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リストラ日記アーカイブ 2016年3月
読みやすいようにアーカイブは昇順(上から古いもの順)に並べ替えました。上から下へお読みください。

日記INDEXページ(タイトルと書き出し部の一覧)はこちらです
1004 2月後半の読書と感想、書評 2016/3/2(水)
1005 泉質による温泉健康法 2016/3/5(土)
1006 都合よく利用される虚報 2016/3/9(水)
1007 退職金の不思議 2016/3/12(土)
1008 3月前半の読書と感想、書評 2016/3/16(水)
1009 兼業禁止規程はいつ禁止されるか 2016/3/19(土)
1010 不本意な非正規雇用とその実態 2016/3/23(水)
1011 定年後の生活資金設計 2016/3/26(土)
1012 3月後半の読書と感想、書評 2016/3/30(水)

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2月後半の読書と感想、書評 2016/3/2(水)

1004
退職金貧乏 定年後の「お金」の話(祥伝社新書) (祥伝社新書 390) 塚崎公義

著者は私と同学年(1957年生まれ)ですが、東大卒、みずほ銀行入行、2005年に久留米大学へ転職した方で、私とは年齢だけ同じで、大学以降大きく違う点が悔しい限りです。でも大学を卒業したのは私のほうが1年早く、つまりは1浪か1留されているってことでしょうね。

専門は商学部教授ということですが、著書は年金や資産運用系のものが多く、この本も退職金の運用と年金の話しが主軸です。想定している読者は50代で、もうすぐ定年がきて、それなりの退職金がもらえる人というのが対象となっています。

なので、親の遺産で楽々老後とか、会社がIPOして持ち株で大儲けしたとか、副業のマンション投資がズバリ当たって毎月数百万円の純利益!というハッピーな人や、逆に退職金は出ないんですという人や、今まで年金を払っていないので老後は生活保護申請する予定という人、さらには会社が倒産して退職金はおろか月々の収入がアルバイト代しかという人には推奨できません。

って言うと、私の場合も、40代で転職、リストラを経験し、その後入った会社には退職金制度はなく、それまで蓄えた貯金や退職金は住宅ローンや子供の教育費、無職時代の生活費で全部使っちまった!っていう人も同様にこの本の読者にふさわしくありません。

しつこいぐらいに出てくる「70歳ぐらいまでは働け」「ここに書いたとおりの運用をすれば老後は安心」ということで、いつまでも働ける心身ともに健康体であることと、数千万円の退職金がもらえる人だけに、インフレに対応できる分散投資を指南する本で、その元手と健康がないと下流老人にしかなれないという、残念な下流老人予備軍にはなにも救済にはならないものでした。

ただ「生命保険は不要」「火災保険は不要」の話しは、それなりにフムフムと考えさせられる話しで、確かに働き盛りの時ではなく、50代、60代になってからの生命保険や医療保険は、お金持ちで他に使い道がないならいざ知らず、ギリギリで生活している普通の高齢者に必要か?って言われるとその通り。

また火災保険も、築20数年経つ資産価値のない家が燃えてなくなったからと言って、再びその場所に新しい家を再建するか?って言われると、それよりも土地を売って小さなマンションを買ったり借りたほうがマシという妙に割り切った考え方に納得感があったっりします。

退職金については、この本を参考にしながら、また別の機会にちょっと書いてみたいと思っています。

★★☆

         

埋み火 (双葉文庫) 日明恩

著者日明恩(たちもり めぐみ)氏のFire's Outシリーズの第2作目で、「鎮火報」(2003年)に次ぐ2005年発刊の小説です。タイトルの「埋み火(うずみび)」とは、「炉や火鉢などの灰に埋めた炭火」のことを言います。

主人公は赤羽台消防出張所の消防士大山雄大。元々は安定志向で「楽して一生安泰」の公務員として受けた消防士で、早く昇進して事務方へ回り、9時5時で安全な仕事に回りたいと願っています。

しかしそこは、殉職した消防士だった父親から血筋をひいていて、救え出せなかった被害者や、火事の不自然な原因などに勘がよく働きます。

連続して老人が住む一軒家が漏電などの事故で火事に見舞われ、住人が亡くなっています。しかし不思議に近所への延焼や隣の住人が海外旅行中とか、被害は限定的に収まっています。

警察とは違い、事件性があっても消防士がそれを調査することはありませんが、ある少年と老人との接触を目撃するところから、恐ろしい計画が実行されていることに気がつきます。

ちょっとミステリー的な面もありますが、それよりもコミカルな展開も多く、また雑学としての火災事故や消防署の仕事についても語られていて、気楽に読める作品としては上出来です。

さらには父と子、母と子、親と子など複雑な人間関係も無理矢理描こうと努力されていますが、そちらはちょっと詰め過ぎ感があり、いまいちピンときません。

昨年2015年にはシリーズ3作目「啓火心-Fire's out」も出ています。それが文庫化されるのを楽しみに待っています。

★★☆

著者別読書感想(日明恩)

         

残虐記 (新潮文庫) 桐野夏生

当初は雑誌に「アガルタ」という題名で2002年に連載されていて、その後タイトルを変えて2004年に単行本、2007年に文庫化された小説です。2000年に発覚した新潟少女誘拐監禁事件をヒントとにして書かれたものとされています。

新潟の現実の事件では9年の長きに渡って監禁されていましたが、この小説ではモデルになった事件の被害者と同じ9歳で誘拐拉致され、1年後に男の部屋で発見され無事に救出されます。その少女はその後作家となり、20数年が経過した時、加害者が無期刑を終えて出所し、手紙を送ってきたことで、突然失踪することになります。

そう言えば新潟の誘拐監禁事件が発覚したのが2000年で、裁判は最高裁までいって最終的に14年の刑だったということは、最大期間入所していたとしてもすでに2年前に加害者は出所しているってことですね。殺人事件ではないけれど、被害者のことを思うと、えらく心に重く残る残虐な事件でした。

こうした子供が犯罪に巻き込まれるという小説は読んでいてもたいへん気が重いです。ただこの小説の場合は、被害者の小学生は精神的なPTSD以外、大きな加害は受けずにすみ、1年後には家族はともかく本人は普通の生活に戻れたという内容ですので救われます。

本書では直接的には語られていませんでしたが、誘拐と長期の監禁の場合、ストックホルム症候群という加害者に対して同情や好意を持ってしまうことがあり、本書でもそうしたところが最後には明らかになっていきます。

★☆☆

著者別読書感想(桐野夏生)

         

違法弁護 (講談社文庫) 中嶋博行

著者は現役弁護士であり、訴訟社会のアメリカでは多くの有名な作品があるリーガルサスペンスと称するジャンルを得意とするミステリー作家さんです。デビューは1994年に「検察捜査」で、この「違法弁護」は1995年に2作目として単行本(文庫版は1998年)が発刊されています。

舞台は横浜、主人公は、県警の刑事と横浜に本社を置く日本最大級の法律事務所で上(パートナー)を目指している女弁護士です。時は司法改革が叫ばれ、それまで200人前後で推移してきた弁護士の数が、一気に増えようとしている時の話しです。ちなみに本書が出た1995年から14年後の2009年にはそれまでの10倍以上2000人を超えています。

著者が弁護士だけに天敵でもある検察官は徹底的に悪者風に書いているのがちょっと笑えますが、一般の人は普段知らない民事や刑事事件の司法の流れなど、雑学的に面白く読み進められます。

横浜の倉庫で撃ち合いが発生し、警察官と税関職員が死亡。その倉庫には密輸された銃器らしき痕跡があり、県警が捜査に乗り出しますが、倉庫を使っていた会社の顧問弁護士が立ちはだかり、また別で動いている公安警察などが複雑に絡み合っていきミステリー要素もふんだんに盛り込まれています。

この小説に出てくる旧ソ連が開発したPSSというサイレント銃というのは初めて知りました。普通は銃のサイレンサーと言えば、銃口に消音器を取り付けるパターンが有名ですが、このPSSは弾丸というか薬莢に仕組みが施されていて、外部に音が漏れないようにできています。KGB主導で作られたということで、暗殺に持ってこいの拳銃なのですね。50年ぐらい前からの雑誌「丸」愛読者(と言ってもここ40年!ほどは未読ですが)でも知らないことはいっぱいありますね。

★★☆


【関連リンク】
 2月前半の読書 人類資金 1・2・3・4・5・6巻、下流老人 一億総老後崩壊の衝撃
 1月後半の読書 海賊と呼ばれた男(上)(下)、ツナグ、逃げろ光彦―内田康夫と5人の女たち、日本名城伝
 1月前半の読書 月と蟹、不実な美女か貞淑な醜女か、左京区恋月橋渡ル、交換殺人には向かない夜


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泉質による温泉健康法 2016/3/5(土)

1005
温泉昔の人が温泉を単なる癒しではなく湯治という病気や怪我の治療の一種として利用していたことはご承知の通りです。戦国時代にも「武田信玄の隠し湯」とか「上杉謙信の隠し湯」などが有名で、それらにしても現代のように温泉につかってリラックスしようという目的ではなく、様々な病気や刀傷の治療が目的で温泉が利用されていました。

ただ温泉と言っても様々なタイプがあり、お湯に含まれる鉱物など泉質によって、どういう効用があるのかが違ってきます。単なる癒し目的の健康法なら、事前に調べて入ったりすることもないでしょうけど、できれば自分の身体や病気に合わせた泉質を選び、そこの温泉を目指したいものです。

泉質とは、1.単純温泉、2.二酸化炭素泉、3.炭酸水素泉、4.塩化物泉、5.硫酸塩泉、6.含鉄泉、7.含アルミニウム泉、8.含銅鉄泉、9.硫黄泉、10.酸性泉、11.放射能泉の11種類があります(その他の分類もありますが、ここではこの11種類の分類)。

それぞれの特徴、効能、主な温泉地は下記の通りですが、ひとつの温泉地で複数の泉質が出ている場合がありますので、必ずしもA温泉地は○○の泉質と言い切れません。

1.単純温泉
特徴:泉温は25℃以上あっても、含有成分がどれも規定量に達しない温泉の総称。刺激が少なく、効能もさまざまなので広く利用されています。日本の温泉では約30%を占めていて最も多い泉質です。
単純温泉の中でも、水素イオン濃度指数(pH)が7.5以上のものは弱アルカリ性単純温泉、8.5以上のものはアルカリ性単純温泉と分類されています。
効能:疲労回復、神経痛、不眠症、動脈硬化、高血圧、痔疾、冷え性など
阿寒湖、層雲峡、カルルス(北海道)、十勝川(北海道)、作並(宮城)、芦野(栃木)、宝川(群馬)、強羅、箱根湯本(神奈川)、伊東(静岡)、宇奈月(富山)、鹿教湯(長野)、下呂(岐阜)、川湯(和歌山)、道後(愛媛)、湯布院(大分)、平戸(長崎)
アルカリ性単純温泉:湯瀬(秋田)、飯坂(福島)、越後湯沢(新潟)、鬼怒川(栃木)、老神、谷川(群馬)、石和(山梨)、伊東(静岡)

2.単純二酸化炭素泉(単純炭酸泉)
特徴:お湯1kgの中に遊離炭酸が1g以上含まれる温泉で、血管の拡張が強まるので血圧が下がります。日本では温泉全体の0.6%しか存在しない少ない温泉です。
効能:運動麻痺、筋・関節痛、打撲、高血圧、動脈硬化、切り傷、冷え性、更年期障害、不妊症など
みちのく(青森)、肘折、泡の湯(山形)、湯村、有馬(兵庫)、阿蘇野白水、長湯(大分)、辰頭(熊本)

3.炭酸水素泉
特徴:炭酸水素塩泉はお湯1kgに含まれる含有成分が基準を満たし(1g以上)、陰イオンの主成分が炭酸水素イオン(HCO3)の温泉で、「美肌の湯」「清涼の湯」と呼ばれることもある泉質です。炭酸水素塩泉は、肌の不要な角質や、毛穴の汚れを取り除くため、入るだけで石鹸で体を洗ったように体が清潔になる効果があります。
アルカリ性の泉質で重炭酸土類泉、重曹泉の2種類があります。
効能:筋・関節痛、打撲、切り傷、慢性皮膚病、美肌効果など
支笏湖(北海道)、国見(岩手)、鳴子、中山平(宮城)、岡原(山形)、鹿沢(群馬)、御宿(千葉)、強羅(神奈川)、白骨、小谷(長野)、赤倉(新潟)、湯の峰、川湯、龍神(和歌山)、島原(長崎)、人吉、黒川(熊本)、天降川(鹿児島)

4.塩化物泉
特徴:海水の成分に似た食塩を含んでいます。入浴後、肌についた食塩が汗の蒸発を防ぐため保温効果は抜群です。
塩化物泉は食塩泉とも呼ばれます。日本の源泉の27%を占め単純温泉と双璧をなしています。
効能:筋・関節痛、打撲、ねんざ、冷え性、慢性婦人病、不妊症など
定山渓、ニセコ、旭、羅臼、大船上(北海道)、三内、なりや、秋元(青森)、日景、鵜ノ崎(秋田)、小本(岩手)、秋保(宮城)、舟唄(山形)、熱塩(福島)、塩原、塩釜、早乙女(栃木)、四万、浜平(群馬)、月岡泉慶、咲花、多宝、岩室(新潟)、五色、七味、奥山田、鹿塩(長野)、熱海、伊東、稲取(静岡)、片山津(石川)、勝浦浦島(和歌山)、塩田(兵庫)、城崎(兵庫)、別府、湯平(大分)

5.硫酸塩泉
特徴:「傷の湯」「脳卒中の湯」などと呼ばれることがある泉質です。カルシウムを含む石膏泉(せっこうせん)別名カルシウム硫酸塩泉、ナトリウムを含む芒硝泉(ぼうしょうせん)別名ナトリウム硫酸塩泉、マグネシウムを含む正苦味泉(せいくみせん)別名マグネシウム硫酸塩泉の3つに分けられます。
効能:石膏泉…高血圧症、リウマチ、脳卒中、神経痛、打ち身、切り傷、やけど、美肌効果、じんましん(飲泉)など
芒硝泉…高血圧、動脈硬化、外傷、腸の蠕動運動を活発化する効果(飲泉)など
正苦味泉…石膏泉、芒硝泉と同じ
石膏泉:水沢(秋田)、白布(山形)、伊香保、法師、尻焼、四万、猿ヶ京、水上(群馬)、赤川(大分)
芒硝泉 :新屋、浅虫(青森)、川尻(岩手)、鳴子(宮城)、天童、赤倉(山形)、日光湯元(栃木)、遠刈田、大森(福島)、天城湯ヶ島(静岡)、熊ノ湯(長野)
正苦味泉:十勝岳、オンネトー、旭岳(北海道)、駒ケ岳(秋田)、地獄谷(長野)
その他:赤倉(新潟)、野沢(長野)

6.含鉄泉
特徴:温泉水1kg中に鉄イオンを20mg以上含んでいる温泉で、鉄分を多く含み、温泉の色が黄色、または赤色であることが多いのが特徴です。炭酸鉄泉、緑ばん泉の2つに分けられます。湧き出した当初は無色透明ですが酸素に触れると茶褐色に変色し、効能も弱まります。
効能:貧血、リウマチ、更年期障害、子宮発育不全、慢性湿疹など
川湯、登別(北海道)、須川、玉川(秋田)、鳴子(宮城)、蔵王、火打崎(山形)、赤湯、中ノ沢(福島)、万座(群馬)、おんたけ高原、天狗(長野)、長良川(岐阜)、長浜(滋賀)、有馬(兵庫)、別府、鉄輪、塚原(大分)、雲仙(長崎)、天草(熊本)

7.含アルミニウム泉
特徴:温泉水1kg中にアルミニウムイオンを100mg以上含んでいることが条件になります。旧泉質名で明礬泉であったものの大半がこれです。
効能:慢性皮膚病
十勝岳温泉、恵山、川湯(北海道)、八甲田(青森)、玉川、蒸ノ湯(秋田)、須川(岩手)、蔵王(山形)、鷲鞍(福島)、草津、万座(群馬)、湯ノ花沢(神奈川)、十谷(山梨)、毒沢鉱泉(長野)、塚原(大分)、えびの高原(宮崎)

8.含銅鉄泉
特徴:温泉水1kg中に銅イオン(Cu2+)を1mg以上含有する鉄泉で、温泉が黄色、赤色(赤湯)を示すのが特徴で、炭酸水素塩系のものと硫酸塩系のものに分かれます。
効能:筋肉痛、関節痛、月経障害、高血圧症
恵山(北海道)、磯部(群馬)、三保(静岡)、立科(長野)、多田、大谷(島根)、ふいご、美郷(徳島)

9.硫黄泉
特徴:全国にある温泉のおよそ8%を占め、遊離炭酸ガスや硫化水素を含まない「硫黄泉」と、遊離硫化水素や炭酸ガスを含む「硫化水素泉」に分類されます。硫化水素ガス特有のにおいが特徴。血管を拡張させる作用があります。換気が悪いと中毒になることがあります。
効能:高血圧、動脈硬化、慢性皮膚病(乾癬、アトピー性湿疹、脂漏性皮膚炎、慢性湿疹)、関節痛、美肌効果など
ニセコ湯本、川湯、登別(北海道)、恐山(青森)、玉川、金浦、黒湯、孫六(秋田)、繋、大沢、岩泉(岩手)、野地(福島)、奥塩原、日光湯元(栃木)、万座、老神(群馬)、岩婦(千葉)、小涌谷(神奈川)、宇津俣、鷹羽(新潟)、別所、千古、戸倉上山田、熊の湯、湯田中(長野)、、東河内(静岡)、ゆりの山(和歌山)、雲仙(長崎)、湯之谷、霧島新湯、白木川内、吹上(鹿児島)

10.酸性泉(ミョウバン泉)
特徴:温泉水1kgの中に水素イオンが1mg以上含まれている温泉と定められており、塩酸や硫酸、ほう酸を含みます。酸性泉はpHが2から4程度で、pHが2未満のものは強酸性泉と呼ばれています。肌に染みる強い刺激があり、肌の弱い人は湯ただれをおこす場合も。慢性的な皮膚病の治療などに利用されます。
効能:慢性皮膚病、慢性婦人病、糖尿病、水虫、痔など
酸か湯(青森)、玉川(秋田)、松川、須川(岩手)、吾妻高湯、あだら高原岳、岳の湯(福島)、那須湯本(栃木)、万座、草津(群馬)、本沢、渋ノ湯、蓼科(長野)、明礬(大分)

11.放射能泉(ラジウム温泉)
特徴:微量の放射能を含みラジウム泉、ラドン温泉とも呼ばれます。温泉水1kg中にラドン量を3ナノキュリー以上含んでいれば放射能泉と呼べます。皮膚や呼吸器から吸収されますが、入浴後はすぐに排出されるので心配ないとのこと。
効能:高血圧、動脈硬化、神経痛、リウマチ、鎮静作用、痛風など。飲泉として、痛風、糖尿病、リュウマチ、神経痛、婦人病、高血圧などに効果
二股(北海道)、玉川(秋田)、杉村(新潟)、増富、赤石(山梨)、有馬(兵庫)、三朝(鳥取)、養老(広島)、二丈(福岡)

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

上記の泉質とともに、お湯の酸性、アルカリ性の強弱が付け加えられることもあります。、酸性、アルカリ性の強弱は水素イオン濃度(pH)で分類できます。pHが低いと酸性度が高く、pHが高いとアルカリ度が高いということになります。

 【酸性泉】 pH3未満
 【弱酸性泉】 pH3〜6
 【中性泉】 pH6〜7.5
 【弱アルカリ性泉】 pH7.5〜8.5
 【アルカリ性泉】 pH8.5以上

酸性が強い(pH3未満)の温泉、例えばpH2以下の玉川温泉(秋田)や草津温泉(群馬)につかると、酸が皮膚の角質を溶かしてくれて、一見つるつるすべすべになるのですが、長湯したり何度もつかると逆に肌を傷めてしまうこともあります。

逆にアルカリ度が強い温泉、例えばpH11ぐらいの白馬八方温泉(長野)は強力な石けんの中に入るようなもので、汚れを取ってくれるのはいいのですが、これまた古い皮脂を溶かし、長湯をすれば皮膚から大事な油脂分がすっかり抜けてしまうことになります。どちらも「過ぎたるは及ばざるがごとし」で、ほどほどが良いようです。

泉質とこの水素イオン濃度は温泉を選ぶキーポイントかもしれません。

これら以外にも、温泉の温度や飲泉(飲む温泉)の場合とかで効能が違ってきたりします。
温泉と一言で言っても、その中身はとても複雑で奥深く、なかなか覚えきれません。

関東周辺で病状別に温泉地を選ぶとすれば、

腰痛、リウマチ、神経痛、関節痛
草津温泉、伊香保温泉、沢渡温泉(群馬)、塔之沢温泉(神奈川)、増富ラジウム温泉、下部温泉(山梨)、伊東温泉(静岡)、鹿教湯温泉(長野)

やけど、外傷
下部温泉(山梨)、霧積温泉(群馬)、湯河原温泉(神奈川)、下賀茂温泉、湯ヶ島温泉(静岡)

皮膚病、アトピー
湯ノ花温泉(福島)、草津温泉、尻焼温泉(群馬)、湯場の原温泉(千葉)、浅間温泉、野沢温泉、別所温泉、鹿教湯温泉(長野)、畑毛温泉(静岡)

胃腸病
湯ノ花温泉(福島)、日光湯元温泉、元湯温泉(栃木)、四万温泉、草津温泉(群馬)、下部温泉(山梨)、白骨温泉(長野)

肝臓、糖尿、胆石、痛風
日光湯本温泉(栃木)、伊香保温泉、水上温泉、沢渡温泉(群馬)、増富ラジウム温泉(山梨)、畑毛温泉、寸又峡温泉(静岡)

打ち身・骨折・交通事故後遺症
岩瀬湯本温泉(福島)、川古温泉(群馬)、下部温泉(山梨)、畑毛温泉(静岡)、明治温泉、白骨温泉(長野)

ぜんそく、気管支炎
草津温泉(群馬)、日光湯元温泉(栃木)、増富ラジウム温泉、桃の木温泉(山梨)

高血圧症
草津温泉(群馬)、裂石温泉、下部温泉(山梨)、畑毛温泉(静岡)、釜沼温泉(長野)

婦人病
川俣温泉、那須湯本温泉(栃木)、伊香保温泉(群馬)、古奈温泉、船原温泉(静岡)

春とはいえ、まだまだ寒い日もありますので、休日にはぶらっと近辺の温泉地へ文庫本でも持って出掛け、時間制限のない日帰り湯で1日ゆっくりとつかるっていうレジャーもいいかもですね。


【関連リンク】
958 男の更年期障害について調べてみる
820 高齢者ビジネス(第2部 趣味編)
738 日本人の年齢別死因は


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都合よく利用される虚報 2016/3/9(水)

1006
今までも繰り返し書いてきていることですが、非正規雇用の割合が全就労者の4割を超えてきたことで、相変わらずマスコミ等の論調では「非正規≒派遣」「若者の非正規が増えている」と言った誤った情報や、なにか悪意さえ感じる意図的な操作、偏向報道がよく見られます。

そうした誤った情報の元で、「派遣が非正規就労増加の元凶」とか「派遣会社が搾取」とか、「高齢者の搾取で若者が正社員になれない」とか「学校卒業しても正社員になれない」といったような、知識を持たない人が歓喜?して記事を読んでくれる刺激的な打ち出し方をしたがります。

まず、非正規社員というのは、一般的にはパートアルバイト、契約社員、派遣社員、嘱託などのことを言いますが、その割合は下記グラフの通りです。

非正規雇用労働者の雇用形態比率
 出典は総務省「労働力調査」

見てわかるとおり、非正規社員(就労)で多いのはパート(48%)、アルバイト(21%)、契約・嘱託(21%)で、これらだけで非正規の90%を占めています。派遣社員は非正規の中ではわずかに6%しかなく非正規の1割にも満ちません。したがって派遣労働が非正規就労を代表するかのような表現は、キャッチーで刺激的ではありますがまったく現実を見てなく、正しくはありません。

パート、アルバイト、契約、嘱託という雇用形態は、雇う側(企業など)との直接雇用が基本です。つまり非正規問題は派遣会社がどうとかという問題ではなく、雇う企業と雇われる人との関係性における問題なのです。

いくら派遣会社を糾弾して、派遣社員の半分を正社員同等にしたとしても非正規全体の3%の改善にしかつながりません。それなら同じ労力を使って、パートやアルバイト、契約社員、嘱託の直接契約のわずか10%を正社員同等にするだけで全体の9%の改善となり、明らかに効果は高くなります。

「しかし派遣は最近急速に増えているから」という間違った情報もよく聞きます。

雇用形態別非正規雇用推移グラフ

派遣が増えたのは規制緩和が進んだ2000年代初頭から中盤までで、ここ5年間を見ると11万人(10%増)の増加です。最近非正規で増えているのは、圧倒的にパートで、5年間で126万人(15%増)の増加、契約・嘱託も88万人の増加(27%増)で、派遣と比べると何倍もの人数が増えているのがわかります。非正規の派遣が増えていることを憂慮するのなら、その10倍、非正規のパートや契約・嘱託が増えていることを憂慮すべきです。

次に非正規社員の年齢別推移を見ます。世間でよく言われる「若者の非正規化が増えている!」について検証してみます。

年齢層別非正規労働者推移グラフ

グラフを見ると、若者と言える肌色(24歳以下)と赤(25〜34歳)の折れ線グラフは、2000年頃までは急速に増えてきていましたが、この10年間(2004年〜2014年)を見ると、横ばいか、やや下がっている傾向にあります。

つまり「若者の非正規社員は横ばいか減ってきている!」というのが正解。ならば若者の最近の貧困化を非正規だからという論評も当たらず、正社員であっても貧困なのであれば、それは物価や、賃金の問題ということになりそうです。

2004年以降も非正規社員数が増え続けている35歳以上(若者と言うにはちょっと無理がある)であれば、「非正規が増えて貧困化が進んでいる!」というのならばまだわかります。

この年代は以前なら結婚して子育て中という夫婦が多かったのですが、晩婚化や結婚しない人の増加など(逆に言うと非正規で収入が少なく結婚できない・しない)という状況がみられ深刻です。

特にこの年代を非正規で過ごすと、その後の中高年になっても正社員になれる可能性は低く、ちまたよく言われている「下流老人」(生活保護水準以下の収入しかない高齢者)へと向かう可能性が高いのです。

同じく非正規社員の年齢別を積み上げグラフにした推移(下記グラフ)をみるとよくわかりますが、若者層15〜34歳は微減、中年層35〜54歳は微増、55歳以上は急増と3つに分類されます。

年齢層別非正規労働者推移グラフ

統計は自分の都合がよいところだけをうまく使うことで、自己主張を裏付けることによく利用されたりします。「非正規が増えている」というのは事実ですが、それも中身をよく見ることが重要です。

例えば非正規が増える要因として、専業主婦(夫)だった人が、主たる世帯主の収入が増えないことで、家計の補助としてパートやアルバイト勤めに出れば当然非正規の人数が増えます。

また60歳以上の高齢者雇用が企業に義務化されたことで、今まで60歳で定年となり仕事をしなかった人が、60歳以降も嘱託として引き続き勤務するケースがここ数年で一気に増えました。これも非正規を大きく増やす要因と考えられます。

今までは働かなくても親の仕送りだけで過ごせた学生も、最近の学費の高騰と親の収入減少で、アルバイトをして学費や生活費を稼ぎながら学校へ通う人が増えています。それも非正規を増やす一因となっているでしょう。

これらの非正規の上昇は、一家の主たる収入元である世帯主が非正規になるのとは違い、直接「非正規=貧困化」という構図では考えられません。

非正規と貧困化とをひもづけをするならば、生産人口である世帯主の非正規化がどうなっているか、その収入はどう変化したか、そして非正規として多い、パート、アルバイト、契約社員、嘱託の賃金や制度について考えないと非正規問題は解決しないのではないでしょうか。

これらのことから、最初に書いた「非正規≒派遣」「若者の非正規が増えている」というのが根も葉もない戯れ言だということは多くの人に知っておいてもらいたいことです。そのような報道や記事、コラムを見ると、それを書いた人やメディアは意図的であるかどうかはともかく「平気で嘘をつく人(メディア)」と認識しておく必要があります。

2008年暮れに「年越し派遣村」と称して、多くの派遣社員ではないホームレスの人を集めた自称社会運動家がマスメディアに名乗りを上げましたが、彼は自分で盛り上げた「派遣≒悪」のブームが去ったとみるや、さっさと身を引いて、今は新たな流行となってきた「下流老人」をターゲットとした「反貧困」をテーマとしたプロジェクトで話題を作り、多くのメディアに露出しています。

さすがに人のふんどしでうまく相撲を取る名人、流行に敏感で、売名行為にめざとい人です。いずれ時が来れば売れた名前を利用して政治家になるのでしょう。尊敬や共感はできませんが、その身軽で薄っぺらなな生き方にはいつも感心しています。


【関連リンク】
890 非正規問題の真実
804 高齢就業者と非正規雇用
717 非正規から正規雇用への転換策


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退職金の不思議 2016/3/12(土)

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一般的に日本の会社に入って無事に定年まで迎えると退職金がもらえると思っている人が多いと思います。公務員の場合は退職手当という名称です。

しかし90年代に入ってから、日本の企業でも終身雇用が当たり前ではなくなってきたということもあり、退職金制度を廃止したり、最初から制度のない会社が増えてきています。

ま、普通は、20代で就職するときに、「えーと、退職金制度はどうなっていますか?」とは聞きませんよね。それに入社時にはちゃんと制度としてあっても、あんなもの会社が就業規則をちょい変更すれば、いつでも簡単になくせるものです。恐ろしい話しですが。

私が昔に勤務していた会社の就業規則には「定年退職金は給料の1カ月分を支給する。ただし社長の判断で増額することもある」と書かれていました。驚きですね、1ヶ月分の退職金ですってよ。この会社今は就業規則が変わり、退職金制度がなくなったと聞きました。

厚生労働省「平成25年就労条件総合調査」の「5 退職給付(一時金・年金)の支給実態」という資料を読むと、従業員1000人以上の会社では94%、300人から999人の会社では89%、100〜299人の会社では82%、30〜99人の会社では72%に退職金制度があるということです。29名以下の零細企業は含みませんが、全体平均では76%が退職金制度があるということです。

退職給付制度の有無

退職金が支給される平均額※は、大学卒(管理・事務・技術職)で1941万円、高校卒(管理・事務・技術職)は1673万円、高校卒(現業職)で1128万円となっています。20年以上勤務者の45歳以上で退職した場合の退職金平均です。
※平成24年厚生労働省 平成25年就労条件総合調査結果の概況「退職給付(一時金・年金)の支給実態」

なお国家公務員(常勤職員)の場合、定年退職手当は2294.9万円と、民間企業大卒平均と比べても18%ほど高目です。こと退職金だけを比べると、なんとも羨ましい限りです。

今の若い人からすると、「えーそんなにもらえるの?」って感じかもしれません。おそらく自分たちが定年を迎える時にこの制度が続いているかどうか怪しいと思っているか、あるいは、どうせ途中で転職するから1社に20年以上も勤続するって難しいと思っているのかも知れません。

本来ならこの退職金で住宅ローンの残りを精算し、余ったお金は自宅のリフォーム資金や老後資金に回したり、定年を祝って夫婦で豪華に海外旅行に出掛けたりというのがよく聞くパターンです。

公務員はいくら財政赤字であろうと、規定の退職手当がちゃんと支給されるでしょうから安泰ですが、従業員30名以上の企業の場合で5社のうち1社にはすでに退職金制度がありませんから注意が必要です。

想像通り、いわゆる創業間もない少人数のベンチャー企業などでは、退職金制度がきちんとあるのは逆にまれなケースかも知れません。数年で倒産するかも知れない!という若い会社に40年後に支払う退職金を考える余裕はありません。

業種別で見ると、「電気・ガス・熱供給事業」が退職金が支給される割合がもっとも高く96%に達します。比較的大手企業が多いということでしょう。次に高いのは「建設業」の92%、「鉱業・採石業」が91%と、いずれも枯れた産業の旧型の会社が多いように思われますが、9割以上が退職金制度を維持しているだけでもさすがと言えます。

業種別退職給付制度

逆に退職金制度があるのが低い(つまり退職金がないケースが多い)業種は、「医療・福祉」が50%、「宿泊・飲食サービス」が53%、「生活関連サービス・娯楽業」が53%、「運輸業・郵便業」が60%となっています。流行のITベンチャーなどが含まれているだろう「その他サービス」も62%と低めです。

こうした退職金がなくて当たり前の業種に勤務すると、若い頃から老後のことを考えた預貯金や投資をしておかないと、ある日定年で職を失った瞬間、生活保護と似たり寄ったりの年金しか収入がなく、住宅ローンがまだ残っていたり、家族が大病したり、親の介護で物入りになったりすると大変な事になってしまいます。50代になってから考えてももう時既に遅しです。

特に最近は年収(賃金カーブ)は40代が一番高くなる傾向があり、30代、40代で貯金をしないでいると、子供の教育費がもっともかかる50代になってから給料が減り、老後資金が十分でなく慌ててしまうということになりかねません。

「若者は大企業を目指すのではなく、もっと夢を持ってベンチャー企業に飛び込むべきだ!」と声高に言う、本人自身はしっかり大企業や公務員だけに許される優れた研修や退職金の恩恵をうけた人がのたまっていますから、若い人は騙されちゃいけません。退職金制度が維持されている大企業というだけでも入る価値は大いにあるのです。

退職金というのは不思議な制度で、月々の収入の一部を会社(または役所)が貯めておき、退職するときに、その勤務年数や貢献度に対してまとめて支払う(会社に預けてあったものを支払ってもらう)というもので、最近の退職金制度のない会社は「その分を給料に含めて支払っている」という論理を展開します。

それに退職金というのは多くの場合、20年以上勤務してはじめてそれなりのまとまった額となり、それ以下では支払われないか、あってもわずかだったりするケースが多いようです。さらに自己都合退職の場合は規定の半額とか決められているのが普通ですから、10年以内で自己都合退職者だと出ないか出ても少額です。

退職金の代わりに401kと言われる確定拠出年金制度を実施している企業が最近は増えてきています。こちらは「毎月会社が本人の代わりに少しずつお金を積み立ててあげるから、その運用は自分の責任で決めなさい」という制度です。

会社を退職したあと、401k運用会社から一括で支払ってもらったり、60歳以降なら毎月の年金としてもらったりできますが、1社に終身雇用で働くことでもらう退職金とはちょっと様相が違います。

この401kのいいところは、転職した先でも401kの制度があれば、そのまま移し替えすることができ、退職時に一旦精算し、転職後に新たに退職金制度のカウントをゼロから始めるという転職者にとって不利な仕組みにとらわれないと言うことでしょうか。と言っても従来の退職金ほどの高額にはならないケースが多いのですが。

また401kは積み立てすることで利子や投資益が発生しますので、運用は国債などで手堅くいくのか、海外債権や為替を使い、元本割れリスクを取りながらハイリターンを目指すのか。自由に運用できることと、税法上の優遇が得られるメリットがあります。

さて、退職金制度ですが、元々その支払いについて法的な根拠があるわけでもなく、会社の業績が傾いたり、経営陣の思惑ひとつでいつでも変更が利く不安定な制度なのです。

それでも、やっぱり退職金というのは、これから収入が年金以外にはない一般的なリタイアした高齢者にとっては、必須とも思える大事な収入です。

特に現在40代後半以上の人にとっては、学校を卒業して入社したとき「終身雇用+退職金制度」がまだ普通だった時代でしたので、退職金への期待は相当高いものと思われます。

20代、30代の人なら、この何十年も先の退職金について考えるよりも、今の給料を少しでも上げたり、役職が上がって手当が増えることの方に興味が行きがちです。またいずれ転職をしようと思っている人は、退職金についてはもらえないものと理解している人も多いかも知れません。

社員のあまり関心のない制度に企業はめざとく撤廃したり変更をおこなうことをしてきますので注意が必要です。「年功序列をやめてこれからは能力主義、成果主義でいく!」という会社は、概ね退職金制度をその際に廃止したり大幅縮小する傾向にあります。

そうした変更に異論をはさみたくとも、大きな力を持つ労働組合でもない限り、その会社提案に抵抗できる社員はほとんどいないわけですけど。

転職をしなくても、会社や所属している部門が買収されて別の会社になったり、出向していた先の企業へ転籍したりと、自分の都合でない事情で、退職金がリセットされたりなくなってしまうこともしばしば起きます。

それだけに、退職金というもの、あまり期待しすぎて、もらえなかったり、額が極めて少なかったりすることもありますので、大手企業や役所勤め以外の人は、退職金に大きな期待をもたず、もらえればラッキー!ぐらいに思っておくのが、これからはよさそうです。


【関連リンク】
947 不法解雇や退職勧奨を強要された時に打つ手
921 もらえる年金の額はモデルケースとは違うということ
710 40歳以上の解雇や退職勧奨は最悪だ


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3月前半の読書と感想、書評 2016/3/16(水)

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存在の耐えられない軽さ (集英社文庫) ミラン・クンデラ

チェコ出身でフランスに亡命した作家ミラン・クンデラが1984年に発表した小説で、1988年にフィリップ・カウフマン監督のもとで映画化され有名になりました。

第2次大戦後東側陣営に組み込まれていたチェコスロヴァキアですが、共産党政権の中でも国民のあいだからは民主化や自由経済化の運動が叫ばれていました。それがいわゆる「プラハの春」運動につながります。

いかしその民主化の動きを封じ込めるため、1968年にソ連が政治的、軍事的介入を強め、チェコを弾圧する目的で軍隊を送り込んできます(チェコ事件)。

この小説ではそうした激動の中にあるチェコスロバキアに暮らすプレイボーイな外科医トマーシュと、その恋人との愛の物語ですが、なかなか哲学的な表現や思想を強調する場面もあり、また激動する国からとっとと他国へ亡命できるというような恵まれた特権階級という側面もあり、なかなか一言ではよかったとか感想が言い出せない困った小説です。

そして主人公トマーシュは、結婚した後も、絶えず外に愛人を持つという自由奔放な生活を送り続け、妻の「私にとって人生は重いのに、あなたにとってはとても軽い。私はその軽さに耐えられない。」という想いがタイトルになっています。

平和な日本においては、こうした国を捨てて亡命をするという経験もなければ、その最中にも妻と愛人を同時に愛するといういかにも肉食系男子的な恋愛小説は、あまりにも実感がわかずに、理解されがたいかもしれません。

★★☆


         

風のささやき 介護する人への13の話 (角川文庫) 姫野カオルコ

「もう私のことはわからないのだけれど」というタイトルで2009年に発刊された小説ですが、2011年には介護の話しだということがよくわかるタイトルに変えて文庫本で刊行されました。

著者自身が肉親、親戚など延べ20年近くも親族の介護を経験してきただけあって、高齢者の介護に対してえらく達観して見えるところがありますが、様々な事情を抱えた介護の形を13のケースの短編にうまくまとめています。うまくっていうのとはちょっと違うかな。

さてこの本の感想を書こうと思いきや、どうとらえていいのやら、介護に長く関わっている人しかわからないような心理描写や、人生観など、小説と言うよりも、なにか朗読詩を聞いているような錯覚に陥りました。

詩のように思えるのは、文章が生きていいる証拠でしょうけど、一般的な小説のように起承転結などあるわけでもなく、介護に関わったこともない人が読むと退屈きわまりない誰かわからない人の日記的な文章となってしまうかも知れません。

介護で悩み多き人がこの本を読むと、共感が持てるのかも知れませんが、一般的に読書好きな人にこの本を勧めたいか?って聞かれると、ちょっと躊躇うところです。

★☆☆

著者別読書感想(姫野カオルコ)

         

定年病! (講談社+α新書) 野末陳平

野末陳平と言えば私は1980年代にあった「税金党」を思い浮かべますが、もう彼の名前を聞かなくなってから久しく、最近はどうしているのかなぁって思っていたら今もお元気でご活躍のようです。

戦前生まれで今年で84歳になられます。著者と早稲田で同窓だった野坂昭如氏は昨年(2015年)暮れに亡くなっていますから、団塊世代にとっての兄貴分と言えるこの世代の人もだんだんと少なくなってきます。

野末陳平通信(ブログ)
野末陳平通信

同新書は2007年に刊行されたもので、著者の周囲にいる人達の実例をもとに、定年後の生活が「思っていたと違った!」とならないようにするための軽めの教書というべきものです。定年病とは著者が名付けた定年になったとたんに陥る心理状況、ひいては病状のことです。

最近よく聞く「定年後の田舎暮らしはうまくいかないよ」とか、「海外移住は業者に騙されているだけ」「奥さんは地域で独自のコミュニティを持っているが、会社人間の旦那は引退すると孤立する」といった、どこかでよく聞く内容ですが、2007年発刊なのでそれもやむなしでしょうか。

主に300万人近くいる団塊世代向けに書かれていますが、50代の人でも十分に面白おかしく、そしてためになります。「定年とは合法的な解雇(=失業)である」という言い回しは、確かにその通りだと思いました。

★★☆


         

K・Nの悲劇 (講談社文庫) 高野和明

2001年に「13階段」でデビューを果たした著者ですが、それ以前から多くの映画やドラマの脚本を手がけていて素養は十分にあった方で、この作品は単行本としては3作目、2003年に発刊されたミステリー小説です。この著者の作品では他に「13階段」と「ジェノサイド」(2011年)を読んでいます。

「ジェノサイド」2月前半の読書と感想、書評 2014/2/19(水)

13階段」も「ジェノサイド」も、私がお勧めするミステリー小説のひとつですが、この作家さんは長編小説が1年に1作あるかどうかという比較的寡作の方ですので、なかなか次の作品を読む機会がありませんでした。映画やテレビドラマの脚本なども多く手がける多才な人気作家さんなので、引っ張りだこなのでしょう。

最初は普通のミステリー感覚で読み始めましたが、よく現役医者作家が書くような医療サスペンス色が濃くなり驚きました。しかも亡くなった友人が憑依する霊的現象などホラー色も加わり、下手をすればとんでも小説になりかねないところ、元産婦人科で、現在は精神科医というたいへん好都合な主人公のおかげで、論理的に破綻せずにうまくまとめられています。

タイトルは、妊娠中に胎盤早期剥離のため亡くなった3年前の親友の事故を、イニシャルの匿名として書かれていた週刊誌の記事タイトルからきています。

本書に繰り返し書かれていますが、1990年頃には国内で40万件以上もの人工妊娠中絶がおこなわれており、もしこの中絶を胎児の殺人として考えてみると、その数は日本人のガンによる年間死亡者数(2014年度37万人)をも上回り、日本人の死因の堂々1位となってしまうという事実には驚きました。

ただし近年はその中絶数は減少傾向にあり、2000年で34万人、2013年は18万人となっていて、年間18万名の死因2位の心臓病(高血圧や動脈硬化など)とほぼ同数まで下がっていますが、それでも人口減少のなかにおいて、まだまだ中絶をする人(せざるを得ない人)が多いのだなということを初めて知りました。

★★☆

著者別読書感想(高野和明)


【関連リンク】
 2月後半の読書 退職金貧乏 定年後の「お金」の話、埋み火、残虐記、違法弁護
 2月前半の読書 人類資金 1・2・3・4・5・6巻、下流老人 一億総老後崩壊の衝撃
 1月後半の読書 海賊と呼ばれた男、ツナグ、逃げろ光彦―内田康夫と5人の女たち、日本名城伝


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兼業禁止規程はいつ禁止されるか 2016/3/19(土)

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少子化&高齢化のよる生産人口の減少が叫ばれつつもう20年近くが経とうとしていますが、その解決策としては「劣悪環境でもいいので育児施設を増やす(専業主婦を減らす)」「高齢者にむち打って働かせる」「安い外国人労働者を限定的に入れる」というぐらいにしか国は考えていません。

私も裕福で暇を持て余す高齢者にボランティアで働いてもらうことぐらいしか妙案は持っていないので、偉そうなことは言えませんが、1月に産経新聞に「なかなかユニークかつ面白い発想!」と感心して読んだ記事がありました。

サラリーマンの副業・兼業を認めよ 人手不足解消の秘策 女性、高齢者、外国人に次ぐ第4の働き手に(産経新聞)


副業や兼業の妨げになる「副業禁止規程」というのは、ほとんどの企業で就業規則に定めていますが、個人的には時代遅れも甚だしいことと思っています。

もっとも最近になって一部の企業では「副業を認める」あるいは「副業を奨励する」企業もポチポチと出てきましたが、その多くは単なる話題作りといったところでしょうか、大手企業で堂々と認めているところは聞いたことがありません。

最近、少しずつ大手企業も変化してきていますが、それがニュースになるぐらいまだたいへん珍しいことなのです。

国内正社員1500人、副職OKに ロート製薬(朝日新聞)

ロート製薬正社員1500人「兼業OK」に―他の企業が導入するときのポイントは?(弁護士ドットコム)


もしそうした副業を認める企業があったとしても、一般的にそれを深読みすれば「他に収入があるのなら、いつでもクビが切れる」「年齢が高い人は副業を本業にして早く辞めてほしい」という思惑があると思って間違いありません。営利を追求する企業なんてその程度です。

公務員の場合は法律で兼業禁止にしていますが、これだって贈賄収賄の可能性を排除するため、本務とは関係のない兼業は「一定の条件」の下で認めるぐらいの大らかさがあってもいいのではないかと思っています。

「一定の条件」とは、企業の従業員でも公務員でも事前に会社または役所に申請を出して、その兼業が本来職務に影響しない、あるいは競合相手に利する行為や贈収賄につながる可能性を完全に排除できる場合に限るとすればいいわけです。そうすれば届け出のない副業は一切禁止(=犯罪行為)しても構いません。

マイナンバーの導入により、一定利益以上の副業が会社にばれてしまうことで、いま雇い先に黙って副業をしている人は困惑していると思いますが、ちゃんとした届け出制、許可制にすればオープンに副業をすることができます。

だってずるいと思いませんか?

従業員は就業規則に縛られてすべての副業が禁止ですけど、経営者(役員)は競業禁止義務は当然あるとして、それ以外の副業は原則自由にできます。副業は禁止だぞ!って言っている会社上層部の役員達が自由に副業をやっているわけです。そりゃ収入格差はどんどん広がって当たり前です。

この副業禁止規定を法律上も原則禁止とすれば、不足する労働力の補完につながるというのは確かなことで、無理のない範囲で得意なことをパートや自宅勤務で働くという流れが作られれば、働く人、雇う会社それぞれにとってメリットがあります。

慢性的に人材が不足している介護や保育の現場や、土日曜日や夜間に集中する旅行・観光業、宅配サービス業、販売業などそうしたところに、土曜日だけ働きたいと言う人や、趣味を兼ねて夜間や休日に仕事をしたいという人が雇えます。そして残業や休日出勤を減らしたいそうした業種の社員の穴を埋めることができるのです。

反対するのは従業員が副業にかまけて休んだり、疲労で労働効率が落ちたりするかも知れないと疑い深い企業経営者たちということになります。経団連や商工会に属する古い頭の企業経営者たちですね。

自分たちは企業経営者でありながら、その多くは投資活動や不動産、他社の役員、講演会、本の出版など、いくつもの副業をして、もっと言えば経営者には就業時間ルールなどないので、平日の昼間っからでも副業にいそしんで本業以外に収入を得ていたりしながら、従業員にはそれを許さないなんて、「ルールは常に勝者に有利になるように決まっている」の見本のような悪習です。

以前からこの問題は法律論を含め多くの議論がなされていますが、いまだ決着はついていません。

会社は禁止でも実は合法! リストラの口実にされる?(PRESIDENT Online)


特に最近はネットを活用した副業が盛んに行われていて、気軽に収入を得ることができる時代です。それでもまるで女工哀史盛んな大正時代に作られたようなこの「兼業禁止規程」が現代社会にも堂々と生きているのはおかしなものです。

利益を最大限得ようとする企業に自主的に「副業禁止」を任意で求めてもそれは無理なことなので、ここは法制化して「副業禁止規程の禁止」「副業している人への差別禁止」を国が保証するべきでしょう。


【関連リンク】
869 働かないおじさんと年功序列
865 仕事と介護の両立という難題
844 内職・副業詐欺など


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不本意な非正規雇用とその実態 2016/3/23(水)

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非正規社員の増加で様々な問題が指摘されています。例えば「非正規で収入が少ないために年金を納めず、将来の年金受給ができない人が増えていくのでは?」とか、「非正規では職能が上がっていくということがないのでいつまでも低賃金だ」とか、様々です。

非正規社員は社会悪のような決めつけがマスコミのあいだで横行しているのは、いつも嫌な気分になります。

非正規のいいところもいっぱいあるので、これだけ非正規で働く人が多いということも注目すべきです。例えば「介護や育児をしながら、時間や出勤日数に制約があるけど空いた時間で働くことができる」、「他にやりたいことがあって、残業や休日出勤はしたくない」、「将来やりたいことが決まっているので、それまでのつなぎとしてちょっと社会経験を積みたい」、「税金や社会保険の関係で主な収入を得ている世帯主の扶養者でいたい」などなど。

ところが非正規社員の中でもいつも注目されるのは、「本当は正社員になりたいが、不本意にも非正規」という人に対してです。

この「不本意に非正規」という人は総務省調査(2014年総務省「労働力調査」)で315万人いると言われています。非正規就労者は全体で1980万人ですので、その中の約16%が不本意非正規就労ということになります。

確かにこの315万名、16%というのは少ない数字ではないでしょう。しかしこの16%の「不本意ではあるけれど非正規」という人をもっと細かく調べていくと、ここからは統計ではなく、過去の仕事の経験からですが、感覚的に半分ぐらいの人が「いまの非正規就労と同じような労働条件で給料や賞与、その他待遇面だけを正社員扱いに」と希望しているのです。

つまり、正社員なら当たり前の「地方への転勤」「残業」「休日出勤」「リーダーや店長、管理職など責任が重い仕事」「サービス残業」などは「お断りです!」って言う人が多いということ。

さらには正社員になっても「家庭の事情で有給以上の休みが必要」と当然の権利のように言う人もいます。そういう人達を正社員に迎えたいという企業が果たしてどれほどあるのでしょうか?企業には厳しい競争に勝って利益を上げ続けなければ、成長も従業員への還元もありません。

正社員を雇用する企業も慈善団体ではありませんから、計画的に経費を抑えるために最少人数で仕事を回したいと思っています。それ故に季節変動などで業務が増えたときには残業や休日出勤が当たり前になり、そうしたことをあらかじめ正社員には求めます。

また事業や経済活動は生き物ですから、何十年も同じ場所で同じ仕事を保障することなどできません。そのために正社員にはひとつの決まった仕事だけでなく、様々な業務を覚えてもらって、全国どこへでも社員の足りない場所へ異動し、今までとまったく違った仕事をやってもらうことを求めます。

そして正社員が担う大きな仕事はチームで動くことが多く、そのチームのために例え自分の評価につながらず、勤務時間でなくても、献身的に代わっておこなわなければならない場合もしばしばあります。

そうした正社員の負の側面を知らず、あるいは正社員になると今の条件も大きく変わることを言及せず、非正規雇用の人達に、単に「正社員になりたいか?」って聞けば「ハイ、正社員になりたいです」と回答するのが増えて当たり前です。

もちろん生産人口が減少していく中で、これからの企業には、「時間外勤務は極力なし」「転勤なし勤務制度の新設」など、正社員の雇用環境の努力すべき改善の必要はあります。

しかし現在のところ、そのようなことができる基礎体力がある企業というのは、ごくごく一部の大企業や、競争相手の少ない企業に限られています。競争原理が働かない役所ですら、税収が伸びないので、非正規職員は増えても、正規職員は増やせず苦労しているのが実態です。

沖縄県が仕事を紹介するハローワークで勤務する職員のうち70%以上が非正規雇用の人達です。それなのに、民間は非正規を使うのはけしからん!なんて指導ができるわけもなく、そういうことを堂々と言えるのは、現在不本意にも非正規社員の人と、自分たちは手厚く保護されていながらも社会の問題を追及したいという使命感を持った大手マスコミの正社員の人達だけでしょう。あとは人気取りのため無責任に言える野党政治家と、売名行為に懸命な社会運動家ぐらい。

現在不本意な非正規就労をしている人も、「もし自分が会社を経営したら」って考えてみればわかることです。いくらでも資本があるわけではないので、身を切る思いでお金をかき集めて、それを取引先や従業員へ支払っていく毎日です。少しでも雇う人を少なくし、また一度雇うと自由に解雇できず、一生その人の責任をみなければならない正社員を安易には採用せず、厳選したいと思うのは当たり前のことではないでしょうか。

ただ、不本意な非正規就労をされている人が多くいるというのは現実なので、そうした非正規で働かざるを得なかった人達に対して「なぜあなたが正社員の登用されないか?」「どうすれば正社員に採用されるか」というもっと現実的な理解と反省を求めていくのもマスコミやハローワークの重要な仕事ではないでしょうか。

ちょっと厳し目な意見ですが、非正規から抜け出せない人は、それなりの理由があるってことを知ってもらいたいのです。


【関連リンク】
890 非正規問題の真実
804 高齢就業者と非正規雇用
717 非正規から正規雇用への転換策


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定年後の生活資金設計 2016/3/26(土)

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2月に読んだ塚崎公義著「退職金貧乏 定年後の「お金」の話」で、これは意外!とか、斬新な考え方だなぁって思ったことがいくつかあるので、備忘録的に。すべての人に当てはまるか、参考になるかはわかりませんし、私自身も100%これらの話しに同意しているわけではありません。

2月後半の読書と感想、書評 退職金貧乏 定年後の「お金」の話(祥伝社新書) 塚崎公義


この本は、ほぼ50〜60代の既婚男性を対象とした「もうすぐやってくる引退(リタイア)に向けて老後資金をどうするか」って本ですから、若い人やすでにリタイア生活に入っている人にはあまり参考にならないかと思います。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

◆生命保険、医療保険は不要
子供がすでに学校を卒業し、自活をしていれば、一家の大黒柱である父親が急死しても、家族の生活に大きな影響はありません。父親名義の住宅ローンは死亡すれば残ローンは消え、遺族年金などが妻に支払われますから生命保険は不要という考え方です。

もし家族が大病した場合でも、健康保険に加入していれば「高額療養費制度」があるので、高額にならずに済みます。

たとえば年金生活者で年収310万円以下の人が支払う自己負担上限は57,600円になるなど、年収により負担する最高額が決まっています。

保険会社は「がん治療に医療費が○千万円必要!」とか「三大疾病に安心プラン!」と煽りますが、健康保険対象医療であればどんな高額医療であっても自己負担は数万円で済むのです。

もちろん保険対象外の治療や、特別な最先端医療、入院時は個室を希望するとか、お金が余っていればたんまり医療保険を支払うことで、より優雅で満足いく闘病生活がおくれますので、そのために加入するのは勝手です。

保険は確率論からすれば保険会社の経費や利益分があるので、加入者が必ず損をする仕組みです。子供の扶養など責任が重い時期が終わり、老い先短くなった高齢者であれば、お金がたっぷりある人だけが入ればよいということです。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

◆持ち家の火災保険は不要
火災保険は自宅が火災に遭って住めなくなった場合に、保険で自宅を再建したり、使えなくなった家財を買うためにかけておく保険ですが、一般的に住宅ローン支払い期間中は自動的に保険がかけられていて、ローンが終了すると火災保険も終了します。

したがって住宅ローンが終了する頃に、新たに火災保険に入るかどうかを考えるわけですが、その頃になれば子供達は巣立ち、不動産の持ち主はすでに高齢で、25〜30年前に建てた古い家は日常生活にも不便になってくる時期でもあります。

なので、万が一火事で住めなくなったら、どうせ築20年を超す建物なんかに価値はないのだから、再建したり一部を修繕したりせず、さっさと土地を売り、その売ったお金で夫婦だけが暮らせる小さなマンションを買うか借りるかして移り住めばよいという説明です。

火事の怖いのは、隣家が出した火事が延焼した場合でもよほどの重過失が証明できない限り、火元から賠償は得られず、自己負担となることです。つまり火事の後始末、撤去、整地、再建などもすべて自己負担でおこなうことになります。

それ故の火災保険ですが、高齢化して身体のあちこちが不自由になってくる夫婦が、新築の広い一戸建てに暮らすことが最善か?と考えると微妙でしょう。

地震保険は必ず火災保険とセットで加入しなければなりません。そして居住エリアによってかなり高額に設定されています。近いうちに大地震が想定される太平洋側の南関東、東海、近畿、四国の一部地域は、その他の地域と比べると保険料が2〜3倍も高くなります。

さらに地震保険は火災保険の補償の30〜50%程度だけ補償される場合が多く、地震保険の補償金だけでは半壊、または全壊した家を再建することは難しいでしょう。若い人なら不足分を新たな住宅ローンで組めますが、年金生活者だとそれも難しそうです。

こちらも火災保険と同様、地震保険は加入せず、地震で万一全半壊するようなことがあれば、生きているかどうかも怪しいですが、高齢者が自分で再建するのはあきらめて、土地を売ってマンションでも買うか借りる割り切りと考えるのがベターでしょう。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

◆貯金は将来のインフレを考えてEFT(上場投資信託)や物価連動国債、変動金利型国債
いくら利率がよい外貨預金でも、国内のインフレと連動することがないと、将来食料品などモノの値段が急に上がった際に預金が大きく目減りしてしまうリスクがあります。また外貨預金は為替のリスクもつきまといます。

その点株価は比較的インフレと連動する傾向があるので、老後資金のような長期で運用する確実性の高い預金に向いていると言われています。

さらに余裕があれば、日本経済が長期的にみて今後成長していくとは思えないので、分散投資として外貨建てMMFまたは米国債、外国株ETFを合わせて購入しておくと安心という話です。

ってなるほどねぇ〜って、こればかりはよくわかりません。本当に数年〜数十年後にインフレがくるかどうかなんて誰にもわかりません。それに備えるというのはギャンブルでもあります。

本書では年々寿命が伸びそれだけ多くの資金も必要となるので、60歳の定年後も、65歳、できれば70歳ぐらいまではパートやアルバイトでよいので働き続け、年金受給開始をできるだけ遅らせ、その分割り増しで多くもらえと書かれています。

しかし私の場合はすでに足の病気で外で働けない状態になりつつあり、それは無理。自宅で働けることがあればそれは考えたいですが、年金は定年後にでもすぐに欲しい状態です。

また退職金が出て分散預金できるほどお金のある高齢者はいいのですけど、私のように退職金がなかったり、あっても住宅ローンの返済にすべて消えてしまう高齢者はどうすればいいのか?ってところも聞きたいところです。

上記で言えば、引退したら生命保険(私の場合は掛け捨ての共済保険)や、新たに入ろうかと思っていた火災保険はやめにするのはいいとしても、その分は無駄遣いせずに貯蓄に回し、不意の出費、例えば家族の医療費、家の修理、家電の買い換えとかに備えておかなければダメでしょうね。

あとは夫婦の年金だけで毎月回していけるかってところが、実際に健康的な老後をおくれるかどうかってところです。とりあえず(まだ住宅ローンが残っているものの)住むところだけは確保できていますので、質素な暮らしに努めればなんとかなるのかなと。

覚醒剤で逮捕された清原元選手を見てもわかるとおり、現役を引退し、収入が大きく減っても、生活は現役当時のように派手で金遣いが荒い習慣が抜けないというのが人間の習性です。

一度身に染みついた生活スタイルは簡単に下げられないのでしょうが、これは自分でも一番気にかかるところです。果たして今までのように、毎月一定の収入がある生活から、生活にギリギリ必要な最低限の収入(=年金)で回していけるのか?

4人家族で世帯収入が400万円で普通?に生活している人がいますが、同じ条件で1000万円以上あってもまだ足りない、貯金できないという人もいるわけです。論理的には年収1000万円の人が400万円の生活に変えれば年間600万円も貯金ができるわけですが、絶対にそうはならないそうです。

わかっちゃいますが、これからますます高齢者が増えていき、社会保障費が拡大していくその中に、自分の未来もあると思うと、背筋が凍るような思いがします。もう一度30歳ぐらいからやり直せたなら、30年先40年先のことを考えたプランも作れますが、時は残酷です。

【関連リンク】
795 定年リタイア時の必要貯蓄額と生涯住宅費用
574 仕事を引退する時、貯蓄はいくら必要か
499 定年後にどう生活していくか


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3月後半の読書と感想、書評 2016/3/30(水)

1012
快挙 (新潮文庫) 白石一文

2013年に単行本が刊行され、2015年に文庫化された小説です。著者は私とほとんど同世代ということもあるせいか、その話には共感できることが多く、文庫化された小説は、2003年に文庫化された実質的なデビュー作「一瞬の光」以来ほとんど読んでいます。そして2009年の「ほかならぬ人へ」で直木賞を受賞されたのは嬉しいことでした。

2012年4月上旬の読書「ほかならぬ人へ」

「快挙」とは、また変わった小説のタイトルだな?と思いつつ、なんの予備的知識もなく購入して読みました。この著者の作品は安心して読めるので、文庫本で見つけると中身は見ずすぐに買います。

今回の小説の主人公は、若いときにカメラマンを目指していたものの芽が出ず、いまは浅草のホテルでフロントのアルバイトをしながら、出版社の編集やライターの仕事を手伝ったりしている定職を持たない男性。

いつものように散歩をしながら趣味で写真を撮っていると、月島の古い飲食店の2階で若い女性が洗濯を干している姿に魅了されシャッターを切ります。その店で切り盛りしている女性に撮影した写真をプレゼントしたことで、二人は急接近することになります。

その後二人は正式に結婚し、主人公の男はカメラマンをあきらめ小説家を目指すようになりますが、須磨にある妻の実家の酒屋が阪神淡路大地震で被害を受けてしまい、両親を励まそうと夫婦で須磨に引越し、店の再開を手伝うようになります。

著者の作品では、男女の目に見えない細やかな感情の糸が入り交じるのが特徴とも言えますが、この小説でも「彼女に会えたことが自分にとって快挙」と言えるまでに時間をかけて醸造されていくストーリーが見事です。

★★☆

著者別読書感想(白石一文)

         

晴天の迷いクジラ (新潮文庫) 窪 美澄

2010年のデビュー作「ふがいない僕は空を見た」に次ぐ2012年発刊(文庫は2014年)の2作目の長編小説です。「ふがいない…」は山本周五郎賞を受賞し、この作品は山田風太郎賞を受賞と順調に売れっ子作家の道を歩んでいるって感じです。

2015年6月前半の読書「ふがいない僕は空を見た」

文庫本の最後にある解説を直木賞作家の白石一文氏が書いているところなんかを見ても、新人らしくない著者の作品の筋の良さがかいま見えてきます。

この小説の主人公は3人いて、それぞれに重くてつらい過去を引きずっています。と言ってもひとりは会社を経営する中年の女性、ひとりは社会へ出たばかりの若い男性、もうひとりは女子高生という年齢も立場も抱え込む問題もそれぞれみな違うわけですが。

物語の最初から2/3ぐらいまでは、3人のそれぞれの背景が別々に淡々と語られているだけなので退屈な感じです。ところが、その3人が連れ立って湾の中に迷い込んだクジラを見に行くところから一気に話しは盛り上がっていきます。

この作品は映像化に向きそうだなぁって思って読んでいたら、すでに水面下では映画化の動きはあるようですね(詳細不明)。くれぐれもこの作品は演技力がある役者の配役が重要なので、力のあるプロデューサーに役者の人選を仕切ってもらえれば良い作品になるのではないかと期待しています。

★★☆

著者別読書感想(窪美澄)

         

悪の教典(上)(下) (文春文庫) 貴志祐介

2008年から別冊文藝春秋に連載され、」2010年に単行本、2012年に文庫版が発刊されました。2012年には三池崇史監督、伊藤英明、二階堂ふみ主演で映画化もされています。見てないけど。

「教典」というからには、もう少し哲学的、宗教的で高尚な内容かと期待していた面もありましたが、あまりにも俗世感たっぷりな内容でやや混乱気味です。

タイトルは小説の中で高校生バンドが練習しているイギリスのプログレッシブ・ロックバンド「エマーソン・レイク&パーマー」の「悪の教典(原題Karn Evil)から都合良く取られているようです。

主人公は子供の頃から自分の気にくわない相手を次々と殺してきた人との共感を持たない高校教師という設定で、殺人鬼と知った両親も小学生の頃に手にかけています。

そうした殺人鬼のあり得そうもない設定かというと、さすがに小学生ではちょっと知りませんが、中学生ぐらいになると、親を殺害した事件は世の中には結構ありますから、まんざら嘘くさい話しとも思えません。

また主人公が勤務する私立高校では、男子生徒と淫行している中年女性教諭、男子生徒とゲイの関係をもつ美術教師、校長の弱みを握り、学校を支配しようと目論む根暗数学教諭、女子高生を弄ぶチンピラ体育教師など、青少年の教育の場にあるまじき異常な倒錯世界がてんこ盛りです。エンタメとわかっていても、真面目な高校教師からすると反吐が出そうな展開でしょう。

ま、それはいいとして(よくないが)、やがては表向きは明るく弁説も爽やかな人気英語教師の主人公の裏の顔に気がつく生徒が現れ、また仮面が剥がれそうになって追い詰められていく主人公教師と対決していくという流れです。

途中からバイオレンス色が強くなり、校内でブラックジャックやスタンガンはもちろん、散弾銃までが登場し、壮絶すぎる殺戮が始まります。まるで「処刑教室」とか「バトル・ロワイアル」のノリになってきて不快さを感じる人も多いような気がします。

ま、理性ある教師なら、さすがにそこまではしないだろ?って思うのですが、事実は小説よりも奇なりってこともあるので、小説の世界ではこれぐらいはどうってことないのでしょうね。でもやり過ぎ。

★☆☆

著者別読書感想(貴志祐介)

         

なぜ人を殺してはいけないのか (PHP文庫)  小浜逸郎

聞かれると返答に困り、ドキッとしてしまう倫理を問う10の難問について考える本です。人を殺すことになんのためらいも抵抗もない大量殺人を描いた「悪の教典」と並行して読み進めていたので、なんだか不思議な感じがしました。

2000年に新書として刊行されベストセラーに輝き、その後2014年には文庫化もされています。著者は評論家で国士舘大学局員教授のちょうど団塊世代ど真ん中の方です。そのご尊顔を拝見すると、いかにも団塊世代に多く存在する、一癖も二癖もありそうな思想家っぽい感じの方です。

さて、その10の難問とは、

第一問 人は何のために生きるのか
第二問 自殺は許されない行為か
第三問 「私」とは何か、「自分」とは何か
第四問 人を愛するとはどういうことか
第五問 不倫は許されない行為か
第六問 売春(買春)は悪か
第七問 他人に迷惑をかけなければ何をやってもよいのか
第八問 なぜ人を殺してはいけないのか
第九問 死刑は廃止すべきか
第十問 国民は主権を持つのか

それぞれの難問について、考え方や、なぜこのような疑問、質問が発生するのかという時代背景など、論理的に説明されているのですが、正直言って学の乏しい私には半分ぐらいしか理解はできませんでした。結局なにが言いたいんだ?ってな感じ。頭が悪くてスマンこってす。

第8問の本書のタイトルにもなっている「なぜ人を殺してはいけないのか」については、著者の見本回答?含め、比較的わかりやすく説明が加えられていましたが、その他多くの難問にっついては、その背景や考え方がわかったところで、それが正解のない理由とは思えず、なにかモヤモヤした気持ちが残ってしまいます。

もうすぐ耳順を迎える身ですが、まだまだこうした思想めいた、哲学的というか、禅問答に近い話しにはどうもついていけません。

★☆☆


【関連リンク】
 3月前半の読書 存在の耐えられない軽さ、風のささやき 介護する人への13の話、定年病!、K・Nの悲劇
 2月後半の読書 退職金貧乏 定年後の「お金」の話、埋み火、残虐記、違法弁護
 2月前半の読書 人類資金 1・2・3・4・5・6巻、下流老人 一億総老後崩壊の衝撃

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