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乙川優三郎 OTOKAWA YUSABURO 既読書籍

004 太陽は気を失う 003 生きる
002 トワイライトシャッフル 001 脊梁山脈 

1953年2月17日東京都生まれ。生後すぐに千葉県に移る。千葉県立国府台高等学校卒。ホテル・観光業の専門学校卒業後、国内外のホテルに勤務。会社経営や機械翻訳の下請を経て、作家になる。この間に、酔った勢いで書いた小説が最終選考に残ったことから小説を書き始めた、という逸話がある。時代小説を数多く書き、『脊梁山脈』では初の現代小説を書く。好きな作家に山本周五郎を挙げている。2001年にその周五郎の名を冠した山本周五郎賞を『五年の梅』で受賞し、翌年に周五郎が辞退した直木三十五賞を『生きる』で受賞した。(Wikipediaより引用 2022年)


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004 太陽は気を失う(文春文庫)

2013年から2015年にかけてオール讀物に掲載された短編小説をまとめて2015年に単行本、2018年に文庫として出版されました。

短篇のそれぞれのタイトルは、「太陽は気を失う」「海にたどりつけない川」「がらくたを整理して」「坂道はおしまい」「考えるのもつらいことだけど」「日曜に戻るから」「悲しみがたくさん」「髪の中の宝石」「誰にも分からない理由で」「まだ夜は長い」「ろくに味わいもしないで」「さいげつ」「単なる人生の素人」「夕暮れから」の14篇です。

さすがに14篇も収録されていると、1篇あたりおよそ20ページ(文庫版)という短さで、深く印象に残らないままサクッと終わってしまう感じです。

そう言えば以前読んだ著者の短篇小説集「トワイライト・シャッフル」も13篇あり、短かった印象ですが、共通するテーマが千葉県の房総半島を舞台にしているという共通点があり、まだしっくりきましたが、今回は熟年者の愛と生という抽象的な共通点と言うことが少しわかりづらいかなと思いました。

ただこの時期の小説らしく、2011年に起きた東日本大震災とその後帰宅難民化する「太陽は気を失う」などはタイムリーな素材がうまく使われています。

掲載誌のオール讀物の読者層が概ね中高年者になっていることもあり、主人公をリアルな熟年男女にするというのは成功していると思います。

★★☆

10月前半の読書と感想、書評 2023/10/21(土)

003 生きる(文春文庫)
2002年に単行本、2006年に文庫化された時代中篇小説集で、2002年の直木賞を受賞した作品です。

著者の小説は過去に「脊梁山脈」(2013年)と「トワイライトシャッフル」(2014年)を読んでいます。時代小説を読むのはこれが最初です。

収録されている中篇は「生きる」「安穏河原」「早梅記」の3篇で、いずれも江戸時代の地方の藩で働く下級武士がそれなりに出世をしてきたものの、様々な葛藤を抱える侍が主人公です。

まぁよくできたストーリーになっていて、いずれの作品もたいへん面白いのですが、江戸時代ということを差し引いても、世の中はこの小説で出てくる主人公のように生と死をスパッと割り切れたり、奇跡的な偶然の出会いとか、男にとって都合の良い下女とか(これは時代が時代なのでよくあったのかも知れません)、なかなかあり得なさそうというのが実感で(だから小説なのですが)、ベタベタの創作がちょっと気に入りません。

しかしこういう時代小説を読んでいつも思うのは、江戸時代の言葉遣いや日常生活、道具、藩主と家老の関係、武士の作法、しきたりなど、よく調べて書かれているのに驚きます。

それらは普段馴染みがないものなので、様々な文献などを読むしか知識は得られませんし、それを自分の小説で使うには莫大な量の知識を集めないと自由に操れないでしょう。

そういうところには時代小説を書く作家さんには深く尊敬の念を感じます。

★★☆

5月前半の読書と感想、書評 2022/5/14(土)

002 トワイライト・シャッフル (新潮文庫)
2014年に単行本、2016年に文庫化された短編小説集です。著者の作品では2017年に「脊梁山脈」を読んでいます。とてもよくできた面白い長編小説でした。

この著者さんは文学的な表現というかそのような文章がお好きな方で、ちょっと携帯小説などに慣れている人だと、まどろっこしいとか、回りくどいとか、表現がわからないとか、ひどい場合にはなに言っているかわからないんですけど〜ってなるかもしれません。

旧漢字などを普通に使った三島由紀夫の小説などに慣れていればなんの問題もなくすらすら読めます。こちらには旧漢字や旧仮名遣いなどもありませんし。

この著書は短編と言うこともあり、読みにくくはありませんが、私にとってそうした文学的な表現は目に心地よい表現で、好きにならずにいられません。ってまだ2作品目ですけど。

「イン・ザ・ムーンライト」、「サヤンテラス」、「ウォーカーズ」、「オ・グランジ・アモール」、「フォトグラフ」、「ミラー」、「トワイライト・シャッフル」、「ムーンライター」、「サンダルズ・アンド・ビーズ」、「ビア・ジン・コーク」、「366日目」、「私のために生まれた街」、「月を取ってきてなんて言わない」の13話からなるこの作品ではそれぞれに主人公は違いますが、場所はすべて千葉県の房総半島が舞台で、まるで千葉県の観光PR小説か?と思ってしまいました。著者の故郷でもあるのでしょう。

千葉県にも大阪の織田作之助賞みたく、地域をテーマにした小説の文学賞があれば、間違いなく有力候補になっていたでしょう。

房総の鴨川にある近代的な総合病院が出てきたときには、浅田次郎の「天国までの100マイル」がふと頭をよぎりましたし、房総の岬に立つカフェなどが出てきたときは、森沢明夫の「虹の岬の喫茶店」(映画ではタイトルは「ふしぎな岬の物語」)を思い浮かべました。

房総の海岸線って言うのは、絵にも映像にも文学にも向いているのですね。空いている夜中に海岸沿いをグルッと走ってみたくなりました。

★★☆

10月前半の読書と感想、書評 2020/10/14(水)

001 脊梁山脈 (新潮文庫)
2002年に「生きる」で直木賞を受賞した著者が、2013年に発表した現代小説で、この作品は大佛次郎賞を受賞しています。

タイトルの「脊梁山脈」とは、主要な分水嶺となる山脈のことで「セキリョウサンミャク」と読みます。あまり普段使わない難しい字ですね。人生において誰でもそういう脊梁山脈の頂上に立つことがあります。後戻りする人もいるでしょうし、先へ進む人も、またその場で倒れてしまう人も、、、

ストーリーは、太平洋戦争中に上海で学生をしていた主人公ですが、そのまま日本陸軍に召集され、生き地獄を味わうもどうにか生き残り、そして戦争で灰燼と化した日本に帰国します。

帰国して故郷へと戻る汽車の中で激しい腹痛に襲われますが、物資不足の中同じく復員中の男に薬をわけてもらい、看病もしてもらって無事救われます。

男は途中の駅で降りてしまいますが、そのときに預かったままになっていた薬箱が、ちょっと特殊な木工細工でできています。

その後、長い長い期間が過ぎますが、ずっと心の中にその命を救ってくれた恩人にもう一度会いたいと捜す旅に出ます。手がかりは名前と特殊な木工細工です。

そしてやがてその男は木工を専門とする木地師であることがわかり、足跡をたどっていくと、転々と住む場所を変えながらも生きていることが判明するという物語です。木地師とはろくろを回して茶碗やお盆、こけしなど木工を専門に作る集団のことで、その先祖は仏具などをを作る、朝鮮からの渡来人と言われています。

読んでいると宮本輝氏の小説にもこうした特定のテーマについて深掘りというかうんちくを紹介するような展開が多く、今回深掘りするテーマは「木地師の謎と足跡を解き明かす旅路」と言ったところでしょうか。

またお互いに惹かれ合いながらも結ばれることがない女性が出てくるのも宮本輝氏の小説と同様で、初めて読んだ筆者の作品とは思えない感じがしました。

★★☆

4月前半の読書と感想、書評 2017/4/12(水)



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