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今邑彩 IMAMURA AYA 既読書籍
003 | よもつひらさか | ||
002 | ルームメイト | 001 | いつもの朝に(上)(下) |
1955年3月13日長野県生まれ。本名は今井恵子。都留文科大学英文科を卒業。1989年『卍の殺人』が、公募企画「鮎川哲也と十三の謎 十三番目の椅子」(後の鮎川哲也賞)で最優秀作品に選ばれデビュー。「警視庁捜査一課・貴島柊志シリーズ」「蛇神シリーズ」など推理小説多数。2013年3月6日東京都内の自宅で死去しているのが発見され2月上旬に病死したものと推測された。57歳没。(Wikipediaより引用 2022年) |
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003 | よもつひらさか(集英社文庫) | |
1999年単行本、2002年に文庫化された短編小説集で、「見知らぬあなた」「ささやく鏡」「茉莉花」「時を重ねて」「ハーフ・アンド・ハーフ」「双頭の影」「家に着くまで」「夢の中へ…」「穴二つ」「遠い窓」「生まれ変わり」「よもつひらさか」の12篇が収録されています。 著者の作品は「いつもの朝に」(2006年)と「ルームメイト」(1997年)を読んでいますが、ミステリーやホラー、ファンタジー、多重人格などの精神疾患など幅広い複雑な人間関係の内容で、現実的には「ん?」と思いますが、エンタメとしては十分楽しめます。 タイトルにもなっている「よもつひらさか」は、漢字にすると「黄泉比良坂」で、古事記に出てきますが、イザナギとその妻だったイザナミが黄泉の国(死者の国)と現世の境目で起きる話で、この話は先般読んだ桐野夏生著の「女神記」にも出てくる有名な話しです。 現在の島根県松江市東出雲町揖屋に伝承地としてそれを模した場所があります。 その坂道を嫁いだ娘の家へ孫の顔をみるため歩いて向かっていた高齢男性が、坂道の入り口で道標のように建てられていた石碑をしゃがんで見ていたら立ちくらみをして、よろめいたところ穂高で登山をしてきて帰る途中という地元の男性に助けられます。 そしてその地元の男性と一緒に坂道を登っていきますが、坂道の名前の由来について聞くと、男性が言うには、坂道の最初と最後に石碑が建っていて、その間は黄泉の国とつながっているらしいこと、ひとりで歩いていると、亡くなった知人が亡霊として出てきて黄泉の国へ引き込もうとすること、子供の頃に友人が危ない目に遭ったことなど聞かされます。 亡霊はひとりで歩く人になにか食べ物や嗜好品を与えようとし、それを口にすると死んで黄泉の国へ行くことを聞かされ、高齢男性は、そう言えば坂道の入り口で立ち眩みをしたとき、男性から水筒の水を飲まされたことに気づき・・・という感じです。怖いですねぇ、、 その他、寺の天井に浮き出ているシミが双頭の怪物のように見える「双頭の影」、以前は画家と心臓病で亡くなる幼い娘が住んでいたという古い洋館に引っ越してきた父娘ですが、娘の部屋にかかっていた絵画が日によって微妙に変わっていることに気がついた娘がとった行動とは?の「遠い窓」など、なかなか怖くも楽しめるものでした。 ★★☆ 7月後半の読書と感想、書評 2022/7/30(土) |
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002 | ルームメイト (中公文庫) | 1997年に初出、2006年に文庫化されたミステリー小説です。著者は先月3月6日に57歳の若さで自宅マンションで病死しているのを発見されましたが、独居のため発見が遅れ、死後約1ヶ月ぐらい経っていたそうです。ご冥福をお祈りいたします。 若いうちは1人住まいの気楽さや、自分で稼いだお金を自由に使えることなどいいと思うことも多く、それが結婚しない男女を増やしている要因でもあるでしょうけれど、健康に不安を覚えてくる50代以降ともなると、くも膜下出血や脳梗塞、急性心筋梗塞など、身近に誰かいないと助かる命も助からないこともあり、こうした不幸な出来事が、現在30代40代のシングルが年齢を重ねていくにつれ今後増えそうな気がします。 著者は以前に乳ガンを患っておられたとのことで、急性の病気ではなかったのかも知れません。 私の身近な知人にも、突然倒れた両方のケースがあります。独居の人(30代)は、会社を無断欠勤したことで、不審に思い家族に連絡したところ、自宅で亡くなっているのが発見され、DINKSの人(40代)は、自宅で倒れたとき配偶者がたまたま会社が休みだったため救急車をすぐ手配をして助かり、その後多少後遺症は残ったものの現在も元気に活躍中です。 この小説では、今流行のルームシェアをした相手がとんでもない人だったというところからスタートしますが、もし著者もルームシェアでもしていれば、もっと長生きできたのにという流れでこの本を読んだわけではありません。 以前読んだ「いつもの朝に」がなかなかよかったので、そのうちに読もうとお亡くなりになる前に買っておいた本です。 さて余計な前置きが長くなりましたが、東京に出てきた女学生がアパートが見つからず困っていた時、ちょうど同じく困っていた見知らぬ自称女子学生と意気投合し、相手の発案で二人で共同でマンションを借り、ルームシェアすることになります。 ところがしばらくすると、不在がちとなり、いつもなら入金されるはずの家賃の半分が、約束の日になっても入らず、困って相手の実家へ連絡すると全然別の人が電話に出るということに。 また一方では、籍は入れていないものの、旅先で知り合い、その後一緒に住み始め、内縁関係にあった女性がある日突然いなくなり、なにか事件に巻き込まれたのでは?と探し始めた男性がいます。 やがてその女子学生のルームメイトと内縁の妻は同一人物ということが判明し、女子学生が消えた女性を大学の先輩と一緒に探すことになります。そこで判明した驚愕の事実と、さらなる事件へと発展していくわけですが、さすがにこれ以上は書けません。 ひとつ書いておくと、本文に登場しますが、ダニエル・キイス著のノンフィクション「24人のビリー・ミリガン 」を読んでおくとモロモロ心理状態など理解しやすいかもしれません。 最後に二つのエンディングがあり、どちらを選ぶかは読者次第ということになっています。ところが二つめのエンディングはなにが言いたいのかよく理解ができませんでした。 4月前半の読書 2013/4/17(水) |
001 | いつもの朝に (上)(下) (集英社文庫) | 今邑彩(いまむらあや)氏は1955年生まれというから私と年齢の近い推理小説家です。作品を読むのは今回が初めてです。 この「いつもの朝に」は2006年に発刊され、2009年に文庫化された作品で、主人公は絵描きの母親と暮らす中学生(兄弟)で、ふとしたきっかけから自分たちの出生にまつわる忌まわしい過去と謎を知ることになり、その謎を追いかけていくことになります。 プロローグに出てくる母親が描いた絵画作品に必ず描かれている顔のないのっぺらぼうの小さな男の子の姿と、一家の絵の中に出てくる「へのへのもへじ」で描かれた両親や姉の顔。その理由がこの小説のストーリーの柱として、徐々に明らかとなっていきます。 人が死んだ、殺されたというのが大半の推理小説の中にあって、特段この小説に出てくるような悲惨な出来事が小説に描かれることは珍しくありませんが、それにしても子供が大きくなるまで、それらのことが一切知らされず、また気がつかずにいるということは現実的には珍しいことです。 そして、子育てをしてきた私にとっては手にとるようにわかるのですが、普通の中学生が自分の生い立ちを調べるため、親に内緒で泊まりがけの旅行へ出掛けますが、その行き先を騙してなんてことは、実現的には不可能でしょう。 また小説では他人の子供を戸籍上わからないように養子ではなく嫡男として届け出をしたようなことが書かれていましたが、病院で産まれた子供を、母親が出産と同時に亡くなったからと言っても、赤の他人の子供として証明してくれる医者がいるとはとうてい思えません。バレたら医師資格の取り上げだけでなく関係者全員が犯罪者として罰せられることになります。 ま、そのようないくつかの矛盾や、あり得ない設定が所々に目立ちますが、本来なら重苦しく暗くなりがちな内容であるに関わらず、主人公が二人の明るい中学生ということもあり、そうはならずに、家族の絆や血筋というものを考えさせられる小説です。 6月後半の読書 2012/7/4(水) |
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