リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)
リストラ天国 日記(BLOG)

読書感想INDEX

米澤穂信 YONEZAWA HONOBU 既読書籍

007 王とサーカス
006 追想五断章 005 儚い羊たちの祝宴 
004 満願 003 氷菓
002 折れた竜骨(上)(下)  001 ボトルネック

読書感想は2010年頃以降に書くようになりました。それ以前に読んだ本の感想はありません。


1978年岐阜県生まれ。金沢大学文学部卒業。大学卒業後は「2年間だけ小説の夢にチャレンジしたい」と両親を説得して、岐阜県高山市で書店員をしながら執筆を続ける。そして2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞してデビュー。続いて『愚者のエンドロール』が刊行された。2010年発表のファンタジーテイストを取り入れた本格推理小説『折れた竜骨』は日本推理作家協会賞を受賞した。2021年『黒牢城』で第12回山田風太郎賞を受賞。2022年同作で第166回直木三十五賞。(Wikipediaより引用 2022年)


Amazon書籍売れ筋ランキング
ビジネス・経済 ビジネス実用本 文庫 新書 文芸作品 
ノンフィクション ミステリー・サスペンス SF・ホラー・ファンタジー

歴史・時代小説 経済・社会小説 趣味・実用 コミック

007 王とサーカス(創元推理文庫)

2015年に単行本、2018年に文庫化された長編小説です。「このミステリーがすごい!」などで1位を獲得しています。

日本人が知っていそうでほとんど知られていない国のひとつにネパールがあります。この小説の舞台はネパールで、新聞記者を辞めた後、フリーライターとして旅行ガイドを書くために主人公の女性がネパールを訪れます。

そしてネパールで拠点とする安ホテルに到着してからまもなく、ネパールで国王が殺されるという事件が発生します。

この事件は事実を元にしているのか?と思って調べたところ、2001年に起きた「ネパール王族殺害事件」をモチーフとして使っているようです。

その事件は謎が多く、外出禁止令などが出され、国民の不満から暴動を生み始め、元記者だった主人公はフリーライターとしての最初の記事としてこの事件を追いかけることにします。

同じ安宿に宿泊しているのが日本人の僧侶、アメリカ人学生、インドの商人などくせ者揃いで、観光客に土産物を売って生活を支えている子供をガイド役にして取材をしていきます。

最初タイトルをみてどういう内容かはまったく想像がつきませんでした。

主人公がホテルの主のコネで国王が殺された王宮内で警備をしていたという兵士に、事件について単独インタビューをしたとき、その兵士からはなにも聞き出すことはできず、「お前はサーカスの座長だ。お前の書くものはサーカスの演し物だ。我々の王の死は、とっておきのメインイベントというわけだ」というマスメディアが「人の不幸は蜜の味」として面白おかしく報道することが多いことを皮肉を込めて言ったことからきています。

その兵士がインタビューの後に何者かによって惨殺され、直前に会っていたことが警察に知られ、主人公は警察に連行されます。

やがて疑いは晴れ、次に狙われるかもしれないと刑事がガードすることになり、その刑事と共になぜ兵士が殺されたのかを突き止めていきます。

ネパールのことを少しだけでも知れたことと、事件の意外性もあって、面白く読めました。

★★☆

6月後半の読書と感想、書評 2022/7/2(土)

006 追想五断章(集英社文庫)
2009年に単行本、2012年に文庫化されたちょっと変わったミステリー小説です。

最初内容はまったく知らないまま、タイトルだけで判断すると、この著者としては小難しそうな内容なのかな?と勝手に判断していましたが、そうではなく(やや解釈自体に難しさはありますが)、長編小説の中に短編小説が5つも出てくるというなかなか凝った作りの小説でした。

主人公は静岡から東京の大学へ進学したものの、1年前に実家の父親が不慮の事故で亡くなったことで、仕送りが滞りやむなく学校を休学中で、居候させてもらっている叔父の古書店を手伝っている若い男性です。

この古書店の主の叔父というのが良い味を出してますが、主人公にとってはなにか助けてもらえる存在というわけではありません。

主人公はなんとかアルバイトをして学費をため復学したいと思っていますが、そんなときに、来店した女性客から「亡くなった父親が書いた5篇の短編小説を探して欲しい」と頼まれ、謝礼を出してもらえることから、叔父には内緒で引き受けます。

ここからがミステリーに入っていくのですが、その短篇を書いた女性の父親には、外国を妻と旅行中に妻がホテルの部屋で首を吊って自殺をしたということで、実は夫が殺したのではないか?という噂がありました。

その自殺と、この短篇5篇が関わっていることが徐々に明らかとなっていき、、、というストーリーで、さらにこの5篇の短篇はいずれもリドルストーリーという最後まで残った謎が解けないまま終わる体裁で、最後の1行だけが別に保管されているというややこしい設定です。

リドルストーリーで有名な日本の小説には芥川龍之介の「藪の中」があります。その他にも既読の小説では貫井徳郎氏の「微笑む人」などもそれにあたりそうです。

実は先に読んだ恩田陸氏の直木賞受賞作品「蜂蜜と遠雷」を読んだときの感想で、「個人的にはコンテストの最終順位は小説では披露せず、読者の想像に任せるという手でも良かった」と書きましたが、まさに読者に長い小説の余韻を残して終わるやり方もありだろうなぁと思った次第です。

いずれにしても、たいへん読み応えのある良い作品でした。

★★★

4月前半の読書と感想、書評 2022/4/13(水)

005 儚い羊たちの祝宴(新潮文庫)
2008年に単行本、2011年に文庫化された短編集です。短編のタイトルはそれぞれ「身内に不幸がありまして」「北の館の罪人」「山荘秘聞」「玉野五十鈴の誉れ」「儚い羊たちの晩餐」で、いずれも名門家の令嬢ばかりが通う女子大学の読書クラブ「バベルの会」が共通して関わってきます。と言っても連作スタイルではありません。

一応、ミステリー小説ですが、一部はホラー小説とも言えるようなブラックユーモア(と言ってもまず笑えませんが)的要素も含まれます。

その中で面白いと思ったのは「山荘秘聞」で、誰も客が来ない別荘の管理を任されていた女性が、近くの山で事故に遭った瀕死の登山家を助け、別荘で看病しますが、その動けない登山家を別荘で軟禁し、遭難した登山家を救助するためにやってくる捜索隊を別荘の客として迎えることに管理人として満足を得ます。

なんだかスティーヴン・キング著の小説で映画も大ヒットした「ミザリー」を思い出しましたが、この作品が一番上記に書いた「バベルの会」とはほとんど関係がなく、無理矢理その話しに向かわせなかったことが好感を持ったのかも知れません。著者の狙いとは違うかも知れませんが。

著者の作品は過去にまだ4作品しか読んでいませんが、いずれも長編作品でしたので、短編の実力もよくわかりました。でもやっぱり「折れた竜骨」のような、壮大な長編が読んでいて楽しいです。

★★☆

6月前半の読書と感想、書評 2020/6/17(水)

004 満願 (新潮文庫)
2014年に単行本、2017年に文庫化されたベストセラー短編小説集です。短編のそれぞれのタイトルは、「夜警」「死人宿」「柘榴」「万灯」「関守」「満願」で、6編が独自のストーリーとして構成されています。

その中の3編、「夜警」「万灯」「満願」は、この8月にNHKでドラマ化され放映されていました。

そのドラマはすべて見ましたが、その中の「万灯」は、映画でも主役を張れる俳優の西島秀俊が本格的な海外ロケをおこない、制作費が少なくて安いギャラのお笑い芸人を使ったバラエティぐらいしか作れない民放では製作不可能な1時間ドラマです。

6編のうち、ふたつを簡単に紹介しておきます。

まずテレビドラマ化もされた「万灯」。バングラデシュで天然ガス開発のために赴任した商社マンが主人公で、その開発の拠点とするためにある村に目を付けて、交渉を始めます。

ところが、英国に留学した経験があるこの村の若いリーダーが、この国の資源は自国の発展のために使うからと交渉が進みません。

そうこうしていると、村の若いリーダーと対立している別のリーダー達から、開発で村が裕福になるなら、拠点として村を使っても良いと話しが来ます。

ただしそれには条件がつき、それが資源開発に反対する若いリーダーを殺してくれというもので、背には腹を変えられず、それに従うことになりますが、、、

ただ、普通の商社マンが、仕事のためなら簡単に人を殺してしまうと言う設定は、会社のためなら命がけで競争に明け暮れた高度成長期の頃の商社マンならともかく、現代の風潮から言ってちょっとどうなのかなと。

もうひとつは、「関守」という短編で、これは他の作品と少し違う、ブラックミステリー。

伊豆の峠道でクルマの転落事故が相次いで起きた場所があると聞き、それをネタにした怪奇現象記事を書こうと考えたフリーライターが、その峠近くに古くからあるドライブインへ行き、店を守る老婆から過去に起きた事故や、立ち寄った人のことを聞き出します。

事故に遭った人はそれぞれ年齢や職業など様々ですが、事故を起こす前にみなこのドライブインに立ち寄っていることを知ります。

そして詳しく話しを聞いていくうちに、なぜそれらの人達が崖から転落して亡くなってしまったのか、それを聞いたライターは、、、

と、かなりスリル満点で、どの作品も面白かったです。

★★★

9月後半の読書と感想、書評 2018/10/3(水)

003 氷菓 (角川文庫)
2001年に出版、2006年に文庫化されたライトノベル「古典部シリーズ」の第1作目となり、著者のメジャーデビュー作品です。

この「古典部シリーズ」は、「愚者のエンドロール」(2002年)、「クドリャフカの順番」(2005年)、「遠まわりする雛」(2007年)、「ふたりの距離の概算」(2010年)、「いまさら翼といわれても」(2016年)と、6作品がすでに出版されていて、人気シリーズとなっているようです。

またこの作品を原作として2012年にテレビアニメ、2017年には実写映画が公開されています。

実写映画の監督は安里麻里、出演者は山ア賢人、広瀬アリスなど。もちろん見てません。

こうした青春学園もの小説は苦手というか、もう還暦を迎えたおっさんが読んでも感情移入もできず、つい敬遠しがちなのですが、読書感想や書評では好評ということで、読んでみました。

形式的には連作短編のようなスタイルをとり、高校に入学した主人公が姉の命令で潰れかかっている古典部に入部し、そこで出会った豪農の令嬢、幼なじみの親友などとともに、不可解な謎を次々と解いていくというものです。

シンプルでありながら、短編という読みやすさから、普段からあまり読書に馴染がない高校生でもちょうどよいのではないでしょうか。

★★☆

6月後半の読書と感想、書評 2018/7/4(水)

002 折れた竜骨(上)(下)(創元推理文庫)
2010年単行本、2013年に文庫化されたミステリー小説で、それまで著者が得意としてきた青春ミステリーから大きく舵をきって12世紀頃、中世ヨーロッパファンタジーロマンあふれる推理小説となっています。

12世紀というと日本では平安時代末期から鎌倉時代というあたりになります。まだ大砲や鉄砲はなく、戦争は刀と槍で戦うという時代です。それ故にヨーロッパでも日本でも華やかな甲冑文化が花開いた時期でもありそうです。

小説の舞台は大英帝国のそばで、北海上にある架空の島、ソロン島で、民族間の闘いのため、妖術というか魔術が幅を利かせています。そう言えば日本でも平安時代には陰陽師など魔術?使いが大きな顔をしていた時代がありました。

この頃のヨーロッパは、ローマ帝国、フランス王国、イングランド王国、デンマーク王国、ポーランド王国、ハンガリー王国などが群雄割拠していて、日本で言うなら差し詰め、時代は異なりますが国盗り合戦が繰り広げられた戦国時代の様相が思い浮かびます。

また当時ヨーロッパでは南からジワジワと勢力を拡大してくるイスラム系諸国と、カトリック系キリスト教の遠征軍(十字軍)が各地で激しい闘いをおこなっていた頃です。

そうした中で、ソロン島を支配していた領主が何者かに暗殺され、妖術を使って暗殺を謀る騎士を追ってやってきた騎士とその従卒の弟子が犯人を捜すというのが荒っぽい全体のストーリーです。

中世ヨーロッパを舞台にした犯人捜しの推理ミステリーということになりますが、犯人当て、なかなかこれが難しい。誰もが疑わしく、誰もが根拠に乏しく、一気に激しい戦闘が繰り広げられるラストまで息をつくことができません。

ま、「一番疑わしくない者が犯人」というセオリーは生きていますが、すっかり騙されました。

著者の本では、以前「ボトルネック 」を読みましたが、これにはガッカリさせられ、今回もあまり期待はしていませんでしたが、面目躍如、本当に同じ作者か?と天と地の違いを感じました。

★★★

11月後半の読書と感想、書評 2016/11/30(水)

001 ボトルネック (新潮文庫)
著者は2001年にデビューした若手の推理小説作家で、この本が8冊目の長編小説となり2006年に単行本、2009年に文庫が発刊されています。

私はこの著者の作品を読むのは今回が初めてですが、9作目の作品「インシテミル」(2007年刊)が原作となり、数年前に「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」というタイトルで映画化されているのは知っていました。

どちらかと言えば、若者向けのライトな小説がお得意ジャンルらしく、本書も主人公は高校生、舞台は北陸の金沢で、事故で亡くなった恋人を偲び、その事故が起きた場所へ行ったときに、突然恋人が生きたままいる別の次元へ移ってしまうパラレルワールドもので、突飛押しもないはちゃめちゃなお気楽設定です。

ま、なんというのでしょうか、自分の高校生の頃と比べるとあまりにもその落差があり(もちろん小説の主人公のほうがずっと知性があり物知りで大人)、テレビドラマなんかでもよく出てくる「大人がかなわない都合よくたいへんよくできた子供」って感じがして、当然のごとく感情移入も懐かしさもなく、ふ〜んって感じ。

本離れと言われる中・高校生にちょっとでも興味を持ってもらうために、こうした小説があるのは否定しませんが、中高生の感性を引きずったままの大人以外の大人が読むには少し無理がありそうです。

1月前半の読書と感想、書評 2015/1/14(水)



Amazonタイムセール

ビジネスの書籍売れ筋ランキング 

文庫の売れ筋ランキング

新書の売れ筋ランキング


ミュージックの売れ筋ランキング 

車&バイクのほしい物ランキング

ヘルメットのほしい物ランキング

洗車用品のほしい物ランキング


読書感想INDEX

1767 リス天管理人が2023年に読んだベスト書籍

1692 リス天管理人が2022年に読んだベスト書籍

1601 リス天管理人が2021年に読んだベスト書籍

1500 リス天管理人が2020年に読んだベスト書籍

1401 リス天管理人が2019年に読んだベスト書籍

1295 リス天管理人が2018年に読んだベスト書籍

1191 リス天管理人が2017年に読んだベスト書籍

1093 リス天管理人が選ぶ2016年に読んだベスト書籍

993 リス天管理人が選ぶ2015年に読んだベスト書籍

886 リス天管理人が選ぶ2014年に読んだベスト書籍

784 リス天管理人が選ぶ2013年に読んだベスト書籍

676 2012年に読んだ本のベストを発表

   ◇   ◇   ◇

お薦め小説 2021年版(国内小説) 2021/3/6(土)

お薦め小説 2021年版(海外小説) 2021/3/20(土)

お薦めの面白い小説(翻訳本) 2015/6/20(土)

お薦めの面白い小説(国内本) 2015/5/9(土)

お勧め新書、エッセイ、ノンフィクション 2021年版 2021/4/17(土)

   ◇   ◇   ◇


リストラ天国TOP

おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)

リストラ天国 日記(BLOG)

読書感想INDEX

一番上へ