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読みやすいようにアーカイブは昇順(上から古いもの順)に並べ替えました。上から下へお読みください。

日記INDEXページ(タイトルと書き出し部の一覧)はこちらです
1039 減り続ける米需要 2016/7/2(土)
1040 高齢化社会は日本になにをもたらすか? 2016/7/6(水)
1041 7月前半の読書と感想、書評 2016/7/9(土)
1042 最近見た映画 2016/7/13(水)
1043 親の介護は行くのか呼ぶのか 2016/7/16(土)
1044 高齢者ドライバーの増加がもたらすこと 2016/7/23(土)
1045 7月後半の読書と感想、書評 2016/7/30(土)

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減り続ける米需要 2016/7/2(土)

1039
過去に糖質制限ダイエットについて何度か書きましたが、極端なダイエットにはいろいろと批判もある中で、かなり浸透してきているなって気がします。

その理由として、定食屋とかレストランでご飯の量を自分で選べたり、抜いたりできるサービスが増えていることや、中には糖質の多いお米や小麦などは使わない「糖質制限メニュー」なるものがあったりもします。

東京にあるダイエットにぴったりな低糖質メニューのカフェ&レストラン

どこも店構え料理ともあっさりしていて、B級グルメファンにとっては、いかにも味気なく不味そうに映るのが玉に瑕です

その点、B級グルメファンにも大層ウケがよく、行列が絶えない「いきなりステーキ」とかで、ライスのついたセットメニューではなく、ステーキとサラダだけを頼む人が増えているとか。私もこれなら大満足でしょうね。

なんでも江戸時代には日本人男性は1日でお米を5合、女性で3合を食べていたそうです。もちろん今と違っておかずが少なかったせいで、生きていく上で必要とされるカロリーのほとんどをお米で摂っていたためです。

現在の成人男性ではどうでしょう。年齢や昼間の運動量にもよりますが、一般的なサラリーマンだと1日1.5〜2合ってところが平均ではないでしょうか?女性では1〜1.5合ぐらい。その代わりに麺類や揚げ物、焼き物、煮物、生ものなど豊富なおかずやお米に代わる主食も豊富にあります。

お米は国内で数少ない100%に近い自給率を続けていますが、TPP発効後はそれも怪しくなってくるでしょう。それにこれほどまで食の多様化が進み、糖質が多いお米を避ける傾向があり、やむを得ない面はあります。

昭和30年代後半、西暦で言うと1960年代には日本人1人当たりの年間米消費量は118kgありました。月平均にすると9.8kg、1日平均320グラム(2合半)ってところです。

米の年間1人あたり消費量の推移(出典:農林水産省「食料需給表」)
米の年間1人あたり消費量の推移グラフ

それがだんだんと下がってきて平成2年(1990年)には1人当たりの年間消費量は70kg、1ヶ月5,8kg、1日平均190g(1合半ぐらい)です。

平成25年(2013年)には年間57kg、1ヶ月4.75kg、1日平均158グラム(1合と少し)まで下がり、50年前の1960年代の半分にまで下がってきています。

いかにお米を食べなくなってきたかがよくわかります。

今後はどうか?

米の需要量の推移(出典:農林水産省「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針」)
米の需要量の推移

凸凹はありますが、およそ年間8万トンの米の需要が減っていくことになります。8万トンというと多そうに思いますが、平成27年度生産目標750万トンの約1%ってところです。意外と小さい気もします。

食が細くなる一方の高齢者が増えて、少子化が続き、人口総数も減っていきますので、ますますお米の国内消費は下がっていくことになるでしょう。

もちろん海外輸出を視野に入れた高級米やブランド米は、やり方によっては拡大していくでしょうけど、その他の米は国内消費に限って言えばお先真っ暗ってところでしょう。

それに追い討ちを打つように糖質制限ブームです。本当に一過性のブームで終わればいいですが、親がメタボ対策やダイエットのため糖質制限をし、それを子が真似をするようになってくれば、一番身近にあるお米がターゲットにされてしまうでしょう。

私の子供の頃は、それこそご飯と漬け物か梅干しでもあれば、何杯でもお代わりができた貧乏たらしい古臭い世代で、お米を食べなくなった、あるいは食べたくても制限しなければならない今の状態は悲しく思っています。

私も可能であれば昔のように、熱々のご飯を腹一杯食べたいのですが、それを許されない時代というか変な健康ブーム?になってしまっているのを残念に思います。

もちろんお米を腹一杯食べても、それ以上に運動をしてカロリー消費をすればいいわけですが、長時間の肉体労働をする以外、働いている社会人にはそれができるのも限られているので、結局は食事制限をするのが一番手っ取り早いってことになるでしょう。

おむすび権兵衛お先真っ暗という話しだけで終わるのはアレなので、お米で頑張っている会社も紹介しておきます。

時々お昼のランチでお世話になっている「おむすび権兵衛」を展開する株式会社イワイの業績は現在のところ右肩上がりです。

平成25年度(2013年度)の売上高は20億46百万円だったのが平成27年度(2015年度)は27億35百万円と順調に伸ばしてきています。確かにお米が美味しくてくせになります。

お米離れがブームになっている中で、お米を中心に提供しているこの会社にとってはアゲンストの風が吹いているとも言える現状ですが、よき日本人の米食の伝統を守り続けてもらいたいものです。

私も美味い米を食べたくなったときには買いに走ります。


【関連リンク】
1015 丼飯を日本の文化として育てていきたい
1002 その後の糖質制限ダイエット効果
759 糖質ダイエットについての備忘録その1


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高齢化社会は日本になにをもたらすか? 2016/7/6(水)

1040
一般的に高齢化社会と言われますが、高齢者とは何歳からが高齢者なのか?ってところが結構曖昧です。

wikipediaで調べたのですが、

・国連では60歳以上を高齢者
・国連の世界保険機構(WHO)では65歳以上が高齢者
・定年退職者もしくは老齢年金給付対象以上(60〜65歳?)を高齢者
・日本の医療に関する法律では65〜74歳を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者
・雇用に関する高年齢者雇用安定法では55歳以上を高年齢者
・公的機関が行う人口調査では65歳以上を高齢者

と、結構バラバラな感じです。

国内では人口調査などに使われる65歳以上が高齢者というのが一般的にマスコミも使うことが多いのでしょうけど、戦後急速に寿命が延びてきたことで、高齢者という概念も変化してきているというのが実際なのでしょう。

ちなみにすでに亡くなっている私の父親は、大正8年(1919年)生まれでしたが、父親が今の私よりも若い55歳だった1974年の一般的な会社の定年は55歳でした。55歳で定年を迎え、その後5年間は嘱託契約で勤め、60歳から老齢年金をもらうという流れが普通の時代でした。

戦後すぐに生まれたいわゆる団塊世代は、60歳定年の時代で、その60歳で老齢年金が支給されるもっともお得というか納得感のある世代です。さすがに政治(政治家)に影響力が大きな世代だけあって、うまく美味しいところだけをもって逃げ切ったというところでしょうか。

現在はと言うと、段階的ではあるものの老齢年金の支給は65歳まで延期され、しかし定年は60歳のままですので、その間は会社にすがってでも残って稼いでねということになっています。

今後この65歳以上の高齢者の数は、現在40代前半の団塊ジュニア世代が65歳以上にすっぽりと含まれるまでは年々増え続けることになります。自分もその中に入るわけですが、考えただけで恐ろしい限りです。

なにが恐ろしいかって?

だって高齢者、しかも年金は減らされる一方の下流老人ばかりになっていく国に、明るい未来なんかあるはずもなく。

・老人は食が細いので食料生産が落ち込む
・老人は旅行やスポーツをしないので観光業界、スポーツ業界は縮小する
・老人は外食しないので居酒屋、レストランなど外食業界は壊滅
・老人は転居や引越しをしないので、住宅や家電の売上は減少が続く
・老人は他人の子供が嫌いなので幼稚園や保育園が新設は無理
・老人は投資よりもより安全な貯蓄や国債を好むので株価は上がらない
・老人はクルマを運転しないので新車は売れない
・老人は新しい学びには拒絶反応を示し教育に関心がなく
・老人は他人とのコミュニケーションを嫌がり外出する機会が減る

いやいや、団塊世代なんて元気いっぱいで、旅行や新車や投資意欲もまだまだ健在ですぜ!って言う人もいるでしょうけど、10年後、彼らがすっかり後期高齢者になってしまった時も今と同じようにエネルギーがみなぎって活発でしょうか?と言うとそうは思いません。

数少ない成長産業と言えるのは、医療、医薬品、リフォーム、介護、墓地、葬祭業界ってところでしょうか。

その中でも福祉予算で補われる医療や医薬品、介護はともかく、このまま下流老人が増えていくと、その他の有料サービスの将来は富裕層向けに限られて、決して明るくない気がします。食品も富裕層向けの高級食材と、下流老人向けのものとに二分化されていきそうです。

すでに高齢化率が5割を超える市町村を見るとわかりますが、まともな地場産業はなく、都市部からの様々な行政の援助なしでは充実した住民サービスは受けられず、町や村がいつ消滅するか?っていうところにきています。

2010年の国勢調査による市町村の高齢化ランキング
市町村の高齢化ランキング

いずれにしても今後日本の多くの市町村では65歳以上人口が3割から4割近くを占めることになっていきます。

ま、あまり下流だの孤独死だの暗いことばかり考えているのではますます国力が低下していきますので、ここはパッと明るく、お金がなくても、健康でなくても、幸せな気持ちで毎日が過ごせる平和な長寿老人国家を目指しませんか。

幸い日本には豊かな自然と、世界に誇れる実質的な食料自給率(生産額ベース)があり、老人が毎日食うだけの食料ぐらいなら自分で生産ができるぐらいの環境とスペースと技術ベースがあります。

ITを駆使した農業法人が、高齢者を現物支給の形で雇う(正確には家庭菜園の延長として無償で貸し出す)ようなモデルも考えられそうです。

例えば生産する野菜や果物の10%をそこで働く高齢者に分配することで双方にメリットが出ます。高齢者は週に数回農園で作業を手伝えば現金の代わりに収穫物がもらえてそれが日々の食料になるということです。

そろそろ、日本もお金至上主義から脱する時代になってきたのかも知れません。


【関連リンク】
999 覚悟の地方移住か都市部で介護難民か
824 高齢者向けビジネス(第3部 仕事編)
719 道の駅は次の段階へ進めるか


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7月前半の読書と感想、書評 2016/7/9(土)

1041
ビッグデータがビジネスを変える (アスキー新書) 稲田修一

2012年と少し前の新書です。著者は現在東京大学森川研究室の中で、東京大学先端科学技術研究センター特任教授として「ICT実証フィールドコンソーシアム」を運営されています。

今更ながらという思いもありつつ、ビッグデータについてあらためて理解を深めておこうという目的と、ある日突然出てきたキーワードゆえに、人によってビッグデータの解釈が違っているのではないかなとちょっと気になって、専門家の本を読むことにしました。

一般的によく知られているビッグデータと言えば、コンビニのPOSシステムに溜められた消費者購買動向や、GPSカーナビで集められたクルマの渋滞情報、ネット通販で「この製品を検討している人はこの製品にも興味があります」と余計なお世話とも言えるレコメンテーションなどが思い浮かびます。

また大きなイベントや、大震災の時に、人やクルマがどう動いたかなど、ビジネスだけではなく公共社会にも活用することが増えてきています。

ただこのデータ利用、ビッグデータの活用が日本は世界の先進国やアジアの新興国と比べてえらく後れているそうで、様々な法的な規制などもあるのでしょうけど、このままではビジネス分野で負けてしまうことを憂いています。

本書が書かれた時期(2012年)では将棋がコンピュータに負けたことが書かれていますが、囲碁に関しては広い視野で独特の感性が必要なのでコンピュータはまだまだ人間には遠く及ばない的なことが書かれています。

しかし現実はというと、今年(2016年)すでに囲碁の世界チャンピオンをGoogleが開発した囲碁のAIソフト「AlphaGo」が破っています。この辺りの最先端技術の進歩の速度は加速度的というか脅威にさえ感じます。

いずれにしても、ビッグデータと言うと、Google、Apple、Amazon、Facebookの4強ばかりが注目されていて、なかなか日本のIT企業や、ベンチャーでは歯が立たない感じです。


★★☆


         

鍵のかかった部屋 「防犯探偵・榎本」シリーズ (角川文庫) 貴志祐介

2011年に単行本、2012年に文庫版が発刊された『防犯探偵・榎本シリーズ』の第3作で、「佇む男」、「鍵のかかった部屋」、「歪んだ箱」、「密室劇場」の4編が収録されています。

またこのシリーズ作品は2012年に大野智主演でテレビドラマ化 もされていて、いわゆるエンタテインメント的な犯罪ミステリー小説というジャンルになるでしょうか。

密室殺人の謎を解く主人公は防犯コンサルタントが本業で、弁護士から相談されたり、警察から依頼を受けたりして、それぞれの謎解きをおこないます。

「佇む男」は1代で築き上げた葬祭会社の社長が、遺言を残し密室で自殺した事件、「鍵のかかった部屋」も引きこもりがちな連れ子の息子が密室にした自分の部屋で練炭自殺をした事件、「歪んだ箱」は手抜き工事で大きく傾いてしまった新居の中で事故死した建築会社社長の事件、、「密室劇場」は芝居本番中の楽屋で何者かに役者が殺されていた事件と、それぞれに密室状態の謎解きがテーマとなっています。

それぞれに特殊な才能、つまり葬祭で遺体の防腐処理をおこなう技術、学校の理科の教員で科学や化学に詳しかったり、また野球部の監督でピッチングマシンを自由に扱えたりと、なかなか手の込んだ密室完全犯罪?が披露されていきます。

短編が中心なのでちょっと物足りない感じがするのと、現実には?ってところもありますが、そこは小説ですから、気にしないってことで。

★☆☆

著者別読書感想(貴志祐介)

         

二十五の瞳 (文春文庫) 樋口毅宏

2012年に単行本、2014年に文庫版が発刊されています。Amazonのカスタマーレビューでは「絶版にして欲しい」など、なかなか手厳しい意見も見られますが、この賛否両極端な感想が出てくるのもこの著者ならではでしょう。

タイトルからわかるように、壺井栄が戦後まもなく発表した名作「二十四の瞳 」をパロっている連作短編集です。

大きく4つの物語からなり、それぞれ、平成、昭和、大正、明治へと時代がさかのぼっていきます。

物語の舞台は小豆島ですが、二十四の瞳に感化された真面目な純文学派が間違ってこの本を読むと、ひどい目に遭いますのでご注意ください。

私自身まだ小豆島へは行ったことがありませんが、風光明媚で都会の猥雑さとはほど遠く、海と山の自然は素晴らしいけれど退屈さをたっぷりと味わえそうなところなのでしょう。物語を読んでいると、数々のロマンや伝説に満ちたこの島には一度は行ってみたくなります。

民宿雪国 」でもそうでしたが、著者の小説にはたくさんの「有名人」が登場してきます。この小説にも小豆島に流れ着き、荒れ寺に住まう俳人尾崎放哉や、天皇と呼ばれた若き天才映画監督と、人気絶頂の映画女優との秘めた恋の話しなど、あれこれ無謀な想像をたくましくしながら読むのは、なかなか破天荒な小説としての趣があって私は嫌いじゃありません。

天皇と呼ばれる監督が「七人の侍 」の最後の名言「今度もまた負け戦だったな 。勝ったのはわし達ではない、あの百姓達だ」を思いつくきっかけとして「買ったのは秘薬草だ」のようなダジャレには苦笑するしかありません。

★★☆

著者別読書感想(樋口毅宏)

         

クジラの彼 (角川文庫) 有川浩

自衛隊三部作「塩の街」(2004年)、「空の中」(2004年)、「海の底」(2005年)を書いてきた著者の、2007年発刊の制服ラブコメ短編集ということで、本書には「クジラの彼」「ロールアウト」「国防レンアイ」「有能な彼女」「脱柵エレジー」「ファイターパイロットの君」6編が収録されています。制服というのはもちろん自衛隊の制服のことです。

私は三部作の中では、「海の底」しか読んでいませんが、ま、それでも特に問題はありません。

「クジラの彼」と」「有能な彼女」は、潜水艦乗りを描いた「海の底」の番外編、続編って感じです。「潜水艦ってクジラのよう」と言ってみたり、潜水艦は「沈むではなく潜る」という表現などその業界用語に詳しくなれます。

「ファイターパイロットの君」は私も読んだ長編小説「空の中」の後日談的な番外編で、「空の中」で親しくなった女性の戦闘機パイロットと航空機製造メーカー男子が結婚して娘ができて、その幼い娘が育児に励むパパに最初のキスはいつ?って聞かれることで、結婚に至る経緯が明らかになっていく話しでほのぼの系が好きな人には両方お勧めです。

「ロールアウト」「国防レンアイ「脱柵エレジー」もいずれも自衛隊員の恋愛事情や基地内の自衛隊の常識は世間の非常識的な裏事情などが面白おかしく書かれています。

共通するのは、ほのぼのとした甘ったるい恋愛小説で、それが汗臭く規律が最重要な自衛隊の生活とはミスマッチなのですが、そうした中でこそ得られる愛情や恋愛をうまく組み合わせていきます。そしてそれは著者がもっとも得意とするお仕事小説と言えるかも知れません。

★☆☆

著者別読書感想(有川浩)


【関連リンク】
 6月後半の読書 天の方舟(上)(下)、無痛、下山の思想、沈黙のひと
 6月前半の読書 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活、深泥丘奇談、他人を攻撃せずにはいられない人、日の名残り
 5月後半の読書 楽園の蝶、英雄の書(上)(下)、男性漂流、ザ・ロード


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最近見た映画 2016/7/13(水)

1042
時々録り溜めしておいた映画を一気に見たくなります。映画1本を見るには最低2時間はそれに集中できる時間が必要で、この情報過多でスピード時代に、それはたいへん贅沢な時間の使い方と言えます。

録画しておく映画は特にジャンルや制作国にこだわりはなく、片っ端からという感じです。感想の★の数は読書と同じで3つ(お勧め)、2つ(暇なら)、1つ(いまいち)です。

         

男と女の不都合な真実(原題::The Ugly Truth) 2009年 米
監督:ロバート・ルケティック 出演者:キャサリン・ハイグル、ジェラルド・バトラー

いかにもアメリカのコミカルな恋愛映画で、先が読めてしまい、しかもそれが裏切られることなく淡々と進んでいきますので、こんなものかなと。

こうした脳天気な恋愛映画はあまり積極的に見ないのだけど、内容をまったく知らず、ドキュメンタリー映画「不都合な真実」のような知的好奇心を満たしてくれる映画かなと勝手に見誤って鑑賞しました。原題を直訳すれば「醜い真実」ということで邦題にわりと近いかも知れません。

内容はテレビでは放送禁止用語となるような卑猥なわいせつ用語の連発(映画はテレビよりも基準が甘い)で、そうした映画館でしか見られない下ネタ満載バラエティ的な作品が好きな人には面白いのかも。
日本でも結婚しない(できない)若者が増えているということですが、彼の国でもそれは同様らしく、婚活や出会い系サイトも活発で、紆余曲折ドタバタしながらもいい男といい女が結びついちゃうという、なんちゃって恋愛ドラマです。

★☆☆


         

スリーデイズ(原題:The Next Three Days) 2008年 米
監督:ポール・ハギス 出演者:ラッセル・クロウ、エリザベス・バンクス

幸せを絵に描いたような家族が、ある日妻に殺人容疑がかけられて逮捕されてしまいます。しかも状況証拠は揃っていて、殺された女性と口論をした直後に殺されてと不利な状況です。

裁判でも殺人罪で有罪が決まり、収監されますが、夫である主人公は妻の無実を信じます。

これ以上無実を訴えても無理だと判断した主人公は、大胆な脱獄計画を作り始めます。ところが現在収監されている刑務所から3日後には別の刑務所へ移送されることがわかり、急遽前倒しで実行に移すことになります。

脱獄映画では「ショーシャンクの空に」が秀逸ですが、なにもかもがうまく想定通りに運び、無事脱出に成功というストーリーはアメリカではいまや鉄板ですね。

★★☆

         

ダークナイト ライジング(原題:The Dark Knight Rises) 2012年 米
監督:クリストファー・ノーラン 出演者:クリスチャン・ベール、アン・ハサウェイ、モーガン・フリーマン

映画バットマンシリーズは全部は見ていませんが、割りと好きなほうです。シリーズものですが、内容的に別に順番通りにみないと意味不明ってことではないので安心です。

バットマンシリーズではヒーローよりも圧倒的に存在感が高い悪役ヒーローがいつも話題にあがります。

本作品の悪役も桁外れの才能と力をもち、バットマンを追い詰めていきますが、そこに意外な落とし穴があります。いや驚きました。ミステリーの基本は一番怪しくないのが犯人だ!というのをすっかり忘れさせてしまうほど、メインの悪役の存在感が際だっていました。キャットウーマンも華を添えています。

様々なハイテク兵器も登場しますが、基本は腕っ節で殴り合いをするっていうシーンが一般的なアメリカ人好みらしく、そうしたシーンが多いのも特徴です。

★★☆


         

 1959年 大映
監督:市川崑 原作:谷崎潤一郎 出演者:京マチ子、仲代達矢、中村鴈治郎、叶順子

上映当時は成人映画指定となっていましたが、現代の感覚からすればそのセクシー度は全然たいしたことない感じです(テレビ用に修正がされてはいるのでしょうけど)。

1960年のカンヌ国際映画祭のコンペティションに出品され、審査員賞を受賞したという作品でもあります。

原作は言わずと知れた谷崎潤一郎の小説ですが、映画版はその内容とは多少違っています。それにしても、当時の人気女優京マチ子が色っぽい人妻役で当時35歳の円熟した際どいシーンが散りばめられ、なかなかのものです。

しかし、夫公認?で古風な人妻の浮気、しかも自分の娘の彼氏との不倫というストーリーは、この時代には十分に衝撃的だったでしょう。どういう人が映画館へ駆けつけたのでしょうか。

★★☆


         

北の零年 2004年 東映
監督:行定勲 出演者:吉永小百合、渡辺謙、豊川悦司、柳葉敏郎

明治初期の近代日本が幕開けした激動と混乱の時代に実際に起きた「庚午事変」により、徳島藩淡路島(当時淡路島は徳島の範囲だったのですね)から未開地の北海道へ移住を命じられた稲田家の人々をモデルとした映画です。

主演の吉永小百合と渡辺謙が夫婦役で、先に乗り込んでいた夫(渡辺謙)の元へ、子供を連れた妻(吉永小百合)を含む第2陣の移住隊が四国から北海道は静内へやってきます。

しかしその後すぐに明治政府から廃藩置県が発令され、先行して北海道に入っていた徳島藩の開拓民達の居場所がなくなり、帰るにも帰れず、事実上、藩からは見捨てられてしまうという理不尽な扱いを受けます。

そこで美しい妻と賢い夫の夫婦愛情物語かと思いきや、まったくそうではなく、夫は寒冷地でも耐えられる農作物の指導を仰ぐために札幌へ向かいますが、そのまま行方不明となり、妻をはじめ、開拓地に残された人達は厳しい冬の北海道で食うに食えない過酷な状況に追い詰められていきます。

以前読んだ吉村昭著のノンフィクション小説「羆嵐 」はやはり北海道へ移住してきた開拓民と巨大な羆との闘いで先住のアイヌ民に救われるという内容でしたが、この作品でもアイヌ民が大きな役割を担います。

トヨエツは侍の恰好よりもアイヌ民族衣装を着ている方がずっと似合っていると思ったのは私だけではないでしょう。

それにしても撮影当時60歳の吉永小百合は役柄でも見た目でも30代にしか見えないという映画のマジックには驚かされます。

★★☆


         

海街diary 2015年 「海街diary」製作委員会
監督: 是枝裕和 原作者: 吉田秋生 出演者:綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず

昨年(2015年)カンヌ国際映画祭に鳴り物入りで出品され、主演者総出で色気と笑顔を振りまいてきましたが、肝心の映画の評価はイマイチだったようです。

しかし映画のストーリー自体は決して悪いものではなく、ちょっと出演者が妙に張り切り過ぎていて、その演技が空回りしている面がありますが、風光明媚な自然や、家族の絆、姉妹愛など、日本人の感性からすればなかなか心に染みるいいものです。

それに脇役として樹木希林、大竹しのぶ、五十嵐淳子の名優陣が、演技の下手な主演の4姉妹を救ってくれています。

ストーリーは、次々と結婚離婚を繰り返してきた父親の葬式に出た最初の妻の子である3姉妹が、すでに亡くなっている二番目の妻との間にできた義理の妹と出会い、3姉妹が住む鎌倉の家にやってきます。

ま、家族とはなにか、娘それぞれの気持ちと感情がほとばしるってのが狙いだったのでしょうけど、ちょっと学芸会的ノリでその点は残念だったかも。カンヌのプロの審査員もこれではちょっと賞は出せないでしょうね。

★★☆


【関連リンク】
990 お正月休みにみた映画
983 我が青春のヒーロー、スティーブ・マックイーン
880 高倉健さんを偲び映画の思い出など


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親の介護は行くのか呼ぶのか 2016/7/16(土)

1043
幸い我が家では現在のところ高齢の親の介護問題について頭を痛める事態には陥っていないものの、社会では相当大きな問題となってきています。

ひとつには、高齢の親を介護するために、働いている現役世代が仕事を辞めたり休職して在宅介護をするのか、逆に親を子供が働く都市部へ呼び寄せて介護をしていくのかという地理的、場所の問題。

小説ですが、「介護退職」(楡周平著)や「二人静」(盛田隆二著)では働きながら介護をする厳しさと苦悩、「もう私のことはわからないのだけれど」や「昭和の犬」(姫野カオルコ著)では遠距離介護のたいへんさがよく書かれていました。

もうひとつは、高齢者の健康問題と介護施設の問題です。

後者の長期にわたり24時間介護してもらえる施設については以前、

老人ホームについて調べてみた(1)

老人ホームについて調べてみた(2)

で書きましたが、多額のお金が工面できる人は、「介護付有料老人ホーム」など、24時間介護の施設に入居することで家族も安心ということがわかりました。但しそれも医療行為が伴わない場合に限られます。

お金がない場合や慢性的に医療行為が伴う場合、公的な施設に入居するためには、要介護認定が高く、競争率が比較的低い地方であれば、公的な施設「特別養護老人ホーム」や「介護療養型医療施設」「介護老人保健施設」などが数ヶ月〜数年待ちとなりますが、なんとか入居が可能ということもわかりました。

お金がなくて、都市部でという人は、さすがに24時間介護サービス付きとはいきませんが、「サービス付き高齢者向け住宅」や「グループホーム」、、「シルバーハウジング」等があり、それにも入れなければ現状ではやや問題が多いとされる「無届け介護ハウス」というものもあります。

今回は、介護施設に頼らない、在宅介護をどうやっていくか?という問題を考えてみたいと思います。

都市部に住む団塊世代以前の人の多くは、元々地方出身者で、仕事を引退した後は、再び地方へ帰っていくのかと思っていましたが、40年以上慣れ親しんだ都会のコミュニティや資産を捨て去ることはできず、そのまま都市部郊外で住み続ける傾向があります。

覚悟の地方移住か都市部で介護難民か 2016/2/13(土)

でも書きましたが、高齢となり、やがて健康を害した時に、都市部においての介護施設は満員で、介護要員の不足もあって、やがて介護難民となり行き場がなくなる恐れが危惧されています。

その点、すでに高齢化率が30%を超えている地方では、比較的その要介護高齢者の受け入れできる施設やノウハウが多くあり、要介護になる前に地方へ移住をし、新たなコミュニティに参加をしてその準備をしておこうという動きがあります。

それがアメリカで流行っているCCRC(Continuing Care Retirement Community)の日本版です。直訳すれば「継続的なケア付き高齢者たちの共同体」ということになり、いま国や地方公共団体は都市部への集中を避けようと盛んにPRしています。

ただし、日本人高齢者はどうも環境の変化に抵抗感が強く、なかなか地方への移住は進まないようです。そりゃそうでしょう。

高齢者の6割以上が地方移住に「NO!」。日本版CCRCを待ち受ける前途多難な道のりとは?(みんなの介護)

私個人的には、引退後は地方でのんびりゆったりと暮らしたいと思っていても、たぶんご近所さん達とコミュニティを確立している妻はそういうのを嫌うでしょうし、なにかにつけて便利な都会暮らしに慣れてしまった身には、地方暮らしの不便さも十分にわかります。

そして高齢の親が元気なうちはまだよいとして、介護が必要となた時に、さすがに在宅で老老介護を何年も続けるのは無理があり、結局は施設に頼らざるを得なくなるでしょう。しかし都市部にはなかなか施設の空きがない。

富裕層ではないごくごく平均的な我が家も、余裕ある老後資金があるわけではなく、というかほとんど3人の子供の教育費に使ってしまったので貯金はまったくと言っていいほどなく、途中で転職しているので満足な退職金もありません。

とすると、何かあったときに、子供と遠く離れているのが、お互いにとって障害になることを考えると、働く子供の近く、つまりは都会で暮らさざるを得ないという結論に至ってしまうでしょう。

さらに、テレビでやていましたが、地方に住む高齢の親を、子供が暮らす都市部に呼び寄せることが流行しているそうです。

ふるさとの親どう支える? 〜広がる“呼び寄せ高齢者”〜(NHK)
首都圏に住む4、50代の4割が地方出身者です。ふるさとの親に介護が必要になった場合、以前は子どもが帰ったり、通ったりして支えていました。でも今、増えているのは、親に子どもの暮らす都会に来てもらう「呼び寄せ高齢者」です。

都市部では既存の住人の高齢化率が加速度的に高まっていく中で、さらにそれに輪をかけて地方に住む高齢者を都市部に呼び寄せてどうするの?という気もしますが、介護する子供側にとっては、地方に住む親の介護の厳しさもあって、やむを得ない選択ということなのでしょう。

これでは都市部において高齢者向けの施設や介護要員がますます不足していくことになりそうです。

高齢者側にとっては、先述のCCRCを受け入れて、高齢者が集まり、合理的な介護をサービスを受け、また相互に支え合うようなコミュニティを作っていくしか当面は解決がなさそうに思うのですが、保守的に頭が固まった高齢者にとってはつらい選択になってしまうのでしょう。


【関連リンク】
999 覚悟の地方移住か都市部で介護難民か
946 介護人材を増やす
888 火事と高齢化社会の因果関係


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高齢者ドライバーの増加がもたらすこと 2016/7/23(土)

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交通事故による死亡者数は年々減少傾向にありますが、こと高齢者ドライバーの死亡数は横ばいに推移しています。交通事故死亡者に占める65歳以上の割合は2005年は全体の43%だったのが、2015年には55%にまで上昇しています。

これは高齢者の絶対数が増加することで歩行者含め交通事故で亡くなる高齢者が増えるのは当たり前ですが、日本人の長寿化により、かなりの高齢者でもハンドルを握る機会が増えてきていることも影響しているのでしょう。

下記のグラフを見ると、64歳以下の交通事故死亡者(青)は減少傾向にありますが、65歳以上(茶)は横ばいが続いていて、さらに65歳以上高齢者の交通事故死亡原因では、歩行中などが減少しているものの、自動車運転中は増加していることがわかります。

交通事故統計(平成28年5月末)
年代別交通事故死亡者推移グラフ


1月に起きた信じられないような軽井沢スキーバス転落事故は、65歳の運転手が引き起こした事故でしたし、その2日後には添乗員が機転を利かせて停止させたおかげで大きな事故にはなりませんでしたが、70歳の運転手が淡路島の高速道走行中に意識を失って大きく蛇行運転する事故が起きていました。

つい先月も新宿の繁華街で82歳の認知症高齢者が運転する軽自動車が歩行者3名をはねました。

認知症82歳の車、3人次々はねる…新宿繁華街(読売新聞)
警視庁新宿署は同日、軽乗用車を運転していた同区の無職男性(82)を自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転傷害)容疑で現行犯逮捕。男性には認知症の症状があり、同署は男性を釈放し、任意捜査に切り替えて調べている。

認知症患者であればこのような事故を起こしても罪にはならない可能性が高いのですね。

ちなみに交通事故で亡くなるケースは全年代でみると歩行中が37%、運転中が32%、二輪17%、自転車14%となっています。意外と自動車やバイクを運転中の死亡事故が多いと感じます。

高齢者になると動体視力が衰えまた機敏な反応ができにくくなります。中には認知症やその他障害を抱えながらも自動車運転をする人も増えてきています。それは特に地方では十分な公共交通がなく、車を運転しないことには生活が成り立たない場合もあり、多少問題を抱えていても車やバイクを運転せざるを得ない高齢者も多いでしょう。

2005年から10年間で、75歳以上が起こした死亡事故の割合は7.4%から12.7%に増えていることからもわかります。

国も対策を始めていて、2002年から70歳以上の方が運転免許の更新を希望する場合は、「高齢者講習・シニア運転者講習・チャレンジ講習+特定任意運転者講習(簡易講習)」のいずれかの講習を受講しなければ運転免許の更新ができなくなっています。いずれは更新条件がもっと厳しくなり、対象年齢も65歳以上とかに引き下げられるのかも知れません。

これで十分ではありませんが、少なくとも自動的に更新ができた従来と比べて、多少は歯止めが利くようになっているのではないでしょうか。

各自治体や警察署でも高齢者の運転免許証の返納を積極的に推進し、サポートしています。

例えば身分証明書代わりに免許証を持っていた人に対して身分証明書の代わりになる証明書の発行や、返納すると買い物の割引券がもらえるとか、様々な特典をつけるようにして、高齢者ドライバーリスクを減らそうと躍起です。

高齢ドライバー500万人時代 免許返納いつ?悩む本人と家族(Yahoo!ニュース)
75歳以上の高齢ドライバーが増えている。自動車免許の保有者は2015年末で477万人。今年中に500万人を超える勢いだ。高齢になると、運動神経が鈍くなり、事故の可能性が増す。認知症の問題も大きい。75歳以上の運転免許保有者のうち、認知症にあたる人が数十万人いるという推計もある。高齢ドライバーやその家族は、車の運転とどう向き合っていけばいいのか。

この記事を読んで思い出すのは、2年ほど前ですが、近所のディスカウント店へ行ったとき、店の前の駐車場で、軽トラが駐車場の白線内に停めるのに苦心していて、何度も何度も前進後退を繰り返していました。

しかしなかなか白線の枠内に収められず、やがては隣に駐車しているクルマにガンガンと大きな音を立ててぶつけてしまいますが、運転していた高齢ドライバーは気がついていないらしく、何度も前進後退をやり直してぶつけまくっています。

大きな音がしたので周囲にいた人が、ドライバーに隣のクルマにぶつかった旨を伝えたものの、ドライバーは最初「なに?どうした?」って感じで降りてきて、ぶつかった場所を人に指摘されて、はじめて「あれ?おかしいな」って感じで驚いていました。しかも全然悪びれた様子もなく誰かにぶつけられた?って感じで他人事のように眺めていました。

ぶつけられたクルマの持ち主は店内にいたようで、その後どうなったかは定かではありませんが、まったくたまったものではありません。本人にぶつけたという自覚がないのですから、事故処理や保障も揉めそうな感じです。

高齢化社会の中で車を運転するってことは、そうした運転感覚や行動の認識が欠如した人が周囲にいっぱいいることを知った上でハンドルを握る必要があります。つまり悪意なく赤信号や一旦停止を無視して突っ込んでくる高齢者ドライバーがいても、今や全然不思議ではないということです。恐ろしいことですが。

危険な高齢者ドライバーの兆候としては、「車庫入れがうまくできない」「ギアの前進とバック、ウインカーの左右を間違える」といった操作ミス、「通い慣れた道なのに間違える」、「鍵の置き場所を忘れる」などの記憶力・注意力の低下、それに「極端な低速」「赤信号の無視」、「歩行者や右折時の対向車を見落とす」という危険運転が挙げられるということです。

そうした兆候のあるクルマには近づかないのが一番ですが、ウインカーも出さずに突然右左折を開始したり、車線を変更してくるドライバーも多く、決して高齢者だけの問題ではなく、車を運転するときは昔、教習所で習った自分の身を守るための「防衛運転」を心がけたいものです。


【関連リンク】
1013 5年生存率と余命宣告
864 衝突安全性テストについて
800 高齢化社会で変化している交通事故の統計を見る


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7月後半の読書と感想、書評 2016/7/30(土)

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サクリファイス (新潮文庫) 近藤 史恵

2007年に単行本、2010年に文庫版が発刊された長編小説で、その後シリーズ化され「エデン」(2010年)、「サヴァイヴ」(2011)、「キアズマ 」(2013年)の続編が出ています。

このタイトルは犠牲とか生け贄という意味で、自転車のロードレースの世界とミステリーをうまくマッチさせたいい作品となっています。

日本ではあまり馴染みのない自転車ロードレースですが、欧州ではプロゴルフ並みに人気のあるスポーツで、トップ選手はそれこそ日本のトッププロゴルファー石川遼や松山英樹じゃないけどそれぐらいの知名度もあり、稼ぐ賞金も年間1億円を超える人も少なくありません。

ロードレースはマラソンなど個人競技とは異なりチームとしてその中のエースを勝たせるために様々な作戦を立てておこなわれるチームスポーツです。

詳しくは本作品の中でもわかりやすく書かれているので、まったくの素人でも問題なくこのスポーツを理解することができます。

書き出しのプロローグと、エンディングで、謎と興味をひかせ続編を期待させる内容になっています。機会があれば読みたいですが、こういうような謎を残して「次に続く」的な終わり方はあまり感心できません。

★★☆


         

ティファニーで朝食を (新潮文庫) トルーマン カポーティ

1958年に発刊された中編の作品ですが、日本では1961年に映画化され大ヒットしたオードリー・ヘプバーンが主演した同名の映画のイメージが強いでしょう。

原作の小説と映画のストーリーは同一ではないそうですが、小説では語り部の主人公で売れない作家志望の男性が、同じアパートに住む自由奔放で美しい女優というか実質的には高級娼婦になるのでしょうか、その女優が日々浮き名を流す様々な恋の遍歴を描いています。

このタイトルに出てくるティファニーとはニューヨークにある高級宝石店(レストランはなし)で、そうした「宝石店で朝食を食べるような上流階級身分になりたい」という意味がこめられています。

小説を読んでいると、登場する女性(ホリデー・ゴライトリー)は知的で清楚なイメージがあるヘプバーンよりも、当初映画で主演を望まれていた派手で肉感的なマリリン・モンロー的な要素が強く感じられます。

この文庫は1968年に一度翻訳版が出ていますが、2008年に村上春樹が翻訳した新しいバージョンです。そのふたつの違いはわかりませんが、40年を隔て、アメリカも日本の社会も言葉も大きく変わっていますので、そのあたりをうまく調整しているのでしょう。

また以前著者のノンフィクション作品で、一家惨殺事件を書いた作品「冷血」を読みましたが、これも大変素晴らしいものでした。

2014年1月前半の読書と感想、書評(冷血)

著者の代表作としてはこの2つの作品が次世代にも長く残されるものと思われます。

この文庫には、表題作の他、「花盛りの家」「ダイアモンドのギター」「クリスマスの思い出」の短編も収録されています。

★★☆

著者別読書感想(トルーマン・カポーティ)

         

残念な人のお金の習慣 (青春新書プレイブックス) 山崎将志

このタイトル名を打つと、賢いATOKが「修飾語の連続」と警告を出してきます。最近は編集さんや校正さんも、そうした細かなことを気にするより、よりインパクトのあるタイトルをつけたがるのでしょうね。

著者自身のお金の失敗、特に投資信託や株、FXなど様々な投資をやってみて、そのメリットデメリットを知り、かなり痛い目に遭った話しは、一部自分の失敗ともダブるところがあり、たいへん参考になります。

本来ならまもなく年金生活に入ろうかという私より、これから社会にでて、人生におけるお金の重要性が増してくるであろう20歳過ぎから、そろそろ結婚してマイホームでもと思っているぐらい(30歳前後?)までの人が読むのがふさわしいかも知れません。

お金は稼ぐことと、使うことが表裏一体となりますが、稼ぐのは巧くても使うのが下手という人、逆に稼げないけど、使い方が絶妙という人など、私も多くのケースを見てきましたが、確かに指摘されるとイタタ・・って感じること多数です。

自分で使うお金を投資と消費と浪費に分けてみるという発想もなかなかユニークで、しかもそれを経済ジャーナリストやライフプランナーがしたり顔でよく言う「バランスよく」なんてことはなく、投資を100%にするという考え方も目から鱗。

おそらくは20代にそうしたことを知っても「なに言ってんだか」で終わってしまいそうですが、50代60代になると、うんうんと頷かざるを得ない状態になっています。

★★☆


         

ロスト・ケア (光文社文庫) 葉真中顕

2013年に単行本、2015年に文庫化された著者のデビュー2作目の長編社会派ミステリー小説です。

社会派と書いたのは、最近現実の社会においても時々発生する介護現場での虐待や安楽死、そして介護殺人がテーマになっているからです。

この7月にNHKスペシャルで放送された「“介護殺人”当事者たちの告白」はまさにこうした今の介護現場を取材したものですが、その殺人は介護に疲れた家族だけでなく、その周囲にいる人が気の毒に感じておこなう可能性をこの小説は指摘しています。

NHKスペシャル「“介護殺人”当事者たちの告白」

ストーリーは、勝ち組の高齢者の裕福な有料老人ホーム生活と、一方在宅介護で汲々している家庭の対比があり、その在宅介護で家族が苦しんでいるのを見て、その寝たきりや認知症を発症して家族に迷惑をかけ続ける高齢者を狙って殺人が密かにおこなわれていくというものです。

きれい事を言えばまた社会倫理からすれば殺人を正当化することはできないものの、認知症高齢者を在宅で介護することで、介護する家族が疲弊していくことを社会は見捨てていることを明らかにしていきます。

そして「自分が望んでいたことを人にしてあげる」という論理で、長くつらい介護生活を自然を装って終わらせるという現代の必殺仕事人のような犯人に共感する人もでてきそうです。

★★★


【関連リンク】
 7月前半の読書 ビッグデータがビジネスを変える、鍵のかかった部屋、二十五の瞳 、クジラの彼
 6月後半の読書 天の方舟(上)(下)、無痛、下山の思想、沈黙のひと
 6月前半の読書 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活、深泥丘奇談、他人を攻撃せずにはいられない人、日の名残り

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