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新野剛志 SHINNO TAKESHI 既読書籍

006 僕の探偵 005 美しい家
004 恋する空港―あぽやん〈2〉 003 八月のマルクス 
002 FLY 001 あぽやん


1965年東京都生まれ。立教大学社会学部卒業後、旅行会社(ジャルパック)に就職。空港係員として成田空港に4年半、その後本社に戻って会社には計6年半勤務したが、辞めたいという気持ちを隠しながら仕事を続けるのが耐えられなくなり、突然退社し、失踪する。そして絶対に作家になるという目標だけを掲げてホームレス生活に入る。始発電車やカプセルホテルなどで寝泊りする生活を約2年半続け、その際に書き上げた『八月のマルクス』により、目標であった第45回江戸川乱歩賞を受賞。(Wikipediaより引用 2022年)


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006 僕の探偵(創元推理文庫)

僕の探偵2012年に「素人がいっぱい ラブホリックの事件簿」というタイトルで単行本が出版され、2016年に文庫が出版されるときにタイトルが変更された連作短篇集です。

「死者に名を」「雨宿り」「女王様のクリスマスプレゼント」「恋は紫色」「生者に花を」の5篇で組み立てられていて、最後まで読むと不可思議な登場人物の謎などが明らかになります。

単行本タイトルの「ラブホリック」とは主人公が勤務する渋谷の風俗店デリバリーヘルスの店名で、その主人公と大学時代の頭脳明晰な友人が探偵役で、三軒茶屋のアパートで同居しています。

そのデルヘリで起きる様々な事件や不可解な出来事を推理して解決に導くホームズ役が主人公の友人で、その周囲でオタオタするのがワトソン役の主人公というよくあるパターンです。

解説でも書かれていましたが、居候として同居する友人が探偵役とするのは、三浦しをん著の直木賞受賞作「まほろ駅前多田便利軒」と設定等が似ているところがあります。

ま、事件も風俗の仕事の様子もあまりリアリティはなく、さすがに著者自身が実際に現場経験してきた空港勤務の旅行代理店職員「あぽやん」と比べて内容に軽さと薄さが目立ちます。仕方ないですけど。

★★☆

3月後半の読書と感想、書評 2024/4/3(水)

005 美しい家 (講談社文庫)

八月のマルクス」(1999年)、「あぽやん」(2008年)など、毛色の違う多くのヒット作を持っている著者の2013年刊(文庫版は2017年)の長編社会ミステリー小説です。

主人公は二人で、その二人の視点で物語が同時並行して進められていきます。

一人目は最近は新作が書けないでいる小説家で、子供の頃に姉が何者かに拉致されて行方不明となってしまった過去を引きずっている男性と、もう一人は刑務所から出たばかりの暗い過去を持つ若い男性です。

と思っていたら、終盤近くでそのうちの一人、作家がもう一人の主人公男性にあっけなく殺されてしまいます。ネタバレ失礼。

行く当てのない家族を引き受けて、集団で生活をするというのは古くは1980年頃に起きた「イエスの方舟事件」や、2012年には「尼崎事件」というのもありましたが、そうしたところで育てられた子供達が、成長して大きくなってからも過去を引きずっていく様子がよく描かれています。

タイトルは転々と住まいを変える集団生活において、そこで生まれ育った子供達が、幼いときのイメージの中に生じさせる理想的な住まいを揶揄したものと思われます。

★★☆

9月後半の読書と感想、書評 2017/9/30(土)

004 恋する空港 あぽやん2 (文春文庫)
2008年に発刊された「あぽやん」の続編として2010年(文庫は2012年)に発刊されました。その「あぽやん」は、「2012年4月後半の読書」に感想を書いています。

その時の感想で「こういうたぐいの小説は比較的テレビドラマになりやすいので、そのうちきっと制作されることになるのでしょう。」と書いていましたが、その通り2013年にはTBSで「あぽやん〜走る国際空港」という連続ドラマが伊藤淳史主演で制作され放送されました。見ていないけど。

こうした若者向けのお気楽お仕事ドラマは毒にも薬にもなりませんが、比較的視聴率も取りやすくドラマ化されることが多いですね。

さてその第2弾も第1弾と同様、連作短編形式で変な旅客や空港内で事件が発生して、あぽやんこと旅行代理店社員の空港勤務の活躍物語で、「テロリストとアイランダー」、「空港ベイビー」、「ランチ戦争」、「台風ゲーム」、「恋する空港(あぽ)」、「マイ・スイート・ホームあぽ」の6編からなっています。

元々日本航空の子会社で旅行代理店のジャルパックの空港勤務だった著者ですから、内容には専門的なことも含め正確に書かれているのでしょうけど、たいへんな仕事だろうなというのは容易に想像がつきます。

毎日空港で勤務する職員とは違い、一生に一度あるかないかという団体海外旅行ツアーに参加する旅客というのは、空港も初めて、出国するのも初めて、人によっては飛行機に搭乗するのも初めてと、初物づくしの人もいます。

そうした中で、指名手配中のテロリストと同姓同名で不審な乗客、海外で出産しようと予定日を誤魔化して出国しようとする女性、不倫芸能人とその妻、韓流スターの追っかけで台風でも遅れることが許せない女性などを相手にしながら、主人公は教官となって新しくスーパーバイザーを目指す男性のOJTをしていきます。

★★☆

8月前半の読書と感想、書評 2015/8/19(水)

003 八月のマルクス (講談社文庫)
この本は以前から書店で気になっていたタイトルの小説として記憶に残っていましたが、「あぽやん」を読んで新野剛志氏のファンとなったので読んでみることにしました。この小説は同氏のデビュー作品で、1999年の江戸川乱歩賞の受賞作品でもあります。

マルクスといえばドイツの共産主義思想家のカール・マルクスを第一に思い浮かべると思いますが、もちろん私もそうでした。しかし初っぱなから事件で引退したお笑い芸人が主人公と知って「???」となりました。そういやアメリカの偉大なコメディアンにマルクス兄弟ってのがいたなと思い出したのは小説の中でその話題が出てきてからです。

マルクス兄弟はまだ私が生まれる以前の1930〜40年代に活躍していましたが、私も子供の頃にテレビの映画で「マルクス兄弟の二挺拳銃」(1940年の作品)を見た記憶があります。

それはさておき、内容は元一世を風靡したお笑いコンビの片方が、ある事件がきっかけで引退をし、今では自分のマンションの大家をしながら地味な生活をおくっていたところへ、今でも現役の昔の相方が突然訪ねてきます。そしてその数日後にその相棒が謎の失踪を遂げたことで、真相を探るために探偵のようなことをはじめます。

ストーリーも、芸能関連の世界もうまく描けていて、なかなかのハードボイルド小説に仕上がっています。固ゆで小説と言っても主人公は元お笑い芸人というだけで、滅法喧嘩に強かったり、警察やヤクザや天才ハッカーに親しくて手助けしてくれる友人がいたりというのではなく、単なる自由時間がとれる1小市民ってところがいいです。

12月前半の読書 2012/12/19(水)

002 FLY (文春文庫)
白状すると、私は寝る前に自宅のベッドの中で読む本と、片道1時間の通勤中に読む本と、だいたいふたつの本を並行して読んでいます。

この「FLY」と同じ時期に並行して読んでいたのが、白川道著の「冬の童話」でした。そしてどちらにも歌がうまくて、歌手としてプロデビューしようとする薄幸な美少女が重要な役割として登場するではないですか。しかもFLYには二人も。

寝る前に読む本と通勤中に読む本は意図してまったく違うジャンルの本を読むように気をつけていますが、今回はまったく無自覚で内容が一部分ダブってしまうことになりました。そして読んでいるうちに内容や登場人物がごっちゃになってしまい、混乱してしまったことを認めます。

こちらの小説は、2004年に初出で、文庫は2007年発刊です。著者の新野剛志氏と言えば少し前に読んだ「あぽやん」がとてもスマートで面白かったので、今回続けて読んでみることにしました。

この「FLY」は「あぽやん」と同じ作者とは思えない本格的なクライムノベルで、コミカルな部分は皆無、子供への虐待や殺人など犯罪が次々と起きていきます。

登場人物はかなり複雑です。将来は飛行機パイロットになろうと目標を決めていた高校生が、ある日偶然に指名手配されている殺人事件の容疑者を見つけてしまい、それを警察に通報したことから、容疑者の恨みを買ってしまい一番大事なものを目の前で失ってしまうという流れがひとつ。

その事件から十数年が経ち、将来は物書きになりたいと思っているフリーターの若い男性が、仲のよいバイト仲間の女性につきまとうストーカーになぜか興味を惹かれ、調べていくうちにその女性の父親とストーカー男の間に横たわる暗い闇が次第に判明していくというふたつめの流れ。

さらに過去に暴力的な父親から逃れ、歌手になる野心のため犯した犯罪と、それをネタに強請ろうとする実母のヒモに苦しめられる売れっ子ミュージシャンの不幸な生い立ちからの流れ。

それぞれの視点で物語が展開し複雑に絡み合っていきますので、誰が主人公というのではなく、複数の登場人物が主人公と言えます。登場人物は多くはないものの、それでも視点(語り手)がコロコロと変わりますので、しっかりと読んでいかないと途中で混乱してしまいそうです。

そして最後になってわかる最初に起きた殺人の意味や伏線がしっかりとあとになってから効いてくる、なかなかトリッキーな小説です。

ただタイトルがこの「FLY」だと、よほどの売れっ子作家で作者名で買っていく人が多くないと、読み手にはまったく意味不明なだけに、そこがちょっと損をしたかな。

5月前半の読書 2012/5/19(土)

001 あぽやん (文春文庫)
デビューから9作目にして、2008年上半期の直木賞候補(受賞は逃した)となった作品です。読むまではなんの知識もなく「あぽやん」というタイトルから大阪が舞台のコテコテの作品かなと思っていたら、全然違いました。

「あぽやん」の「あぽ」は「APO」でairport(空港)の略称。そこで勤務するいわゆる地上旅客対応要員のことだとか。

一般的には国際空港勤務といえばエリートのような感じがしますが、大手の旅行会社では、空港勤務というのは左遷と同じで、キャリアアップにもつながらず、営業から頼まれたムチャ振りを含め、旅行客の無事に送り出すだけの雑用係とか。

大手航空会社子会社の海外旅行専門旅行代理店の本社に勤務する独身男性が、上司の不評をかってしまうことになり、成田空港事務所へ飛ばされ、そこであれやこれやのトラブルに見舞われます。

当初は適当にしのいでいればまたすぐに本社へ戻れるだろうぐらいの安易な気持ちでやっていたところ、意識がだんだんと変わってきて、やがては「あぽやん」として一人前になろうとする前向き青春ドラマです。

いずれにしても著者の新野剛志氏は大学卒業後6年間は旅行代理店に勤務していたそうで、そこでの経験や、同じ旅行代理店の知り合いなどから聞いた実話に近い話しがコメディタッチにまとめられています。続編の「恋する空港 あぽやん2 (文春文庫)も出ているらしいので、それも楽しみです。

こういうたぐいの小説は比較的テレビドラマになりやすいので、そのうちきっと制作されることになるのでしょう。そのとき果たして小説の中では主人公が勤務する企業の想定とされるジャルパックが全面協力するかどうかは微妙なところです。お堅そうな会社ですからね。主人公役はなんとなく妻夫木聡って感じがします。

4月後半の読書 2012/5/5(土)



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