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下重暁子 SHIMOJU AKIKO 既読書籍

004 003 老人をなめるな
002 極上の孤独  001 家族という病 
読書感想は2010年頃以降から書くようになりました。それ以前に読んだ本の感想はありません。


1936年〈昭和11年〉栃木県生まれ。早稲田大学教育学部国語国文学科卒。元NHKアナウンサー、フリーアナウンサーを経て作家・評論家・エッセイスト。2008年、競輪とオートレースを所管する財団法人JKAの初代会長に就任。1967年の「もうひとりのあなたに」で作家メジャーデビュー。代表作に「家族という病」「極上の孤独」「年齢は捨てなさい」など。(Wikipediaより引用 2024年)


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003
老人をなめるな(幻冬舎新書)

老人をなめるな
著者のエッセイを読むのは3作目ですが、今年で88歳と高齢でもあり最近は新しい著書やテレビ出演などは見かけなくなりました。でもお元気でいらっしゃるのでしょう。

本著は2年前の2022年出版のエッセイで、健康でアクティブな著者が独自の視点で、世の中には高齢者のネガティブな報道や話題が多い中、それを逆手にとった老人賛美の内容です。

著者の主張には賛成するところと、いやいやそれは違うでしょう?と思うところが混在しますが、いずれも高齢者になって初めて理解ができる点で、うなづける点が多くあります。

例えば、すでにある程度の蓄えがありながら、いくつになっても現役で働き続けることを善とする著者の考え方には、若い人の邪魔になるだけのわがままで自己中心的な高齢者が多い中、賛成しかねるところですが、高齢者の交通事故ばかりマスメディアは取り上げるけど、事故率で圧倒的に多いのは若者であって、高齢者が増加しているので件数こそ増えているものの、高齢者の事故率は昔からほとんど変わりがないという事実などは賛同できます。

断捨離に対してもネガティブな思いがあるようですが、少し前に読んだ五木寛之著「捨てない生きかた」にも同じようなことが書かれていました。

どうも断捨離は富裕層の高齢者には不評のようです。なかなか買えない、買っても置く場所がない普通の年金暮らしの高齢者は次々と不要なものを断捨離せざるを得ないのが現実です。

全般的には高齢者あるあるで、高齢者にとってはあらためて納得できる話が多く、ためになるというより思ったことを文章で思い出させてくれた、代弁してくれたという感じになるでしょう。

ただ人生を順風満帆に送ってきた成功者であり、富裕層ゆえのやや上から目線の独善的な話しにはちょっとガッカリするところもあります。

★★☆

9月後半の読書と感想、書評 2024/10/5(土)

002
極上の孤独 (幻冬舎新書)

2018年に発刊された書き下ろしエッセイの新書です。著者の作品は過去に「家族という病」(2015年)を読んでいます。残念ながらあまり面白かった印象はありません。

本文に何度か出てきますが、著者は2017年に亡くなった野際陽子さんとNHKアナウンサーとして1年後輩ということは驚きというか、同年代の方だったのですね。今年85歳になられます。

今回のテーマは、「人間、誰も孤独であり、群れずにその孤独に耐えうる感性を身につけよ!」という感じでしょうか。

でもさ、考えたけど、人によっては、一生孤独を感じず、友人や家族、親戚などといつも周囲には人がいて、それが楽しいという人も多いんじゃないかなと。

いえ、私自身は孤独が好きで、できるだけ旅行もひとりで、部屋も個室(書斎)で、もう辞めたけど仕事もひとりでする仕事が好きだったので、孤独の魅力やありがたさはよくわかっていますけど、それは私だからであって、人それぞれなんだろうなぁーってずっと思っています。

特に、今も昔も他人に頼りたがる人って多いでしょう。「親方日の丸」みたいな慣習も、結局は国がなにかしてくれる、考えてやってくれるから、自分では考えなくても良いみたいな風土が日本人に染みついています。

国や政府は、そうした「お上意識」が国民に強く根付いていることが最善で、一番統治しやすく与しやすいことを知っています。

一方の国民も、そのほうがなんたって楽だし、なにか問題が起きれば、責任は国にあると言えるし、多少理不尽なことも粛々と受け入れているところがあります。

孤独な人生をおくるより、群れていつも誰かに命令されたり指示されることが人の習性なのかも知れません。それゆえに、孤独を愛する人っていうのは言うほどには世間ウケない気がします。

★★☆

4月後半の読書と感想、書評 2021/4/28(水)

001
家族という病 (幻冬舎新書)

BS日テレの「久米書店」という番組で以前紹介されていた新書で、今年の3月に発刊されています。そのテレビ番組に著者が出演し、久米宏との軽快な会話がとても面白かったと記憶しています。

著者は戦前生まれで、その後当時の女性としては非常に珍しかったと思いますが、早稲田大学へ進み、卒業後はNHKに入局してアナウンサーの職に就いた経歴の持ち主です。早稲田大学と局アナ出身、そして現在はフリーという点では久米宏とまったく同じでその先輩(8年先輩)にあたります。

この著者の本を読むのはこれが初めてですが、その理由は今までは「女性の生き方」的な女性向けの作品を多く出されているからでしょう。今回は女性に限らず「家族」についてで、しかも前段階でこの本に対する著者の想いを聞いていますので、取っつきやすく読めました。

ただこの著者は家族について、自分の偏見とも言える極めて特殊な状況?を元にして語られ、さらにその自分の考えとは違うものは認めたくない的な雰囲気があり、そうした押しつけがましいところが多少かんに障る部分でもあります。男なんかには負けないぞっていう気の強い女性には割と多いタイプと感じるところです。

子供をもつ家庭や、子供を中心としてそれを家族の幸福と感じる家庭や親に対しては、あまりいい感情をお持ちではないようで、家族という中に占める親と子の関係性を否定するようなところさえ見受けられます。男性で言えば中島義道氏と共通するようなところと言っていいかも知れません。

やはり個性を売っていくためには、これほど我が強くないと有名にはなれないし本も売れないのでしょう。

しかし一般社会では、古いことわざで「血は水よりも濃い」とあるように、著者が自慢気に何度ものろけるパートナー(所詮水の関係)よりも、血を分けた親子の血のつながりのほうがずっと濃くて深いのが自然です(それ故になにか起きたとき憎悪が増長されるということもありますが)。

著者自身が、軍人だった父親やその父親に従うしか生きる術がなかった母親を尊敬できなかったということで、そういう子供時代からのトラウマが残っているのでしょうけど、世の中の多くの家族は、まず第一に親と子がもっとも信頼の置ける家族単位であるということをもっと尊重するべきじゃないかなって思うのです。期待と言うことかも知れませんが。

★☆☆

10月後半の読書と感想、書評 2015/10/31(土)



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