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我孫子武丸 ABIKO TAKEMARU 既読書籍
003 | ディプロトドンティア・マクロプス | ||
002 | 殺戮にいたる病 | 001 | 弥勒の掌 |
1962年兵庫県生まれ。京都大学文学部哲学科中退。大学在学中は京都大学推理小説研究会に所属。1989年『8の殺人』で小説家デビュー。代表作に「殺戮にいたる病」「弥勒の掌」など。(Wikipediaより引用 2023年) |
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003 | ディプロトドンティア・マクロプス(講談社文庫) |
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1997年に単行本、2000年に文庫化されている「京都探偵シリーズ」と呼ばれている小説です。タイトルはなにか意味があるのか不明ですが、著者が作った造語のようです。 個人的には、子供の頃に親しんだシャーロック・ホームズや明智小五郎以来、フィリップ・マーロウや、サム・スペード、スペンサー、マット・スカダー、沢崎、工藤俊作、神山健介、佐久間公など探偵小説(シリーズ)が好きで、書店やブックオフで探偵もの小説を見つけると買わずにいられません。 著者のあとがきに書かれていましたが、この小説の原案は学生時代に書いたものということです。 つまり物語の時代は80年代前半ぐらいで、したがって現代のようにパソコンやスマホ、防犯カメラなどは出てこず、せいぜい押し売りにやってきた怪しい日本探偵互助協会の営業マンが持参してきたビデオカメラやテープレコーダーなどのひみつ探偵セットぐらいです。 堅物で有名な京大医学部の教授が失踪し、家族から探して欲しいと頼まれ、ハードボイルドタッチのシリアスものかと思っていたら、コミカルさ全開でした。 誘拐された教授の研究が、ウイルスの危険性を消して代わりに新陳代謝を促す遺伝子を動物に感染させることで、短期間で巨大化できるというもので、そのウイルスを巡って動物園のカンガルーや探偵自身が巨大化してしまうというとんでもない展開で、コミック的です。 本来のウイルスの害を消して代わりのものを動物に感染させる仕組みは、新型コロナのワクチンでmRNA(メッセンジャーRNA)で有名になりましたが、著者のアイデアに先見性があったということでしょうか。 京都大学に在学中に原案を考えたということで、事件は京都市内の縦横で発生し、探偵はじめ京都市内を駆け回り、「堀川通りをクルマで走るとがガタガタで悪路」だとか、いかにも京都に詳しい人が書いたと思わせるものでした。しかしナンセンスドラマでは観光案内にはなりません。 ★☆☆ 4月後半の読書と感想、書評 2024/5/4(土) |
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002 | 殺戮にいたる病 (講談社文庫) |
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以前「弥勒の掌」(2005年)を読んだことがある作家さんの1992年発刊の割と古めの犯罪ミステリー小説です。 最初読み始めた時には、25年も前に書かれた小説とは知らなかったのですが、読んでいくうちに、携帯電話も出てこないし今なら犯罪捜査には欠かせない監視カメラの存在もまったくないので、これはバブル時代かそれ以前の話しだなぁって気がつきました。 主人公は被害者の妹と一緒に犯人捜しをする元刑事ということになるのでしょうけど、その他にも、平凡な家庭の主婦と、連続して快楽殺人を犯していく犯人の二人の視点でも描かれています。 凝ったミステリーなので最後のクライマックスを書くわけにはいきませんが、ま、よくあるパターンと言えばそうですし、まったく現実的ではなさそうと言えばそうなる微妙な感じです。 死体損壊や屍姦など、決して気持ちの良い話しではなく、終わり方も異常でちょっと奇をてらいすぎた?って感じです。 でも1992年頃って、片田舎ならともかく、目撃者が多くいる都会の中で連続殺人が行えるほど警察の捜査能力って低かったのでしょうかね?ちょっと時代を感じてしまいました。 ★☆☆ 8月前半の読書と感想、書評 2017/8/16(水) |
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001 | 弥勒の掌 (文春文庫) |
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我孫子武丸氏の名前は当然ペンネームで、デビューの1989年以来数多くの推理小説をだされていますが、今回読むのは初めてです。 弥勒というと京都広隆寺にある弥勒菩薩像を思い浮かべますが、仏陀の入滅後56億7千万年後に現世に現れ仏陀となるとされていますが、著者はこの「56億7千万」を「年」ではなく「人」と置き換えたストーリーで、現代の日本に現れた弥勒様としてうまくストーリーが作られています。 「地球上の人口が56億7千万人になると弥勒は再び現世に現れる」としたら、弥勒は仏陀となって1995年に現れることになります。 その弥勒を神と崇める新興宗教団体がこの物語のキーとなってきます。と言ってもよくあるオーム真理教に似せた犯罪集団との闘いと言ったようなものではありません。 主人公は妻が行方不明になった高校教師と、妻がラブホテルで殺された刑事の二人です。なぜ妻が失踪または殺されたのかを二人が協力して解明していきます。 この辺りの二人それぞれの心の中の思惑が微に入り細に入りで、ややそのあたりにもっさり感が漂います。最近のやたらとスピード感のある小説が多い中では異例かもしれません。 ま、しかしいずれにしても最後の最後で明らかになるビックリ仰天の結末は、貫井徳郎氏の「慟哭」以来で久々のことです。 9月後半の読書 2011/10/1(土) |