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半藤 一利 HANDO KAZUTOSHI 既読書籍

004 003 歴史探偵 忘れ残りの記 
002 ノモンハンの夏  001 日本のいちばん長い日


1930年〜2021年、東京生まれ。日本のジャーナリスト、戦史研究家、作家。近現代史、特に昭和史に関し人物論・史論を、対談・座談も含め多く刊行している。東京大学文学部国文科卒業。1953年に文藝春秋新社に入社。代表作は「日本のいちばん長い日 運命の八月十五日」(1965年)、「ノモンハンの夏」(1998年) (Wikipediaより引用 2023年)


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003 歴史探偵 忘れ残りの記(文春新書)

著者は一昨年2021年に90歳で亡くなっていますが、ジャーナリストとして、また作家として少年時代に自身戦争を体験したことや、戦争に関わった人を仕事で取材した経験などを生かした作品を多く残しています。

本著も、様々な雑誌や広報誌などに書いたエッセイをまとめたもので、かなり繰り返しで重なっている部分がありますが、戦争中の貴重な話がいろいろと参考になります。

また著者の配偶者が夏目漱石の孫ということもあり、夏目漱石に関連した作品も数多くあります。

この2021年に出版されたエッセイ集では、著者が戦前の下町の向島生まれで、戦争中の浅草や銀座、そして東京大空襲で逃げ惑った話など、貴重な体験談が読めます。

またこのエッセイ集シリーズには「歴史探偵 昭和の教え」と「歴史探偵 開戦から終戦まで」(いずれも2021年刊)の続編があります。機会があればまた読んでみたいです。

★★☆

12月前半の読書と感想、書評 2023/12/16(土)

002 ノモンハンの夏(文春文庫)
今年2021年に亡くなられた著者の1998年のノンフィクション作品で、2001年に文庫化されています。

司馬遼太郎氏が最後に書くつもりで共に取材を進めてきた中、司馬氏が1996年に亡くなったあとにその思いを継ぐつもりで書かれた作品です。

ノモンハン事件と言えば、太平洋戦争前に、日本軍とソ連軍が戦い、大きな損害を受けたという簡単な知識しかもっていませんでした。

実際は満州国とモンゴルの国境の一部が明確になっていなかったことから、互いの都合が良い国境ラインを守るため「相手が侵略してきた」と双方の軍が激突したわけです。

しかも満州は日本が、モンゴルはソ連がそれぞれの国の防衛を担っていて、厳密に言えば代理戦争ということになります。

事件が起きたのは1939年のことで、三宅坂にある陸軍参謀本部とその満州の出先機関である関東軍参謀部とで、不明瞭だった満州とモンゴル国境線の取り扱いについて意見が割れます。

モンゴルの背後にいる極東ソ連軍など恐るるに足らずとなめきっていた関東軍エリート幹部達が、国境付近にいるソ連軍を追い払おうと暴走気味に戦端を開きます。

最初のうちは調子が良かったものの、ドイツと不可侵条約を締結することでソ連の西側に憂いがなくなり、スターリンの指示を受け近代兵器を大量に極東地域に投入したソ連軍に関東軍がコテンパンにやられてしまうという国境紛争です。

タイミング的には、中国との戦争が泥沼状態に入り込み、英国や米国との関係が悪化、しからばとヒットラー率いるドイツと同盟交渉をしますが、陸軍と海軍で意見が割れ、さらに英国大好きで陸海軍の最高責任者でもある天皇陛下への説得もままならず、陸軍参謀本部は混乱の極みに陥っている時期でした。

その結果、能なしで危なくなると自分たちはとっとと逃げ出す最高幹部達に命令された最前線の哀れな兵士達はソ連軍の近代兵器に蹂躙され、日本軍だけで7千人以上の戦死者(ソ連軍は9千人以上の戦死者)を出すことになります。

「その地に重要な資源が埋まっているとか石油が出るとかでもなく、目印になるような木も1本もなく、ただ広いだけの寒冷地域の草原で、国境線がわずか数キロあっちだこっちだと言って殺し合いすることの無意味」という感想は確かにその通りに思います。

でも威勢の良いところを見せて、新たな勲章を胸に飾りたいエリート国粋主義者にはそれが許せなかったのでしょう。

本著では、実名で戦後までのうのうと生き続けたノモンハン事件の首謀者の参謀などをバッサリと斬り捨て、陸軍組織や幹部達の愚かな一面をさらし、さらにその反省がまったく生かされることなく、太平洋戦争でも繰り返すことを辛辣に書いています。

★★☆

12月前半の読書と感想、書評 2021/12/15(水)

001 日本のいちばん長い日(文春文庫)
映画で大ヒットした「日本のいちばん長い日(1967年公開)」の原作者は当初諸般の事情から大物ジャーナリスト大宅壮一編となっていましたが、実際はこの半藤一利氏の作品ということで、その後多少修正をおこない大宅氏の遺族の了解を得た後、あらためて自身の名前で出したのが本書です。

「The Longest Day」というと、アメリカでは一般的に多大な犠牲者を出しながらも欧州戦線での転換点になったノルマンディー上陸作戦決行の日のことを指しますが、日本ではやはり歴史上完膚無きまでに叩きのめされた唯一の負け戦、その最後の日を指すのでしょう。

1945年8月、世界を相手に孤軍奮闘していた日本も敗戦濃厚となり、広島、長崎に原爆を落とされ、いよいよ本土上陸が目前と迫ってきた日本に、唯一残された道はポツダム宣言を受け入れることで、すなわち無条件降伏しかありませんでした。

しかし、陸軍を中心とした一部の青年将校達は、一億総玉砕を叫び、また陸軍は決して負けたわけではないのでもっと闘わせてくれと、天皇や政府が降伏を決めた後も、それを撤回させるために様々な行動を起こします。

このあたりは小説より映画では善と悪をくっきりと描く必要があり、降伏阻止を目指す将校は天皇の命にも背く逆賊という扱いですが、子供の頃からずっと日本が世界で一番優れていて、過去に一度も敗北したことがない神国という思想教育をガッチリとたたき込まれている軍人ですので、その純粋な気持ちから必死に抵抗していることも本書からはにじみ出ています。

様々な幸運もあり天皇の終戦の詔を8月14日の夜に無事に録音することができ、それを翌8月15日の昼12時からのNHK放送で流すことができるかという緊迫した攻防の場面がドキュメンタリーとして描かれます。しかし詔はなぜ負けたのか勝ったのか、それとも戦争継続なのかハッキリしないダラダラとしたものとなったのでしょうか。

これは本書にも経緯が詳しく書かれていますが、役人と政治家と軍人がそれぞれの立場を主張するあまりすったもんだがあります。

わかりやすく要約すると「戦争に負けた。ポツダム宣言を受け入れる。無条件降伏をする。」なのですが、特に軍人は負けたことを書くことは納得しません。

本書ではその詔書を作るために各関係者が何時間もやりとりをして苦心して造りあげていく過程があり、要は天皇、大本営、陸軍、海軍、その他政治家の様々な思いや考え方を練り込んだ結果の代物です。

この放送を聞いて当時はラジオの感度やスピーカーの性能もよくなかったため「結局なにを言われたのかわからない」という国民が多かったと聞きます。

中には放送の後「今後も戦争に奮闘せよとおっしゃった」と勘違いして檄を飛ばした軍人もいたということです。

ただ実際には天皇の詔が放送された後、NHKアナウンサーがくり返し詔を読み上げ、さらに簡単に要約した内容を放送したということです。それは初耳でした。

映画は子供のときにテレビで見ましたが、とにかくこの映画は「暗い映画」「登場人物が多すぎてよくわからない」という記憶が残っています。

「暗い」は、映画の舞台が空襲があり、灯火管制のため真っ暗になっている首都の夜に事件は起き、さらに映画が白黒だったこともあり、そのような印象を持ったのでしょう。

また誰もが負けた悔しさと悲しみ、そして張り詰めていた緊張が解けた疲労感でぐったりしているところが、より暗い印象をこの映画に与えたのかもしれません。

そして2時間半のこの映画にはざっと100名以上の登場人物があり、主役の三船敏郎、準主役の山村聰、鈴木首相役の笠智衆、昭和天皇役の松本幸四郎(8代目)ぐらいはともかく、その他大勢が次々登場してくるので、あらかじめ予備知識がないと混乱します。

一応は、降伏推進派(善人)vs徹底抗戦派(悪人)という構図にはなっていますが、同じ日本人で、同じような軍服や国民服を着ていて、さらには降伏か継続かの間を揺れ動いている軍人も多く、その善悪の区分がハッキリとはわかりにくいのです。

できればもう一度整理して、1967年当時ではまだ生存者が多く遠慮して描けなかった部分も見直して、再度映画化をしてもらいたいなと願うばかりです。

6月後半の読書 2011/7/2(土)



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