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005 結婚は人生の墓場か? 
004 風のささやき 介護する人への13の話 003 昭和の犬
002 ツ、イ、ラ、ク 001 ハルカ・エイティ


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1958年生まれ滋賀県出身。青山学院大学文学部日本文学科を卒業。画廊に勤務したり事務員等のアルバイトをしながら小説を執筆し1990年、出版社に持ち込みをした『ひと呼んでミツコ』で32歳で単行本デビュー。2014年1月『昭和の犬』で直木賞を受賞。(Wikipediaより引用 2022年)

005 結婚は人生の墓場か? (集英社文庫)

2007年に「ああ正妻」というタイトルで単行本が発刊され、2010年に上記のように改題されて文庫版が出ました。文庫本のタイトルのほうがはるかにインパクトがでかいですね。ただ最初タイトルを見て「これってエッセイ?」って思いつつ買いましたが、ちゃんとした長編の小説でした。

すでに結婚している若い男性編集者と老作家が織りなす様々な夫婦を描いたコミカル小説です。

山の手のお嬢様育ちで、お金に苦労はしたくないという唯一の目的で、容姿などにはこだわらず、高学歴、大企業勤務の旦那を早々に捕まえて、専業主婦に収まり、子供を大学まで一貫の私立幼稚園に入れて満足する女性が登場しますが、こうした女性はデフォルメしてあるとはいえ、決して珍しくないような気がします。

私の周辺にもそういう夫婦はかなりいそうな感じで、団塊ジュニア世代に多い気がします。

ま、男性にしても、誰もがうらやむような美人を妻に迎えられて、その本当の目的が収入だけだったとしても、それで幸せを感じられるのならいいのかも知れません。

女性側も下手にハンサムな旦那を捕まえてもすぐに浮気されたり、仕事で失敗して収入が途絶えたりすることを避けるには、浮気しそうもない、平凡で真面目な旦那を若いうちに捕まえるに越したことはないでしょう。

結婚したいけどできないていう女性の多くは、若くて自分を高く売れる時代に「もっといい男はいないのか?」「もっと高収入でリッチな男は?」「家柄がよく財産を持っている男は?」なんて夢を見ている間にどんどん年を取ってしまい、結局は安売りせざるを得なかったり、バーゲンセールしても買い手が見つからなかったりするものです。

結婚が墓場がどうかは、本人の考え方ひとつでどうにでもなりますが、それ故に、他人が人の結婚生活を見て、あーだこーだというものではありません。

しかし今の世の中、専業主婦を願う女性には厳しい世の中と言わざるを得ません。ひとつ教訓があるとすれば、結婚相手の両親が健康で、しかもそれなりに財産や家持ちであることが、配偶者の人となりよりも重要な時代になってきているのかなってこの小説を読みながらちょっと感じたり。

★☆☆

8月前半の読書と感想、書評 2016/8/17(水)

004 風のささやき 介護する人への13の話 (角川文庫)
「もう私のことはわからないのだけれど」というタイトルで2009年に発刊された小説ですが、2011年には介護の話しだということがよくわかるタイトルに変えて文庫本で刊行されました。

著者自身が肉親、親戚など延べ20年近くも親族の介護を経験してきただけあって、高齢者の介護に対してえらく達観して見えるところがありますが、様々な事情を抱えた介護の形を13のケースの短編にうまくまとめています。うまくっていうのとはちょっと違うかな。

さてこの本の感想を書こうと思いきや、どうとらえていいのやら、介護に長く関わっている人しかわからないような心理描写や、人生観など、小説と言うよりも、なにか朗読詩を聞いているような錯覚に陥りました。

詩のように思えるのは、文章が生きていいる証拠でしょうけど、一般的な小説のように起承転結などあるわけでもなく、介護に関わったこともない人が読むと退屈きわまりない誰かわからない人の日記的な文章となってしまうかも知れません。

介護で悩み多き人がこの本を読むと、共感が持てるのかも知れませんが、一般的に読書好きな人にこの本を勧めたいか?って聞かれると、ちょっと躊躇うところです。

★☆☆

3月前半の読書と感想、書評 2016/3/16(水)

003 昭和の犬 (幻冬舎文庫)
2013年刊の小説で、2013年下半期の直木賞で、朝井まかて氏の「恋歌」と同時受賞した作品です。この受賞までには「受難」「ツ、イ、ラ、ク」「ハルカ・エイティ」「リアル・シンデレラ」と4作が直木賞候補にのぼり、この5回目の候補で受賞と相成りました。

昭和33年生まれの著者自身が歩んできた人生を、主人公に重ね合わせたような自伝的な小説と言うことで、私とほぼ同年代、しかも同じく関西出身と言うことで、小説に登場する様々な生活の場面、テレビ番組、社会背景が自分の人生にもかぶってきます。

それにしても私の子供時代(昭和30年代〜40年代)に起きたことやその時の世相なんてすっかり忘れていましたが、この本のおかげで少し蘇ってきました。しかし「土居まさるのTVジョッキーでの白いギタープレゼント」や「心に愛がなければ、どんなに美しい言葉も 相手の胸には響かない…聖パウロの言葉より」なんて、よく覚えているものです。言われてみてそういうのあったなぁって思い出しました。

人は誰でも過去の体験を美化して話したがる傾向があります。成功者が必要以上に貧しかった生い立ちや、人並み以上の努力をしてきたことを語るのに似ています。

でもそこは作家さん、単なる歩んできた過去を美化した話しではなく、時代とそれに寄り添ってくれた犬や猫をうまく重ね、昭和後期と平成初期はこういう時代だったんだっていう思い出の記録の小説に仕上げています。

終盤、そうした昭和から、いきなり平成の現代へ飛びますが、紆余曲折あった主人公がほのぼのとして、肩から力が抜けるような人生を送っている姿を見せて、読み終わりも心地よい気分になれました。

★★★

11月後半の読書と感想、書評 2015/12/2(水)

002 ツ、イ、ラ、ク (角川文庫)
2003年の作品で、受賞は逃しましたが直木賞の候補に選ばれた作品です。少し前には「ハルカ・エイティ」(2005年作品)を読みましたが、両作品とも受賞は逃しましたが直木賞の候補に挙がった作品です。

主人公の女性の小学校時代から中学校時代の話しがメインで、同級生や親友、先生などの狭い範囲の中での交際や恋愛、友情、痴話喧嘩などがギュッと詰まっていて、50も半ばのオッサン(自分)にとっては、まぶしいような、あまりにも遠すぎて実感が湧かず、残念ですが読んでいてあまり愉快なものではありません。

小中学生の頃は男子より女子のほうが成長が早く大人だと言いますが、私の中学生の頃と言えば、男ばかりのクラブ活動で毎日汗まみれだったことや、せいぜい同性同士でエッチ系な映画を見に行ったり、ごくごくまれ〜に(健全な)デートと言ったところで、この小説に登場するような「あいつとあいつは完全にデキている」とか「先生を異性として見る」というような浮ついた話しはほとんどなかったような気がします。その頃の私の狭い範囲の中ではということですが。

しかし現実には小・中学生同士の異性関係や教師との関係など、事件や話題としてはよく社会問題となっていることもあり、著者が中学生当時にも、そういうことが実際に起きていたり、噂にあがっていたのでしょう。

ただ、なんというか、あまり面白味のない平凡な毎日に、思春期を迎えた女子中学生が性に目覚め、やがては破綻を迎えるというできれば10代、遅くとも20代前半のあいだに読んでおくといいかもと思う作品でした。ま、中学校の校内の図書館には置いてはないでしょうけどね。

6月後半の読書と感想、書評 2013/7/3(水)

001 ハルカ・エイティ (文春文庫)
私とほぼ同学年(1歳違い)の姫野カオルコ氏の作品は意外にも今回初めて読みます。この「ハルカ・エイティ」(2005年初出)は直木賞候補にあがったものの、残念ながら受賞には至りませんでした。

主人公は大正9年(1920年)生まれの持丸遙、本書発刊当時の2005年時点では85歳になる女性の、ほぼ一生を描いた大河小説で、そのモデルは著者の伯母とのことです。

嘘か誠かNHK朝の連続ドラマを狙っているという通り、過去の朝ドラのパターンが踏襲されています。現代に生きる老女が過去を振り返るパターン(これは姪の作家聞いたことを書くパターン)で、その主人公は学生時代には品がよく仲のよい友達が多くのびのびと育ち、やがて太平洋戦争中のどさくさで見合い結婚し、夫はすぐに出征、残された夫の両親と厳しい時代を乗り越える。

戦争が終わり、夫は無事に帰ってきたものの、仕事がなかなか安定せず、当時としてはまだ珍しいキャリアウーマンになるべく偶然見掛けた幼稚園園長の仕事に応募し見事に就職。やがては教育委員会へと順調に出世していきます。

惜しいかなNHKが朝の番組で取り上げるには、仕事もうまくいかないのに次々と外で女に手を出す女癖の悪い夫や、30半ばにして女に目覚めて浮気を繰り返す主人公、そのような両親を見ていて距離を置こうとする一人娘と、あまりにも現実的すぎるかもしれません。

しかしこのような戦前から戦中を描いた作品を読むといつも思うのですが、吉村昭氏や井上ひさし氏ならいざ知らず、この姫野氏や浅田次郎氏や柳広司氏、北村薫氏など、戦後生まれにも関わらず、まるで見てきたようにその時代の風景をうまく描写します。

「小説家は読者を騙すのが仕事だ」と誰か作家先生が書いていましたが、「騙す」というのが違っているとしても、聞いたり読んだりしたものを自分なりに想像して表現することに長けているということなのですね。

戦国時代や江戸時代のことなら、例え事実に大きく反することを書いたとしても、小説なら許され、そしてそれが事実に反するということは誰にも証明ができないのですが、太平洋戦争前後のことならば今でもよく知っている100歳前後の人がまだ多く読者にいるはずです。あとがきにも書かれていましたが、それに文句を付ける人も少なからず出てくるのでしょう。

3月後半の読書 2013/4/6(土)



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