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万城目 学 MAKIME MANABU 既読書籍

004 悟浄出立 003 鹿男あをによし 
002 プリンセス・トヨトミ  001 鴨川ホルモー
読書感想は2010年頃以降に書くようになりました。それ以前に読んだ本の感想はありません。


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1976年大阪府出身。京都大学法学部卒業。卒業後は化学繊維会社へ就職。経理マンをしながら小説を書いていたが、26歳の時東京本社への転勤を言い渡され、残業続きで書く時間がなくなることを危惧し、辞令が出る前に退社し東京へ移る。ボイルドエッグズ新人賞を受賞し2006年『鴨川ホルモー』でデビュー。同書は『本の雑誌』で2006年エンターテインメント1位になり、2007年の本屋大賞にもノミネートされた。代表作に『鴨川ホルモー』(2006年)、『鹿男あをによし』(2007年)、『偉大なる、しゅららぼん』(2011年)など。(Wikipediaより引用 2022年)

004 悟浄出立 (新潮文庫)

2014年単行本、2016年に文庫化された長編小説で、西遊記に関連し、脇役の沙悟浄を語り手として、同じく脇役の八戒について考察する今で言うところのスピンアウト的な話しの「悟浄出立」を含む、「趙雲西航」「虞姫寂静」「法家孤憤」「父司馬遷」の中国の古典を題材とした5編の短編小説です。

「悟浄出立」は元々は中島敦が西遊記に関連して書いた「光と風と夢 わが西遊記」に収録された「悟浄出世」「悟浄歎異」の短編を最初は高校生の頃の試験問題で読んで、それの続編的な小説を書きたかったと最初に触れられています。

「趙雲西航」は三国志でお馴染みの若武者趙雲が主人公で、諸葛亮孔明や張飛などが出てきて三国志ファンなら十分に楽しめます。三国志では脇役に追いやられてしまった趙雲ですが、上記の沙悟浄と同様、その心理描写が上手く作られています。

「虞姫寂静」は「項羽と劉邦の戦い」で、最後は四面楚歌で滅ぼされてしまう秦末期時代の楚の武将項羽の愛人虞美人が主役です。日本でも虞美人草で有名ですね。

「法家孤憤」は秦の始皇帝暗殺未遂事件を起こした荊軻と名前が同じ発音の官吏が主人公、「父司馬遷」は壮大な史記を書いた司馬遷の娘を主人公としています。

あの有名な司馬遷が、味方の名将をかばったために、汚名を着せられて男性器を切除する刑に処せられていたとは知りませんでした。

そうした、歴史書や歴史物語では不遇の扱いの脇役達を生き生きと描いたのがこの作品で、歴史についてあまり知らなくても十分に楽しめますが、ある程度は予備知識として持っているともっと楽しめそうです。

★★☆

3月前半の読書と感想、書評 2019/3/16(土)

003 鹿男あをによし (幻冬舎文庫)
京都が舞台の「鴨川ホルモー」でデビューした万城目学氏の二作目が、この奈良を舞台とした作品です。その後書かれることになる「プリンセス・トヨトミ」と合わせて「関西三部作」と呼ばれているそうです。

またこの作品は2008年に玉木宏主演でフジテレビの連続ドラマとして放送されていたそうなので、そちらで知っている人も多いのではないでしょうか。テレビが先行したためでしょうか、関西三部作の中で映画化されていないのはこの「鹿男あをによし」だけです。

物語は大学院で研究員として務めている主人公が、研究室の不和の原因となっていることから、教授から奈良の女子高へ臨時教員として行くことを勧められます。

そこで起きる様々な顛末をコミカルに、またミステリアスに描かれていて、前作同様バカバカしくも楽しく読めます。

関西に住んでいた若い頃には、奈良へ何度も行きましたが、その頃は古墳や寺社に興味があるわけもなく、今にして思えば、この小説に出てくるおよそ1800年前には日本の政治や文化の中心地だった奈良の名所をもっと回っておくべきだったと今になって反省しています。なかなか近くにいるとそういうことって気がつかないものなんですよね。

同じく奈良の歴史的名所が出てくる小説では、恩田陸氏の「まひるの月を追いかけて」を思い出しますが、どちらの小説も読むと奈良へ行ってみたい気持ちが一段と高まりますので、仕事やプライベートで十分に忙しい人は注意が必要かもです。

変わったタイトルですが「あをによし」は「奈良にかかる枕詞」だそうで、「青丹よし 奈良の都は咲く花の 薫ふがごと今盛りなり」(万葉集)などと使われます。そういえば中学校か高校で習った記憶があります。

余談ですが、この作品では鹿がしゃべり出しますが、1960年代には「馬がしゃべる そんな馬鹿な♪」という音楽にのって始まる「ミスター・エド」というアメリカのコメディホームドラマがありました。実際に内容はよく覚えていないのですが、その歌だけ記憶に残っています。

3月前半の読書 2012/3/17(土)

002 プリンセス・トヨトミ (文春文庫)
2006年に鴨川ホルモーで衝撃デビューを果たした万城目学氏の作品で、すでに綾瀬はるかなどが出演した映画も作られています。

よく「大阪(広い意味では関西)は独立国」と言われます。それは独特の進化を遂げた関西弁や、400年前までは江戸(東京)よりもはるかに賑わっていた世界有数の都市だったという独特のプライドなどが入り交じっています。

多くの小説や映画では悪役のイメージが強い最初の天下人豊臣秀吉に対して、大阪(関西)人の多くは今でも慕っているというのも特徴的です。

本書にも出てきますが、大阪城のすぐ側にある大阪府庁のマークは豊臣秀吉の象徴でもある馬印のひょうたんを象ったもので、徳川200年の間に徹底的に破壊し排除された豊臣色ですが、現在でも様々なところに受け継がれたり残っているものがあります。

さて本書ではその秀吉と血のつながった子孫が延々と庶民に守られ、明治政府ができる直前に日本の臨時政府と取り交わした条約により表には出ない大阪国という存在が、会計検査院の調査で明らかになっていきます。

ま、荒唐無稽なドタバタ劇ですが、鴨川ホルモーと同様に、「そういうことがあったら面白いなぁ…」というぐらいの話しです。

しかしうんちくですが、いまの復元された大阪城の原型が秀吉の作ったものではなく、夏の陣で豊臣一族がすべて亡くなり、大阪城もいったん灰燼に帰した後に、徳川秀忠、家光の時代に豊臣色を消すために新たに作らせた大阪城だとは初めて知りました。

9月後半の読書 2011/10/1(土)

001 鴨川ホルモー (角川文庫)
2009/10/13読了

「鴨川ホルモー」は先日映画版の鴨川ホルモーも観たのですが、その前に読み終えていました。

京都の東西南北にある京都大学(青龍)、立命館大学(白虎)、龍谷大学(朱雀)、京都産業大学(玄武)に代々伝わる、陰陽師が使う式神(通称鬼)同士を闘わせるホルモーという競技の物語です。

いや〜バカバカしくて面白いです。

10月の読書 その2 2009年11月3日

「BOOK」データベースより
このごろ都にはやるもの、勧誘、貧乏、一目ぼれ。葵祭の帰り道、ふと渡されたビラ一枚。腹を空かせた新入生、文句に誘われノコノコと、出向いた先で見たものは、世にも華麗な女(鼻)でした。このごろ都にはやるもの、協定、合戦、片思い。祇園祭の宵山に、待ち構えるは、いざ「ホルモー」。「ホルモン」ではない、是れ「ホルモー」。戦いのときは訪れて、大路小路にときの声。恋に、戦に、チョンマゲに、若者たちは闊歩して、魑魅魍魎は跋扈する。京都の街に巻き起こる、疾風怒涛の狂乱絵巻。都大路に鳴り響く、伝説誕生のファンファーレ。前代未聞の娯楽大作、碁盤の目をした夢芝居。「鴨川ホルモー」ここにあり。



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