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三浦哲郎 MIURA TETSUO 既読書籍
004 | 003 | ふなうた 短篇集モザイク2 | |
002 | みちづれ 短篇集モザイク1 | 001 | 忍ぶ川 |
1931年〜2010年。青森県生まれ。早大に入学したが中退、郷里で2年間中学教師を務めたあと、早大仏文科に再入学し、文学を志す。井伏鱒二に師事し、純愛小説『忍ぶ川』(1960年)で芥川賞受賞。以後、『恥の譜』(1961年)、『初夜』(1961年)などの情感深い私小説を発表し続けた。代表作に『忍ぶ川』(1961年) 『繭子ひとり』(1963年)『ユタとふしぎな仲間たち』(1971年)『おろおろ草紙』(1982年)など。(Wikipediaより引用 2024年) |
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003 | ふなうた 短篇集モザイクII(新潮文庫) |
過去に掲載された短篇作品をまとめて1991年に「みちずれ短篇モザイク集I」が出版され、それから3年後の1994年に単行本、1998年に文庫化されたのがこのモザイク集第2弾の本作品集です。 著者は元々短編小説やエッセイの名手ですが、文庫ベースで、1篇あたり10数ページという短篇の中でも短い作品の中で、それぞれが起承転結、ひとつの物語が情緒豊かに成り立っていることに驚きます。 最近の小説家には短篇が得意な人でも連作短篇という形式が多く、その場合は前に出てきた登場人物の性格や説明を省け、一種中編や長編小説的に物語が展開できます。 しかしこのモザイク集のように、ひとつひとつがまったく違った形状の物語をしっかりと読ませるテクニックは見事としか言いようがありません。短篇集なのに、なにか違った長編作品を一気に数本読んだような気分にさせられます。 収録されているのは、「ふなうた」、「こえ」「あわたけ」「たきび」「でんせつ」「やぶいり」「よなき」「さくらがい」「てざわり」「かえりのげた」「ブレックファ−スト」「はな・三しゅ」「ひばしら」「いれば」「ぜにまくら」「かお」「メダカ」「みのむし」の18篇で、初出はそれぞれ違いますが、文芸雑誌などに1991年(平成3年)から1994年(平成6年)に掲載された作品です。 あまりにも簡単にサクッと読めてしまうだけに、しっかりと余韻に浸る間もなく次の作品へと移ってしまい、もったいないですが、さらにまた次を読みたくなってきます。 ★★★ 6月後半の読書と感想、書評 2024/7/6(土) |
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002 | みちづれ 短篇集モザイクI(新潮文庫) |
昨年、芥川賞を受賞した短編集「忍ぶ川」(1961年)を読んで、面白かったので1991年のこの短編集を読むことにしました。 サブタイトルに「短篇集モザイクI」とありますが、1作が約10ページ(文庫)程度のかなり短い作品で、こちらは純文学でジャンルは違いますが、星新一氏のショートショートのような感じです。 読むのは楽で良いですけど、あまりにも短いのでよく理解できないまま、あるいは余韻を楽しむまでもなく終わってしまうというパターンです。 したがって、感想も書きにくく、読んだそばから次の作品へ意識がいってしまい、せっかく面白かったのにすぐ忘れてしまうパターンでもったいない感じです。 収録作品は「みちづれ」「とんかつ」「めまい」「ひがん・じゃらく」「ののしり」「うそ」「トランク」「なわばり」「すみか」「マヤ」「くせもの」「おさかり」「ささやき」「ねぶくろ」「はらみおんな」「かきあげ」「てんのり」「おさなご」「こいごころ」「にきび」「オーリョ・デ・ボーイ」「さんろく」「ゆび」「じねんじょ」の24篇です。なぜかすべてひらがなかカタカナのタイトルです。 この短篇集モザイクには「ふなうた短篇集モザイクII」「わくらば短篇集モザイクIII」の続編があります。 ★★☆ 2月前半の読書と感想、書評 2024/2/17(土) |
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001 | 忍ぶ川(新潮文庫) |
著者の小説を読むのは今回が初めてですが、1961年の芥川賞受賞作「忍ぶ川」を含む同年に単行本が出版された短篇集です。単行本とその後に発売された文庫版とでは収録作品に違いがあります。 著者は戦前の1951年生まれで自伝的小説が多い青森出身の作家さんですが、年が離れた6人兄弟の末っ子で、まだ幼い頃に二人の姉が相次いで自殺、二人の兄は失踪し行方不明という過酷な子ども時代を過ごしています。 表題作の「忍ぶ川」を含め「初夜」「帰郷」「団欒」「恥の譜」「幻燈畫集」「驢馬」の7篇が収録されていて、1961年から1934年に発表された小説で、その多くが自伝を元にした内容です。 タイトルの忍ぶ川はどこか地方の川の名前か愛称かと思っていたら、大学生時代に東京で下宿をしていた時に、貧乏なのに酒の勢いで行った少し高級な料理屋の店名でした。 「忍ぶ川」では、忍ぶ川で仲居の仕事をしていた女性を見初め、収入のない学生時代に結婚するという無茶なことをします。 貧困と、差別や因習が残る田舎の中で、血のつながった家族の自殺や失踪という実際に経験してきたことを元にして書かれているので、時代が違うとは言えリアリティがあります。 「初夜」と「帰郷」はその続編という扱いで、東京の大学を休学して実家の青森に戻り、身内だけのささやかな結婚をして近くの温泉へ新婚旅行へ出掛けます。その後、東京で仕事が見つかり妻と子を呼び寄せて暮らしますが、父親が危篤となり帰郷することになります。 最後の作品「驢馬」はこれらの中では全く異質のもので、太平洋戦争中に満州から留学生という扱いで青森にやってきた満州生まれの主人公が、狂っているとしか思えない日本人に、追いつめられて自分が狂ったフリをする必要に迫られるという内容で、一番読み応えがありました。 ★★☆ 11月前半の読書と感想、書評 2023/11/15(水) |
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