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高村薫 TAKAMURA KAORU 既読書籍
010 | 晴子情歌(上)(下) | 009 | 冷血(上)(下) |
008 | レディ・ジョーカー(上)(中)(下) | 007 | 照柿(上)(下) |
006 | マークスの山(上)(下) | 005 | 地を這う虫 |
004 | 李歐 | 003 | リヴィエラを撃て(上)(下) |
002 | 神の火 (上)(下) | 001 | 黄金を抱いて翔べ |
1953年大阪府生まれ。1975年国際基督教大学教養学部人文科学科卒業)。卒業後は外資系商社勤務。1989年『リヴィエラ』で第2回日本推理サスペンス大賞最終候補。1990年『黄金を抱いて翔べ』で第3回日本推理サスペンス大賞受賞。1992年『神の火』で第5回山本周五郎賞候補。1993年『マークスの山』で第109回直木賞受賞、第12回日本冒険小説協会大賞受賞、『このミステリーがすごい!』1994年版国内第1位。(Wikipediaより引用 2022年) |
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010 | 晴子情歌(上)(下)(新潮文庫) | |
本著は2002年に単行本、2013年に文庫化された長編小説です。過去に著者の小説は1995年に「黄金を抱いて翔べ」を読んでから、「レディ・ジョーカー」など合計9作品を読んでいますが、それらとはまったく毛色の違った内容で、意外な感じがしました。 文庫の上下巻合計で800ページを超える、通常の文庫本なら3〜4冊分はありそうなボリュームで、しかもその中の半分ぐらいが、旧字、旧仮名で書かれた主人公が書いた手紙となっていて、それに慣れるまでに時間がかかりました。 さらに、登場人物が豊富で、巻頭に家系図がありそれに救われましたが、しばしばその家系図を見に行く手間もありサクサクと読めるものではありませんでした。 主人公と結婚した夫の兄弟(義兄、義姉)が4人いて、その配偶者を合わせると8人、夫の両親に主人公の父親の兄弟が5人、母親の姉妹が他に2人などなど。さらに甥や、名家で代議士を出した名家だけに番頭や女中、秘書などもいます。家系図がなければとても読み進められません。 主人公は、戦前に東京で生まれた女性とその息子の二人で、エリートの英語教師だった女性の父親が妻(主人公の女性の母親)を病気で亡くしたあと、仕事を辞めて生まれ故郷の青森の寒村へ引っ越す決意をしたことで、その女性の人生が大きく変わります。 その主人公の女性がやがて女中として奉公していた青森の名家のフラフラと自由人を謳歌していた4男坊と出征する前日に結婚することになり、そしてその夫が戦地にいるいるあいだに義兄の子をもうけ、その子(息子)へ母親から過去の自分の人生や息子の出生のことを手紙に書いて教えていく流れです。 中でも、主人公の父親が故郷に戻ってすぐに親戚を頼って漁師となり、また、息子も東大理学部を卒業した後、女性トラブルを起こしたこともあり、就職せずにやはり親戚を頼って遠洋漁業の船員になるなど、昭和から現代までの漁業についてかなり詳細に書かれています。 テーマは、タイトルからすれば、昭和の戦前に青森の寒村に引っ越した女性の一代記ですが、その息子の母親に対する疑念と愛情、そして主人公の女性の恋心、激動の戦前戦後の日本、特に北方漁業を中心とした社会の縮図と言ったところでしょうか。 とにかく登場人物が多く、読むのに疲れましたが、丁寧に最後まで読み切ったという満足感があります。 ★★☆ 1月後半の読書と感想、書評 2024/1/31(水) |
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009 | 冷血(上)(下)(新潮文庫) | 「冷血」というタイトルを見たときに、まず9年前に読んだ有名なトルーマン・カポーティの1966年のノンフィクション「冷血」(原題:In Cold Blood)をまず思い起こしましたが、その作品を意識した小説となっていました。 警察や事件ものの名手である著者がカポーティの「冷血」を読み、果たして同名のこちらの小説(フィクション)ではどういう内容と味付けがされるのかに興味がありました。 ◇2014年1月前半の読書と感想、書評(冷血) 初出は2010年からサンデー毎日に連載され(その時のタイトルは「新冷血」)、2012年に単行本、2018年に文庫化されています。 30過ぎの前科持ちの男性二人がネットのいわゆる「闇バイト募集広告」で知り合い、ATMやコンビニを襲い、それらの勢いのまま医者の夫婦と子どもが住む一軒家がクリスマス期間中には留守になるという情報を得たことで、空き巣を働くため深夜に侵入したところ、家族が在宅していたため家族4人を撲殺し、キャッシュカードや貴金属を盗み逃亡します。 そこに出てくるのが「マークスの山」や「レディ・ジョーカー」で活躍した警視庁刑事の合田雄一郎です。 二人の犯人は、やがて捕まりますが、その供述が「わからない」「覚えていない」「知らない」など、犯行の原因や動機、殺意、計画性など、調べようとする警察や検事を混乱させます。しかもふざけているとか、意図してなにかを隠しているようでもありません。 そうした行きがかり上で家族4人を撲殺するという重犯罪を犯した犯人と言うことで、その調べが延々と続き、さらにその周囲の人物への聞き込みや子供の頃の家庭環境、精神医の分析など次々と出てきて、そうした事実を積み上げた上での心理的な話しをずっと読み続けるのは結構な忍耐が必要でした。 なにかモデルになった同じような犯行があったのだろうか?と思いましたが、近年で私の知る限りではそうした犯罪はありません。幼い子どもを含む一家4人が惨殺された2000年12月に起きた世田谷一家殺人事件の犯人が捕まっていたら、それがモデル?とも思えますが、そちらは単独犯でまだ犯人は捕まっていません。 結局、最後までその行動や深層は謎ですが、犯行自体は揺るがず判決が下されることになります。 刑事が1受刑者に長い間手紙のやりとりをしたり、差し入れをしたりすることはありそうに思えませんが、なぜかこの主人公の刑事はこの犯罪者に興味を持ったまま頭の片隅に残し続けます。 しかしこの著者、「とまれ」という言葉が大好きで、この小説にも10数カ所出てきます。「とまれ」は、「ともあれ」の変形で「いずれにせよ」や「ともかく」という意味ですが、文章の最初に「とまれ」が連発されるのはちょっと読んでいて気になるところです。 ★★☆ 6月前半の読書と感想、書評 2023/6/17(土) |
008 | レディ・ジョーカー (上)(中)(下) (新潮文庫) | 高村薫氏の小説は「黄金を抱いて翔べ」以降「神の火」「リヴィエラを撃て(新潮文庫)」「マークスの山(講談社文庫)」「照柿」「地を這う虫」などほぼハズレなしで面白く、この1997年に単行本が刊行された「レディ・ジョーカー」も文庫化されるのを長く長く待ち望んでいました。 先に2004年に映画ができて上映されていましたが、観ると小説の面白さが半減するなと思って我慢し、それからさらに6年(単行本から13年!)経ってようやく文庫版が刊行されました。 滅多なことでは単行本は買わない文庫ファンの私としては、このようなベストセラーの非常に遅い文庫化は出版社の都合なのでしょうけど、残念に思います。 2000年頃にBOOK-OFFで中古の単行本も見つけたのですが、満員電車の中で読むには重すぎて、また程度もあまりよくなかったのであきらめました。 おそらく売れに売れている村上春樹の「 1Q84 」も、文庫化はずっと先なんでしょうね。今年から大ブレークしている電子書籍になれば、単行本も文庫本もなくなるので、そのような出版社が高い単行本を売りたいからというせこいやり方は自然となくなりますね。 内容は、企業恐喝犯罪を核に犯人、企業、警察の三つの視点で話が進んでいきます。上・中・下とかなり長い小説で、やや中だるみもありますが、登場人物はそれほど多くなく人間心理や企業論理、それと警察組織の動きが緻密に描かれている力作です。でも果たしてこの内容で1000ページも越える必要があったのかはちょっと?です。 同じように大企業の苦悩と犯罪を扱った長編小説に池井戸潤著「空飛ぶタイヤ(講談社文庫)」がありますが、「空飛ぶタイヤ」が実際に起きた企業犯罪(自動車のリコール隠し)に対し、「レディ・ジョーカー」は1984〜5年に起きたグリコ・森永事件がヒントになっているようですが、いずれにしても小説で描かれる大企業は、そこにいる個人個人は善人であったとしても、企業論理が優先される組織には自浄能力はなく、汚いものだというメッセージです。昨年映画化されて大ヒットした山崎豊子著の「沈まぬ太陽(新潮文庫)」もまさにそうでしたね。 しかし「空飛ぶタイヤ」や「沈まぬ太陽」には三菱自動車工業や日本航空という実際にモデルがありましたが、この「レディ・ジョーカー」のたまたまモデルとなってしまった「ラガーが主力の日本最大のビール会社」にしてみると、身に覚えのない疑惑やよからぬ風評が降りかかってしまう可能性があり、さらにこの作品をヒントにした類似の恐喝事件が起きないとも言えず、迷惑な話しだろうなと、企業人としてはちょっと気の毒に思ってしまいます。今のところ大人のキリンビールが著者や出版社を訴えたという話しは聞こえません。 あとこのタイトルにもなっている「ジョーカー」は、一般的にあまりいい意味で使われることはないのですが、それが身体障害者のことを指していたり、日本に古くから存在している「被差別部落」出身者の採用差別の問題が絡んでいたり、またひたすら身内の犯罪を隠蔽しようとする警察組織とか、著者が意識をしてかどうかはわかりませんが、ある意味現代社会のタブーに問題提起した小説と言えるかも知れません。 5月下旬の読書 2010/6/3(木) |
007 | 照柿 (上)(下) (新潮文庫) | 2006/08/23、2006/08/27読了 「BOOK」データベースより 異質さゆえ、互いから目を逸らせぬまま成長した幼馴染は、それぞれの足で大阪から東京へと辿りついた。八月二日夕刻、合田雄一郎警部補は電車から女性の飛び込みを目撃する。現場より立ち去ろうとしていた佐野美保子との一瞬の邂逅。欲望に身を熱くした。旧友野田達夫との再会は目前に迫っていた。合田、野田、美保子、三人の運命が、溶鉱炉の如き臙脂色の炎熱の中で溶け合ってゆく。 野田達夫を次第に追いつめてゆくのは工場での果てなき労働、そして不眠…。一方、合田雄一郎は佐野美保子を欲するあまり、常軌を逸しはじめた自分に気付く。十八年前に分かれたはずの人生が、なぜ再び交わってしまったのか!意志もなく踏み出された数歩。生命を失った物体が深夜にごろりと転がった。一睡もできぬほど暑い夏の出来事だった。照柿―それは断末魔の悲鳴の色。 |
006 | マークスの山 (上)(下)(新潮文庫) | 2003/02/11、2003/02/16読了 「BOOK」データベースより 「マークスさ。先生たちの大事なマ、ア、ク、ス!」。あの日、彼の心に一粒の種が播かれた。それは運命の名を得、枝を茂らせてゆく。南アルプスで発見された白骨死体。三年後に東京で発生した、アウトローと検事の連続殺人。“殺せ、殺せ”。都会の片隅で恋人と暮らす青年の裡には、もうひとりの男が潜んでいた。警視庁捜査一課・合田雄一郎警部補の眼前に立ちふさがる、黒一色の山。 勤務先の病院を出た高木真知子が拳銃で撃たれた!やがて明らかになってゆく、水沢裕之の孤独な半生。合田はかつて、強盗致傷事件を起こした彼と対面していたのだった。獣のように捜査網をすり抜ける水沢に、刑事たちは焦燥感を募らせる…。アイゼンの音。荒い息づかい。山岳サークルで五人の大学生によって結ばれた、グロテスクな盟約。山とは何だ―マークス、お前は誰だ?―。 |
005 | 地を這う虫 (文春文庫) | 1999/02/25読了 「BOOK」データベースより 「人生の大きさは悔しさの大きさで計るんだ」。拍手は遠い。喝采とも無縁だ。めざすは密やかな達成感。克明な観察メモから連続空き巣事件の真相に迫る守衛の奮戦をたどる表題作ほか、代議士のお抱え運転手、サラ金の取り立て屋など、日陰にありながら矜持を保ち続ける男たちの、敗れざる物語です。深い余韻をご堪能ください。 |
004 | 李歐 (講談社文庫) | 1999/02/25読了 「BOOK」データベースより 李歐よ君は大陸の覇者になれぼくは君の夢を見るから― 惚れたって言えよ―。美貌の殺し屋は言った。その名は李欧。平凡なアルバイト学生だった吉田一彰は、その日、運命に出会った。ともに二十二歳。しかし、二人が見た大陸の夢は遠く厳しく、十五年の月日が二つの魂をひきさいた。『わが手に拳銃を』を下敷にしてあらたに書き下ろす美しく壮大な青春の物語。 |
003 | リヴィエラを撃て(上)(下) (新潮文庫) | 1997/07/11、1997/07/17読了 「BOOK」データベースより 1992年冬の東京。元IRAテロリスト、ジャック・モーガンが謎の死を遂げる。それが、全ての序曲だった―。彼を衝き動かし、東京まで導いた白髪の東洋人スパイ『リヴィエラ』とは何者なのか?その秘密を巡り、CIAが、MI5が、MI6が暗闘を繰り広げる!空前のスケール、緻密な構成で国際諜報戦を活写し、絶賛を浴びた傑作。日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞受賞。 CIAの『伝書鳩』とともに、父の仇である『リヴィエラ』を追っていたジャック。複雑怪奇な諜報機関の合従連衡。二重・三重スパイの暗躍。躍らされる者たち。味方は、敵は誰か。亡命中国人が持ち出した重要書類とは?ジャック亡き後、全ての鍵を握るピアニストは、万感の思いと、ある意図を込めて演奏会を開く。運命の糸に操られるかのように、人々は東京に集結する。そして…。 |
002 | 神の火(上)(下) (新潮文庫) | 1995/06/15、1995/06/22読了 「BOOK」データベースより 原発技術者だったかつて、極秘情報をソヴィエトに流していた島田。謀略の日々に訣別し、全てを捨て平穏な日々を選んだ彼は、己れをスパイに仕立てた男と再会した時から、幼馴染みの日野と共に、謎に包まれた原発襲撃プラン〈トロイ計画〉を巡る、苛烈な諜報戦に巻き込まれることになった…。国際政治の激流に翻弄される男達の熱いドラマ。全面改稿、加筆400枚による文庫化。 〈トロイ計画〉の鍵を握るマイクロフィルムを島田は入手した。CIA・KGB・北朝鮮情報部・日本公安警察…4国の諜報機関の駆け引きが苛烈さを増す中、彼は追い詰められてゆく。最後の頼みの取引も失敗した今、彼と日野は、プランなき「原発襲撃」へ動きだした―。完璧な防御網を突破して、現代の神殿の奥深く、静かに燃えるプロメテウスの火を、彼らは解き放つことができるか。 |
001 | 黄金を抱いて翔べ (新潮文庫) | 1995/06/08読了 「BOOK」データベースより 銀行本店の地下深く眠る6トンの金塊を奪取せよ。大阪の街でしたたかに生きる6人の男たちが企んだ、大胆不敵な金塊強奪計画。ハイテクを駆使した鉄壁の防御システムは、果して突破可能か?変電所が炎に包まれ、制御室は爆破され、世紀の奪取作戦の火蓋が切って落とされた。圧倒的な迫力と正確無比なディテイルで絶賛を浴びた著者のデビュー作。日本推理サスペンス大賞受賞。 |
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