を思いっきり楽しみたいので、この健康問題についてはいま一番興味あるテーマです。

本書では、「世代間の健康格差」「都市部と地方の健康格差」「地域コミュニティーの健康格差」をデータや実例をあげてわかりやすく解説されています。

さらに健康格差の解消に向けた提案などもあり、公共放送局のNHK取材班らしく、危機感を大げさにあおるのではなく、悲観的でもなく、無難にサラッとまとめてありますが、その代わりに、読み終わってもさして印象に残らないのは残念なところです。

★★☆

            

幻夏 (角川文庫) 太田愛

著者はドラマや映画、特撮ものなどの脚本家として有名な作家さんで、小説も4作ありますが、著者の作品を読むのは今回が初めてです。この著書は2013年に単行本、2017年に文庫化された長編小説です。

まず読んでみて思ったのは、脚本家らしく、情景描写が細かく丁寧で、自然とその場面の映像が目に浮かぶような書き方です。

例えば、「繁藤修司が雑居ビルの階段を駆け上がる軽快なスニーカーの歩調に合わせて、紙袋の中のオニオンリングがカサカサと美味しい音をたてた。しかし、軽快な歩調に反して修司の心は重かった。(18ページ)」は、ストーリーにはなにも関係がない描写ですが、すべてに渡ってこのような視覚に変換しやすい、さらに言えばこれを演じる役者が、自分がこの役をどう演じれば良いのかが理解出来る書き方です。

ストーリーは、調査会社(探偵)をやっている男が、23年前に起きた男児失踪事件にまつわる調査依頼をその行方不明になった男児の母親から受けますが、調べて行くうちに謎が謎を呼んでいきます。

それと同時に元検察官だった男の孫の女児が誘拐され、容疑者として元裁判官の息子が別件逮捕されます。

そして23年前に行方不明となった男児と幼馴染みだった男が現在刑事になっていて、女児が誘拐された事件に関わりますが、23年前男児が行方不明になった場所に刻まれていた同じマークが、今回の女児が誘拐された場所にもあることを発見し、事件が23年前の失踪とつながっていることを確信します。

新たな証言や発見から物語は二転三転していき、ちょっとややこしいのですが、たいへんよく考えられたストーリーで、映像化が頭の隅にあったのでしょうか、そのまま実写ドラマ化が十分可能な内容です。まだドラマや映画化はされていませんが、そのうち実現するのではないでしょうか。

ただ、小学生に刑事などを騙す凶悪犯罪の隠蔽がとっさの判断でできるのか?襲われて大きな怪我をしたホームレスだった身元不明の少年を警察や役所がなにも調査せずに里親に引き渡すか?って考えるとどうもそのあたりのリアリティがなく詰めも甘い感じがします。

★★☆

【関連リンク】
 6月後半の読書 あなたの人生、片づけます、羊と鋼の森、大学大倒産時代、無私の日本人
 6月前半の読書 愛なんて嘘、定年後 年金プラス、ひとの役に立つ働き方、儚い羊たちの祝宴、真鍮の評決
 5月後半の読書 東京バンドワゴン、再会、怒らない技術、ブラックボックス


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再びゴルフ場とゴルフ人口の推移 2020/7/18(土)

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5年前にゴルフ場の推移を調べて書きましたが、あれから5年後のいまどのようになっているのか調べてみました。

というのも、仕事をリタイアして、運動と言えば、お金のかからないウォーキングや、自宅で腹筋、腕立て伏せ、ストレッチをするぐらいで、気分転換にもならないので、10数年ぶりにゴルフに復帰しようかなと考えているもので。

平日の昼間に一緒にコースを回ってくれる仲間がいるのか?と聞かれるとちょっとツライのですが、近々引退する昔の同僚や先輩などに、今から声をかけているので、なんとかなるでしょう。

それに平日だと、同様な、ゴルフ友達のいない人は多そうで、Rakuten GORAというサイトでは、ひとり予約が可能で、見知らぬ2〜4人をマッチングしてくれます。まだそうした予約ができるコースは少ないですが、ゴルフ人口が減っていく中で、生き残りをかけた様々なサービスが充実していきそうです。

そう言えば、昔は熱海や箱根のホテルや旅館は、団体旅行専門あるいは優遇のようなところが多かったのですが、社員旅行や国内修学旅行需要が激減していく中で、早々に部屋ごとに風呂を作って個人客を優遇するように早く切り替えたところが人気があります。

5年前に書いたブログはこちらです。

ゴルフ場と利用者の推移 2015/11/14(土)

上記のゴルフ場数、延べ利用者数は2013年までのデータを元にしたグラフでしたが、今回は2017年までのデータを含めたグラフです。

まずは、ゴルフ人口ですが、データ出典は、公益財団法人 日本生産性本部 余暇創研の「「レジャー白書2019」です。

ゴルフ人口推移

ゴルフ人口は2001年の1340万人から、2018年の670万人と17年でちょうど半減しています。

ま、ゴルフ人口が1千万人というのは、20歳以上人口約1億人の10分の1、つまり10人にひとりがゴルフをプレイしているということで、ちょっと実感と合いませんが、最近は子供や学生がゴルフの練習をしていることもあるので、母数が20歳以上というのではなく、もっと多いのかも知れません。

次に、ゴルフコースに行った(プレイした)人の年間延べ総数と、営業しているゴルフ場数の推移で、出典は、一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会の「利用税の課税状況からみたゴルフ場数、延利用者数、利用税額等の推移」からです。

利用税の課税状況からみたゴルフ場数、延利用者数、利用税額等の推移

ゴルフ場の数は2002年の2460カ所を最多として、2010年頃までは横ばい、その後は明らかな減少傾向にあります。やはりリーマンショックが大きな転機となったようです。

延べ利用者数はバブルの崩壊間際1992年に延べ1億人超え(ひとりが何回も利用しているため)し、その後2001年まで9000万人を維持していましたが、ここ数年は8500万人程度に落ち着いています。

さらに、ここ最近10年間のゴルフ場数と延べ利用者数の実数と前年比です。

ゴルフ場 前年比 延べ利用者(千人) 前年比
2008年 2,442 100.0% 90,786 102.0%
2009年 2,445 100.1% 91,642 100.9%
2010年 2,432 99.5% 88,061 96.1%
2011年 2,413 99.2% 84,327 95.8%
2012年 2,405 99.7% 86,745 102.9%
2013年 2,386 99.2% 86,746 100.0%
2014年 2,336 97.9% 86,505 99.7%
2015年 2,317 99.2% 87,753 101.4%
2016年 2,282 98.5% 85,780 97.8%
2017年 2,257 98.9% 85,538 99.7%

10年間の前年比をみるとわかるように、ここ数年は、どちらの推移もほとんど横ばい状態が続いています。

これは、想像ですが、リタイアした団塊世代が平日に趣味として楽しむのと、団塊ジュニアがちょうどゴルフを楽しむ余裕ができたこと、さらに、高校や大学などの部活でも人気があるように、広い世代にゴルフが普及していることもあるのでしょう。

ただ人口減少と、今までゴルフ好きで主力客だった団塊世代が後期高齢者となり、ゴルフからも引退していきますので、決して将来は明るくありません。

さらに2020年前半、コロナ外出自粛により、他の産業と同様にゴルフ場利用者も大幅に減ってしまいましたので、その影響がどの程度あるのか、ちょっと心配な感じです。

石田純一氏が沖縄でゴルフをプレイしていてコロナに感染したという報道があり、また茨城のコースで感染者がプレイしていたという報道もありました。

そうしたゴルフは危険というムードができてしまうと、よほど好きな人はともかく、付き合いや運動がてらに行っていたプレイヤー達は自粛するでしょうし、コンペや大会のような大人数でおこなうイベントもできなくなります。

また5年後ぐらいにこうした統計データをまとめてみたいと思います。

【関連リンク】
1135 ゴルフクラブについて
973 ゴルフ場と利用者の推移
936 休日はごろ寝がいい


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貯まった1円玉はどうする? 2020/7/22(水)

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コロナ禍で国民が一斉に外出自粛をした際に、「じゃー家でなにする?」ってなったときに、一番考えられるのは、不要になった家具や日用品、衣服の整理と処分です。ゴミの量が普段の1割も増えたところもあるそうです。

硬貨そして、3%の消費税がスタートした1989年以来、各家庭内で人知れず溜め込まれてきた1円玉、5円玉が大量にあることに気がつき、銀行や郵便局へもっていって入金しようとする人が急増しました。

私もご多分に漏れず、貯まっている1円玉、5円玉、10円玉をこれ以上家に置いておくのは無駄だと思い、どう処分すれば良いかをいろいろ検討してみました。

調べてみると、1円玉の処分にみなさん結構苦労しているようです。

まず銀行での両替ですが、手数料が取られるようになり、実質的に「貧乏人は来るな!」という構えです。

三菱UFJ銀行では一般手な両替機は10枚までしか両替できず、それ以上両替をするには両替機専用カードを別に作る必要があります。

そしてそれを使って両替すると、11〜500枚で300円の手数料が取られます。例えば200枚の1円玉(200円)を100円硬貨2枚に両替しようとすると300円の手数料を取られるって、オイッ!

ならば、入金はと言うと、昔のATMでは、パカッと開くコイン入れにぶっ込めば自動的にカウントしてくれたそうですが、今のATMでは硬貨を1枚ずつ硬貨投入口に入れなければなりません。しかも一度に入れられるのは100枚までで、それ以上入れると戻ってきます。

これって、銀行がそうした「小銭なんか受け入れたくないぞ!」と意思表示をしているのに等しいということ。

窓口へ行って入金しようとすると、入金依頼書に金額を記入して提出する必要があり、あらかじめ枚数(金額)を調べて持っていかないと受け付けてくれないそうです。

しかも、101枚以上の入金では「大量硬貨取扱手数料」というのがかかるそうです。もう無茶苦茶。

確かに銀行の人件費は半端なく高く、そうした硬貨のことで大事な時間を使い患わせてくれるな!ということもわかりますが、ならば、自然に貯まってくる少額硬貨はどうすりゃいいの?と考えてしまいます。

人に面倒をかけたくないので、1円玉が使える自販機があれば、缶コーヒーが多少高くてもそれで買うのになぁーて思いますが、そうした自販機はないし、かと言って、財布の中に一円玉をジャラジャラとさせ、いつでもすぐに出せるように持っているのもアホらしい。

銀行が相手にしてくれないのなら、規制緩和して、パチンコ屋でパチンコ玉を流し込むと自動的に計算して玉数をプリントアウトしてくれるように、1円玉など硬貨を流し込むと自動的に計算してその金額に応じた景品と交換ができるようにしてくれるとかあればありがたいのですけどね。

一方では国策としてはキャッシュレスを推進していて、今後ますます少額硬貨の使い道がなくなっていきそうです。

少額硬貨の有効利用法としては、コンビニやスーパーのレジによく置いてある寄付用の箱やビンの中にまとめて入れるっていう手もありますが、別に寄付が嫌とか、店員さんを信用しないわけではないのだけど、それもなにかスッキリしないなぁ〜と。

あと、神社や寺社への参拝でお賽銭で、手に山盛りの塩を土俵にまく大相撲の旭日松のごとく、硬貨をまき散らす!っていうのも考えましたが、お清めの塩ならともかく、硬貨をそのように扱うのはどうも品性に欠けるし、大手の寺社なら取引銀行が来てカウントしてくれるのでしょうけど、普通は寺社の人がお賽銭を数えて銀行へ持っていくことになり、それも迷惑なことでしょう。

結局は、

空いている時間にATMで100枚ずつチマチマと入金する

というのが妥当でしょうかねぇ、、、

【関連リンク】
1425 リタイア後に取引銀行はどうすれば良いか
1140 三和銀行のダブルポケット
1131 平均貯蓄高1820万円


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ビザなし渡航できる最強パスポートは日本が3年連続世界一 2020/7/25(土)

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パスポート5年前の2015年に「visa(査証)なしで何カ国へ渡れるのか」という記事を書きましたが、その時は日本人が持つパスポートでビザなし渡航ができる国や地域は、カナダやフランスなどと並び170カ国で、世界の中で11位でした。

その後、ビザなし渡航できる国ランキングは増え、トップクラス入りをしたことはなにかで読んで知っていましたが、2018年以降は、なんと3年連続世界一位なのですね。

ちょうど国策でインバウンド需要に力を入れようとしていたことも関係がありそうです。

つまりビザなし渡航は基本的には相互の国同士でビザなし入国を認め合うことが多い(その限りではありません)ので、外国人観光客が来日しやすいようにビザなしにすることは、逆に相手国にもビザなしで入れることになります。

Henley Passport Index 2020」(英語、PDF)から、ビザなし渡航ベスト30カ国(左)とワースト30カ国(右)をわかりやすく並べておきます。国名の後ろの数字が、ビザなし渡航ができる国や地域の数です。

順位 ビザなし渡航ベスト30 順位 ビザなし渡航ワースト30
1 日本 191 170 ブルンジ 50
2 シンガポール 190 170 エジプト 50
3 ドイツ 189 170 ラオス 50
3 韓国 189 173 カメルーン 49
5 フィンランド 188 173 ハイチ 49
5 イタリア 188 173 リベリア 49
5 ルクセンブルグ 188 176 コンゴ共和国 48
5 スペイン 188 177 ジブチ 47
9 オーストリア 187 177 ミャンマ 47
9 デンマーク 187 179 ナイジェリア 46
11 フランス 186 180 エチオピア 44
11 アイルランド 186 181 南スーダン 43
11 オランダ 186 182 コンゴ民主共和国 42
11 ポルトガル 186 182 エリトリア 42
11 スウェーデン 186 182 スリランカ 42
16 ベルギー 185 185 バングラデシュ 41
16 ノルウェー 185 185 イラン 41
16 スイス 185 187 コソボ 40
16 英国 185 187 レバノン 40
16 米国 185 187 スーダン 40
21 チェコ 184 190 北朝鮮 39
21 ギリシャ 184 191 リビア 38
21 マルタ 184 191 ネパール 38
21 ニュージーランド 184 191 パレスチナ自治区 38
25 オーストラリア 183 194 ソマリア 33
25 カナダ 183 194 イエメン 33
27 ハンガリー 182 196 パキスタン 32
28 リトアニア 181 197 シリア 29
28 ポーランド 181 198 イラク 28
28 スロバキア 181 199 アフガニスタン 26

調査対象になっているのは、国際航空運送協会(IATA)の世界の国や地域199カ国(地域)が対象です。

日本は世界の195カ国を独立した国家として承認していますが、その他に承認していない国家や地域なども含めると249カ国・地域があります。

IATAの199カ国のうち、、191カ国(カバー率96%)にビザなし渡航ができるってことは、それだけ国や日本人が世界の中で信用度があり、他国と友好関係を持っているということです。また国内外で大きな紛争も少なく、平和な国であることも意味しています。

しかしそんな日本のパスポートでも入国時にビザが必要な国がまだ33カ国あります。IATAで把握する国数と、国連等で認める国家、地域と違いがあるので、数字的には一致しません。

その日本人でもビザなしで行けない33カ国とは、

ロシア、北朝鮮、アルジェリア、アンゴラ、ブルキナファソ、ブルンジ、カメルーン、チャド、中央アフリカ、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、コートジボアール、赤道ギニア、エリトリア、ガンビア、ガーナ、リビア、マリ、ニジェール、ナイジェリア、シエラレオーネ、南スーダン、イラク、シリア、サウジアラビア、イエメン、キューバ、ナウル、アフガニスタン、ブータン、トルクメニスタン、パキスタン、リベリア

昨年まではブラジルがこのビザ必要国に入っていましたが、いまは必要なくなりました。そのように、一国一国減らしていけると良いですね。

表のベスト30とワースト30に含まれていない(ランキング中間の)よく知っている国としては、

Vatican City(バチカン市国) 149
Taiwan (台湾) 146
Russian Federation(ロシア) 118
Turkey(トルコ) 111
Thailand(タイ) 78
Saudi Arabia(サウジアラビア) 77
China(中国) 74
Indonesia(インドネシア) 71
Philippines(フィリピン) 67
India(インド) 58
Vietnam(ベトナム) 54

などがあります。(後ろの数字はビザなし渡航できる国や地域数)

驚くのは世界中から日本の2倍以上のインバウンド観光客(短期ビジネス客も含む)を集めている外国人訪問者数ランキング世界第4位の中国(日本は11位)ですが、中国人が国外へ出ようとすると、半分以上の国でビザが必要となります。

裕福な中国人ビジネスマンは、世界中どこにでもビザなしでいける日本のパスポートを取りたがっている(欲しがっている)と、なにかで読みました。合法的に国籍を取ってなら良いですけど、偽造パスポートや違法手段で入手したものが出回るのは困りますね。

同様に日本のようなオールマイティに使えるパスポートは、世界で暗躍するスパイにとっては便利なもので、某国諜報員は、日本のホームレスや行方不明者の名前と戸籍を使って、公式のパスポートを作っているという話しも聞いたことがあります。

またタイも入国する外国人観光客数は日本よりも多いのですが、タイ人が国外へ出るためには半分以上の国でビザが必要となります。

現在はコロナ騒動で、現在は各国がそれぞれの基準で外国人の入国禁止や制限をかけています。

早くそのような異常事態が収束して、世界を自由に行き通えるようになると良いですね。

【関連リンク】
1382 気のおけない仲間との旅行
911 visa(査証)なしで何カ国へ渡れるのか
485 マイカーで東京から京都まで旅行する場合 その1


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交通事故の過失割合は妥協の産物 2020/7/29(水)

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ドライブレコーダーが普及してくるまで、交通事故が発生したときは、その当事者や目撃者の証言と、事故後の発生現場の状況から推論するしかありませんでした。

過失割合という点で、よく問題となるのは、クルマ同士が衝突、あるいは接触したような場合です。

交通事故明らかに片方に酒酔い運転、信号無視、一旦停止違反など重大な違反があれば、全責任を加害者側がもつこともありますが、そうでない場合、一般的には50:50〜40:60という過失割合に認定されることが多いです。

つまり、片方が道交法違反や重大な過失があっても、走行中同士の事故はなぜか過失割合は加害者側5〜6割、被害者側5〜4割となってしまいます。

私がこれを思い知らされたのは、片側2車線の道路で、右側の車線を走っているクルマの後方、左側の車線を走っていたところ、右前のクルマがウインカーも出さず、突然左へ車線変更をしてきて、避けきれずに接触したことがあります。

その時相手のドライバーは「後方にいたとは知らなかった」と全面的に自分のミスを認めて謝罪しました。

深夜だったことと、接触で物損だけでしたので、警察は呼ばず、修理費用については保険会社同士で話しをしようとなりましたが、その結果、過失割合(修理費用の負担)は相手が60、私が40と決着しました。

それを保険会社から聞いたときに、「相手の道交法違反(進路変更指示違反、後方確認違反)で起きた事故なんだから、こちらに4割も責任があるのは納得できない。こちらはなにも違反はしていない」と言いましたが、保険会社としては「双方が走行中の事故なので、相手が悪くても6:4の割合が妥当」と言われ、どうもモヤッとしましたが、そのように決まっているとのことでした。

同様のケースで、私は助手席に乗っていた時ですが、大きなリゾート地の中の私道で、こちらは大きなミニバンで多数乗せていたので上り坂をあえぎながらゆっくり走っていました。

そこへ上から猛スピードで下ってきた施設の従業員が運転する乗用車がセンターを超えて(センターラインはなし)突っ込んできて、相手は止まりきれず、接触したことがありました。これも相手の過失が6割、こちらが4割でした。接触したときにはこちらは停止していたのですけどね。

この走行中の6:4の過失割合は、結局は双方の言い分だけで決めなければならないことから、暗黙の妥協として決めていると思われます。

つまり物損の接触事故など毎日何千件も起きている(2017年人身事故だけで1日平均1300件以上発生)でしょうし、それをいちいち現場検証をして目撃者を探し、近所の防犯カメラを探して見せてもらい、時にはクルマの異常やECUの走行データを解析するということなどできるハズもありません。

そうしたことから、自分は安全運転をしていて、理不尽に思っても、常に事故の過失リスクを背負っているものと運転する人は理解しておく必要があります。

しかし、最近はドライブレコーダーを装着するクルマが増えてきたことで、今まで目撃者がなく、双方の言い分だけで妥協した決着をしていた事故の場合でも、記録映像を添えて裁判に訴えることで、例え双方が走行中の事故でも、相手に大半の過失があったと主張することができるようになってきました。

もちろん被害者側にも、適正な車間距離をとっていなかったとか、スピード違反をしていたとか過失があればそれは当然過失割合に加味されることにもなります。

いずれにしても、今まで妥協の産物だった6:4の交通事故過失割合が、今後いくつもの判例を元にして変わっていくかも知れません。

【関連リンク】
1081 高齢ドライバに対する偏見と規制
864 衝突安全性テストについて
800 高齢化社会で変化している交通事故の統計を見る

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