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リストラ日記アーカイブ 2020年4月
読みやすいようにアーカイブは昇順(上から古いもの順)に並べ替えました。上から下へお読みください。

日記INDEXページ(タイトルと書き出し部の一覧)はこちらです
1420 3月後半の読書と感想、書評 2020/4/1(水)
1421 春うらら、高齢者はひたすら歩く 2020/4/4(土)
1422 ウイルスと細菌の違いなど 2020/4/8(水)
1423 世界と日本の宗教別信者数 2020/4/11(土)
1424 4月前半の読書と感想、書評 2020/4/15(水)
1425 リタイア後に取引銀行はどうすれば良いか 2020/4/18(土)
1426 物知りと語彙力 2020/4/22(水)
1427 高齢化で便秘症患者が増えていく 2020/4/25(土)
1428 4月後半の読書と感想、書評 2020/4/29(水)

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3月後半の読書と感想、書評 2020/4/1(水)

1420
最後の恋―つまり、自分史上最高の恋。 (新潮文庫)

8人の作家が書く8編のアンソロジー風短編集で、2008年に刊行されました。

収録されている短編は、「春太の毎日」三浦しをん、「ヒトリシズカ」谷村志穂、「海辺食堂の姉妹」阿川佐和子、「スケジュール」沢村凜、「LAST LOVE」柴田よしき、「わたしは鏡」松尾由美、「キープ」乃南アサ、「おかえりなさい」角田光代と、お馴染みの売れっ子作家さん大集合です。

ただし、タイトルやその副題に騙されて、大人のしっとりした深い恋愛や、激しく燃え上がる感情や、ベタベタした甘ったるい関係を期待して読むときっと肩すかしに合います。

いずれの作者も、そこは海千山千のテクニシャン?だけあって、最後の恋をテーマにした短編を書くと、一筋縄には終わりません。

ミステリーなものもあれば、ちょっとホラー?的なものもあり、淡々と始まり淡々と終わるものはありませんから、それなりに楽しめました。

その中で個人的に好きだったのは柴田よしき著の「LAST LOVE」かな。阿川佐和子著の「海辺食堂の姉妹」も良かった。

でもこういう短編の競作スタイルにすると、それで飯食っているプロの作家さんは、他の作家さん、特に「誰々さんには絶対負けたくない!(面白いものを書く!)」という思いが前面に押し出てしまい、なんだかえらく肩に力が入りすぎているかな?と感じるような作品もあったりして、人気作家を集めた競作というのは難しいものです。

★★☆

            

よろずのことに気をつけよ (講談社文庫) 川瀬七緒

2011年に江戸川乱歩賞を受賞したこの作品は2011年に単行本、2013年に文庫本として発刊されています。この方の著作を読むのはこれが最初です。

著者はフリーで服飾デザイナーをし、さらに作家活動もして「法医昆虫学捜査官シリーズ」というちょっと毛色の変わった作品などを書いています。

この小説はシリーズ作品ではありませんが、主人公は毛色の変わった文化人類学、その中でも特異な呪術を専門に研究しているという貧乏な独身の学者です。

実は、なにを隠そう、隠していませんが、1988年から連載が始まったコミック「MASTERキートン」に憧れ、フィールドワークをする考古学者っていいなぁーとずっと思っていた考古学者ファンです。

考古学と文化人類学とはだいぶんと違ってそうですが、もし、同コミックを読むのが10年早かったら、そうした武闘派の学者の道を目指していたかもです。

もちろん、そんな簡単にはなれないし、平凡な学者だと収入だってずっと低いというのは知っていますが、なにか夢とロマンがかき立てられます。

少し前に読んだ前野ウルド浩太郎著の「バッタを倒しにアフリカへ」の前野氏と同様、フィールドワーク派の考古学者ってなにか最高です。

それはさておき、この小説のストーリーは、女子大生がこの呪術を専門に研究する学者の家にやってくるところから始まります。

その女子大生は一緒に暮らしていた祖父が何者かに惨殺され、それが呪術と関係しているのではないかと考え、それに詳しい主人公の元を訪ねてきたということです。

学者と、女子大生が、祖父のことをいろいろと調べまわり、祖父が隠していた謎の行動や、奇妙な殺され方に迫っていくというもの。

最後の方は、スリルとサスペンスで、テレビの安物の2時間ドラマのように、犯人がその謎について訥々と語っていくというのはちょっといかがなものかって気もしますけど、それを除いても全体にとても新鮮で面白かったです。

★★★

            

嘘ばっかり (新潮文庫) ジェフリー・アーチャー

原題は「Tell Tale」、直訳すれば「告げ口」とでも訳せるのでしょうか、お得意のショートショートを含む短編小説集で、2017年に発刊、翻訳版は2018年に刊行されています。

2011年から2016年まで続く7部作の大作「クリフトン年代記」のあとに書かれたのがこの作品となります。

収録されている作品は、「唯一無二」「最後の懺悔」「オーヴェル-シュル-オワーズの風景」「立派な教育を受けた育ちのいい人」「恋と戦は手段を選ばず」「駐車場管理人」「無駄になった一時間」「回心の道」「寝盗られ男」「生涯の休日」「負けたら倍、勝てば帳消し」「上級副支店長」「コイン・トス」「だれが町長を殺したか?」「完全殺人」「次作についてのお知らせ」となっています。

ケインとアベル」や「クリフトン年代記」のような長編小説も良いですが、ウィットの効いた短編作品も数多く書いていて、どれも好きです。

ところが、今回の短編集はというと、わずか1ページ(英語で100語、翻訳した日本語で250語)で完結するものもあれば、結構な枚数のあるものまで多彩です。

内容も、過去の短編同様、最後のオチでニヤリとさせるものもありますが、繰り返し読んでも、オチはなんなの?と意味不明なものまであって、ちょっとどうしたの?って感じがしました。

作品には、現実にあったことを下敷きにしたものとまったく創作で作ったものが区別されていましたが、それは読み手にとってはどうでもよく、できれば同じ短編集に入れるのならば、似通ったものにしてほしかったです。

つまりウイットの効いたコミカルなものと、実話を元にしたシリアスな人生ドラマがごっちゃになっていて、一気に通して読むのがつらかったです。

どの短編が面白くて、どの作品がさっぱりわからないかというのは、書きませんが、読み手によって、思いがそれぞれ違ってくるというのが狙いなのかも知れません。

また最後に、次作の長編小説「運命のコイン」のプロローグとして、次作に期待させる、早く読みたくなるような、商売上手な短編がありました。

★★☆

著者別読書感想(ジェフリー・アーチャー)

            

人生に生きる価値はない (新潮文庫) 中島義道

元大学教授でカント研究など哲学者の著者の作品は好きで、過去には「対話のない社会」(1997年)、「どうせ死んでしまうのに、なぜいま死んではいけないのか?」(2004年)、「私の嫌いな10の人びと」(2006年)、「「人間嫌い」のルール」(2007年)を読んでいます。

このエッセイ集は2009年に単行本、2011年に文庫本が出ています。ちょうど、国立大学の教授職を定年で退官される直前に書かれたものです。

とにかく、行動と言論が独創的でかつ過激な方で、団塊世代の中でも突出しているなーと感じますが、言っていることは決して間違ってはなく、考えさせられる内容です。

でも時々は、話題から外れ、うるさ型オヤジの愚痴っぽい話しも顔を出し、相変わらずの内容ですが、最初にこの著者の本を読むと、ちょっと引いてしまうかも知れません。

本文中に「まもなく国立大学を定年で去るので、その前に準備として哲学塾を開講すべく有料で始めた」というのがあり、「公務員の副業って認められているんだっけ?」「当然なんらかの許可を得ているのだろう」と思って先を読み進めると、やはり大学の事務局から兼業規程のクレームがつきました。

自分からそんな恥ずかしいことを書いているので、悪気があったわけではないのでしょうけど、「そんな基本的なことも知らずにやっていたのか?」と、専門の学問に対して頭は素晴らしく良いのかもしれないけど、世知に疎い学者先生というのを知って笑ってしまいました。

国立の大学教授が書籍を出し印税収入を得たり、講演会で謝礼をもらったりするのは、副収入という扱いで副業ではないというのが通説ですが、学校とは別に塾を開き、お金を取れば立派な副業(事業)となるでしょう。その線引きは微妙な感じもしますけど。

この著者が毎度必ず著書に書く「街中や電車内での放送騒音」について、普段通勤で乗る電車でもまったく同感で、過剰すぎる大きなお世話的案内や注意・警告などの改善は進むどころか、年々ひどくなるばかりです。

少し古い記事ですが、下記に著者が詳しく書いています。

日本で「お節介な注意放送」が流れる根本理由(東洋経済ONLINE)

それ以外にも、電車内で化粧する女性について、著者が過激な対応が書かれています。私は、お化粧は放送と違って、見ないようにすれば見なくて済むので別に気にはなりませんけど、不必要にがなり立てる車内放送は、イヤホンを耳に突っ込んで、大きな音で音楽でも流さないと聞こえなくできませんからいつもつらく感じています。

どこまでタイトルに沿った話しかという疑問はありますが、総じて著者の哲学論、個人的な思考法、胸のすく発言などを期待して読む分には面白いと思います。が、逆に読んでいると腹が立ってくる人もいそうで、単なる哲学本という位置づけではありません。念のため。

★★☆

著者別読書感想(中島義道)

【関連リンク】
 3月前半の読書 弁護士の血、それでも、日本人は「戦争」を選んだ、雪の断章、バッタを倒しにアフリカへ
 2月後半の読書 華竜の宮(上)(下) 、その時までサヨナラ、定年前後の「やってはいけない」 、悪童日記
 2月前半の読書 家霊、転生、人口と日本経済、カエルの楽園、ベストセラー小説の書き方


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春うらら、高齢者はひたすら歩く 2020/4/4(土)

1421
4月になりました。役所や企業ではまた新年度が始まりました。

今年は暖冬だったためにいつもは桜がまだ咲いているタイミングですが、今年は関東では3月中旬に開花し、4月には概ね散ってしまっていて、さらに新型コロナ禍が長引いて世界全体が自粛ムードの中、寂しい新年度のスタートとなりました。

歩数計初めて社会に出た新入社員(職員、行員など)は、今はまだフレッシュな気持ちで、夢あふれる社会人生活にきっと燃えていることでしょう。え?そんなことはない?

ま、世の中には、そうやって新しく社会人になる人もいれば、昔で言うところの隠居、つまりはリタイアして蟄居する人もいるわけです(まもなく私のことです)。

私は今は62歳で、まだ年金がもらえる年齢ではないのですが、仕事の区切りがつくことで、2ヶ月先の6月でリタイアし隠居する予定です。あとは日本経済を支える優秀なこれからの皆様に託し、野となれ山となれです。

2016年に右側、2017年に左側の股関節全置換手術をおこない、そのリハビリとして続けてきたウォーキングですが、今でも地味に続けていて、このほどスマホで歩数カウントを始めてから3年が経過したので、その統計を備忘録的に書いておきます。

なお、会社へ出勤したときは、その往復と昼休みの時間に少しウォーキングをすることで、概ね目標とする1日6,000歩に届きます。

休日と、平日でも在宅ワークで会社に行かない日は、お金のかからないリハビリと、太らぬ運動として欠かさず近所をウォーキングしています。

体調が良く、天気が良いときは1日に1万歩以上歩くことがありますが、逆に終日雨降りとかだと100歩も歩かないときもあります。月平均で1日6,000歩以上平均を歩くよう心掛けてきました。

そのウォーキングの歩数ですが、2017年2月途中から、スマホに歩数計アプリを入れて、その歩数を記録しています。

歩数データ

歩数グラフ

3年間の総歩数は6,665,545歩です。3年間36ヶ月で割ると1ヶ月平均は185,154歩。1ヶ月30.4日平均とすると6,091歩です。2017年10月には反対側(左)を手術して、歩けなかった時もありましたけど、平均6千歩は維持出来ました。

歩数を1歩70センチと仮定すると、3年間で歩いた総距離が出ます。

この(歩数計でカウントした)3年間の総距離は、4,666kmになります。これは直線距離で、東京からタイのバンコクあたりまでの距離となります。

東京から一番遠い国の首都は、アルゼンチンのブエノスアイレスあたりで、その距離は18,374kmですから、まだ地球半周の1/4ぐらいに達したということでしょうか。

と言うことは、今のペースを続けていくと、12年で地球半周、24年で地球1周です。12年はともかく、24年は生きている自信、いやその前に歩けなくなるでしょうから、このウォーキングではどうも無理っぽいです。


【関連リンク】
1181 散歩道の春夏秋冬
1132 歩数計とともに
1109 人工股関節全置換手術その後

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ウイルスと細菌の違いなど 2020/4/8(水)

1422
今年は世界中で新型コロナ一色となってしまい、政治、経済、生活すべてがひっくり返るような大きなうねりがやってきて、いつ収束するのか不透明なまま、まだしばらくはこの事態が続いていくのでしょう。

ウイルスいい加減コロナの話題はもう飽きたってこともありますが、リタイア後の脳天気な話しばかり書いていては、あきれかえられるでしょうから、普段はあまり書かない時事ネタに少し触れておきます。

実は、狙ったわけではなく、単に手にとって買ってきた新書、池上彰著「おとなの教養」(2014年 NHK新書)を読んでいたら、タイムリーなことに、その第四章に「人間と病気―世界を震撼させたウイルスの正体」と題して、過去に起きたパンデミックなどの話しがわかりやすく解説されていて、今回の新型コロナの世界的流行を6年前に予言されていたのだなぁと感心しました。

世界的なパンデミックに襲われる話しは、多くの学者や医者、作家などが数多く指摘し、予言してきました。その中には、人工的に作られたウイルス兵器的な陰謀説もあります。

そうした創作ものの結末は、だいたいが、優れたリーダーが登場し、国際協調してウイルスを封じ込めたり、天才科学者が登場してワクチン開発に成功したりと、割と楽観的に収束していきます。

ところが実際にパンデミックが起きると、各国は自国のことで手一杯になり、国際協調とかもできず、国民は買い占めに走り、他国から感染者が入ってくることを警戒し、ため込んだ鬱憤を晴らすために、あちこちで暴力沙汰や暴動などへと発展していくところは、事実は小説より奇なりです。

その池上解説を少しだけ紹介しておきます。

・ウイルスと細菌は違う。自己の細胞(膜)があり、核が分裂をして自己増殖していく細菌に対し、ウイルスは自分では分裂ができない非生物でヒトや鳥など動物の中に入って自己の遺伝子をコピーして増やす

・細菌は抗生物質で細胞膜を壊すことで殺せるが、体内に入ったウイルスは抗生物質では殺せない。不活性化させるだけ

・インフルエンザなどウイルス感染で医者に抗生物質を処方されるのはウイルス退治ではなく、弱った身体が他の細菌でやられないため

・1918年に起きたスペインかぜ(新型インフルエンザ)は世界中で大流行した初のパンデミック

・世界の中でも特にヨーロッパで拡がったのは、第1次世界大戦が欧州で起きていたため、人の移動が盛んで、兵士から兵士へと感染していった

・しかもスペインかぜが流行した時、第1次世界大戦中のため、軍事機密として多くの国が感染者数、死者数を伏せていたため不明なことが多い(死者は世界で4千万人とも1億人とも言われている)

・スペインかぜがなぜスペインと名付けられたかというと、スペインは当時中立国で第1次世界大戦に参加してなく、感染者数などを公表していたため

・次々と新型のウイルスが発生するのは、ウイルス遺伝子が動物とヒトの中で混ざり変異していくから

・スペインかぜが最初に発見されたのは、中国からの移民者が多かったアメリカと、中国人の往来が多かった台湾。そのアメリカ人兵士が大挙して欧州へ渡った。

・鳥インフルエンザの一種であるスペインかぜや、その後流行したA香港型、Aソ連型、豚インフルエンザなど中国農村部が発生起源と言われている

・新たなウイルスが、中国農村部で発生のは、家畜と人が同じ屋根の下で同居していて、それぞれのウイルス遺伝子が交雑しやすい環境にあるから

などなど。

それにしても、毎年インフルエンザでは世界中で300万人から500万人の人が重症化し、呼吸器系の症状により30万人から60万人が亡くなっています。

いま新型コロナが大流行し、4月7日現在亡くなったのは8万人ぐらいで、わずか3ヶ月ぐらいでこれですから多いのには間違いありませんが、まだ既知のインフルエンザで毎年亡くなる数には遠く及んでいません。

ただ、今後の状況次第ではその数を追い越す可能性も否定出来ないでしょう。

特に医療体制や検査体制が十分でない発展途上国で感染が爆発すると、その感染者数、死亡者数さえスペイン風邪と同様、不明ということになりそうです。


【関連リンク】
1013 5年生存率と余命宣告
737 日本人が罹りやすい病気
417 もはや国民病とも言えるうつ病について考える その1


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世界と日本の宗教別信者数 2020/4/11(土)

1423
自宅の近所には大きな公営霊園があり、緑が多いので散歩をするにはもってこいの場所です。

お墓公営霊園ですので、お寺さんの墓地とは違い、利用者の宗派は問わず、基本的にはよくある仏式のお墓が多いのですが、ところどころに、キリスト教や、無宗教?と思われる変わり種のお墓があったりします。

日本では、多くの人が、お葬式と言えば僧侶に読経してもらってというパターンが多く、特に意識をしていなくても、先祖代々宗派は仏教徒ということになっているのでしょう。

一方では、お正月には初詣に神社(神道)へお参りに行き、クリスマスには恋人や家族とキリスト誕生を祝い、結婚式は神前またはキリスト教会で執り行うっていうのが日本人のもっとも多いパターンなので、実際はなにを信じているのかよくわかりません。

ま、八百万の神信仰ってことでしょうけど。

世界の国々を見渡すと、そのあたりが日本とは大きく違ってきます。

世界の主要宗教の信徒数を比較すると下記のグラフのようなシェアになります。

宗教信者比率

もうちょっと詳しく、宗教別の世界の地域別信徒数の表です。

地域別宗教信徒数

仏教徒数は世界ではキリスト教、イスラム教、ヒンズー教に次いで第4位、神道は当然ながら日本ローカルなものなので、民族宗教としてまとめられています。中国ローカルの宗教は、人口が多いだけに仏教の次、第5位に入っています。

仏教はご存じの通り、インドが発祥ですが、現在インド国内ではヒンズー教が人口の8割を占め、次にイスラム教、仏教はその次の座をキリスト教と競っているという感じです。

ユダヤ教は、経済や金融の話しの時によく聞きますので、もっと大きなシェアがあるのかと思っていたら、意外と小さいですね。ただ西アジアに位置するイスラエルの人口(約880万人)の75%がユダヤ教信者と言われています。

日本国内の宗教別信徒数はと言うと、下記の表のようになります。

日本の宗教団体数、信者数

信徒数全部足すと日本の人口よりも多い1億9千万人になるじゃない!って言われそうですけど、仏教徒と神道信者、または新興宗教など諸教信者のあいだで信者がかぶっていることから起きていると思われます。


仏教も神道も、特に入信するのに資格が必要とか、入信者名簿があるわけでもなく(昔はというか今でも檀家制度はありますが)、基本は自己申告でなれちゃいますから、そういうことが起きるのでしょう。八百万の神です。

否応なく日本に入ってくる外国人が増えていくことで、こうした今までのユルユルの日本人特有の宗教思想が、国内で今後どのように変化していくのか注目です。


【関連リンク】
1288 君は即身仏を見たか?
698 世界と日本の書籍ベストセラーランキング
640 クルマで行く京都観光お勧めコース その1


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4月前半の読書と感想、書評 2020/4/15(水)

1424
墓標なき街 逢坂剛
裁判官の爆笑お言葉集 長嶺超輝
かたみ歌 朱川湊人
おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか? 池上彰
老後の資金がありません 垣谷美雨

墓標なき街 (集英社文庫) 逢坂剛

2015年に単行本、2018年に文庫版が発刊された、百舌シリーズ(公安警察シリーズ)7作目の警察犯罪小説です。

著者の作品を読むのはなんと20年ぶりぐらいで、過去に「さまよえる脳髄」(1988年)、「よみがえる百舌」(1996年)を2000年前後に読んでいます。

シリーズものゆえ、過去の経緯を知っていないと、いきなりこれではちょっとつらいです。一応、過去の経緯は節々に少し触れられますけど、あくまでもシリーズを最初から読んでくださいねって感じです。

主人公は元警察官で、いろいろあって退職に追い込まれ、現在は私立探偵のような調査会社を営んでいる男性です。その主人公の別れた妻に引き取られた娘が成長し、この回では警察に入り刑事になっています。デキすぎでしょう。

シリーズを通して登場してくるのが、アイスピックのようなもので、頭の後ろの延髄を刺して殺し、その現場に百舌(もず)の羽根を置いていくという殺人鬼。

政治家や警察組織などが複雑に絡み、今回は、過去の百舌と呼ばれていた殺人鬼に関する記事を再び復活させ、それを利用してきた政治家に揺さぶりをかけようとする元新聞記者と、武器輸出三原則違反を内部告発する社員や業界新聞社編集長などが絡み、誰が何のために殺人鬼を復活させたのか?という流れです。

上記のように、過去しかもずっと前にシリーズ5作目「よみがえる百舌」を読んだだけなので、その前後のことがさっぱりわからず、今回も理解するのに苦労しました。過去の出来事は一切無視して、今回の出来事だけを追うことで、それなりに楽しめましたけどね。

このシリーズは、すでに8作目の「百舌落とし」(2019年)が出ています。私はもうお腹いっぱいでいいですけど。

★★☆

            

裁判官の爆笑お言葉集 (幻冬舎新書) 長嶺超輝

著者は司法試験に7回落ちてあきらめた司法系のジャーナリストの方で、数多くの裁判を傍聴し記事を書いたりされています。

そうした中で、2007年に出版した、裁判官も人だということが率直にわかる面白い「お言葉集」を集めたこの本がベストセラーになりました。発刊当時、話題になっていて知っていましたが、それはもう13年も前のことです。

タイトルには「爆笑お言葉集」となっていますが、お言葉で笑えるものは少なく、被害者の気持ちを代弁したり、被告をなだめたり、時にはきつく叱ったりしています。

そして読後に強く印象として残るのも、やはり爆笑系のお言葉ではなく、非道な被告に対して人間味あふれた優しい言葉だったりします。

タイトルがどうして爆笑となったのか不思議ですが、きっとそのほうが売れるからと編集者が勝手に決めたのでしょう。

二匹目のドジョウですが、翌年に出版されたのは2008年の「裁判官の人情お言葉集」という、ちゃんとしたタイトルになっています。売れたかどうかはわかりませんが。

この新書を読んで、3ヶ月後仕事を引退したら暇になるでしょうから、時々は裁判所へ出掛けて裁判を傍聴してみるのもいいかな〜と思っています。

裁判に、原告または被告で出た一般市民は何パーセントぐらいなのか知りませんが、私は、過去に一度だけ、仕事上の売掛金回収のため原告側、と言ってもすべて代理弁護士がおこなうので、実際には傍聴席で、臨んだことがあります。

本書で語られるような面白お言葉には滅多なことでは遭遇しないでしょうけど、罪を裁く緊迫した場面の中に身を置くことで、いろいろなことを考える機会になりそうです。

★★☆

            

かたみ歌 (新潮文庫) 朱川湊人

2005年に単行本、2008年に文庫化された短編集です。以前読んだ同じく短編集で直木賞を受賞した「花まんま」(2005年)の次に書かれたものです。

収録されているのは「紫陽花のころ」「夏の落とし文」「栞の恋」「おんなごころ」「ひかり猫」「朱鷺色の兆」「枯葉の天使」の7作品です。

「花まんま」の柳の下を出版社が狙ったのかは定かじゃありませんが、「花まんま」を読んだときほどの感激はなく、ちょっといまいちな感じでした。期待度が上がりすぎたかも、残念。

2018年9月後半の読書と感想、書評(花まんま)

しかし、ちゃんと幻想的な淡い恋など、著者の作品の特徴は健在で、病院での待合室などで読む暇つぶしには最適な軽い小説かもです。

今度は著者の長編を読みたくなりました。それに期待。

★☆☆

            

おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか? (NHK出版新書) 池上彰

2014年に発刊された新書ですが、ベストセラーとしてよく知られています。なにかありふれたタイトルですが、書かれているテーマは(1)宗教、(2)宇宙、(3)人類の旅路、(4)人間と病気、(5)経済学、(6)歴史、(7)日本と日本人と7章立てです。

ジャーナリストの著者ですが、2012年から理系のエリートが集う東京工業大で教鞭をとることになり、そこのリベラルアーツ(現代の教養)センターに属し、学生に理系バカにならないよう、理系以外の教養を身につけてもらおうとしています。

そうした流れから、「大人の教養」として、上記の7つのテーマで講義をしているという体裁です。

今のコロナ騒動にタイムリーな話題として、前の前のブログで少し(4)人間と病気に触れましたが、そうした知らなかった雑学や知識が目一杯詰まっていて、なんだか賢くなったような気にさせてくれます。

その他にも、現在は敵対することが多いキリスト教とイスラム教、ユダヤ教ですが、ルーツはいずれも同じで経典も元々は同じところから来ていたりと、知っていて損はなさそう(特に役立つとは思えないけど)知識が学べます。

研究者からすると、「ちょっと違うんじゃないか?」って思うところもあるかも知れませんが、時代と友に研究が進めば次々と変わっていくこともあるので、細かなことは言わないで、自分が興味があることだけを学ぶのではなく、いくつになっても大雑把でも良いから幅広い知識を身につけようとする姿勢が大事なのですね。

続編の「おとなの教養 2―私たちはいま、どこにいるのか?」も既刊です。今度読まなくっちゃ。

★★★

著者別読書感想(池上彰)

            

老後の資金がありません (中公文庫) 垣谷美雨

私と同年代の著者は会社員から15年前に作家へ転身された方です。これは2015年単行本、2018年文庫化された小説です。

帯には家計応援小説とありましたが、老後資金のノウハウ小説ということではなく、定年近くなった夫婦が様々な思いがけない場面に襲われるという恐怖小説とも言えるかも知れません。

主人公は50代の共稼ぎで働いている主婦。何事にもとろくて大学まで進んだのに就活に失敗しアルバイトで働いていた長女が無事に結婚が決まり、長男も大学を卒業して正社員に決まりヤレヤレと思ったところ、、、

まずは自分がパートで働いていた仕事がリストラに遭い、続いて旦那さんもリストラで失業、贅沢し放題で、豪華な老人ホームに入居していた義父が亡くなり、葬儀費用やお墓の費用が思いかけず高額負担することになります。そして残った義母を引き取って、、、と次々問題が転がり込んできます。

うまくやっているなーと羨ましく思っていた習い事で知り合った友人達も、裏側ではそれぞれ問題を抱えていたりして、騒動だらけで笑えてしまいます。

老後というと、人生終盤の穏やかな生活と思いがちですが、考えてみると、いろいろな問題を抱えていることがわかります。

本当は、若い人にこれを読んで、「高齢者は恵まれ過ぎている」という根拠がない世代間格差を言うのではなく、今のうちから、老後に備えて、貯蓄や投資活動など、面倒がらずにコツコツやっておくのが良いですよってことかも。

特に、夫婦で片方に収入の多くを頼ってしまうリスクは、これからますます大きくなってくるので、男女とも正社員でガッチリと定年まで働く(あるいは事業をおこなう)ということを肝に銘じておくべしです。

★★☆

著者別読書感想(垣谷美雨)

【関連リンク】
 3月後半の読書 最後の恋―つまり、自分史上最高の恋。 、よろずのことに気をつけよ、嘘ばっかり、人生に生きる価値はない
 3月前半の読書 弁護士の血、それでも、日本人は「戦争」を選んだ、雪の断章、バッタを倒しにアフリカへ
 2月後半の読書 華竜の宮(上)(下) 、その時までサヨナラ、定年前後の「やってはいけない」 、悪童日記


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リタイア後に取引銀行はどうすれば良いか 2020/4/18(土)

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リタイアの準備と並行して、住宅ローンが終了したことでもあるので、銀行口座を整理したり、日常取引する銀行を移管することを考えなくてはと思っています。

長い間、銀行口座はほったらかしでも問題なく、コストもかかりませんでしたが、長期化する低金利政策の影響で、日本の銀行も口座を持っているだけで費用を取るようになってきています。

ただ?有料? どうなる銀行口座(NHK 2020年3月13日)
銀行に預金口座を持つために、毎月300円かかるようになったら、どうしますか?あまり使っていない口座ならこの際、解約する?電気もガスも携帯も毎月、基本料金はかかるのだから仕方ないとしぶしぶ納得する?“ただがあたり前”だった預金口座ですが、手数料をとることを検討する金融機関が出始めました。

私が社会人になった時、会社指定で給料振り込みに使う都市銀行に新しく口座を開設し、それ以来、住宅ローンを借りるときもその銀行から借りました。

銀行看板住宅ローンを借りていると、様々な特典があり、他行への振り込みも件数制限がありますが、無料になったり、休日に他行やコンビニから預金を引き出しても手数料がかからなかったりします。

ところが、住宅ローンを完済した後、それらの優遇措置は2年間は継続するそうですが、2年後にもし同じ優遇を得ようとするなら、その銀行の場合は毎月末に500万円の預金残高があることが必要とのことです。そりゃー厳しい。

今は現金(預金)のほとんどは、(IPO応募に当選すれば)手軽に利益を得られやすいネット証券に預けてあり、銀行にはその月の生活費ぐらいしか置いていません。

つまり2年後には、現金引き出しや振り込みに手数料が必要となってしまいますので、他に手軽に引き出しや振込手数料無料の優遇が得られそうなネット銀行などへ移管する必要が出てきそうです。

年金の振り込みを指定することで、給料振込口座と同様に、ある程度優遇してくれるところもあるようですが、これからジックリ調べようと思っています。

どちらにしても、自宅近くにはコンビニしかなく(銀行または信金は駅近くにしかない)、そのコンビニで月に数回現金引き出しをすることを考えると、そのコンビニと同じ系列の銀行か、コンビニATM利用料やネットでの振込手数料がかからない(あるいは安い)ネット銀行にするのが良いのかも知れません。

でもコンビニ銀行のセブン銀行やローソン銀行では、なぜか年金受取はできないので、実質コンビニ銀行は対象外です。

ちなみに現在、年金の受け取り先として指定できるインターネット専業銀行は、ソニー銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行、イオン銀行、ジャパンネット銀行の5行だけだそうです。auじぶん銀行やGMOあおぞらネット銀行は年金受け取りはダメみたいです(2020年3月現在)。

高齢化が加速していくこの時代に、年金受け取りができない銀行って存在意義があるのか?って思ってしまいます。特定の世代に絞った差別化戦略とか考えているのでしょうか?アホですね。

考える時間はまだたっぷりあるので、大艦巨砲主義の権化のような都市銀行ともう少し取引し、1年後の年金の受け取り時期ぐらいに、口コミなどを参考にして、どこかへサッと移りたいと思います。


【関連リンク】
1140 三和銀行のダブルポケット
795 定年リタイア時の必要貯蓄額と生涯住宅費用
574 仕事を引退する時、貯蓄はいくら必要か


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物知りと語彙力 2020/4/22(水)

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子供の頃、意味について不思議に思っていた言葉がいくつかありました。今では笑い話にもなっています。

その中には、その後、納得して理解したものもあれば、未だにあやふやに思っている言葉もあります。

具体的に書けば、

●1月の元日は、まだ冬のまっただ中なのに「新春おめでとう」と、なぜ「春」と言うのか?

暦上では春になるのは立春で、それは2月4日頃だし、一般的に四季を四分割した場合は、12〜3月を冬という認識です。なのに元日を「春」と称するのは納得がいきませんでした。古くからの習慣とは言え、どうも間違っているような気がしますが、どうなのでしょうかね?

●暦の上で大の月と小の月を「西向くさむらい」という覚え方をしますが、「にしむく」は「2・4・6・9」とそのままなのに、「さむらい」とはどうして?

これは小学生の頃の疑問で、その後何年も知らないままでしたが、大人になってから、ようやくその理由がわかりました。わかったときには、本当に目からうろこがはがれたような気持ちでした。

●「洗濯機」を「センタッキ」、「体育」を「タイク」と口語調でずっと覚えていて、社会人になってワープロを使い出した頃、それが漢字変換されなくて「なぜ?」「どうして?」状態になった

辞書で調べて正式な読み方がわかりましたが、一度身についた言葉は、意識をしないとなかなか治らないものです。優れた漢字変換ソフトATOKの新しいヴァージョンなどでは、そうした間違いやすい言葉を正しく漢字変換してくれるようになり便利になってきました。しかし、口語で「体育の授業」を「タイ・イク・ノ・ジュ・ギョウ」と正しく発音している人などいませんって。

●中学生の頃、ちょっとした病気で初めて病院へ入院したときのこと。朝に検温があり、看護師さんから「お通じは?}と聞かれましたが、その「お通じ」の意味をまったく知らなかったので、3度聞き直したけれどさっぱり理解できませんでした

結局「大便は出ましたか?」と聞かれて、質問の意味がわかりました。中学生の頃って身体は大人に近いのに、知っている語彙や言葉の意味はまだまだ子供って感じです。しかし「お通じ」というのは病院だけの言葉で、それ以外の場所で耳にすることはないような気がします。

語彙を増やすには、一に読書、二に読書でしょう。テレビをぼんやり見て「語彙力の勉強になる」というのは幻想で、あれは集中していない時に見ているので、記憶の大事なところには保存されずすぐに忘れて使い物にはなりません。

読書に勝る幅広い教養の付け方はありません。でも読んだから必ず教養人、知識人とはならないから困ったものです。そこにはなにかもうひとつふたつ別の要素が加わってきます。

私が本を熱心に読むようになったのは中学生時代ぐらいからで、それまでは最近の小賢しい小学生に遙かに劣るようなチープな語彙力しかなったと思います。

中学生の頃、国語の勉強や試験で、世界や日本の名作本のタイトルと著者を結びつける問題がよくあり、その名前を単に暗記するだけではなく、どうせなら教科書や問題集に出てくる有名な本を片っ端から読んでやろうと決意し、その後、高校生、大学生になったあとも続け、おかげで一般常識試験に出てくるような書籍はたいてい読みました。

面白かったのは、「罪と罰」、「カラマーゾフの兄弟」、「復活」、「戦争と平和」、「若きウェルテルの悩み」、「失楽園」、「ユートピア」、「車輪の下」、「レ・ミゼラブル」、「老人と海」、「月と六ペンス」、「カンタベリー物語」、「三四郎」、「羅生門」、「舞姫」、「潮騒」、「細雪」、「雪国」、「墨東綺譚」、「にごりえ たけくらべ」などなど。

実際にある大学の入学試験には、その少し前に読んだばかりの三島由紀夫著「潮騒」の一部が出題され、まだ記憶に新しかったので、いちいち長い本文を読まなくても、すぐに回答でき楽勝だったことを思い出します。

そうした名作を読んでいると、語彙力も豊富になってきますし、なにより、ちょっと知的な会話もでき、それをなにに使うの?ということはありますが、知っていて損はないものです。

今ではなによりも大事とされる「コミュニケーション力」には、雑学や雑談力が役に立ち有効と思えますし、本を読むことでしか知り得ない歴史の雑学なんかも、これから世界を相手に仕事をする人にはとても役立ちます。

この1月から長く続くコロナ禍で、学校休校や自宅待機を余儀なくされた人達が、ゲームとかテレビアニメ、バラエティばかりではなく、古い名作映画や小説に目覚めていたとしたら、こういう時があっても悪いことばかりでないなと思えます。

あと、ひとつだけ。

在宅ワークが流行り、テレビ会議とかでバックにわざわざ映るように難しそうな本を並べた書棚を置いている人をよく見かけます。笑止千万で、学者先生でもないのに、わざとらしく愚かなことだと思います。


【関連リンク】
1332 鰹節の歴史とこれから
1277 世界は広いぞ!もっと見てみたい
1269 子供時代によく見たテレビと漫画一覧


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高齢化で便秘症患者が増えていく 2020/4/25(土)

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いまだ新型コロナウイルス(COVID-19)で持ちきりな社会情勢ですが、私にとっては注意すればある程度は防ぐことができるウイルスよりも、もっと深刻なのは便秘症です。

屋外トイレ便秘に悩まされてもう20年ぐらい経ちます。男性で便秘って珍しいかも知れません。他の病気と同様、便秘ってなった人でないとわからないでしょうけど、慢性的なものだと精神的に結構つらいものです。

厚生労働省の「平成25年国民生活基礎調査」によると、便秘の自覚症状がある成人の割合は男性 4.0%。女性 5.9%ですから、ざっと男性で248万人、女性で382万人、合わせて国内に630万人いることになります。

しかも高齢になるほどその比率はグッと高まってきますので(80代では男女とも10%ほど)、人口に占める高齢者の割合が増えるに従いその割合も高くなっていくはずです。

やはり高齢になるにしたがって、体内の新陳代謝や消化機能が弱まり、不要となった細胞を次々排出する量も減ってくるからでしょうか。

それだけ多くの人に関係する症状ですから、古くから様々な解消方法や健康食品、医薬品などが方々で紹介されています。しかしなかなか決定打は見つかりません。

便秘解消法としてよく聞くのは、「適度な運動」「食物繊維の豊富な食品」「水分補給」などでしょうか。その他にも、「食事はよく噛んで食べる」とか、「発酵食品を食べて腸内に善玉菌を増やす」などもよく聞きます。

私が便秘気味に感じるようになったのは40代の頃からで、その対策として、上記の3点と、朝にヨーグルトを食べる、海藻をよく食べるなどいろいろ試しましたが、ほとんど改善せず、年々ひどくなっていく一方でした。

薬局でも売っている便通を整えるとうたう整腸薬(コッコアポやコーラック、ザ・ガードなど)もしばらく続けましたが頑固な便秘にはまったくダメです。

そこで40代ぐらいから内科医に相談して処方薬(酸化マグネシウム系の便を軟らかくする薬)を出してもらい、どうにか排便時の苦しさをしのいできました。

最近の便秘市販薬の傾向をみると、10年ぐらい前とは違い、以前なら処方薬しかなかった酸化マグネシウム系のものが、市販薬としてかなり増えているというか主流になりつつあります。

個人的にもそれが最良の対策のような気がします。しかし医薬品には副作用がありますので、長期的に使う場合は医師に相談するのが良いでしょう。

そのようなことから、テレビ番組や、ネット記事で便秘対策の話題を見つけると、すぐに反応する私です。

腸内パワーを引き出す新成分!あのネバネバ食材で便秘改善SP(NHK)
腸内細菌を元気にし、便秘改善の効果も期待できるとして、いま大注目の“成分”があります。その名は「レジスタントスターチ」。血中のコレステロールや中性脂肪を減らす効果や、血糖値をコントロールする作用も期待できるといいます。そんなレジスタントスターチがたっぷり含まれている食材のひとつが「ナガイモ」。実は意外に多く輸出され、台湾ではシャキシャキの食感が大人気。

長芋なら、価格も安いし、食べやすい好きな野菜で、さらに皮をむくだけで簡単に食べられるので、最近はできるだけ食べるようにしています。

でもそれですぐに便秘が完全解消とはいきません。少し改善はしてきましたが、同時に上記の処方薬はまだ手放せません。でも便通が楽になってきたのは確かで、(頑張れば)ほぼ毎日出るようになりました。

長芋を食べる時には注意が必要で、効果を期待するには生食が良いそうで、生をすりおろしたり、細切りにしたりして食べます。私は薄く小さな短冊状に切り、わさび醤油で食べています。

同テレビ番組で紹介されていましたが、台湾では、日本から長芋を大量に輸入し、それを好んで様々な料理にして食べているそうです。

その中でユニークだったのは、ジューサーに長芋と他の果物(バナナとかパイナップル)を入れ、牛乳かヨーグルトを加えてジュースにして街中で販売されていたりします。日本でもよく見かけるジューススタンドのようなところでです。

このジュースはいかにも健康的で、しかも便秘に効くとなれば、おそらく日本でもタピオカの次にはこれが来るのではないかと思います。色とりどりなタピオカと違い、イマイチ、インスタは映えはしないでしょうけど、、、

もうひとつ、こういう記事もありました。

毎日のつらい便秘を解消できるかもしれない4つの食べ物とは?(Gigazine)
2018年の研究では「世界中の4人に1人が慢性的な便秘を訴えている」ということがわかっています。そんな便秘を解消するために、薬を飲んだり運動したりするだけでなく、食生活を改善することも効果的。ニューカッスル大学の栄養学教授であるコレア・コリンズ氏が、便秘を解消するのに役立つ4つの食べ物・飲み物を紹介しています。

こちらはアメリカの大学の研究で、「4人に1人」とはどういう根拠があるのか大きく出たものですが、便秘解消に役立つ食品の紹介です。

食物繊維の多い食品やキウイフルーツが良いなど、過去から何度も同様のことを言われていますので、「またか」的な印象です。知っておいて損はないという程度でしょう。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

便秘あるあるでは、年に一回の健康診断(or人間ドック)の前には検便を取りますが、何年か前から、検査の日の5日前までに2回、日を変えて便を採取しろと書かれています。昔は1回だけで良かったのですけどね。

5日のうちに2回のお通じ(採取)というのはいたって健康体の人に向けられた制度で、便秘がひどい人なら1週間に1回とかなので、毎回健康診断の前の検便に苦労することになります。

バラエティなどでお馴染みの松本明子さんは、若い頃からの便秘もちで有名で、ひどいときは1ヶ月出なかったこともあるとか。最近は解消法など書籍なども出しています。

宿便4キロ!松本明子が明かす、“便秘ジゴクで暗い性格”を脱した腸活術(女子SPA!)
お通じは1週間から10日に1回、しかも1時間トイレでいきんで小石みたいなものが2、3個コロコロと出るだけ。もしくは、1週間分の溜まった便を週末に浣腸でどうにかするみたいな生活でした。

便秘解消にはそれぞれ個人にあったやり方を模索するのが良いと思います。誰かが成功したからと言っても、他の人も成功するとは限りませんし、便秘解消に良いとされる食品も、嫌いなものや手に入りにくいものをいくら勧められても食指は動かず長続きしないでしょう。

私は、マグラックス錠orマグミット錠など、酸化マグネシウム系処方薬で対応していますが、あとはあまりストレスをため込まず、出なくても焦らずに、気長にかまえて腸活をやっています。

そうそう、少し前の週刊現代に、このような特集記事のタイトルを見つけました。
週刊現代 2020年2/22・29号 (2020年02月17日発売)
医療大特集「便秘は死と直結している
 ・がんは便秘に始まり、便秘に終わる
 ・便秘になると脳卒中の死亡リスクが2倍
 ・うつの人に便秘が多い理由
 ・60歳過ぎての便秘ほどタチの悪いものはない
 ・3日出ないと、半年寿命が縮まる

かなり釣り系、煽り系な感じもしますが、「高齢者+便秘」の人口って多いだけに、それらに強く響きそうな特集っぽいです。読んでいません。

気になる方は、バックナンバーをデジタル書籍で読むことはできます。
週刊現代のバックナンバー

市販薬でもマグネシウム系便秘薬が増えてきました。

【第3類医薬品】酸化マグネシウムの便秘薬 アストルベン錠 400錠

【第3類医薬品】酸化マグネシウムE便秘薬 90錠

【第3類医薬品】3Aマグネシア 360錠


【関連リンク】
1184 日本の便秘患者は1000万人
1028 グルコサミンとコンドロイチンを飲み続けた結果
1005 泉質による温泉健康法


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4月後半の読書と感想、書評 2020/4/29(水)

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火刑法廷[新訳版] (ハヤカワ・ミステリ文庫) ジョン・ディクスン・カー

著者は1906年アメリカ生まれの数多くのミステリー小説、中でも多くの密室殺人小説が得意な方です。

この「火刑法廷」(原題:The Burning Court)は、1937年に出版された長編ミステリー小説です。1962年にはこの小説を原作とする「火刑の部屋」というフランス映画が公開されています。但し中身は大幅に変わっているそうです。

著者の得意な密室殺人ではないものの、誰がなぜ病死に似せた毒殺をおこない、さらに墓場の中から遺体が消失してしまった謎、その方法について、緻密に計算された犯行を描いています。

火刑と言えば、フランスの聖人ジャンヌ・ダルクのように魔女狩りとして裁くときや宗教異端者に対しておこなわれることが多いのですが、小説の中では、18世紀に毒をもって殺人を犯した者に対して火刑またはギロチンがおこなわれていたと書かれています。

タイトルに法廷とあり、法廷もの小説?と思っていましたが、まったく法廷シーンは出てこず、アメリカの裕福な弁護士一家で起きた事件について、出版社の編集者や、堕胎手術をおこなったことで医師免許を取り消されヨーロッパへ引っ越した元医師らが、不可解な謎解きに立ち会うことになります。

単に犯罪とその解明だけでなく、過去に起きた毒殺事件と火刑、被害者の部屋にいた謎の女性と壁を抜ける不思議、遺体が墓場から消えたあと、生き返ったように現れる不思議など、次々と複雑に謎がこれでもかというぐらいに錯綜していきます。

そして、事件が解決したあと、最後の数行で、またゾッと背筋が凍りそうな場面が展開され幕を閉じます。

古い小説で、内容もかなり複雑怪奇で、しっかり読まないと混乱しそうですが、読む価値は十分あります。

★★★

            

老後の資金がありません (中公文庫) 垣谷美雨

私と同年代の著者は会社員から15年前に作家へ転身された方です。この著書は2015年単行本、2018年文庫化された小説で、この著者の作品を読むのはこれが初めてです。

帯には家計応援小説とありましたが、老後資金のノウハウ小説ということではなく、定年近くなった夫婦が様々な思いがけない場面に襲われるという恐怖小説とも言えるかも知れません。

主人公は50代の共稼ぎで働いている主婦。何事にもとろくて大学まで進んだのに就活に失敗しアルバイトで働いていた長女が無事に結婚が決まり、長男も大学を卒業して正社員に決まりヤレヤレと思ったところ、、、

まずは自分がパートで働いていた仕事がリストラに遭い、続いて旦那さんもリストラで失業、贅沢し放題で、豪華な老人ホームに入居していた義父が亡くなり、葬儀費用やお墓の費用が思いかけず高額負担することになります。そして残った義母を引き取って、、、と次々問題が転がり込んできます。

うまくやっているなーと羨ましく思っていた習い事で知り合った友人達も、裏側ではそれぞれ問題を抱えていたりして、騒動だらけで笑えてしまいます。

老後というと、人生終盤の穏やかな生活と思いがちですが、考えてみると、いろいろな問題を抱えていることがわかります。

本当は、若い人にこれを読んで、「高齢者は恵まれ過ぎている」という根拠がない世代間格差を言うのではなく、今のうちから、老後に備えて、貯蓄や投資活動など、面倒がらずにコツコツやっておくのが良いですよってことかも。

特に、夫婦で片方に収入の多くを頼ってしまうリスクは、これからますます大きくなってくるので、男女とも正社員でガッチリと定年まで働く(あるいは事業をおこなう)ということを肝に銘じておくべしです。

★★☆

著者別読書感想(垣谷美雨)

            

聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書) 阿川佐和子

テレビ番組の「サワコの朝」や「TVタックル」で見かける著者の2012年発刊の新書です。元女子アナ?って思っていましたがそうではなく、アルバイトでテレビのレポーターから「情報デスクToday」や「筑紫哲也 NEWS23」のキャスターなどを勤め一気に有名人になりました。

もっとも文壇の重鎮だった父親の阿川弘之氏の娘という、毛並みの良さが功を奏したことは間違いないところでしょう。

そうしたテレビの話しではなく、主に週刊文春で連載されていたインタビュー記事のインタビュアーを長く勤めていて、その時に話しがメインとなっています。

今ではすっかり落ち着いた感じで、時には友達と話すようにインタビューや対談、司会進行をするシーンをよく見かけますが、文春での仕事との時は、まだ自信もなく試行錯誤で苦労が偲ばれます。

歳を重ねていくと、どうしても人の話をジックリと聞くという心構えがなくなってしまうというのを身にしみて知っているだけに、自分も段々そうなってきているのだろうなと、この新書を手に取りました。

でもどちらかと言えば、若い人向けに、コミュニケーションを取るときにはこう言う点に注意しよう、あるいは自分はこういう失敗をしたといった感じで、高齢者にもっと人の話しを聞け!というような耳の痛い話しではなく残念。そりゃそーだ。

若い頃はずっと営業の仕事をしていて、20代前半の頃から上場企業の部長クラスや中小企業の役員など中高年者の懐に潜り込む努力を続けていたので、そうしたコミュニケーションテクニックにおいては学ぶことはほとんどありませんでした。

でも、話しのテンポはよく、面白く読めました。内容はもう忘れちゃいましたが。

★★☆

            

仮面病棟 (実業之日本社文庫) 知念実希人

2014年に文庫として発刊された医療サスペンス小説です。今年2020年3月には、木村ひさし監督、出演者は坂口健太郎、永野芽郁、内田理央などで映画化されましたが、タイミングが悪く、コロナの影響で映画館も公開後すぐ休止したりしてその影響を大きく受けてしまったようです。

著者は今年41歳の現役の内科医で、この作品以外にも多くの医療ミステリーなどの作品があります。

物語の主人公は大学病院に勤務しながら、アルバイトで時々療養型病院の当直をしている見習い中の外科医です。

その当直の夜に、拳銃を手に持ったピエロの覆面をした男が怪我をした人質の女性を連れて病院へ現れます。

病院には院長と看護師が2名いましたが、主人公の外科医が院長に犯人にわからないよう警察へ通報しようと相談しますが拒まれます。

そうしたことから、この病院には警察沙汰になって困ることがあるのでは?と不信がつのっていきますが、やがて看護師のひとりが誰かに殺害されて、、、という流れです。

正直、ストーリーやミステリー内容はかなり無理した設定ですが、映像化するには病院のセット(あるいは廃院になった病院を借り切るだけ)で、コストも最小で済み、ホテルを舞台にした映画などと同様、お手軽に作れそうな感じです。そのための原作小説って感じもします。

こうしたミステリーは、「一番怪しくない登場人物が怪しい」ということさえわかっていれば、だいたい半分も読まずに大筋はわかってしまいます。それでも主人公がどうやってそれを知ることになるのか?というドキドキ感がたまりません。

★★☆


【関連リンク】
 4月前半の読書 墓標なき街、裁判官の爆笑お言葉集、かたみ歌、おとなの教養、老後の資金がありません
 3月後半の読書 最後の恋―つまり、自分史上最高の恋。 、よろずのことに気をつけよ、嘘ばっかり、人生に生きる価値はない
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