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服部まゆみ HATTORI MAYUMI 既読書籍

002 この闇と光  001 一八八八切り裂きジャック
読書感想は2010年頃以降から書くようになりました。それ以前に読んだ本の感想はありません。


1948年、東京都生まれ。現代思潮社美学校卒業後、銅版画家を目指し加納光於に弟子入り。1987年『時のアラベスク』が第7回横溝正史賞大賞を受賞し作家デビュー。澁澤龍彦世界(ドラコニア)に影響を受け、作品中には澁澤龍彦をモデルとした登場人物もある。1998年、『この闇と光』が直木賞候補になる。2007年、58歳で死去。(Wikipediaより引用 2026年)


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002
この闇と光(角川文庫)

この闇と光
1998年に単行本として、その後文庫版が出版されている、長編ミステリー小説です。

3年前に「一八八八切り裂きジャック」(1996年)を読んでいて、この作家はとても才能豊かな方で只者ではないと感じました。

ただすでに著者は2007年に58歳の若さで亡くなっています。まだ未読の9作品(アンソロジー除く)もぜひ読んでみようと思っています。

なんの予備知識もなく最初この小説を読み進めていくと、戦乱が続く中世ヨーロッパの小国を舞台にした話かと思っていたら、全然違っていて、自動車やテレビ、録音機なども次々登場しアレレ??となりました。

というのは、主人公の王女レイラは、他国からの侵略で、城を追われ、別荘に軟禁されている目の不自由な幼い少女で、文庫の表紙にもそれらしい少女が描かれていますから、そんな第一印象を持ってしまいます。すっかりはめられてしまいました。

そのオチはというともちろんここでは書きませんが、次々と出てくる古典小説、西洋美術、クラシック音楽など、いかにも王族が好みそうな上流階級の趣味がこれでもかと出てきます。

中でもつい先日読んだ「嵐が丘」の主人公ヒースクリフの話がこの小説の会話にも出てきて、こうした古典の名作はちゃんと読んでおかないと何を言っているのかよくわからないなぁと思った次第です。

それが終盤にガラッと変わってしまいますが、それまでがやたらと長く、ちょっとイライラさせられます。

でもその終盤からクライマックスにかけての話の展開を読めば、伏線と言うにはどうかと思いますが、今までの話はなんだったの?という驚愕の内容に変わっていくところが絶品でした。

★★☆

2月前半の読書と感想、書評 2026/2/7(土)

001
一八八八切り裂きジャック(角川文庫)

1996年に単行本、2002年に文庫化された長編ミステリー小説で、タイトル通り19世紀末1888年に英国ロンドンで起きた6件(5件という説もある)の連続殺人事件「切り裂きジャック(Jack the Ripper)」事件をモチーフにしています。

著者の小説は過去に読んだことがあると思っていましたが、調べると今回が初めてだというのに気がつきました。著者は1948年東京都生まれで2007年に58歳の若さで亡くなられています。

切り裂きジャックがロンドンの貧民が多く住む地域で娼婦ばかりを狙って次々と殺害し、同時に短時間で全身を解剖するかのように内臓を取り出し切り刻むという手口は、そこの住民だけでなく英国中を震撼させました。

結果的に犯人は捕まることはなく、同様の殺害はなぜか収束しましたが、当時から現在まで130年以上様々な憶測や推理がされ続けています。

本著では、その事件に偶然立ち会うことになった二人の日本人留学生(ひとりはロンドン警察、ひとりはロンドン病院勤務)が、この小説では主人公として活躍します。

こうした実際の歴史をベースにしたシチュエーションは、小説では時々ありますが、個人的には背景などがわかりやすく好きです。ただリアルとフィクションが混ざりますが、結果としての歴史は変わらないので結末に大きな衝撃はありません。

最近読んで面白かったのは、松岡圭祐著の「シャーロック・ホームズ対伊藤博文」「ヒトラーの試写室」などです。

切り裂きジャックが跋扈した当時、日本は明治維新(1868年)後に西洋文明に早く追いつこうと、法律、政治、医療、軍事など様々な分野で欧米に留学生を送っていたことから、小説では国を背負って医学や警察の研修を受ける公費留学生達に主人公を仕立て上げています。

同じく同時期にドイツへ留学していた?若い頃の森鴎外(森林太郎)や北里柴三郎も登場します。

また切り裂きジャック事件とは別に、その事件が起きた地区にはロンドン病院があり、当時その病院の地下には「エレファントマン」という名前で有名になった病気で極度の奇形となったジョゼフ・ケアリー・メリックが見世物小屋から保護され暮らしていたことから、それとの関係性に気がついて事件と関わりがあることを突き止めていくことになります。

その他にも、18世紀後半に蝋で精密に作られた人体解剖モデル、「解体されたヴィーナス」で有名なクレメンテ・スシーニの作品が出てきて一気に怪奇ムードが増幅されます。

殺害された人物や王室、警察関係者、病院関係者などは実名で登場しますので、関連記事や歴史書と比較して読むとその時の緊迫した模様がヒシヒシと伝わってきます。

ただ、この手の小説としては、文庫本で769ページと長く、いろいろ詰め込みすぎって気もします。

★★★

1月前半の読書と感想、書評 2023/1/14(土)



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