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リストラ日記アーカイブ 2018年9月 読みやすいようにアーカイブは昇順(上から古いもの順)に並べ替えました。上から下へお読みください。 日記INDEXページ(タイトルと書き出し部の一覧)はこちらです |
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---------------------------------------------------- 国連分担金について 2018/9/1(土) 1257 一般的によく言われる国連への分担金は、加盟各国が国連に支払っている運営費用のことです。 もう少し詳しく載せておくと、
ということになります。 分担金の額については「各国の経済的な水準や支払い能力に基づいてなされる」ということで、GDPなどによるものなかとか詳細は明らかにされていません。 2018年現在、分担金の率と負担額の上位17カ国は下記の表の通りです。 (出典:外務省) 分担金の額では経済大国のアメリカが突出している感がありますが、本部がニューヨークにあり、そこで多くの雇用や消費が生まれているので、ある程度は仕方がない面もあります。 それにしても、すでにGDPでは2010年頃に中国に抜かれてずっと3位の日本が、常任理事国でもなく、敵国(条項)と見なされている国連への分担金負担額が2位のままというのも、一般的な日本国民感情からすれば納得ができません(2019年以降は中国が日本を抜いて負担金2位となる予定です)。 絶対的な議案拒否権を持つ「安全保障常任理事国」5カ国の負担金の順位は、 1位 米国 3位 中国 5位 フランス 6位 英国 9位 ロシア となっています。 日本はもちろんのこと、ドイツやブラジル、イタリアは、ロシアのように常任理事国として、いつも天下御免の拒否権を振り回している国よりも負担が重く、同様に理不尽な思いをしているでしょう。 当然ながら、負担金をほとんど支払っていない国も、国連での投票は日本と同じ1票あり、さらに常任理事国でなければ拒否権もありません。 また分担金を滞納していても特にペナルティなどないので、核やミサイル開発のお金はあっても国連に支払う金はねぇ!とばかりにイランや北朝鮮などは滞納や踏み倒しの常習国です。 さらにトランプ大統領になってからは、国連軽視が続くアメリカも滞納し始めて運営に支障が出てきているようです。 国連「破産寸前」、資金難訴える異例の書簡(TBSニュース)
「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」と言ったのは、英国の歴史家でもあり政治家だったジョン・アクトン卿ですが、国連という大きな権力を持った官僚組織も腐敗が進み、またその機能も低下していると指摘されます。 特にトランプ大統領やプーチン大統領、習近平総書記のような愛国的で独善的な政治家が次々と現れてくると、国連としてその調整機能が果たせず、国連制裁なども実際は張り子の虎化してきます。 日本も常任理事国入りを目指して過去から様々な活動や根回しをしてきましたが、拒否権を持つロシアや中国、それと日本の活動にいつも否定的な近隣の韓国、北朝鮮など、猛烈に反対する国がある中では厳しいと言わざるを得ません。 そんな国連に対して、いつまで日本が国民の税金をジャブジャブと費やしていけるのか、そろそろ「今までの多大な貢献」と「常任理事国でもなく敵国条項に含まれている国」という、「Noと言える」正論を述べて、思い切って言われるままに支払うのではなく、負担金を見直してもいい頃合いかなと考えてしまいます。 その日本の毎年の負担金(259億円)のせめて半分、年間130億円があれば、高齢化対策や少子化対策には桁違いで不足ですけど、それでも西日本豪雨で被害を受けた地域住民へのサポートなど、予期しない災害などへの準備金や、世界各地で起きる災害への緊急支援(救助隊や医療チームの派遣とか、食料、医薬品、仮設テントなど)として使ってもらえるといいのになと個人的には思っています。 例え負担金を半分に減らしたところで、常任理事国のフランスや英国よりもまだまだ多い負担金のままなのですから、誰にも文句は言わせないキッパリした意見表明をしてはどうでしょう。 【関連リンク】 914 殺人事件の国際比較 911 visa(査証)なしで何カ国へ渡れるのか 777 成人の力 国際比較 570 資産家も貧困者?統計で見る貧困率 ---------------------------------------------------------- 驚くことに日本の労働力人口は今でも増えている 2018/9/5(水) 1258 1996年以降15歳から65歳までの生産年齢人口が下がりはじめ、全体の人口減少が続く中にあっても、未だに「労働力人口」やその中の「就業者数」は、2000年以降いったん下がったものの、ここ8年間ほどは逆に増え続けています。 ※総務省労働力調査(月別)の労働力人口と就業者数の年間の平均値をグラフ化 10年ごとの推移と増減(2018年は6月までの平均)
社会では、少子化と人手不足が叫ばれている中で、ちょっと意外な気もしますが、「労働力人口」という指標にちょっとからくりがあるようです。 労働力人口とは、『労働に適する15歳以上の人口のうち、労働力調査期間である毎月末の一週間に、収入を伴う仕事に多少でも従事した「就業者」(休業者を含む)と、求職中であった「完全失業者」の合計』ということで、15歳以上であれば100歳であっても年齢を問わず、収入を伴う仕事を少しでもするか、もしくは職安へ行って求職をしていれば、労働力人口としてカウントされます。 就業者数は、労働力人口の中で、実際に就業(=収入を得た)人の数で、失業中で無給の人や、失業保険の収入しかない人は含まれません。 ちょっと例外なのは、15歳以上の学生で、アルバイトなどをして収入があればそれは就業者数にカウントされますが、すべて親がかりで、働かず収入がない学生は労働力人口にももちろん就業者数にも含まれません。 また夫(妻)が外で働き、妻(夫)は家で家事や子育て、介護などをしている場合、妻(夫)はパートでも働いていれば労働力にも就業者数にも含まれますが、していなければどちらにも含まれません。家事労働も立派な労働だと思いますが、統計では労働力とみなされないのですね。 2008年頃から総人口は減少していますが、それが労働力人口に影響を与えるには、もうしばらくかかりそうです。 それは、労働力人口が減るというのは、「新しく労働力に加わる人口」と、「現在就業している人が完全に引退する人口」とが逆転するのはいつか?ということで、一見すると、団塊世代(3年間で806万人)が次々と引退し、団塊世代の半分近い15歳以上の新たな就業者(現在の20歳時点の人口は126万人)が増えてもトータルでは減る一方と考えがちです。 しかし、新たな労働力は、新たに就業する若者以外にも、今まで労働力とされてこなかった、就業していない専業主婦や学生が、働いて収入を得るようになれば、加わることになります。 1億総活躍社会をテーマにした会議が首相肝いりで作られていますが、これが今まで働いてこなかった主婦、学生、高齢者などももっと働こうとした政策で、労働力不足を補う戦略です。その他にも外国人を入れて労働不足を補うという施策もあります。その外国人労働者も労働力にはカウントされます。 さらに、空前の人手不足で、失業して、仕事探しをあきらめていた人(職安で求職をしなければ労働人口には含まれず)にも就職するチャンスができて、就職して収入が発生すれば、これも新たな労働力人口及び就業者数に加わることになります。(別に職安で仕事が決まらなくとも、就業して収入が発生すれば自動的にカウントされます) 下記が7月31日に総務省から発表された数値です。 労働力調査(基本集計) 平成30年(2018年)6月分 (2018年7月31日公表) (1) 就業者数,雇用者数 就業者数は6687万人。前年同月に比べ104万人の増加。66か月連続の増加 雇用者数は5940万人。前年同月に比べ92万人の増加。66か月連続の増加 (2) 完全失業者 完全失業者数は168万人。前年同月に比べ24万人の減少。97か月連続の減少 (3) 完全失業率 完全失業率(季節調整値)は2.4%。前月に比べ0.2ポイント上昇 完全失業率が97ヶ月(=8年)も下がり続けているというのはちょっと驚異ですね。しかもG7の中ではダントツに低い2%台※です。 ※世界の失業率(2017年):ドイツ3.76%、アメリカ4.35%、英国4.43%、フランス9.44%、イタリア11.25% 8年前(2010年)と言うと、10年前に起きたリーマンショックが広く社会に蔓延し、そこからようやく立ち直ってきたかなという時代ですから、それ以来、ずっと失業率は下がり続けているわけです。 よく失業率が減ったのは安倍政治の成果だ!みたいなことを言う人がいますが、民主党政権時代(2009〜2012年)に、それまで自民党が悪化させてきた失業率を、下げに転じさせたわけで、安倍政権はそれをそのまま引き継いだだけとも言えます。 同じ事は、自殺者数に関しても言えて、長らく自民党時代に年間3万人を超えていた自殺者を民主党政権の3年間で初めて下げに転じさせ、それをそのまま安倍政権が引き継ぎ、安倍総理や自民党がなにか目新しい対策をおこなったわけではありません。 ま、それはともかく、今の団塊世代の人達も、すでに70歳に到達し、介護なしで自力で生活が出来るという健康年齢(男性72歳、女性74歳)の平均に入ってきました。 ということは、否応なく800万人という巨大な塊が仕事から離れた生活を送ることになり、数年のうちには崖を転がり落ちるように、労働力減少という流れになっていくのでしょう。 下記の記事のように、マスメディアでも時々はこの問題に一石を投じていますが、なかなか人々の関心とはならないようです。 「女性・高齢者」激増で就業者数「過去最多」でも空前の「人手不足」をどうする(時事ドットコム)
【関連リンク】 1168 生産年齢人口 828 後継者不足で廃業、倒産する企業 489 生産年齢人口の推移とは ---------------------------------------------------------- 40歳から50歳にかけては人生後半のスタート準備 2018/9/8(土) 1259 いま日本経済の主要な根幹部分を実際に支え、動かしているのは、毎年200万人近くが出生したいわゆる団塊ジュニア世代(1971年から1974年生まれ)です。 その人達の多くは、今2018年は44歳〜47歳で、ちょうど職場でも家庭でも脂がのっている頃と言えます。 仕事では、会社員の多くは役職に就き、部下を率い、または熟練した技能や知識で後輩達への指導役となっていますし、家庭では子供が高校受験や大学受験の頃で、お金もかかるけれど、思春期を迎えた子供の成育に大切な時期を一緒に過ごしています。 そうした、団塊ジュニア世代がこれから直面してくるのが、「50歳の壁」と言われるものです。 50歳で出世できず、憂鬱な人に教えたい心得 会社だけが人生じゃない、頭を切り替えよう(東洋経済ONLINE)
元銀行員の作家、江上 剛氏のコラムですが、「50歳の壁」として(1)役職定年の壁と(2)出世の壁の2点について書かれています。 とにかく、団塊世代も団塊ジュニア世代も他の年代層と比べると圧倒的に数が多いので、会社員の場合は、同世代間でポストを巡って熾烈な戦いがあります。 会社の中で役員になれるのは同世代の中から数名ということになり、それがこの50歳を目前で、ほぼ決まってくるわけです。 役員になれる人と、なれない人とでは、当然なれない人の方が圧倒的に多いので、なれなかったといって悲観することはなにもないのですが、ここで、なれないとわかった人の気持ちが萎えてしまうことが企業にとっても個人にとっても大きな問題になってきます。 話は少し違いますが、私の場合は、50代ではなく、40歳の時にひとつの大きな壁がありました。 30代半ばから出向していた子会社が急成長し、やがて40歳直前に完全に転籍し、役員の末席に入れましたが、新たにやってきた上司(社長)が官僚出身の外様ということもあり、業務の知識もなければ、自分(個人)の利益しか頭にない人で、人間的にも尊敬に値する人でもなく、そうなると多くの経営判断の場で意見や方針が食い違い、徐々に煙たがられ、重要事案から外されるようになり、このままでは自分がつぶされる(つぶれる)なと感じました。 ま、自分が会社の中で政治力や影響を発揮できず、盛り返せなかったのが一番の敗因ですが、そういう仕事とは別の政治的なことをするのを潔しとは思わず、自ら役員を退任し、転職する道を選ぶことになります。 ま、見方によっては強大な相手に尻尾を巻いて逃げたという言い方もできるかもしれませんし、それを否定できません。 その転職は、結果的にうまくいかなかったわけですが、転職するなら40歳までという一般世間の常識から、その賞味期限内になんとか間に合わせようと、安易に急いでしまったとも言えます。 現在は、65歳まで定年が延長されたり、中長期的には高齢化で労働人口が減少してくる影響もあり、転職するなら40歳までという縛りは多少は薄まってきた感じですが、それでもさすがに50歳以上の人を正社員として新たに雇うという企業は極めて少数でしょう。 そして、転職していようがいまいが、やってくるのは50歳の壁です。 40代から50代にかけて、上記にも書いたように、企業の中ではもっとも重要な責任(成果)を伴い、かつ煩雑な業務を課せられるのがこの年代です。 しかもその上に行くため同世代間で競争させられ、結果を求められて体力的にも精神的にもかなりキツイ時期ということです。 私の場合、40代初めに転職をし、新しい職場では当然即戦力として、成果を求められましたので、そのストレスがたまりにたまって胃を悪くするなど、かなり疲弊しました。 よほど楽観的で、しかも打たれ強い人でなければ、40代以降の転職はしないほうがいいなと強く感じたものです。 アメリカでは転職するのが普通というぐらいに転職者は多いですが、それは20代や30代のことで、若い内にいろいろと経験を積み、給料やスキルが上がるなら喜んで転職しますが、40代以降は転職せずに一カ所に落ち着くというケースが多いそうです。 それでなくても中年になると体調に異変を起こしたり感じる人が多く出てきます。30代の頃までならムリが利いた人でも、40代以降はムリが利かなくなってきます。 成人病など多くの病気が発病するのもこの頃ですし、当然同年代の配偶者にも同じことが言えます。自分自身でなくても家族が病気になると本業には身が入らなくなります。 そこへきて、役職定年だったり、昇進停止だったり、子会社への片道出向だったり、リストラ肩たたきが起きると、肉体的、精神的に追い詰められることになります。自殺率も男性の40代、50代は他の年代と比べると高い傾向にあります。 自分や家族の病気との闘い、仕事や家庭でのストレス、住宅ローンや子供の学費、それでも守りたい仕事や地位や収入などなど、、、 これらが40代から50代にかけて一気にやってくるわけですから、予めそれと知った上で、早めに人生設計を考える方が良いだろうと、私からのアドバイスでした。 アドバイスになっていない? ですよね。 でもこうしたことは、仲の良い同僚であってもその先はライバルでもあり、結局は誰にも相談が出来ずに、悶々とひとりで悩むしかありません。 趣味や昔の学友など、利害関係のない友人も、当たり障りの内話しならともかく、こうした仕事がらみや家庭の深刻な話しになってくると気軽に相談できません。 こうした人生後半の行く末を決めていく様々な問題が発生する40代50代は、とりあえず仕事に没頭していれば忘れていられますが、果たしてそれでいいのか?って自問すると、もっとあれをやっておけば、とか、あの時こうしておけばってことが今60歳を過ぎてから考えるようになります。 そうした後悔が起きないよう、この時期を大事に過ごしてもらいたいものです。 【関連リンク】 1032 団塊と団塊ジュニアに挟まれた50代の悲劇 999 覚悟の地方移住か都市部で介護難民か 660 40〜50歳代プチ高所得者がハマる罠 ---------------------------------------------------------- 災害大国ならではのビジネスチャンス 2018/9/12(水) 1260 いつも高齢社会や老後の不安、労働人口減少や生産性の低さ、少子化など、割と後ろ向きで暗い話しを書くことが多いので、たまには前向きな話しを書くことにします。 過去に前向きな話しとしては、 1171 木造建築の明るい未来 1066 好調に増加する道の駅 814 日本に外国人観光客を呼ぶ 600 地熱発電大国への第一歩を踏み出したか? 437 日本は世界第5位の農業大国という事実 など、少ないながらも書いてきました。 今回は、日本しかできない、他の国が真似が出来ないビジネスを世界へ展開していこうという提案です。 日本は世界でもまれな災害大国です。地震に津波に台風、大雨、豪雪、竜巻、熱暑、火山噴火に河川氾濫などキリがありません。 地震では、近代から現代までにも関東大震災や阪神大震災、東日本大震災、熊本地震など多くの巨大地震に見舞われています。地震による津波被害も同様です。 火山噴火では、桜島、雲仙普賢岳、草津白根山、浅間山等、多くの火山噴火を目の当たりにしています。 集中豪雨による河川の氾濫も毎年のように各地で起きています。 今年も天災の当たり年?で、6月の大阪府北部地震、7月の西日本豪雨、9月の台風21号直撃や北海道胆振東部地震など、多くの人命が損なわれる災害が次々起きています。今年はまだ3ヶ月以上ありますので、もっと大きな災害が襲ってくる可能性もあります。 こうした災害による様々な観測や予測、対応、そして復旧などの経験値は世界の国の中でもっとも多くためられているはずで、そうした経験に基づいた災害予防、周知・教育、災害発生時の対応、復旧などについて、ハード面とソフト面をセットにして世界に輸出していけないでしょうか? 例えば、道路や河川堤防、港湾、ダムなど社会インフラにおいて、災害を考慮した工事設計や監視システムとその運用など、人の命や街の財産を守ることを目的とする仕組みをセットにして輸出するのです。 もう少し詳しく書くと、 ・気象観測・予報(台風、竜巻、豪雨、少雨、酷暑) ・避難情報発令システム ・火山観測と噴火予知 ・ハザードマップ作成 ・津波観測システムと警報システム ・津波避難施設 ・河川氾濫警報システム ・断層調査 ・地震緊急アラート ・災害救助ノウハウ ・高架道路や崖地、橋梁、線路、堤防などの補強工事 ・災害に強いインフラ設計 ・災害に強い都市計画 ・海底地盤調査 ・避難誘導訓練 ・災害医療システムと備蓄 ・保存食、簡易住宅の製造 ・国民への周知や教育 すでに日本ではやっていることばかりで、日本人には目新しさがないものばかりです(十分に役立っているとは言えないものもありますが)。 しかし東南アジア諸国や南米などにおいては、日本と同じように火山や地震が多い国や、スコールなど集中豪雨などがありながら、まだ日本以上には観測や警報、周知が進んでいない国も多そうです。 今までは経済優先で、災害対策は後回しでやってきたそれらの国々も、ある程度の経済力がついて、しかも国際的な取引関係に組み込まれていくようになると、一国の災害では済まなくなります。 2011年にタイで起きた大規模洪水では、ホンダやトヨタはじめ、多くのメーカーの生産拠点が稼働不能となり、大きな影響を及ぼしました。 そうした国に対して、日本の官民学が一体となって、建設や工事、補強を伴うハード面と、警戒システムや通報システムなどソフト面でパックにして輸出していけば、単にODAや国連を通じてお金をばらまくよりもずっと世界に実のある貢献が出来るのではないでしょうか。 またその国独自の気象観測衛星の製造と打ち上げも、それを利用した詳細な予報システムも日本が長年培ってきた技術で提供可能です。 気象観測はどこの国にとっても作物の生育や海上船舶に重要な情報ですので、ハードとソフトセットで提供できれば大きなビジネスになりそうです。 ただ災害が起きなければそれらは無用の長物ということで、今までは後回しにされることが多いのですが、もう経済活動最優先で、万一の時の人の命は後回しで良いというのはどこの国においても時代遅れの考えになってきています。 細かなことで言うと、地震が起きて道路が壊れてしまうと、救助隊や医療チームが災害現場に入れなかったりすることもよくあります。 そうした基幹道路が機能不全に陥らないようにするインフラの高品質化や複層化、もし壊れてもすぐに復旧できる体制など、災害が日常の日本がもっとも得意とする分野でしょう。 クルマや鉄道、航空機などの製造はいくら頑張っても、すでに技術は先進国も途上国もそう変わらない上に、安く作れる国が有利になりますが、こうした災害対策は実際に経験した上で、その積み重ねを科学的に分析、評価、実験をしてきた国にしか作れません。 また、国際救助隊ではないですが、万が一災害に見舞われたときには、日本が最優先でサポートに入ることもこの災害セットの契約に入れても良いのではないでしょうか。日本から数時間で駆けつけられる東南アジア諸国には特にメリットがあります。 南米など遠隔地でも、システムがつながっていれば「次に何が起きるか」「まず優先すべきことはなにか」「どこになにを送れば良いか」など、いくつかの面でサポートが出来るはずです。 その他にも雪害対策、農業の異常気象対策、害虫対策、火山灰対策、熱中症対策など、多くの自然との共生、対応ノウハウを持っている日本が、それを国内だけではなく官民学一体となって世界に提供していくことで、今のクールジャパンのようなサブカルと違い、きっと世界中から日本と日本人へ、心からの尊敬と感謝を得られるようになるのではないでしょうか。 【関連リンク】 1003 災害用備蓄品について考える 894 火災保険・地震保険について調べてみた 600 地熱発電大国への第一歩を踏み出したか? ---------------------------------------------------------- 9月前半の読書と感想、書評 2018/9/15(土) 1261 幻の女〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫) ウイリアム・アイリッシュ 76年前の1942年にアメリカで発刊されたかなーり古いミステリー小説で、1944年には映画化もされています。 ミステリー小説と言えば、アガサ・クリスティや、エドガー・アラン・ポー、探偵小説では、アーサー・コナン・ドイルのホームズシリーズなどの有名な作品を除き、ほとんどの作品は時代とともにやがて消えていくものが多い中で、何度も再版され、設定を現代風にアレンジされテレビでドラマ化されたりしている古典ミステリーの名作と言える数少ない作品です。 発刊された1942年というと昭和17年で、その頃日本では前年から始まった太平洋戦争の真っ最中で、戦意高揚が目的以外の娯楽はほとんどなくなっていく時代です。 ところが戦争の相手国であるアメリカでは、第2次世界大戦が始まった1939年に制作された映画「風と共に去りぬ」もそうですが、本国から遠い地域でおこなわれている戦争とは言え、戦意高揚などとは関係なく(アメリカでも国を挙げて戦時債権の宣伝がおこなわれてはいましたが)、娯楽や芸術は、戦争とは関係なく、淡々と贅沢にお金をかけて制作されたりするものです。 さて、小説の内容ですが、ミステリー小説なので、ネタバレするような内容は詳しくは書けませんが、時代を現代に置き換えても十分に通用する内容で、「夫婦」「離婚」「不倫」「愛人」「殺人」「ファッション」「刑事」「親友」などがキーワードとして、時代を今に置き換えてもまったく同じお決まり?の項目が並びます。76年前と現代とでなにも変わっていないということにまず驚かされます。 ハードボイルドというのでもなく、また刑事ものでもなく、状況証拠から妻を殺したと疑われ、死刑判決を下された主人公は、誰に助けを求め、そして誰に救われるのか、妻を殺して自分に罪をかぶせたのは誰か、、と言ったストーリーです。 タイトルの「幻の女」とは、殺人犯とされた主人公が、唯一その殺人がおこなわれたとされる時間に一緒にいて、無実を証明することができる名前も知らない女性のことですが、この女性がなかなか探し出せません。 外国の長編小説ではやたらと登場人物が多くて、名前が覚えられずに苦労するケースが多いのですが、この小説は登場人物も限られていて、主人公の記憶が話しの主となりテンポがよくてたいへん読みやすいです。 ★★★ 幸福な生活 (祥伝社文庫) 百田尚樹 2011年に単行本、2013年に文庫版が発刊された短編小説集で、いわゆるショートショートに近い感じです。 政治信条などは別として、書かれている小説はたいへん好きなので、文庫化されているほとんどの作品は読んでいます。 それぞれのタイトルは、「母の記憶」「夜の訪問者」「そっくりさん」「おとなしい妻」「残りもの」「豹変」「生命保険」「痴漢」「ブス談義」「再会」「償い」「ビデオレター」「ママの魅力」「淑女協定」「深夜の乗客」「隠れた殺人」「催眠術」「幸福な生活」「賭けられた女」で、19編が収録されています。 いずれも最後のページをめくると、その最後の1行でオチがあるという仕掛けになっています。 短編ミステリー小説はあまり書いていない著者ですから、そのテクニックについては、話しの中盤ぐらいで簡単にオチが見えてくる、やや荒っぽさが残りますが(それも著者流の作戦かも知れません)、それでも短い文章の中でテンポよくキレキレの話しを面白く読ませてくれることは、他の長編小説と変わりありません。 それぞれの内容は、短編だけに少し書くだけでオチがわかってしまいそうなので書きませんが、星新一や小松左京のショートショートのように気楽に読むと良いかもしれません。シリアスなオチもあれば、ブラックユーモアなオチも楽しめます。 でもやっぱりこの著者の小説は、短編ではなく、じっくり長編で読みたいものです。 ★★☆ ◇著者別読書感想(百田尚樹) 神様のボート (新潮文庫) 江國香織 1999年単行本、2002年に文庫化された恋愛小説です。この著者の作品を読むのはこれが初めてです。 著者は20歳の1885〜86年に詩や童話でデビューし、1989年に短編小説集を発刊、2004年には「号泣する準備はできていた」で直木賞を受賞されています。 そう言えば少し前に映画「間宮兄弟」をテレビ(録画)で見ました。後で知りましたが、この映画の原作は著者の小説です。内容は、他の用事をしつつながらで見ていたこともあり、さっぱりわかりませんでしたけど、、、 この「神様のボート」は2013年に宮沢りえ主演でNHK BSでドラマ化されていたそうです。 主人公は、W不倫の末に生まれた子供とともに、転居を繰り返しながら、子供の父親が迎えに来てくれるのを待っています。 その子供の父親はというと、事業に失敗してしばらく債権者から逃亡すると言ってどこかへ行ってしまいますが、考えてみるとなんて無責任なヤツだ!って思ってしまいます。 女性視点からすれば、そうした逃げていった男性でも、愛があれば、いつまでも待てるってことなのでしょうか。ちょっと非現実的な感じがします。 小説でも、主人公の娘が高校生になるときには、そうした無意味と思える転居を繰り返す母親に抵抗して、全寮制高校へ行くと言いだします。当然でしょうね。 それでもこの主人公に共感できる女性がいっぱいいるそうで、おじさん視点ではまったく理解できない世界です。 ★☆☆ ◇著者別読書感想(江國香織) それは経費で落とそう (集英社文庫) 吉村達也 著者は1952年生まれですから団塊世代の方です。大学卒業後はサラリーマンとして勤務し、34歳で作家デビュー、40歳前には専業作家となり、その後数多くのミステリー小説やホラー小説などを出されています。ただ、残念なことに、6年前の2012年に60歳で病気のため亡くなっておられます。 この著者の作品を読むのはこれが最初ですが、この作品は1992年刊で、作家としては初期の頃の作品で、自分のサラリーマン時代のことを思い出しながら書かれたのだろうなという気がします。 作品は、「ま、いいじゃないですか一杯くらい」「あなた、浮気したでしょ」「それは経費で落とそう」「どうだ、メシでも食わんか」「専務、おはようございます」の5編で、サラリーマンなら普通に使っていそうな一言がタイトルになっています。しかし中身は、殺人事件あり、飲酒死亡事故あり、手遅れの病気ありと、結構過激です。 この本が発刊された92年と言うと、バブルが弾けた頃ですが、書かれているのはまだバブルのさなかという感じで、飲酒運転、タクシーチケット、豪華接待、深夜残業など、今の時代なら目をむきそうなことが当たり前におこなわれていたりします。 表題にもなっている「それは経費で落とそう」は、営業マンが領収書をかき集めて日付や金額を加工して接待経費で落とそうとしますが、経理部の女性に目を付けられ、それが殺人事件にまで発展するという無茶な展開。 どれも最後にオチがありますが、意外とあっさりしたもので、背筋がヒヤッーと凍るというようなものではありません。もちろん、ほのぼのとするような作品ではありませんので念のため。 そうそう、文庫のあとがきにも書かれていましたが、1995年にこの中の3話がオムニバスとしてテレビドラマ化されていたそうです。私は見ていませんが。 ★★☆ 【関連リンク】 8月後半の読書 村上海賊の娘(1)(2)(3)(4)、京都ぎらい、眼球綺譚 8月前半の読書 ドグラ・マグラ(上)(下)、11 eleven、「子供を殺してください」という親たち 7月後半の読書 蛇行する月、みっともない老い方、天空の蜂、夏美のホタル ---------------------------------------------------------- 女性役員は増えるのか? 2018/9/19(水) 1262 国際労働機関(ILO)が、最近力を入れている活動に、「女性役員を増やす」というものがあります。 企業に女性役員を(ILO)
日本でも、政府が推し進める働き方改革の一環として、女性の活躍をテーマにした議論が多くおこなわれています。 その中で、今年3月には安倍総理は「取締役会での多様性の確保が重要で、女性取締役の登用をさらに加速すべきだとの議論がある」と発言をしています。 もっと狭めると、企業が株式を一般公開して一流企業の仲間入りを目指す際に、上場を審査する東京証券取引所(東証)も、企業統治の基本原則「コーポレートガバナンス・コード」で、「女性役員を積極的に登用するように」という圧力をかけます。 そうした外圧と内圧にさらされて、すでに上場している企業はもちろん、これから上場しようと目論んでいる企業でも、女性役員(女性取締役)をどうするかで、頭を悩ませている状況です。 というのも、元々上場しているような大企業は、男社会の中で熾烈な競争で勝って初めて役員になれるという過去からの長い歴史と慣習があり、そう簡単にひっくり返せない様々な理由があるからです。 その点、比較的歴史の浅いベンチャー系企業では、多くの場合、創業当時から事業に深く関わってきた女性(役員)がいるので、問題は少ないのですが、それもIT業界とかサービス業など、女性が活躍しやすい業界ではという条件がついています。 例えば建築・土木や、鉄鋼・金属、運輸・運送、不動産などの業界は、今でも保守的で、男女平等とは言い難いのではないでしょうか。 上場企業における女性役員の状況(内閣府) しかし今の社会では業界の慣習や事情などお構いなし、待ったなしで、女性役員登用への圧力は確実に強まっていきます。 まだ今のところ、日本ではそれをしないからと言ってペナルティはないですが、おそらく数年の内には遅々として進まない女性役員の増加に対し、なんらかのペナルティが科せられるようになってくることも想定されます。 例えばシンガポールでは、女性役員を増やそうと下記のようなことがおこなわれています。 企業名公表で取締役会に女性増える:シンガポール(Bloomberg)
日本でもブラック企業(長時間残業や賃金未払い、セクハラ、パワハラ常習など)を公表する「労働基準関係法令違反に係る公表」を厚労省が始めてから、後ろめたいところがあった企業は重い腰を上げてしぶしぶ改善に取り組み始めたように、女性役員登用についても、企業名の公表など、なんらかのペナルティが始まると、これも一斉に動くことになるのでしょう。 それでも「ない袖は振れない」と、断固拒否する企業もあるでしょうけど。 それらのことを考えると、今、女性で幹部職にある人にとっては、ものすごいチャンス到来ということになります。 極端に言えば、女性と言うだけで、何人もの男性の先輩や上司を飛び越えて、役員に登用される可能性が出てくるわけです。 次期役員候補者10人の中に女性が1名でも入った場合、年齢や能力の優劣よりも、女性ということで役員に抜擢されることが、日本の企業の中でおこなわれるようになる可能性があります。 もちろん、次期役員候補に挙がるだけでも大変な努力と実績をあげなければならないので、その抜擢は当然と考えるべきですが、それでも有利に働くことは間違いないでしょう。 そうしたことで、特に出世に情熱を燃やしてきた男性の間では、悲喜こもごもが今後あちこちで見られることになるのでしょう。 女性で長く働いてきて、そこそこの幹部まで昇進している人は、他に良い話がきても、今はすぐに転職など考えないほうが得策とも言えます。 もっとも、一気に何十人を飛び越して役員になった場合、その風当たりは相当に厳しいものがあるかもしれません。それには耐えるしかありません。 役員なんて先になったもの勝ち、役職が人を作るってこともありますから、「まだまだ早い」なんていらぬ遠慮などせず、女性の幹部社員だったら、このタイミングを最大のチャンスと捉えてみるのがよいのではないでしょうか。 【関連リンク】 1080 女性リーダーを増やすには専業主夫が必要 1073 男女格差解消は育児から? 1055 働き方と社会構造 ---------------------------------------------------------- 道の駅の活用法 2018/9/22(土) 1263 久しぶりに道の駅について書いてみます。というのも、下記のニュースが流れているのを目にして、利用者、運営側の双方にそれぞれ言い分がある話しではありますが、これからもこうしたトラブルが確実に増えていきそうに思えるので、解決策と今後の道の駅の運営について考えてみました。 「道の駅」車中泊の実態…3か月近く滞在も(日テレNEWS24)
ドライブ中含め、クルマでの移動時には、トイレや食事はもちろん、土産物や地元の新鮮な特産品が購入できとても便利な道の駅ですが、駐車場が無料ということに味を占め、想定を超えた使い方をする人も出てきます。 同じく、高速道路上のパーキングやサービスエリアにおいても、特に深夜は休憩と言うより車中泊と言ってよい長時間駐車しているトラックや乗用車であふれています。しかもみんなエンジンをかけたままだからたちが悪いのです。 高速道路の場合は、入路時間がわかりますので、ゲートで退路する際に、あまりに時間がかかっている場合、ETCのバーが自動で上がらないことがあるそうです。 なのでSAにある簡易宿泊所の利用とか、正当な理由で長く時間がかかった場合などは、ETCでも係員がいるゲートへ行き、時間がかかった説明をしてから出る必要があるそうで、それが長時間駐車の一定の歯止めになっています。 さて、道の駅の車中泊ですが、多くの道の駅は、近所に住宅地などがない比較的人里離れたところに作られています。そして管理者も常駐ではなく、夜間は無人のトイレと自動販売機だけが利用できるというケースが多いのではないでしょうか。 つまり夜間になると、車中泊などをする人にとっては、自由勝手に振る舞える都合の良い場所となり、マナーの悪い人は洗面所で洗濯をしたり、駐車場で火を使って調理をしたりと勝手し放題のところがあります。 また、オートキャンプ場のように、施設の電気を勝手に使うわけにも行かないので、夏は冷房、冬は暖房のためにエンジンをかけっぱなしにしている人も多くいます。 そのため長時間駐車の台数が多いと周辺は排気ガスが充満していて、一時的に利用する人も不快ですし、近所に住宅があるとたいへん迷惑しているでしょう。 深夜の高速道路のパーキングに寄ると、思わず咳き込むぐらいに排気ガスが充満しています。高速だと特に大型のトラックがエンジンかけたまま長時間停めているのでなおさらです。 これからこうした道の駅などでの車中泊は増えていくのか、減っていくのかと考えると、それは間違いなく増えていくでしょう。 それは、中高年に人気のキャンピングカーの台数が右肩上がりで上昇していることからも、車中泊をしたいと思っている人の数は増えていることから推定できます。 一般社団法人日本RV協会の調査では、キャンピングカーの保有台数が2005年に5万台だったのが、2016年には10万400台にまで増えています。10年で約倍増しています。 もうだいぶんと前(2014年)ですが、NHKで中高年のキャンピングカーへの憧憬を描いたドラマがありました。 55歳からのハローライフ 第1回「キャンピングカー」
その他にも、高倉健の遺作となった主演映画「あなたへ」(2012年公開)は、妻を亡くした主人公がひとりでキャンピングカーに乗り、富山から妻の故郷長崎を目指して走るというロードムービーでした。 こうしたドラマや映画に触発されて、自分もやってみたいと考える人も増えたことでしょう。 キャンピングカーは基本車中泊するためのクルマで、通常はオートキャンプ場に停めて、そこで許される範囲で料理を作ったり、洗濯したり、電気を利用したりするわけですが、そうした施設の整ったオートキャンプ場が近場になかったり、あるいはあっても利用料が高かったりすると、無料で停められる道の駅を利用する人が出てくるのは当然の成り行きでしょう。 もっとも車中泊(車中で長時間の休憩や仮眠含む)している人の数では、キャンピングカーで寝泊まりしている人よりも、乗用車やトラックでというのが圧倒的に多いのですが、乗用車やトラックの場合、車中泊に使われる割合などの統計がないので、実態がまったく把握できません。 そこで、マナー違反の道の駅の長時間駐車を避けるための対策として考えられるのは、 1)道の駅に安価な簡易宿泊所の設置 2)道の駅にオートキャンプ場の併設 3)道の駅の出入り口にゲートを設け、無料で利用できる時間を制限する 4)長時間駐車ゾーンの設置 5)巡回指導(警備) など。 1)の簡易宿泊施設は、エアコンの効いた快適な部屋で、短時間の仮眠から宿泊もできるカプセルホテル形式の施設を道の駅で提供することで、エンジンをかけっぱなしで長時間駐車したまま仮眠する人を減らすのが目的です。シャワーや温浴施設なども作ることで利用者は増やせるでしょう。 2)は、付近にオートキャンプ場がないエリアの場合、その施設を提供し、長時間駐車する人にはそちらへ誘導します。但し、そちらへいくメリットを打ち出せないと、無料の駐車場のほうが良いとなってしまうのが、つらいところです。メリットは乾燥までできるコインランドリーの設置や、EVやキャンピングカー用の電源供給、シャワールーム、簡易調理場などの施設の提供でしょうか。 3)は都市部のスーパー駐車場のように、3時間までは無料。それ以降は1時間500円とか駐車場代をチャージすることで、長時間駐車を防ぐことが出来ます。車中泊はもちろん、クルマを置いて釣りへ行ったり、ゴルフへ行ったりする迷惑な客の利用はなくなります。設備の維持、メンテナンス、故障の際の対応など諸々と手間がかかるデメリットもありますが、都市部の道の駅では効果は高いでしょう。 4)は、周辺に未利用の土地が豊富にある場合は、車中泊など1時間以上停めるクルマは少し離れた場所に停めてもらうよう誘導します。その場所だと次々とクルマが入ってこないので、静かな場所で休憩が出来ます。ただこれはドライバー個々のマナーに頼りますのであまり効果はないかも。またエンジンかけっぱなしで休憩も変わらないので環境汚染も同じです。 5)は人件費コストがかかりますが、夜間に警備員が数時間ごとに巡回し、長く停めているクルマのドライバーに指導・注意をおこないます。犯罪の防止目的というお題目で、寝ているところを起こされ長時間駐車の理由を聞かれますので、そんな場所で仮眠をとろうとは思わなくなるでしょう。中にはキレて喧嘩沙汰に発展することもあるでしょうから、プロの警備員に委託するとか、時には警察官が立ち会うとか、工夫が必要です。 ま、一番無難で確実なのは、余計な経費と運用のコスト、維持費などがかかってしまいますが、3)の料金ゲート設置でしょうね。コインパーキングやカーシェアで急成長のタイムズ24など駐車場運営会社に設備設置やメンテなどを完全委託してしまうという手もあります。駐車場代の収益が乏しいと設備投資が割に合わないので乗ってくるかどうかはわかりませんが。 でも、もし本気で村おこし、町おこしをしたいと考えるなら、従来からやっている昼間の地元特産品の販売だけではなく、1)や2)の簡易宿泊所やオートキャンプ場を事業化し、同時に24時間コンビニや、温浴施設、クイックマッサージ、ゲームセンター、コインランドリー、宅配便集貨配送センター、ガソリンスタンドなども併設し、努力して収益化を図っていけば、口コミで新たなお客も呼び込めて、地元にお金も落ちるのではないかなと思います。 従業員は、地元で年金暮らしをしている暇な高齢者がいくらでもいそうで、1日数時間ずつの交代制でやっていけば労働力不足の中でも問題はありません。 問題はそれを率いていくビジネス感覚に優れた強力なリーダーの存在ですが、こういう場所では、村や町の役場の人がしゃしゃり出て関わってくると、まともなビジネスには発展しないことが多いので注意です。 【関連リンク】 1066 好調に増加する道の駅 955 道の駅の転換期 813 地域活性化は道の駅で ---------------------------------------------------------- 新入社員が真っ先に電話に出ることの意味 2018/9/26(水) 1264 私が新入社員だった40年前、いやそのずっと前から、割と最近まで営々と続いてきた会社や役所の慣例みたいなものがあります。 4月に一斉に新入社員が入ると、外からかかってくる電話をその新入社員達が真っ先にとって、説明をしたり、担当へつなぐとのが当たり前の仕事になっていました。 新人に電話を取らせるのは、 1)まだ仕事が少ないので一番手が空いている 2)社外や社内の関係者の名前を覚えることでその後の仕事に役立つ 3)学生時代とは違うビジネス言葉の使い方や礼儀作法を実践で学ぶ 4)外部の人と話をすることで会社の業務内容や外部の意見などに詳しくなる 5)引っ込み思案な人でも積極性が養われる など、多くのメリットがありました。 しかし、1990年代後半頃から、業務の連絡には電子メールが普及してきて、電話で話しをするという機会が相当減ってきています。 また企業も業務の効率化を進め、社員の生産性を上げていくために、できるだけ電話でのやりとりを減らしていくようになり、「問い合わせはフォームから」とか「メールでお問い合わせください」のようなスタイルが定着しています。 中には業務集中時間と称して「何時から何時までは電話禁止」とかを内外に対して打ち出し、外線を断っている会社もあったぐらいです(今でも続いているのか不明)。 ただ、主な取引相手や消費者が子供や高齢者、IT弱者の場合は、まだ電話や手紙がメインの通信手段というケースもあり、そうした顧客を第一に考えないといけない企業は電話や手紙をすぐに切り捨てられません。そういう人達向けにはすでに自動応答サービスが主流となっていて、それでも解決しない場合のみ人につながるという設定になっています。 それもあと10年も経てば、電話での問い合わせはAI(人工知能)がおこない、生身の人が対応することはなくなっていくと思われます。 いずれにしても、コストも手間もかかる電話応対は、生産性向上、作業の効率化という点では無用の長物で、緊急事態というような場合を除き、徐々に削減されていくことは間違いないでしょう。 個人的には電話というのは相手の都合を全く無視して、忙しいときでも手が離せないときでもいきなり割り込んでくるもので、家族が危篤とか、直ちに停止しなければ被害が出ると言った緊急連絡以外は、なくなってもよいと思っています。 平日の昼間に自宅にいると、それは毎日毎日様々なところからセールスの電話がかかってきます。今時そうしたセールス手法が効果的だとは思わないのですが、それしか方法を思いつかない商売人が多いと言うことなのでしょう。 ネットをあまり使わない高齢者ユーザーが多いテレビショッピングも、コスト面から考えれば、人手や設備費のかかるコールセンターよりも、ネット上でオーダーしてもらえれば、コストが大きく下げられますので、今後ネット通販会社と価格競争となった場合は、価格を下げるためにそうせざるを得なくなってくるでしょう。 私は新入社員の頃はもちろん、長くサービス業の営業職でしたので、電話が鳴るとすぐに出て対応するというのが長らく習性となっていました。今は営業職ではないので電話を取ることはほとんどありませんが。 そうした習性はやはり新入社員の時に、最初はおっかなびっくりで、時には応対のまずさで先輩に叱られ、言葉遣いの誤りを訂正され、身をもって覚えていったものです。 一般企業や役所では、4月から5月頃に電話をすると、いかにも「新入社員です」という人が電話に出て、質問や取り次ぎを頼んでもなかなか要領を得なかったり、話しがしどろもどろになってしまうことがよくあります。それが会社や役所の中で、毎年、季節の風物詩みたいになっていて、一種微笑ましいとさえ思っていました。 ところが、上記のように、最近では取引先へ電話をすることも滅多になく、ということは、新入社員は研修では多少学ぶものの、実地では電話応対についてほとんど経験することもなく過ごしてきているはずです。 先輩や上司も、電話のやりとりについて、経験させておいて、間違いを指摘して叱ると、パワハラだと言われかねない社会情勢ということもあります。 それがよいことなのか、やむを得ないことなのか、わかりませんが、いわゆるコミュニケーション障害というか、人と直接話をするのが苦手な人を多く作り出している気がします。 メールやSNSなら活発に発言が出来る人も、人の目を見てちゃんと挨拶が出来ない、ふらっといなくなったと思ったら誰にも告げず勝手に帰宅していた、お客様と同席してもボーとしたままでなにも発言しないといった人が次々と出来上がっていきます。 ちょっと方向性は違いますが、優秀な官僚が集まるお役所でも同様に電話対応の是非が問われているようです。 新人の「電話対応業務」削減は効率化か怠慢か?財務省内で侃々諤々の議論(産経ニュース)
つまり電話応対という仕事が、新人教育として効果的であるという意見と、もうそれは時代遅れで、働き方改革を進めていく上で弊害だと言う意見に分かれます。 私の意見としては、どちらがどうだという決めつけはできません。例えば、サービス業のようなところでは、電話でもメールでも顧客対応は極めて大事なので、そうしたことをしっかり身体で覚えていくことが必要と感じます。 しかし、BtoB(取引相手が企業同士)の仕事や、顧客対応以外の例えば製造やシステム開発のような仕事であれば、今後電話で処理することはほとんどなく、あえてそれの習得に時間を割くこともないかなと思ったりします。ただその場合でも本人のためにはそうした経験を積むことで、将来様々な場面で生きることになるとは思いますが。 さて、企業の生産性向上や効率化と、個人のコミュニケーション能力向上と対人関係の訓練、この先、このふたつの将来を考えると、どう考え、行動するのが一番よいのでしょうかね。 【関連リンク】 1216 新卒学生の就職先選定の条件 1113 ありきたりだが新入社員へ贈る言葉 700 なにもかも懐かしい新入社員の頃 ---------------------------------------------------------- 昭和レトロゲームなど子供時代の玩具 2018/9/29(土) 1265 子供の頃に親に買ってもらってうれしかった玩具はそれぞれ世代によって変わってきます。 例えば有名なところで、1983年に初めて任天堂からファミコンが出た時には、当時10歳〜18歳ぐらいまでの子供は必死に親にねだったのではないでしょうか。 初代のファミコンは、国内で約1900万台が売れたと言いますから、当時日本の全世帯数3800万世帯(1985年)で割ると、ちょうど2世帯に1台の割合でファミコンが売れたことになります。 冷蔵庫やテレビと言った生活家電製品ならともかく、たかが子供の玩具で全世帯の半分、しかも他の家電商品とは違い、任天堂1社だけが独占して製造販売する商品ですから驚きます。 そのファミコンが普及してきた1885年に10〜18歳と言うと、1967年〜1975年生まれの人達ですので、現在は40代、ちょうど団塊ジュニア世代(1971年〜1974年生まれ)とかぶっていることも大ヒットした要因のひとつでしょう。 その他、2000年以前の子供達に大人気だったオモチャを書いておくと、プラレール、任天堂ゲームボーイ、任天堂DS、任天堂Wii、PlayStation、ミニ4駆、たまごっち、ベイブレード、ポケモンカードゲーム、ガンプラなどなど。 私も子供にリクエストされた任天堂DSやWii、ベイブレードを量販店に朝早くから並んで買いに行った記憶があります。 さらにファミコンの登場する前には、アメリカでヒットした人生ゲームが1968年に日本で販売され大ヒットしました。その頃子供だったのは、1958年〜1966年生まれで、現在50代です。 私の子供の頃を振り返ると、友達の家でよく遊んだゲームが、人生ゲーム、ツイスター、ポンジャン、Nゲージ鉄道模型。 私が(兄と共用で)買ってもらって友達とよく遊んだのが野球盤、レーダー作戦ゲームとバンカース。つまりすべてアナログゲームで、ファミコン世代より前の世代ということです。 高校生時代にはアーケードゲームとしてパックマンやブロック崩しなどが出てきました。インベーダーゲームが登場したのは大学生の頃でした。 同世代の友人の中には、100円玉を積み上げて喫茶店でインベーダーゲームに熱中している人もいましたが、私はなぜかあまり興味がなく、冷ややかに見ているだけでした。 というより、そちら(テレビゲーム)の才能はからっきしということに早く気がついたということです。 さらにもっと幼い幼児の頃に買ってもらってうれしかったのが、乾電池で動く鉄人28号のオモチャや、上に座って遊べる特急こだま(新幹線になる前の151系?)の大きなオモチャ。時代ですね〜 小学生の中程になると、買ってもらうと言うより、お小遣いをためて近所の店によく買いに行っていたのは、太平洋戦争で使われた戦闘機や艦船、テレビに出てくる乗り物のプラモデルで、飛燕や雷電、紫電改、ムスタング、コルセア、ロンメル、レオパルト、大和、イ号、Uボート、サンダーバードなど次々と買っては作っていました。 今でもプラモデル屋さんを見かけると、買いはしませんが懐かしくなって店の中をのぞきたくなります。 但し、最初に本格的にプラモデルを作ったのは、親からクリスマスだったか誕生日だったか忘れましたが買ってもらった姫路城だった記憶があります。それでプラモデル作りの楽しさに目覚めたと言っても良いでしょう。 女の子のオモチャには詳しくないのでわからないのですが、男の子のオモチャに関しては、ある程度わかりますので、年齢が不明の人に、「小学生の頃にどんなオモチャで遊んだか?」と聞けば、だいたいの年齢がわかります。 古いレトロな玩具は、今ではオークションなどで高額で取引されています。そういうのを集めている人が多いのでしょうね。 もし押し入れの中からほこりをかぶった玩具が出てきたら、すぐに捨ててしまわず、ちょっとオークションで値段を調べてみると驚くかもですよ。 上記に書いた私が小学生の頃に買ってもらったレーダー作戦ゲーム(当時の価格で3000円ぐらい?)が、程度の良いものが今は1万円ぐらいで販売されていたりします。残しておけば良かったなーw 【関連リンク】 1149 葉書の文化は風前の灯火か? 900 テレビ・ラジオの長寿番組について 196 子供のおやつ |
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