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盛田隆二 MORITA RYUJI 既読書籍
008 二人静 007 散る。アウト
006 ささやかな永遠のはじまり  005 ありふれた魔法
004 おいしい水 003 金曜日にきみは行かない 
002 ストリート・チルドレン 001 夜の果てまで

読書感想は2010年頃以降に書くようになりました。それ以前に読んだ本の感想はありません。


1954年東京都生まれ。明治大学政治経済学部政治学科卒。1978年ぴあ株式会社に入社。情報誌「ぴあ」編集者の傍ら小説を執筆し、1985年「夜よりも長い夢」で第2回早稲田文学新人賞佳作入選。1990年のデビュー作『ストリート・チルドレン』が第12回野間文芸新人賞候補作。「ぴあ」副編集長、「ぴあムック」編集長等を経て、18年間勤務した同社を1996年に退社、作家専業となる。2010年度より淑徳大学エクステンションセンターにて「小説の書き方講座」を開講。(Wikipediaより引用 2022年)


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008 二人静 (光文社文庫)

2010年発刊、2012年に文庫化され、第1回Twitter文学賞第1位に輝いた話題作で、その評判をいろいろなところから聞いていたので早く読みたかった作品です。

そのタイトルからすると内田康夫著「天河伝説殺人事件」にも出てくる世阿弥作と言われている謡曲「二人静」をモチーフとした作品かなと思っていましたが、読んでみるとそうでもなさそうです。

謡曲「二人静」は義経討伐のあと、子供とも生き別れとなり、うち捨てられた静御前の霊がある女性に乗り移り、それを証明するために舞を踊ってみせるというストーリーです。

それならばもうひとつの「二人静」、明治から大正時代に活躍した柳川春葉の家庭小説からきているのかと調べてみるものの、その内容はわかりませんでした。

もしかすると文庫本の解説に書かれているのかも知れませんが、今回は単行本を読んだので不明です。

主人公は母親は既に亡くなり、認知症を患っている父親と二人で暮らしている会社員の男性。ある昔の出来事がきっかけとなり女性を心から愛することができず、30代半ばになった今でも独身で、会社の同僚女性からモーションをかけられても興味を持ちません。

そして認知症で身体も弱っている父親を抱え、毎日朝から夜遅くまでの会社勤めをすることにやがて無理が生じ、一時的な介護施設へ入居させることになりますが、そこで出会った担当の女性介護士との間に愛情が芽生えていきます。

しかしその女性介護士にも暗くつらい過去があり、まだ小さな子供(しかも人前では言葉が出なくなる場面緘黙症)を抱え、前の夫とのあいだにはDVや離婚裁判の怨恨で今も悩まされ続けています。

と、現代の社会問題が山積みされた内容ですが、どれをとっても日本国民は目をふさぐことはできず、今後ますますこうしたことがすぐ身近な問題として降りかかってくる可能性があります。

この主人公は、正規社員としてバリバリと働いていて、同僚にも恵まれ、さらに父親が買った自宅があるという、経済的にはまだ恵まれた環境にあるとも言えます。

現実的には長引く不況で職場を失ったり、地方への転勤を余儀なくされたり、また父親が住む家は借家で大きな財産もなく、認知症が判明した時点で火事の心配もあり借家から追い出されるというケースも考えられます。

この小説は決してすべて解決しハッピーエンドに終わるお気楽ものではありません。読書中にはこれでもかというぐらいに重石がどっしりと肩の上に乗っかってくる気分を味わされますが、読後には少しそれが和らいでいることに気がつくでしょう。

1月後半の読書と感想、書評 2014/2/5(水)

007 散る。アウト (光文社文庫)
2004年に発刊、2009年に文庫化された小説です。(文庫版の)盛田氏の作品は過去概ね読んできましたが、その中ではちょっと異色の作品です。「散る。アウト」は「chill out」とかけていて、意味は「頭を冷やせ」とか「落ち着け」と言ったような意味です。

主人公は大学を卒業し、信州の精密機械メーカーに勤務し、順風満帆な生活をおくっていたものの、ある時から先物相場に手を出してしまいます。

結局、その穴埋めでサラ金などから1千万円以上の借金を作ってしまい、妻は逃げだし職場からは追われ、借金取りから逃れるために東京の公園で寝泊まりしています。

日比谷公園で遠く中国やモンゴルから飛来する黄砂を浴びながら、死ぬことだけを考えていたところ、外国人との偽装結婚にスカウトされ、モンゴルへ飛び立つことになります。

そこで現地の女性と結婚式をあげ、証明書を発行してもらって帰国する予定が、同行していた男性がホテルで何者かに殺され、事件に巻き込まれてしまいます。その辺りから盛田作品には今までなかったハードボイルド的な展開となってきます。

モンゴルは元々社会主義国で日本との関係はそれほど深くはなかったものの、ここ数十年のあいだは様々なODA援助や資源輸入など関係は深まってきています。日本からも毎年2万人程度が観光やビジネスで訪れ、日本の国技と言える大相撲の力士ではモンゴル勢が上位を占めているのは両国の友好に貢献しています。

しかし、モンゴル国内はと言えばまだまだインフラ整備が遅れ、治安も悪く、ストリートチルドレンが多いなどアジアの中でも経済発展が遅れています。おそらくそのようなモンゴルの姿を著者が目の当たりにして、創作意欲をかき立てられたものと思います。

以前の社会主義国によくある外貨稼ぎのために観光客を誘致し、その観光客が辿るルートだけは見かけ上綺麗にしておくものの、一歩裏道に入ると腹黒い役人や様々な利権を手にするマフィアが暗躍し、捨てられた子供達が路上で必死に生きているという貧しい国の姿がよく伝わってきます。

主人公の日本人はモンゴルに着いてからは、ひ弱ながらも懸命に生きようともがきながら、やがては運命にまかせてロシアへ、そして再び日本へと帰ってきます。最後の終わり方がちょっと気に入りませんが、この主人公のその後を描いた続編を期待したいところです。

5月後半の読書と感想・書評 2013/6/5(水)

006 ささやかな永遠のはじまり (角川文庫)
結婚前の女性視点で書かれた大人の恋愛がテーマのストーリーで、失礼ながらもう立派な中年男性の盛田氏がこういう女性心理に深く立ち入った小説をスラスラと情緒たっぷりに描けるのはさすがプロ、上手いなぁというのが実感です。

主人公の職場は雑誌を発行している出版社で、その仕事の様子などが詳細に書かれますが、これは作家さんと出版社というのは通常関係が深かったり、以前勤めていたりするケースが多いので、勝手知ったるということもありしばしば登場します。

ちなみに著者の盛田氏は雑誌出版社のぴあに長年勤務されていたので、その点は設定が安易とも思えますが仕方がないでしょう。

その雑誌の「ぴあ」は、最後までしぶとく残っていた「ぴあ首都圏版」が、今年の7月発売号で休刊となってしまい、思い入れも深かったので残念に思っています。

昔、2本立ての名画座へ行く前に、駅のKIOSKでぴあを買い、それを映画館で見せると入場料が数百円割り引かれるので、実質ぴあの購入費は100円ぐらいで済むという仕組みはよくできたいたと感心しました。

さてストーリーですが、いきなり序盤で主人公の女性が誰もが羨むようなエリートサラリーマンと婚約し、そして結婚間近で突然破局、その後は社内不倫と続いていきます。

そして終盤は思いもよらない展開へと進んでいきます。こりゃ明らかに恋愛に夢を見ている若い女性のウケを狙っているなぁと思ったり。

小説に登場してくる男性も女性もそれは見事なまでにみんないい性格とキャラをしていて、そういう人達ばかりに囲まれていると、苦労のうちの半分以上はきっとなくなるのだろうなと思います。

その点は人間関係にいつも苦しんでいる現実の若い女性達におもねったところが見え隠れします。ま、これを読んで「私も主人公に負けずに頑張らなくっちゃ」と思う女性や、盛田作品をもっと読みたいと思う人が増えればそれはそれで結構なことではありますが。

6月後半の読書 2011/7/2(土)

005 ありふれた魔法 (光文社文庫)
2008/11/19読了

「BOOK」データベースより
城南銀行五反田支店の次長・秋野智之は、部下の森村茜が担当する顧客に謝罪するため、顧客の別荘がある箱根に茜とともに向かう。その帰り、ふとしたきっかけで涙を見せた茜に、智之は胸がつまるような息苦しさを覚える。次第にお互いの距離が近づいていく二人だが…。妻子ある銀行員を主人公に、リアリズムの名手が描く、心を深く打つ恋とその人生の行方…。

004 おいしい水 (光文社文庫)
2006/09/14読了

「BOOK」データベースより
同じマンションの主婦仲間と子育てに勤しむ三十歳の弥生。夫の微妙な変化に気付きながらも、社会との接点を求めて、タウン紙のライターを始める。そこに、新たに入居した隣人のあけすけな言動が、平穏だった日常をねじれさせていく…。リアリズムの名手が切実に描く、人生の岐路に立つ女性の“渇き”と“癒し”。あなたにとって結婚は“おいしい水”ですか。

003 金曜日にきみは行かない (角川文庫)
2006/04/18読了

「BOOK」データベースより
天才ロックシンガー白石ありすの記事を依頼された音楽ライターの“きみ”。だが、インタビューは散々だった。ありすが全く口を開こうとしなかったからだ。それでも“きみ”は十個の質問に対する、ありすの十通りの沈黙を書き分け、編集部にファックスする。そこに、ありすから「助けて」と電話が入る。東京湾岸のスタジオを抜け出し、紅葉の足尾へ、新宿歌舞伎町の街路へ、ふたりの逃避行が始まる。境界線を失踪する、ありすと有子。時間の迷路を旅する、きみとぼく。“分身”をめぐるネバーエンディング・ストーリー。

002 ストリート・チルドレン (光文社文庫)
2005/06/05読了

「BOOK」データベースより
「新宿」を舞台に、ある一族の三百年にわたる「生」と「性」の軌跡を描く異色長編。一六九九年、十九歳の青年が下諏訪の村から「内藤新宿」に出奔する。その青年を一代目として、彼から流れ出た血の因果は、男色者、遊民、歌舞伎子、詐欺師、家出娘、廃疾者など、ことごとく路上の民で彩られながらも、三百年後の一九九八年、出稼ぎフィリピーナとのあいだに子をなす十三代目の青年まで危うく一筋に流れる…。旋風を巻き起こした盛田隆二のデビュー作がついに文庫版で完全復活を果たす。

001 夜の果てまで (角川文庫)
2004/06/04読了

「BOOK」データベースより
二年前の秋からつきあっていた女の子から突然の別れ話をされた春、俊介は偶然暖簾をくぐったラーメン屋で、ひそかに「Mさん」と呼んでいる女性と遭遇した。彼女は、俊介がバイトをしている北大近くのコンビニに、いつも土曜日の夜十一時過ぎにやってきては、必ずチョコレートの「M&M」をひとつだけ万引きしていくのだった…。彼女の名前は涌井裕里子。俊介より一回りも年上だった―。ただひたむきに互いの人生に向き合う二人を描いた、感動の恋愛小説。



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