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カズオ・イシグロ KAZUO ISHIGURO 既読書籍

004 忘れられた巨人  003 遠い山なみの光
002 日の名残り  001 わたしを離さないで


1954年長崎県生まれ。1960年に父親の仕事の関係でロンドンへ移住。1974年にケント大学英文学科、1980年にイースト・アングリア大学大学院創作学科進学。3作の短篇「不思議に、ときには悲しく」(1980年)、「Jを待ちながら」「毒殺」(1981年)でデビュー。1982年英国に在住する長崎女性の回想を描いた処女作『女たちの遠い夏』(日本語版は『遠い山なみの光』と改題、原題:A Pale View of Hills) で王立文学協会賞を受賞。2017年ノーベル文学賞を受賞。(Wikipediaより引用 2022年)


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004 忘れられた巨人(ハヤカワepi文庫)
The Buried Giant

著者の作品を読むのはこれで4作目となりますが、以前に読んだ「わたしを離さないで」(2005年)を発刊した後、10年間のブランクが開き、2015年に発刊されたのがこの作品というのはあとで知りました。

この長編小説のジャンルは著者の作品では珍しいファンタジーですが、子供向けの暖かなファンタジーではなく、イギリスの古代史をテーマにしたアングロサクソン人と、グレートブリテンの名の由来にもなっているブリトン人の対立がテーマとなっています。

あまり日本人には馴染みがない内容ですが、そのような英国史の物語を日系英国人(両親はともに日本人で、6歳まで長崎に在住)の著者が書くというのも面白いです。

主人公は、ブリトン人の老夫婦で、現在の村での生活に不満があり、ずっと前に出て行った息子に会うため遠出の旅に出ます。

村から一歩出ると、鬼や敵対するサクソン人、盗賊などが旅の障害となりますが、人々の記憶を失わせる原因となっている竜を敵に軍事利用されるのを防ぐためにやってきたブリトン人の騎士や、ブリトンの君主だったアーサー王に命ぜられ竜退治に執念を燃やしているブリトン人の老兵士などとともに様々な困難を乗り越えていきます。

まだ未開の土地が多かった5〜6世紀の英国で、竜やら鬼やらが出てくるというところがファンタジーなんですね。5世紀と言えば日本では倭国という大和朝廷ができ、そこの代々の王がやがて天皇となっていくという時代です。

タイトルはサクソン人の騎士がその頃は多くの人種が英国で割拠している中で「昔に地中に埋められたサクソン人の巨人がやがて動き出す」と予言をしたように、やがて英国に住んでいたブリトン人やケルト人はサクソン人に駆逐されていくことになります。

まったく知らない歴史なので初めて知ることが多く、なかなか理解ができないのと、同時に新たな興味が湧いてくるのとがせめぎ合います。

しかし最後は特に話がつながるようなクライマックスなどもなく、英国料理のように評価すること自体が難しく、個人的には仲の良かった老夫婦が、なにか寂しい終わり方になっていてちょっと残念に思います。

★★☆

8月前半の読書と感想、書評 2022/8/13(土)

003 遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)
A Pale View of Hills

長崎生まれで2017年にノーベル文学賞を受賞した著者の初期の作品(1982年出版、日本語版は1984年刊)で、原題は「A Pale View of Hills」です。

舞台は原爆被害から復帰しつつある1960年代頃の長崎と、その後、再婚して移住した現在の英国の田舎町で、主人公の日本女性が過去を振り返る内容となっています。

著者が日本に住んでいたのは、幼稚園時代までなので詳しくは知らないでしょうけど、その頃の街の背景がわずかに残っていたのでしょう、まだ復興途中の長崎で日々暮らす人達の姿が生き生きと描かれています。

いわゆる純文学なので、なにか事件が起きてその謎を解くというような話ではありません。

ただ最後にちょっと引っかかった文章がありました。これは解説などでも指摘や話題になっていないので、なにかのミスか、それとも深い意味が込められているのかは謎です。

それは、後ろから2ページ目に、主人公の女性が、再婚した英国人との間に産まれた娘(ニキ)に、持っていた長崎の港が写った古いカレンダーの写真を渡し、

「なにかとくべつなことがあったの?」
「とくべつなこと?」
「海へ行った日に」
「ああ、なにもとくべつなことはなかったのよ。ただ思い出したという、それだけ。あの時は景子も幸せだったのよ。みんなでケーブルカーに乗ったの」私は笑ってニキをふりかえった。「そう、何もとくべつなことはなかったの。ただの幸せな思い出、それだけだわ」

しかし、一度だけ行ったという「あの時」は、前夫との娘景子はまだお腹の中で、一緒にケーブルカーに乗ったのは近所の親しい親子だけでした。

どうして、まだ産まれていない景子がその時幸せだったのかよくわかりません。理解できる方はいらっしゃいますかね?

★★☆

2月前半の読書と感想、書評 2022/2/16(水)

002 日の名残り (ハヤカワepi文庫)
The Remains of the Day

2005年の小説「わたしを離さないで」が有名で、今年TBSでドラマ化もされていましたが、著者の名を有名にしたのは1989年刊の本作で、世界的に権威のある英国ブッカー賞を受賞した作品です。

また1993年にはジェームズ・アイヴォリー監督、アンソニー・ホプキンス主演で映画が製作されています。

小説は1956年の「現在」と、第二次大戦前、1920〜1930年代の「回想」」とを行き交います。

主人公は父親の時代から名門家の屋敷に住み込みで執事として働いている男性です。

戦前の世界問題に揺れる大英帝国の上流階級の中で仕事をしてきた主人公は、しっかり者の女給長との間に淡い恋愛感情を感じながらも、世界が大きく変わりゆく中で、自分の仕事に専念するあまり、恋を成就させることはできません。

時代がすっかり変わり、没落していく英国貴族の代わりにアメリカ人富豪が屋敷の主となり、様々な変化にもうまく対応していきますが、ずっと以前に結婚をして辞めていった女給長から手紙をもらい、また一緒に働けないものかと考えます。

新しいアメリカ人の主人がしばらく休みを与えてくれて、しかもその頃まだ珍しかった高級自家用車で旅行してくればという提案を受けて、その元女給長が住む街へと旅に出掛けます。

その旅の途中で出会う様々な階級の人や、庶民達の政治談義などを持ち前の知識やテクニックでそつなくこなし、英国の田舎町をのんびりと旅をする風景がとてもよく書かれています。

そしてようやく念願の人と再会を果たしますが、その結果はここには書いてはいけないでしょう。

★★☆

6月前半の読書と感想、書評 2016/6/15(水)

001 わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)
Never Let Me Go

著者は1954年生まれ長崎県出身の日系イギリス人作家で、5歳の時に父親の仕事の関係で渡英し、そのまま英国に帰化した方で、三作目の「日の名残り」(1989年)は英国で最高の文学賞ブッカー賞を受賞しています。

この作品は著者の6番目の長編小説で2005年に発表、2006年に日本語訳版が発刊されています。また2010年には映画化され、日本でも2011年に公開されています。

小説の前半は英国独特の全寮制学校と思えるようなところで、学んでいる生徒達の日々の生活が綴られています。思春期の少年少女達の日々の生活ですから、面白いと言えば面白く、淡々として平易と言えば平易な文章が続きます。

しかし、中盤あたりまでくると、どうもこの少年少女達は、世間から隔離された、親のいない特別な少年少女だということが段々とわかってきます。

詳しくはネタバレになるので書けませんが、決してSFやホラー、ミステリーとも違う、なんというかテーマは重いのですが、純文学に近いものと言っていいでしょう。

主人公はキャシーという女性で、病人の介護をしている現在から、一気に過去の全寮制の生活へと飛びます。

そこでは教師とのふれあい、同級生や先輩との友情や恋愛など、繊細で壊れそうなどこにでもいる心が不安定な少年少女達で、前半だけを読むと青春ドラマかと思ってしまいそうです。

タイトルの「わたしをは離さないで(Never Let Me Go)」は、主人公がまだ少女の頃に寄宿舎で手に入れたカセットテープに入っていたお気に入りの曲のことで、それをひとりで聞いて無邪気に踊っている姿を、ジッと見つめていた教師が、なぜか涙を流しているのを見てしまいます。

本来なら深夜に音楽を聴いていて怒られると思っていたのに、涙を流していたということが、強く印象に残り、やがてはそのカセットは盗まれてなくなってしまいますが、大人になってから、中古品の店で見つけます。

その教師もやがては学校からいなくなり、そして主人公達がなぜ集められて生かされているのか、誰のために生きているのか、自分達は誰の子供なのかなど、やがて明らかになっていきます。

11月後半の読書と感想、書評 2014/12/3(水)



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